(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】TV端子
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20240105BHJP
【FI】
H01R24/38
(21)【出願番号】P 2022206963
(22)【出願日】2022-12-23
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 謙一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 天都也
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 伸悟
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-55927(JP,A)
【文献】特開2020-57594(JP,A)
【文献】特開2019-125561(JP,A)
【文献】特開2019-46715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0008999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 9/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心コンタクト、基板、導通コンタクトを有する本体部と、
前記本体部に接続され、前記本体部の一側部のみ挿入された1のL字状シェル、もしくは一側部と他側部とにそれぞれ挿入された複数のL字状シェルと、
前記L字状シェルの一端部側に軸支された開閉自在なカバー部材と、
前記L字状シェルの内部に設けられた絶縁部材により前記L字状シェルの内壁から離間して保持される内部コンタクトピンと、
前記内部コンタクトピンと挿入される同軸ケーブルの芯線との接合を視認可能なシェル窓と、を含み、
前記カバー部材は、開動した場合に前記シェル窓を視認可能とし、閉動した場合に前記シェル窓を閉塞し、かつ前記同軸ケーブルの外皮を固定する、TV端子。
【請求項2】
前記本体部と、前記L字状シェルの他端部側との間に設けられる皿ばねと、
前記L字状シェルの前記他端部側が前記本体部から挿抜防止のためのCリングと、をさらに含む、請求項1記載のTV端子。
【請求項3】
前記L字状シェルの他端部側の一部の筐体外形は、円筒状からなり、
前記L字状シェルの前記一端部側の筐体外形は、矩形筒形状からなり、
前記カバー部材は、断面コ字状からなり、前記矩形筒形状を収容可能な形状からなる、請求項1記載のTV端子。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記同軸ケーブルの外皮に噛み込む噛み込み部を有し、
前記L字状シェルは、前記一端部側に切欠きを有し、前記同軸ケーブルが閉動した場合に、前記切欠きを介して前記同軸ケーブルに前記噛み込み部が噛み込む、請求項1記載のTV端子。
【請求項5】
前記L字状シェルの前記一端部側に一対の凸部が設けられ、前記カバー部材の一対の孔と嵌合することにより回動自在となり、
前記L字状シェルのL字部分の他端部側に突起部が設けられ、前記カバー部材の凹部または孔と嵌合することにより閉動状態を維持する、請求項1記載のTV端子。
【請求項6】
前記L字状シェルの内筒は、前記一端部側から他端部側まで連通され、
前記内筒に、透明または半透明の前記絶縁部材に内包された前記内部コンタクトピンが配設され、
前記L字状シェルの内壁から離間して保持される、請求項1記載のTV端子。
【請求項7】
前記L字状シェルの一端部側の内筒に挿入可能なリング部材をさらに含み、
前記リング部材は、前記同軸ケーブルの外部導体を導通可能な構造を有し、かつ前記L字状シェルの前記一端部側の内筒に挿入された前記内部コンタクトピンおよび前記絶縁部材の抜け防止機能を有する、請求項6記載のTV端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルを挿入するTV端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平6-163116号公報)には、一般ユーザにも簡単に結線ができるテレビ同軸プラグの結線構造が開示されている。
特許文献1記載のテレビ同軸プラグの結線構造においては、一端開口から挿入された同軸ケーブルの先部を収納して両側片と底片とで遮蔽する断面コ字状の金属製遮蔽罐と、この金属製遮蔽罐の底片の中央部に設けられて金属製遮蔽罐に電気的に接続され、同軸ケーブルの先部に露出させている網組線部位に食い込み接触する接続端子部と、金属製遮蔽罐の他端内に金属製遮蔽罐とは電気的に絶縁された状態で設けられ、同軸ケーブルの先部に露出せる芯線を差込み接続する芯線差込み端子と、上記金属製遮蔽罐の他端部の外底面の下方に円筒状電極を配置接続し、且つ円筒状電極の中心に設けた差込み栓を金属製遮蔽罐内の芯線差込み端子に連結接続したプラグ部と、金属製遮蔽罐の両側片の一端側上部に一端が開閉自在に枢支されて、閉成状態で金属製遮蔽罐の上面開口部側を遮蔽する金属製可動遮蔽罐と、この金属製可動遮蔽罐に設けられ遮蔽状態で金属製遮蔽罐内の同軸ケーブルを下方に押圧する押圧部位と同軸ケーブルの外被に反挿入方向に食い込む鎖錠部とを持つ鎖錠ばねとを備えたものである。
【0003】
特許文献2(特開平7-14647号公報)には、同軸ケーブルの結線後のシールドを容易にする、同軸ケーブルの結線を容易にする、組立性の向上を図るテレビ同軸プラグの構造について開示されている。
特許文献2記載のテレビ同軸プラグの構造においては、一端開口から挿入された同軸ケーブルの先部を収納して両側片と底片とで遮蔽する断面コ字状のケーブル接続金具と、このケーブル接続金具の底片の中央部に設けられてケーブル接続金具に電気的に接続され、同軸ケーブルの先部に露出させている網組線部位に食い込み接触する接続端子部と、ケーブル接続金具の他端側にケーブル接続金具とは電気的に絶縁された状態で配置され、同軸ケーブルの先部に露出せる芯線に接続する芯線接続金具と、上記ケーブル接続金具の他端部の外底面の下方に外部コンタクトを配置接続し、且つ外部コンタクトの中心に設けた中心コンタクトをケーブル接続金具内の芯線接続金具に連結接続したプラグ部と、ケーブル接続金具の両側片の一端側上部に一端が開閉自在に枢支されて、閉成状態でケーブル接続金具の上面開口部側を遮蔽して同軸ケーブルをかしめるケーブル保持金具と、ケーブル保持金具に一体に設けられてケーブル保持金具の遮蔽状態で芯線接続金具をシールドするシールド部とを備えたものである。
【0004】
特許文献3(特開平6-251832号公報)には、実際に同軸ケーブルを接続する時以外はケーブル接続金具をかしめず、実際に接続するときにはリブがケーブル接続金具をかしめることのできる位置に位置決めできるTV同軸プラグが開示されている。
特許文献3記載のTV同軸プラグにおいては、一端側に、テレビ用の同軸ケーブルの編素線をかしめることにより導通を得るケーブル接続金具と、同軸ケーブルの芯線を固定して導通を得る芯線接続金具と、芯線接続金具と絶縁されたシールド底部とを備え、他端側にテレビコンセントに接続する接続部を備えた本体と、本体にヒンジ部を介して開閉自在に設けたカバーとからプラグ本体を構成し、カバーの内部にはカバーを閉じたときにシールド底部と嵌合し導通するシールドケースを設けてあり、略U字型で両側片をケーブル接続金具の形状に合わせた曲面に形成しカバーを閉じたときにケーブル接続金具の両側を圧接することでケーブル接続金具を縮径してかしめるリブをカバーの内部に回動自在に設けたものである。
【0005】
特許文献4(特開平6-251833号公報)には、同軸ケーブルの再接続が容易に行えるTV同軸プラグが開示されている。
特許文献4記載のTV同軸プラグにおいては、一端側に、テレビ用の同軸ケーブルの編素線をかしめることにより導通を得る弾性金属製のケーブル接続金具と、同軸ケーブルの芯線を固定して導通を得る芯線接続金具と、芯線接続金具と絶縁されたシールド底部とを備え、他端側にテレビコンセントに接続する接続部を備えた本体と、本体にヒンジ部を介して開閉自在に設けたカバーとからプラグ本体を構成し、カバーの内部には、カバーを閉じたときにケーブル接続金具の両側を圧接することでケーブル接続金具を縮径してかしめるリブと、カバーを閉じたときにシールド底部と嵌合し導通するシールドケースとを付設したものである。
【0006】
特許文献5(特開2004-134192号公報)には、同軸ケーブルが抜け難く且つリリース機能を有する同軸ケーブル用コネクタが開示されている。
特許文献5記載の同軸ケーブル用コネクタにおいては、後部に同軸ケーブルを装着するケーブル装着手段を有し、前部に同軸ケーブルの接続対象へ接続する接続手段を有する同軸ケーブル用コネクタであって、ケーブル装着手段は、同軸ケーブルが挿入される略筒形状の外部筒体内に形成され、同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入されるスリーブ部と、同軸ケーブルの抜脱を阻止する抜け止め具と、該抜け止め具による同軸ケーブルの抜脱阻止を解除するリリーサとを有し、抜け止め具は、弾性を有し、外部筒体と同一中心軸を有する筒形状胴部と、該胴部の前部に窄み形成し、先端を同軸ケーブル周囲に線接触させて咬持動作する咬持部と、胴部後部に設けた外部筒体に係止する係止部とから成り、同軸ケーブルを外部筒体内へ挿入装着操作することで、咬持部が同軸ケーブルを咬持して同軸ケーブルの抜脱を阻止するものである。
【0007】
特許文献6(特開2003-142214号公報)には、コネクタにおける中空部に同軸ケーブルの中心導体と編組を挿入するだけのワンタッチ的な操作でもって迅速に行え、コネクタから同軸ケーブルを抜く場合においては、同軸ケーブルの編組を傷めること少なく、引抜き、再び装着を可能にする同軸ケーブル用のコネクタが開示されている。
特許文献6記載の同軸ケーブル用のコネクタにおいては、コネクタ本体におけるベース部材には同軸ケーブルにおける中心導体を挿通する為の挿通孔を備えさせると共にベース部材の一面からは同軸ケーブルにおける編組部分を位置させる為の中空の収納室が内側に形成されるように側壁を突設させ、上記中空の収納室内には同軸ケーブルの中心導体が上記挿通孔を貫通し、同軸ケーブルにおける編組部分が上記中空の収納室内に位置した装着状態において上記編組部分に圧接して上記編組部分の抜止めをするようにしてある抜止の部材を備える同軸ケーブル用のコネクタにおいて、上記中空の収納室にあっては、内側には中心導体を挿通する為に上記の挿通孔に同軸的に連通する挿通孔を備える筒状の接触筒を、一端は上記ベース部材の一面に一体的に接合し、他端は上記中空の収納室における開口部に向けて突出させ、上記接触筒の外周面には収納室における開口部から挿入される同軸ケーブルにおける編組を被付けて導通させることを可能な状態で配置し、上記収納室内における中空の接触筒の周囲には、開口部側からベース部材側に向けて自由端が接触筒に近づくように傾斜させた複数の弾力性を備える抜止の為の係合爪を配設して、収納室内に挿入される同軸ケーブルの編組が係合爪を押上げて挿入された後はその編組を押圧係止可能に配置し、上記中空の収納室における開口部には接触筒に被せ付けられる上記の編組の外周よりも大きな内周面を備える筒状の解除部材を軸心方向へ向けての進退を自在に装着し、解除部材におけるベース部材側の自由端における係合爪排除部材の先端は、上記解除部材をベース部材側に向けて押し進めた状態では係合爪を押上げて同軸ケーブルにおける編組部分から爪先を離間させ得るように設定してあり、後退させた状態においては、係合爪の先端部が上記の編組を押圧係止可能となる位置に復帰し得るように構成してある。
【0008】
特許文献7(特開2008-91318号公報)には、壁面への取付時の作業性に優れた直列ユニットについて開示されている。
特許文献7記載の直列ユニットにおいては、中心導体および該中心導体と同心的に設けられた外部導体を有する円筒状接栓座から成る入力端子および出力端子、ならびにテレビ端子と、入力端子および出力端子、ならびにテレビ端子を支持するユニット筐体とを備え、各端子は、外部導体がユニット筐体を介して電気的に接続され、中心導体はユニット筐体内部に形成された空間内において電気的に接続された直列ユニットにおいて、入力端子および出力端子は、いずれも、ユニット筐体との接続端の向きとケーブル側の端子が着脱される着脱端の向きとが直交する形状を有し、且つ、ユニット筐体との接続端において回転可能な可動端子として構成され、しかも、両可動端子の回転により着脱端の中心軸がなす平面が、互いに交差するように配設されている。
【0009】
特許文献8(特開2004-247228号公報)には、同軸ケーブル分配器や分岐器の汎用性を高くする同軸ケーブル分配器について開示されている。
特許文献8記載の同軸ケーブル分配器においては、内部に空洞を有する筐体の表面に、中心コンタクト及び中心コンタクトと同心的に設けられた円筒状の外部コンタクトを備える同軸ケーブル接続端子(以下、接栓と称する)が3個以上取り付けられてなり、各接栓の外部コンタクト同士は筐体により電気的に接続され、中心コンタクト同士は筐体の空洞内で電気的に接続された同軸ケーブル分配器であって、接栓のうち、すくなくとも2つの接栓は、筐体表面からの突出方向と直交する方向を回転軸として、外部コンタクト同士及び中心コンタクト同士の電気的接続を保ちながら回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平6-163116号公報
【文献】特開平7-14647号公報
【文献】特開平6-251832号公報
【文献】特開平6-251833号公報
【文献】特開2004-134192号公報
【文献】特開2003-142214号公報
【文献】特開2008-91318号公報
【文献】特開2004-247228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従前から住宅の壁面にはTV信号を取り出すための壁面端子が設置されていて、その壁面端子には壁内に配線された同軸ケーブルが接続されている。
近年、4K8K規格が新たに制定され、また、他の無線サービス等と干渉しないよう、TV端子についてもノイズ抑制および確実なコンタクト、さらには、同軸ケーブルの抜出防止が求められている。さらには、設置環境に応じてTV端子が回動可能であることが求められている。
特にノイズをシールドする観点から、従来の特許文献1乃至8に記載のように、同軸ケーブルの芯線を露出させた状態では、カバーをしたとしても、4K8K規格においては、ノイズが大きく残ることとなり、問題となっていた。
【0012】
また、従来のTV端子の場合、同軸ケーブルはF型接栓を介して接続することが一般的であったため、施工のためには、まず先端加工した同軸ケーブルにF型接栓を取り付ける必要があり、F型接栓を、別途準備しなければならない煩わしさがあった。
また、同軸ケーブルを直接接続することが可能な場合でも、同軸ケーブルを接続した後に、ねじ止めによる固定が必要であるため施工性が悪いという問題があった。
【0013】
本発明の主な目的は、同軸ケーブルが直接接続でき、同軸ケーブルの芯線が内部コンタクトピンに接続されることを確認することができ、ノイズ防止を実現でき、容易に同軸ケーブルを固定することができるTV端子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)
一局面に従うTV端子は、中心コンタクト、基板、導通コンタクトを有する本体部と、本体部に接続され、本体部の一側部のみ挿入された1のL字状シェル、もしくは一側部と他側部とにそれぞれ挿入された複数のL字状シェルと、L字状シェルの一端部側に軸支された開閉自在なカバー部材と、L字状シェルの内部に設けられた絶縁部材によりL字状シェルの内壁から離間して保持される内部コンタクトピンと、内部コンタクトピンと挿入される同軸ケーブルの芯線との接合を視認可能なシェル窓と、を含み、カバー部材は、開動した場合にシェル窓を視認可能とし、閉動した場合にシェル窓を閉塞し、かつ同軸ケーブルの外皮を固定するものである。
【0015】
この場合、L字状シェルのシェル窓を用いて、同軸ケーブルの芯線が内部コンタクトピンに接続されることを確認することができる。また、カバー部材が閉動された場合に、シェル窓を閉塞することができるので、高度なノイズ防止を実現することができる。さらに、L字状シェルに対してカバー部材を回動させることにより容易に同軸ケーブルを固定することもできる。
なお、シェル窓を閉塞した場合でも、カバー部材が透明または半透明の場合には、シェル窓を、透明または半透明部材を介して視認することができる。
また、従来の壁面端子は、同軸ケーブルの先端にあらかじめF型接栓を加工してから接続する必要があった。しかしながら、本発明では、F型接栓の取付が不要で先端加工した同軸ケーブルを直接接続することが可能である。また、F型接栓は不要である場合もあったが、同軸ケーブルの固定の際には、ネジ等の締付が必要であり施工性が悪いという問題があった。しかしながら、本発明では、同軸ケーブルはカバー部材を閉動状態にするのみで、ワンタッチで同軸ケーブルを固定することができる。
また、F型接栓を加工してから接続する場合には、F型接栓を取付るための工具を挿入する空間が必要となり、小型化が難しかった。具体的には、F型接栓を固定するためのスパナ等を挿入する空間が必要となっていた。
本発明は、F型接栓が不要で、先端加工した同軸ケーブルを直接接続することができ、さらに、工具を挿入する空間が不要となり、小型化および/または省スペース化を実現することができる。
【0016】
(2)
第2の発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、本体部と、L字状シェルの他端部側との間に設けられる皿ばねと、L字状シェルの他端部側が本体部から挿抜防止のためのCリングと、をさらに含んでもよい。
【0017】
この場合、本体部とL字状シェルとが、皿ばねの弾性により互いに離間する方向へ力が加えられ、Cリングにより本体部とL字状シェルとが所定の関係で離間しないように維持される。
その結果、L字状シェルを当該本体部と接続させた場合に、本体部に対してL字状シェルの他端部側を軸として180度回転させることができる。
【0018】
(3)
第3の発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、L字状シェルの他端部側の一部の筐体外形は、円筒状からなり、L字状シェルの一端部側の筐体外形は、矩形筒形状からなり、カバー部材は、断面コ字状からなり、矩形筒形状を収容可能な形状からなってもよい。
【0019】
この場合、他端部側においては、円筒状からなるため、本体部に対して回動させることが容易となる。また、一端部側においては、カバー部材によりシェル窓を確実に閉塞させるため、矩形筒形状であることが望ましい。
【0020】
(4)
第4の発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、カバー部材は、同軸ケーブルの外皮に噛み込む噛み込み部を有し、L字状シェルは、一端部側に切欠きを有し、同軸ケーブルが閉動した場合に、切欠きを介して同軸ケーブルに噛み込み部が噛み込んでもよい。
【0021】
この場合、カバー部材を閉動させた場合に、カバー部材の噛み込み部が同軸ケーブルの外皮に噛み込むので、同軸ケーブルの抜出を確実に防止することができる。
【0022】
(5)
第5の発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、L字状シェルの一端部側に一対の凸部が設けられ、カバー部材の一対の孔と嵌合することにより回動自在となり、L字状シェルのL字部分の他端部側に突起部が設けられ、カバー部材の凹部または孔と嵌合することにより閉動状態を維持してもよい。
【0023】
この場合、カバー部材を一対の凸部を軸として開閉動作することができる。また、凹部または孔と、突起部とが嵌合し、カバー部材の閉動状態を確実に維持することができる。
【0024】
(6)
第6の発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、L字状シェルの内筒は、一端部側から他端部側まで連通され、内筒に、透明または半透明の絶縁部材に内包された内部コンタクトピンが配設され、L字状シェルの内壁から離間して保持されてもよい。
【0025】
この場合、L字状シェルの内壁から内部コンタクトピンまでの離間距離を確実に保持することができる。その結果、誘電率を一定に保持することができる。また、L字状シェルと内部コンタクトピンとの電気的導通を確実に防止することができる。
また、シェル窓から透明または半透明の絶縁部材を介して内部コンタクトピンおよび芯線の接続を確認することができる。
【0026】
(7)
第7の発明にかかるTV端子は、第6の発明にかかるTV端子において、L字状シェルの一端部側の内筒に挿入可能なリング部材をさらに含み、リング部材は、同軸ケーブルの外部導体を導通可能な構造を有し、かつL字状シェルの一端部側の内筒に挿入された内部コンタクトピンおよび絶縁部材の抜け防止機能を有してもよい。
【0027】
この場合、リング部材により同軸ケーブルの導通状態を確実に保持するとともに、TV端子のL字状シェルの筐体とグランド接地することができる。その結果、漏洩特性を良好に維持することができる。また、リング部材をL字状シェルに圧入することで、透明または半透明の絶縁部材の抜出防止を実現することができる。
さらに、当該構造によりF型接栓と同等のシールド性能を有することが可能であり、当該構造は、他のF型接栓を使用している機器にも応用することができる。
【0028】
(A)
第Aの発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、透明または半透明の絶縁部材は、ポリプロピレンからなり、カバー部材は、ステンレス鋼からなり、L字状シェルは、ダイカストからなってもよい。
【0029】
この場合、透明または半透明の絶縁部材が弾性を有し、かつ絶縁が可能なポリプロピレンからなるので、接続の視認を高めることができる。また、カバー部材がステンレス鋼からなることにより同軸ケーブルの外皮を確実に保持することができる。
【0030】
(B)
第Bの発明にかかるTV端子は、一局面に従うTV端子において、リング部材には、外周の一部にDカットが形成され、L字状シェルの一端部側の内筒の一部には、Dカットに相当するDカット面が形成され、リング部材のDカットと、Dカット面とが対応しつつ、リング部材が、L字状シェルの内筒に圧入されてもよい。
【0031】
一般的に、同軸ケーブルの外径の誤差または、ばらつきにより同軸ケーブルを固定することが不完全になるおそれがある。この場合、本発明においては、L字状シェルの内筒に設けられたDカット面により、内径を小さくすることで圧縮量を増加させることができ、結果的に外径の誤差または、ばらつきを吸収し、確実に同軸ケーブルを保持することができる。また、内筒内でリング部材が同軸ケーブルと、とも回りすることも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本実施の形態にかかるTV端子の一例を示す模式的斜視図である。
【
図2】
図1のTV端子の水平断面の一部を示す模式的断面図である。
【
図3】絶縁ブッシュおよび内部コンタクトピンの一例を示す模式的断面説明図である。
【
図4】絶縁ブッシュおよび内部コンタクトピンの一例を示す模式的断面説明図である。
【
図5】絶縁ブッシュおよび内部コンタクトピンの一例を示す模式的断面説明図である。
【
図6】絶縁ブッシュおよび内部コンタクトピンの一例を示す模式的断面説明図である。
【
図7】内部コンタクトピン、導通コンタクトピン、同軸ケーブルの芯線との導通を説明するための模式的説明図である。
【
図8】一対のL字状シェルおよびカバー部材の一例を説明するための模式的説明図である。
【
図9】一対のL字状シェルおよびカバー部材の一例を説明するための模式的説明図である。
【
図10】固定スリーブの一例を説明するための模式的斜視図である。
【
図11】カバー部材の他の例を説明するための模式的斜視図である。
【
図12】固定スリーブの他の例を説明するための模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0034】
[実施の形態]
図1は、本実施の形態にかかるTV端子100の一例を示す模式的斜視図であり、
図2は、
図1のTV端子100の水平断面の一部を示す模式的断面図である。
【0035】
(TV端子100の概略説明)
本実施の形態にかかるTV端子100は、主に壁面に取り付けられる壁面端子である。なお、ブースター、分配器等にも本発明と同様の構造を適用することができる。すなわち、本発明にかかるTV端子は、ブースター、分配器等も含むものである。
まず、
図1および
図2に示すように、TV端子100は、主に本体部200、一対のL字状シェル300、L字状シェル300に取り付けられるカバー部材500、固定スリーブ800、皿ばね910、およびCリング920を含む。
【0036】
また、
図1に示すように、TV端子100は、一対のL字状シェル300が、本体部200の片側もしくは両側面部にそれぞれ1つずつ設けられる。一対のL字状シェル300は、同一部材ではなく、左右対称の形状となっている。図に示すように、一対のL字状シェル300の一端部側から他端部側の間の他端側において、90度湾曲している形状からなる。
図1の矢印Rに示すように、一対のL字状シェル300のそれぞれは、本体部200に対して、少なくとも180度の範囲で回動可能に設けられる。
さらに、本体部200には、導通コンタクトピン210、中心コンタクトピン211、接栓座250、片側/双方向を切り替えることができるスイッチ(図示省略)、基板240が設けられている。当該接栓座250は、一対のL字状シェル300に接続される同軸ケーブル950のグランド部960(ラミネートおよび網線)と電気的に接続される構造となっている。なお、片側/双方向を切り替えることができるスイッチ(図示省略)は、必須ではなく、無くてもよい。
導通コンタクトピン210は、L字状シェル300に接続される同軸ケーブル950の芯線970と電気的に接続される。
【0037】
本実施の形態にかかる同軸ケーブル950は、4K、8Kの電波環境に対応の周波数3.2GHz対応モデルである。周波数3.2GHzの高い周波数は、漏洩しやすいため、同軸ケーブル950において外皮の内側に2重シールド、すなわちアルミ箔と編組とでシールドが形成されている。しかしながら、F型接栓を用いないため、TV端子100を4K、8Kの電波環境に対応させようとする場合、周波数3.2GHzの電波を遮蔽するシールド性能が必要となる。
【0038】
(一対のL字状シェル300)
図1および
図2に示すように、一対のL字状シェル300には、内部空間310、一対の軸部320、切欠き部330、凸部340(
図7または
図8参照)、シェル窓360が形成されている。
一対のL字状シェル300の外筐体は、金属導体で形成されている。例えば、亜鉛ダイカストからなることが好ましい。なお、一対のL字状シェル300は、亜鉛ダイカスト以外でも、または電気的シールドを実現できるその他任意の素材から形成されていてもよい。
【0039】
(内部空間310)
図1および
図2に示すように、一対のL字状シェル300の外筐体の一端部側の断面は、矩形状で、内部に略円形状の内部空間310を有する形状からなる。さらに、一対のL字状シェル300の外筐体の他端部側の断面は、矩形状から円筒状へ変化した形状で、内部に略円形状の内部空間310を有する形状からなる。当該一端部側から他端部側への内部空間310は、貫通して設けられている。
【0040】
また、絶縁ブッシュ410に内部コンタクトピン420が組み込まれて、内部空間310に挿入されている。さらに、絶縁ブッシュ410が抜出することを防止するために、固定スリーブ800が内部空間310に圧入される。さらに、絶縁ブッシュ410と内部空間310の間には、インピーダンス調整のため、空気の空間が形成されている(
図2参照、符号410のサイド側)。
【0041】
(絶縁ブッシュ410と内部コンタクトピン420)
図3、
図4および
図5は、絶縁ブッシュ410および内部コンタクトピン420の一例を示す模式的断面説明図である。
図6は、絶縁ブッシュ410および内部コンタクトピン420の一例を示す模式的断面説明図であり、
図7は、内部コンタクトピン420、導通コンタクトピン210、同軸ケーブル950の芯線970との導通を説明するための模式的説明図である。
【0042】
図3に示すように、絶縁ブッシュ410は、筒状を分割した形状で形成される。絶縁ブッシュ410の内部に内部コンタクトピン420を収容し、
図4および
図5に示すように、絶縁ブッシュ410内に内部コンタクトピン420が内包される。
また、絶縁ブッシュ410には、凹部412および凸部414が設けられる。凸部414が凹部412に挿入されることで、絶縁ブッシュ410が略円筒となる。
さらに、
図3に示すように、絶縁ブッシュ410の分割した形状の間には、薄肉連結部416が設けられている。薄肉連結部416は、絶縁ブッシュ410を略円筒の外形が膨出することを防止するために形成されている。
【0043】
また、
図6に示すように、絶縁ブッシュ410は、位置決め部418が形成されている。位置決め部418は、一対のL字状シェル300の内部空間310に形成された位置決め穴に挿入されて、内部空間310内での位置が決定される。この位置決め部418は、180度毎であれば、導通コンタクトピン210と導通することができる。すなわち、
図6に示すように、本体部200の導通コンタクトピン210を内部コンタクトピン420のコンタクト部425と接触することができる。
内部コンタクトピン420は、導通コンタクトピン210に対して電気的導通が阻害されることなく、回動可能な構造で接続されているため、L字状シェル300の矢印R(
図1参照)の回動にあわせて接触不良になることなく回動することができる。
【0044】
さらに、
図7に示すように、一対のL字状シェル300の内部空間310内に収容された内部コンタクトピン420は、導通コンタクトピン210に挿入され、その後、内部コンタクトピン420は、同軸ケーブル950の芯線970と導通のため領域ARにおいて接続される。
なお、
図7においては、実際には、内部コンタクトピン420は、透明の絶縁ブッシュ410に包まれているが、説明のために絶縁ブッシュ410の図示を省略している。
【0045】
(カバー部材500の説明および軸部320、凸部340とカバー部材500との関係)
次いで、
図8および
図9は、一対のL字状シェル300およびカバー部材500の一例を説明するための模式的説明図である。
【0046】
(カバー部材500)
図8および
図9に示すように、カバー部材500は金属板で形成されている。例えば、ステンレスのバネ鋼からなる板部材を加工して形成されている。なお、カバー部材500は、ステンレスのバネ鋼以外でも、または電気的シールドを実現できるその他任意の素材から形成されていてもよい。
図7および
図8に示すように、カバー部材500は、L字状シェル300の筐体外部を三方向から囲うように断面コ字状の部材からなる。
図8および
図9に示すように、カバー部材500は、噛み込み部525(
図2参照)、指かけ部570、孔575、および一対の回動孔590を含む。
【0047】
カバー部材500の一端部側には、L字状シェル300の一対の軸部320と嵌合し、開閉動作を行うことができるように一対の回動孔590が形成されている。また、カバー部材500の他端部側には、L字状シェル300の凸部340と嵌合可能な孔575が形成されている。カバー部材500を閉動状態とした場合に、凸部340と孔575とが嵌合することで、L字状シェル300とカバー部材500とが閉動状態で固定される。
さらに、指かけ部570を引っ張ることで、L字状シェル300の凸部340から孔575が離間し、カバー部材500を開動状態にすることができる。
【0048】
(切欠き部330と同軸ケーブル950)
また、カバー部材500には、噛み込み部525が形成されている。噛み込み部525は、
図2の断面図に示すように、L字状シェル300の切欠き部330を貫通して同軸ケーブル950の外皮部分に喰い込んで同軸ケーブル950を固定することができる。
カバー部材500の噛み込み部525は、回動孔590が支点、指かけ部570側が力点、噛み込み部525を作用点とすることで、てこの原理により少ない操作力で押圧力を高めて、噛み込み部525を同軸ケーブル950の外皮に確実に喰いこませることができる。
すなわち、カバー部材500の回動孔590から噛み込み部525までの距離よりも、噛み込み部525から指かけ部570までの距離の方が大きいことが望ましい。
【0049】
(シェル窓360)
一対のL字状シェル300には、シェル窓360がそれぞれ設けられている。本実施の形態にかかるシェル窓360は、L字状シェル300に、3.5mm角で形成されている。このシェル窓360のサイズは、漏洩とのバランスで重要であり、漏洩との関係で決定される。内部コンタクトピン420と、同軸ケーブル950との芯線970との接続位置である領域AR(
図7参照)を確認できるように、形成される。
なお、シェル窓360のサイズは、3.5mm角に限定されることなく、漏洩とのバランスで決定される任意のサイズであってもよい。
【0050】
(固定スリーブ800)
図10は、固定スリーブ800の一例を説明するための模式的斜視図である。
【0051】
固定スリーブ800は、4つの突起820およびDカット840を含む。固定スリーブ800は、亜鉛ダイカストからなる。なお、固定スリーブ800は、亜鉛ダイカストに限定されず、導電性を有する金属導体等、任意の素材からなることが好ましい。
【0052】
上記でも説明したように、固定スリーブ800は、L字状シェル300の内部空間310に圧入される。すなわち固定スリーブ800の外形サイズは、L字状シェル300の内部空間310の筒形状サイズよりもわずかに大きく形成されている。
また、
図10に示すように、固定スリーブ800の内壁に4つ突起820を設けることにより、同軸ケーブル950を挿入した場合、同軸ケーブル950のグランド部960に対して軸方向にGND側の導通を確保することができる。すなわち、これらの4つの突起820は、同軸ケーブル950のラミネート部(アルミ箔)に喰いこませることにより、グランドをとるためのものである。なお、本実施の形態においては、4つの突起820としたが、これに限定されず、1または他の数の突起を設けてもよく、その他任意のリブを設けてもよい。
【0053】
さらに、固定スリーブ800の外周面の一部にDカット840が形成されている。Dカット840が形成されていることにより、一対のL字状シェル300の内部空間310内で固定スリーブ800が同軸ケーブル950と、とも回りすることを防止することができる。固定スリーブ800は、電気的に同軸ケーブル950のグランド部960側、および一対のL字状シェル300の外筐体(GND側)と導通されている。
【0054】
(皿ばね910)
図2に示すように、皿ばね910は、L字状シェル300と本体部200との間に設けられる。皿ばね910は、L字状シェル300と本体部200とを離間する方向へテンションを保ちつつ、電気的なグランドも兼ねている。その結果、L字状シェル300と本体部200との確実なGND導通を得ることができる。
さらに、皿ばね910によりL字状シェル300と本体部200との間に弾性力を発生させ、円滑にL字状シェル300を矢印Rの方向(
図1参照)へ回動させることができる。
【0055】
(Cリング920)
図2に示すように、Cリング920は、L字状シェル300と本体部200との間に設けられる。Cリング920は、L字状シェル300と本体部200とが離間しないように、設けられる。その結果、本体部200に対して、L字状シェル300を矢印Rの方向(
図1参照)へ回動させることができる。
【0056】
(TV端子100の組立方法)
本実施の形態におけるTV端子100の組立方法について説明を行う。まずは、本体部200とL字状シェル300とが、接続されていない状態から説明する。
最初に、絶縁ブッシュ410内に内部コンタクトピン420を収容した組品を作成する。
次に、上記の組品を一対のL字状シェル300の内部空間310に挿入する。この場合、位置決め部418によりL字状シェル300内の内部空間310で組品が位置決めされる。
次いで、固定スリーブ800を内部空間310に圧入する。続いて、L字状シェル300の一対の軸部320にカバー部材500の一対の回動孔590を嵌合させる。これらを左右それぞれ形成する。
最後に、本体部200の片側もしくは、左右それぞれにおいて、L字状シェル300の組品を接続する。この接続において、本体部200とL字状シェル300との間に皿ばね910を介在させ、Cリング920で抜け止め防止を行う。これにより、TV端子100を得ることができる。
【0057】
(TV端子100に同軸ケーブル950を接続する接続方法)
まず、同軸ケーブル950の外皮を剥ぎ、内部導体である芯線970および外部導体であるグランド部960を露出させる先端加工を行う。次に、TV端子100のL字状シェル300に取り付けられたカバー部材500を開動状態にする。
そして、先端加工された同軸ケーブル950をL字状シェル300の内部空間310に挿入する。この場合、同軸ケーブル950のGND部(ラミネート及び網線)が固定スリーブ800の内壁に設けられた4つの突起820と嵌合し、GND導通が確保される。それにより、同軸ケーブル950のグランド部960とTV端子100のGNDとが確実に導通される。さらに、シールドが確保されるためTV端子100の漏洩に対し有効に機能する。
【0058】
また、同軸ケーブル950の芯線970は、L字状シェル300内部に設置された内部コンタクトピン420と嵌合し、導通する。この同軸ケーブル950の芯線970が内部コンタクトピン420と嵌合する状態は、シェル窓360から施工者が目視で確認することができるため、確実な接続が可能となる。
続いて、カバー部材500を閉動状態にする。その結果、カバー部材500に形成された噛み込み部525が同軸ケーブル950の外皮に喰い込み、同軸ケーブル950が固定される。
最後に、カバー部材500を閉動状態にした場合に、カバー部材500の孔575とL字状シェル300の凸部340とが嵌合し、閉動状態が維持される。
【0059】
以上のように、施工者は、カバー部材500が開動状態の場合に、先端加工した同軸ケーブル950をL字状シェル300に挿入し、シェル窓360から芯線970と内部コンタクトピン420とが結合したことを確認し、カバー部材500を閉動状態にして固定することができる。すなわち、同軸ケーブル950をTV端子100に、直接、簡単、および/または確実に接続することができる。
【0060】
(TV端子100から同軸ケーブルを外す方法)
TV端子100に接続された同軸ケーブル950を外す場合、カバー部材500の指かけ部570を引っ張ることで、カバー部材500を容易にL字状シェル300から容易に開動状態へリリースすることができる。
その結果、カバー部材500の噛み込み部525が同軸ケーブル950から離間し、同軸ケーブル950を外すことができる。これにより、同軸ケーブル950を誤接続した場合でも容易に取り外すことができる。
【0061】
(TV端子100の効果)
本実施の形態にかかるTV端子100においては、外皮を外し、内部導体である芯線970および外部導体であるグランド部960を露出させるように、先端加工した同軸ケーブル950を直接接続することができ、カバー部材500を開動状態で、同軸ケーブル950の芯線970をL字状シェル300内に挿入し、カバー部材500を閉動状態にすることで、ワンタッチで固定することができる。
また、後述するL字状シェル300のシェル窓360から同軸ケーブル950の芯線970と内部コンタクトピン420との接続状況の領域ARを視認することができ、確実な接続を実現することができる。
本体部200の外筐体、L字状シェル300の外筐体、固定スリーブ800は、互いに導通し同電位でありGNDとして有効に機能する。さらに、カバー部材500により、同軸ケーブル950を確実に固定することができる。その結果、TV端子100は、業界規格に適合する良好な漏洩特性を有するものである。
【0062】
(他の例1)
図11は、カバー部材500の他の例を説明するための模式的斜視図である。
【0063】
図11に示すカバー部材500と、
図8および
図9に示したL字状シェル300およびカバー部材500と異なる点について説明を行う。
図11に示すL字状シェル300は、
図8および
図9に示したL字状シェル300と同じ構造を有する。一方、
図11に示すカバー部材500は、切欠き部550およびバネ部材560をさらに含む。バネ部材560は、L字状シェル300の方向へ屈曲させている。
【0064】
切欠き部550は、バネ部材560を形成するためのものであり、バネ部材560がL字状シェル300の面を押圧できるように形成されている。その結果、指かけ部570を操作した場合、カバー部材500が自動的にL字状シェル300の面を押圧するため、カバー部材500を持ち上げようとする力が生じて、施工者が容易にカバー部材500を開動状態にすることができる。
すなわち、カバー部材500を開動状態(リリース)にする場合、噛み込み部525が同軸ケーブル950の外皮から外れにくくなるおそれがある。この場合、他の例におけるカバー部材500を用いることで、カバー部材500がL字状シェル300から開動状態へ移動するようバネ部材560によりテンションをかけることができる。
【0065】
以上のように、他の例のカバー部材500においては、指かけ部570を操作した場合、カバー部材500を容易にリリースできる。また、副次的効果として、カバー部材500をL字状シェル300に固定してる間のがたつきを防止することができる。さらには、カバー部材500を閉動状態にした場合におけるカバー部材500の孔575とL字状シェル300の凸部340との嵌合ずれを抑制することができる。
【0066】
(他の例2)
図12は、L字状シェル300の内部空間310および固定スリーブ800の他の例を説明するための模式的斜視図である。
【0067】
図12に示すL字状シェル300の内部空間310と、
図1および
図2に示したL字状シェル300の内部空間310と異なる点、
図12に示す固定スリーブ800と、
図10に示した固定スリーブ800と異なる点について説明を行う。
図12に示すL字状シェル300の内部空間310には、円筒形状ではなく、一部にDカット390が設けられている。
図12に示す内部空間310には、固定スリーブ800が圧入される。この場合、Dカット390は、固定スリーブ800の外周面のDカット840を押圧する。
【0068】
すなわち、同軸ケーブル950の外径の誤差または、ばらつきにより同軸ケーブル950の固定が不完全になるおそれがある。この場合、L字状シェル300の内部空間310に設けられたDカット390により、内径を小さくすることで圧縮量を増加させることができ、結果的に外径の誤差または、ばらつきを吸収し、確実に同軸ケーブル950を保持することができる。また、Dカット390およびDカット840の関係により、内部空間310内で固定スリーブ800が同軸ケーブル950と、とも回りすることを防止することができる。
【0069】
本発明において、導通コンタクトピン210が「導通コンタクト」に相当し、中心コンタクトピン211が「中心コンタクト」に相当し、本体部200が「本体部」に相当し、L字状シェル300が「L字状のシェル」に相当し、カバー部材500が「カバー部材」に相当し、絶縁ブッシュ410が「絶縁部材」に相当し、内部コンタクトピン420が「内部コンタクトピン」に相当し、同軸ケーブル950が「同軸ケーブル」に相当し、シェル窓360が「シェル窓」に相当し、TV端子100が「TV端子」に相当し、皿ばね910が「皿ばね」に相当し、Cリング920が「Cリング」に相当し、噛み込み部525が「噛み込み部」に相当し、切欠き部330が「切欠き」に相当し、一対の軸部320が「一対の凸部」に相当し、一対の回動孔590が「一対の孔」に相当し、凸部340が「突起部」に相当し、芯線970が「芯線」に相当し、孔575が「凹部または孔」に相当し、固定スリーブ800が「リング部材」に相当する。
【0070】
本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0071】
100 TV端子
200 本体部
210 導通コンタクトピン
300 L字状シェル
320 一対の軸部
330 切欠き部
340 凸部
360 シェル窓
410 絶縁ブッシュ
420 内部コンタクトピン
500 カバー部材
525 噛み込み部
575 孔
590 一対の回動孔
800 固定スリーブ
910 皿ばね
920 Cリング
950 同軸ケーブル
960 グランド部
970 芯線
【要約】
【課題】同軸ケーブルが直接接続でき、同軸ケーブルの芯線が内部コンタクトピンに接続されることを確認することができ、ノイズ防止を実現でき、容易に同軸ケーブルを固定することができるTV端子を提供することである。
【解決手段】TV端子100は、導通コンタクトピン210を有する本体部200と、本体部200に接続され、本体部200の一側部と他側部とにそれぞれ挿入された複数のL字状シェル300と、L字状シェル300の一端部側に軸支された開閉自在なカバー部材500と、L字状シェル300の内部に設けられた絶縁ブッシュ410によりL字状シェル300の内壁から離間して保持される内部コンタクトピン420と、内部コンタクトピン420と挿入される同軸ケーブル950の芯線970との接合を視認可能なシェル窓360と、を含む。
【選択図】
図1