(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】マルチパス通信の実行
(51)【国際特許分類】
H04W 76/23 20180101AFI20240105BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20240105BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20240105BHJP
H04W 40/12 20090101ALI20240105BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240105BHJP
【FI】
H04W76/23
H04W4/44
H04W4/46
H04W40/12
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2022525811
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2019080335
(87)【国際公開番号】W WO2021089136
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コウサリダス,アポストロス
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,チャン
(72)【発明者】
【氏名】スパピス,パナジオティス
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー,ダビド・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】モンセラート,ホセ・フランシスコ
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-087091(JP,A)
【文献】特表2015-502712(JP,A)
【文献】国際公開第2019/184051(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/031884(WO,A1)
【文献】特表2015-536599(JP,A)
【文献】特表2021-528873(JP,A)
【文献】vivo,"NR V2X scenario for PDCP duplication supporting",3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #105 R2-1901111,[online],2019年02月15日,pages 1-3,[retrieved on 2023-06-16], Retrieved from <https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_105/Docs/R2-1901111.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04L 1/00
H04L 1/08- 1/24
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法であって、当該方法は、
ソース通信装置から、2つ以上の異なるパスを介して複数のデータパケットを取得することであって、該複数のデータパケットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含み、
前記パケット情報は前記複数のデータパケット間の関連を示し、
前記ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、前記2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、前記ターゲット通信装置における各データパケット内のパケット情報と同じであり、
前記複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む、ことと、
第1のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを、前記パケット情報に基づいて識別することと、
を含
み、
前記ソース通信装置から前記2つ以上の異なるパスを介して前記複数のデータパケットを取得するに際して、重複モード又は分割モードが前記ソース通信装置によって選択され、該重複モード又は分割モードの選択は、データセッションの開始前又はデータセッションの間に発生し、
前記複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ又は前記データセッションの確立又は更新時に前記ソース通信装置によってネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置のうちの少なくとも1つに送信されるシグナリングメッセージはインジケータを含み、
前記インジケータは、前記ネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置におけるマルチパス機能の有効を示す、方法。
【請求項2】
前記第1のパス又は前記第2のパスのうちの少なくとも1つは、前記ソース通信装置と前記ターゲット通信装置との間の装置間通信に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つ以上の異なるパスのうちの前記第1のパスはセルラ通信パスであり、前記2つ以上の異なるパスのうちの前記第2のパスは、前記装置間通信に対応するサイドリンク通信パスであり、前記ソース通信装置及び前記ターゲット通信装置は、車両、車両内で用いられる電子装置又は携帯型電子装置のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲット通信装置において受信された前記複数のデータパケットから、前記パケット情報に基づいて、前記ターゲット通信装置により、重複データパケットをフィルタリングすることをさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット通信装置により、前記パケット情報に基づいて、前記複数のデータパケットを、前記複数のデータパケットのそれぞれに関連するシーケンス番号により並び替えることをさらに含み、前記複数のデータパケットは、前記第1のパス及び前記第2のパスを介して分割モードで取得された異なるデータパケットを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ソース通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法であって、当該方法は、
ターゲット通信装置に、第1のパスを介して複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して該複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを提供することであって、各データパケットのヘッダは、前記複数のデータパケット間の関連を示す、こと
と、
前記複数のデータパケットを2つ以上の異なるパスを介して前記ターゲット通信装置に通信するために、前記ソース通信装置により、重複モード又は分割モードを選択することであって、該重複モード又は分割モードの選択は、データセッションの開始前又はデータセッションの間に発生する、ことと、
を含み、
前記複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含
み、
前記複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ又は前記データセッションの確立又は更新時に前記ソース通信装置によってネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置のうちの少なくとも1つに送信されるシグナリングメッセージはインジケータを含み、
前記インジケータは、前記ネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置におけるマルチパス機能の有効を示す、方法。
【請求項7】
前記第1のパス又は前記第2のパスの少なくとも1つは、前記ソース通信装置と前記ターゲット通信装置との間の装置間通信に対応し、前記ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、前記ターゲット通信装置における各データパケットのパケット情報と同じである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記重複モードの選択に基づいて、前記ソース通信装置により、前記第1のデータパケットのセットを、前記第1のパスを介してネットワークエンティティにアップリンク送信で通信し、前記第2のデータパケットのセットを前記第2のパスを介して前記ターゲット通信装置に重複データパケットとして通信することをさらに含み、前記重複モードにおいて、前記第1のデータパケットのセットの少なくともペイロードは、前記第2のデータパケットのセットのペイロードと同じである、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記ソース通信装置により、前記第1のデータパケットのセットを、前記第1のパスを介してネットワークエンティティにアップリンク送信で通信し、前記第2のデータパケットのセットを前記第2のパスを介して前記ターゲット通信装置に通信することをさらに含み、前記分割モードにおいて、前記第1のデータパケットのセットのペイロードは、前記第2のデータパケットのセットのペイロードと異なる、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
マルチパス通信を実行するためのターゲット通信装置であって、
ソース通信装置から、2つ以上の異なるパスを介して、複数のデータパケットを取得することであって、該複数のデータパケットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含み、
前記パケット情報は、前記複数のデータパケット間の関連を示し、
前記ソース通信装置における各データパケットのパケット情報は、前記2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、当該ターゲット通信装置における各データパケット内のパケット情報と同じであり、
前記複数のデータパケットは異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む、ことと、
第1のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを、前記パケット情報に基づいて識別することと、
を行うように構成された制御回路を含
み、
前記ソース通信装置から前記2つ以上の異なるパスを介して前記複数のデータパケットを取得するに際して、重複モード又は分割モードが前記ソース通信装置によって選択され、該重複モード又は分割モードの選択は、データセッションの開始前又はデータセッションの間に発生し、
前記複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ又は前記データセッションの確立又は更新時に前記ソース通信装置によってネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置のうちの少なくとも1つに送信されるシグナリングメッセージはインジケータを含み、
前記インジケータは、前記ネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置におけるマルチパス機能の有効を示す、ターゲット通信装置。
【請求項11】
コンピュータ読み取り可能命
令を含むコンピュータプログラ
ムであって、該コンピュータ読み取り可能命令は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法を実行するために、処理ハードウェアを含むコンピュータ装置により実行可能である、コンピュータプログラ
ム。
【請求項12】
コンピュータ読み取り可能命
令を含むコンピュータプログラ
ムであって、該コンピュータ読み取り可能命令は、請求項6乃至
9のいずれか一項に記載の方法を実行するために、処理ハードウェアを含むコンピュータ装置により実行可能である、コンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、無線通信技術の分野に関し、より具体的には、マルチパス通信を実行するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、2つの通信装置間で通信するために用いられ得る無線通信技術が多くある。特定のシナリオでは、2つの通信装置間のデータパケットの通信が中断され得るか又はデータ損失を被り、低スループット及び/又は遅延を経験し得る。例えば、一方の通信装置は、装置間通信における他方の通信装置の通信範囲を越えて移動し、データ通信の中断がもたらされる。別の例では、2つの通信装置間での通信にセルラー通信が用いられ得る。典型的に、セルラーネットワークは装置間通信と比べて、より広いカバレッジエリアを提供する。しかしながら、セルラー通信においてアップリンク及びダウンリンクを介して受信されたデータパケットのシーケンス番号が異なり得るか又はデータパケットが乱れることにより、データが誤ったものになり得る。そのため、宛先装置でのデータパケットの受信は信頼性が低いか、非効率的であるか又は遅延し得る。一般的に、次世代サービス(例えば、V2Xサービス)は厳しいサービス品質要件を有し、無線通信の従来の方法及びシステムを用いてこれを満たすのは困難であり得る。
【0003】
したがって、前述の議論に照らして、データパケットの無線通信のための従来のシステム及び方法に関連する前述の欠点を克服する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、マルチパス通信を実行するための方法、装置及びコンピュータプログラム製品を提供しようとするものである。本開示は、少なくとも2つの通信装置間のデータの非効率で信頼性の低い無線通信という既存の課題に対する解決策を提供しようとするものである。本開示の目的は、従来技術で遭遇する課題を少なくとも部分的に解消する解決策を提供し、データパケットを効率的に且つ信頼性をもって通信することができる改善された方法及び装置を提供することである。
【0005】
本開示の目的は、同封の独立請求項で提供される解決策によって実現される。本開示の有利な実施は従属請求項でさらに定義される。
【0006】
第1の態様では、本開示は、ターゲット通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法を提供する。当該方法は、ソース通信装置から、2つ以上の異なるパスを介して複数のデータパケットを取得することを含み、該複数のデータパケットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。前記パケット情報は前記複数のデータパケット間の関連を示す。前記ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、前記2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、前記ターゲット通信装置における各データパケット内のパケット情報と同じである。前記複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。当該方法は、第1のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを、前記パケット情報に基づいて識別すること、をさらに含む。
【0007】
第1の態様の方法は、2つ以上の異なるパスを介して複数のデータパケットを取得し、さらに、2つ以上の異なるパスのうちのどのパスからどのデータパケットが受信されたかを識別することを可能にする。各データパケットのヘッダ内のパケット情報は、2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく変化しないため、本方法は、マルチパス環境で移動する複数のデータパケット間の相関関係を確立することを可能にする。本方法は、ソース通信装置とターゲット通信装置との間のデータ通信のサービス品質(QoS)を改善する。例えば、2つ以上の異なるパスを介して取得される複数のデータパケットが異なるペイロードを有する異なるデータパケットを含む場合、本方法は、ソース通信装置とターゲット通信装置との間のデータ通信においてデータスループットを改善し、遅延を低減する。2つ以上の異なるパスを介して取得された複数のデータパケットが同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む場合、本方法は、ソース通信装置とターゲット通信装置との間のデータ通信の信頼性を高める。
【0008】
第1の態様の第1の実施では、前記第1のパス又は前記第2のパスのうちの少なくとも1つは、前記ソース通信装置と前記ターゲット通信装置との間の装置間通信に対応する。
【0009】
第1のデータパケットのセット又は第2のデータパケットのセットのうちの少なくとも1つは、装置間通信におけるソース通信装置とターゲット通信装置との間の直接リンクを介して受信され、これは、遅延を減少させ、データ通信の柔軟性を高める。
【0010】
第1の態様の第2の実施の形態では、前記2つ以上の異なるパスのうちの前記第1のパスはセルラー通信パスであり、前記2つ以上の異なるパスのうちの前記第2のパスは、前記装置間通信に対応するサイドリンク通信パスであり、前記ソース通信装置及び前記ターゲット通信装置は、車両、車両内で用いられる電子装置又は携帯型電子装置のうちの少なくとも1つである。
【0011】
セルラー通信パスは広いカバレッジエリアを提供するのに対して、サイドリンク通信パスは空間周波数の再利用を通して容量及びネットワーク性能を高める。そのため、セルラー通信及びサイドリンク通信の両方を用いるマルチパス通信は、2つの通信装置間で強化された信頼性の高い通信を可能にする。
【0012】
第1の態様の第3の実施の形態では、前記方法は、前記ターゲット通信装置において受信された前記複数のデータパケットから、前記パケット情報に基づいて、前記ターゲット通信装置により、重複データパケットをフィルタリングすることをさらに含む。
【0013】
重複データパケットのフィルタリングは、データがターゲット通信装置で最終的に提示された際に複製されないことを確実にする。
【0014】
第1の態様の第4の実施形態では、前記方法は、前記ターゲット通信装置により、前記パケット情報に基づいて、前記複数のデータパケットを、前記複数のデータパケットのそれぞれに関連するシーケンス番号により並び替えることをさらに含み、前記複数のデータパケットは、前記第1のパス及び前記第2のパスを介して分割モードで取得された異なるデータパケットを含む。
【0015】
シーケンス番号により複数のデータパケットを並べ替えることにより、データパケットがソース通信装置によって通信される順序と同じ順序でデータパケットがターゲット通信装置において並べ替えられるのが確かになる。これにより、本方法は、高い信頼性でターゲット通信装置において完全なデータ回復を確実に、データ損失を回避する。
【0016】
第2の態様では、本開示は、ソース通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法を提供する。当該方法は、ターゲット通信装置に、第1のパスを介して複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して該複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを提供することを含む。各データパケットのヘッダは、前記複数のデータパケット間の関連を示す。前記複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。
【0017】
本方法は、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを通信するために2つの異なるパスが用いられるため、データ通信における柔軟性を改善する。第2のパスを介して提供される第2のデータパケットのセットが、第1のパスを介して提供される第1のデータパケットのセットの同じペイロードのコピーを有する重複データパケットの場合、本方法は、マルチパス通信を実行することにより、ソース通信装置とターゲット通信装置との間のデータ通信の信頼性を高める。また、第1のデータパケットのセットが、第2のデータパケットのセットとは異なるペイロードを有する異なるデータパケットの場合、本方法は、マルチパス通信を実行することにより、ソース通信装置とターゲット通信装置との間のデータ通信のデータスループットを改善し、遅延を低減する。
【0018】
第2の態様の第1の実施の形態では、前記第1のパス又は前記第2のパスのうちの1つは、前記ソース通信装置と前記ターゲット通信装置との間の装置間通信に対応し、前記ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、前記2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、前記ターゲット通信装置における各データパケット内のパケット情報と同じである。
【0019】
第1のデータパケットのセット又は第2のデータパケットのセットのうちの少なくとも1つは、装置間通信にあるソース通信装置とターゲット通信装置との間の直接リンクを介して受信されたターゲット通信装置に提供され、これは、遅延を低減し、データ通信の柔軟性を高める。ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、第1のパス及び第2パスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクにかかわらず、ターゲット装置における各データパケット内のパケット情報と同じであるため、本方法はマルチパス環境で移動するデータパケットのエンドツーエンドトラッキング及び相関関係を促進する。
【0020】
第2の態様の第2の実施の形態では、本方法は、前記複数のデータパケットを2つ以上の異なるパスを介して前記ターゲット通信装置に通信するために、前記ソース通信装置により、重複モード又は分割モードを選択することをさらに含み、該重複モード又は分割モードの選択は、データセッションの開始前又はデータセッションの間に発生する。
【0021】
重複モード又は分割を選択する決定は、データ通信における柔軟性を改善する。具体的には、重複モードの選択はデータ通信の信頼性を高めるのに対して、分割モードの選択はスループットを高めることに加えて、データ通信における遅延を低減させる。さらに、データセッションの開始前又はデータセッションの間でも選択が可能なため、フェイルルセーフ通信が確かなものになる。
【0022】
第2の態様の第3の実施の形態では、本方法は、前記重複モードの選択に基づいて、前記ソース通信装置により、前記第1のデータパケットのセットを、前記第1のパスを介してネットワークエンティティにアップリンク送信で通信し、前記第2のデータパケットのセットを前記第2のパスを介して前記ターゲット通信装置に重複データパケットとして通信することをさらに含み、前記重複モードにおいて、前記第1のデータパケットのセットの少なくともペイロードは、前記第2のデータパケットのセットのペイロードと同じである。
【0023】
重複モードにおいて、第1のデータパケットのセットのペイロードは、第2のデータパケットのセットと同じであり、これは、ソース通信装置によって通信される全てのデータパケットがターゲット通信装置で確実に受信され、例えば信号減衰によるデータ損失のリスクが大幅に低減されることを確かなものにする。
【0024】
第2の態様の第4の実施の形態では、本方法は、前記ソース通信装置により、前記第1のデータパケットのセットを、前記第1のパスを介してネットワークエンティティにアップリンク送信で通信し、前記第2のデータパケットのセットを前記第2のパスを介して前記ターゲット通信装置に通信することをさらに含み、前記分割モードにおいて、前記第1のデータパケットのセットのペイロードは、前記第2のデータパケットのセットのペイロードと異なる。
【0025】
分割モードにおいて、第1のデータパケットのセットのペイロードは、第2のデータパケットのセットのペイロードとは異なり、これは、重複モードを介して通信されるデータパケットと比べて、ソース通信により、データがより速い速度でターゲット通信装置に提供されることを確かなものにする。
【0026】
第2の態様の第4の実施の形態では、前記複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ又は前記データセッションの確立又は更新時に前記ソース通信装置によってネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置のうちの少なくとも1つに送信されるシグナリングメッセージはインジケータを含む。前記インジケータは、前記ネットワークエンティティ又は前記ターゲット通信装置におけるマルチパス機能の有効を示す。
【0027】
アクティベーションにより、ネットワークエンティティ(例えば、無線アクセスネットワークノード又はコアネットワークエンティティ)は、それが特定の機能、例えば、各受信データパケットのヘッダのパケット情報の保持を行わなければいけないことを知ることができる。インジケータは、マルチパス環境で移動するデータパケットのエンドツーエンドトラッキング及び相関関係を可能にする。
【0028】
第3の態様では、本開示は、ネットワークエンティティにおいてマルチパス通信を実行するための方法を提供する。本方法は、ソース通信装置から、第1のデータパケットのセットを取得することを含み、該第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。該パケット情報は前記第1のデータパケットのセットの間の関連を示す。本方法は、受信した前記第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、前記パケット情報に基づいて、アップリンクシーケンス番号をダウンリンクシーケンス番号にマッピングすることと、前記パケット情報を含む前記第1のデータパケットのセットの各受信データパケットを、前記ダウンリンクシーケンス番号にマッピングされた前記アップリンクシーケンス番号に基づいて、ターゲット通信装置又はさらなるネットワークエンティティのうちの少なくとも1つに提供することと、を含む。
【0029】
第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、アップリンクシーケンス番号のダウンリンクシーケンス番号へのマッピングすることは、データパケットの乱れの問題に対処する。マッピングの結果として、ダウンリンクデータパケットのために、従来のシーケンス番号導出方法を適用する必要がない。さらに、パケット情報及びマッピングに基づいて、本方法は、ソース通信装置から取得された第1のデータパケットのセットのエンドツーエンドトラッキング及び相関関係を可能にし、さらに、ターゲット通信装置又はさらなるネットワークエンティティ(例えば、別の無線アクセスネットワークノード又はコアネットワークエンティティ)に提供される。
【0030】
前記アップリンクシーケンス番号は、前記ソース通信装置から特定のネットワーク層で受信され、前記アップリンクシーケンス番号は、前記特定のネットワーク層で前記ダウンリンクシーケンス番号にマッピングされる。前記特定のネットワーク層は、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDPC)層、サービスデータ適応プロトコル(SDAP)層又は他のネットワーク層のうちの少なくとも1つである。
【0031】
特定のネットワーク層のアップリンクシーケンス番号(例えば、アップリンクPDCPシーケンス番号)が保持され、特定のネットワーク層のダウンリンクシーケンス番号(例えば、ダウンリンクPDCPシーケンス番号)にマッピングされる。これは、データパケットの乱れの問題に対処し、そのようなデータパケットの正しい順序付けを確かなものにする。
【0032】
第3の態様の第2の実施の形態では、本方法は、前記ネットワークエンティティにより、前記ソース通信装置から受信された前記アップリンクシーケンス番号を、前記第1のデータパケットのセットの各受信データパケットのコアネットワークプロトコルベースヘッダに付加することをさらに含む。本方法は、前記ネットワークエンティティにより、前記付加されたアップリンクSNを含む前記コアネットワークプロトコルベースヘッダを有する前記第1のデータパケットのセットの各受信データパケットをコアネットワークエンティティに通信することをさらに含み、前記付加されたアップリンクシーケンス番号を含む前記コアネットワークプロトコルベースヘッダは、前記コアネットワークプロトコルベースヘッダのヘッダ構造の拡張として、前記付加されたアップリンクシーケンス番号を含む修正されたコアネットワークプロトコルベースヘッダである。
【0033】
データパケットの乱れの問題に対処し、ターゲット通信装置が第1のパスを介して送信されたデータパケットを第2のパスと比較できるようにするために、ネットワークエンティティ(すなわち、ソースネットワークエンティティ)によって取得された各データパケットのコアネットワークプロトコルベースのヘッダが、ソース通信装置から取得されたアップリンクシーケンス番号と共に付加される。
【0034】
第3の態様の第3の実施の形態では、前記コアネットワークプロトコルベースヘッダは、一般パケット無線サービス(GPRS)トンネリングプロトコルユーザプレーン(GTP-U)ヘッダである
【0035】
従来のシステムでは、セルラー通信におけるアップリンク及びダウンリンクを介して受信されたデータパケットのシーケンス番号は潜在的に異なるか又はデータパケットが潜在的に乱される(すなわち、誤った順序になる)。そのため、付加されたアップリンクシーケンス番号を含む修正されたGTP-Uヘッダを用いることにより、データパケットがセルラーネットワークを介して移動する間に、データパケットが乱れる問題が対処される。
【0036】
第3の態様の第4の実施の形態では、本方法は、前記第1のデータパケットのセットの受信データパケットを前記ターゲット通信装置にダウンリンク送信する前に、前記ネットワークエンティティにより、前記受信したアップリンクシーケンス番号を前記複数のデータパケットの各受信データパケットにおけるダウンリンクシーケンス番号として設定することをさらに含む。
【0037】
各データパケットのダウンリンクシーケンス番号は、それぞれのアップリンクシーケンス番号と同じであるため、ダウンリンクデータパケットのために通常のシーケンス番号導出方法を適用する必要はなく、データパケットの信頼性の高いエンドツーエンドトラッキングが通信プロセスを通して確かなものになる。
【0038】
第3の態様の第5の実施の形態では、本方法は、前記第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダにおける又は前記ソース通信装置によって送信されるシグナリングメッセージにおけるインジケータに基づいて、前記ネットワークエンティティにより、マルチパス機能を有効にすることをさらに含む。前記マルチパス機能を有効にすることは、前記ネットワークエンティティで受信された前記第1のデータパケットのセットの各データパケット内のパケット情報を記憶し、該パケット情報を再利用して、各受信パケットを前記ターゲット通信装置にさらに提供すること、又は前記パケット情報を有する前記第1のデータパケットのセットの各データパケットを、前記パケット情報を再利用するさらなるネットワークエンティティにルーティングして、前記ネットワークエンティティ又は別のネットワークエンティティを介して、各受信パケットを前記ターゲット通信装置にさらに提供すること、を含む。
【0039】
ターゲット通信装置が、第1のパス及び第2のパスを介して送信されたデータパケットを比較及び追跡できるようにするために、本方法は、各データパケットのヘッダ内のインジケータを用いることにより、データパケット単位で又はシグナリングメッセージを用いることにより、セッションレベル単位でマルチパス機能を有効にすることを可能にする。
【0040】
第4の態様では、本開示は、マルチパス通信を実行するためのターゲット通信装置を提供する。ターゲット通信装置は、ソース通信装置から、2つ以上の異なるパスを介して、複数のデータパケットを取得するように構成された制御回路を含み、該複数のデータパケットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。前記パケット情報は、前記複数のデータパケット間の関連を示す。前記ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、前記2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、前記ターゲット装置における各データパケット内のパケット情報と同じである。前記複数のデータパケットは異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。制御回路は、第1のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して受信された前記複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを、前記パケット情報に基づいて識別するようにさらに構成されている。
【0041】
第4の態様のターゲット通信装置のさらなる実施の形態では、制御回路は、第1の態様の方法の実施の形態の特徴を行うように構成されている。そのため、ターゲット通信装置の実施の形態は、第1の態様の方法の対応する実施の形態の特徴を含む。
【0042】
第4の態様のターゲット通信装置は、第1の態様の方法の利点及び効果の全てを実現する。
【0043】
第5の態様では、本開示は、マルチパス通信を実行するためのソース通信装置を提供する。ソース通信装置は、ターゲット通信装置に、第1のパスを介して複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して該複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを提供するように構成された制御回路を含み、各データパケットのヘッダは、前記複数のデータパケット間の関連を示すパケット情報を含む。前記複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。
【0044】
第5の態様のソース通信装置のさらなる実施の形態では、制御回路は、第2の態様の方法の実施の形態の特徴を行うように構成されている。そのため、ソース通信装置の実施の形態は、第2の態様の方法の対応する実施の形態の特徴を含む。
【0045】
第5の態様のソース通信装置は、第2の態様の方法の利点及び効果の全てを実現する。
【0046】
第6の態様では、本開示は、マルチパス通信を実行するためのネットワークエンティティを提供する。ネットワークエンティティは、ソース通信装置から、第1のデータパケットのセットを取得するように構成されたエンティティ制御回路を含み、該第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含み、該パケット情報は前記第1のデータパケットのセットの間の関連を示す。エンティティ制御回路は、前記第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、前記パケット情報に基づいて、アップリンクシーケンス番号をダウンリンクシーケンス番号にマッピングするようにさらに構成されている。エンティティ制御回路は、前記パケット情報を含む前記第1のデータパケットのセットの各受信データパケットを、前記ダウンリンクシーケンス番号にマッピングされた前記アップリンクシーケンス番号に基づいて、ターゲット通信装置又はさらなるネットワークエンティティのうちの少なくとも1つに提供するようにさらに構成されている。
【0047】
第6の態様のネットワークエンティティのさらなる実施の形態では、制御回路は、第3の態様の方法の実施の形態の特徴を行うように構成されている。そのため、ネットワークエンティティの実施の形態は、第2の態様の方法の対応する実施の形態の特徴を含む。
【0048】
第6の態様のネットワークエンティティは、第3の態様の方法の利点及び効果の全てを実現する。
【0049】
第7の態様では、本開示は、コンピュータ読み取り可能命令が記憶された非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品を提供し、該コンピュータ読み取り可能命令は、第1の態様、第2の態様又は第3の態様の前述の方法を実行するために、処理ハードウェアを含むコンピュータ装置により実行可能である。
【0050】
第7の態様のコンピュータプログラム製品は、第1の態様、第2の態様又は第3の態様の方法の利点及び効果の全てを実現する。
【0051】
なお、本願で説明する全ての装置、要素、回路、ユニット及び手段は、ソフトウェア若しくはハードウェア要素又はその任意の種類の組み合わせで実施され得る。本願で説明する様々なエンティティによって行われる全てのステップ及び様々なエンティティによって行われると説明される機能は、各エンティティがそれぞれのステップ及び機能を行うように適合されるか又は構成されることを意味することを意図している。以下の特定の実施形態の説明において、外部エンティティによって行われる特定の機能又はステップが、その特定のステップ又は機能を行うそのエンティティの特定の詳細な要素の説明に反映されない場合でも、これらの方法及び機能は、それぞれのソフトウェア又はハードウェア要素又はその任意の種類の組み合わせで実施可能であることは、当業者には明らかなはずである。本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み合わされることが可能であることが理解される。
【0052】
本開示の追加の態様、利点、特徴及び目的は、下記の添付の特許請求の範囲に関連して解釈される例示の実施の図面及び詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
上記の概要及び下記の例示の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでよりよく理解される。本開示を説明するために、本開示の例示の構成を図面に示す。しかしながら、本開示は、本明細書に開示の特定の方法及び手段に限定されない。さらに、当業者は、図面が縮尺通りではないことを理解するであろう。可能な限り、同様の要素は同じ符号で示されている。
【0054】
以下の図を参照して、本開示の実施形態を一例として以下で説明する。
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る、ターゲット通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係る、ソース通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係る、ネットワークエンティティにおいてマルチパス通信を実行するための方法のフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、本開示の一実施形態に係る、ソース通信装置及びターゲット通信装置を備えたシステムのネットワーク環境図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の一実施形態に係る、重複モードを介したデータ通信を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の一実施形態に係る、分割モードを介したデータ通信を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、本開示の一実施形態に係る、ソース通信装置の様々な例示のコンポーネントを示すブロック図である。
【
図4E】
図4Eは、本開示の一実施形態に係る、ターゲット通信装置の様々な例示のコンポーネントを示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る、セルラネットワークの様々なノードを有するシステムのネットワーク環境図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る、ネットワークエンティティの様々な例示のコンポーネントを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係る、ネットワーク層とのマルチパス通信を実行するための例示のシナリオの説明図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に係る、異なる無線アクセス技術を介したマルチパス通信の実行のための例示のシナリオの説明図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に係る、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)層でのパケット重複及び分割によるマルチパス通信の実行のための例示のシナリオの説明図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態に係る、一般パケット無線サービス(GPRS)トンネリングプロトコルユーザプレーン(GTP-U)ヘッダの例示の構造の説明図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に係る、プロトコルデータユニット(PDU)セッション確立の手順の一部を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態に係る、データパケットのヘッダの例示のインジケータの説明図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施形態に係る、車両間(V2V)マルチパス通信を示す例示のシナリオの説明図である。 添付の図面において、下線付きの数字は、下線付きの数字の位置の上にあるアイテム又は下線付き数字に隣接するアイテムを表すために用いられる。下線なしの数字は、下線なしの数字とアイテムを結ぶ線によって特定されるアイテムに関するものである。数字に下線がなく、関連する矢印を伴う場合、下線のない数字は、矢印が指す一般的なアイテムを特定するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下の詳細な説明は、本開示の実施形態及びそれらを実施するための方法を例示する。本開示を行うためのいくつかのモードが開示されているが、当業者は、本開示を行うか又は実施するための他の実施形態も可能であることを認識するであろう。
【0056】
図1は、本開示の一実施形態に係る、ターゲット通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法100のフローチャートである。方法100は、例えば、
図4Aに記載のターゲット通信装置によって実行される。方法100はステップ102及び104を含む。
【0057】
ステップ102では、2つ以上の異なるパスを介して、ソース通信装置から複数のデータパケットが取得される。2つ以上の異なるパスの各パスは、少なくとも無線アクセス技術、通信プロトコル、無線リンク、インターフェイス又はそれらの組み合わせの使用において他のパスとは異なる。1つの例では、2つ以上の異なるパスは、セルラー通信パス及びサイドリンク通信パスを参照し得る。別の例では、2つ以上の異なるパスは異なる装置間通信を参照し得る。複数のデータパケットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。パケット情報は、複数のデータパケット間の関連を示す。別の言い方をすれば、パケット情報は、2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、複数のデータパケットをリンクする。ソース通信装置における各データパケット内のパケット情報は、2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクにかかわらず、ターゲット装置における各データパケット内のパケット情報と同じである。複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。
【0058】
ステップ104で、第1のパスを介して受信された複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して受信された複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとが、パケット情報に基づいて識別される。1つの例では、パケット情報は(例えば、分割データパケット又は重複データパケットのための)パケット識別子又はソース通信装置からターゲット通信装置への複数のデータパケットによって横断されるパスに関係なく、複数のデータパケットの各データパケットのヘッダに記憶される(すなわち、維持される)シーケンス番号であり得る。そのようなパケット情報は、ターゲット通信装置において、どのデータパケットが2つ以上の異なるパスのうちのどのパスから受信されたかを識別するために用いられる。
【0059】
一実施形態によれば、第1のパス又は第2のパスのうちの一方は、ソース通信装置とターゲット通信装置との間の装置間通信に対応する。あるいは、2つ以上の異なるパスのうちの第1のパスはセルラー通信パスであり、2つ以上の異なるパスのうちの第2のパスは装置間通信に対応するサイドリンク通信パスである。とりわけ、セルラー通信パスはサイドリンク通信パスとは異なる伝送特性を有する。例えば、セルラー通信パスは、サイドリンク通信パスよりも良好な信号カバレッジエリアを提供するのに対して、サイドリンク通信パスは、空間周波数再利用を介して、遅延を減少させ、容量及びネットワーク性能を高める。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)で規定されているように、V2X(vehicle-to-everything)サービス等の次世代サービスは厳しいクオリティオブサービス(QoS)要求を有する。そのため、目標のQoS要求を実現するために、2つ以上の異なるパスがデータ通信のために同時に利用され得る。第1のパス及び第2のパスの他の例は、例えば
図4Aに記載されている。
【0060】
一実施形態によれば、方法100は、ターゲット通信装置において受信された複数のデータパケットから、パケット情報に基づいて、ターゲット通信装置により、重複データパケットをフィルタリングすることをさらに含む。ターゲット通信装置によって取得された複数のデータパケットが重複データパケットを含む場合、第1のデータパケットのセット又は第2のデータパケットのセット内の冗長データパケットは、ターゲット通信装置における最終的な提示(すなわち、ユーザ消費のための出力)の前に除去される。1つの例では、重複データパケットのフィルタリングは、ターゲット通信装置内の無線プロトコルスタックのアプリケーション層、コンバージェンス層(車両の場合はV2X層)又はパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)層等の特定のネットワーク層(プロトコル層とも呼ばれる)で実行される。
【0061】
一実施形態によれば、方法100は、ターゲット通信装置により、パケット情報に基づいて、複数のデータパケットを、複数のデータパケットのそれぞれに関連するシーケンス番号により並び替えることをさらに含み、複数のデータパケットは、第1のパス及び第2のパスを介して分割モードで取得された異なるデータパケットを含む。ターゲット通信装置によって取得された複数のデータパケットが異なるデータパケットを含む場合、専用のシーケンス番号を含むパケット情報が各データパケットでチェックされ、その結果、複数のデータパケットは、ターゲット通信装置における最終的な提示(すなわち、ユーザ消費のための出力)の前に、順番に整列される。第1のパスを介して受信された第1のデータパケットのセット及び第2のパスを介して同時に受信された第2のデータパケットのセットは、データ通信のデータスループットを改善し、遅延を低下させる。
【0062】
ステップ102及び104は例示にすぎず、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ以上のステップが追加されるか、1つ以上のステップが取り除かれるか又は1つ以上のステップが異なる順序で提供される他の代替案も提供可能である。
【0063】
図2は、本開示の一実施形態に係る、ソース通信装置においてマルチパス通信を実行するための方法200のフローチャートである。方法200は、例えば、
図4Aに記載のソース通信装置によって実行される。
【0064】
ステップ202では、ターゲット通信装置に、第1のパスを介して複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパスを介して該複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとが提供される。別の言い方をすれば、複数のデータパケットをターゲット通信装置に提供するために、ソース通信装置でマルチパス通信が実行される。マルチパス通信は、データを通信するために、各パスは、少なくとも無線アクセス技術、通信プロトコル、無線リンク、インターフェイス又はそれらの組み合わせの使用において他のパスと異なる、共通の宛先装置(この場合は、ターゲット通信装置等)への2つ以上の異なるパスを介したデータの通信をいう。例えば、テキスト、オーディオ、ビデオ又は他のメディア又はそれらの組み合わせ等のデータアイテムが、ソース通信装置からターゲット通信装置に通信され得る。そのようなデータアイテムは、複数のデータパケットにセグメント化される。複数のデータパケットの各データパケットのヘッダは、複数のデータパケット間の関連を示すパケット情報を含む。例えば、パケット情報は、複数のデータパケットが同じのデータアイテムに属することを示し、データパケットが重複データパケットであるか又は分割データパケットであるかを示す。別の言い方をすれば、パケット情報は、ソース通信装置からターゲット通信装置へと第1のデータパケットのセット及び第2のデータパケットのセットによって横断される異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、複数のデータパケットをリンクする。複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット(すなわち、分割データパケット)又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。重複データパケット及び分割データパケットは、例えば、
図4B及び
図4Cでそれぞれさらに記載されている。
【0065】
一実施形態によれば、第1のパス又は第2のパスのうちの少なくとも1つは、ソース通信装置とターゲット通信装置との間の装置間通信に対応する。例えば、第1のパスはセルラー通信パスであり、第2のパスは装置間通信に対応するサイドリンク通信パスであり得る。第1のパスがセルラー通信パスである場合、複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットは、セルラインターフェイス(例えば、Uuインターフェイス)を介して通信される。第2のパスがサイドリンク通信パスの場合、複数のデータパケットの第2のデータパケットのセットはサイドリンクインターフェイス(例えば、PC5又はPC3インターフェイス)又は装置間通信のために構成された他のインターフェイスを介して通信される。ソース通信装置は、セルラインターフェイス及びサイドリンクインターフェイスの両方をサポートし得る。あるいは、第1のパス及び第2のパスは、異なる装置間通信(例えば、IEEE802.11p(専用短距離通信(DSRC)又は道路輸送及び交通テレマティクス専用のインテリジェントトランスポートシステム(ITS)-G5)、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)、Wi-Fiダイレクト、ロングタームエボリューション(LTE)ダイレクト、5GNR(new radio)ベースの装置間通信等)を参照し得る。
【0066】
一実施形態によれば、方法200は、複数のデータパケットを2つ以上の異なるパスを介してターゲット通信装置に通信するために、ソース通信装置により、重複モード又は分割モードを選択することをさらに含む。重複モード又は分割モードの選択は、データセッションの開始前又はデータセッションの間に発生する。任意で、重複モード又は分割モードのうちの一方は、ソース通信装置においてデフォルトとして設定される。任意で、重複モード又は分割モードの選択は、ソース通信装置に提供されるユーザ入力に基づいて行われる。あるいは、選択は、通信されるデータ(又はデータアイテム)の種類又はサイズに基づいて自動的に行われる。重複モードでは、同じペイロードのコピーを有する重複データパケットが、少なくとも2つの異なるパスを介して通信され、全てのデータパケットが確実にターゲット通信装置の等の共通の宛先に到達するようにする。重複モードは、データ通信の信頼性を高める無線リンクの冗長性を可能にする。分割モードでは、複数のデータパケットは、第1のデータパケットのセット及び第2のデータパケットのセットに分割され、各データパケットは異なるペイロードを有する。その後、第1のデータパケットのセット及び第2のデータパケットのセットが、少なくとも2つの異なるパスを介して、ソース通信装置からターゲット通信装置等の共通の宛先に提供される。
【0067】
一実施形態によれば、本方法200は、重複モードの選択に基づいて、ソース通信装置により、第1のデータパケットのセットを、第1のパスを介してネットワークエンティティにアップリンク送信で通信し、第2のデータパケットのセットを第2のパスを介してターゲット通信装置に重複データパケットとして通信することをさらに含む。この場合、重複モードにおいて、第1のデータパケットのセットの少なくともペイロードは、第2のデータパケットのセットのペイロードと同じである。あるいは、方法200は、ソース通信装置により、第1のデータパケットのセットを、第1のパスを介してネットワークエンティティにアップリンク送信で通信し、第2のデータパケットのセットを第2のパスを介してターゲット通信装置に通信することをさらに含む。この場合、分割モードにおいて、第1のデータパケットのセットのペイロードは第2のデータパケットのセットのペイロードとは異なる。第1のパスがセルラー通信パスの場合、第1のデータパケットのセットは、基地局等のネットワークエンティティにアップリンク送信で通信される。任意で、第1のデータパケットのセットは、異なる種類の通信プロトコルが用いられるソース無線アクセスネットワークノード(例えば、基地局)、コアネットワークエンティティ又はターゲット無線アクセスネットワークノード等の様々なネットワークエンティティを通過する。これは、あるノードから別のネットワークノードで異なるヘッダ及び識別子が用いられ得ることを意味する。従来の方法及びシステムとは対照的に、複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ内のパケット情報は、第1のパス及び第2のパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンク及び第1のデータパケットのセットによって横断される異なるネットワークノードに関係なく、各データのヘッダにおいて変更されない追加の制御情報である。
【0068】
一実施形態によれば、複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ又はデータセッションの確立又は更新時にソース通信装置によってネットワークエンティティ又はターゲット通信装置のうちの少なくとも1つに送信されるシグナリングメッセージはインジケータを含む。インジケータは、ネットワークエンティティ又はターゲット通信装置におけるマルチパス機能の有効を示す。シグナリングメッセージは、制御プレーンシグナリング又は他のシグナリングメッセージを指し得る。1つの例では、インジケータは、ソース通信装置における特定のネットワーク層(例えばPDCP層ヘッダ)の少なくとも1つの予備フィールド内のデータパケットに設定され得るバイナリビット値(「0」又は「1」)からの特定のビット値(例えば、ビット値「1」)であり得る。特定のビット値は、マルチパス機能を有効にすべきことをネットワークエンティティ又はターゲット通信装置に伝達するフラグとして機能する。インジケータの一例を
図12にさらに記載する。マルチパス機能の有効化は、インジケータを有するデータパケットに特定の処理を提供する必要があることを示す。特定の処理は、構成変更又はネットワーク機能を指し、これは、ネットワークエンティティ(例えば、基地局)で受信された複数のデータパケットの各データパケットのヘッダにパケット情報を格納(又は維持)し、パケット情報を再利用して、各受信パケットをターゲット通信装置にさらに提供することを可能にする。
【0069】
ステップ202は例示にすぎず、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ以上のステップが追加されるか、1つ以上のステップが取り除かれるか又は1つ以上のステップが異なる順序で提供される他の代替案も提供可能である。
【0070】
図3は、本開示の一実施形態に係る、ネットワークエンティティにおいてマルチパス通信を実行するための方法300のフローチャートである。方法300は、例えば、
図6に記載のネットワークエンティティによって実行される。方法300はステップ302~306を含む。
【0071】
ステップ302では、ソース通信装置から、第1のデータパケットのセットが取得される。例えば、第1のデータパケットのセットは、セルラー通信パスを介して取得される。第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。パケット情報は第1のデータパケットのセットの間の関連を示す。
【0072】
ステップ304では、受信された第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、前記パケット情報に基づいて、アップリンクシーケンス番号がダウンリンクシーケンス番号にマッピングされる。一実施形態によれば、アップリンクシーケンス番号は、ソース通信装置から特定のネットワーク層で受信される。アップリンクシーケンス番号は特定のネットワーク層でダウンリンクシーケンス番号にマッピングされる。特定のネットワーク層は、PDCP層、サービスデータ適応プロトコル(SDAP)層又は他のネットワーク層のうちの少なくとも1つである。例えば、ネットワークエンティティ(ソースネットワークアクセスノード)は、データパケットの誤った順番を正し、ターゲット通信装置がサイドリンク通信パスを介して受信されたデータパケットをセルラー通信パスを介して受信されたデータパケットと比較(又は整合)することができるようにするために、アップリンクPDCPシーケンス番号をダウンリンクPDCPシーケンス番号にマッピングを行うように構成され得る。そのため、この場合、ネットワークエンティティ(又はターゲットネットワークエンティティ)はダウンリンクデータパケットのために従来のPDCPシーケンス導出方法を適用する必要はない。
【0073】
ステップ202は例示にすぎず、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ以上のステップが追加されるか、1つ以上のステップが取り除かれるか又は1つ以上のステップが異なる順序で提供される他の代替案も提供可能である。
【0074】
任意で、本方法300は、ネットワークエンティティにより、ソース通信装置から受信されたアップリンクシーケンス番号(SN)を、第1のデータパケットのセットの各受信データパケットのコアネットワークプロトコルベースヘッダに付加することをさらに含む。本方法は、ネットワークエンティティにより、付加されたアップリンクSNを含むコアネットワークプロトコルベースヘッダを有する第1のデータパケットのセットの各受信データパケットをコアネットワークエンティティに通信することをさらに含む。付加されたアップリンクSNを含むコアネットワークプロトコルベースヘッダは、コアネットワークプロトコルベースヘッダのヘッダ構造の拡張として、付加されたアップリンクSNを含む修正されたコアネットワークプロトコルベースヘッダである。任意で、コアネットワークプロトコルベースヘッダは、一般パケット無線サービス(GPRS)トンネリングプロトコルユーザプレーン(GTP-U)ヘッダである。GTP-Uヘッダの一例を、例えば、
図10に記載する。あるいは、第1のデータパケットのセットはコアネットワークエンティティに転送されなくてもよく、ダウンリンク送信においてネットワークエンティティからターゲット通信装置に直接通信され得る。任意で、第1のデータパケットのセットはコアネットワークエンティティに転送されなくてもよく、ターゲット無線アクセスノード等のさらなるネットワークエンティティに転送され、それがその後に、ダウンリンク送信において、第1のデータパケットのセットをターゲット通信装置に転送する。このような場合、コアネットワークプロトコルベースヘッダは用いられなくてもよく。
【0075】
一実施形態によれば、本方法300は、第1のデータパケットのセットの受信データパケットをターゲット通信装置にダウンリンク送信する前に、ネットワークエンティティにより、読み出されたアップリンクシーケンス番号を複数のデータパケットの各受信データパケットにおけるダウンリンクSNとして設定することをさらに含む。
【0076】
一実施形態によれば、本方法300は、第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダにおける又はソース通信装置によって送信されるシグナリングメッセージにおけるインジケータに基づいて、ネットワークエンティティにより、マルチパス機能を有効にすることをさらに含む。データパケットのヘッダ内のインジケータの例は、例えば、
図12に記載されている。セッションにおけるシグナリングメッセージの例は、例えば、
図11に記載されている。マルチパス機能を有効にすることは、ネットワークエンティティで受信された第1のデータパケットのセットの各データパケット内のパケット情報を記憶(又は維持)し、該パケット情報を再利用して、各受信パケットをターゲット通信装置にさらに提供することを含む。あるいは、マルチパス機能を有効にすることは、パケット情報を有する前記第1のデータパケットのセットの各データパケットを、パケット情報を再利用するさらなるネットワークエンティティにルーティングして、ネットワークエンティティ又は別のネットワークエンティティを介して、各受信パケットをターゲット通信装置にさらに提供することを含む。
【0077】
ステップ302、304及び306は例示にすぎず、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ以上のステップが追加されるか、1つ以上のステップが取り除かれるか又は1つ以上のステップが異なる順序で提供される他の代替案も提供可能である。
【0078】
図4Aは、本開示の一実施形態に係る、マルチパス通信を実行するためのシステム400Aのネットワーク環境を示すブロック図である。
図4Aを参照して、ソース通信装置402及びターゲット通信装置404を含むシステム400Aのネットワーク環境を示す。第1のパス406及び第2のパス408をさらに示す。ソース通信装置402及びターゲット通信装置404は、第1のパス406及び第2のパス408等の2つ以上の異なるパスを介して互いに通信を確立するように構成され得る。
【0079】
ソース通信装置402及びターゲット通信装置404のそれぞれは、2つ以上の異なるパスを介してデータを通信(送受信)するように構成された適切な論理、回路、インターフェイス及び/又はコードを含み得る。一実施形態によれば、ソース通信装置402及びターゲット通信装置404のそれぞれは、車両、車両内で用いられる電子装置(例えば、電子制御ユニット(ECU)、車両内インフォテイメント(IVI)システム又は車載装置)又は携帯型電子装置(例えば、スマートフォン、ドローン、モノのインターネット(IoT)装置、マシン型通信(MTC)装置、ハンドヘルドコンピュータ装置、進化ユニバーサル移動通信システム(UMTS)地上無線アクセス(E-UTRAN)NRデュアル接続(EN-DC)装置又は無線通信のための任意の他のカスタム化されたハードウェア)のうちの少なくとも1つである。車両は、非自律走行、半自律走行又は自律走行車両であり得る。
【0080】
マルチパス通信は、2つ以上の異なるパスを介した共通の宛先装置へのデータ通信を指し、各パスは、データを通信するために、少なくとも無線アクセス技術、通信プロトコル、無線リンク、インターフェイス又はそれらの組み合わせの使用で、他のパスとは異なる。そのため、第1のパス406は、第2のパス408とは、データを通信するために用いる無線アクセス技術、1つ以上の通信プロトコル、無線リンク及び/又はインターフェイスが異なる。
【0081】
一実施形態では、第1のパス406はセルラー通信パス(すなわち、セルラネットワークベースの通信)であり得るのに対して、第2のパス408はサイドリンク通信パス(すなわち、装置間通信)であり得る。セルラーネットワークベースの通信の例としては、限定されないが、第5世代(5G)又は5GNR(例えば、サブ6GHz、cmWave又はmmWave通信)、ロングタームエボリューション(LTE)、4G、3G又は2Gが挙げられる。ソース通信装置402又はターゲット通信装置404が車両又は車両で用いられる電子装置の場合、そのようなセルラーネットワークベースの通信は、例えば、移動体広帯域スペクトルでUuインターフェイスを用いることにより動作するV2N(vehicle-to-network)通信であり得る。Uuインターフェイスは、通信装置と無線アクセスネットワークとの間の無線インターフェイスを指す。この例では、第1のパス406は、データを通信するために異なる無線アクセス技術、通信プロトコル、無線リンク及びインターフェイス(例えば、Uuインターフェイス)を有するセルラネットワークを用いるのに対して、第2のパス408は、セルラネットワークから独立した装置間通信を用いる。装置間通信は、スペクトルの利用及び容量を改善し、ネットワークの性能及びスループットを高める。装置間通信の例としては、限定されないが、IEEE802.11p、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)、Wi-Fiダイレクト、LTEダイレクト、インバンド装置間通信、アウトバンド装置間通信又はプロキシミティベースサービス(Prose)ベースの装置間通信が挙げられる。装置間通信は、インバンド装置間通信として知られているセルラーシステムで行われ得るか又はアウトバンド装置間通信として知られているアンライセンススペクトルで行われてもよい。装置間通信はソース通信装置402とターゲット通信装置404との間の直接通信であり、異なるインターフェイス(例えば、PC5インターフェイス、PC3インターフェイス又は他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)ベースのインターフェイス)を介して潜在的に実現され得る。
【0082】
別の例では、第1のパス406はIEEE802.11pを用いり得るのに対して、第2のパス408は5G-V2X通信又は(PC5を介した)LTE-V2X通信を用いり得る。さらに別の例では、第1のパス406及び第2のパス408は、第1のパス406がLTE PC5を用いり得るのに対して、第2のパス408はNR PC5を用いり得るといった、異なる装置間通信を用いり得る。さらに別の例では、第1のパス406はWi-Fiベースの通信を用いり得るのに対して、第2のパス408はPC5インターフェイスベースの装置間通信を用いり得る。
【0083】
動作時に、ソース通信装置402のユーザは、ターゲット通信装置404とデータ通信したいと望み得る。一実施形態によれば、ソース通信装置402は、複数のデータパケットを2つ以上の異なるパスを介してターゲット通信装置404に通信するために、重複モード又は分割モードを選択するように構成されている。重複モード又は分割モードの選択は、データセッションの開始前又はデータセッションの間に起こる。重複モード及び分割モードは、例えば
図4B及び
図4Cでそれぞれ詳細に説明されている。
【0084】
ソース通信装置402は、第1のパス406を介して複数のデータパケットから第1のデータパケットのセットと、第2のパス408を介して複数のデータパケットから第2のデータパケットのセットとをターゲット通信装置404に提供するようさらに構成されている。複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット(例えば、分割モードが選択された場合)又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケット(例えば、重複モードが選択された場合)を含む。各データパケットのヘッダは、複数のデータパケット間の関連を示すパケット情報を含む。
【0085】
任意で、ソース通信装置402は、第2のパス408を介して、第2のデータパケットのセットをマルチホッププロセスでターゲット通信装置404に提供するように構成されている。例えば、ターゲット通信装置404がソース通信装置402から特定の装置間通信範囲を越えて移動したとしても、第1のデータパケットのセットは、装置間通信にある複数の通信装置を通過して、ターゲット通信装置404等の宛先装置に最終的に到達し得る。例えば、ソース通信装置102は「A」であり、ターゲット通信装置は「D」である。「B」及び「C」は中間通信装置である。「B」は、「A」及び「C」からの装置間通信範囲にあり得るが、「D」からの範囲内にはない。「C」は、「B」及び「D」からの装置間通信範囲にあり得るが、「C」からの範囲内にはない。そのため、このような場合、「A」は、AからBからCからDという方法で第2のデータパケットのセットを「D」に提供できるのに対して、「D」の場合は、セルラー通信の広いカバレッジエリアにより、セルラー通信パスを介して第1のデータパケットのセットをダウンリンク送信で取得し得る。
【0086】
ターゲット通信装置404は、ソース通信装置402から、2つ以上の異なるパスを介して複数のデータパケットを取得するように構成されている。とりわけ、複数のデータパケットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。パケット情報は、複数のデータパケット間の関連を示す。ソース通信装置402における各データパケット内のパケット情報は、2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、ターゲット通信装置404における各データパケット内のパケット情報と同じである。複数のデータパケットは、異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。ターゲット通信装置404は、第1のパス406を介して受信された複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2のパス408を介して受信された複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを、パケット情報に基づいて識別するようさらに構成されている。
【0087】
図4Bは、本開示の一実施形態に係る、重複モードを介したデータ通信を示すブロック図である。
図4Bは、
図4Aの要素に関連して説明される。
図4Bを参照して、重複モードでのデータ通信を示す例示のシナリオ400Bを示す。ソース通信装置402、ターゲット通信装置404、第1のパス406、第2のパス408、第1のデータパケット410a、412a及び414aのセット及び第2のデータパケット410b、412b及び414bのセットをさらに示す。
【0088】
マルチパス通信のために2つのモード(又はオプション)がある。2つのモードは、重複モード及び分割モードと呼ばれる。重複モードは、データ通信の信頼性を高める無線リンクの冗長性を可能にする。重複モードでは、同じペイロードのコピーを有する重複データパケットは、全てのデータパケットがターゲット通信装置404等の共通の宛先に確実に到達するように、少なくとも2つの異なるパスを介して通信される。分割モードでは、スループットを高め、遅延を低下させるために、異なるペイロードを有する異なるデータパケットが、少なくとも2つの異なるパスを介して、ターゲット通信装置404等の共通の宛先に同時に提供される。つまり、スループットを高め、遅延を低下させるために、複数のデータパケットのうちの一部のデータパケットは1つのパスを介して通信されるのに対して、一部の他のデータパケットは別のパスを介して同時に通信される。
【0089】
一実施形態によれば、ソース通信装置402は、複数のデータパケットを2つ以上の異なるパスを介してターゲット通信装置404に通信するために重複モードを選択するように構成されている。重複モードの選択は、データセッションの開始前、すなわち、データパケットの送信の開始前又はデータセッションの間に起こる。重複モードの選択に基づいて、ソース通信装置402は、第1のデータパケット410a、412a、及び414aのセットを第1のパス406を介して提供するように構成されている。ソース通信装置402は、重複モードの選択に基づいて、第2のパス408を介して、第2のデータパケット410b、412b及び414bのセットを重複データパケットとしてターゲット通信装置404に提供するように構成されている。このような場合、重複モードにおいて、第1のデータパケット410a、412a、及び414aのセットの少なくともペイロードは、第2のデータパケット410b、412b及び414bのセットのペイロードと同じである。第1のデータパケット410a、412a及び414aのセットのデータパケット及び第1のデータパケット410a、412a及び414aのセットの重複データパケット(すなわち、第2のデータパケット410b、412b及び414bのセット)は順次送信される(
図4Bにおいて、連続番号1、2及び3によっても表される)。
【0090】
例示の実施では、ターゲット通信装置404は、パケット情報に基づいて、ターゲット通信装置404で受信された複数のデータパケットからの重複データパケットをフィルタリングするように構成されている。そのため、データに誤りがないようにするために、ターゲット通信装置404によって潜在的に取得される第1のデータパケット410a、412a及び414aのセット及び第2のデータパケット410b、412b及び414bのセットにおける冗長データパケットがフィルタリングされる。重複モードを介したこのようなマルチパス通信は、単一のパスを介した通信よりもより良好な信頼性を得るのに有利である。
【0091】
図4Cは、本開示の一実施形態に係る、分割モードを介したデータ通信を示すブロック図である。
図4Cは、
図4A及び
図4Bからの要素に関連して説明されている。
図4Cを参照して、分割モードでのデータ通信を示す例示のシナリオ400Cを示す。分割モードでは、複数のデータパケットは、第1のパス406を介して通信される第1のデータパケット416、420及び424のセットと、第2のパス408を介して通信される第2のデータパケット418、422及び426のセットに分割される。分割モードでは、第1のデータパケット416、420及び424のセットのペイロードは、第2のデータパケット418、422及び426のセットのペイロードとは異なる。1つの例では、
図4Cに示すように、合計6つのデータパケット416、418、420、422、424及び426がターゲット通信装置404に提供される場合、スループットを高め、遅延を低下させるために、複数のデータパケットが分割され、2つのパス(すなわち、第1のパス406及び第2のパス408)を介して同時に通信される。データパケットの送信シーケンスは、連続番号1、2、3、4、5及び6によっても表される。重複モード又は分割モードの選択は、ソース通信装置402とターゲット通信装置404との間の通信のQoSを改善するために、ソース通信装置402によってなされ得る。
【0092】
図4Dは、本開示の一実施形態に係る、ソース通信装置の様々な例示のコンポーネントを示すブロック図である。
図4Dは、
図4A、
図4B及び
図4Cからの要素に関連して説明される。
図4Dを参照して、ソース通信装置402が示される。ソース通信装置402は、制御回路428、トランシーバ430、1つ以上のインターフェイス432、入出力(I/O)装置434及びメモリ436を含む。制御回路428は、トランシーバ430、1つ以上のインターフェイス432、I/O装置434及びメモリ436に通信可能に連結され得る。ソース通信装置402が車両の場合、制御回路428は、車両エリアネットワーク(VAN)及び/又はコントローラエリアネットワーク(CAN)バス等の車内バス等を介して、ソース通信装置402の様々なコンポーネントに通信可能に連結される。
【0093】
すでに上述したように、この及び以下の実施形態における制御回路は、専用ソフトウェア又は専用ハードウェア回路を実行する汎用プロセッサであり得る。
【0094】
制御回路428は、2つ以上の異なるパスを介して複数のデータパケットをターゲット通信装置404に提供するように構成されている。一実施では、制御回路428は、メモリ436に記憶された命令を実行するように構成されている。制御回路428の例としては、限定されないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複雑命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)プロセッサ、縮小命令セット(RISC)プロセッサ、超長命令ワード(VLIW)プロセッサ、中央処理装置(CPU)、状態マシン、データ処理装置及び他のプロセッサ又は回路が挙げられる。さらに、制御回路428は、1つ以上の個々のプロセッサ、処理装置、機械の一部である処理ユニットを指し得る。
【0095】
トランシーバ430は、2つ以上の異なるパスを介して、無線アクセスネットワークノード(例えば、基地局)又はターゲット通信装置404等の1つ以上の外部装置と通信するように構成され得る、好適な論理、回路及び/又はインターフェイスを含み得る。トランシーバ430の例としては、限定されないが、アンテナ、テレマティクスユニット、無線周波数(RF)トランシーバ、1つ以上の増幅器、1つ以上の発振器、デジタル信号プロセッサ、コーダ-デコーダ(CODEC)チップセット及び/又は加入者識別モジュール(SIM)カードが挙げられる。トランシーバ430は、(
図4Aに記載のように)第1のパス406及び第2のパス408の様々な通信プロトコルを用いることにより無線通信を行い得る。
【0096】
1つ以上のインターフェイス432は、サイドリンクインターフェイス及びセルラインターフェイスを指し得る。サイドリンクインターフェイスの例としては、限定されないが、PC5インターフェイス、PC3インターフェイス又は装置間通信を可能にする他のインターフェイスが挙げられる。セルラインターフェイスの例としては、限定されないが、Uuインターフェイスが挙げられる。例示の実施では、同じ統一されたインターフェイスを介して2つ以上のパスへの通信を可能にする統一されたインターフェイスが提供され得る。
【0097】
I/O装置434は、ユーザからの入力を受け取り、ユーザに出力を提供することができる入力及び出力装置を指す。I/O装置434は、制御回路428に通信可能に連結され得る。入力装置の例としては、限定されないが、ディスプレイ装置のタッチスクリーン等のタッチスクリーン、マイクロホン、運動センサ、光センサ、専用ハードウェア入力ユニット(押しボタン等)及びドッキングステーションが挙げられる。出力装置の例としては、ディスプレイ装置及びスピーカが挙げられる。ディスプレイ装置の例としては、限定されないが、車両ディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ(HUD)、拡張現実システム(AR-HUD)、ドライバ情報コンソール(DIC)のディスプレイスクリーン、インフォテインメントユニット又はヘッドユニット(HU))、スマートクラスディスプレイ、ポータブル装置のディスプレイスクリーン又は他のディスプレイスクリーン等の非車両ディスプレイが挙げられる。
【0098】
メモリ436は、制御回路428によって実行可能な少なくとも1つのコードセクションを有するマシンコード及び/又は命令を記憶するように構成され得る好適な論理、回路及び/又はインターフェイスを含み得る。メモリ436は、ソース通信装置402のアプリケーション層への提示及び処理のために複数のデータパケットを記憶し得る。メモリ436の実施の例としては、限定されないが、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、フラッシュメモリ、セキュアデジタル(SD)カード、ソリッドステートドライブ(SSD)及び/又はCPUキャッシュメモリが挙げられる。メモリ436は、ソース通信装置402を動作させるために、オペレーティングシステム及び/又は他のプログラム製品を記憶し得る。非一時的メモリを提供するためのコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、限定されないが、電子記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置又はこれらの任意の好適な組み合わせを含む。
【0099】
図4Eは、本開示の一実施形態に係る、ターゲット通信装置の様々な例示のコンポーネントを示すブロック図である。
図4Eは、
図1~
図3及び
図4A~
図4Dの要素と関連して説明される。
図4Eを参照して、ターゲット通信装置404を示す。ターゲット通信装置404は、制御回路438、トランシーバ440、1つ以上のインターフェイス442、入出力(I/O)装置444及びメモリ446を含む。制御回路438は、トランシーバ440、1つ以上のインターフェイス442、I/O装置444及びメモリ446に通信可能に連結され得る。ターゲット通信装置404が車両の場合、制御回路438は、車両エリアネットワーク(VAN)及び/又はコントローラエリアネットワーク(CAN)バス等の車内バス等を介して、ターゲット通信装置404の様々なコンポーネントに通信可能に連結される。
【0100】
制御回路438は、2つ以上の異なるパスを介して複数のデータパケットを取得するように構成されている。一実施では、制御回路428は、メモリ436に記憶された命令を実行するように構成されている。制御回路438の例は、制御回路428(
図4D)の例と同様である。同様に、トランシーバ440、1つ以上のインターフェイス442、I/O装置444及びメモリ446の実施の例は、それぞれ、
図4Dのトランシーバ430、1つ以上のインターフェイス432、I/O装置434及びメモリ436のものと同様である。
【0101】
図5は、本開示の一実施形態に係る、セルラーネットワークの様々なノードを有するシステム500のネットワーク環境を示すブロック図である。
図5は、
図1~
図3及び
図4A~
図4Eの要素と関連して説明される。
図5を参照して、ソース通信装置402、ターゲット通信装置404及びソース無線アクセスネットワーク(RAN)ノード504、コアネットワークエンティティ506、ターゲットRANノード508等のセルラーネットワーク502の1つ以上のネットワークエンティティを含むシステム500を示す。
【0102】
ソースRANノード504及びターゲットRANノード508のそれぞれは、NodeB、エボルブドノードB(eNB)、次世代NodeB、ベーストランシーバステーション、アクセスポイント基地局、基地局ルータ又は無線装置(例えば、ソース通信装置402又はターゲット通信装置404)と通信可能な他のネットワークエンティティ等の無線基地局を指す。セルラーネットワーク502は、1つ以上のセル領域がソースRANノード504及びターゲットRANノード508によってサービスされる、セル領域に分割される地理的領域をカバーする。
【0103】
コアネットワークエンティティ506は、アクセスネットワークの異なるノード(すなわち、RAN)を接続するセルラーネットワーク502の一部である。LTEでは、コアネットワークエンティティ506は、例えば、サービングゲートウェイ(S-GW)、パケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(PDN GW)、モビリティマネジメントエンティティ、ホームサブスクライバサーバ(HSS)をエボルブドパケットコア(EPC)として含む。5Gの場合、ネットワークエンティティは「機能」と呼ばれ、通常「ノード」とは呼ばれない。例えば、4G S-GW及びPDN-GWの機能は、ユーザプレーン機能(UPF)と呼ばれる単一のエンティティに統合される。別の例では、4G MMEは、アクセス管理機能(AMF)及びセッション管理機能(SMF)の等の2つの個別の機能に分割される。しかしながら、本開示では、ネットワークエンティティは、アクセスノードエンティティ及びコアネットワークエンティティ(例えば、ネットワークノード又は機能)の両方をカバーし得る。
【0104】
動作の間、ソース通信装置402は、セルラー通信パス510を介して複数のデータパケットの第1のデータパケットのセットをターゲット通信装置404に提供するように構成されている。セルラー通信パス510を介して第1のデータパケットのセットをターゲット通信装置404に提供するために、第1のデータパケットのセットは、アップリンク送信512でネットワークエンティティ(ソースRANノード504等)に先ず通信される。その後、第1のデータパケットのセットは、ダウンリンク送信514でターゲット通信装置404に提供するために、ターゲット通信装置404又はコアネットワークエンティティ506及びターゲットRANノード508等のさらなるネットワークエンティティにさらに通信され得る。ソース通信装置402は、サイドリンク通信パス516を介して、複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットをターゲット通信装置404に通信するようさらに構成されている。各データパケットのヘッダは、複数のデータパケット間の関連を示すパケット情報を含む。
【0105】
ソースRANノード504等のネットワークエンティティは、ソース通信装置402から第1のデータパケットのセットを取得するように構成されている。第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。
【0106】
一実施形態によれば、ネットワーク(ソースRANノード504等)は、第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダ内の又はソース通信装置402によって送信されるシグナリングメッセージ内のインジケータに基づいてマルチパス機能を有効にするように構成されている。マルチパス機能は、ネットワークエンティティ(ソースRANノード504等)で受信された第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダ内にパケット情報を記憶(又は維持)し、パケット情報を再利用して、各受信パケットをターゲット通信装置404にさらに提供することを可能にするネットワーク能力を指す。ネットワークエンティティ(ソースRANノード504等)からのデータパケットが、コアネットワークエンティティ506又はターゲットRANノード508等の1つ以上の他のRANノードを通過する場合、マルチパス機能は、パケット情報を有する第1のデータパケットのセットの各データパケットを、パケット情報を再利用するさらなるネットワークエンティティにルーティングし、各受信パケットを、ネットワークエンティティ(ソースRANノード504等)又は別のネットワークエンティティ(ターゲットRANノード508等)を介してターゲット通信装置404にさらに提供することを可能にするネットワーク能力を指す。
【0107】
ソースRANノード504等のネットワークエンティティは、受信された第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、パケット情報に基づいて、アップリンクシーケンス番号(例えば、アップリンクPDCPシーケンス番号)をダウンリンクシーケンス番号(例えば、ダウンリンクPDCPシーケンス番号)にマッピングするようさらに構成されている。ソースRANノード504等のネットワークエンティティは、ダウンリンクシーケンス番号にマッピングされたアップリンクシーケンス番号に基づいて、パケット情報を含む第1のデータパケットのセットの各受信データパケットを、ターゲット通信装置404又はさらなるネットワークエンティティ(コアネットワークエンティティ506又はターゲットRANノード508等)のうちの少なくとも1つに提供するようさらに構成されている。
【0108】
ターゲット通信装置404は、セルラー通信パス510及びサイドリンク通信パス516を介して複数のデータパケットを取得するように構成されている。複数のデータパケットは異なるペイロードを有する異なるデータパケット又は同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む。ターゲット通信装置404は、セルラー通信パス510を介して受信された複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、サイドリンク通信パス516を介して受信された複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとを、パケット情報に基づいて識別するように構成されている。
【0109】
図6は、本開示の一実施形態に係る、ネットワーク実体の様々な例示のコンポーネントを示すブロック図である。
図6は、
図4A~
図4E及び
図5からの要素に関連して説明される。
図6を参照して、ネットワークエンティティ600が示される。ネットワークエンティティ600は、セルラーネットワーク502(
図5)のネットワークエンティティのうちの1つに対応する。ネットワークエンティティ600は、アクセスネットワークエンティティ(例えば、RANノード)及びコアネットワークエンティティ(例えば、ノード又は機能)の両方をカバーする。ネットワークエンティティ600は、エンティティ制御回路602、トランシーバ604及びメモリ606を含む。エンティティ制御回路602は、トランシーバ604及びメモリ606に通信可能に連結されている。
【0110】
エンティティ制御回路602は、ソース通信装置402から第1のデータパケットのセットを取得するように構成され、第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。パケット情報は、第1のデータパケットのセット間の関連を示す。エンティティ制御回路602の例は、制御回路428(
図4D)の例と同様である。既に上述したように、本及び以下の実施形態では、エンティティ制御回路又は単に制御回路は、専用ソフトウェア又は専用ハードウェア回路を実行する汎用プロセッサであり得る。同様に、トランシーバ604及びメモリ606の実施の例は、
図4Dのトランシーバ430及びメモリ436のものとそれぞれ同様である。
【0111】
一実施形態によれば、エンティティ制御回路602は、ソース通信装置402から受信したアップリンクシーケンス番号(SN)を、第1のデータパケットのセットの各受信データパケットのコアネットワークプロトコルベースのヘッダに付加するように構成されている。エンティティ制御回路602は、付加されたアップリンクSNを含むコアネットワークプロトコルベースのヘッダを有する第1のデータパケットのセットの各受信データパケットをコアネットワークエンティティ506に通信するようにさらに構成されている。付加されたアップリンクSNを含むコアネットワークプロトコルベースのヘッダは、コアネットワークプロトコルベースのヘッダのヘッダ構造の拡張として付加されたアップリンクSNを含む修正コアネットワークプロトコルベースのヘッダである。任意で、コアネットワークプロトコルベースのヘッダはGTP-Uヘッダである。エンティティ制御回路602は、第1のデータパケットのセットの受信データパケットをターゲット通信装置404にダウンリンク送信する前に、読み出されたアップリンクSNを、複数のデータパケットの各受信データパケット内のダウンリンクSNとして設定するようさらに構成されている。
【0112】
一実施形態によれば、エンティティ制御回路602は、第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダ内又はソース通信装置402によって送信されるシグナリングメッセージ内のインジケータに基づいて、マルチパス機能を有効にするように構成されている。マルチパス機能を有効にすることは、ネットワークエンティティ600で受信された第1のデータパケットのセットの各データパケットにパケット情報を記憶し、該パケット情報を再利用して、各受信パケットをターゲット通信装置404にさらに提供することを含む。マルチパス機能を有効にすることは、パケット情報を有する第1のデータパケットのセットの各データパケットを、パケット情報を再利用するさらなるネットワークエンティティ(コアネットワークエンティティ506等)にルーティングして、ネットワークエンティティ600又は別のネットワークエンティティを介して、各受信パケットをターゲット通信装置404にさらに提供することをさらに含む、
【0113】
図7は、本開示の一実施形態に係る、ネットワーク層でマルチパス通信を実行するための例示のシナリオ700を示す。
図7は、
図4A~
図4E、
図5及び
図6からの要素に関連して説明される。
図7を参照して、ソース通信装置402内の第1の複数のネットワーク層702A(すなわち、ユーザプレーンプロトコルスタック)及びターゲット通信装置404内の第2の複数のネットワーク層702B(すなわち、対応するユーザプレーンプロトコルスタック)を示す。第1の複数のネットワーク層702A及び第2の複数のネットワーク層702Bのそれぞれは、物理(PHY)層、メディアアクセス制御(MAC)層、無線リンク制御(RLC)層、PDCP層、コンバージェンス層及びアプリケーション層を含む。一部の実施形態では、例えば、5G対応セルラーネットワーク(すなわち、NRユーザプレーンプロトコルスタック)の場合、サービスデータ適応プロトコル(SDAP)層が、ソース通信装置402及びターゲット通信装置404において追加で設けられる。各ネットワーク層は、ユーザプレーンプロトコルスタックのプロトコル層とも呼ばれる。
【0114】
一実施形態によれば、ソース通信装置402、ネットワークエンティティ600及びターゲット通信装置404においてマルチパス通信を実行する方法は、異なるネットワーク層で潜在的に実施可能である。ソース通信装置402(及び、その結果、ターゲット通信装置404)でデータの重複又は分割が起こる特定のネットワーク層(又はプロトコル層)に基づいて、マルチパス通信を実行するために異なるアプローチ(又は、解決策)が用いられ得る。異なるアプローチは、通信装置ベースのアプローチ及びネットワークベースのアプローチを含む。
【0115】
通信装置ベースのアプローチでは、ソース通信装置402は、パケット識別子(例えば、重複又は分割パケット)又はシーケンス番号を生成するように構成されている。パケット識別子(又はシーケンス番号)は、ターゲット通信装置404に提供されるべき複数のデータパケットの各データパケットのヘッダ(例えば、アプリケーション層又はコンバージェンス層(例えば、車両の場合はV2X層))に付加される。任意で、パケット識別子(又はシーケンス番号)は、通信層、アプリケーション層又はV2X層(車両の場合)で各データパケットのヘッダに導入され、ユーザプレーンプロトコルスタックの既存のプロトコル層への影響を低減する。
【0116】
典型的には、各データパケットが次の層(すなわち、RLC層)に渡される前に、PDCP層内の送信側(すなわち、ソース通信装置402)で各データパケットにシーケンス番号が割り当てられる。このシーケンス番号は、受信側のPDCP層(すなわち、ターゲット通信装置404)で、データパケットを順番に整列させるために用いられる。しかしながら、現在、異なるインターフェイス(例えば、NR Uuインターフェイス及びNR PC5インターフェイス)を用いる異なるパス(例えば、セルラー通信パス510及びサイドリンク通信パス516)を介するデータパケットの送信に問題がある。その問題は、ターゲット通信装置404が、セルラインターフェイス(すなわち、Uuインターフェイス)を介して受信されたデータパケットと、サイドリンクインターフェイス(すなわち、PC5インターフェイス)から受信されたデータパケットとを比較(又は合致)できない可能性があることである。このような場合、データパケットのダウンリンク及びアップリンクシーケンス番号が異なり得るか又はパケットが乱れ(すなわち、間違った順序になる)得る。そのため、従来の方法及びシステムでは、サイドリンクインターフェイスを介して通信されるデータパケットとセルラインターフェイスを介して送信されるデータパケットとの比較は実行不可能である。そのため、本開示では、パケット情報(すなわち、分割データパケット又は重複データパケットのためのパケット識別子又は専用シーケンス番号)が、上位層(すなわち、アプリケーション層又はコンバージェンス層(車両の場合はV2X層等))の各データパケットのヘッダに付加(又は割り当て)される。このようなパケット情報は、パス(例えば、セルラー通信パス510及びサイドリンク通信パス516)又はデータパケットが横断する異なるネットワークノードに関係なく、複数のデータパケットの各データパケットのヘッダに保持される追加の制御情報(例えば、通常のPDCPシーケンス番号以外の追加のパケット識別子又は追加のシーケンス番号)である。ターゲット通信装置404における対応する層(例えば、アプリケーション層又はコンバージェンス層等)は、各データパケットにおけるパケット情報(例えば、追加のパケット識別子又は追加のシーケンス番号)に基づいてパケットを比較及び識別するために利用される。通信装置ベースのアプローチは、ネットワークに何の影響も与えない。
【0117】
任意で、ソース通信装置402において重複モードが選択されている場合、ソース通信装置402は、重複データパケットに対して設定される重複識別子(ID)を生成するように構成されている。重複IDは、データパケットによって横断される2つ以上の異なるパスで用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく、各データパケットのヘッダ内に格納される(すなわち、維持される)。コンバージェンス層又はV2X層(V2V通信の場合)を使用して、ソース通信装置402において重複IDを生成し、ターゲット通信装置404において対応するコンバージェンス層で受信データパケットの並び替え又はフィルタリングが行われ得る。このような重複IDの生成は、パケットが進むパス又は中間プロトコル及びネットワークノードにかかわらず、ターゲット通信装置404における重複データパケットの一意的な識別を可能にする。同様に、ターゲット通信装置404における分割されたデータパケットを一意に識別するための通信プロセスを通して、データパケット内に残る分割データパケットに対してパケットIDが設定され得る。
【0118】
ネットワークベースのアプローチでは、ネットワークは、エンドツーエンドネットワークにわたって特定のネットワーク層(例えば、PDCP、SDAP又は別のネットワーク層)においてソース通信装置402で設定されたパケット情報(例えば、パケット識別子又はシーケンス番号)を維持することができる。ネットワークエンティティ600(例えば、基地局)は、ソース通信装置402から取得された各データパケットについて、パケット情報に基づいてダウンリンクシーケンス番号にアップリンクシーケンス番号をマッピングするように構成されている。任意で、ネットワークベースのアプローチは、エンドツーエンドネットワーク全体にわたって、各データパケットのヘッダ内にパケット情報を維持するために、ネットワークへのシグナリングを伴うため、ネットワークインパクトを有する。
【0119】
図8は、本開示の一実施形態に係る、異なる無線アクセス技術を用いたマルチパス通信を実行するための例示のシナリオ800を示す。
図8は、
図1~
図3、
図4A~
図4E、
図5、
図6及び
図7からの要素に関連して説明されている。
図8を参照して、ソース通信装置402におけるアプリケーション層802Aと、ターゲット通信装置404における対応するアプリケーション層802Bとを示す。さらに、ソース通信装置402の制御回路428及びターゲット通信装置404の制御回路438を示す。
【0120】
一実施形態によれば、ソース通信装置402の制御回路428は、第1の経路を介して複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセットと、第2の経路を介して複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットとをターゲット通信装置404に提供するように構成されている。この実施形態では、第1のパスは第1の無線アクセス技術(RAT-1)を用い、第2のパスはRAT-1とは異なる第2の無線アクセス技術(RAT-2)を用いる。この場合、第1のパス及び第2のパスは、異なる無線アクセス技術(例えば、図示のNR PC5インターフェイス及びLTE PC5インターフェイス)を用いる異なる装置間通信に対応する。
【0121】
一例として、ソース通信装置402において分割モードが選択されている場合、制御回路428は、データ通信に使用無線アクセス技術(すなわち、RAT-1又はRAT-2)に関係なく、アプリケーション層802Aにおいて、各データパケットについにシーケンス番号(すなわち、専用シーケンス番号)を設定するように構成されている。RATは、例えば、LTE、5G等であり得る。ターゲット通信装置404の対応するアプリケーション層802Bは、ソース通信装置402から取得した各データパケットのシーケンス番号をチェックするために用いられる。ターゲット通信装置404の制御回路438は、複数のデータパケットのそれぞれに関連するシーケンス番号に従って、対応するアプリケーション層802Bにおいて、分割モードで第1のパス及び第2のパスで(すなわち、異なる無線アクセス技術を介して)取得された複数のデータパケットを並べ替えるように構成されている。あるいは、アプリケーション層802Aの代わりに、コンバージェンス層、V2X層又はアクセス層(AS)の外の任意の他のネットワーク層を用いて、シーケンス番号を設定してもよい。次に、シーケンス番号を設定するために用いたのと同じネットワーク層をターゲット通信装置404で用いてシーケンス番号をチェックし、それに従って並べ替えが行われる。
【0122】
別の例では、ソース通信装置402において重複モードが選択されている場合、制御回路428は、データ通信のために用いれる無線アクセス技術(すなわち、RAT-1又はRAT-2)に関係なく、アプリケーション層802Aにおいて、各データパケットについてシーケンス番号(すなわち、追加の専用シーケンス番号)を設定するように構成されている。さらに、アプリケーション層802A(又はコンバージェンス層若しくは車両の場合はV2X層)において、重複IDが重複データパケット(例えば、第2のデータパケットのセットは、第1のデータパケットのセットと同じペイロードを有し得る)に潜在的に割り当てられる。ターゲット通信装置404の制御回路438は、複数のデータパケットがソース通信装置402から異なる無線アクセス技術を介して(すなわち、NR PC5インターフェイス及びLTE PC5インターフェイスを介して)取得されも、重複IDに基づいて重複データパケットを識別するように構成されている。制御回路438は、パケット情報(例えば、重複ID及び専用シーケンス番号)に基づいて、対応するアプリケーション層802B(又はコンバージェンス層若しくは車両の場合はV2X層)においてターゲット通信装置で受信された複数のデータパケットからの重複データパケットをフィルタリングするように構成されている。
【0123】
図9は、本開示の一実施形態に係る、PDCP層でのパケットの重複及び分割よるマルチパス通信を実行するための例示のシナリオ900を示す。
図9は、
図4A~
図4E、
図5、
図6、
図7及び
図8からの要素に関連して説明される。
図9を参照して、セルラインターフェイス(例えば、Uuインターフェイス)に関連するソース通信装置402内のユーザプレーンプロトコルスタックのSDAP層902A、PDCP層904B、RLC層906A、MAC層908Aを示す。同様に、対応するUuインターフェイスに関連するSDAP層902B、PDCP層904B、RLC層906B及びMAC層908B等の対応するネットワーク層をターゲット通信装置404に示す。Uuインターフェイスに関連するネットワーク層に加えて、サイドリンク通信に関連するネットワーク層(例えば、サイドリンク(SL)RLC910A及びSL MAC912A)をソース通信装置402及びターゲット通信装置404(例えば、SL RLC910B及びSL MAC912B)にさらに示す。ソース通信装置402の制御回路428及びターゲット通信装置404の制御回路438をさらに示す。
【0124】
この実施形態によれば、上位層(例えば、アプリケーション層、コンバージェンス層又は車両の場合はV2X層)の代わりに、PDCP層904Aに関して、データパケットの重複又は分割が説明される。しかしながら、データパケットの重複又は分割は、SDAP層902A等の異なるネットワーク層で実施され得ることを理解すべきである。この実施形態では、ソース通信装置402のPDCP層904Aにおいて重複が実行されるため、同じPDCPヘッダ(すなわち、同じPDCP SN)を有するデータパケットは、重複モードにおいて、セルラーを介した通信パス(例えば、Uuインターフェイス)及びサイドリンク通信パス(例えば、PC5インターフェイス)を介した通信のために用いられる。そのため、アップリンクPDCP SNは、サイドリンクPDCP SNと同じである。しかしながら、マルチパス通信において、ソース通信装置402からターゲット通信装置404へのデータの効率的でエラーのない送信のためには、アップリンクPDCP SNは依然としてダウンリンクPDCP SNと同じである必要がある。典型的には、従来のシステムで、アップリンク送信における所与のデータパケットのPDCP SNは、ダウンリンク送信における同じ所与のパケットのPDCP SNと同じではない。そのため、ソースRANノード504は、ソース通信装置402から受信したアップリンクPDCP SNを、ソースRANノード504で受信した第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、ダウンリンクPDCP SNとマッピングするように構成されている。ダウンリンクPDCP SNとアップリンクPDCP SNとのマッピングは、誤った順序付けの問題に対処し、ターゲット通信装置404がセルラー通信パス510を介して取得したデータパケットとサイドリンク通信パス516を介して取得したデータパケットとを比較(又は合致)できるようにするために行われる。アップリンクPDCP SNと対応するダウンリンクPDCP SNとの間のマッピングは、データパケットの比較のために、セルラーネットワーク502のコアネットワークエンティティ506とRAN(ソースRANノード504及びターゲットRANノード508等)との間の協調が要求されることが理解されよう。ソースRANノード504は、ソース通信装置402から取得したアップリンクPDCP SNを、第1のデータパケットのセットの各受信データパケットのコアネットワークプロトコルベースヘッダ(例えば、GTP-Uヘッダ)に付加するようにさらに構成されている。1つの例では、ソースRANノード504は、特定のサービスフロー(QFI)のために、例えばN3インターフェイスを介して送信されるデータパケットのGTP-Uヘッダ内にアップリンクPDCP SNを付加する。
【0125】
とりわけ、GTP-Uは、GPRSコアネットワーク内に加えてRAN(ソースRANノード504及びターゲットRANノード508等)とコアネットワークエンティティ506との間でデータを運ぶ役割を果たす。データパケットの形態で伝送されるデータは、インターネットプロトコルバージョン4(IPv4)フォーマット、インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)フォーマット、ポイントツーポイントプロトコル(PPP)フォーマット等のいくつかのフォーマットにあり得る。さらに、ソースRANノード504は、付加されたアップリンクPDCP SNを含むGTP-Uヘッダを有する第1のデータパケットのセットの各受信データパケットをコアネットワークエンティティ506に通信する。付加されたアップリンクPDCP SNを含むGTP-Uヘッダは、GTP-Uヘッダのヘッダ構造の拡張として付加されたアップリンクPDCP SNを含む修正GTP-Uヘッダである。GTP-Uヘッダの一例は
図10に記載されている。アップリンクPDCP SNは、第1のパス406のコアネットワークエンティティ506エンティティを介して転送される。また、ユーザプレーン機能(UPF)ノードは、N3インターフェイス又はN9インターフェイスを介して送信されるGTP-Uヘッダ内のPDCP SNを維持する。そのため、GTP-Uヘッダは、少なくともパケット情報、例えばアップリンクPDCP SNを含む修正GTP-Uヘッダである。
【0126】
図10は、本開示の一実施形態に係る、GPRSトンネリングプロトコルユーザプレーン(GTP-U)ヘッダ1000の例示の構造を示す。
図10は、
図1~
図3、
図4A~
図4E及び
図5~
図9からの要素と関連して説明される。
図10を参照して、GTP-Uヘッダ1000等のコアネットワークプロトコルベースヘッダの例を示す。
【0127】
GTP-Uヘッダ1000は、データパケットに存在するデータの種類のために予約される「メッセージタイプ」等の、3GPPの仕様に従った様々なフィールドを含む。例えば、メッセージタイプは、テキスト、画像、オーディオ又はビデオであり得る。GTP-Uヘッダ1000は、データパケットの長さ(すなわち、ビット数に関して測定される)、「トンネルエンドポイント識別子」、「シーケンス番号」等のフィールドをさらに含み得る。さらに、GTP-Uヘッダ1000は、新たな拡張ヘッダタイプフィールド1002をさらに含む。
【0128】
例示の実施によれば、新たな拡張ヘッダタイプフィールド1002は、RANノード(ソースRANノード504等)とユーザプレーン機能との間のN3インターフェイスを介して又は2つのUPF間のN9インターフェイス(例えば、公衆内陸域移動ネットワーク(PLMN)インターフェイス又はインターPLMNインターフェイス)を介して潜在的に送信されるデータパケットに関連する重複モード又は分割モード等の情報を含むために用いられる。新たな拡張ヘッダタイプフィールド1002は、例えば、アップリンクPDCP SN及びサービス品質フロー識別子(QFI)を含むように拡張又は拡大されている。任意で、別の実施では、アップリンクPDCP SNは、e2eネットワークにわたるデータパケットのヘッダへの変更を低減するために、N3(及び/又はN9)インターフェイス上の5Gセルラーネットワークにおける5Gカプセル化ヘッダ内に付加される。
【0129】
マルチパス機能のアクティベーション:例えばネットワークベースのアプローチ(又は解決策)において、マルチパス機能のアクティベーションには2つのオプションがある。第1のオプションはセッションレベルでのアクティベーションであり、第2のオプションはデータパケット単位でのアクティベーションである。第1のオプションでは、無線アクセスネットワークノード(例えば、gNB等の基地局)及びユーザプレーン機能(UPF)は、セッションレベルで様々なネットワークノード及びインターフェイスによりアップリンク及びダウンリンクデータパケットへの特定の処理を提供するために、プロトコルデータユニット(PDU)セッションの確立又は修正においてシグナリングされる。第1のオプションは、例えば、
図11で詳細に説明されている。第2のオプションでは、マルチパス機能は、データパケット毎に様々なネットワークノード及びインターフェイスによりアップリンク及びダウンリンクデータパケットに特定の処理を提供するために、第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダ内のインジケータに基づいてアクティベートされる。各データパケットのヘッダ内のインジケータに基づくマルチパス機能のアクティベーションは、例えば、
図12で詳細に説明されている。
【0130】
図11は、本開示の実施形態に係る、プロトコルデータユニット(PDU)セッション確立の手順の一部を示すシーケンス
図1100である。
図11は、
図1、
図2、
図3、
図4A~
図4E、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9及び
図10からの要素と関連して説明される。
図11を参照すると、ユーザ装置1102、無線アクセスネットワーク(RAN)1104、アクセス及びモビリティ管理機能(AMF)1106、ユーザプレーン機能(UPF)1108、セッション管理機能(SMF)1110、ポリシー制御機能(PCF)1112、統一データ管理(UDM)1114及びデータネットワーク1116が示される。UE1102は、ソース通信装置402に対応する。RAN1104はソースRANノード504(
図5)に対応する。
【0131】
シーケンス
図1100は、3GPPの仕様に準拠するPDUセッション確立の手順の一部を示す。例示の実施では、SMF1110のRAN1104及びUPF1108へのシグナリングを伴うシーケンス
図1100内の一部の動作は、ソース通信装置402によって送信される(例えば、制御プレーンシグナリングによる)シグナリングメッセージ内のインジケータに基づいて、1つ以上のネットワークエンティティにおいてマルチパス機能を可能にするために潜在的に強化(又は拡張)されている。例えば、SMF1110がRAN1104(例えば、ステップ1124及び1126)及びUPF1108(例えば、ステップ1134A)にシグナリングすることは、ソース通信装置402から特定のネットワーク層(例えば、PDCP層)で受信されたアップリンクシーケンス番号が特定のネットワーク層でダウンリンクシーケンス番号と同じになるように潜在的に強化(すなわち、拡張)されている。具体的には、SMF1110がRAN1104にシグナリングすることは、N3内の特定のネットワーク層(たとえば、PDCP SN)で受信したアップリンクデータパケット内のシーケンス番号の転送を可能にし、ダウンリンクパケットのために特定のネットワーク層(例えば、ダウンリンクPDCP SN)でアップリンクSNの使用をさらに可能にするために、潜在的に強化(又は拡張)されている。さらに、シーケンス
図1100では、SMF1110からUPF1108へのシグナリングは、UPF1108が、付加されたアップリンクシーケンス番号を含む修正コアネットワークプロトコルベースヘッダ(例えば、修正GTP-Uヘッダ)を含む受信データパケットを、ダウンリンクPDUセッションの適切なQFIに転送できるようにするために、潜在的に拡張されている。
【0132】
シーケンス
図1100では、PDUセッション確立(又は修正)の手順は、ステップ1118でのSMF1110によるUPF1108選択から説明される。当業者であれば、ステップ1118の前には実施すべき様々なステップが潜在的にあることを理解する。(例えば、3GPP-23.502で規定されるように)例えば、PDUセッション確立要求、AMFによるSMF選択、AMFからSMFへのシグナリング(すなわち、Nsmf_PDUSsion_CreateSMContext要求の形態)、SMFによるセッション管理サブスクリプションデータの読み出し(利用可能でない場合)、SMFからAMFへのシグナリング(すなわち、Nsmf_PDUSsion_CreateSMContext応答の形態)等である。
【0133】
ステップ1120で、SMF1110は、SMF1110とPCF1112との間でセッション管理ポリシーアソシエーション変更を開始する。ステップ1122Aで、N4セッション確立/変更要求が、SMF1110からUPF1108に通信される。ステップ1122Bで、N4セッション確立又は変更応答が、UPF1108からSMF1110に通信される。ステップ1124で、Namf_communication_N1N2メッセージ転送が、SMF1110からAMF1106に実行される。ステップ1124でN2セッション管理(SM)情報が含まれない場合、後続のステップ1130~1134B及びステップ1136は潜在的に省略される。有利には、本開示の例示の実施において、Namf_communication_N1N2メッセージ転送は、N3内の特定のネットワーク層(例えば、PDCP SN)で受信されたアップリンクデータパケット内のシーケンス番号の転送を可能にするために拡張される。ステップ1126dで、N2PDUセッション要求がAMF1106からRAN1104に通信される。例示の実施では、N2 PDUセッション要求も、(ダウンリンク送信で)ダウンリンクパケットのために特定のネットワーク層(例えば、ダウンリンクPDCP SN)でアップリンクSNの使用を可能にするために拡張される。ステップ1128で、N2 PDUセッション要求が受理される。ステップ1130で、N2 PDUセッション要求応答がRAN1104からAMF1106に通信される。ステップ1132で、Nsmf_PDUSsesion_updateSMContext要求がAMF1106からSMF1110に通信される。ステップ1134Aで、N4セッション修正要求が、SMF1110からUPF1108に通信される。例示の実施では、SMF1110からUPF1108へのシグナリングは、UPF1108が、ダウンリンクPDUセッションの適切なQFIに、付加されたアップリンクシーケンス番号を含む修正コアネットワークプロトコルベースヘッダ(例えば、修正GTP-Uヘッダ)を含む受信データパケットを転送できるように、潜在的に強化及び拡張されている。N4セッション修正要求はUPF1108がダウンリンクPDUセッションの適切なQFIに、付加されたアップリンクシーケンス番号を含む修正コアネットワークプロトコルベースヘッダ(例えば、修正GTP-Uヘッダ)を含む受信データパケット転送できるようにするために用いられる。ステップ1134Bで、N4セッション修正応答がSMF1110によって受信される。ステップ1136で、Nsmf_PDUSsesion_updateSMContext応答がSMF1110からAMF1106に通信される。ステップ1138で、Nsmf_PDUSsesion_SMContext_status_notifyサービスが、SMF1110からAMF1106に実行される。
【0134】
従来のシステム及び方法並びに既存の規格では、例えば、異なるプロトコル及び異なるプロトコル層及びネットワークエンティティ(例えば、RAN部分、コアネットワーク部分等)のための異なるパケット識別子といった様々な問題がある。第1の例では、IPv4はパケットフラグメンテーションのために有効な識別子(ID)(すなわちIP ID)を有するが、そのようなIP IDはIPv6には含まれない。第2の例では、QoSフロー識別子(QFI)は、PDUセッションにおけるQoS差別化における粒度を可能にする。5G(NR)対応装置におけるQoSフローを識別するために、QoSフローID(QFI)が通常用いられる。典型的には、PDUセッション内で同じQFIを持つユーザプレーントラフィックは、同じトラフィック転送処理(例えば、スケジューリング、許容閾値等)を受け取る。QFIは、N3(及びN9)インターフェイスのカプセル化ヘッダ内で、すなわちe2eネットワークにわたってパケットヘッダに変更を加えることなく運ばれる。このQFIは全てのPDUセッションタイプのために用いられる。QFIはPDUセッション内で固有である。QFIは動的に割り当てられてもよいし、5QI(すなわち、5GQoS特性)と等しくてもよい。しかしながら、そのような従来の方法及びシステムでは、パケット毎の処理又はハンドリングが存在しない。第3の例では、現在、PDCP SNは、アップリンク送信におけるUE1102から基地局までのRAN(例えば、RAN1104)でのみ利用可能であるのに対して、別のPDCP SNは、ダウンリンク送信において基地局からユーザ装置(すなわち、無線通信装置)に設定され得る。これは、パケットの乱れ、データパケットが通るパス等に依存する。第4の例では、(N3における)コアネットワークパケット識別子は、ユーザプレーンにおいて、データパケットの送信順序を保たなければならない場合、転送(T)-PDUの増加SNがGTP-Uトンネル(GTP-Uヘッダ)を介して送信される。このフィールドは、GTP-Uヘッダと、GPRSバックボーンネットワーク内のT-PDUとから構成されるG-PDUにおける任意のフィールドである。しかしながら、従来の方法及びシステムでは、N3送信の1つの部分(すなわち、RANからUPFに又はUPFからRANに)に焦点が当てられ、RANパケットIDとの直接的なリンク/相関関係がない。さらに、従来の方法及び装置では、エンドツーエンドトラッキング、マッピング又は(R)AN1104及びコアネットワークパケットの相関関係がない。そのため、シーケンス
図1100の様々なステップ(例えば、ステップ1122A~1128)及びステップ1134Aは、マルチパス機能を可能にし、上述した従来の方法及びシステムに関連する問題を解決するために強化及び拡張されている。
【0135】
図12は、本開示の一実施形態に係る、データパケットのヘッダ内の例示のインジケータを示す。
図12は、
図1、
図2、
図3、
図4A~
図4E及び
図5~
図11からの要素と関連して説明されている。
図12を参照して、PDCPヘッダ構造1200を示す。PDCPヘッダ構造1200は、複数の予備フィールド1202、1204及び1206等の複数のフィールドと、データパケットのMACアドレスのためのフィールドとを含む。
【0136】
一実施形態によれば、複数の予備フィールド1202、1204及び1206のうちのいずれか1つ以上の予備フィールドは、データパケットのためにアップリンクPDCP SNとダウンリンクPDCP SNとのRANマッピングを可能にするために、インジケータ(たとえば、フラグ)として潜在的に用いられる。1つの例では、予備フィールド1202は、アップリンクPDCP SNとダウンリンクPDCP SNとのマッピングを可能にするためにマルチパス機能をアクティベートするためにネットワークエンティティ600(例えば、ソースRANノード504)にシグナリングするために、ソース通信装置402によってバイナリビット値(0又は1)から特定のビット値(例えば、ビット値「1」)に設定され得る。そのため、ソースRANノード504は、インジケータ(すなわち、この例では、予備フィールド1202におけるビット値「1」)に基づいて、アップリンクPDCP SNとダウンリンクPDCP SNとのマッピングを行うように構成されている。別の例では、ソース通信装置402は、ソース通信装置402における重複モードの選択の表示として、アップリンクデータパケットのためにPDCPヘッダ構造1200内の予備フィールド1204を設定するようにさらに構成されている。そのため、このような表示に基づいて、ターゲット通信装置404は、2つ以上の異なるパスを介してソース通信装置402から取得された複数のデータパケットが重複データパケットを含むと判定するように構成されている。有利には、インジケータとして複数の予備フィールド1202、1204及び1206を用いることで、プリフロー処理の代わりに、既存のPDCPヘッダを修正する必要なしに、アップリンク及びダウンリンクデータパケットのパケット毎の処理を可能にして実施のコストが最小限に抑えられる。
【0137】
図13は、本開示の一実施形態に係る、車両間(V2V)マルチパス通信を実行するための例示のシナリオ1300を示す。
図13は、
図1、
図2、
図3、
図4A~
図4E及び
図5~
図12からの要素と関連して説明される。
図13を参照して、道路部分1306上を移動するソース車両1302及びターゲット車両1304を含む典型的なシナリオ1300を示す。ソース車両1302は電子制御ユニット(ECU)1308を含み、ターゲット車両1304はECU1310を含む。ソース基地局1312、ターゲット基地局1314、セルラー通信パス1316及びサイドリンク通信パス1318をさらに示す。
【0138】
例示のシナリオ1300によれば、ソース車両1302及びターゲット車両1304は、ソース通信装置402及びターゲット通信装置404にそれぞれ対応する(
図4A)。ソース基地局1312及びターゲット基地局1314は、ソースRANノード504及びターゲットRANノード508にそれぞれ対応する(
図5)。ソース車両1302は、互いにD2D通信を確立するために通信範囲内にあり得る。ソース車両1302のユーザは、ターゲット車両1304にデータを通信することを望み得る。
【0139】
一実施形態によれば、ソース車両1302のECU1308は、セルラー通信パス1316及びサイドリンク通信パス1318を介して複数のデータパケットをターゲット車両1304に通信するために、重複モード又は分割モードを選択するように構成されている。ソース車両1302のECU1308は、セルラー通信パス1316を介して複数のデータパケットからの第1のデータパケットのセット及びサイドリンク通信パス1318を介して複数のデータパケットからの第2のデータパケットのセットをターゲット車両1304に提供するように構成されている。つまり、複数のV2Xパケットは、2つの車両間の通信のQoSを改善するために、異なる無線アクセス技術、無線リンク、インターフェイス又は通信プロトコルを介して通信されるため、V2V通信の信頼性を高める。各データパケットのヘッダは複数のデータパケット間の関連を示すパケット情報を含む。第1のデータパケットのセットは、ソース基地局1312等の様々なネットワークエンティティと、ターゲット基地局1314等の隣接基地局とを通過する。場合によっては、第1のデータパケットのセットは、コアネットワークエンティティも通過し得る。
【0140】
一実施形態によれば、ソース基地局1312は、ソース車両1302から第1のデータパケットのセットを取得するように構成されている。第1のデータパケットのセットの各データパケットのヘッダはパケット情報を含む。ソース基地局1312は、受信された第1のデータパケットのセットの各データパケットについて、指定されたネットワーク層(例えば、PDCP層又は他のネットワーク相)で受信されたアップリンクシーケンス番号を、パケット情報に基づいてダウンリンクシーケンス番号にマッピングするように構成されている。ソース基地局1312は、通信時にターゲット車両がソース基地局1312の通信範囲内にある場合に、パケット情報を含む第1のデータパケットのセットの各受信データパケットをターゲット車両1304に提供するように構成されている。ターゲット車両1304がソース基地局1312の通信範囲を超えている場合、ソース基地局1312は、パケット情報を含む第1のデータパケットのセットの各受信データパケットを、ターゲット基地局1314等の隣接基地局に提供するように構成されている。
【0141】
一実施形態によれば、ターゲット車両1304のECU1310は、セルラー通信パス1316を介して受信された第1のデータパケットのセットと、サイドリンク通信パス1318を介して受信された第2のデータパケットのセットとを、パケット情報に基づいて識別するように構成されている。各データパケットのヘッダ内のパケット情報は、2つ以上の異なるパス(すなわち、この場合、セルラー通信パス1316及びサイドリンク通信パス1318)で用いられる異なる無線アクセス技術、通信プロトコル又は無線リンクに関係なく変化しないため、ソース車両1302とターゲット車両1304との間のデータ通信のサービス品質(QoS)が改善される。例えば、2つ以上の異なるパスを介して取得された複数のデータパケットが異なるペイロードを有する異なるデータパケットを含む場合(すなわち、分割モードの場合)、データスループットが高められ、データ通信における遅延が低下する。また、2つ以上の異なるパスを介して取得された複数のデータパケットが、同じペイロードのコピーを有する重複データパケットを含む場合、ソース車両1302とターゲット車両1304との間のデータ通信の信頼性が大幅に向上する。有利には、ソース車両1302とターゲット車両1304との間のこのようなV2Vマルチパス通信は、ソース車両1302とターゲット車両1304との間の2つ以上の異なるパスを介して警告及び他のデータ(例えば、テキスト、画像、オーディオ又はビデオ)を同時に共有する効率的で信頼性のあるメカニズムを提供することにより、交通安全を改善するのに有用である。
【0142】
上記で説明した本開示の実施形態の修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本開示を説明し、クレームするために用いられる「含有する」、「含む」、「組み込む」、「有する」、「ある」等の表現は、非排他的な方法で解釈されることを意図しており、すなわち、明示的に説明されていないアイテム、構成要素又は要素も存在することを可能にする。単数形への言及は、複数形にも関すると解釈される。本明細書で用いる「例示」という用語は、「例、インスタンス又は説明として機能する」ことを意味する。「例示」であると説明された実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいか又は有利であると解釈されず及び/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものではない。本明細書では、「任意で」という用語は、「一部の実施形態で提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために用いられる。本開示の特定の特徴は、明確にするために、別々の実施形態の文脈で説明され、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔のために、単一の実施形態の文脈で説明され、別々に又は任意の適切な組み合わせで又は本開示の任意の他の説明された実施形態で適切に提供され得る。