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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】エネルギ測定及びサージ電流検出
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
G01R19/165 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022560897
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021058042
(87)【国際公開番号】W WO2021204569
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】20169051.8
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ミスドム ヨハンネス アドリアヌス コルネリス
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106771533(CN,A)
【文献】特開平7-244111(JP,A)
【文献】特開平4-17286(JP,A)
【文献】国際公開第2017/114646(WO,A1)
【文献】実開昭60-42972(JP,U)
【文献】特開昭62-173914(JP,A)
【文献】米国特許第3333155(US,A)
【文献】米国特許第4176386(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路であり、
一次巻線及び二次巻線を有する変流器と、
エネルギ測定のための、前記二次巻線に接続される第1電流検知装置と、
サージ電流検出のための、前記二次巻線に接続される第2電流検知装置とを有する回路であって、前記第2電流検知装置が、ハイパスフィルタを有し、前記二次巻線が、直列の第1巻線部及び第2巻線部を有し、前記第1巻線部と前記第2巻線部との間の接合部において仮想接地が規定され、前記第1巻線部及び前記第2巻線部の、前記接合部の反対側の端部が、各々、それぞれの順方向ダイオードを介して変流器出力に接続し、前記第1電流検知装置及び前記第2電流検知装置が、各々、前記変流器出力及び前記仮想接地に接続される回路。
【請求項2】
前記ハイパスフィルタが、前記変流器の通常動作の周波数より高いカットオフ周波数を有する請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記変流器の通常動作の周波数が、主電源周波数である請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記第1電流検知装置が、第1抵抗器であって、前記第1抵抗器の両端のエネルギ測定信号が測定される第1抵抗器を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記エネルギ測定信号が、前記第1抵抗器の両端の電圧を有する請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記第2電流検知装置が、第2抵抗器であって、前記第2抵抗器の両端の電流サージ信号が測定される第2抵抗器を有する請求項4又は5に記載の回路。
【請求項7】
前記電流サージ信号が、前記第2抵抗器の両端の第2電圧を有する請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記第1抵抗器が、前記第2抵抗器より大きい抵抗を有する請求項6又は7に記載の回路。
【請求項9】
前記ハイパスフィルタが、前記二次巻線と前記第2抵抗器との間に直列コンデンサを有する請求項6、7又は8に記載の回路。
【請求項10】
前記第1電流検知装置が、前記第1電流検知装置の入力においてローパスフィルタを更に有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
前記第2電流検知装置が、前記第2電流検知装置の出力においてサンプルホールド回路を更に有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
前記サンプルホールド回路が、ピーク検出回路を有する請求項11に記載の回路。
【請求項13】
LEDユニットと、
前記LEDユニットによるエネルギ使用量の測定、並びにサージ電流の検知及びカウントのための、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の、エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路とを有するLED照明回路。
【請求項14】
LEDドライバを更に有し、前記エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路が、前記LEDドライバへの入力線に沿って直列に前記変流器の前記一次巻線と接続される請求項13に記載のLED照明回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ測定(energy metering)及びサージ電流検出のための回路に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者はエネルギ消費を削減しようとするので、エネルギ測定は、消費者の興味が高まっている。エネルギ測定は、一般に、エネルギコストの計算及びモニタリングのために興味深い。
【0003】
例えば、幾つかのLED照明アプリケーションでは、様々な理由でLEDの電力消費を監視することが知られている。例えば、エネルギコストの支払いのために、照明システムの消費電力の確認が必要とされ得る。
【0004】
この目的のために、LED照明装置は、例えば、エネルギ測定回路の一部として、(整流主電源入力に接続する)入力端子とドライバ段との間に配置されるアナログ/デジタル変換器(ADC)を含み得る。LED光源の電圧及び電流を表す、電圧及び電流の測定値が、ADCに供給され、ADCが、入力をサンプリングし、消費電力を計算する。その場合、LED照明装置のマイクロコントローラは、ドライバの動作を制御するためにこの情報を使用することができる。
【0005】
LEDドライバのサージ耐性(surge robustness)は、興味が高まっている別のトピックである。ドライバが耐えることができるサージ電圧が高ければ高いほど、ドライバはロバストになる。サージ事象をモニタすることも興味深い。例えば、サージ電流によるドライバの寿命の終わりが予測されることができる場合には、予防保守が実行されることができる。特に道路照明アプリケーションにとっては、予測可能なメンテナンスは重要である。
【0006】
寿命の終わりの予測のための重要なパラメータのうちの1つは、サージ電流の正確な測定である。しかしながら、サージ電流測定は高コストな機能である。モニタ用マイクロプロセッサは、サージ電流が検知される箇所から絶縁される必要があり、故に、アイソレータが必要とされる。光アイソレータの使用は追加の電源を必要とし、これは望ましくない。
【0007】
それ故、変流器(current transformer)をベースとしたソリューションが提案されている。なぜなら、それは、光学的絶縁システム(optical isolation system)よりコストが低く、高いサージ電流(及び対応する電圧)に対処するための信頼性がより高いからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、サージ電流モニタリング及びエネルギ測定のための別々のシステムが含まれる場合には、これらのモニタリングソリューションを提供するためのシステムコストの大幅な増加がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0010】
本発明の或る態様による例によれば、エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路であり、
一次巻線及び二次巻線を有する変流器と、
エネルギ測定のための、前記二次巻線に接続される第1電流検知装置と、
サージ電流検出のための、前記二次巻線に接続される第2電流検知装置とを有する回路であって、前記第2電流検知装置が、ハイパスフィルタを有する回路が提供される。
【0011】
この回路は、単一の変流器で、負荷のエネルギ測定と、サージ電流検出との両方を可能にする。これは、両方の機能を実施するための低コストでコンパクトなやり方を提供する。前記ハイパスフィルタは、前記第2電流検知装置により通常の動作周波数の電流がフィルタにかけて除去されることから、前記エネルギ測定の正しい機能が前記第2電流検知装置によって影響を及ぼされないことを意味する。例えば、前記変流器は、主電源周波数(50Hz又は60Hz)で動作してもよく、前記ハイパスフィルタは、前記主電源周波数を遮断する(即ち、カットオフ周波数は、50Hz又は60Hzより高い)。
【0012】
前記第1電流検知装置は、第1抵抗器であって、前記第1抵抗器の両端のエネルギ測定信号が測定される第1抵抗器を有してもよい。(サージ事象がないときに)前記第1抵抗器へ流れる電流は負荷電流の既知の割合であり、前記負荷電流(又はその一部)は前記一次巻線を流れる。従って、前記負荷によるエネルギ消費量が導き出されることができる。前記エネルギ測定信号は、例えば、前記第1抵抗器の両端の電圧を有する。
【0013】
前記第2電流検知装置は、例えば、第2抵抗器であって、前記第2抵抗器の両端の電流サージ信号が測定される第2抵抗器を有する。従って、高い周波数(即ち、短い持続時間)を有するサージ事象の場合は、電流スパイクが前記ハイパスフィルタによってフィルタリングされず、信号が測定され得る。前記電流サージ信号は、例えば、前記第2抵抗器の両端の第2電圧を有する。
【0014】
前記第1抵抗器は、例えば、前記第2抵抗器より大きい抵抗を有する。とりわけ、前記第1抵抗器は、前記負荷の通常動作によって生じる小さな電流を検知するためのものであり、従って、有意な検知電圧を生成するために大きな抵抗器が使用される。前記第2抵抗器は、大きい(が、短い持続時間の)電流パルスを検知するためのものであり、従って、より小さな検知抵抗器が使用され得る。
【0015】
前記ハイパスフィルタは、例えば、前記二次巻線と前記第2抵抗器との間に直列コンデンサを有する。前記第2抵抗器と組み合わせて、ハイパスフィルタが形成される。
【0016】
前記第1電流検知装置は、前記第1電流検知装置の入力においてローパスフィルタを更に有してもよい。
【0017】
これは、フィルタをかけて、例えば前記エネルギ測定システムのアナログ/デジタル変換器の範囲外である、高い振幅の電流サージ信号を除去するために使用され、そうでなければ、前記高い振幅の電流サージ信号は、エネルギ測定器(energy meter)の読み取り信号を飽和させる。
【0018】
前記第2電流検知装置は、前記第2電流検知装置の出力においてサンプルホールド回路を更に有してもよい。これは、短い持続時間の電流サージからの信号を保存して、前記信号の読み取りをより容易にするために使用される。前記サンプルホールド回路は、例えば、ピーク検出回路を有する。
【0019】
前記二次巻線は、直列の第1巻線部及び第2巻線部を有してもよく、前記第1巻線部と前記第2巻線部との間の接合部において仮想接地(virtual earth)が規定され、前記第1巻線部及び前記第2巻線部の、前記接合部の反対側の端部は、各々、それぞれの順方向ダイオードを介して変流器出力(transformer output)に接続し、前記第1電流検知装置及び前記第2電流検知装置は、各々、前記変流器出力及び前記仮想接地に接続される。
【0020】
この装置は、前記電流サージがどちらの極性でも検出されることができることを意味する。
【0021】
本発明は、
LEDユニットと、
前記LEDユニットによるエネルギ使用量の測定、並びにサージ電流の検知及びカウントのための、上記で規定されているようなエネルギ測定及びサージ電流検出のための回路とを有するLED照明回路も提供する。
【0022】
前記回路は、好ましくは、LEDドライバを更に有し、前記エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路は、前記LEDドライバへの入力線に沿って直列に前記変流器の前記一次巻線と接続される。
【0023】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】既知のエネルギ測定システムを示す。
図2】本発明の例による回路の例を示す。
図3図2の回路に対する修正例を示す。
図4】LEDユニットと、エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路とを有するLED照明回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図を参照して本発明について説明する。
【0026】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0027】
本発明は、エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路を提供する。前記回路は変流器を使用する。エネルギ測定のために、第1電流検知装置が、変流器の二次側に接続され、サージ電流検出のために、ハイパスフィルタを備える第2電流検知装置が、二次側に接続される。従って、単一の構成要素が、エネルギ測定とサージ検出とを提供することができる。
【0028】
図1は、既知のエネルギ測定システムを示している。変流器10は、一次巻線(巻線、即ち、コイルL1)と二次巻線(直列の第1巻線部及び第2巻線部、即ち、コイルL2及びL3)とを有する。モニタされている電流は、一次巻線に供給される。変流器は、二次巻線によって小さな電流が供給されるように、大きな巻数比、例えば1:100を有する。
【0029】
第1の二次コイルL2と第2の二次コイルL3との間の接合部において仮想接地が規定され、コイルL2、L3の、接合部の反対側の端部は、各々、それぞれの順方向ダイオードD1及びD2を介して変流器出力Voutに接続し、従って、整流器を形成する。
【0030】
変流器出力Voutと仮想接地との間に電流検出抵抗器R1が接続される。この装置は、出力電圧Voutが入力電流の極性に依存しないことを意味する。
【0031】
従って、抵抗器R1による二次側の終端は、変流器の一次電流を二次側の電圧に変換する。この装置は、或る特定の電流範囲内ではうまく機能する。
【0032】
本発明は、一般的に1kA乃至10kAの範囲内の電流でのサージ電流センサ(例えばカウンタ)としての使用と、一般的に1乃至10Aの範囲内の電流をモニタするためのエネルギ測定システムとしての使用との両方に適した回路を提供することを目的としている。これを達成するために、(例えば20ビットを上回る)非常に高い精度及び範囲を持つ、Voutを処理するためのアナログ/デジタル変換器が使用され得る。本発明は、低コストのソリューションを提供することを目的としている。
【0033】
図2は、本発明の例による回路の例を示している。
【0034】
ブロック20内に示されている回路構成要素は、図1に対応する。
【0035】
前記回路は、出力ノードVoutから2つの出力を生成する。第1出力は、図1と同様に抵抗器R1の両端間で測定されるエネルギ測定信号V_emである。抵抗器R1は、従って、エネルギ測定のための、二次巻線L2、L3に接続される第1電流検知装置として機能する。
【0036】
第2出力は、第2抵抗器R2の両端間で測定されるサージ電流検出信号V_scである。直列コンデンサC2も存在する。抵抗器R2及びコンデンサC2は、サージ電流検出のための、二次巻線L2、L3に接続される第2電流検知装置として機能する。抵抗器R2及びコンデンサC2は、ハイパスフィルタとして機能する。
【0037】
通常動作においては、変流器の一次巻線L1には、主電源周波数、例えば50Hzにおいて1Aのオーダーの電流が供給される。二次巻線L2、L3には、1:100の巻数比の場合は10mAの電流が存在する。
【0038】
コンデンサC2は、50Hzの信号に対しては高いインピーダンスを有し、故に、全二次電流が他方の(第1)検出抵抗器R1へ流れる。例として、R1=3.3kΩである。これは、標準的なアナログ/デジタル変換器の入力への印加に適した3.3Vの電圧をもたらす。
【0039】
勿論、巻数比及びR1の抵抗は、エネルギ測定目的のために出力においてモニタするための所望の電圧レベルを得るために任意の適切な値を取り得る。
【0040】
入力巻線L1において例えば1kAのサージ電流が存在する場合、サージ周波数は>100kHzの範囲内にある。コンデンサC2は短絡の役割を果たし、約10mAの二次電流が第2電流検出抵抗器に供給される。コンデンサC2及び抵抗器R2の組み合わせは、ハイパスフィルタとして機能する。
【0041】
ハイパスフィルタは、通常の動作周波数の電流がフィルタにかけて除去されることから、エネルギ測定の正しい機能がサージ電流検知装置によって影響を及ぼされないことを意味する。ハイパスフィルタは、主電源周波数を遮断する(即ち、カットオフ周波数は、50Hz又は60Hzより高く、例えば、100Hz乃至500Hzの範囲内である)。
【0042】
第2抵抗器R2は、大きなサージ電流(1kA)によって生じる電圧が測定されることができるように、第1抵抗器より低い抵抗を有する。例えばR2=1Ωである場合、これは10Vパルスをもたらす。
【0043】
この回路は、単一の変流器で、負荷のエネルギ測定と、サージ電流検出との両方を可能にする。これは、両方の機能を実施するための低コストでコンパクトなやり方を提供する。
【0044】
電流サージ事象の間、電圧は、上記で説明したように、例えば10Vまで上昇する。変流器出力Voutは、両方の検知出力V_sc及びV_emに結合されることから、エネルギモニタリング出力も10Vまで上昇する。これは、アナログ/デジタル変換器の入力電圧の範囲外であり、これは、飽和させる。
【0045】
生じ得るエネルギモニタリング機能における誤りの発生を防止するために、図3において示されているような回路修正例が使用され得る。
【0046】
第1電流検知装置は、二次巻線(即ち、Vout)と、第1電流検知構成要素、即ち、抵抗器R1との間にローパスフィルタR10、C10を更に有する。従って、ローパスフィルタは第1電流検知装置の入力にある。これは、フィルタをかけて、例えばエネルギ測定システムのアナログ/デジタル変換器の範囲外である、高い振幅の電流サージ信号を除去するために使用され、そうでなければ、前記高い振幅の電流サージ信号は、エネルギ測定器の読み取り信号を飽和させる。更なる利点は、このローパスフィルタによって、主電源周波数の高調波が減衰されることである。
【0047】
エネルギ測定のためのIEC要件は、測定が5次高調波(the 5th harmonic)までであることである。
【0048】
ローパスフィルタは、主電源信号は通すが、所望の最大高調波を上回るより高い周波数は遮断するカットオフ周波数を持つ。カットオフ周波数は、例えば250Hz乃至1kHzの範囲内である。
【0049】
従って、このローパスフィルタは、サージ電流を遮断し、それによって、エネルギ測定のために電流を測定している回路を保護する。
【0050】
サージ電流は短いスパイクであるので、V_scを処理するための高速なアナログ/デジタル変換器が必要とされる、あるいは、サンプルホールド機能が使用され得る。図3は、測定回路に供給する前に抵抗器R2の両端の電圧を処理するために、ピーク検出回路D3、C3、R3によって実施されるサンプルホールド機能を示している。
【0051】
電流スパイクは、順方向ダイオードD3を介してコンデンサC3を電流スパイクのピークに依存するレベルまで充電させる。(信号の測定に十分な時間後の)コンデンサの放電は、コンデンサC3と並列の放電抵抗器R3に依存する。この回路は、短い持続時間の電流サージからの信号を一次的に保存して、信号の読み取りをより容易にする。
【0052】
図4は、LEDユニットと、上記のようなエネルギ測定及びサージ電流検出のための回路とを有するLED照明回路を示している。
【0053】
前記回路への入力は、線L及び中性線Nである。変流器10の一次巻線L1は、入力線のうちのいずれか一方と直列にある。図4は、中性線への電流が一次巻線L1を流れるように、中性線と直列に一次巻線L1と接続される、エネルギ測定及びサージ電流検出のための回路30を示している。
【0054】
EMI段32は入力線の下流にあり、後に整流器34が続く。整流器は、(任意の適切なタイプの)スイッチモード電力変換器のようなLEDドライバ36に電力を供給する。このドライバは、LEDユニット38に電力を供給する。
【0055】
回路30は、例えば、その接地接続を介して、LEDドライバ36のシャーシグランド(chassis ground)に接続する。このシャーシグランドは、例えば、(図4においては示されていない)整流器の負の出力に接続する。主電源絶縁は、代わりに、ドライバ36内であってもよく、この場合には、回路30は、LEDドライバ36内の場所に接地されてもよい。
【0056】
LED及びドライバについては、任意の既知の装置が使用され得ることから、詳細には説明しない。
【0057】
本発明は、LEDドライバにとってとりわけ興味深いが、サージカウンタ及びエネルギ測定機能が使用される広範囲のアプリケーションにおいても使用され得る。
【0058】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0059】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0060】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0061】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4