(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】照明デバイス
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20240105BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240105BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/16
(21)【出願番号】P 2022502949
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020069896
(87)【国際公開番号】W WO2021009175
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】サディキン モハンマッド ファル
(72)【発明者】
【氏名】クマル シャンカラン サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】シラジ ムハンマッド モーシン
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-514320(JP,A)
【文献】特開2015-197958(JP,A)
【文献】特表2012-506189(JP,A)
【文献】特開2017-126436(JP,A)
【文献】特表2018-510480(JP,A)
【文献】特表2012-518357(JP,A)
【文献】特開平02-094292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
F21V 23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明デバイスであって、
ある期間内にメッセージを受信するように構成される指向性無線受信機であって、
前記期間は、ファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を受信するための期間であり、前記メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む、指向性無線受信機と、
前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が、当該照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信される場合、当該照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成されるコントローラと、
を含む、照明デバイス。
【請求項2】
前記メッセージは、前記ユーザデバイスからの前記ファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号のみを含み、
前記コントローラは、前記単一の信号が、当該照明デバイスに対する第1の所定の角度範囲内で受信される場合、当該照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成される、請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
前記メッセージは、前記ユーザデバイスからの前記ファクトリーリセットコマンドを含む信号のシーケンスを含み、
前記コントローラは、前記信号のシーケンスの各それぞれの信号が、当該照明デバイスに対する前記それぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される場合、当該照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成される、請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項4】
前記信号のシーケンスの各連続信号は、当該照明デバイスに対する異なる予め定められた角度範囲で受信される、請求項3に記載の照明デバイス。
【請求項5】
当該照明デバイスは、照明特性を発するための光源を含み、
前記コントローラは、前記信号のシーケンスの前記それぞれの信号が、当該照明デバイスに対する前記それぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の前記予め定められた順序に従って受信されるたびに前記光源の前記照明特性を適応させるように構成される、請求項3又は4に記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記期間は、1秒、2秒、4秒、6秒、最大でも4秒、最大でも10秒、又は最大でも12秒のうちのいずれかである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの信号の各それぞれの信号は、それぞれのRSSI値を有し、
前記コントローラは、前記それぞれのRSSI値の各々が予め定められた閾値を超える場合、当該照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項8】
前記指向性無線受信機は、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、RF、IR、Lo-Ra、UWB、RFID、NFC、Wi-Fi(登録商標)、VLC、及び/又はLi-Fiを介して前記メッセージを受信するように構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項9】
当該照明デバイスは、ハウジングを含み、前記ハウジングは、ファクトリーリセットの実施に必要な当該照明デバイスに対する前記それぞれの予め定められた角度範囲を示す物理的インジケータを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項10】
前記指向性無線受信機は、初期化メッセージを受信するように構成され、
前記コントローラは、前記指向性無線受信機が前記初期化メッセージを受信すると前記期間を開始するように構成される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明デバイスと、
ファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む前記メッセージを提供するためのユーザデバイスと、
を含む、システム。
【請求項12】
照明デバイスにファクトリーリセットを実施する方法であって、当該方法は、
ある期間内にメッセージを受信することであって、
前記期間は、ファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を受信するための期間であり、前記メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む、ことと、
前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が、前記照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信される場合、前記照明デバイスのファクトリーリセットを実施することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記メッセージは、前記ユーザデバイスからの前記ファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号のみを含み、当該方法は、
前記単一の信号が、前記照明デバイスに対する第1の所定の角度範囲内で受信される場合、前記照明デバイスのファクトリーリセットを実施すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メッセージは、前記ユーザデバイスからの前記ファクトリーリセットコマンドを含む信号のシーケンスを含み、当該方法は、
前記信号のシーケンスの各それぞれの信号が、前記照明デバイスに対する前記それぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される場合、前記照明デバイスのファクトリーリセットを実施すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コンピューティングデバイスのためのコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムが前記コンピューティングデバイスの処理ユニットで実行された場合、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイスにファクトリーリセット(factory reset)を実施することに関する。とりわけ、本発明は、照明デバイス、システム、及び照明デバイスにファクトリーリセットを実施する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクテッドライティング(Connected lighting)は、従来の有線、電気的オンオフ又は調光回路によって制御されるものではなく(又は制御されるだけでなく)、有線接続又はより多くは無線接続、例えば、有線又は無線ネットワークを介すデータ通信プロトコルを使用して制御される1つ以上の照明デバイス(又は照明器具、又は照明源)のシステムを指す。照明器具は、照明デバイスである。典型的には、照明器具、ましては照明器具内の個々のランプが、各々、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等の無線ネットワークプロトコルに従って照明制御デバイスから照明制御コマンドを受信するため(また場合によっては、無線ネットワークプロトコルを使用して照明制御デバイスにステータスレポートを送信するため)の無線レシーバ又はトランシーバを備えてもよい。照明制御デバイスは、ユーザ端末、例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ若しくはスマートウォッチ等のポータブルユーザ端末の形態、又はデスクトップコンピュータ若しくはワイヤレスウォールパネル等の静的なユーザ端末の形態を取ってもよい。そのような場合、照明制御コマンドは、ユーザ端末のユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーン又はポイントアンドクリックインターフェース)を介してユーザによってアプリケーションに提供されるユーザ入力に基づいて、及び/又はアプリケーションの自動機能に基づいて、ユーザ端末上で実行されるアプリケーションから生じてもよい。ユーザ機器は、照明制御コマンドを照明器具に直接送信してもよく、又は無線ルータ、アクセスポイント、若しくは照明ブリッジ等の中間デバイスを介して送信してもよい。
【0003】
業務用照明市場(professional lighting market)では、例えば、(リモート)スケジューリング、エネルギモニタリング、センサベースの照明制御、アセットマネジメント等の機能を可能にするコネクテッドライティングシステムへの移行が進んでいる。多くの場合、これらのシステムは既存の建物に設置され、その場合、天井から(照明制御のための)ケーブルを引く必要がないように、無線ネットワークが好まれる。現在広く使用されている無線ワークプロトコルの例としては、IEEE 802.15.4、802.15.1又は802.11規格の上に構築された様々な独自のネットワーク実装、及びZigBee(登録商標)、Thread、BLEメッシュ、Wi-Fi(登録商標)等のオープン規格がある。
【0004】
ネットワーク化された照明システムが使用され得る前に、システムは先ずコミッショニングされる必要がある。これは、すべての関連する無線照明器具が、単一のネットワークに接続され、必要に応じて、異なるグループ及びゾーンに追加され、各々が独自の挙動を有することを意味する。これを行うため、インストーラ又はコミッショナは、個々の照明器具と通信し、ネットワークに参加する並びに/又はこれらのグループ及びゾーンに当該照明器具を追加するための適切なコマンドを該照明器具に送信しなければならない。
【0005】
これは、現在2つの異なる方法で実施されている。最も基本的な場合では、コントローラボックス(又は最初の照明器具)が、他の照明器具がネットワークに参加することを可能にする当該ネットワークを開くように命令される。多くの場合、工場出荷時の状態(factory-new state)の無線ネットワークは、自動的にオープンネットワークを探し始め、自動的にこのネットワークに参加する(これは「自動参加(auto-joining)」と呼ばれることがある)。この最初の自動参加段階の後、インストーラは、例えば、ブリンクサーチ(blink search)を行うことにより、ネットワーク内でグループ及びゾーンを形成することを始めることができる。このブリンクサーチの間、インストーラは、1つ以上の照明器具に(多かれ少なかれランダムに)コマンドを与え、ブリンキングにより、該照明器具がどこにあるか、又は何であるかを識別する。その後、インストーラは、照明器具がどのグループ又はゾーンに属するかを決定する、及びその時点で特定のグループに照明器具を追加するか否かを決定することができる。ブリンキングは、インストーラが、(暗黙的に当該照明器具を関連するグループに割り当てる)マップ上(例えばタブレット上)のどこに照明器具が位置するかを示す必要があるシステムによって行われることもできる。代替的に、インストーラは、コミッショニングプロセス中にどの照明器具が特定のグループに追加されるべきかを識別するために照明器具のセンサに信号を送るポインティングデバイス(例えば、IRリモートコントロール又はフラッシュライト)を使用する。
【0006】
このプロセス中に、照明器具は、間違った照明器具のグループ又は間違ったネットワークに陥る可能性がある。例えば、建物全体で複数のグループ又はネットワークが使用される、及び複数のインストーラが並行して作業している場合、照明器具は、間違ったグループ又は間違ったネットワークに配置される可能性がある。また、別の目的(例えば、HVAC)のために建物内に他の無線ネットワーク(「オープン」状態)がある可能性がある。この理由のため、ほとんどの既存のシステムは、「ファクトリーリセット」コマンドを送信する方法を提供している。これは、照明器具内のネットワーク構成(network configuration)を効果的にリセットし、当該照明器具が別のネットワークの一部になること(及び照明器具に再びオープンネットワークを検索させることによりコミッショニングステップをリトライすること)を可能にする。
【0007】
ファクトリーリセットは、無線デバイスのデフォルト状態を回復するための重要な機能である。すなわち、ファクトリーリセットは、無線デバイスの正規ユーザが、当該デバイスを容易に再構成する(reconfigure)、新しいネットワークを再作成する(re-create)、無線デバイスを別のエンティティにハンドオーバーする、ましては、ヒューマンエラーに起因する又はサイバー攻撃に起因する誤構成(erroneous configuration)等、予期せぬ挙動の場合に制御を回復することを可能にし得る。しかしながら、悪意のあるユーザ(又は攻撃者)が、正規ユーザからデバイスの制御を引き継ぐ等、又は悪意のあるユーザによって作成される悪意のあるネットワークに参加するように無線デバイスを再構成する等、悪意のあるアクティビティを行うためにファクトリーリセットを悪用することができる可能性もある。
【0008】
したがって、(例えば、照明器具等の)照明デバイスにファクトリーリセットを実施するための従来の方法は、セキュアでない故、悪意のあるユーザ(例えば、無線ネットワークの攻撃者)が照明デバイスの動作に支障をきたす又はこのような照明デバイスを含むシステム及び/若しくはネットワークに悪影響を及ぼすことを可能にするので不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、少なくとも照明デバイスにファクトリーリセットを実施することに関する上記の課題及び/又は不利な点を緩和する、改善された照明デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、ある期間内にメッセージを受信するように構成される指向性無線受信機であって、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンド(factory reset command)を含む少なくとも1つの信号を含む、指向性無線受信機と、前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号(respective signal)が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲(respective predefined angular range)内で受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセット(factory reset)を実施するように構成されるコントローラとを含む、照明デバイスを提供する。
【0011】
前記指向性無線受信機は、ある期間内にメッセージを受信するように構成される。メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む。前記照明デバイスのコントローラは、(ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む)前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信される条件が決定される場合にのみ、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するので、本発明は、照明デバイスのファクトリーリセットを実施する際の制約(すなわち、第1のセキュリティ条件)を有利に提供する。このような制約は、正当なユーザが前記照明デバイスのファクトリーリセットを行うことを容易にし、悪意のあるユーザがそうすることを阻害する。
【0012】
例えば、照明デバイスは、ファクトリーリセットコマンドを受信するための照明デバイスに対する特定の予め定められた角度範囲を有してもよい。このような予め定められた角度範囲は、極座標で表されてもよい。ユーザデバイスは、ある期間内にメッセージを照明デバイスに送信してもよい。前記メッセージは、ファクトリーリセットコマンドを含む信号を含んでもよい。この場合、照明デバイスのファクトリーリセットは、(ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む)前記信号が、照明デバイスに対する前記特定の予め定められた角度範囲内で指向性無線受信機によって受信される場合にのみ実施されてもよい。それゆえ、照明デバイスに対する予め定められた角度範囲における前記制約を知っている正当なユーザは、ファクトリーリセットを行い得る、又は少なくとも前記ファクトリーリセットを行うことが容易になり得る一方、前記制約を知らない悪意のあるユーザ(すなわち、攻撃者)は、前記ファクトリーリセットを行い得ない、又は少なくとも前記ファクトリーリセットを行うことが阻害され得る。
【0013】
前記ユーザデバイスは、例えば、リモコン、スマートフォン、タブレット、ポータブルデバイス、又はウェアラブルデバイスであってもよい。前記予め定められた角度範囲は、照明デバイスのデフォルト機能であってもよく、例えば、前記照明デバイスを製造、コミッショニング及び/又は構成する(configure)際に照明デバイスのコントローラにプログラムされてもよい。前記プログラミングは、例えば、一度だけ行われてもよい。代替的に、前記予め定められた角度範囲は、前記照明デバイスの設置及び/又は構成(configuration)の際に正当なユーザによって提供されてもよい。
【0014】
ある態様において、本発明は照明デバイスで具現化されるが、本願発明は、例えば、センサ、ブリッジ、アクチュエータ等、無線ネットワーク内の任意の他のノード又はデバイスにも適用されてもよい。
【0015】
さらに、指向性無線受信機は、例えば、フェーズアレイアンテナであってもよい。少なくとも1つの信号を含むメッセージは、例えば、よく知られているPoA(Phase of Arrival)及び/又はToA(Time of Arrival)技術を用いて検出されてもよい。
【0016】
一実施形態では、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号のみを含み、コントローラは、前記単一の信号が、照明デバイスに対する第1の所定の角度範囲内で受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成されてもよい。ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号のみが、照明デバイスに対する第1の所定の角度範囲内で受信される必要があるため、このような実施形態は、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するためのセキュアな及び人間工学的な制約の両方を有利に提供する。
【0017】
しかしながら、他の例では、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するためのより洗練された、したがってよりセキュアな制約がさらに提供されてもよい。したがって、一実施形態では、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む信号のシーケンスを含み、コントローラは、前記信号のシーケンスの各それぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成されてもよい。それゆえ、照明デバイスは、ファクトリーリセットコマンドを含む前記信号のシーケンスを、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信することを必要とするだけでなく、前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って前記信号のシーケンスを受信することを必要としてもよい。このような実施形態は、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するためのよりセキュアな制約を提供する。すなわち、例えば、攻撃者は、ファクトリーリセットコマンドを含む信号のシーケンスの各信号を送信するためのそれぞれの予め定められた角度範囲を知らなければならないが、攻撃者は、前記信号のシーケンスを送信するための予め定められた順序も知らなければならない。一態様では、例えば、前記信号のシーケンスの各連続信号(consecutive signal)は、照明デバイスに対する同じ予め定められた角度範囲を有してもよい。
【0018】
一実施形態では、前記信号のシーケンスの各連続信号は、照明デバイスに対する異なる予め定められた角度範囲を有してもよい。このような異なる連続信号は、より複雑な制約、したがって照明デバイスのファクトリーリセットを実施するためのセキュリティを追加することができる。
【0019】
さらに、例えば、悪意のあるユーザ(すなわち、攻撃者)が、前記予め定められた角度範囲の前記予め定められた順序の知識を持っていたとしても、悪意のあるユーザは、照明デバイスに対する異なる位置及び/又は向きに物理的に移動するために照明デバイスの近くにいなければならず、これにより、照明デバイスの近くにいない場合、ファクトリーリセットを実施するための条件を満たすことがより困難になる。例えば、高出力ラジオ送信機を持って建物の外に立っている攻撃者は、建物にアクセスできる1つの角度範囲でしか信号を送信できないことが多く、信号を送信するための他の角度範囲を見つけるために建物全体を動き回らなければならない。
【0020】
一実施形態では、照明デバイスは、照明特性を発するための光源を含んでもよく、コントローラは、前記信号のシーケンスのそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される各インスタンス(instance)のために前記光源の照明特性を適応させるように構成されてもよい。
【0021】
同様に、追加的又は代替的な態様では、照明デバイスは、照明特性を発するための光源を含んでもよく、コントローラは、前記信号のシーケンスのそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲外で及び/又は前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従わずに受信される各インスタンスのために前記光源の照明特性を適応させるように構成されてもよい。
【0022】
このような実施形態は、照明デバイスが、前記信号のシーケンスの各信号が所要の予め定められた角度範囲内で送信されているか否かについてユーザに視覚的フィードバックを提供するため、有利である。一実施形態では、照明特性は、色、色温度、光強度、及び/又は光パターンのいずれかであってもよい。
【0023】
例えば、前記信号のシーケンスのそれぞれの信号のインスタンスが、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される場合、緑色光が発せられてもよく、一方、前記信号のシーケンスのそれぞれの信号のインスタンスが、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲外で及び/又は前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従わずに受信される場合、赤色光が発せられてもよい。
【0024】
一態様では、照明デバイスは、照明デバイスをファクトリーリセットするためのファクトリーリセット機能を含んでもよく、コントローラは、あるインタンスについて、前記信号のシーケンスのそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲外で及び/又は前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従わずに受信される場合、前記ファクトリーリセット機能をブロックするように構成されてもよい。追加的に、照明デバイスは、照明特性を発するための光源を含んでもよく、照明特性は、(ファクトリーリセット機能の前記ブロックが起きた場合)ブロックされたファクトリーリセット機能を示してもよい。代替的に、前記「あるインスタンスについて」は、「閾値を超える複数インスタンスについて」であってもよく、閾値は、2、3、4、5、又は少なくとも6であってもよい。
【0025】
一態様では、照明デバイスは、送信機を含んでもよく、コントローラは、あるインタンスについて、前記信号のシーケンスのそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲外で及び/又は前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従わずに受信される場合、警告信号を他のデバイスに送信するように構成されてもよい。代替的に、前記「あるインスタンスについて」は、「閾値を超える複数インスタンスについて」であってもよく、閾値は、2、3、4、5、又は少なくとも6であってもよい。
【0026】
一実施形態では、照明デバイスはさらに、送信機を含んでもよく、コントローラは、(照明デバイスのファクトリーリセットを実施するための上述の条件の要件である)照明デバイスに対する前記それぞれの予め定められた角度範囲及び/又は前記予め定められた角度範囲の前記予め定められた順序をランダムに生成するように構成され、コントローラは、送信機を用いて、前記ランダムに生成された照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲及び/又は前記予め定められた角度範囲の前記予め定められた順序をユーザデバイスに送信するように構成されてもよい。
【0027】
したがって、前に一部述べたように、前記期間は、ファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を受信するための期間である。前記期間は、任意の期間であってよい。しかしながら、一実施形態では、期間は、1秒、2秒、4秒、6秒、最大でも4秒、最大でも10秒、又は最大でも12秒のうちのいずれかであってもよい。このような期間は、ファクトリーリセットを行うことに対して追加の制約を提供する。
【0028】
また、本発明は、上述の角度の制約に加えて、照明デバイスのファクトリーリセットを行う際の距離の制約を提供してもよい。ユーザデバイスの照明デバイスまでの距離は、送信されたメッセージ及び/又は信号のRSSI値によって測定されてもよい。したがって、一実施形態では、前記少なくとも1つの信号の各それぞれの信号は、それぞれのRSSI値を有してもよく、コントローラは、前記それぞれのRSSI値の各々が予め定められた閾値を超える場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成されてもよい。
【0029】
一実施形態では、指向性無線受信機は、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、RF、IR、Lo-Ra、UWB、RFID、NFC、Wi-Fi(登録商標)、VLC、及び/又はLi-Fiを介してメッセージを受信するよう構成されてもよい。
【0030】
一実施形態では、ファクトリーリセットコマンドは、照明デバイスに関連付けられる固有のファクトリーリセットコードを含んでもよい。
【0031】
一実施形態では、照明デバイスは、ハウジングを含み、ハウジングは、ファクトリーリセットの実施に必要な照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲を示す物理的インジケータ(physical indicator)を含んでもよい。このような物理的インジケータは、それゆえ、照明デバイスの前記ファクトリーリセットを行う際に正当なユーザへの参照として有利に機能する。例として、前記物理的インジケータは、例えば、ロゴであってもよく、ロゴは、例えば、照明デバイスに印刷されてもよい。前記物理的インジケータは、電子ペーパーディスプレイであってもよい。
【0032】
一実施形態では、指向性無線受信機は、初期化メッセージを受信するように構成されてもよく、コントローラは、指向性無線受信機が前記初期化メッセージを受信すると前記期間を開始するように構成されてもよい。メッセージ及び初期化メッセージは、例えば、同じユーザデバイスから送信されてもよい。
【0033】
一実施形態では、照明デバイスは、ファクトリーリセットコマンドを含むファクトリーリセットメッセージを無線ネットワーク内の少なくとも1つのさらなる照明デバイスに送信するように構成される送信機を含んでもよく、コントローラは、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するとファクトリーリセットメッセージを無線ネットワーク内の少なくとも1つのさらなる照明デバイスに送信するように構成されてもよい。
【0034】
本発明のさらなる目的は、照明デバイスにファクトリーリセットを実施するための改善されたシステムを提供することである。このために、本発明はさらに、上述したいずれかの照明デバイスと、ファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む前記メッセージを提供するためのユーザデバイスとを含む、システムを提供する。これにより、本発明による照明デバイスに当てはまる利点及び/又は実施形態は、本発明による前記システムに準用してもよい。
【0035】
本発明のさらなる目的は、照明デバイスにファクトリーリセットを実施する改善された方法を提供することである。このために、本発明はさらに、照明デバイスにファクトリーリセットを実施する方法であって、当該方法は、ある期間内にメッセージを受信することであって、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む、ことと、前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施することとを含む、方法を提供する。これにより、本発明による照明デバイス及び/又はシステムに当てはまる利点及び/又は実施形態は、本発明による前記方法に準用してもよい。
【0036】
一実施形態では、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号のみを含み、当該方法は、前記単一の信号が、照明デバイスに対する第1の所定の角度範囲内で受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施することを含む。
【0037】
一実施形態では、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む信号のシーケンスを含み、当該方法は、前記信号のシーケンスの各それぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施することを含む。
【0038】
本発明はさらに、コンピュータプログラムプロダクトに関する。したがって、本発明は、コンピューティングデバイスのためのコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピューティングデバイスの処理ユニットで実行された場合、本発明による方法を実行するためのコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラムを提供する。斯くして、本発明の態様は、コンピュータにより実行され得るコンピュータ可読記憶デバイスに記憶されたコンピュータプログラム命令の集合体であってもよいコンピュータプログラムプロダクトにおいて、実施されてもよい。本発明の命令は、スクリプト、解釈可能プログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)又はJavaクラスを含むが、これらに限定されない任意の解釈可能又は実行可能コードメカニズムであってもよい。命令は、完全な実行可能プログラム、部分実行可能プログラム、既存のプログラムに対する修正(例えば更新)、又は既存のプログラムに対する拡張(例えば、プラグイン)として提供され得る。さらに、本発明の処理の一部は、複数のコンピュータ又はプロセッサにわたって分散されてもよい。
【0039】
前述したように、ある態様において、本発明は照明デバイスで具現化されるが、本願発明は、例えば、センサ、ブリッジ、アクチュエータ等、無線ネットワーク内の任意の他のノード又はデバイスにも適用されてもよい。
【0040】
したがって、さらなる態様では、本発明は、ある期間内にメッセージを受信するように構成される指向性無線受信機であって、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む、指向性無線受信機と、前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が、デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信される場合、デバイスのファクトリーリセットを実施するように構成されるコントローラとを含む、デバイスを提供してもよい。前記デバイスは、照明デバイス、センサ、アクチュエータ、ブリッジ、無線ネットワークノード、電子デバイス、又は通信デバイスであってもよい。これにより、本発明による照明デバイス及び/又はシステムに当てはまる利点及び/又は実施形態は、本発明による前記さらなる態様に準用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
ここで、本発明が、概略的で非限定的な図によってさらに述べられる。
【
図1】照明デバイス及びユーザデバイスを含む、本発明によるシステムの一実施形態を概略的に示す。
【
図2】照明デバイス及びユーザデバイスを含む、本発明によるシステムの他の実施形態を概略的に示す。
【
図3】照明デバイス及びユーザデバイスを含む、本発明によるシステムの別の実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
前述のように、ファクトリーリセットは、例えば、照明デバイス又は他の無線ネットワークノード等、無線デバイスのデフォルト状態を回復するための重要な機能である。照明デバイスのファクトリーリセットを実施するための従来の方法は、セキュリティ対策の漏れに起因してセキュアではない可能性がある。これは不利である。例えば、悪意のある人が、安全でない(unsecured)照明デバイスをそれほど手間をかけずにファクトリーリセットし、それによって、例えば、無線ネットワークから照明デバイスを取り除く可能性があり、これは、(例えば、照明デバイスがネットワーク内の他のノードに信号を送信できない、及び、ネットワーク内の他のノードから制御信号を受信できない等)前記無線ネットワーク及び照明デバイスの正しい機能に影響を与える可能性がある。これらの理由から、とりわけ、「ファクトリーリセットコマンド」、すなわち、「ファクトリーリセットコード」が権限のない人によって照明器具に伝達されることができないこと、又は少なくとも、権限のない人がそうすることが阻害されることが目的である。
【0043】
本発明の実施形態は、照明デバイスをファクトリーリセットするためのセキュリティ条件を課すことにより照明デバイスにセキュリティを提供し、前記セキュリティ条件を知っている権限のある人だけが照明デバイスのファクトリーリセットを行うことができることを保証する。これにより、前記セキュリティ条件は、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内でファクトリーリセットコマンドを受信することに関連し、さらなる実施形態では、それぞれのRSSI値が所定のしきい値を超える前記ファクトリーリセットコマンドを受信することに関連する。
【0044】
図1は、非限定的な例として、本発明によるシステム100の一実施形態を概略的に示している。システム100は、本発明による照明デバイス10及びユーザデバイス15を含む。照明デバイス10は、照明器具である。ユーザデバイス15は、スマートフォンである。
【0045】
システム100は、空間18に実装されている。空間18は、無線照明ネットワーク(図示せず)を含む。照明デバイス10は、前記無線照明ネットワークの一部を形成する。ここで、空間18は、ドメスティックプロパティ(domestic property)である。また、空間18は、ユーザデバイスを有するユーザ16、17をホストしている。ここで、空間18は、ユーザデバイス15に関連する権限のあるユーザ16と、他のユーザデバイス(参照符号なし)に関連する悪意のあるユーザ17とをホストしている。
【0046】
代替的に、空間18は、家、部屋、ドメスティックエリア、オフィス、フロア、車両等、屋内空間であってもよい。さらに代替的に、空間は、公園、広場、道路、庭、スポーツ会場、野外フェスティバル、建設現場等、屋外空間であってもよい。代替的に、ユーザデバイス15は、モバイルデバイス、ポータブルデバイス、パーソナルデジタルアシスタント、ポケットベル、スマートウォッチ、ウェアラブルデバイス、タブレット、ドングル、ラップトップ、リモコン、スマートグラス、ドローン等であってもよい。
【0047】
図1を参照すると、照明デバイス10は、コントローラ11及び指向性無線受信機12を含む。指向性無線受信機12は、Bluetooth
(登録商標)受信機であるが、代替的に、ZigBee
(登録商標)、RF、IR、Lo-Ra、UWB、RFID、NFC、Wi-Fi
(登録商標)、VLC、及び/又はLi-Fiのモダリティのうちの少なくとも1つで動作する受信機であってもよい。指向性無線受信機12は、ある期間内にメッセージ14を受信する。期間は、ここでは1秒であるが、代替的に、最大でも2秒である任意の他の期間であってもよい。メッセージ14は、権限のあるユーザ16のユーザデバイス15によって送信され、ファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号を含む。このファクトリーリセットコマンドは、照明デバイスに関連付けられる固有のファクトリーリセットコードを含んでもよい。同様に、悪意のあるユーザ17に関連するユーザデバイスも、ファクトリーリセットコマンドを含むメッセージを送信し得る。代替的な例では、前記指向性無線受信機は、(前記照明デバイスをファクトリーリセットするための)前記期間を開始する開始メッセージを受信するように構成される。
【0048】
コントローラ11は、照明デバイス10に対する予め定められた角度範囲13のプリセットを含む。予め定められた角度範囲、すなわち、プリセットは、(デフォルトパラメータとして)照明デバイス10の製造時にインストールされてもよい。代替的に、予め定められた角度範囲は、例えば、権限のあるユーザ16によって後でコミッショニングされてもよい(すなわち、定義されてもよい)。この角度範囲は、任意の角度又は角度範囲で表されてもよく、例えば、直交座標又は極座標で表されてもよい。ここでは、予め定められた角度範囲13は、角度θ1及びそれが(概略的に)定義する角度範囲として定義される。
【0049】
引き続き
図1を参照すると、コントローラ11は、(権限のあるユーザ16又は悪意のあるユーザ17のメッセージのいずれかであり得る)ファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号を含むメッセージ14が、照明デバイス10に対する前記それぞれの予め定められた角度範囲13内で受信される場合、照明デバイス10のファクトリーリセットを実施する。したがって、ユーザデバイス15から送信され、権限のあるユーザ16に関連する、メッセージ14は、照明デバイス10に対するそれぞれの予め定められた角度範囲13内で受信されるので、コントローラ11は、照明デバイス10のファクトリーリセットを実施する。
【0050】
ファクトリーリセットコマンドを含む、悪意のあるユーザ17に関連するユーザデバイスのメッセージは、例えば、悪意のあるユーザ17が前記予め定められた角度範囲13を知らないため、前記予め定められた角度範囲13内で受信されないので、コントローラ11は、無線指向性受信機が(悪意のあるユーザから発信された)前記メッセージを受信しても照明デバイス10のファクトリーリセットを実施しない。
【0051】
それゆえ、本発明は、照明デバイス10のファクトリーリセットを実施する際の制約(すなわち、第1のセキュリティ条件)を有利に提供する。このような制約は、権限のあるユーザ16が前記照明デバイス10のファクトリーリセットを行うことを容易にし、悪意のあるユーザ17がそうすることを阻害する。
【0052】
さらに、前述のように、指向性無線受信機は、例えば、フェーズアレイアンテナであってもよい。前記フェーズアレーアンテナは、メッセージ及び/又は少なくとも1つの信号の到来角度(angle of arrival)を決定してもよい。受信信号の角度を検出する及び無線送信機の位置を検出するためにアンテナアレイを使用する一般的な概念は、無線測位技術において開発され成熟している。PoA(Phase of Arrival)は、送信機と受信機の間の距離、及び、搬送信号の位相又は位相差を利用して送信信号が受信機に入射する角度を推定するためにアンテナアレイ(受信側)を使用する。例えば、ある距離(D)のアンテナアレイは、各アンテナが受信する位相差を測定することにより入射波面の角度(θ)を算出することができる。したがって、PoAでは、見通し線(Line of Sight)が正確なパフォーマンスのために必須である。しかしながら、この結果は、本願のように、ファクトリーリセットを実施するためによりセキュリティを提供するための明確な利点を与える。追加的に、及び/又は代替的に、指向性無線受信機は、前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信されるかどうかを検出するために当該技術分野において既知の任意の他の技術を使用してもよい。
【0053】
さらに、本発明は、いくつかのToA(Time of Arrival)概念に基づいてもよい。ToAでは、信号のセンダーとレシーバーの間の距離は、測定された信号伝搬時間及び既知の信号速度を用いて決定されることができる。例えば、音波は343m/s(20℃の場合)で進み、すなわち、音信号は、10mの距離を進むのに約30msかかる。一方、電波信号(radio signal)は光速(約300km/s)で進み、すなわち、この信号は、10m進むのに約30nsしか要しない。この結果、電波ベースの距離測定は高い分解能のクロックを必要とし、無線デバイスのコスト及び複雑さを増大させる。一方向ToA法は、一方向の伝搬時間を測定し、すなわち、送信時間と信号到着時間の差が、レシーバによって算出される。一方向測定の場合、2つのノードi及びj間の距離は、Dist(i,j)=(t2-t1)*vとして決定されることができる。ここで、t1及びt2は、(それぞれ、センダー及びレシーバーで計測される)信号の送信時間及び受信時間であり、vは、信号速度である。同様に、双方向アプローチの場合、距離は、Dist(i,j)=0.5*((t4-t1)-(t3-t2))*vとして算出される。ここで、t3及びt4は、応答信号の送信時間及び受信時間である。一方向位置特定では、受信ノードが自身の位置を算出するが、双方向アプローチでは、送信ノードがレシーバーの位置を算出することに留意されたい。本願では、ToA位置特定技術の両方ともが、メッセージ及び/又は少なくとも1つの信号を検出するために使用されてもよい。
【0054】
図示されていないが、
図1に示されるシステムと類似の、一実施形態では、照明デバイス10は、ハウジングを含む。予め定められた角度範囲13は、照明デバイス10の製造時にコントローラ11内にインストールされる。これにより、ハウジングは、前記ファクトリーリセットを実施するために必要とされる、照明デバイス10に対するそれぞれの角度範囲13を示す物理的インジケータを含む。物理的インジケータは、ハウジングの表面に適用されるテクスチャ領域(textured area)であるが、代替的に、突起、ステッカー、企業ロゴ、色インジケータ(color indicator)、開口及び/若しくはノッチ、並びに/又は電子ペーパーディスプレイであってもよい。
【0055】
図2は、非限定的な例として、本発明によるシステム200の一実施形態を概略的に示している。システム200は、本発明による照明デバイス20及びユーザデバイス25を含む。照明デバイス20は、スマート電球である。ユーザデバイス25は、リモコンであるが、代替的に、他のユーザデバイスであってもよい。システム200は、空間28に実装されている。空間28は、ショップである。ショップ28は、権限のあるユーザ26及び悪意のあるユーザ27をホストしている。スマート電球20は、前記ショップ28内の無線ネットワーク(図示せず)の一部を形成する。
【0056】
スマート電球20は、コントローラ21及び指向性無線受信機22を含む。指向性無線受信機22は、Zigbee(登録商標)受信機であるが、代替的に、Bluetooth(登録商標)、RF、IR、Lo-Ra、UWB、RFID、NFC、Wi-Fi(登録商標)、VLC、及び/又はLi-Fiのモダリティのうちの少なくとも1つで動作する受信機であってもよい。指向性無線受信機22は、ある期間内にメッセージ24を受信する。期間は、ここでは1秒であるが、代替的に、最大でも2秒である任意の他の期間であってもよい。メッセージ24は、権限のあるユーザ26のユーザデバイス25によって送信され、ファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号を含む。さらに、メッセージ24及び/又は対応する単一の信号は、RSSI値を有する。悪意のあるユーザ27に関連するリモコンは、同様に、同様のメッセージを送信し得る。
【0057】
コントローラ21は、スマート電球20に対する予め定められた角度範囲23のプリセットを含む。予め定められた角度範囲23は、
図2に概略的に示される角度範囲θ2として定義される。さらに、コントローラ21は、ファクトリーリセットコマンドを含むメッセージに対する(RSSIの観点での)予め定められた閾値29を有する。これにより、予め定められた閾値29は、スマート電球20のファクトリーリセットを行うためにその内側でファクトリーリセットコマンドを含むメッセージが受信されるべきである、スマート電球20に対する距離を示す。
【0058】
引き続き
図2を参照すると、コントローラ21は、ファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号を含むメッセージ24が照明デバイス20に対する前記それぞれの予め定められた角度範囲23内で受信され、且つ、前記メッセージ24のRSSI値が予め定められた閾値29を超える(すなわち、ユーザデバイスがスマート電球20の範囲内にある)場合、スマート電球20のファクトリーリセットを実施する。
【0059】
権限のあるユーザ26のメッセージ24及び悪意のあるユーザ27のメッセージは、
図2に概略的に示されるように、両方とも予め定められた角度範囲23内で受信されるという条件を満たしている。しかしながら、権限のあるユーザ26から発信されたメッセージ24のみが、当該メッセージのRSSI値が予め定められた閾値29を超えるという条件を満たす(すなわち、権限のあるユーザ26のリモコン25のみがスマート電球20の範囲内である)。それゆえ、スマート電球20に対する前記それぞれの予め定められた角度範囲23内にあり且つRSSI値が予め定められた閾値を超える、権限のあるユーザ26のメッセージ24を受信すると、コントローラ21は、スマート電球20のファクトリーリセットを行う。
【0060】
斯くして、本発明は、照明デバイス20のファクトリーリセットを実施する際の第1の制約及び第2の制約(すなわち、第1のセキュリティ条件及び第2の条件)を有利に提供する。このような制約は、権限のあるユーザ26が前記照明デバイス20のファクトリーリセットを行うことを容易にし、悪意のあるユーザ27がそうすることを阻害する。
【0061】
図3は、非限定的な例として、本発明によるシステム300の一実施形態を概略的に示している。システム300は、本発明による照明デバイス30及びユーザデバイス35を含む。照明デバイス30は、照明器具である。ユーザデバイス35は、スマートフォンであるが、代替的に、他のユーザデバイスであってもよい。システム300は、空間38に実装されている。空間38は、オフィスフロアである。照明器具30は、前記オフィスフロア内の無線ネットワーク(図示せず)の一部を形成する。無線ネットワークは、複数の他の無線接続された照明器具を含む。
【0062】
図3を参照すると、照明デバイス30は、コントローラ31及び指向性無線受信機32を含む。指向性無線受信機32は、Bluetooth
(登録商標)受信機であるが、代替的に、Zigbee
(登録商標)、RF、IR、Lo-Ra、UWB、RFID、NFC、Wi-Fi
(登録商標)、VLC、及び/又はLi-Fiのモダリティのうちの少なくとも1つで動作する受信機であってもよい。指向性無線受信機32は、ある期間内にメッセージ34を受信する。メッセージ34は、権限のあるユーザ36のユーザデバイス35によって送信され、すべてファクトリーリセットコマンドを含む、第1の信号341、第2の信号342、及び第3の信号343を含む。期間は、ここでは1秒であるが、代替的に、最大でも2秒である任意の他の期間であってもよい。前記期間内に、メッセージ34の第1の信号341、第2の信号342及び第3の信号343がそれぞれ送信され、その後指向性無線受信機32によって受信される時間1、2、3の3つの時点が存在する。したがって、メッセージ34は、ユーザデバイス35からのファクトリーリセットコマンドを含む信号341、342、343のシーケンスを含む。ファクトリーリセットコマンドは、照明器具30に関連付けられる固有のファクトリーリセットコードを含む。代替的な例では、前記指向性無線受信機は、(前記照明デバイスをファクトリーリセットするための)前記期間を開始する開始メッセージを受信するように構成される。
【0063】
コントローラ31は、照明デバイス30に対する3つの予め定められた角度範囲331、332、333のプリセットを含む。さらに、コントローラ31は、前記予め定められた角度範囲331、332、333の予め定められた順序を含む。順序は、第1の角度範囲331、第2の角度範囲332及び第3の角度範囲333内で連続してファクトリーリセットコマンドを有するそれぞれの信号を受信することである。
【0064】
各予め定められた角度範囲331、332、333及び/又は前記予め定められた角度範囲331、332、333の予め定められた順序(すなわち、プリセット)は、(デフォルトパラメータとして)照明デバイス10の製造時にインストールされてもよい。代替的に、予め定められた角度範囲は、例えば、権限のあるユーザによって後でコミッショニングされてもよい(すなわち、定義されてもよい)。それぞれの角度範囲331、332、333は、任意の角度又は角度範囲で表されてもよく、例えば、直交座標又は極座標で表されてもよい。ここでは、予め定められた角度範囲331、332、333は、それぞれ、角度α1、α2、α3及びこれが(概略的に)定義する角度範囲として定義される。
【0065】
引き続き
図3を参照すると、コントローラ31は、前記3つの信号341、342、343のシーケンスを含むメッセージ34が、照明デバイス30に対するそれぞれの予め定められた角度範囲331、332、333内で且つ前記予め定められた角度範囲331、332、333の前記予め定められた順序に従って受信される場合、照明デバイス30のファクトリーリセットを実施する。ここで、ファクトリーリセットコマンドを実施するためのこの条件は、第1の信号341が、時間1における第1の時点で受信され、第2の信号342が、時間2における第2の時点で受信され、第3の信号343が、時間3における第3の時点に受信されるため、満たされる。したがって、コントローラ11は、前記メッセージ34を受信すると照明デバイス10のファクトリーリセットを実施する。
【0066】
この実施形態は、照明デバイス30のファクトリーリセットを実施するためのよりセキュアな制約を提供する。すなわち、例えば、攻撃者は、ファクトリーリセットコマンドを含む信号341、342、343のシーケンスの各信号を送信するためのそれぞれの予め定められた角度範囲331、332、333を知らなければならないが、攻撃者は、前記信号341、342、343のシーケンスを送信するための予め定められた順序も知らなければならない。
【0067】
図3に示される実施形態と類似する、一実施形態(図示せず)では、照明デバイス30はさらに、光源及び送信機を含む。これにより、コントローラ31は、前記信号341、342、343のシーケンスのそれぞれの信号が、照明デバイス30に対するそれぞれの予め定められた角度範囲331、332、333内で且つ前記予め定められた角度範囲331、332、333の予め定められた順序に従って受信される各インスタンスのために光源の強度(又は代替的には、例えば、色相又は変調等、任意の他の照明特性)を適応させる。さらに、照明デバイス30をファクトリーリセットすると、照明デバイス30は、ファクトリーリセットコマンドを含むファクトリーリセットメッセージを前記無線ネットワーク内の少なくとも1つのさらなる照明デバイス、斯くして、無線ネットワーク内の任意の他の無線接続された照明器具に送信するように構成される。
【0068】
図4は、非限定的な例として、本発明による照明デバイスにファクトリーリセットを実施する方法400を概略的に示している。方法は、ある期間内にメッセージを受信するステップ401であって、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む少なくとも1つの信号を含む、ステップを含む。方法はさらに、前記少なくとも1つの信号のそれぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施するステップ402を含む。
【0069】
さらなる実施形態では、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む単一の信号のみを含み、方法は、前記単一の信号が、照明デバイスに対する第1の所定の角度範囲内で受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施することを含む。
【0070】
代替的に、さらなる実施形態では、メッセージは、ユーザデバイスからのファクトリーリセットコマンドを含む信号のシーケンスを含み、方法は、前記信号のシーケンスの各それぞれの信号が、照明デバイスに対するそれぞれの予め定められた角度範囲内で且つ前記予め定められた角度範囲の予め定められた順序に従って受信される場合、照明デバイスのファクトリーリセットを実施することを含む。