(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】立体自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240109BHJP
B65G 60/00 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
B65G1/00 501Z
B65G60/00 B
(21)【出願番号】P 2017054134
(22)【出願日】2017-03-21
【審査請求日】2020-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】井上 由雄
(72)【発明者】
【氏名】篠原 啓樹
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】内田 博之
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0088748(US,A1)
【文献】特開2004-115257(JP,A)
【文献】特開2015-168573(JP,A)
【文献】特開2011-178549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133 B65G 1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路空間の両側に棚が積層されて形成される一列の格納棚が複数列並列されて配置される格納部と、
コンベヤで物品又は物品収納容器が搬送される入出庫部と、
前記格納部の前記通路空間のそれぞれに配備される物品又は物品収納容器の移載手段と、
前記入出庫部に付設される前記物品又は物品収納容器の持ち上げ・吊持・降下手段であってクランプ駆動装置とリフタとから構成される持ち上げ・吊持・降下手段と、
入庫の際には、前記入出庫部において前記持ち上げ・吊持・降下手段によって前記物品又は物品収納容器を段積みさせ、前記段積みされた前記物品又は物品収納容器を前記入出庫部によって前記入出庫部から前記移載手段へと移載させ、前記段積みされた前記物品又は物品収納容器を前記移載手段によって前記格納部に格納させるようにする手段と、
出庫の際には、該出庫に係る複数の前記段積みされた前記物品又は物品収納容器を前記移載手段によって前記通路空間をまたいで前記入庫に係る第1の位置から第2の位置まで移動させて集約させ、前記段積みされた前記物品又は物品収納容器を前記移載手段によって前記第2の位置から前記移載手段へと移載させ、前記段積みされた前記物品又は物品収納容器を前記持ち上げ・吊持・降下手段によって前記移載手段から段ばらしして前記入出庫部へと移載させる手段と
を具備する立体自動倉庫。
【請求項2】
前記移載手段が、前記空間を走行し、かつ、前記物品又は物品収納容器を出し入れ可能な載置台を昇降自在に付設したスタッカクレーンである請求項1に記載の立体自動倉庫。
【請求項3】
前記移載手段が、前記物品又は物品収納容器を移載可能な搬送台を昇降自在に付設した昇降機構と、前記格納棚の各段の格納面を水平方向に走行し、前記物品又は物品収納容器を出し入れ可能な載置台を備えた走行機構とから構成されている請求項1に記載の立体自動倉庫。
【請求項4】
前記格納棚の各段に、前記走行機構の載置台と前記昇降機構の搬送台との前記物品又は物品収納容器の移載を媒介する仮置き搬送台が付設されている請求項3に記載の立体自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納部と、入出庫部と、格納部に配備される移載手段とから構成され、物品又は物品収納容器(以下、「物品等」という。)を立体的に整理・保管し、仕分けを行う立体倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
物流における近代化・合理化は、生産・販売面のそれに比較すると立ち遅れていたが、
近年、必要な時に必要な物品を手にしたいという要望が、産業界だけでなく一般消費者でも強くなり、急速な物流合理化、すなわち、物流革命が推進されている。これには、パレチゼーション、コンテナリゼーションによるユニット・ロード・システムの進展、倉庫の自動化の促進等が不可欠である。
【0003】
この中でも、物流効率の向上は言うまでもなく、空間の利用効率、人員の削減、作業環境の改善等という観点からも、コンピュータを用いて集約された膨大な入出荷及び在庫情報等に基づいて、様々な制御システムが、コンベア、リフト、周辺装置等の一連の動作を稼働させ、物品等を整理、保管すると共に、仕分けできる立体自動倉庫システムは特に注目されており、日夜進歩している状況にある。
【0004】
このような立体自動倉庫は、一般的に、格納部と入出庫部から構成され、これらの間に各種移載手段が設けられている。入出庫部は、コンベア等が主体であり、格納部は、格納棚が物品等の出し入れ可能な格納面で所定の空間を隔てて対峙し並置されており、その空間に物品等の移載手段が配置された格納設備が構成単位となっているか、物品等の出し入れ可能な格納面の反対面で隣接する1組の格納棚が所定の空間を隔てて対峙されており、その空間に物品等の移載手段が配置された格納設備が構成単位となっており、その空間に物品等の移載手段が配設された格納設備が構成単位となっているものが一般的である。
【0005】
そして、上記物品等の移載手段の違いによって様々な立体自動倉庫が開発されている。例えば、
図1に示すように、格納棚間の空間3に配置されたレール9、10上をクレーン台車6が走行し、物品等を出し入れ可能な伸縮アーム8を備えた載置台7を昇降自在にクレーンマスト5に付設したスタッカクレーンを物品等の移載手段とし、格納棚の水平(X軸)方向及び垂直(Y軸)方向に物品等の自在な往復移動を可能にした立体自動倉庫(例えば、特許文献1及び2)がある。また、
図2に示すように、Y軸方向の各段に設けられた走行レール12上を往復移動する、物品等を出し入れ可能な(図示していない)伸縮アームを備えた走行台車11と、格納棚間の所定の空間に設けられる、物品等を移載可能な搬送台14を昇降自在に付設した昇降機13とを物品等の移載手段とし、走行台車11が格納棚のX軸方向への物品等の自在な往復移動を、物品等載置搬送台14を付設した昇降機13がY軸方向の物品等の自在な往復移動をそれぞれ担う立体自動倉庫(例えば、特許文献3、4、及び、非特許文献1)がある。
【0006】
特に、後者の立体自動倉庫は、その他の立体自動倉庫と比較すれば、収納量、空間の利用効率、設備コスト、人員削減、作業環境改善等を含めた総合的な物流効率に優れているため、更なる改良が施されつつある。例えば、設備費用及び設置空間を抑制したまま収納量を増大させるため、昇降機構を対称の中心として格納棚を直列に配備したタンデム方式の立体倉庫(特許文献5)や、並置される格納棚間の横断(Z軸)方向への物品等の移載を可能とした横断搬送方式の立体自動倉庫(特許文献6)等が提案されている。
【0007】
しかし、
図1及び
図2のいずれの立体自動倉庫においても、物品等を一つずつしか移載及び格納できないという、物品等の移載上及び格納上の問題があるにもかかわらず、この問題に着目した改良技術は認められない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平8-108904号公報
【文献】特開2012-236683号公報
【文献】特開昭63-165205号公報
【文献】特開2015-168573号公報
【文献】特開2011-178549号公報
【文献】特表2015-524374号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】株式会社イトーキホームページ、SAS PDF、http://www.itoki.jp/catalog/pdf/senmon/sys_streamer.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、格納部と、入出庫部と、格納部に配備される移載手段とから構成され、物品等を立体的に整理・保管し、仕分けを行う立体倉庫において、収納量、空間の利用効率、設備コスト等の総合的な物流効率を高めることが可能な立体自動倉庫を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、格納部と、入出庫部と、格納部に配備される移載手段とから構成され、物品等を立体的に整理・保管して仕分けを行う、従来の立体倉庫が、物品等を一つずつ移載・格納するという非効率的な方法で稼働されている点に着目し、その解決手段を検討した結果、物品等を段積みして移載・格納することによって、立体自動倉庫の収納量、空間の利用効率、設備コストを大きく改善できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、物品等を段積みして移載・格納することが可能となるように、格納部と、入出庫部と、格納部に配備される物品等の移載手段とを具備する立体自動倉庫の入出庫部に、物品等の段積み又は段ばらし手段を付設したことを特徴とする立体自動倉庫である。
【0013】
段積み又は段ばらし手段は、一般的に普及している段積み又は段ばらし装置を、コンベア等から構成される入出庫部に転用することができる。また、作業員に、極めて自由度の高い段積み又は段ばらしを行わせることもできるが、作業員と類似の機能、人員削減、自動化という観点から、ロボットを適用することが好ましい。
【0014】
本発明の段積み又は段ばらし装置を入出庫部に付設された立体自動倉庫では、入庫部においてコンベアで搬入されてきた物品等の段積みを行い、格納部に配備される移載手段を経由して、段積みされた物品等が格納棚に格納される。そして、格納棚に格納する方法としては、段積みされた物品等を一つの格納棚に複数並置して格納することもできる。一方、出庫部では、格納棚に段積みされて保管されていた物品等が、格納部に配備される移載手段を経由して搬送され、段ばらしを行って、或いは、段ばらしを行うことなく搬出される。従って、入出庫部のコンベアは、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送機構、及び、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有するものでなければならない。
【0015】
例えば、物品等を2段に段積みを行って移載・格納することによって、単純な見当で、物流効率が2倍となる。この方法によれば、従来の一般的な立体自動倉庫に段積み又は段ばらし装置を付設するだけでよく、設備コストあたりの搬送効率及び空間利用効率を飛躍的に高めることができる。更に、例えば、格納棚一つ当たりの物品等を並置して格納する数を2倍にすることによって、単純な見当で、収納量が2倍となる。
【0016】
格納部の構成も、特に限定されるものではないが、一般的に普及しているX軸方向及びY軸方向に碁盤目状に配列してなる格納棚が所定の空間を持って対峙して並置されており、物品等の移載手段が格納棚間の空間に配置されている立体自動倉庫に対して、段積み又は段ばらし手段を入出庫部に付設することが、総合的な物流効率という観点から好ましい。
【0017】
ただし、格納部の格納棚の各段の高さ及び個々の幅は、立体自動倉庫で扱われる物品等の大きさ及び段積みする段数の設定に応じて設計されなければならないのは言うまでもない。
【0018】
移載手段も、特に限定されるものではないが、X軸方向及びY軸方向に碁盤目状に配列してなる格納棚が所定の空間を持って対峙して並置されている格納棚間の空間に配置され、この空間を走行し、かつ、物品等を出し入れ可能な載置台を昇降自在に付設したスタッカクレーンであることが好ましい。具体的には、例えば、
図1に示すスタッカクレーンを挙げることができる。
【0019】
更に、移載手段が、X軸方向及びY軸方向に碁盤目状に配列してなる格納棚が所定の空間を持って対峙して並置されている格納棚間の空間に配置され、物品等を移載可能な搬送台を昇降自在に付設した昇降機構と、格納棚の各段の格納面を水平方向に走行し、物品等を出し入れ可能な載置台を備えた走行機構とから構成されているものがより好ましい。そして、この場合、走行機構の載置台と昇降機構の搬送台との物品等の移載を滞りなく行うため、格納棚の各段にこれらを媒介する仮置き搬送台が設けられていることがより更に好ましい。具体的には、例えば、
図2に示す走行機構と昇降機構を挙げることができる。
【0020】
このような移載手段に備えられる、上記物品等を出し入れする装置、例えば、伸縮アーム、並びに、上記物品等の載置台や搬送台も、格納棚同様、立体自動倉庫で扱われる物品等の大きさ及び段積みする段数の設定に応じて設計される。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、従来の立体自動倉庫に段積み又は段ばらし装置を付設するだけで、立体自動倉庫の空間の利用効率及び収納量が高められ、物品等の移載・格納に要する設備コストが抑制されるので、総合的な物流効率に優れた立体自動倉庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】スタッカクレーンを移載手段とする立体自動倉庫の模式図である。
【
図2】走行台車と昇降機を移載手段とする立体自動倉庫の模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る、
図2の立体自動倉庫の入出庫部に段積み又は段ばらし装置を付設した立体自動倉庫の横断(Z軸)方向から見た模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、入庫部に付設するシリンダを備えた段積み装置の一例を
図3の矢印Aから見た平面の模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る、入庫部に付設するシリンダを備えた段積み装置の一例を
図3の矢印Bから見た側面の模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る、入庫部に付設するリフタを備えた段積み装置の一例を
図3の矢印Bから見た側面の模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る、入庫部に付設するシリンダとクランプを備えた段積み装置の一例を
図3の矢印Bから見た側面の模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る、入庫部に付設する段積み装置として適用するロボットの模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る、
図2の立体自動倉庫の入出庫部に段積み又は段ばらし装置を付設した立体自動倉庫において、複数の段積みした物品等を一つの格納棚に並置した場合の横断(Z軸)方向から見た模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る、
図9に示した立体自動倉庫の平面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を、図面に示した一実施形態を用いてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に係る、
図2の立体自動倉庫の入出庫部に段積み又は段ばらし装置を付設した立体自動倉庫の横断(Z軸)方向から見た模式図である。
図2の格納部1のL
n-1’ 列とL
n列の格納棚が形成する空間3を側面から見ており、L
n列の格納棚は、Y軸方向に更に区画された格納棚L
n-1、L
n-2・・・が形成されており、この空間3にX軸方向及びY軸方向に物品を搬送する移載手段が配備されている。そして、搬出入部2は、コンベアで物品等が搬送される入庫部2-1とコンベアで物品等が搬出される出庫部2-2から構成されており、ここに、段積み又は段ばらし装置16が付設されている。また、入出庫部2のコンベアは、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送機構、及び、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有するものである。
【0025】
空間3に配備される移載手段は、物品等を出し入れ可能な、例えば、(図示されていない)伸縮アームが備えられた走行台車11及び走行レール12が、格納棚のY軸方向の各段に備えられて、X軸方向の物品等の自在な往復移動を担い、物品等載置搬送台14を付設した昇降機13が、Y軸方向の物品等の自在な往復移動を担っている。更に、走行台車11と物品等載置搬送台14との物品等の移載を滞りなく行うため、これらを媒介する仮置き搬送台15が、Y軸方向の格段の一端に設けられている。
【0026】
本発明の立体自動倉庫を構成する重要な要素である段積み又は段ばらし手段は、一般的に普及している段積み又は段ばらし装置16を、コンベアから構成される入出庫部2に転用することができるが、立体自動倉庫の入出庫部に段積み又は段ばらし装置を付設したことに本発明の特徴があり、このことによって、物品等の移載・格納を飛躍的に向上させ、立体自動倉庫の総合的な物流効率を高めることを見出したのである。すなわち、本発明の段積み又は段ばらし装置を入出庫部に付設された立体自動倉庫では、入庫部2-1に付設された段積み又は段ばらし装置16においてコンベアで搬入されてきた物品等Pの段積みを行い、昇降機13に付設された物品等載置搬送台14に移載された後、仮置き搬送台15を経由して走行台車11に移載されて、段積みされた物品等P-1、P-2、P-3が区画された格納棚の一つに格納されるのである。ここでは、
図2の移載手段を備えた立体自動倉庫について、本発明の段積み又は段ばらし手段を入出庫部に付設した立体自動倉庫の流れを示したが、
図1の移載手段を備えた立体自動倉庫においても全く同様の流れで稼働される。
【0027】
さて、このような段積み又は段ばらし装置16としては、例えば、
図4及び
図5に示したように、シリンダ16-1-1を備えたシリンダ駆動装置16-1により、物品等Pを持ち上げて段積みを行う、又は、段ばらしを行う装置を挙げることができる。
図4は、
図3の矢印Aからみた平面図であり、
図5は、
図3の矢印Bから見た側面図である。
図5から明らかなように、入庫部2-1の段積み又は段ばらし装置16に、コンベアで物品等P-1が搬送されてくるとコンベアが停止して、シリンダ16-1が物品等P-1を持ち上げる。次いで、入庫部2-1の段積み又は段ばらし装置16に物品等P-2が搬送されてくるとコンベアが停止して、持ち上げられていた物品等P-1が降下して段積みが完了し、コンベアが再稼働して昇降機13に付設された物品等載置搬送台14に移載される。
【0028】
図6には、段積み又は段ばらし装置16として、物品等を吊持するクランプ16-2-1を備えたクランプ駆動装置16-2とリフタ16-2-2とから構成されるものであって、入庫部2-1には、コンベアの末端にリフタ16-2-2が隣接して配備される一例を示した。入庫部2-1のリフタ16-2-2にコンベアから移載された物品等P-1が、リフタ16-2-2で持ち上げられると同時に、クランプ16-2-1が出入して、物品等P-1を吊持する。次いで、入庫部2-1のリフタ16-2-2に物品等P-2が移載されると、リフタ16-2-2が上昇して段積みを行い、クランプ16-2-1が出入すると共にリフタ16-2-2が降下して段積みが完了し、コンベアが再稼働して昇降機13に付設された物品等載置搬送台14に移載される。
【0029】
図7は、段積み又は段ばらし装置16として、例えば、段積み又は段ばらしを3段行うことが可能な、クランプ16-3-1とシリンダ16-3-2を備えたクランプ・シリンダ駆動装置16-3の一例を示した。これは、シリンダ16-3-2で物品等を昇降し、クランプ16-3-1で物品等を吊持して、段積み又は段ばらしを行う機構のものである。シリンダ16-3-2で持ち上げられた物品等P-1は、クランプ16-3-1で吊持され、更に、シリンダ
16-3-2で物品等P-2を持ち上げた後、段積み又は段ばらし装置16に物品等P-3が移載されると、シリンダ
16-3-2で、物品等P-1及びP-2を順次降下させて段積みするものである。
【0030】
以上のような段積み又は段ばらし手段は、様々な機構で実用化されており、特にコンベアとの連動性に問題ないものであれば、特に限定されるものではない。
【0031】
また、作業員に極めて自由度の高い段積み又は段ばらしを行わせることもできるが、作業員と類似の機能、人員削減、自動化という観点から、ロボットを適用することが好ましい。
図8は、段積み又は段ばらし手段として、ロボット16-4を用いた一例である。ロボット16-4は、アーム部16-4-1と物品等握持部16-4-2から構成され、段積み又は段ばらしの作業を行う物品等仮置き台16-4-3が、ロボット16-4に隣接するように配置されている。ロボット16-4は、作業員のように、物品等P-1,P-2、P-3の段積みを行い、昇降機13に付設された物品等載置搬送台14に移載する。
【0032】
以上、段積み又は段ばらし手段について、入庫部2-1で行われる段積みを例に挙げて説明したが、出庫部2-2で行われる段ばらしについても、同じ機構の装置を用いて、逆の工程で行うことができる。ただし、出庫部以降の物品等の仕分けや処理によっては、出庫部2-2で必ずしも段ばらしが必要であるわけではなく、段ばらしを行うことなく出庫される場合もある。
【0033】
一方、このように段積みされた物品等を格納棚に格納する方法としては、段積みされた物品等を一つの格納棚に複数並置して格納することもできる。例えば、格納棚一つ当たりの物品等を二つ並置して格納している状態を
図9の側面図及び
図10の平面図で示している。
図9の区画された一つの格納棚L
n-1には、二段積みされた物品等と三段積みされた物品等が並置されている。このような段積みされた物品との並置は、設備コストを抑制して更なる収納量の増大を図ることができるものである。これは、
図10の物品等の出し入れ可能な、例えば、伸縮アーム17を備えた走行台車11が走行レール12を自在に移動することによって実現できる。これは、
図1に示した場合においても、伸縮アーム8と物品等載置台7とを備えたスタッカクレーン4が、走行レール9、10を自在に走行することによって実現できる。
【0034】
更に、本発明は、
図2に示すような立体自動倉庫内の集約作業に極めて効果的である。例えば、
図10で格納棚L
nと隣り合う格納棚L
n’の間に段差等物品が移動するための障害を除去すれば、通路3を走行している走行台車11の伸縮アーム17を利用してP
nの位置からP
n’に平行移動するオペレーションも可能となる。このオペレーションを用いると、
図10で格納棚L
n-1’のP
n-1’の位置にある物品を左側の通路3を走行する走行台車11がピックアップして通路の反対側の格納棚L
nのP
nの位置に置き、そのまま伸縮アーム17を延ばして隣の格納棚L
n’のP
n’の位置まで運ぶことができる。これは、P
n-1’位置にある物品の出庫処理を行う場合、物品をP
n-1’の位置からP
n’の位置まで通路をまたいで平行移動させておけるので、自動倉庫内だけで物品等を予め決められた順番どおり出庫する順立て出庫等の集約作業を行なえることを意味している。従って、段積みされていない物品を自動倉庫外に設けたコンベヤラインとソータを用いて行っていた従来の集約作業と比較して、本発明の段積みされた物品に上記オペレーションを適用した集約作業により、自動倉庫内だけで集約作業が完結できるだけでなく、物品集約量を向上させることができ、設備が大変コンパクトで、コストを大幅に低減した物流システムを構築することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、従来の立体自動倉庫に段積み又は段ばらし手段を付設適用するだけで、立体自動倉庫の空間の利用効率及び収納量が高められ、物品等の移載・格納に要する設備コストを抑制して総合的な物流効率に優れた立体自動倉庫を提供することを特徴としているので、立体自動倉庫が採用されている書庫、車庫、工場における資材、部品、仕掛品、完成品等の保管庫等のあらゆる保管管理システムに適用できる立体自動倉庫である。
【符号の説明】
【0036】
1 格納部
2 搬出入部
2-1 搬入部
2-2 搬出部
3 移載手段の配設空間
4 スタッカクレーン
5 クレーンマスト
6 クレーン台車
7 スタッカクレーン物品等載置台
8 伸縮アーム
9 上部走行レール
10 下部走行レール
11 走行台車
12 走行レール
13 昇降機
14 昇降機物品等載置搬送台
15 仮置き搬送台
16 段積み又は段ばらし装置
16-1 シリンダ駆動装置
16-1-1 シリンダ
16-2 クランプ駆動装置
16-2-1 クランプ
16-2-2 リフタ
16-3 クランプ・シリンダ駆動装置
16-3-1 クランプ
16-3-2 シリンダ
16-4 ロボット
16-4-1 アーム部
16-4-2 物品等握持部
16-4-3 物品等仮置き台
17 伸縮アーム
L 格納棚
L’ 格納棚Lと背面で隣接する格納棚
P、P’ 物品収納容器
Pn、Pn’ 格納棚Lnに格納された物品収納容器