(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H02J9/00
(21)【出願番号】P 2022529918
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2021042792
(87)【国際公開番号】W WO2023089827
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2022-05-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂田 宏樹
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077818(JP,A)
【文献】特開2018-207630(JP,A)
【文献】特開2014-181832(JP,A)
【文献】特開2014-040970(JP,A)
【文献】特開2005-045935(JP,A)
【文献】特開2004-200283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無停電電源装置であって、
前記無停電電源装置の構成要素を収容する筐体と、
前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、
前記筐体内の第1のブロックに配置された前記無停電電源装置を構成する一部の電気部品と、
前記筐体内の第2のブロックに配置された前記無停電電源装置を構成する他の一部の電気部品と、
前記第2のブロックの排気側に隣接して配置されて、前記第1のブロックおよび前記第2のブロックを通流する空気の流れを調整可能に構成された仕切り構造と、を備え、
前記一部の電気部品は、交流電流が流れる電気部品を含み、
前記他の一部の電気部品は、直流電流が流れる電気部品を含
み、
交流電流が流れる電気部品を含まない、無停電電源装置。
【請求項2】
前記第1のブロックには
、
商用交流電源からの第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータによって生成された直流電力または電力貯蔵装置から供給される直流電力を第2の交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、が配置され、
前記第2のブロックには
、
前記商用交流電源の健全時には、前記コンバータによって生成された直流電力をバッテリに蓄え、前記商用交流電源2の停電時には、前記バッテリの直流電力を前記インバータに供給するダブルチョッパが配置さ
れ、
前記第1のブロックには、前記ダブルチョッパが配置されず、前記第2のブロックには、前記コンバータおよび前記インバータが配置されない、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記交流電流の大きさが第1の大きさ、かつ前記直流電流の大きさが第2の大きさの設置仕様時に比べて、前記交流電流の大きさが前記第1の大きさよりも大きく、かつ前記直流電流の大きさが前記第2の大きさよりも小さい設置仕様時には、前記仕切り構造によって、前記第1のブロックを通流する空気の流れが多く、かつ前記第2のブロックを通流する空気の流れが少なくなるように調整される、請求項1または2記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記筐体の第1の側面に空気の吸入口が配置され、
前記筐体の上面に前記冷却ファンおよび空気の排気口が配置され、
前記第1の側面に隣接して、上側に前記第1のブロックが配置され、下側に第2のブロックが配置され、
前記筐体の前記第1の側面と対向する第2の側面と前記第1のブロックおよび前記第2のブロックとの間に空間が形成され、
前記仕切り構造は、前記第2の側面に対向し、かつ前記第2のブロックに隣接して配置され、
前記仕切り構造には、開口度合いが調整可能な開口部が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記仕切り構造は、仕切り板および風量調整板を有し、
前記仕切り板には、前記開口部が形成され、
前記風量調整板は、前記仕切り板の前記開口部の一部または全部を覆うように、上下に移動可能に構成される、請求項4記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記仕切り構造は、仕切り板および風量調整板を有し、
前記仕切り板および前記風量調整板には、それぞれ複数の開口部が形成され、
前記風量調整板は、前記仕切り板の各開口部の一部または全部を覆うように、上下に移動可能に構成される、請求項4記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記仕切り板の複数の開口部は、同一の大きさで格子状に形成され、
前記風量調整板の複数の開口部は、同一の大きさで格子状に形成される、請求項6記載の無停電電源装置。
【請求項8】
前記仕切り板の複数の開口部の数と、前記風量調整板の複数の開口部の数とが等しく、
前記仕切り板の開口部の大きさと、前記風量調整板の開口部の大きさとが等しく、
前記仕切り板の各開口部の一部または全部が、前記風量調整板の対応する開口部の一部または全部と重なるように、前記風量調整板が移動可能である、請求項7記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置は、電力を交流から直流に変換するコンバータ、直流から交流に変換するインバータ、直流部と蓄電池間の昇圧/降圧を行うチョッパと、それぞれの回路に接続されるリアクトルおよび平滑用電解コンデンサと、入出力の遮断用コンタクタ等の電気部品を備える。
【0003】
無停電電源装置の複数の部品は、1つの筐体に収納される。筐体において、複数の部品ごとに冷却ファンを備えると大型化してしまうため、1台の冷却ファンによって、筐体内の複数の部品冷却する装置が知られている。
【0004】
たとえば、特許文献1の電力変換装置の冷却装置において、複数組の電力変換器と、その制御回路とを仕切り板で分離して設置される。この冷却装置では、電力変換器用冷却ファンの吸気側に複数電力変換器のほぼ半数が設置され、残余の電力変換器が冷却ファンの排気側に設置され、制御回路用冷却ファンの代わりに、電力変換器用の冷却ファンが流す冷却空気の一部を制御回路側へ分流させる冷却空気導入口が仕切り板に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無停電電源装置は、設置仕様ごとにシリーズ分けされて製品化されることが多いが、使用する地域ごとに要求される電圧および周波数が相違する。市場ごとに部品の仕様および部品の配置を変えてしまうと生産性が悪い。一方、部品の仕様および部品の配置を変えずに、異なる設置仕様で無停電電源装置を使用した場合に、流れる電流が変化するため、発熱量が変化する。よって、特許文献1に記載の装置では、複数の設置仕様において、同等の冷却性能を発揮するのが難しい。
【0007】
それゆえに、本開示の目的は、部品の仕様および部品の配置を変更することなく、同等の冷却性能を維持したまま、複数の設置仕様で使用することができる無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の無停電電源装置は、無停電電源装置の構成要素を収容する筐体と、筐体の内部を冷却する冷却ファンと、筐体内の第1のブロックに配置された無停電電源装置を構成する一部の電気部品と、筐体内の第2のブロックに配置された無停電電源装置を構成する他の一部の電気部品と、第2のブロックの排気側に隣接して配置されて、第1のブロックおよび第2のブロックを通流する空気の流れを調整可能に構成された仕切り構造とを備える。一部の電気部品は、交流電流が流れる電気部品を含む。他の一部の電気部品は、直流電流が流れる電気部品を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の無停電電源装置によれば、部品の仕様および部品の配置を変更することなく、同等の冷却性能を維持したまま、複数の設置仕様で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1の無停電電源装置を表わす図である。
【
図3】実施の形態1における、設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様のときの、筐体内の構造を表わす断面図である。
【
図4】(a)は、仕切り板31の正面図である。(b)は、仕切り板31を横方向から見た図である。
【
図5】(a)は、風量調整板32の正面図である。(b)は、風量調整板32を横方向から見た図である。
【
図6】(a)は、実施の形態1における設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様のときの仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす正面図である。(b)は、実施の形態1における設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様の仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす側面図である。
【
図7】設置仕様が第3の設置仕様のときの、筐体内の構造を断面図である。
【
図8】(a)は、実施の形態1における設置仕様が第3の設置仕様のときの仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす正面図である。(b)は、実施の形態1における設置仕様が第3の設置仕様のときの仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす側面図である。
【
図9】(a)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの正面図である。(b)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの側面図である。
【
図10】仕切り板31Aの一部を拡大表示したときの正面図である。
【
図11】風量調整板32Aの一部を拡大表示したときの正面図である。
【
図12】(a)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの一部を拡大表示したときの正面図である。(b)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの一部を拡大表示したときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の無停電電源装置を表わす図である。無停電電源装置1は、商用交流電源2から供給される三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷52に供給するものである。
図1では、図面および説明の簡単化のため、三相(U相、V相、W相)のうちの一相(たとえばU相)に対応する部分の回路のみが示されている。
【0012】
図1において、この無停電電源装置1は、交流入力端子T1、バッテリ端子T2、および交流出力端子T3を備える。
【0013】
交流入力端子T1は、商用交流電源2から商用周波数の交流電力を受ける。バッテリ端子T2は、バッテリ(電力貯蔵装置)51に接続される。バッテリ51は、直流電力を蓄える。バッテリ51の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。
【0014】
交流出力端子T3は、負荷52に接続される。負荷52は、交流電力によって駆動される。
【0015】
無停電電源装置1は、さらに、入力コンタクタ5、フィルタコンデンサ6、入力フィルタリアクトル7、コンバータ8、直流ブレーカ10、ダブルチョッパ9、平滑用電解コンデンサ11、インバータ12、フィルタコンデンサ14、出力フィルタリアクトル13、出力コンタクタ15、および冷却ファン71を備える。
【0016】
入力コンタクタ5の第1端子は交流入力端子T1に接続される。入力コンタクタ5の第2端子は、入力フィルタリアクトル7の第1端子およびフィルタコンデンサ6の第1端子に接続される。入力フィルタリアクトル7の第2端子はコンバータ8の交流端子8aに接続される。フィルタコンデンサ6の第2端子は、中性点NPに接続される。中性点NPは、たとえば接地電圧を受ける。入力コンタクタ5は、無停電電源装置1の使用時にオンされ、たとえば無停電電源装置1のメンテナンス時にオフされる。
【0017】
コンバータ8は、商用交流電源2から交流電力が正常に供給されている場合(商用交流電源2の健全時)には、交流電力を直流電力に変換して直流ラインL1に出力する。商用交流電源2から交流電力が正常に供給されなくなった場合(商用交流電源2の停電時)には、コンバータ8の運転は停止される。
【0018】
バッテリ51は、直流電力を蓄える。バッテリ51の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。
【0019】
平滑用電解コンデンサ11は、直流ラインL1に接続され、直流ラインL1の電圧を平滑化させる。直流ラインL1はダブルチョッパ9の高電圧側ノードに接続され、ダブルチョッパ9の低電圧側ノードはチョークコイル4の第1端子と接続される。
【0020】
チョークコイル4の第2端子は、直流ブレーカ10を介してバッテリ端子T2に接続される。
【0021】
直流ブレーカ10は、無停電電源装置1の使用時はオンされ、たとえば無停電電源装置1およびバッテリ51のメンテナンス時にオフされる。
【0022】
ダブルチョッパ9は、商用交流電源2の健全時には、コンバータ8によって生成された直流電力をバッテリ51に蓄え、商用交流電源2の停電時には、バッテリ51の直流電力を直流ラインL1を介してインバータ12に供給する。
【0023】
ダブルチョッパ9は、直流電力をバッテリ51に蓄える場合には、直流ラインL1の直流電圧VDCを降圧してバッテリ51に与える。ダブルチョッパ9は、バッテリ51の直流電力をインバータ12に供給する場合には、バッテリ51の端子間電圧VBを昇圧して直流ラインL1に出力する。直流ラインL1は、インバータ12の入力ノードに接続されている。
【0024】
インバータ12は、コンバータ8またはダブルチョッパ9から直流ラインL1を介して供給される直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力する。すなわち、インバータ12は、商用交流電源2の健全時には、コンバータ8から直流ラインL1を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、商用交流電源2の停電時には、バッテリ51からダブルチョッパ9を介して供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ12の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0025】
インバータ12の交流端子12aは出力フィルタリアクトル13の第1端子およびフィルタコンデンサ14の第1端子に接続される。出力フィルタリアクトル13の第2端子は、出力コンタクタ15の第1端子に接続される。出力コンタクタ15の第2端子は交流出力端子T3および冷却ファン71に接続される。フィルタコンデンサ14の第2端子は、中性点NPとの間に接続される。中性点NPは、たとえば接地電圧を受ける。
【0026】
本実施の形態の無停電電源装置は、複数の設置仕様において動作することができる。
図2は、第1~第3の設置仕様を表わす図である。
【0027】
入力定格電流Iiは、入力コンタクタ5、入力フィルタコンデンサ6、入力フィルタリアクトル7、およびコンバータ8に流れる交流電流である。出力定格電流Ioは、インバータ12、出力フィルタリアクトル13、出力フィルタコンデンサ14、および出力コンタクタ15を流れる交流電流である。直流定格電流Idは、直流ブレーカ10、チョークコイル4、およびダブルチョッパ9を流れる直流電流である。
【0028】
第1の設置仕様では、3相交流線間電圧が480V、定格容量400kVAである。変換効率を96%、バッテリ51の電圧を400Vとしたときに、入力定格電流Ii、出力定格電流Io、直流定格電流Idは、以下の式によって算出される。
【0029】
Ii=(400,000/480)÷√3÷0.96=501[Arms]…(1)
Io=(400,000/480)÷√3=481[Arms]…(2)
Id=(400,000/400)÷0.96=1041[A]…(3)
第2の設置仕様では、3相交流線間電圧が400V、定格容量333kVAである。変換効率を96%、バッテリ51の電圧を400Vとしたときに、入力定格電流Ii、出力定格電流Io、直流定格電流Idは、以下の式によって算出される。
【0030】
Ii=(333,000/400)÷√3÷0.96=501[Arms]…(4)
Io=(333,000/400)÷√3=481[Arms]…(5)
Id=(333,000/400)÷0.96=867[A]…(6)
第3の設置仕様では、3相交流線間電圧が400V、定格容量350kVAである。変換効率を96%、バッテリ51の電圧を400Vとしたときに、入力定格電流Ii、出力定格電流Io、直流定格電流Idは、以下の式によって算出される。
【0031】
Ii=(350,000/400)÷√3÷0.96=526[Arms]…(7)
Io=(350,000/400)÷√3=505[Arms]…(8)
Id=(350,000/400)÷0.96=911[A]…(9)
第1の設置仕様と第2の設置仕様とにおいて、入力定格電流Iiおよび出力定格電流Ioは、同一である。第2の設置仕様における直流定格電流Idは、第1の設置仕様における直流定格電流Idよりも小さい。よって、第2の設置仕様では、第1の設置仕様よりも、直流電流が流れる部品(直流ブレーカ10、チョークコイル4、およびダブルチョッパ9)における発熱量が小さい。よって、無停電電源装置1を構成する部品として第1の設置仕様において流れる電流に耐えることができる部品を選定すれば、このような部品から構成される無停電電源装置1は、第1の設置仕様でも第2の設置仕様でも使用することができる。
【0032】
第3の設置仕様では、第1の設置仕様よりも、直流定格電流Idは減少するが、入力定格電流Iiおよび出力定格電流Ioは、増加する。
【0033】
従来は、交流電流が増えた分、リアクトル7,13、コンタクタ5,l5、インバータ12、およびコンバータ8などで使用される半導体スイッチについて定格が大きいものに変更する必要があった。本実施の形態では、空気の流れを制御することによって、第1の設置仕様で動作するように選定した部品の仕様および配置を変更することなく、第2および第3の設置仕様でも使用することができる。
【0034】
本実施の形態では、第3の設置仕様で無停電電源装置1を動作させるときには、第1および第2の設置仕様で無停電電源装置1を動作させるときよりも、直流電流が流れる部品へ流れる空気を減らし、減らした分の空気が交流電流が流れる部品に流れるようにする。
【0035】
図3は、実施の形態1における、設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様のときの、筐体内の構造を表わす断面図である。
【0036】
第1の設置仕様および第2の設置仕様において、無停電電源装置1の冷却が十分できるように、筐体120の大きさ、筐体内の第2のブロック42の配置、第1のブロック41の配置が決められている。
【0037】
第1のブロック41には、無停電電源装置1を構成する一部の電気部品が配置される。一部の電気部品は、交流電流が流れる電気部品を含む。たとえば、
図3に示すように、第1のブロック41には、インバータ12、コンバータ8、入力フィルタリアクトル7、出力フィルタリアクトル13、フィルタコンデンサ6、および入力コンタクタ5が配置されるものとしてもよい。
【0038】
第2のブロック42には、無停電電源装置1を構成する他の電気部品が配置される。他の電気部品は、直流電流が流れる電気部品を含む。たとえば、
図3に示すように、第2のブロック42には、ダブルチョッパ9、チョークコイル4、および直流ブレーカ10が配置されるものとしてもよい。
【0039】
平滑用電解コンデンサ11は、第1のブロック41と第2のブロック42とに配置される。平滑用電解コンデンサ11は、インバータ12、コンバータ8およびダブルチョッパ9のそれぞれの直近に配置して、IGBT素子とコンデンサ間のインダクタンスを抑える必要があるためである。
【0040】
直方体の筐体120の第1の側面130aに、空気の吸入口91a、91b、91cが配置される。筐体の上面132に冷却ファン71および空気の排気口92が配置される。第1の側面130aに隣接して、上側に第1のブロック41が配置され、下側に第2のブロック42が配置される。
【0041】
筐体120の第1の側面130aと対向する第2の側面130bと第1のブロック41および第2のブロック42との間に空間134が形成される。
【0042】
仕切り構造30は、第2の側面130bに対向し、かつ第2のブロック42の排気側に隣接して配置される。仕切り構造30は、第1のブロック41および第2のブロック42を通流する空気の流れを調整可能に構成される。
【0043】
交流電流Ii,Ioの大きさが第1の大きさ、かつ直流電流Idの大きさが第2の大きさの設置仕様時(たとえば、第1の設置仕様時)に比べて、交流電流Ii,loの大きさが第1の大きさよりも大きく、かつ直流電流Idの大きさが第2の大きさよりも小さい設置仕様時(たとえば、第3の設置使用時)には、仕切り構造30によって、第1のブロック41を通流する空気の流れが多く、かつ第2のブロック42を通流する空気の流れが少なくなるように調整される。
【0044】
仕切り構造30は、仕切り板31および風量調整板32を有する。風量調整板32は、仕切り板31の開口部の全部または一部を覆うように、上下に移動可能に構成される。
【0045】
図4(a)は、仕切り板31の正面図である。
図4(b)は、仕切り板31を横方向から見た図である。仕切り板31は、縁を除いた箇所(中央部)に開口部36を有する。
【0046】
図5(a)は、風量調整板32の正面図である。
図5(b)は、風量調整板32を横方向から見た図である。風量調整板32は、上下方向に移動可能に構成される。
【0047】
図6(a)は、実施の形態1における設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様のときの仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす正面図である。
図6(b)は、実施の形態1における設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様の仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす側面図である。
【0048】
風量調整板32は、上下に移動可能であるが、設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様のときには、最下部に配置される。これにより仕切り板31の開口部36は全開となる。
【0049】
吸入口91cから吸入された空気が第2のブロック42を通流した後、仕切り構造30を超えて空間134に流れ、排気口92から排気される。
【0050】
図7は、設置仕様が第3の設置仕様のときの、筐体内の構造を断面図である。
図8(a)は、実施の形態1における設置仕様が第3の設置仕様のときの仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす正面図である。
図8(b)は、実施の形態1における設置仕様が第3の設置仕様のときの仕切り板31に対する風量調整板32の位置を表わす側面図である。
【0051】
設置仕様が第3の設置仕様のときには、風量調整板32が最下部から上方向に移動した位置に配置される。これにより、仕切り板31の開口部36の一部が風量調整板32に覆われる。設置仕様が第3の設置仕様のときに、仕切り板31の開口部36をどの程度覆うかは、出荷前の実験、またはシミュレーションによって決定することができる。
【0052】
吸入口91cから吸入された空気が第2のブロック42を通流した後、仕切り構造30によって空間134に流れるのが遮られて、第1のブロック41側に流れる。設置仕様が第3の設置仕様のときには、第1のブロック41に流れる交流電流は、第1および第2の設置仕様のときよりも大きくなり、第1のブロック41の発熱量が大きくなる。一方、第2のブロック42側からも第1のブロック41に空気が流れこんでくるので、第1のブロック41の冷却能力が増加するので、増加した発熱量に対処することができる。第3の設置仕様では、第2のブロック42に流れる空気が制限されるが、第2のブロック42に流れる電流は、第1および第2の設置仕様のときよりも小さいので、第2のブロック42の発熱量が小さくなるので、問題とならない。
【0053】
つまり、第3の設置仕様では、第2のブロック42に流れる風を減らし相対的に第1のブロック41に流れる風を増やすことで、第1のブロック41の部品に流すことが出来る電流を増やし、装置定格容量を増やすことができる。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、強制空冷タイプの無停電電源装置に関して、筐体の内部の部品配置を変えることなくより幅広い設置仕様に対応するために、盤内の仕切り板の開閉状態を微調整することで内部の風の分流を調整することによって、冷却を最適化することができる。なお、図示した風量調整板32は、仕切り板31の開口部36の一部のみを覆うことができるものであるが、仕切り板31の開口部36の一部だけでなく、全部を覆うことができるものであってもよい。
【0055】
実施の形態2.
実施の形態2においても、仕切り構造30は、仕切り板31Aと風量調整板32Aとを有する。
【0056】
実施の形態2の仕切り構造30は、実施の形態1と同様の位置に配置される。
図9(a)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの正面図である。
図9(b)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの側面図である。
図10は、仕切り板31Aの一部を拡大表示したときの正面図である。
図11は、風量調整板32Aの一部を拡大表示したときの正面図である。
図12(a)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの一部を拡大表示したときの正面図である。
図12(b)は、実施の形態2における仕切り板31Aと風量調整板32Aとを重ねたときの一部を拡大表示したときの側面図である。
【0057】
仕切り板31Aには、複数の開口部33が形成されている。複数の開口部33は、同一の大きさで、格子状に形成されている。風量調整板32Aには、複数の開口部34が形成されている。複数の開口部34は、同一の大きさで、格子状に形成されている。
【0058】
開口部33の数と、開口部34の数とが等しい。開口部33の大きさと、開口部34の大きさとが等しい。
【0059】
仕切り板31Aは、実施の形態1と同様の位置に固定される。仕切り板31の各開口部33の一部または全部が、風量調整板32Aの対応する開口部34の一部または全部と重なるように、風量調整板32Aを上下に移動させることができる。これによって、開口部33と開口部34とが重なっている部分35の大きさが変化し、空気の流れを制御することができる。
【0060】
設置仕様が第1の設置仕様または第2の設置仕様のときには、風量調整板32Aは、最下部に配置されて、開口部33と開口部34とが完全に重なり、重なっている部分35の大きさが最大となる。このときには、吸入口91cから吸入された空気が第2のブロック42を通流した後、その多くが、仕切り構造30を超えて空間134に流れ、排気口92から排気される。
【0061】
設置仕様が第3の設置仕様のときには、風量調整板32が最下部から上方向に移動した位置に配置される。これにより、仕切り板31Aの開口部33の一部と風量調整板32Aの開口部34の一部とが重なり、重なっている部分35の大きさが第1および第2の設置仕様のときよりも小さくなる。設置仕様が第3の設置仕様のときに、仕切り板31Aの開口部33をどの程度覆うかは、出荷前の実験、またはシミュレーションによって決定することができる。
【0062】
このときには、吸入口91cから吸入された空気が第2のブロック42を通流した後、仕切り構造30によって空間134に流れるのが遮られて、第1のブロック41側に流れる量が多くなる。よって、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、第3の設置仕様では、第2のブロック42に流れる風を減らし相対的に第1のブロック41に流れる風を増やすことで、第1のブロック41の部品に流すことが出来る電流を増やし、装置定格容量を増やすことができる。なお、図示した風量調整板32Aは、仕切り板31Aの開口部33の一部のみを覆うことができるものであるが、仕切り板31Aの開口部33の一部だけでなく、全部を覆うことができるものであってもよい。
【0063】
実施の形態1では、第2のブロック42に流れる風が上下でアンバランスとなってしまう可能性があるが、実施の形態2では、そのようなアンバランスが発生しないという利点を有する。
【0064】
変形例.
第1のブロック41には、交流電流が流れるすべての部品(インバータ12、コンバータ8、入力フィルタリアクトル7、出力フィルタリアクトル13、フィルタコンデンサ6、入力コンタクタ5、および出力コンタクタ15)が配置されなくてもよい。第1のブロック41には、交流電流が流れる部品の一部のみが配置され、あるいは、交流電流が流れる部品の一部と、直流電流が流れる部品の一部とが配置されるものとしてもよい。交流電流が流れる部品の一部は、たとえば、発熱量が大きなインバータ12、およびコンバータ8としてもよい。
【0065】
第2のブロック42には、直流電流が流れるすべての部品(直流ブレーカ10、チョークコイル4、ダブルチョッパ9、平滑用電解コンデンサ11)が配置されなくてもよい。第2のブロック42には、直流電流が流れる部品の一部のみが配置され、あるいは、直流電流が流れる部品の一部と、交流電流が流れる部品の一部とが配置されるものとしてもよい。直流電流が流れる部品の一部は、たとえば、発熱量が大きなダブルチョッパ9としてもよい。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 無停電電源装置、2 商用交流電源、4 チョークコイル、5 入力コンタクタ、6 入力フィルタコンデンサ、7 入力フィルタリアクトル、8 コンバータ、8a,12a 交流端子、9 ダブルチョッパ、10 直流ブレーカ、11 平滑用電解コンデンサ、12 インバータ、13 出力フィルタリアクトル、14 出力フィルタコンデンサ、15 出力コンタクタ、30 仕切り構造、31,31A 仕切り板、32,32A 風量調整板、33,34,36 開口部、41 第1のブロック、42 第2のブロック、51 バッテリ、52 負荷、71 冷却ファン、91a,91b,91c 吸入口、92 排気口、120 筐体、130a 第1の側面、130b 第2の側面、132 上面、134 空間、L1 直流ライン、NP 中性点、T1 交流入力端子、T2 バッテリ端子、T3 交流出力端子。