(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】保留装置を用いて導線を導電的に結合する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20240105BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B23K20/10
H01R43/02 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179588
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2019570537の分割
【原出願日】2018-06-20
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102017114182.0
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505404688
【氏名又は名称】シュンク・ソノシステムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ウド・バーゲンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン・ギルベルト
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-193138(JP,A)
【文献】特開平09-155573(JP,A)
【文献】国際公開第2014/161715(WO,A1)
【文献】特表2007-503313(JP,A)
【文献】特表2009-512124(JP,A)
【文献】実開昭54-053519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
H01R 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電線と第2の導電線とが撚り合わされている第1の撚り合わせ導線と、第1の導電線と第2の導電線とが撚り合わされている第2の撚り合わせ導線とを導電的に接合する方法であって、前記第1の撚り合わせ導線の前記第1の導電線と前記第2の撚り合わせ導線の前記第1の導電線とを接合し、前記第1の撚り合わせ導線の前記第2の導電線と前記第2の撚り合わせ導線の前記第2の導電線とを接合し、
前記第1の導電線の裸末端
を、断面が、特に高さと幅が可変である圧縮空間(121)であって、少なくとも1つの横スライダ(113)、1つのソノトロード(114)及び1つの対電極(115)を有する圧縮空間(121)に挿入
し、超音波作用を用いて溶接して第1の結合部
とし、次に前記圧縮空間から前記第1の結合部を離した後に、この圧縮空間に前記第2の導電線の裸末端
を挿入
し、超音波作用を用いて溶接
して第2の結合部に
する方法において、
前記第2の結合部の溶接前に前記第1の結合部(148)を保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)に導くことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記圧縮空間(121)が溶接時にハウジング(128、130)、特に防音ハウジングにより囲まれ、前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)として、前記ハウジング内に設けられているような保留装置が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)が、前記横スライダ(113)内に若しくはその上に、前記対電極(115)内に若しくはその上に、又はハウジングが存在する場合はハウジング内部上に若しくはその中に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
超音波装置を用いて、第1の導線(140、142)同士と、第2の導線(144、146)同士を互いに材料接合で結合する装置であって、
前記装置は、少なくとも1つの横スライダ(113)、1つのソノトロード(114)及び1つの対電極(115)により限定された圧縮空間(121)であって、溶接中に、
選択的に設けられたハウジング(126、128、130)、特に防音のハウジングにより囲まれている圧縮空間(121)を含
む装置において、
前記装置は、前記第2の導線(144、146)の裸末端を溶接して第2の結合部にする間に、前記第1の導線(140、142)の裸末端を溶接することにより作製された第1の結合部(148)を収容するための保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)により特徴づけられており、
前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)は、前記横スライダ(113)若しくは前記対電極(115)内に若しくはその上に形成されているか、又は
前記圧縮空間(121)を囲むハウジング(126、128、130)が存在する場合はその内部から若しくは前記ハウジングを底側で閉ざす要素(134)から出ており、
前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)が、窪み、突子、湾曲、鉤、挟持装置、把持要素、ばね、押付具からなる群のうちの少なくとも1つの要素として形成されている
ことを特徴とする、装置。
【請求項5】
前記圧縮空間(121)の底面に対して遠くにある前記横スライダ(113)の上面(1113)において、窪み(150、152、156、158、160、162、164)が保留装置として形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記窪み(150、152、156、158、160、162、164)は、前記圧縮空間(121)を限定する前記横スライダ(113)の前面に対して垂直に走る断面で、三角形、特に不等辺三角形、四角形、円部分、特に半円部分の形の幾何学形状、又はこれらのうちの単独若しくは複数の組み合わせを有することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記窪みが切れ込み(164)として形成されていることを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記横スライダ(113)の上面(1113)の上方に
、突子(166、168)が突き出ており、前記突子は圧縮空間側で特に同一平面上に揃うように、前記圧縮空間(121)を限定する前面に移行することを特徴とする、請求項4から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記突子(166、168)は、断面が四角形の又はL形であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記横スライダ(113)に向き合う前記対電極(115)の前面(172)に、前記窪み(176)が前記保留装置として形成され、又は前記前面から突子(174)が保留装置として出ていることを特徴とする、請求項4から
9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記対電極(115)の前記突子(174)が、前記圧縮空間を限定する前記対電極の面に同一平面上で揃うように、この対電極の一部分として移行することを特徴とする、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジング(126)が、特に定置した第1の部分(128)と、この第1の部分に対して調節可能であるとともに溶接時に好ましくはこの第1の部分に隣接する第2の部分(130)とを含み、前記第1の部分又は前記第2の部分から、少なくとも1つの特に鉤形の又は湾曲形の突子(178、180、182、184、186、188)が保留装置として出ていることを特徴とする、請求項4から1
1のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ハウジング(126)の前記第1の部分又は前記第2の部分(128、130)から、ハウジングを閉じた時に前記圧縮空間(121)の対向側に延びている互いに離間した2つの保留装置(178、180、182、184、186、188)が出ていることを特徴とする、請求項1
2に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が1を超える数の保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)を有することを特徴とする、請求項4から1
3のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面で特に高さと幅で可変であり少なくとも1つの横スライダ、1つのソノトロード及び1つの対電極により限定された圧縮空間内で超音波溶接を用いて第1の導電線及び好ましくはこれらの第1の導電線と撚り合わされた第2の導電線を導電的に結合する方法に関する。まず第1の導電線の裸末端が圧縮空間に挿入され、超音波作用を用いて溶接されて第1の結合部になり、次に圧縮空間から第1の結合部を離した後に、この圧縮空間に第2の導電線の裸末端が挿入され、超音波作用を用いて溶接されて第2の結合部になる。
【0002】
さらに本発明は超音波装置を用いて、特に互いに対して撚り合わされている第1導線及び第2導線を材料接合で結合する装置に関し、その装置は、少なくとも1つの横スライダ、1つのソノトロード及び1つの対電極により限定された、好ましくは溶接中に特に防音のハウジングにより囲まれている圧縮空間を含む。
【背景技術】
【0003】
導電線を材料接合で結合するために超音波溶接を利用することができる。その際、溶接に必要とされるエネルギーは機械的振動の形で溶接材料に投入される。これに関してソノトロードをその長手方向において超音波振動させる。同時に必要な静的な溶接加圧力を加えるために、ソノトロードに割り当てられた金敷とも呼ばれる対電極に対する相対運動が行われる。対電極とソノトロードとの間には接合される材料が配置されている。超音波金属溶接では機械的振動が、金敷により張られる平面に平行に投入される。その際、ソノトロードと対電極との間に働く静的な力と、振動する剪断応力と、接合領域内の温度上昇との間には複雑な関係が生じる。超音波金属溶接時の典型的な周波数は20kHz~40kHzにあり、通常、作業周波数は20kHzの範囲にある。
【0004】
特に通信技術において、しかしながら例えば自動車のケーブルハーネスの場合にも、相互に絶縁された個別の導電線又はケーブルの相互作用を削減するために撚り合わせ導線が用いられる。超音波金属溶接を用いて個別の導線又はケーブルの部分間の結合を行うことができ、作製された結合部は中間ノードとも呼ばれる。
【0005】
中間ノードを有する導線の電気的影響を可能な限り少なく保つために、中間ノードの範囲においても可能な限り撚り合わせがなければならないという。しかしながら既に溶接済みの中間ノードにより溶接を妨げることがないように中間ノードを相次いで溶接しなければならないので、この既に溶接済みの中間ノードは圧縮空間から遠ざけられなければならない。溶接時には通常、圧縮空間若しくはこの圧縮空間を限定する構成部品が防音カバーにより囲まれていなければならないので、既に溶接済みの中間ノードが防音カバーの外に通る範囲において撚り解きが行われる。しかしながらこれは、かなりの範囲において導線の撚り解きを必要とする。
【0006】
独国特許出願公開第102010060767号明細書から、ソノトロード及び対電極を有する超音波溶接装置の圧縮空間内に各導線の第1の部分をそれぞれ挿入することにより金属製リッツ線又は心線から成る導線を溶接して末端ノード又は中間ノードにする方法及び装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102010060767号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明では、第1の導線間の結合部及び第2の導線間の結合部の範囲においても十分に撚り合わせが可能であるように上述の種類の方法及び装置を発展させることを課題とする。
【0009】
課題を解決するために実際に方法として、第2の結合部の溶接前に第1の結合部を、圧縮空間の隣接領域にある保留装置に導くことを提案する。
【0010】
言い換えると本発明によれば、溶接済みの第1の結合部、従って第1の中間ノードを、圧縮空間の近隣にある保留装置により収容することを提案する。それにより、別の導線又はケーブルの部分の溶接を妨げることなく実行するために、撚り解き又は撚り戻しが僅かな範囲において必要であることを保証している。
【0011】
当然、本発明による教示内容は、圧縮空間の各側面に通っている2を超える数の撚り合わせ導線の溶接に対しても当てはまる。
【0012】
保留装置は防音ハウジングが存在している限り、防音ハウジング内にある。
【0013】
特に、保留装置を横スライダ内に又は横スライダに、対電極内に又は対電極に、若しくはハウジング内部内に又はハウジング内部に形成することを設定している。
【0014】
ハウジング内部の部分から又は底板のようなハウジングを底側で閉ざす要素の部分から保留装置が出ており、その底板か超音波溶接装置の組立要素から直接的に又は間接的に出ていることがあり得る。
【0015】
本発明による教示内容に基づいて、圧縮空間の両側面に対する撚り解し長がそれぞれ約30mm~40mmに削減され得ることを達成することができる。これにより上述のように、導電線又はケーブルの相互作用が削減されるという利点が生じる。というのは撚り解し長がより短いほど、ケーブルハーネス全体の干渉感受性に関するケーブル一式の電磁気的耐性がより良好であるからである。
【0016】
上述の種類の装置は実際に、第2の導線の裸末端を溶接して第2の結合部にする間に、第1の導線の裸末端を溶接することにより作製された第1の結合部を収容するための保留装置により特徴づけられる。その際、保留装置は横スライダ又は対電極に通っており、若しくはハウジングが存在する場合はその内部に通っており、特にこの内部から又はそのハウジングを底側で閉ざす要素から出ている。
【0017】
特に保留装置は、窪み、突子、湾曲、鉤、挟持装置、把持要素、ばね、押付具の群からの少なくとも1つの要素として形成されている。
【0018】
また本発明は、圧縮空間の底面に対して遠くにある横スライダの上面において、窪みが保留装置として形成されていることを設定し得る。特に窪みは、圧縮空間を限定する横スライダの前面に対して垂直に走っている断面において、三角形、特に不等辺三角形、四角形、円部分、特に半円部分の形の幾何学形状、若しくはこれらのうちの単独又複数の組み合わせを有する。窪みは切れ込みとして形成されていてもよい。
【0019】
代わりに又は補足的に、横スライダの上面の上方には断面で四角形又はL形の突子が保留装置として突き出ており、その突子は、特に圧縮空間側で同一平面上に揃うように、圧縮空間を限定する横スライダの前面に移行する。
【0020】
しかしながら、横スライダに向き合う対電極の前面に窪みを形成することも、又はその前面から保留装置として突子を出させることもあり得る。その際は特に、突子が圧縮空間の側で同一平面上に揃うように、圧縮空間を限定するこの対電極の一部分としての対電極の面に移行することを設定している。
【0021】
しかしながら保留装置は、ハウジング若しくはこのハウジングの一部分からも出ていることがあり得る。ハウジングは例えば定置した第1の部分と、この第1の部分に対して調節可能であるとともに溶接時に好ましくはこの第1の部分に隣接する第2の部分とを含み得る。その際、第1の又は第2の部分から、この保留装置を成す少なくとも1つの特に鉤形の突子が出ている。
【0022】
しかしながら特に、ハウジングの第1の又は第2の部分から、圧縮空間の対向側に延びている互いに離間した突子のような2つの保留装置が出ていることを設定している。
【0023】
当然、保留装置は、超音波溶接装置の組立要素を収容するとともに底側で防音ハウジングを閉ざす基底からも出ることがあり得る。
【0024】
本発明の他の詳細事項、利点及び特徴は、請求項、これらの請求項から読み取られる特徴から単独で及び/又は組み合わせで判明するのみではなく、図面から読み取られる好ましい実施例の後続の記述からも判明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】超音波金属溶接装置の圧縮空間の原理図である。
【
図3】
図3a-3fは、横スライダの実施形態の原理図である。
【
図4】
図4a、4bは、横スライダの実施形態の原理図である。
【
図5】防音ハウジングを有する超音波溶接装置である。
【
図6】別形の防音ハウジングを有する、
図5による超音波溶接装置である。
【
図7】撚り合わされた導線のうちの第1の導線が溶接されている、
図6による装置である。
【
図8】防音ハウジングが閉ざされた
図6及び7による装置である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
基本的に同じ要素が同じ参照番号を備えている図面に基づいて本発明による教示内容が説明される。その教示内容をもって、結合部の範囲において撚り解し又は撚り戻しを行うことを必要とせずに、互いに撚り合わされている個別の導線若しくはケーブルを溶接することができるので、導電線又はケーブルの相互作用が削減される。
【0027】
これは通信技術の範囲において、しかしながら自動車分野においても特に関心のあることである。回避される相互作用は、その際特に自動車のケーブルハーネスに好ましい影響を与える。なぜならケーブルハーネスの攪乱の起こり易さが削減されるからである。
【0028】
図1では純粋に原理として、実際の要素を説明するために超音波溶接装置110が示されている。装置110は、導線又はケーブルを溶接するために設定されている超音波金属溶接装置111を含む。
【0029】
超音波溶接装置110は実際の要素として、コンバータ112とソノトロード114とを含み、それらの間には振幅増強のための増幅器が配置されている。コンバータ112、増幅器116及びソノトロード114はいわゆる超音波振動子117を形成し、その振動子は増幅器内に配置されている。溶接時の圧力を、本事例では導線又はケーブルの中間ノードを形成するための圧力を接合領域に導入するために、ソノトロード114、即ち
図1では識別できないその溶接面付きの頭部には、振動子117に対して下降可能であり金敷とも呼ばれる対電極115が割り当てられている。
【0030】
金敷115は、ソノトロード114の溶接面1114に対して垂直に調節可能である、いわゆる定盤119により受け取られている(
図2を参照)。それに対向して横スライダ113が存在し、その横スライダは、金敷115、ソノトロード114若しくはその溶接面1114及び定盤119と共に高さ及び幅で調節可能な圧縮空間121を形成する。
【0031】
コンバータ112は、導線118を介して発生器120と接続されており、その発生器は導線122を介してコンピュータに接続されている。発生器120を介してコンバータ112に、即ちこのコンバータ内に配置されたピエゾ結晶板に高周波電圧が加えて、その結晶板を対応して膨張若しくは収縮させる。それにより振幅を伴う超音波振動が生成され、その振動は増幅器116により増幅され、ソノトロード114に伝達される。
【0032】
振動周波数は通常20kHzである。振幅は通常、半波で0.010mm~0.045mmである。超音波振動時にケーブルに影響を及ぼし、金敷115からこのケーブルに作用する圧力は150N~3000Nであり得る。溶接面は超音波振動の振動波腹内を通っている。
【0033】
図1に基づいて長手振動子が説明されたので、捩れ振動子を使用しても本発明による教示内容から逸脱しない。
【0034】
超音波溶接装置111はさらに通常、溶接時に閉ざされる防音ハウジング126により囲まれる。そのような防音ハウジングは、純粋に例として
図5から読み取ることができる。防音ハウジング126はその場合、定置部分128とこの定置部分に対して移動可能であり溶接時にこの定置部分に隣接する部分130とから構成される。
【0035】
底側ではハウジング126は基板134により閉ざされ、その基板から、とりわけ圧縮空間121の形成に必要とされる組立要素若しくは工具が始まる若しくは配置される。そのような圧縮空間は、純粋に原理として
図2から読み取ることができる。圧縮空間121を取り囲んでいる、溶接面1114を有するソノトロード114、横スライダ113、金敷115及び定盤119が認識される。
【0036】
開かれた圧縮空間121に溶接するべき導線を挿入して、次に横スライダ113を定盤119の方向に所望の溶接幅まで移動させる。次に金敷115を、定盤119の調節により同時に下降する際に横スライダ113の方向に移動して、次に導線に接触した後にソノトロード114を励起することでこれらの導線を溶接する。それに関しては十分に周知の技術を参照すること。
【0037】
本発明によれば、第1の導線140、142を互いに、及び第2の導線144、146を互いに相次いで溶接する。その際、第1の導線140、142は、
図5、7及び8から読み取ることができるように第2の導線144、146と撚り合わされている。
【0038】
第1の導線140、142の溶接が最初に行われる。これに関して、そうでない場合に絶縁された導線又はケーブル140、142の裸末端を圧縮空間121に挿入して、次に前述の方法で横スライダ113を溶接幅までずらし、次に金敷115と定盤119とを調節することによりソノトロード114を励起して溶接を実行する。
【0039】
第2の導線144、146の第2の裸自由端は、第1の導線140、142の裸末端を挿入する際にそれらが圧縮空間121に侵入し得ないように位置決めされる。
【0040】
第1の導線140、142の溶接を行った後、従って中間ノードと呼ばれる第1の結合部148を作製した後、第2の導線144、146が圧縮空間121に挿入される。その際、中間ノード148が圧縮空間121に到達し得ないことを確保しなければならない。
【0041】
これは、第1及び第2の導線がより長い範囲にわたり解かれること、又はしかし本発明による教示内容に従って中間ノード148が、超音波溶接装置111内に、正確には特にハウジング126の内部空間の内部に組み込まれている保留装置に置かれる又は掛けられることのどちらかにより行われ得る。
【0042】
従って僅かな範囲においてのみ、中間ノード148の近隣での撚り解しが必要とされるにすぎない。従って撚り合わせの効果が実質的に保たれる、つまり第2の導線144、146に対する第1の導線140、142及びその逆の相互作用は阻止され、通信技術のみならず特に自動車技術の分野にも反映される利点が保たれる。
【0043】
第2の導線144、146の裸末端の溶接が攪乱され得ないように中間ノード148を固定するために、図に基づいて説明されるように様々な可能性が与えられている。
【0044】
好ましい実施例は、横スライダ113が、窪み及び/又は突子若しくはその他の補助手段を通じて保留装置として働くことに見られ得る。これは
図3及び4に基づいて説明されるであろう。
【0045】
そのように
図3a及び3bの実施例によれば、横スライダ113はその上面1113上に、断面で斜角三角形を成す窪み150、152を有し、その短辺は
図3aによれば横スライダ113の前面154に対して遠くに、又はこれに対向するように(
図3b)通っている。
【0046】
それにもかかわらず深み又は窪み150、152によって、中間ノード148を挿入することで溶接工程の際にこの中間ノードが固定されていることが確保されている。窪み若しくは深み150、152は横スライダ113の全幅にわたり通っている。
【0047】
図3cの実施例に従って、前面154に平行に走っている断面で四角形の窪み156が保留装置として設けられている。
【0048】
図3dでは上面1113から始まり前面154に平行に割裂158が通っており、その割裂は、断面で、保留装置の役割をする円形の拡張部160に移行する。
【0049】
図3eの実施例によれば、横スライダ113の上面1113から溝形状の深み162が出ており、その深みは、横スライダ113の全幅にわたり延びているとともに実施例では半円の幾何学形状を有する。横スライダ113内に保留装置を形成する別の可能性は、切れ込み164により与えられている(
図3f)。
【0050】
しかしながら保留装置の機能は、上面1113から出ている突子166若しくは168によっても得られる(
図4a、b)。強いてスライダ113の全幅にわたり通っている必要のない突子166は断面で四角の幾何学形状を有し、
図4bによればLの断面を有するので、自由空間170が前面154に背いて生じ、その自由空間に中間ノード148を挿入する又は掛けることができる。
【0051】
しかしながら保留装置は金敷内にも形成され得る。これは
図2に基づいて明らかにされる。そのようにスライダ側に通っている金敷115の前面172から突子174が出ている場合があり、そのために前面172と突子174との間には、中間ノード148が置かれ得る段が形成される。溶接プロセスに影響を与えないために、突子174はソノトロード側で同一平面上に揃うように、圧縮空間121を部分的に限定する金敷115の下面176に移行する。
【0052】
言い換えれば、突子174は金敷115若しくは圧力面自体の一部分である。突子の代わりに、前面172に例えば窪み176が設けられてもよく、第2の導線144、146の裸末端を溶接する間に、その窪みに第1の結合部若しくは中間ノード148が掛けられる。
【0053】
しかしながら
図5によれば、保留装置が調節可能なハウジング部分130から出ていることもあり得る。実施例ではハウジング部分130から、鉤形状に形成された上面182、184を有する橋部又は脚部178、180が出ており、それらの上面には、第2の導線144、146を溶接する間に第1の結合部若しくは中間ノード148が挿入される。脚部180はその際、横スライダ113の横に、従って圧縮空間121の横に通っている。
【0054】
図6~8の実施例によれば、定置したハウジング部分128から、保留装置として用いられる鉤形の突子186、188が出ている。突子186、188は、横スライダ113の調節が妨げられ得ないことを保証する疎らな間隔を有する。
【0055】
図6では、開かれたハウジングが示されている。
図7では第1の導線140、142の裸末端の溶接が既に行われている。作製された第1の結合部、従って第1の中間ノード148を鉤形の部分186、188に置いて、次に第2の導線144、146の裸末端を溶接することができる。溶接自体では、
図8から明らかなようにハウジング126が閉ざされている。その際、調節可能な部分130の前面は、ハウジング部分128の幾何学的に整合する面に隣接している。
【0056】
それにもかかわらず第1及び第2の導線140、142若しくは144、146をハウジング126から導き出すことができるように、
図8からわかるように、特に調節可能な部分130は前縁側に、相応する、好ましくは発泡物質から構成される柔軟材料を有する。
【0057】
図9~14から保留装置の他の実施形態を読み取ることができる。これらは、ハウジング126若しくは部分128、130から出ている保留装置に関する。主旨に従って、調節可能部分130の保留装置178、180、182、184の形態、若しくは定置部分128の保留装置186、188の形態を取り扱う。
【0058】
図9及び10では、鉤形の上面182、184に沿ってそれぞれ、ばね要素282、284が延びており、そのばね要素と脚部178、180の上面182、184との間には、
図10からわかるように第1の結合部148を挟むことができる。
【0059】
図11の実施例によれば、それぞれスライダ113の各長手側面に沿って、それぞれ2つの脚部290、292若しくは294、296を含む把持装置が延びている。それらの脚部の間には中間ノード、従って実施例では第1の結合部148が挟まれ、次に第2の導線の溶接が実行される。
【0060】
しかしハウジング126の定置部分128からも、
図9~11の形態に従って保留装置が出ている場合がある。そのように鉤形状の突子186、188には、ばね状の挟持要素298、300が割り当てられており、それらの挟持要素と突子186、188の上面との間には、
図13から引用され得るように中間ノードを挟むことができる。
【0061】
図14は、
図11に対応して保留装置として把持装置を設けており、即ち中間ノードを挟んで収容するために、互いに対して旋回可能な脚部302,304及び306の一組及び別の不可視の脚部が互いに対して調節可能である。
【0062】
2を超える数の結合部を溶接しなければならない、従って第1及び第2の導線を超える数のものを溶接しなければならない場合も本発明による方法が実行可能であることに気付くべきである。そのように保留装置は従って、複数の結合部、中間ノードを収容するように形成されてもよい。結合部を収容し、これらの結合部を圧縮空間から遠ざけるために1を超える数の保留装置を設定することもあり得るであろう。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 断面が、特に高さと幅が可変である圧縮空間(121)であって、少なくとも1つの横スライダ(113)、1つのソノトロード(114)及び1つの対電極(115)を有する圧縮空間(121)内で、超音波溶接を用いて、第1の導電線(140、142)と、好ましくはこの第1の導電線と撚り合わされた第2の導電線(144、146)とを導電的に結合する方法であって、まず前記第1の導電線の裸末端が前記圧縮空間に挿入され、超音波作用を用いて溶接されて第1の結合部(148)になり、次に前記圧縮空間から前記第1の結合部を離した後に、この圧縮空間に前記第2の導電線の裸末端が挿入され、超音波作用を用いて溶接されて第2の結合部になる方法において、
前記第2の結合部の溶接前に前記第1の結合部(148)を保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)に導くことを特徴とする、方法。
[2] 前記圧縮空間(121)が溶接時にハウジング(128、130)、特に防音ハウジングにより囲まれ、前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)として、前記ハウジング内に設けられているような保留装置が形成されていることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)が、前記横スライダ(113)内に若しくはその中に、前記対電極(115)内に若しくはその上に、又はハウジングが存在する場合はハウジング内部上に若しくはその中に形成されていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 超音波装置を用いて、第1の導線(140、142)及び特に前記第1の導線と互いに撚り合わされている第2の導線(144、146)を材料接合で結合する装置であって、前記装置は、少なくとも1つの横スライダ(113)、1つのソノトロード(114)及び1つの対電極(115)により限定された圧縮空間(121)であって、溶接中にハウジング(126、128、130)、好ましくは、防音のハウジングにより囲まれている圧縮空間(121)を含み、
前記装置は、前記第2の導線(144、146)の裸末端を溶接して第2の結合部にする間に、前記第1の導線(140、142)の裸末端を溶接することにより作製された第1の結合部(148)を収容するための保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)により特徴づけられており、前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)は、前記横スライダ(113)若しくは前記対電極(115)内に若しくはその上に形成されているか、又は前記ハウジング(126、128、130)が存在する場合はその内部から若しくは前記ハウジングを底側で閉ざす要素(134)から出ている、装置。
[5] 前記保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)が、窪み、突子、湾曲、鉤、挟持装置、把持要素、ばね、押付具からなる群のうちの少なくとも1つの要素として形成されていることを特徴とする、[4]に記載の装置。
[6] 前記圧縮空間(121)の底面に対して遠くにある前記横スライダ(113)の上面(1113)において、窪み(150、152、156、158、160、162、164)が保留装置として形成されていることを特徴とする、[4]又は[5]に記載の装置。
[7] 前記窪み(150、152、156、158、160、162、164)は、前記圧縮空間(121)を限定する前記横スライダ(113)の前面に対して垂直に走る断面で、三角形、特に不等辺三角形、四角形、円部分、特に半円部分の形の幾何学形状、又はこれらのうちの単独若しくは複数の組み合わせを有することを特徴とする、[6]に記載の装置。
[8] 前記窪みが切れ込み(164)として形成されていることを特徴とする、[4]~[7]のいずれか1項に記載の装置。
[9] 前記横スライダ(113)の上面(1113)の上方に、断面が好ましくは四角形の又はL形の突子(166、168)が突き出ており、前記突子は圧縮空間側で特に同一平面上に揃うように、前記圧縮空間(121)を限定する前面に移行することを特徴とする、[4]から[8]のいずれか1項に記載の装置。
[10] 前記横スライダ(113)に向き合う前記対電極(115)の前面(172)に、前記窪み(176)が前記保留装置として形成され、又は前記前面から突子(174)が保留装置として出ていることを特徴とする、[4]に記載の装置。
[11] 前記対電極(115)の前記突子(174)が、前記圧縮空間を限定する前記対電極の面に同一平面上で揃うように、この対電極の一部分として移行することを特徴とする[10]に記載の装置。
[12] 前記ハウジング(126)が、特に定置した第1の部分(128)と、この第1の部分に対して調節可能であるとともに溶接時に好ましくはこの第1の部分に隣接する第2の部分(130)とを含み、前記第1の部分又は前記第2の部分から、少なくとも1つの特に鉤形の又は湾曲形の突子(178、180、182、184、186、188)が保留装置として出ていることを特徴とする、[4]から[11]のいずれか1項に記載の装置。
[13] 前記ハウジング(126)の前記第1の部分又は前記第2の部分(128、130)から、ハウジングを閉じた時に前記圧縮空間(121)の対向側に延びている互いに離間した2つの保留装置(178、180、182、184、186、188)が出ていることを特徴とする、[12]に記載の装置。
[14] 前記装置が1を超える数の保留装置(150、152、156、158、160、162、164、166、168、178、180、186、188)を有することを特徴とする、[4]から[13]のいずれか1項に記載の装置。