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特許7413629IGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクトを用いた神経病症の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】IGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクトを用いた神経病症の治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/16 20060101AFI20240109BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240109BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240109BHJP
   C07K 14/65 20060101ALN20240109BHJP
   A61K 38/30 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
C12N15/16 ZNA
C12N15/86 Z
C12N15/85 Z
A61K48/00
A61P25/02
A61P25/00
A61P43/00 111
C07K14/65
A61K38/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021502750
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 IB2019000843
(87)【国際公開番号】W WO2020016655
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】62/699,662
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13540BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13539BP
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM-10476
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM-10179
(73)【特許権者】
【識別番号】518069438
【氏名又は名称】ヘリックスミス カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ネヨン
(72)【発明者】
【氏名】コ、キョン リャン
【審査官】大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532068(JP,A)
【文献】特表2007-529223(JP,A)
【文献】特表2003-520784(JP,A)
【文献】Molecular Medicine,2014年,Vol.20,p.202-214
【文献】Arch Otolaryngol Head Neck Surg.,1999年,Vol.125,p.274-279
【文献】SCIENTIFIC REPORTS,Vol.8 5408,2018年04月,p.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン(exon)1、3及び4と同じ配列を有する配列番号1の第1ポリヌクレオチド(polynucleotide);
配列番号6又は配列番号7の第2ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1と同じ配列を有する配列番号3の第3ポリヌクレオチド;
配列番号8の第4ポリヌクレオチド;及び
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2と同じ配列を有する配列番号5の第5ポリヌクレオチド;
を含む、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトであって、
前記第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結され、
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質の両方、をコードする、
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
【請求項2】
配列番号9又は配列番号10のポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む、ウイルスベクター。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む、プラスミドベクター。
【請求項5】
配列番号9のヌクレオチド配列からなるIGF-1X6又は配列番号10のヌクレオチド配列からなるIGF-1X10を含む、請求項に記載のプラスミドベクター。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト、請求項3に記載のウイルスベクター、又は請求項4又は5に記載のプラスミドベクターを含む、神経病症を治療するための薬剤学的組成物。
【請求項7】
前記神経病症は、糖尿病性神経病症である、請求項に記載の薬剤学的組成物。
【請求項8】
筋肉内注射用に製剤化されている、請求項に記載の薬剤学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する相互参照(CROSS REFERENCE TO RELATED APPLICATIONS)]
本出願は、2018年7月17日に出願された米国仮出願番号62/699,662に優先権を主張し、これはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[配列目録(SEQUENCE LISTING)]
当該出願はEFS-Webを通じて提出された配列目録を含み、これによって、その全体が参照によって組み込まれる。2019年7月2日に生成された前記ASCIIコピー(copy)は、38917US_CRF_sequencelisting.txtと命名され、47,265バイトのサイズである。
【0003】
本発明は、IGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクトを用いた神経病症の治療に関する。
【背景技術】
【0004】
神経病症は、神経の損傷に起因する慢性の病的状態である。神経病症は糖尿病の通常の結果であり、糖尿病患者の神経病症は、特に、糖尿病性(diabetic)神経病症と呼ばれる。神経病症はまた、感染(infection)(例えば、帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia)として知られた感染後に発生するものと関連した神経病症に伴う、ヘルペス(herpes);ヒト免疫不全ウイルス(HIV)/エイズ(AIDS);ライム病(Lyme disease):ハンセン病(leprosy);梅毒(syphilis);及び帯状疱疹(shingles));自己免疫疾患(autoimmune disease)(例えば、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、全身性ループス(systemic lupus)、及びギラン-バレー症候群(Guillain-Barre syndrome));遺伝的(genetic)又は遺伝される(inherited)疾患(例えば、 フリードライヒ運動失調(Friedreich’s ataxia)とシャルコ-マリー-トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease));アミロイドーシス(amyloidosis);尿毒症(uremia);毒素(toxin)、毒(poison)又は薬物への曝露;外傷(trauma);又は負傷(injury)による神経の損傷が原因で発生することもある。いくつかの場合において原因が不明であり、この場合の神経病症は特発性(idiopathic)神経病症と呼ばれる。
【0005】
原因にかかわらず、神経病症は、疼痛(神経病性疼痛)、及びその他の感覚的な欠陥(例えば、部分的又は完全な感覚喪失を含む、麻酔(anesthesias);及び無感覚(numbness)、しびれ(tingling)を含む、感覚異常(paresthesias)など)、運動障害(例えば、弱さ(weakness)、反射作用(reflexes)喪失、筋肉量(muscle mass)の喪失、痙攣(cramping)、敏捷性(dexterity)喪失など)、及び自律神経病症(autonomic dysfunction)(例えば、吐き気(nausea)、嘔吐(vomiting)、勃起不全(impotence)、めまい(dizziness)、便秘(constipation)、下痢(diarrhea)など)のような神経の損傷(例えば、末梢(peripheral)神経病症、頭蓋(cranial)神経病症、自律(autonomic)神経病症、局所(focal)神経病症)の解剖学的部位に部分的に依存する特徴的な症状と関連がある。
【0006】
神経病症は、関連する症状を管理する措置によって日常的に治療され、病因が知られている場合には、神経病症の根本となる原因を治療することによって日常的に治療される。例えば、鎮痛剤、又は糖尿病、自己免疫疾患、感染症又はビタミン欠乏の医学的な治療が用いられる。しかし、これらの方法は、神経の損傷それ自体は治療しない。
【0007】
したがって、神経病症に関連する神経の損傷を予防し、治療できる効果的な治療方法が必要である。
【0008】
様々な成長因子は、神経病症の治療のために可能な製剤として提案されており、Kesslerらは、近年、糖尿病性末梢神経病症において非ウイルス性肝細胞成長因子(HGF)遺伝子治療の成功的な二重盲検(double-blind)、プラセボ対照(placebo-controlled)、ヒト2相臨床試験を報告した。Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology2(5):465-478(2015)。また、米国特許番号9,963,493を参照し、その全体が本明細書に参照によって組み込まれる。
【0009】
神経病症を誘発する広範な病因と広範な神経病症の臨床発表を考慮すると、HGF発現核酸コンストラクトで糖尿病性末梢神経病症を治療する臨床的成功にもかかわらず、HGF以外の成長因子の投与に基づく治療を含む追加の治療の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ヒトIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトが神経病症に関連した症状を治療するのに効果的であるという新しい発見に基づく。IGF-1のクラスI,Ec又はクラスI,Ea異型体をエンコードするDNAコンストラクトが、クラスII,Ea又はクラスI,Eb異型体をエンコードするDNAコンストラクトに比べてより効果的であるということがさらに証明された。それぞれ、IGF-1のクラスI,Ec又はクラスI,Ea異型体をエンコードする2つの類型のDNAコンストラクトが共に投与されるとき、治療的な効果はより強くなる。したがって、本発明の一部の具現例は、神経病症のある対象(subject)に、IGF-1のクラスI,Ec又はクラスI,Ea異型体をエンコードするDNAコンストラクトを個別に又は組み合わせて投与することによって神経病症を治療する方法を対象とする。
【0011】
本発明は、特異的に設計された新しいDNAコンストラクトをさらに提供して、1個のベクター内に2個のIGF-1異型体(すなわち、クラスI,Ec及びクラスI,Ea)をエンコードする。DNAコンストラクトは、クラスI,Ec及びクラスI,Ea異型体両方の高いレベルの発現を誘導し、生体内で神経病症に関連した症状を効果的に治療するそれらの能力に基づいて選別され選択された。それらの治療効果は、クラスI,Ec又はクラスI,Eaの2つの異型体のうち一方だけをエンコードするDNAコンストラクトの効果よりも大きく、それぞれ、クラスI,Ec又はクラスI,Eaをエンコードするコンストラクトの2つの類型の同時投与によって証明された効果と類似であった。
【0012】
したがって、本発明は、神経病症の治療のための治療法に基づく新しいIGF-1を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
具体的に、一側面において、本発明は、次を含む、ヒトIGF-1をエンコードするIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを提供する:ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)と同じ配列を有する第1ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート(degenerate);ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)と同じ配列を有する第2ポリヌクレオチド又はその切片(fragment);ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)と同じ配列を有する第3ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート;ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)と同じ配列を有する第4ポリヌクレオチド又はその切片;及びヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)と同じ配列を有する第5ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート。ここで、第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
【0014】
一部の具現例において、第2ポリヌクレオチドは配列番号6のポリヌクレオチドである。一部の具現例において、第2ポリヌクレオチドは配列番号7のポリヌクレオチドである。
【0015】
一部の具現例において、第4ポリヌクレオチドは配列番号8のポリヌクレオチドである。
【0016】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、プラスミドベクターをさらに含む。
【0017】
一部の具現例において、プラスミドベクターはpCKである。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、pCK-IGF-1X6又はpCK-IGF-1X10である。
【0018】
一部の具現例において、プラスミドベクターはpTxである。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、pTx-IGF-1X6又はpTx-IGF-1X10である。
【0019】
他の側面において、本発明は、本願に提供されるIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む薬剤学的組成物を提供する。
【0020】
他の側面において、本発明は、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む薬剤学的組成物を提供し、ここで、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質又は配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質をエンコードする。
【0021】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質の両方をエンコードする。
【0022】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質及び配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質の両方を全てエンコードしないわけではない。
【0023】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質も配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質もエンコードしない。
【0024】
一部の具現例において、薬剤学的組成物は、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質をエンコードする第1DNAコンストラクト、及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質をエンコードする第2DNAコンストラクトを含む。
【0025】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、pCK-IGF-1X6又はpCK-IGF-1X10である。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、pTx-IGF-1X6又はpTx-IGF-1X10である。
【0026】
本発明の一部の側面は、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトの有効量を、神経病症を有する対象(subject)に投与する段階を含む神経病症治療方法を提供し、ここで、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、少なくとも1個のヒトIGF-1異型体を発現させることができる。
【0027】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質又は配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質を発現させることができる。
【0028】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質又は配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質を発現させることができない。
【0029】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、方法は、次の段階をさらに含む:第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階であって、ここで、第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む。
【0030】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、方法は、次の段階をさらに含む:第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階であって、ここで、第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む。
【0031】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、同時に行われる。
【0032】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、順次に行われる。
【0033】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、1個を超えるヒトIGF-1異型体をエンコードする。一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質をエンコードする。
【0034】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、次を含む:ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)と同じ配列を有する第1ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート(degenerate);ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)と同じ配列を有する第2ポリヌクレオチド又はその切片(fragment);ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)と同じ配列を有する第3ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート;ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)と同じ配列を有する第4ポリヌクレオチド又はその切片;及びヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)と同じ配列を有する第5ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート。ここで、第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
【0035】
一部の具現例において、第2ポリヌクレオチドは配列番号6のポリヌクレオチドである。一部の具現例において、第2ポリヌクレオチドは配列番号7のポリヌクレオチドである。
【0036】
一部の具現例において、第4ポリヌクレオチドは配列番号8のポリヌクレオチドである。
【0037】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、プラスミドベクターをさらに含む。一部の具現例において、プラスミドベクターはpCKである。一部の具現例において、プラスミドベクターはpTxである。
【0038】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号10のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号9のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号27のポリヌクレオチドを含む。
【0039】
一部の具現例において、有効量は、対象(subject)の疼痛を減少させるのに十分な量である。
【0040】
一部の具現例において、対象(subject)は、神経病性疼痛を有する。一部の具現例において、対象(subject)は、糖尿病性神経病症を有する。
【0041】
一部の具現例において、第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト又は第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、筋肉内注射を含む。
【0042】
さらに他の側面において、本開示内容は、神経病症を治療する医学的方法に用いるためのIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを提供し、前記方法は、神経病症を有する対象(subject)に、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトの有効量を投与する段階を含み、ここで、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、少なくとも1個のヒトIGF-1異型体を発現させることができる。
【0043】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質又は配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質を発現させることができる。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質及び配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパクの両方を全て発現させることができるわけではない。
【0044】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、医学的な方法は、次の段階をさらに含む:第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階であって、ここで、第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む。
【0045】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、医学的な方法は、次の段階をさらに含む:第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階であって、ここで、第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む。
【0046】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、同時に行われる。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、順次に行われる。
【0047】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、1個以上のヒトIGF-1異型体をエンコードする。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質をエンコードする。
【0048】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、次を含む:ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)と同じ配列を有する第1ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート(degenerate);ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)と同じ配列を有する第2ポリヌクレオチド又はその切片(fragment);ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)と同じ配列を有する第3ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート;ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)と同じ配列を有する第4ポリヌクレオチド又はその切片;及びヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)と同じ配列を有する第5ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート、ここで、第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
【0049】
一部の具現例において、第2ポリヌクレオチドは配列番号6のポリヌクレオチドである。一部の具現例において、第2ポリヌクレオチドは配列番号7のポリヌクレオチドである。一部の具現例において、第4ポリヌクレオチドは配列番号8のポリヌクレオチドである。
【0050】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、プラスミドベクターを含む。一部の具現例において、プラスミドベクターはpCKである。一部の具現例において、プラスミドベクターはpTxである。
【0051】
一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号10のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号9のポリヌクレオチドを含む。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号27のポリヌクレオチドを含む。
【0052】
一部の具現例において、有効量は、対象(subject)の疼痛を減少させるのに十分な量である。一部の具現例において、対象(subject)は、神経病性疼痛を有する。一部の具現例において、対象(subject)は、糖尿病性神経病症を有する。一部の具現例において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクト又は第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、筋肉内注射を含む。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】選択的転写開始部位及び選択的スプライシング部位を含むヒトIGF-1遺伝子の概略図である。IGF-1遺伝子から自然的に生成されるIGF-1異型体は、クラスI Ec(異型体#1);クラスII Ea(異型体#2);クラスI Eb(異型体#3);及びクラスI Ea(異型体#4)を含む。
図2A】慢性収縮損傷(chronic constriction injury,CCI)モデルにおいてIGF-1異型体をエンコードする様々なDNAコンストラクトの治療的な効能をテストするための実験プロトコルを概略的に説明する。
図2B図2Aに概略的に説明された実験においてシャム(Sham)マウス又はCCIマウスから測定された足引っ込み(paw withdrawal)頻度を示すヒストグラムである。CCIマウスには、DNAコンストラクト-(i)pCKベクター、(ii)pCK-IGF-1 #1(クラスI Ec異型体を発現させるコンストラクト)、(iii)pCK-IGF-1 #4(クラスI Ea異型体を発現させるコンストラクト)、又は(iv)pCK-IGF-1 #1及びpCK-IGF-1 #4の両方、が投与される。
図3A】様々なDNAコンストラクトから生成されるIGF-1異型体の生体内発現を評価するために実施例2において用いられる実験プロトコルを概略的に説明する。
図3B】IGFをエンコードしないDNAコンストラクト(“pCK”ベクターのみ);異型体#1をエンコードするDNAコンストラクト(クラスI Ec異型体);異型体#4をエンコードするDNAコンストラクト(クラスI Ea異型体);異型体#1(クラスI Ec異型体)又は#4(クラスI Ea異型体)をそれぞれエンコードする、2個のコンストラクト;及び二重発現コンストラクトpCK-IGF-1X6又はpCK-IGF-1X10の投与後に発現される全てのヒトIGF-1の異型体の量を測定するELISAの結果を示す。
図3C】IGF-1異型体#1(クラスI Ec異型体)及び#4(クラスI Ea異型体)の発現を区別するためのRT-PCRに用いられる順方向/左側(L)及び逆方向/右側(R)プライマーの位置を示す。
図3D】二重発現コンストラクトpCK IGF-1X6及びpCK IGF-1X10から生成される異型体#1及び#4の発現を示すRT-PCR生成物のアガロースゲル電気泳動を示す。pCK IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10の両方とも、全ての異形体の高いレベルの発現を誘導した。
図4A】試験管内の293T細胞においてIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトから発現するタンパク質を評価するために実施例2において用いられるプロトコルを概略的に説明する。
図4B】(i)異型体#1をエンコードするコンストラクト、(ii)異型体#4をエンコードするコンストラクト、(iii)異型体#1又は#4をそれぞれエンコードする、2個のコンストラクト、(iv)二重発現ベクターpCK-IGF-1X6、又は(v)二重発現ベクターpCK-IGF-1X10の試験管内形質感染(transfection)後にIGF-1異型体#1及び/又は#4の発現を証明するウェスタンブロッティング(western blotting)結果を示す。
図5A】CCI動物モデルにおいて機械的異質痛(mechanical allodynia)を減少させる上で様々なIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトの効能をテストするための実施例3において用いられる実験プロトコルを概略的に説明する。
図5B図5Aに概略的に説明された実験において、シャムマウス又はCCIマウスから測定された足引っ込みの頻度を示すヒストグラムである。CCIマウスには、DNAコンストラクト-(i)pCKベクター、(ii)pCK-IGF-1 #1(クラスI Ec異型体を発現させるコンストラクト)、(iii)pCK-IGF-1 #4(クラスI Ea異型体を発現させるコンストラクト)、又は(iv)pCK-IGF-1 #1及びpCK-IGF-1 #4の両方、(v)二重発現ベクターpCK-IGF-1X6、又は(vi)二重発現ベクターpCK-IGF-1X10、が投与される。
図6A】シャム又は神経損傷動物モデルから得た右同側坐骨神経(right ipsilateral sciatic nerve)の透過電子顕微鏡(TEM)イメージを提供する。神経損傷動物モデルには、pCKベクター又は二重発現ベクターpCK-IGF-1X10が投与される。
図6B】pCK(“Crush-pCK”)が処理された神経損傷動物及びpCK-IGF-1X10(“Crush-pCK-IGF-1X10”)が処理された神経損傷動物のニューロン径の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面は、単に実例の目的で本発明の様々な具現例を描画する。当業者は、本願に例示されたコンストラクト及び方法の代案的な具現例が、本願に説明された発明の原理から逸脱しない範囲で使用可能であることが、次の議論から容易に認識できよう。
【0055】
1.定義
特に断らない限り、本願において使われる全ての技術及び科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常理解される意味を有する。本願において使われる通りに、次の用語は下記のそれらに与えられる意味を有する。
【0056】
用語“IGF-1の異型体(isoform of IGF-1)”、“ヒトIGF-1異型体(human IGF-1isoform)”又は“IGF-1異型体(IGF-1isoform)”は、本願において同じ意味で使われ、自然的に発生するヒトのpre-pro-IGF-1ポリペプチド、又はそれらの対立遺伝子変異体、スプライス変異体、又は欠失変異体のうち一つのアミノ酸配列と少なくとも80%同じアミノ酸配列を有するポリペプチドのことを指す。自然的に発生するpre-pro-IGF-1ポリペプチドは、クラスI,Ec(配列番号16);クラスII,Ea(配列番号18);クラスI,Eb(配列番号20);及びクラスI,Ea異型体(配列番号14)を含む。
【0057】
用語“異形体#1(Isoform #1)”、“クラスI,Ec異形体(Class I,Ec isoform)”、“クラスI、IGF-1Ec異形体(Class I,IGF-1Ec isoform)”又は“クラスI、IGF-1Ec(Class I,IGF-1Ec)”は、本願において同じ意味で使われ、配列番号16のポリペプチドのことを指す。
【0058】
用語“異型体#2(Isoform #2)”、“クラスII,Ea異型体(Class II,Ea isoform)”、“クラスII、IGF-1Ea異型体(Class II,IGF-1Ea isoform)”又は“クラスII、IGF-1Ea(Class II,IGF-1Ea)”は、本願において同じ意味で使われ、配列番号18のポリペプチドのことを指す。
【0059】
用語“異型体#3(Isoform #3)”、“クラスI,Eb異型体(Class I,Eb isoform)”、“クラスI、IGF-1Eb異型体(Class I,IGF-1Eb isoform)”又は“クラスI、IGF-1Eb(Class I,IGF-1Eb)”は、本願において同じ意味で使われ、配列番号20のポリペプチドのことを指す。
【0060】
用語“異型体#4(Isoform #4)”、“クラスI,Ea異型体(Class I,Ea isoform)”、“クラスI、IGF-1Ea異型体(Class I,IGF-1Ea isoform)”又は“クラスI、IGF-1Ea(Class I,IGF-1Ea)”は、本願において同じ意味で使われ、配列番号14のポリペプチドのことを指す。
【0061】
本願に使われた用語“治療(treatment)”は、(a)神経病症の症状抑制;(b)神経病症の症状緩和;及び(c)神経病症の症状除去といった全ての活動のことを指す。一部の具現例において、本発明の組成物は、神経細胞の成長又は神経細胞死滅の抑制によって神経病症を治療できる。
【0062】
本願に使われた用語“治療的に有効な容量(therapeutically effective dose)”又は“有効量(effective amount)”は、それが投与されて好ましい効果を生成する容量(dose)又は量(amount)のことを指す。本方法の脈絡において、治療的に有効な量は、神経病症の症状を治療するための効果的な量である。
【0063】
本願に使われた用語“十分な量(sufficient amount)”は、好ましい効果を生成するための十分な量のことを指す。
【0064】
本願に使われた用語“デジェネレート配列(degenerate sequence)”又は“デジェネレート(degenerate)”は、翻訳可能な核酸配列のことを指し、参照核酸配列から翻訳されたのと同じアミノ酸配列を提供する。
【0065】
2. その他解釈規約(Other interpretational conventions)
本願に言及された範囲は、言及された終点(endpoint)を包括する範囲内の全ての値に対する縮約型(shorthand)と理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50からなる群から選ばれる任意の数字、数字の組合せ、又は下位範囲を含むものと理解される。
【0066】
3. IGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクト
【0067】
第1の側面において、ヒトIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトが提供される。
【0068】
3.1. IGF-1異型体
図1に例示するように、ヒトIGF-1遺伝子は、ほぼ90kbのゲノムDNAに亘っている6個のエクソン(エクソン1、2、3、4、5、及び6(6-1及び6-2))を含む。エクソン1及び2は、相互排他的なリーダーエクソン(mutually exclusive leader exons)であり、それぞれ様々に用いられる複数のプロモーター部位を有する。さらに、IGF-1遺伝子は、複数の転写体変異体を生成するために異なるようにスプライシングできる。それぞれの転写体変異体は、可変的な信号伝達ペプチドリーダー配列を有する異なるpre-pro-IGF-1タンパク質(“IGF-1異型体”)をエンコードする。しかし、全ての転写体異型体は、プロセシング後に同じ受容体を使用する同じ成熟した(mature)70個のアミノ酸であるIGF-1ペプチドを生成する。
【0069】
Pre-pro-IGF-1ペプチドは、それらのリーダー、又は信号、配列及びそれらのカルボキシ(carboxy)(C)末端が異なる。エクソン1又はエクソン2の統合は相互排他的であり、それらのうち一つは、pre-pro-IGF-1ペプチドのリーダー配列の役割を担う;他のリーダーエクソンは、5’-UTRを生成する。Pre-pro-IGF-1ポリペプチドは、リーダー及びE-ペプチドカルボキシ末端を除去して、成熟した70個のアミノ酸であるIGF-1を生成する転写後タンパク質分解的切断を経る。
【0070】
エクソン1を含む転写体は、クラス1転写体(例えば、図1のクラスI,Ec;クラスI,Eb;及びクラスI,Ea)と呼ばれるが、エクソン2を含むそれらは、クラス2転写体(例えば、図1のクラスII,Ea)と呼ばれる。ほぼ全てのpre-proペプチドは、エクソン3から得た信号伝達ペプチドにおける27個のアミノ酸を、エクソン1又は2の包含(inclusion)から得た残りの信号配列と共に含む。少数の転写体は、22個アミノ酸のより短い信号伝達ペプチドを生成するエクソン3内の他の転写開始部位を用いる。エクソン3及び4は変わらず、成熟したIGF-1ペプチドのB、C、A、及びDドメインをエンコードする;エクソン4は、成熟したIGF-1ペプチドの3分の2をエンコードする。ヒトEbペプチドは、エクソン4及び5だけで構成されるのに対し、Ecはエクソン4、5、及び6を含む。
【0071】
選択的スプライシング及び転写の相互排他的な開始は、異なるpre-pro-IGF-1ポリペプチド(すなわち、IGF-1異型体)の生成結果である図1に説明される。具体的に、少なくともエクソン1、3/4、5及び6の切片を含む、クラスI,Ec IGF-1異型体(配列番号16)は、配列番号17の配列を含む転写体から生成される。少なくともエクソン2、3/4及び6の切片を含む、クラスII,Ea IGF-1異型体(配列番号18)は、配列番号19の配列を含む転写体から生成される。少なくともエクソン1、3/4及び5の切片を含む、クラスI,Eb IGF-1異型体(配列番号20)は、配列番号21の配列を含む転写体から生成される。少なくともエクソン1、3/4及び6の切片を含む、クラスI,Ea IGF-1異型体(配列番号14)は、配列番号15の配列を含む転写体から生成される。
【0072】
たとえ様々な転写体から得られた成熟したIGF-1タンパク質は異ならないが、様々な転写体異型体は異なる調節的な役割を有することが提示されてきた。変異体形態は、異型体に対する中枢的調節役割を示す異なる安定性、結合パートナー、及び活性を有している。異型体の生物学的重要性はたとえ不明に残っているが、エクソン1を有するクラスI異型体は、自己分泌/側分泌の形態であり、エクソン2を有するクラスII異型体は、内分泌の形態で分泌されるという仮設が立てられた。これはクラスII転写体が効率的な分泌に関連した典型的な信号ペプチドモチーフを含むのに対し、クラスI転写体は分泌を妨害し得るより長い信号ペプチドを有しているという発見に基づく。
【0073】
大部分の組織はクラスI転写体を使用すると考えられるが、肝は2つの形態を全て使用し、肝のクラスII転写体は発達中に優先して強化される。発達中にIGF-1転写体の産物量(abundance)に多くの変化がある。クラス1,Eaは、活性成長期間において最も豊富な形態であり、クラス1,Ebは、初期成長期間において成長板全体にわたって低いレベルであるにも拘わらず、均一に発現することが明らかになった。
【0074】
3.2. IGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクト
一側面において、本発明は、少なくとも1個のヒトIGF-1異型体を発現可能なDNAコンストラクトを提供する。一部の具現例において、それぞれ異なるIGF-1異型体をエンコードする1個以上のDNAコンストラクトが用いられる。例えば、クラスI,Ec異型体(異型体#1)をエンコードする第1コンストラクト、及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)をエンコードする第2コンストラクトが共に用いられる。一部の具現例において、2個以上の異型体(すなわち、“二重発現コンストラクト”)を発現させるDNAコンストラクトが用いられる。例えば、クラスI,Ec異型体及びクラスI,Ea異型体を両方ともエンコードする単一DNAコンストラクトが用いられてよい。
【0075】
3.2.1. IGF-1エンコーディング配列
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、IGF-1異型体のうち1個のコーディング配列を含む。例えば、DNAコンストラクトは、クラスI,Ea(配列番号15);クラスI,Eb(配列番号21);クラスI,Ec(配列番号17);又はクラスII,Ea(配列番号19)をエンコードする配列を含むことができる。
【0076】
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、それぞれの異型体コーディング配列(CDS)に対する発現調節配列を含むことによって、1個以上のIGF-1異型体を発現できるDNAコンストラクトである二重発現コンストラクトである。一部の具現例において、コンストラクトは、2個のコーディング配列間の内部リボソーム結合部位(IRES)を(例えば、(1)発現調節配列-(2)第1異型体のコーディング配列-(3)IRES-(4)第2異型体のコーディング配列-(5)転写終結配列の順に)含む。IRESは、翻訳がIRES配列から始まるように許容し、それによって単一コンストラクトから2個のタンパク質生成物の発現を許容する。追加の具現例において、それぞれのIGF-1単一異型体をエンコードする複数のコンストラクトは、投与される対象(subject)において併せて使用され、1個を超えるIGF-1異型体の発現を誘導する。
【0077】
好ましい具現例において、DNAコンストラクトは、選択的スプライシング部位を含むことによって同時に2個以上のIGF-1異型体を発現させることができる。-例えば、(i)クラスI,Ec異型体(異型体#1)及びクラスII,Ea異型体(異型体#2);(ii)クラスI,Ec異型体(異型体#1)及びクラスI,Eb異型体(異型体#3);(iii)クラスI,Ec異型体(異型体#1)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4);(iv)クラスII,Ea異型体(異型体#2)及びクラスI,Eb異型体(異型体#3);(v)クラスII,Ea異型体(異型体#2)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4);(vi)クラスI,Eb異型体(異型体#3)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)
【0078】
例えば、DNAコンストラクトは、(i)ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)を含む第1の配列又は第1の配列のデジェネレート配列;(ii)ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)を含む第2配列又は第2配列の切片;(iii)ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)を含む第3配列又は第3配列のデジェネレート配列;(iv)ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)を含む第4配列又は第2配列の切片;及び(v)ヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)を含む第5配列又は第5配列のデジェネレート配列;を含むことができる。イントロン1及び2は選択的にスプライシングでき、その結果、2個のIGF-1異型体が生成される(例えば、クラスI,Ec及びクラスI,Ea)。
【0079】
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、1個以上のIGF-1異型体を発現できるそれの能力と関連した試験管内及び/又は生体内でテストされる。好ましい具現例において、クラスI,Ec及びクラスI,Ea IGF-1異型体の両方を発現できるDNAコンストラクトが選択される。
【0080】
一部の具現例において、コンストラクトは、イントロン4(配列番号2)の全配列又はその切片を含む。好ましい具現例において、コンストラクトは、配列番号6又は配列番号7の配列を有するイントロン4の切片を含む。
【0081】
一部の具現例において、コンストラクトは、イントロン5(配列番号4)の全配列、又はその切片を含む。好ましい具現例において、コンストラクトは、配列番号8の配列を有するイントロン5の切片を含む。
【0082】
(i)ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1~6及び(ii)ヒトIGF-1遺伝子のイントロン1及び2又はイントロン1及び2の様々な切片に該当するcDNAを含む様々なDNAコンストラクトは、“IGF-1X”と命名され、固有番号が付く。出願人によってテストされたIGF-1Xコンストラクトは、IGF-1X1、IGF-1X2、IGF-1X3、IGF-1X4、IGF-1X5、IGF-1X6、IGF-1X7、IGF-1X8、IGF-1X9及びIGF-1X10を含むが、これに限定されない。テストされたコンストラクトのうち、IGF-1X6及びIGF-1X10は、クラスI,Ec及びクラスI,Ea IGF-1異型体の両方を発現することが明らかにされた。
【0083】
好ましい具現例において、IGF-1X6(配列番号9)又はIGF-1X10(配列番号10)が用いられる。pCKベクターにクローニングされたIGF-1X6(配列番号9)及びIGF-1X10(配列番号10)はそれぞれ、pCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10と命名される。pCK-IGF-1X6(“DH5α_pCK-IGF1X6”)で形質転換された大腸菌(E.coli)は、2018年5月30日にブダペスト条約の条件によって韓国生物資源センター(KCTC、韓国生命工学研究院(KRIBB)、大韓民国、56212、チョルラプク-ト、チョンウブ-シ、イブシンギル181)に受託番号KCTC13539BPとして寄託された。pCK-IGF-1X10(“DH5α_pCK-IGF1X10”)で形質転換された大腸菌(E.coli)は、2018年5月30日にブダペスト条約の条件によって韓国生物資源センター(KCTC、韓国生命工学研究院(KRIBB)、大韓民国、56212、チョルラプク-ト、チョンウブ-シ、イブシンギル181)に受託番号KCTC13540BPとして寄託された。
【0084】
他の好ましい具現例において、IGF-1X6(配列番号9)及びIGF-1X10(配列番号10)は、pTxベクターにクローニングされる。IGFコンストラクトは、それぞれpTx-IGF-1X6及びpTx-IGF-1X10と命名される。
【0085】
本願に記述されたIGF-1異型体又はIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトは、野生型ヒトIGF-1異型体からの変形を含むことができる。変形された配列は、最大の方式で変形された配列が野生型ヒトIGF-1異型体配列と整列されるとき、少なくとも80%同一性、より好ましくは少なくとも90%同一性、及び最も好ましくは少なくとも95%同一性を有する配列を含むことができる。比較のための配列の整列方法は、本技術分野によく公知されている。具体的に、国立生物情報センター(NBCl、ベセスダ、メリーランド州)ウェブサイトのNCBI基本ローカル整列検索ツール(BLAST)に開示され、配列分析プログラムblastp、blasm、blastx、tblastn及びtblastxと併せて用いられる整列アルゴリズムは、同一性百分率を決定するために用いられてよい。
【0086】
3.2.2. ベクター
本発明のIGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクトは、発現する配列と作動可能に連結された1個以上の調節配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー)があるベクターを典型的に含む。調節配列は、IGF-1異型体の発現を調節する。
【0087】
IGF-1異型体の1個以上の異型体をエンコードするポリヌクレオチドは、発現コンストラクトにおいてプロモーターに作動可能に連結されることが好ましい。用語“作動可能に連結された(operatively linked)”とは、核酸発現調節配列(プロモーター、信号配列、又は転写因子結合部位の配列のような)と第2核酸配列との間の機能的な連結を指し、ここで、発現調節配列は、第2配列に相応する核酸の転写及び/又は翻訳に影響を及ぼす。
【0088】
典型的な具現例において、ポリヌクレオチドに連結されたプロモーターは、哺乳類細胞のゲノム又は哺乳類ウイルスから得たプロモーター(例えば、CMV(サイトメガロウイルス(cytomegalovirus))プロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニア(vaccinia)ウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSV tkプロモーター、RSVプロモーター、EFlアルファプロモーター、メタロチオネインプロモーター(metallothionein)プロモーター、ベータアクチンプロモーター、ヒトIL-2遺伝子プロモーター、ヒトIFN遺伝子プロモーター、ヒトIL-4遺伝子プロモーター、ヒトリンホトキシン(lymphotoxin)遺伝子プロモーター及びヒトGM-CSF遺伝子プロモーター。ただし、これらに限定されない。)を含み、これらのプロモーターは、ポリヌクレオチドの転写を調節し、好ましくは動物、より好ましくは哺乳類細胞において作動可能である。より好ましくは、本発明において有用なプロモーターは、ヒトCMV(hCMV)のIE(Immediately Early)遺伝子から得られたプロモーター又はEF1アルファプロモーター、最も好ましくは、hCMV IE遺伝子由来のプロモーター/エンハンサー及びATG開始コドン直前の配列に亘っているエクソン1及びエクソン2配列の全配列を含む5’-UTR(非番駅領域)である。
【0089】
本発明において用いられる発現カセットは、例えば、ウシ成長ホルモン終結子(Gimmi,E.R.,et al.,Nucleic Acids Res.17:6983-6998(1989))、SV40由来のポリアデニレーション配列(Schek,N,et al.,Mol.Cell Biol.12:5386-5393(1992))、HIV-1 polyA(Klasens,B.I.F.,et al.,Nucleic Acids Res.26:1870-1876(1998))、ベータ-グロビンpolyA(Gil,A.,et al,Cell49:399-406(1987))、HSV TK polyA(Cole,C.N.and T.P.Stacy,Mol.Cell.5Biol.5:2104-2113(1985))又はポリオマ(polyoma)ウイルスpolyA(Batt,D.Band G.G.Carmichael,Mol.Cell.Biol.15:4783-4790(1995))を含むが、これに限定されない、ポリアデニレーション(polyadenylation)配列を含むことができる。
【0090】
3.2.3. 非ウイルスベクター
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、1個以上のIGF-1異型体を発現できる非ウイルスベクターである。
【0091】
典型的な具現例において、非ウイルスベクターは、プラスミドである。現在の好ましい具現例において、プラスミドは、pCK、pCP、pVAXl、pTx又はpCYである。特に好ましい具現例において、プラスミドはpCKであり、細部事項は、WO2000/040737及びLee et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.272:230-235(2000)から分かり、それらはいずれも、その全体が本願に参照によって組み込まれる。pCK(Top10-pCK)で形質転換された大腸菌(E.coli)は、2003年3月21日にブダペスト条約の条件によって韓国微生物文化院(KCCM)に寄託された(受託番号:KCCM-10476)。pCK-VEGF165(すなわち、VEGFコーディング配列があるpCKベクター-Top10-pCK/VEGF165’)で形質転換された大腸菌(E.coli)は、1999年12月27日にブダペスト条約の条件によって韓国微生物文化院(KCCM)に寄託された(受託番号:KCCM-10179)。
【0092】
pCKベクターは、遺伝子(例えば、IGF-1遺伝子)の発現がヒトサイトメガロウイルス(HCMV)のエンハンサー/プロモーター下で調節されるように構成され、細部事項は、Lee et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.272:230(2000);WO2000/040737に開示され、それらはいずれも、その全体が本願に参照によって組み込まれる。pCKベクターは、人体において臨床試験のために用いられており、それの安全性と有効性が確認された(Henry et al.,Gene Ther.18:788(2011))。
【0093】
好ましい具現例において、pCKプラスミドは、クラスI,Ec IGF-1異型体及び/又はクラスI,Ea IGF-1異型体に対するコーディング配列を含む。特に好ましい具現例において、pCKプラスミドは、IGF-1X6(すなわち、pCK-IGF-1X6)又はIGF-1X10(すなわち、pCK-IGF-1X10)を含む。
【0094】
他の好ましい具現例において、プラスミドは、pCKから由来したプラスミドベクターである、pTx(配列番号26)である。pTxは、pCKの2回の順次的な突然変異誘発によって生成された。第1の欠失突然変異誘発キャンペンが行われ、カナマイシン(Kanamycin)耐性遺伝子及びpCKのColE1との間の不要な配列が除去された。具体的に、欠失突然変異誘発PCRは、第1のプライマー対(SEQ ID NO:22及び23)を用いて行われた。カナマイシン抵抗及びColE1との間の228ベースペア欠失は、プラスミドをシーケンシングすることから確認された。第2欠失突然変異誘発キャンペンは、その後にHCMVイントロン配列のサイズを最適化するために、第2プライマー対(SEQ ID NO:24及び25)を用いて行われた。IE1エクソン1及びエクソン2間のHCMVイントロン配列(421ベースペア)は削除され、欠失はシーケンシングを行うことによって確認された。
【0095】
特定の具現例において、pTxプラスミドは、IGF-1X6(すなわち、pTx-IGF-1X6)又はIGF-1X10(すなわち、pTx-IGF-1X10)を含む。例えば、pTx-1X10(SEQ ID NO:27)は、5’でClaI酵素及び3’でSal1酵素で切れたpTxにIGF-1X10をライゲーションすることによって生成される。
【0096】
3.2.4. ウイルスベクター
他の具現例において、技術分野に公知された様々なウイルスベクターは、本発明の1個以上のIGF-1異型体を伝達し発現させるように用いられてよい。例えば、レトロウイルス(retroviruses)、レンチウイルス(lentiviruses)、アデノウイルス(adenoviruses)、又はアデノ付属ウイルス(adeno-associated viruses)を用いて開発されたベクターは、本発明の一部の具現例に用いられてよい。
【0097】
(a)レトロウイルス
比較的大きい外因性遺伝子を運搬できるレトロウイルスは、それらのゲノムを宿主ゲノムに統合し、広い宿主スペクトラムを有するという点から、ウイルス遺伝子伝達ベクターとして用いられてきた。
【0098】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、1個以上のIGF-1異型体のコーディング配列)は、複製欠陥ウイルスを生成するために、あるウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入され、レトロウイルスベクターが構築された。gag、pol及びenv遺伝子を含むが、LTR(長い末端反復)及びW成分は含まないパッケージング(packaging)細胞株が構築され、ビリオン(virion)が生成される(Mann et al.,Cell,33:153-159(1983))。本発明のポリヌクレオチド、LTR及びWを含む組換えプラスミドが細胞株に導入されるとき、W配列は、組換えプラスミドのRNA転写体がウイルス粒子にパッケージングされた後、培養培地に分泌されるようにする(Nicolas and Rubinstein “Retroviral vectors,” In:Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses,Rodriguez and Denhardt(eds.)、Stoneham:Butterworth,494-513(1988))。組換えレトロウイルスを含む培地は、その次に収集され、選択的に濃縮されて遺伝子伝達のために用いられる。
【0099】
2世代ウイルスベクターを用いる成功的な遺伝子伝達が報告されてきている。Kasahara et al.(Science,266:1373-1376(1994))は、EPO(赤血球生成因子)配列が外皮(envelope)部位の代わりに挿入され、順次に新しい結合特性を有するキメラタンパク質を生成する、モロニー(moloney)ネズミ白血病ウイルスの変異体を作製した。同様に、本遺伝子伝達システムは、2世代レトロウイルスベクターに対する構築戦略によって構築されてよい。
【0100】
(b)レンチウイルス
レンチウイルスはまた、本発明の一部の具現例において用いられてよい。レンチウイルスは、レトロウイルスの下位クラスである。しかし、レンチウイルスは、非分裂する細胞のゲノムに統合され得るが、レトロウイルスは、分裂する細胞にのみ感染され得る。
【0101】
レンチウイルスベクターは、通常、いくつかのプラスミドで形質転換されたパッケージング細胞株、一般にHEK293から生産される。プラスミドは、(1)カプシド(capsid)及び逆転写酵素のようなビリオンタンパク質をエンコードするパッケージングプラスミド、(2)外因性遺伝子を含むプラスミド(例えば、1個以上のIGF-1異型体のコーディング配列)を含んでターゲットに伝達される。
【0102】
ウイルスが細胞に投入されると、RNA形態のウイルスゲノムは逆転写されてDNAを生成し、その後、ウイルス統合酵素(integrase enzyme)によってゲノム中に挿入される。したがって、レンチウイルスベクターと共に伝達される外因性要素は、ゲノム中に残ることができ、細胞の分裂の際に細胞の後代に伝達される。
【0103】
(c)アデノウイルス
アデノウイルスは、それの中間サイズゲノム、操作の容易性、高い力価、広い標的細胞範囲、及び高い感染性の点から、遺伝子伝達システムに一般的に用いられてきた。ウイルスゲノムの両末端は、ウイルスDNA複製及びパッケージングをするために必要なcis要素である100~200bpのITR(逆末端反復)を含む。El部位(ElA及びElB)は、ウイルスゲノム及びいくつかの細胞遺伝子の転写調節を担当するタンパク質をエンコードする。E2部位(E2A及びE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を招く。
【0104】
いままで開発されたアデノウイルスベクターのうち、E1部位が欠失した複製不能であるアデノウイルスが一般に用いられる。アデノウイルスベクターの欠失したE3部位は、形質転換遺伝子(transgene)のための挿入部位を提供できる(Thimmappaya,B.et al.,Cell,31:543-551(1982);及びRiordan,J.R.et al.,Science,245:1066-1073(1989))。したがって、デコリン(decorin)エンコーディングヌクレオチド配列は、欠失したE1領域(ElA領域及び/又はElB5領域、好ましくは、ElB領域)又は欠失したE3領域に挿入されることが好ましい。本発明のポリヌクレオチドは、欠失したE4領域に挿入されてよい。用語“欠失(deletion)”は、ウイルスゲノム配列を参照して全体欠失及び部分欠失を含む。自然において、アデノウイルスは、野生型ゲノムの約105%をパッケージングし、約2kbの追加DNA容量を提供することができる(Ghosh-Choudhury et al.,EMBO J.6:1733-1739(1987))。これと関連して、アデノウイルスに挿入される上述した外部配列は、アデノウイルス野生型ゲノムにさらに挿入されてよい。
【0105】
アデノウイルスは、公知の血清型(serotype)又は下位グループA~Fのうち任意のものでよい。下位グループCのアデノウイルス類型5は、本発明においてアデノウイルス遺伝子伝達システムを構築するための最も好ましい開始物質である。アデノウイルス類型5に関する多くの生化学的及び遺伝的情報が公知されている。アデノウイルス遺伝子伝達システムによって伝達される外来遺伝子は、宿主細胞に対するエピソーム(episomal)、及び遺伝毒性である。したがって、アデノウイルス遺伝子伝達システムを用いた遺伝子治療は実質的に安全であり得る。
【0106】
(d)アデノ付属ウイルス(AAV)
アデノ付属ウイルスは、非分裂細胞及び様々な類型の細胞を感染させることができるので、本発明の遺伝子伝達システムを構築するのに有用にする。アデノ付属ウイルスベクターの用途及び準備に対する詳細な記述は、米国特許番号第10,308,958号;第10,301,650号;第10,301,648号;第10,266,846号;第10,265,417号;第10,208,107号;第10,167,454号;第10,155,931号;第10,149,873号;第10,144,770号;第10,138,295号;第10,137,176号;第10,113,182号;第10,041,090号;第9,890,365号;第9,790,472号;第9,770,011号;第9,738,688号;第9,737,618号;第9,719,106号;第9,677,089号;第9,617,561号;第9,597,363号;第9,593,346号;第9,587,250号;第9,567,607号;第9,493,788号;第9,382,551号;第9,359,618号;第9,217,159号;第9,206,238号;第9,163,260号;第9,133,483号;第8,962,332から見出すことができ、その開示内容は、その全体が本願に参照によって含まれ、第5,139,941号及び第4,797,368号、その開示内容は、その全体が本願に参照によって組み込まれる。
【0107】
遺伝子伝達システムとしてAAVに対する研究結果は、LaFace et al.,Viology,162:483486(1988)、Zhou et al.,Exp.Hematol.(NY)、21:928-933(1993),Walsh et al.,J.Clin.Invest.,94:1440-1448(1994)及びFlotte et al.,Gene Therapy,2:29-37(1995)に開示されている。典型的に、組換えAAVウイルスは、2個のAAV末端反復が側面にある(McLaughlin et al.,1988;Samulski et al.,1989)関心遺伝子(すなわち、伝達される関心ヌクレオチド配列、例えば、IGF-1異型体のコーディング配列)を含むプラスミド、及び末端反復のない野生型AAVコーディング配列を含む発現プラスミドを同時形質感染することによって製造される(McCarty et al.,J.Viral.,65:2936-2945(1991))。
【0108】
(e)その他ウイルスベクター
その他ウイルスベクターは、本発明において遺伝子伝達システムとして用いられてよい。ワクシニアウイルス(Puhlmann M.et al.,Human Gene Therapy10:649-657(1999);Ridgeway、“哺乳類発現ベクター、”In:ベクター:分子クローニングベクター及びその用途に関する調査。Rodriguez及びDenhardt,eds.Stoneham:Butterworth,467-492(1988);Baichwal及びSugden、“動物DNAウイルスから得た遺伝子伝達のためのベクター:伝達された遺伝子の一時的又は安定的発現、”In:Kucherlapati R,ed.遺伝子伝達。New York:Plenum Press,117-148(1986)及びCoupar et al.,Gene,68:1-10(1988))、レンチウイルス(Wang G.et al.,J.Clin.Invest.104(11):RS5-62(1999))及び単純疱疹ウイルス(Chamber R.,et al.,Proc.Natl.1015Acad.Sci USA 92:1411-1415(1995))のようなウイルスから得たベクターは、本発明のポリヌクレオチドを細胞に伝達するための本伝達システムにおいて用いられてよい。
【0109】
4. IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む薬剤学的組成物
さらに他の側面において、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む薬剤学的組成物が提供される。
【0110】
4.1. 投与に適した薬剤学的組成物及び単位投与剤形
静脈内、筋肉内、皮膚内、又は皮下投与のために、DNAコンストラクトは、発熱源がなく、適度なpH、等張性(isotonicity)及び安定性を有する非経口的に許容される水溶性溶液の剤形とすることができる。本技術分野における関連者は、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、乳酸化リンゲル注射のような等張性運搬体、必要によって、防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/又はその他添加剤を用いて適切な溶液を製造することができる。
【0111】
一部の具現例において、薬剤学的組成物は、1個のIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトを含む。例えば、DNAコンストラクトは、クラスI,Ec異型体(異型体#1);クラスII,Ea異型体(異型体#2);クラスI,Eb異型体(異型体#3);又はクラスI,Ea異型体(異型体#4)を発現させることができる。
【0112】
一部の具現例において、薬剤学的組成物は、1個を超えるDNAコンストラクトを含み、それぞれは、1個のIGF-1異型体をエンコードする。例えば、薬剤学的組成物は、(i)クラスI,Ec異型体(異型体#1)をエンコードする第1DNAコンストラクト及びクラスII,Ea異型体(異型体#2)をエンコードする第2DNAコンストラクト;(ii)クラスI,Ec異型体(異型体#1)をエンコードする第1DNAコンストラクト及びクラスI,Eb異型体(異型体#3)をエンコードする第2DNAコンストラクト;(iii)クラスI,Ec異型体(異型体#1)をエンコードする第1DNAコンストラクト及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)をエンコードする第2DNAコンストラクト;(iv)クラスII,Ea異型体(異型体#2)をエンコードする第1DNAコンストラクト及びクラスI,Eb異型体(異型体#3)をエンコードする第2DNAコンストラクト;(v)クラスII,Ea異型体(異型体#2)をエンコードする第1DNAコンストラクト及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)をエンコードする第2DNAコンストラクト;(vi)クラスI,Eb異型体(異型体#3)をエンコードする第1DNAコンストラクト及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)をエンコードする第2DNAコンストラクトを含むことができる。
【0113】
一部の具現例において、薬剤学的組成物は、1個を超えるIGF-1異型体を発現できるDNAコンストラクトである二重発現コンストラクトを含む。例えば、薬剤学的組成物は、(i)クラスI,Ec異型体(異型体#1)及びクラスII,Ea異型体(異型体#2);(ii)クラスI,Ec異型体(異型体#1)及びクラスI,Eb異型体(異型体#3);(iii)クラスI,Ec異型体(異型体#1)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4);(iv)クラスII,Ea異型体(異型体#2)及びクラスI,Eb異型体(異型体#3);(v)クラスII,Ea異型体(異型体#2)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4);(vi)クラスI,Eb異型体(異型体#3)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)を発現できる二重発現コンストラクトを含むことができる。
【0114】
一部の具現例において、薬剤学的組成物は、二重発現コンストラクトの、pCK-IGF-1X6又はpCK-IGF-1X10を含む。一部の具現例において、薬剤学的組成物は、二重発現コンストラクトの、pTx-IGF-1X6又はpTx-IGF-1X10を含む。一部の具現例において、薬剤学的組成物は、例えば、pCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10の両方を含む2個の二重発現コンストラクトを含む。一部の具現例において、薬剤学的組成物は、例えば、pTx-IGF-1X6及びpTx-IGF-1X10の両方を含む2個の二重発現コンストラクトを含む。
【0115】
一部の具現例において、薬剤学的組成物は、他の治療製剤をさらに含む。例えば、薬剤学的組成物は、神経病症を治療するのに効果的な他の治療製剤をさらに含むことができる。
【0116】
様々な具現例において、DNAコンストラクトは、0.01mg/ml、0.05mg/ml、0.1mg/ml、0.25mg/ml、0.45mg/ml、0.5mg/ml、又は1mg/mlの濃度である液体組成物中に存在する。一部の具現例において、単位投与剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、又は1mg/mlの濃度である薬剤学的組成物の2mlを含むバイアルである。一部の具現例において、単位投与剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、又は1mg/mlの濃度である薬剤学的組成物の1mlを含むバイアルである。一部の具現例において、単位投与剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、又は1mg/mlの濃度である薬剤学的組成物の1ml未満を含むバイアルである。
【0117】
一部の具現例において、単位投与剤形は、バイアル(vial)、アンプル(ampule)、瓶(bottle)、又はあらかじめ充填された注射器(pre-filled syringe)である。一部の具現例において、単位投与剤形は、本発明のDNAコンストラクトの0.01mg、0.1mg、0.2mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、8mg、10mg、12.5mg、16mg、24mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、又は200mgを含む。
【0118】
一部の具現例において、単位投与剤形における薬剤学的組成物は、液体の剤形である。様々な具現例において、単位投与剤形は、薬剤学的組成物の0.1ml~50mlを含む。一部の具現例において、単位投与剤形は、薬剤学的組成物の0.25ml、0.5ml、1ml、2.5ml、5ml、7.5ml、10ml、25ml、又は50mlを含む。
【0119】
特定具現例において、単位投与剤形は、あらかじめ充填された注射器、自動注射器、及び自動注射ペンを含む皮下、皮膚内、又は筋肉内投与に適した単位投与剤形具現例における薬剤学的組成物の0.5ml、1ml、1.5ml又は2mlを含むバイアルであり、それぞれは、本願に記載された上記の薬剤学的組成物のあらかじめ決定された量を含む。
【0120】
様々な具現例において、単位投与剤形は、注射器及びあらかじめ決定された量の薬剤学的組成物を含むあらかじめ充填された注射器である。特定のあらかじめ充填された注射器の具現例において、注射器は、皮下投与に適している。特定の具現例において、注射器は、自己投与に適している。特定の具現例において、あらかじめ充填された注射器は、使い捨て注射器である。
【0121】
様々な具現例において、あらかじめ充填された注射器は、約0.1mL~約0.5mLの薬剤学的組成物を含む。特定の具現例において、注射器は、約0.5mLの薬剤学的組成物を含む。特定の具現例において、注射器は、約1.0mLの薬剤学的組成物を含む。特定の具現例において、注射器は、約2.0mLの薬剤学的組成物を含む。
【0122】
特定の具現例において、単位投与剤形は、自動注射ペンである。自動注射ペンは、本願に記載された通り、薬剤学的組成物を含む自動注射ペンを含む。一部の具現例において、自動注射ペンは、あらかじめ決定された容量の薬剤学的組成物を伝達する。他の具現例において、自動注射ペンは、ユーザによって設定された体積の薬剤学的組成物を伝達するように構成される。
【0123】
様々な具現例において、自動注射ペンは、約0.1mL~約0.5mLの薬剤学的組成物を含む。特定の具現例において、自動注射ペンは、約0.5mLの薬剤学的組成物を含む。特定の具現例において、自動注射ペンは、約0.1mLの薬剤学的組成物を含む。他の具現例において、自動注射ペンは、約5.0mLの薬剤学的組成物を含む。
【0124】
4.2. 凍結乾燥したDNA剤形
一部の具現例において、本発明のDNAコンストラクトは、凍結乾燥した組成物として剤形化される。特定の具現例において、DNAコンストラクトは、米国特許番号第8,389,492号に開始されているように凍結乾燥し、その全体が本願に参照によって組み込まれる。
【0125】
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、凍結乾燥前に特定賦形剤、例えば、炭水化物及び塩と共に剤形化される。診断又は治療製剤として用いられるDNAコンストラクトの安定性は、安定した量の炭水化物を含む水溶性溶液と共に凍結乾燥する前にDNAコンストラクトを剤形化することによって増大できる。
【0126】
一部の具現例において、他の炭水化物が組成物に用いられる。炭水化物は、蔗糖(sucrose)、ブドウ糖(glucose)、乳糖(lactose)、トレハロース(trehalose)、アラビノース(arabinose)、五炭糖(pentose)、リボース(ribose)、キシロース(xylose)、ガラクトース(galactose)、六炭糖(hexose)、イドース(idose)、マンノース(mannose)、タロース(talose)、七炭糖(heptose)、果糖(fructose)、グルコン酸(gluconic acid)、ソルビトール(sorbitol)、マンニトール(mannitol)、メチルa-グルコピラノシド(methyl a-glucopyranoside)、マルトース(maltose)、イソアスコルビン酸(isoascorbic acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、ラクトン(lactone)、ソルボース(Sorbose)、グルカル酸(glucaric acid)、エリトロース(erythrose)、トレオース(threose)、アロース(allose)、アルトロース(altrose)、グロース(gulose)、エリトルロース(erythrulose)、リブロース(ribulose)、キシルロース(xylulose)、プシコース(psicose)、タガトース(tagatose)、グルクロン酸(glucuronic acid)、ガラクツロン酸(galacturonic acid)、マンヌロン酸(mannuronic acid)、グルコサミン(glucosamine)、ガラクトサミン(galactosamine)、ノイラミン酸(neuraminic acid)、アラビナン(arabinans)、フルクタン(fructans)、フカン(fucans)、ガラクタン(galactans)、ガラクツロナン(galacturonans)、グルカン(glucans)、マンナン(mannans)、キシラン(xylans)、レバン(levan)、フコイダン(fucoidan)、カラギーナン(carrageenan)、ガラクトカロロース(galactocarolose)、ペクチン(pectins)、ペクチン酸(pectic acids)、アミロース(amylose)、プルラン(pullulan)、グリコーゲン(glycogen)、アミロペクチン(amylopectin)、セルロース(cellulose)デキストラン(dextran)、シクロデキストリン(cyclodextrin)、プスツラン(pustulan)、キチン(chitin)、アガロース(agarose)、ケラチン(keratin)、コンドロイチン(chondroitin)、デルマタン(dermatan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、キサンタンガム(xantham gum)、又は澱粉(starch)のような、単糖類、オリゴ糖、又は多糖類(polysaccharide)でよい。
【0127】
一連の具現例において、炭水化物はマンニトール又は蔗糖である。
【0128】
凍結乾燥前の炭水化物溶液は、水中の炭水化物に該当したり、又は緩衝液が含まれてよい。このような緩衝液の例示は、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)、ヘペス(HEPES)、トリス(TRIS)又はトリス/イーディーティエ-(TRIS/EDTA)を含む。典型的に、炭水化物溶液は、約0.05%~約30%蔗糖、典型的に0.1%~約15%蔗糖、0.2%~約5%のように、10%又は15%蔗糖、好ましくは、約0.5%~10%蔗糖、1%~5%蔗糖、1%~3%蔗糖、及び最も好ましくは約1.1%蔗糖の最終濃度でDNAコンストラクトと結合する。
【0129】
本発明のDNA剤形はまた、塩、例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含むことができる。一部の具現例において、塩は、塩化ナトリウムである。一部の具現例において、DNA剤形の塩は、約0.001%~約10%、約0.1%~5%、約0.1%~4%、約0.5%~2%、約0.8%~1.5%、約0.8%~1.2% w/vからなる群から選ばれる量で存在する。特定の具現例において、DNA剤形の塩は、約0.9% w/vの量で存在する。
【0130】
凍結乾燥した剤形から再溶解された液体組成物中のDNAコンストラクトの最終濃度は、約1ng/mL~約30mg/mLでよい。例えば、最終濃度は、約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約50ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、約1μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約800μg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、又は約30mg/mLでよい。本発明の特定の具現例において、DNAコンストラクトの最終濃度は、約100μg/mL~約2.5mg/mLである。本発明の特定の具現例において、DNAコンストラクトの最終濃度は、約0.5mg/mL~1mg/mLである。
【0131】
本発明のDNA剤形は、本技術分野に公知の標準条件下で凍結乾燥する。本発明のDNA剤形の凍結乾燥のための方法は、(a)プラスミドDNAがIGF-1遺伝子又はその変異体を含むDNA剤形(例えば、プラスミドDNAを含むDNA剤形)、塩及び炭水化物が入っている容器(例えば、バイアル)を凍結乾燥器に積載し、凍結乾燥器は約5℃~約-50℃の開始温度を有する段階;(b)DNA剤形を零下の温度(例えば、-10℃~-50℃)に冷却させる段階;及び(c)DNA剤形を実質的に乾燥させる段階を含むことができる。本発明のDNA剤形の凍結乾燥のための条件(例えば、温度及び期間)は、凍結乾燥媒介変数(例えば、凍結乾燥機械の類型、使用されるDNAの量、及び使用される容器のサイズ)に影響を及ぼす要因を考慮して、本技術分野における通常の当業者によって調整されてよい。
【0132】
凍結乾燥したDNA剤形を入れた容器は、その後にシールされ、様々な温度で延長された期間だけ保存可能である(例えば、室温~約-180℃、好ましくは約2~8℃~約-80℃、より好ましくは約-20℃~約-80℃、及び最も好ましくは約-20℃)。特定の側面において、凍結乾燥したDNA剤形は、約2~8℃~約-80℃の範囲で実質的な活性を失うことなく少なくとも6ヶ月の期間に好適に安定である。プラスミドDNA剤形の安定的な保存はまた、研究又はプラスミドベース治療のように、使用前に長期間に安定した形態でプラスミドDNAを保存することに該当し得る。保存期間は、数ヶ月、1年、5年、10年、15年、又は最大では20年と長い。好ましく準備されたものは、最小で約3年の期間において安定である。
【0133】
5.神経病症治療方法
さらに他の側面において、ヒトIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトを投与することによって神経病症を治療する方法が提示される。
【0134】
6.5.1. 異型体をエンコードするDNAコンストラクトの投与
方法は、治療的に効果的な量のヒトIGF-1異型体を発現させるDNAコンストラクトを対象(subject)に投与することを含む。対象(subject)は、神経病症のおる人又は動物でよい。
【0135】
一部の具現例において、方法は、1個のヒトIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトの投与を含む。一部の具現例において、方法は、ヒトIGF-1異型体をエンコードする第1DNAコンストラクトの投与又はヒトIGF-1異型体をエンコードする第2DNAコンストラクトの投与を含む。一部の具現例において、方法は、第1のヒトIGF-1異型体をエンコードする第1DNAコンストラクトの投与及び第2ヒトIGF-1異型体をエンコードする第2DNAコンストラクトの投与を含む。一部の具現例において、第1のIGF-1異型体はクラスI,Ec(異型体#1)であり、第2のIGF-1異型体はクラスI,Ea(異型体#4)である。一部の具現例において、第1のIGF-1異型体はクラスI,Ea(異型体#4)であり、第2のIGF-1異型体はクラスI,Ec(異型体#1)である。第1及び第2DNAコンストラクトは、同時に又は順次に投与されてよい。
【0136】
一部の具現例において、方法は、二重発現コンストラクトである、1個を超えるヒトIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトの投与を含む。一部の具現例において、DNAコンストラクトは、クラスI,Ec(異型体#1)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)の両方を発現させることができる。一部の具現例において、DNAコンストラクトは、さらに、クラスI,Eb又はクラスII,Eaを発現させる。一部の具現例において、DNAコンストラクトは、クラスI,Eb又はクラスII,Eaを発現させることができない。一部の具現例において、DNAコンストラクトは、クラスI,Ec(異型体#1)及びクラスI,Ea異型体(異型体#4)を発現させることができるが、任意の他のIGF-1異型体は発現させることができない。
【0137】
一部の具現例において、方法は、次を含む、ヒトIGF-1をエンコードするDNAコンストラクトの投与を含む:ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)のような配列を有する第1ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート;ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)のような配列を有する第2ポリヌクレオチド又はその切片;ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)のような配列を有する第3ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート;ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)のような配列を有する第4ポリヌクレオチド又はその切片;及びヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)のような配列を有する第5ポリヌクレオチド又はそのデジェネレート。ここで、第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
【0138】
一部の具現例において、方法は、pCK-IGF-1X6又はpCK-IGF-1X10の投与を含む。一部の具現例において、方法は、pTx-IGF-1X6又はpTx-IGF-1X10の投与を含む。
【0139】
一部の具現例において、方法は、本願に提供される、1個を超えるDNAコンストラクトの投与を含む。
【0140】
5.1.1. 伝達方法
様々な伝達方法は、IGF-1の1個以上の異型体を発現させるDNAコンストラクトを投与するために用いられてよい。
【0141】
5.1.1.1. 注射(Injection)
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、液体薬剤学的組成物の注射によって投与される。
【0142】
現在、好ましい具現例において、DNAコンストラクトは、筋肉内注射によって投与される。一般に、DNAコンストラクトは、神経損傷部位、疼痛部位又は患者の認知する疼痛部位、又は神経病性疾病の他の症状の部位の近くに筋肉内注射で投与される。一部の具現例において、DNAコンストラクトは、対象(subject)の手、足、脚、又は腕の筋肉に投与される。
【0143】
一部の具現例において、コンストラクトは、皮下又は皮膚内に注射される。
【0144】
一部の具現例において、DNAコンストラクトは、静脈内伝達で投与される。特定の具現例において、コンストラクトは、逆行性(retrograde)静脈内注射で注射される。
【0145】
5.1.1.2. 電気穿孔(Electroporation)
プラスミドDNAの生体内細胞への形質転換効率は、一部の場合、注射後電気穿孔を行うことによって改善され得る。したがって、一部の具現例において、DNAコンストラクトは、注射後電気穿孔で投与される。特定の具現例において、電気穿孔は、TriGrid(登録商標)伝達システム(Ichor Medical Systems,Inc.、サンディエゴ、米国)を用いて投与される。
【0146】
5.1.1.3. ソノポレーション(Sonoporation)
一部の具現例において、ソノポレーションが用いられ、本発明のDNAコンストラクトの形質転換効率を強化させる。ソノポレーションは、超音波を用いて一時的に細胞膜を透過化し、DNAの細胞吸収を許容する。DNAコンストラクトは、微細気泡内に統合されて全身循環で投与された後、超音波を外部適用できる。超音波は、ターゲット組織内で微細気泡の空洞現象(cavitation)を誘導し、コンストラクトの放出及び形質感染を招く。
【0147】
5.1.1.4. マグネトフェクション(Magnetofection)
一部の具現例において、マグネトフェクションが用いられ、本発明のDNAコンストラクトの形質感染効率を強化させる。コンストラクトは、磁性を持つナノ粒子に結合した後に投与される。高勾配(high gradient)外部磁石の適用は、複合物がターゲットに捕らえられて固定されるようにする。DNAコンストラクトは、架橋(cross linking)分子の酵素的切断、電荷相互作用又は基質の分解によって放出されてよい。
【0148】
5.1.1.5. リポソーム(Liposome)
一部の具現例において、本発明のDNAコンストラクトは、リポソームによって伝達されてよい。リポソームは、リン脂質が過量の水溶性媒質に懸濁される時に自発的に形成される。リポソーム媒介DNA伝達は、Dos Santos Rodrigues et al.,Int.J.Pharm.566:717-730(2019);Rasoulianboroujeni et al.,Mater Sci Eng C Mater Biol Appl.75:191-197(2017);Xiong et al.,Pharmazie 66(3):158-164(2011);Nicolau and Sene,Biochim.Biophys.Acta,721:185-190(1982)及びNicolau et al.,Methods Enzymol.,149:157-176(1987)に記述されているように成功的に進行されてきた。リポソームを用いて動物細胞を形質感染させるための商業的に接近可能な製剤の例には、リポフェクタミン(Lipofectamine(Gibco BRL))が含まれる。本発明のDNAコンストラクトを捕獲するリポソームは、細胞内移入(endocytosis)、吸着(adsorption)及び融合(fusion)のようなメカニズムによって細胞と相互作用した後、配列を細胞に伝達する。
【0149】
5.1.1.6. 形質感染(Transfection)
ウイルスベクターがIGF-1をエンコードするDNAコンストラクトを伝達するために用いられるとき、コンストラクトは、本技術分野に公知の様々なウイルス感染方法によって細胞内に伝達されてよい。ウイルスベクターを用いる宿主細胞の感染は、上述の引用された文献に記述されている。
【0150】
好ましくは、本発明の薬剤学的組成物は、非経口的に投与されてよい。非経口投与の場合、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は局所注射などが用いられてよい。例えば、薬剤学的組成物は、逆行性静脈内注射で注射できる。
【0151】
好ましくは、本発明の薬剤学的組成物は、筋肉内に投与されてよい。一部の具現例において、投与は、神経病症によって影響を受ける筋肉をターゲットする(例えば、神経病性疼痛又は他の症状)。
【0152】
5.1.2. 容量(Dose)
DNAコンストラクトは、治療的に効果的な容量で投与されてよい。本願に記述の方法において、治療的に効果的な容量は、対象(subject)の神経病症を治療するのに効果的な容量である。
【0153】
本願に記述の方法の一部の具現例において、DNAコンストラクトは、1μg~200mg、1mg~200mg、1mg~100mg、1mg~50mg、1mg~20mg、5mg~10mg、16mg、8mg、又は4mgの総容量で投与される。
【0154】
典型的な具現例において、総容量は、複数の個別の注射容量に分割される。一部の具現例において、総容量は、複数の同じ注射容量に分割される。一部の具現例において、総容量は、同一でない注射容量に分割される。
【0155】
様々な分割された容量の具現例において、総容量は、4、8、16、24、32又は64の異なる注射部位に投与される。
【0156】
一部の具現例において、注射当たり容量は、0.1~20mg、1~10mg、2~8mg、又は3~8mgである。特定の具現例において、注射当たり容量は、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、8mg、16mg、又は32mgである。
【0157】
総容量は、1回の訪問の問又は2回以上の訪問の問に投与されてよい。
【0158】
典型的な分割された容量の具現例において、全ての複数の注射容量は、相互に1時間以内に投与される。一部の具現例において、全ての複数の注射容量は、相互に1.5、2、2.5又は3時間以内に投与される。
【0159】
方法の様々な具現例において、単一単位の容量で投与されたり、複数の注射容量に分割されたDNAコンストラクトの総容量は、対象(subject)に1回のみ投与される。
【0160】
一部の具現例において、1回、2回、3回又は4回の訪問にわたって、総容量のDNAコンストラクトを、複数の注射部位に投与することは、単一周期を含むことができる。特に、64mg、32mg、16mg、8mg、又は4mgのDNAコンストラクトを2回の訪問にわたって複数の注射部位に投与することは、単一周期を含むことができる。2回の訪問は、3、5、7、14、21又は28日の間隔でよい。
【0161】
一部の具現例において、周期は反復されてよい。周期は、2回、3回、4回、5回、6回、又はそれ以上反復されてよい。
【0162】
一部の具現例において、周期は、以前の周期後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はそれ以上反復されてよい。
【0163】
一部の具現例において、次の周期に投与される総容量は、前の周期に投与された総容量と同一である。一部の具現例において、次の周期に投与される総容量は、前の周期に投与された総容量と異なる。
【0164】
現在の好ましい具現例において、DNAコンストラクトは、影響を受けた四肢当たり8mgの容量で投与され、複数の筋肉内注射及び多数の訪問で均等に分割され、ここで、任意の単一訪問におけるそれぞれの複数の注射は、分離された注射部位で行われる。特定の具現例において、DNAコンストラクトは、影響を受けた四肢当たり8mgの容量で投与され、0日に四肢当たり4mgの第1容量及び14日に四肢当たり4mgの第2容量に均等に分割され、ここで、第1及び第2容量のそれぞれは、複数の注射容量に均等に分割される。一部の具現例において、影響を受けた四肢当たり8mg容量のDNAコンストラクトの投与は、1回周期を構成する。周期は、1回、2回、3回又はそれ以上で反復されてよい。
【0165】
投与される実際の量、及び投与速度及び時間過程は、治療される神経病症の特性及び重症度によって変わるであろう。典型的な具現例において、DNAコンストラクトは、神経病症の症状、例えば、神経病性疼痛を減少させるのに効率的な量で投与される。一部の具現例において、前記量は、投与1週以内に神経病症の症状を減少させるのに効率的である。一部の具現例において、上記の量は、投与して2週、3週、又は4週以内に神経病症の症状を減少させるのに効率的である。
【0166】
一部の具現例において、コンストラクトの2つの異なる類型は共に投与されて、IGF-1の2個の異型体の発現を誘導する。例えば、クラスI,Ec異型体をエンコードする第1コンストラクト及びクラスI,Ea異型体をエンコードする第2コンストラクトであり、一部の具現例において、クラスI,Ec異型体及びクラスI,Ea異型体を両方ともエンコードする二重発現コンストラクトは、伝達されて2異型体両方の発現を誘導する。
【0167】
当業者に公知の従来の技術によれば、薬剤学的組成物は、上述したように、薬剤学的に許容される担体及び/又は運搬体と共に剤形化でき、最終的に、種々の単位投与剤形及び多重投与剤形を提供する。剤形の非制限的に例は、油又は水溶性媒質中の懸濁液又はエマルジョン、抽出物、エリキシル(elixir)、粉末、顆粒、錠剤及びカプセルを含むが、これに限定されず、分散製剤又は安定剤をさらに含むことができる。
【0168】
5.1.3. 変形(Variations)
最適の投与範囲を確認するのに役立つように生体内及び/又は試験管内試験法が選択的に用いられてよい。剤形に用いられる正確な容量は、投与経路及び状態の深刻性によって異なってよく、専門家の判断及び各対象(subject)の状況に応じて決定されるべきである。効果的な容量は、試験管内又は動物モデル試験システムで得た容量反応曲線から外挿法(extrapolation)によって推定されてよい。
【0169】
DNAコンストラクトは、単独で又は他の治療との組合せで、同時に又は順次に投与されてよい。
【0170】
5.2. 神経病症患者
本願に記述の方法において、治療のために選択される患者は、神経病症を有する。患者は、末梢神経病症、頭蓋骨神経病症、自律神経病症又は局所神経病症を有し得る。神経病症は、疾病、負傷、感染又はビタミン欠乏状態によって発生することがある。例えば、神経病症は、糖尿病、ビタミン欠乏、自己免疫疾患、遺伝的又は遺伝される障害、アミロイド症、尿毒症、毒素又は毒、外傷又は負傷、腫瘍によって誘発されてもよく、又は特発性(idiopathic)であってもよい。一部の具現例において、患者は、糖尿病性末梢神経病症を有する。
【0171】
患者は、疼痛(神経病性疼痛)、その他感覚的な欠陥(例えば、感覚喪失、無感覚、しびれなど)、運動欠陥(例えば、弱さ、反射作用喪失、筋肉量喪失、痙攣、敏捷性喪失など)、及び自律神経障害(例えば、吐き気、嘔吐、勃起不全、めまい、便泌、下痢など)のような神経病症に関連した1個以上の症状を有し得る。
【0172】
患者は、本願に提供された治療方法に加えて、本技術分野に公知の1個以上の治療方法によって治療されてもよい。
【0173】
本発明の治療方法は、ヒト患者又は神経病症の動物を治療するのに用いられてよい。
【実施例
【0174】
次の実施例が提示され、これは、本発明を作製し使用する方法に関する完全な開示及び説明を当業者に提供するもので、本発明者らがそれらの発明と見なすものの範囲を制限するために、又は下記に行われた実験が全部又は唯一の実験であることを表すために意図されるものではない。用いられた数字(例えば、量、温度など)と関連して正確性を保障するための努力がなされてきたが、一部の実験的な誤り及び偏差を考慮すべであろう。別に断らない限り、部分は重量部(parts by weight)で、分子量は重量平均分子量で、温度は摂氏温度であり、圧力は、大気圧又はその近傍である。標準略語は、例えば、bp、ベースペア;kb、キロベース;pl、ピコリットル;s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時;aa、アミノ酸;nt、ヌクレオチド;などが用いられてよい。
【0175】
本発明の実行は、別に断らない限り、当業界における技術内でタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の通常の方法を用いるであろう。
【0176】
実施例1:IGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトによる、ネズミCCI神経病症モデルにおける機械的異質痛の低減
個別のヒトIGF-1異型体をエンコードするDNAコンストラクトは、標準分子クローニング技術を用いて発現プラスミドpCKに構築された。
【0177】
具体的に、バイオニア(韓国)から提供するカスタマイズDNA合成工程によって、4個のポリヌクレオチド(SEQ ID NO:15、17、19及び21)を得た。このようなポリヌクレオチドは、5’リンカー、Cla I及び3’リンカー、Sal Iで合成された。pCKベクター及びポリヌクレオチドは、Cla I及びSal Iで制限(restriction)された。クラスI,Ec(異型体#1)をエンコードするプラスミド#1は、配列番号17のポリヌクレオチドを挿入することによって生成され、それは、クラスI,Ec異型体のコーディング配列であり、pCKベクターのクローニング部位にIGF-1遺伝子のエクソン1、3/4、5及び6の少なくとも一部を含む。クラスII,Ea(異型体#2)をエンコードするプラスミド#2は、配列番号19のポリヌクレオチドを挿入することによって生成され、それは、クラスII,Ea異型体のコーディング配列であり、pCKベクターのクローニング部位にIGF-1遺伝子のエクソン2、3/4、及び6の少なくとも一部を含む。クラスI,Eb(異型体#3)をエンコードするプラスミド#3は、配列番号21のポリヌクレオチドを挿入することによって生成され、それは、クラスI,Eb異型体のコーディング配列であり、pCKベクターのクローニング部位にIGF-1遺伝子のエクソン1、3/4及び5の少なくとも一部を含む。クラスI,Ea(異型体#4)をエンコードするプラスミド#4は、配列番号15のポリヌクレオチドを挿入することによって生成され、pCKベクターのクローニング部位にエクソン1、3/4及び6の少なくとも一部を含む。
【0178】
それぞれのプラスミドから各IGF-1異型体の発現は、試験管内及び生体内の両方でテストされ確認された。
【0179】
DNAコンストラクトの治療的な効果は、後でCCIマウスにおいてテストにされたが、そのモデルは、神経病症の研究に広く受容されるモデルである。坐骨神経の慢性収縮損傷(CCI)によって生成されたCCIマウスモデルは、末梢に慢性神経損傷を招く様々な過程を開始するものと知られている。CCIマウスはまた、神経病性疼痛を有するものと知られている。CCI手術は、成体雄ICRマウス(24~26gの体重)を対象に、ソウル大学校(Seoul National University)動物管理及び使用委員会(Institutional Animal Care and Use committee)の承認を受けた手術及び実験手順に従って行われた。
【0180】
特に、約1cm長の鈍い(blunt)切開は、麻酔下に実施され、一般に、殿筋(gluteus)及び大腿二頭筋(biceps femoris)の間にある右坐骨神経が露出された。3分岐(trifurcation)部位に隣接した坐骨神経が露出されると、それは、6-0シルク(Ethicon)縫合糸(suture)を用いて0.5mm間隔で3回の緩い結紮(ligature)が加えられた。結紮は、右側後足が目に付くほど痙攣するまで若干引き締めた。偽手術された(sham-operated)マウスは、右大腿で同じ切開が加えられたが、坐骨神経には結紮がされなかった。
【0181】
図2Aに図式化したように、総200μgのプラスミドDNAは、CCI手術当日に筋肉内に注射される。注射されたプラスミドDNAは、pCK(挿入のないベクター;“pCK”)200ug又はpCK-IGF-1200ugである。-(i)プラスミド#1(クラスI,Ec IGF-1をエンコードする“IGF-1 #1”)200μg;(ii)プラスミド#4(クラスI,Ea IGF-1をエンコードする“IGF-1 #4”)200μg、又は(iii)プラスミド#1(クラスI,Ec IGF-1をエンコードする“IGF-1 #1”)100μg及びプラスミド#4(“クラスI,Ea IGF-1をエンコードする“IGF-1 #4”)100μg。
【0182】
CCI手術1週後に、機械的異質痛の発生がフォンフレイ(Von Frey)フィラメントテストを用いて評価された。簡単にいうと、動物は、適応のために金属メッシュ床の上にあるシリンダーに個別に配置された。マウスの機械的敏感性は、フィラメント(0.16g)の一定の厚さを用いて後足を刺激することによって評価された。テストは、その後、毎週反復された。結果は、IGF 1クラスI Ecを発現させるIGF-1 #1の注射が、ベクター単独と比較して、足引っ込み頻度において測定可能な減少を提供することを立証している。
【0183】
図2Bは、図2Aに記述されたCCI実験において測定された足引っ込みの頻度(%)を要約したヒストグラムである。結果は、(i)IGF 1 Class I Ecを発現させるIGF-1 #1の注射が、ベクター単独(pCK)と比較して、足引っ込み頻度において測定可能な減少を提供したこと;(ii)IGF 1 Class I Eaを発現させるIGF-1 #4の注射も、足引っ込み頻度において測定可能な減少を提供したこと;及び(iii)IGF-1クラスI Ec(IGF-1 #1)及びクラスI Ea(IGF-1 #4)を共に発現させるDNAコンストラクトの注射は、ベクター単独(pCK)と比較して、より大きく、統計的に有意な足引っ込み頻度の減少を提供したこと、を証明している。
【0184】
全ての値は、3回の独立した実験から、平均±標準誤差平均(SEM)で表示される。値間の差は、1元配置分散分析(one-way ANOVA)に続いてテューキーの事後検定(Tukey’s post-hoc test)又はボンフェローニ多重比較テスト(Bonferroni’s multiple comparison test)で決定された。
【0185】
実施例2:DNAコンストラクトによる、IGF-1クラスI Ec及びクラスI Ea異型体両方の発現
IGF-1クラスI Ec(IGF-1 #1)を発現させるDNAコンストラクト及びクラスI Ea(IGF-1 #4)を共に発現する他のDNAコンストラクトは、上述した行動実験において、機械的異質痛においてより大きくて統計的により重要な影響を及ぼす点で、我々はRNA転写体の選択的スプライシングを通じてIGF-1クラスI Ec(IGF-1 #1)及びクラスI Ea(IGF-1 #4)の両方を同時に発現するように設計された様々なプラスミドを構築した。特に、DNAコンストラクトは、エクソン1、3/4、5及び6及びIGF-1遺伝子のイントロン又はそれらの断片に対する配列を含むように生成された。他の変異体を含む様々なDNAコンストラクトが生成され、それらの能力に対するテストを行った結果、IGF-1クラスI Ec異型体及びクラスI Ea異型体の両方が発現した。
【0186】
それぞれのプラスミドは、pCK発現調節配列に作動可能に連結された挿入体を含むように、プラスミドバックボーンとしてpCKを用いて構築された。挿入体は、次を連結させることによって生成された。(1)ヒトIGF-1エクソン1、3、及び4(配列番号1)をエンコードする第1ポリヌクレオチド;(2)第2ポリヌクレオチド、IGF-1イントロン4(配列番号2)又はその切片の一つ;(3)エクソン5及び6-1(配列番号3)をエンコードする第3ポリヌクレオチド;(4)第4ポリヌクレオチド、イントロン5(配列番号4)又はその切片の一つ;及び(5)エクソン6-2(配列番号5)をエンコードする第5ポリヌクレオチド。ここで、第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。プラスミドは、イントロン4及び/又はイントロン5の切片のサイズにおいて異なっている。具体的に、配列番号6は、ベクターpCK-IGF-1X6において用いられるイントロン4切片のヌクレオチド配列を提供し、配列番号7は、ベクターpCK-IGF-1-X10において用いられるイントロン4切片のヌクレオチド配列を提供する。配列番号8は、ベクターpCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10において用いられるイントロン5切片のヌクレオチド配列を提供する。
【0187】
生体内で様々なコンストラクトから異型体1(クラスI,Ec)及び異型体4(クラスI,Ea)の発現をテストするために、9週齢の雄C57BL/6雄マウスのT.A.(前脛骨筋(tibialis anterior))に50μgプラスミドが注射された。それらの前脛骨筋は、注射5日後に採取された。前記骨格筋は、その後に、ポリプロピレン乳棒(Bel-Art Scienceware)を用いて、タンパク質分解酵素抑制剤、脱リン酸化酵素抑制剤カクテル(Roche Diagnostic Ltd.)、及びPMSF(Sigma)を含む溶解バッファにおいて均質化された。サンプルは、4゜Cで15分間12,000rpmで遠心分離され、総タンパク質を含む上澄液は、メーカーのプロトコルに明示された通り、ヒトIGF-1 ELISA(R&D Systems)に用いられた。検出されたIGF-1のレベルは、BCAタンパク質分析キット(Thermo、イリノイ州、米国)で測定され、組織由来のタンパク質抽出物の総量が一般化(normalization)された。実験的な手順は、図3Aに要約されている。
【0188】
図3Bに示すように、マウスT.A筋肉においてヒトIGF-1タンパク質の総発現レベルは、ELISAによって決定された。マウスが単一異型体(“1”(クラスI,Ec)又は“4”(クラスI,Ea))を発現させるコンストラクトの50ug、異型体#1(クラスI,Ec)を発現させる第1コンストラクトの25ug+異型体#4(クラスI,Ea)を発現させる第2コンストラクトの25ug(“1+4”)、又は2異型体を発現させるコンストラクトpCK-IGF-1X6(“X6”)又はpCK-IGF-1X10(“X10”)50μgを受けたか否かにかかわらず、ヒトIGF-1タンパク質の総発現レベルは類似であった。
【0189】
我々は、RT-PCRを用いてコンストラクトが異型体#1及び異型体#4の両方に対する成熟した(mature)転写体を同時に発現させるかどうか確認した。RT-PCR反応は、エクソン3/4に付く順方向/左側プライマー(L)及びエクソン6に付く逆方向/右側プライマー(R)で行われた。図3Cにさらに説明されているように、異型体#1(クラスI,Ec)に対する転写体のRT-PCRは、2つのアンプリコン、すなわち、178bpアンプリコン及び259bpアンプリコンを生成するのに対し、異型体#4(クラスI,Ea)に対する転写体のRT-PCRは、129bpの単一アンプリコンを生成する。
【0190】
RT-PCRを行うために、骨格筋が収集され、ポリプロピレン乳棒(Bel-Art Scienceware)を用いて機械的に均質化され、RNAiso plus(タカラ(Takara))を用いて抽出された。RNA定量は、ナノドロップ(nanodrop)機器を用いて行われた。同一量のRNAを用いてReverse Transcriptase XL(AMV)(タカラ)でcDNAが合成され、PCRは、図3Cに提示された順方向(TGA TCT AAG GAG GCT GGA(配列番号28))及び逆方向(CTA CTT GCG TTC TTC AAA TG(配列番号29))プライマーを用いて行われた。
【0191】
図3Dに示すように、pCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10は、異型体#1(178bp及び259bpバンド)及び異型体#4(129bpバンド)の両方に対する成熟した転写体を発現した。異型体#1及び異型体#4両方に対する成熟した転写体の発現は、pCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10以外のコンストラクトでは検出されず、それに対するデータは本願に提供されない。
【0192】
2個の異型体転写体が両方とも効果的にタンパク質に翻訳されたことを確認するために、図4Aに示すように、我々は、pCK-IGF-1-X6又はpCK-IGF-1-X10で293T細胞を形質感染させた。免疫ブロッティング(immunoblotting)のために、細胞は、プラスミドDNAの形質感染2日(48時間)後に準備され、続いて、タンパク質分解酵素及び脱リン酸化酵素抑制剤カクテル(ロシュ診断(Roche Diagnostic Ltd.))が含まれているRIPAバッファを用いて溶解された。同一量のタンパク質が10% SDSポリアクリルアミドゲルから分離され、ウェスタンメンブレイン(PVDF)に移された。メンブレインは、1% BSA(Invitrogen-Gibco)の入っているTBST(20mMトリス塩酸(Tris-HCl)、pH 7.4、0.9%塩化ナトリウム、及び0.1%ツイン20(Tween20))で1時間ブロッキング(blocking)され、一晩4゜Cでブロッキング溶液に希釈された1次抗体で探針(probe)された。IGF-1異型体1及び異型体4のレベルを試験するために用いられた1次抗体は、アブクロン(Abclon)(韓国)から提供され、IGF-1及びベータアクチン(β-actin)に対する1次抗体は、アブカム(Abcam)(イギリス)及びシグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(米国)から購買した。TBSTで洗浄した後、メンブレインは室温で1時間、HRP接合ヤギ抗マウス又はウサギIgG 2次抗体(シグマ(Sigma))と共にインキュベーション(incubation)された。その後、ブロット(blot)は、TBSTで3回洗浄され、タンパク質バンドは、強化された化学発光システム(ミリポア(Millipore))で視覚化した。ベータアクチンはローディング対照群として用いられた。
【0193】
図4Bに提示されたウェスタンブロッティング(western blotting)データは、pCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10の両方がタンパク質レベルのIGF-1の異型体を発現させることを裏付けた。
【0194】
実施例3:IGF-1クラスI Ec異型体及びクラスI Ea異型体を同時に発現するDNAコンストラクトによる、ネズミCCI神経病症モデルにおける機械的異質痛の低減
実施例1に記述されており、図5Aに図式化しているプロトコルを用いて、ネズミCCI神経病症モデルにおいて機械的異質痛を低減させるDNAコンストラクトの能力をテストした。
【0195】
図5Bは、足引っ込み頻度を示し、IGF-1異型体(IGF-1 #1、IGF-1 #4、IGF-1 #1+#4、IGF-1X6、及びIGF-1X10)をエンコードするコンストラクトの同時の筋肉内注射後に機械的な異質痛において統計的に有意な減少を証明するヒストグラムである。特に、機械的異質痛における効果は、マウスにIGF-1異型体#1及び#4をエンコードするコンストラクトを単独で投与したり、或いは二重発現コンストラクトpCK-IGF-1X10を注射したときに、遥かに良好であった。
【0196】
実施例4:IGF-1クラスI Ec異型体及びクラスI Ea異型体を同時に発現するDNAコンストラクトによる、ネズミ神経損傷モデルにおける軸索(axon)成長誘導
DNAコンストラクトの治療的な効果が、神経損傷モデルにおいてさらにテストされた。神経損傷モデルは、ソウル大学校(Seoul National University)動物管理及び使用委員会(Institutional Animal Care and Use committee)の承認された外科及び実験的手順にしたがって、成体雄C57BL/6マウス(24~26gの体重)で生成された。坐骨神経損傷を誘導するために、各ネズミの右坐骨神経は切開によって露出され、前記神経は微細止血鉗子(hemostatic forceps)で15秒間損傷された。その後、5-0検定シルク縫合糸を用いて切開を縫合した。プラスミドDNA200ug(pCK 200ug、又はpCK-IGF-1X10 200ug)の総量は、坐骨神経近傍の筋肉において神経損傷当日に筋肉内投与された。
【0197】
神経損傷及びプラスミドDNA注射後4週(28日)に、ネズミは0.1Mリン酸塩緩衝食塩水(PBS)に2%パラホルムアルデヒド(paraformaldehyde)+2%グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)で潅流固定した。右同側坐骨神経がその後に準備され、固定溶液と共に4時間さらにインキュベーションされた。固定した組織は、0.1Mリン酸塩緩衝食塩水(PBS)に1%四酸化オスミウム(osmium tetroxide)が処理され、次いで、一晩、2%水溶性酢酸ウラニール(uranyl acetate)を用いてen bloc染色をした。翌日、組織は、30%~100%エタノールで10分間連続して継代によって脱水され、脱水された組織は、その後にレジン化合物(resin compound)に包埋(embedding)された。包埋過程後に、サンプルは、スパーレジン(Spurr Resin)で重合され、乾燥オーブンでインキュベーションされた。サンプルは、その後、断面化され、透過電子顕微鏡(TEM)で視覚化された。
【0198】
シャム動物、pCKが処理された動物、及びpCK-IGF-1X10が処理された動物から得られたサンプルのTEMイメージは、図6Aに提供される。イメージは、神経損傷動物がシャム動物に比較して、実質的な神経損傷を、実質的により小さい軸索直径と共に有するということを明らかにしている。軸索直径の減少は、pCK-IGF-1X10の投与によって阻害されるが、pCKの投与によっては阻害されなかった。
【0199】
軸索成長においてのpCK-IGF-1X10の効果は、ニューロン径を測定することによって定量化された。pCK(“Crush-pCK”)が処理された神経損傷動物及びpCK-IGF-1X10(“Crush-X10”)が処理された神経損傷動物におけるニューロン径の分布は、図6Bに提供される。グラフから、pCK-IGF-1X10が処理された動物が、より大きい直径を持つニューロンを有していることが明らかである。これは、pCK-IGF-1X10が軸索成長を誘導することによって神経損傷を治療できることをさらに裏付ける。
【0200】
[参照による援用(INCORPORATION BY REFERENCE)]
本出願に援用された全ての刊行物、特許、特許出願及びその他文書は、それぞれの個別的な刊行物、特許、特許出願又はその他文書が全ての目的のために個別的に参照によって組み込まれると表示されたように、同一の程度に全ての目的のためにその全体が本願に参照によって組み込まれる。
【0201】
[均等特許(EQUIVALENTS)]
様々な特定の具現例が説明され記述されてきたが、前記明細書は制限的ではない。本発明の思想及び範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であることが理解されよう。様々な変形が本明細書を検討する上で当業者にとって明らかになるであろう。
本発明の態様は以下を含む。
[付記1]
次を含むIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト:
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン(exon)1、3及び4(配列番号1)と同じ配列又はそのデジェネレート(degenerate)を有する第1ポリヌクレオチド(polynucleotide);
ヒトIGF-1遺伝子のイントロン(intron)4(配列番号2)と同じ配列又はその切片(fragment)を有する第2ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第3ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)と同じ配列又はその切片を有する第4ポリヌクレオチド;及び
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第5ポリヌクレオチド;
前記第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
[付記2]
前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号6のポリヌクレオチドである、付記1に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記3]
前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号7のポリヌクレオチドである、付記1に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記4]
前記第4ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチドである、付記1に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記5]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、プラスミドベクターをさらに含む、付記1~4のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記6]
前記プラスミドベクターはpCKである、付記5に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記7]
前記プラスミドベクターは、pCK-IGF-1X6及びpCK-IGF-1X10からなる群から選ばれる、付記6に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記8]
前記プラスミドベクターは、pTxである、付記5に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記9]
前記プラスミドベクターは、pTx-IGF-1X6及びpTx-IGF-1X10からなる群から選ばれる、付記8に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記10]
付記1~9のいずれか一項の前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む薬剤学的組成物。
[付記11]
IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを含む薬剤学的組成物であって、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ea又は配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecをエンコードする、薬剤学的組成物。
[付記12]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質の両方をエンコードする、付記11に記載の薬剤学的組成物。
[付記13]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質及び配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質を全て発現不可能なわけではない、付記11又は12に記載の薬剤学的組成物。
[付記14]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質も配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質も発現不可能である、付記11又は12に記載の薬剤学的組成物。
[付記15]
次を含む、付記11に記載の薬剤学的組成物:
配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質をエンコードする第1DNAコンストラクト、及び
配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質をエンコードする第2DNAコンストラクト。
[付記16]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、pCK-IGF-1X6又はpCK-IGF-1X10である、付記12に記載の薬剤学的組成物。
[付記17]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、pTx-IGF-1X6又はpTx-IGF-1X10である、付記12に記載の薬剤学的組成物。
[付記18]
次の段階を含む、神経病症を治療する方法:
神経病症を持つ対象(subject)に第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトの有効量を投与する段階であって、前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、少なくとも1個のヒトIGF-1異型体を発現可能である、方法。
[付記19]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質又は配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質を発現可能である、付記18に記載の方法。
[付記20]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質及び配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質の両方を全て発現不可能なわけではない、付記18又は19に記載の方法。
[付記21]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む、付記18~20のいずれかに記載の方法。
[付記22]
次の段階をさらに含む、付記21に記載の方法:
第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階であって、
前記第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む、方法。
[付記23]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む、付記18~20のいずれかに記載の方法。
[付記24]
次の段階をさらに含む、付記23に記載の方法:
第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階であって、
前記第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む、方法。
[付記25]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、同時に行われる、付記22又は24に記載の方法。
[付記26]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、順次に行われる、付記22又は24に記載の方法。
[付記27]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、1個を超えるヒトIGF-1異型体をエンコードする、付記18に記載の方法。
[付記28]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecをエンコードする、付記27に記載の方法。
[付記29]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトが次を含む、付記27又は28に記載の方法:
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第1ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)と同じ配列又はその切片を有する第2ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第3ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)と同じ配列又はその切片を有する第4ポリヌクレオチド;及び
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第5ポリヌクレオチド;
前記第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
[付記30]
前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号6のポリヌクレオチドである、付記29に記載の方法。
[付記31]
前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号7のポリヌクレオチドである、付記29に記載の方法。
[付記32]
前記第4ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチドである、付記29に記載の方法。
[付記33]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、プラスミドベクターを含む、付記18~32のいずれかに記載の方法。
[付記34]
前記プラスミドベクターは、pCKである、付記33に記載の方法。
[付記35]
前記プラスミドベクターは、pTxである、付記33に記載の方法。
[付記36]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号10のポリヌクレオチドを含む、付記29~34のいずれかに記載の方法。
[付記37]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号9のポリヌクレオチドを含む、付記29~34のいずれかに記載の方法。
[付記38]
前記第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号27のポリヌクレオチドを含む、付記29~34のいずれかに記載の方法。
[付記39]
有効量は、対象(subject)において疼痛を減少させるのに十分な量である、付記18~37のいずれかに記載の方法。
[付記40]
対象(subject)は、神経病性疼痛を有する、付記18~39のいずれかに記載の方法。
[付記41]
対象(subject)は、糖尿病性神経病症を有する、付記18~40のいずれかに記載の方法。
[付記42]
第1のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト又は第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、筋肉内注射を含む、付記18~41のいずれかに記載の方法。
[付記43]
神経病症治療の医学的方法に用いるためのIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトであって、
前記医学的方法は、神経病症を有する対象(subject)に対して有効量のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階を含み;前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、少なくとも一つのヒトIGF-1異型体を発現可能である、IGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記44]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質又は配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質を発現可能である、付記43に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記45]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号18のポリペプチドを含むクラスII IGF-1Eaタンパク質及び配列番号20のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ebタンパク質の両方を全て発現不可能なわけではない、付記43又は44に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記46]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む、付記43~45のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記47]
前記医学的方法は、第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階をさらに含み;前記第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む、付記46に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記48]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号17のポリヌクレオチドを含む、付記43~45のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記49]
前記医学的方法は、第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを対象(subject)に投与する段階をさらに含み;前記第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号15のポリヌクレオチドを含む、付記48に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記50]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、同時に行われる、付記47又は49に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記51]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階及び第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階は、順次に行われる、付記47又は49に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記52]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、1個を超えるヒトIGF-1異型体をエンコードする、付記43に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記53]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号14のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Eaタンパク質及び配列番号16のポリペプチドを含むクラスI IGF-1Ecタンパク質をエンコードする、付記52に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記54]
次を含む、付記52又は53に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト:
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン1、3及び4(配列番号1)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第1ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のイントロン4(配列番号2)と同じ配列又はその切片を有する第2ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン5及び6-1(配列番号3)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第3ポリヌクレオチド;
ヒトIGF-1遺伝子のイントロン5(配列番号4)と同じ配列又はその切片を有する第4ポリヌクレオチド;及び
ヒトIGF-1遺伝子のエクソン6-2(配列番号5)と同じ配列又はそのデジェネレートを有する第5ポリヌクレオチド;
前記第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチド、第4ポリヌクレオチド及び第5ポリヌクレオチドは、5’から3’の順に順次連結される。
[付記55]
前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号6のポリヌクレオチドである、付記54に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記56]
前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号7のポリヌクレオチドである、付記54に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記57]
前記第4ポリヌクレオチドは、配列番号8のポリヌクレオチドである、付記54に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記58]
IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、プラスミドベクターを含む、付記43~57のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記59]
前記プラスミドベクターは、pCKである、付記58に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記60]
前記プラスミドベクターは、pTxである、付記58に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記61]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号10のポリヌクレオチドを含む、付記43~60のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記62]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号9のポリヌクレオチドを含む、付記43~60のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記63]
前記IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、配列番号27のポリヌクレオチドを含む、付記43~60のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記64]
有効量は、対象(subject)において疼痛を減少させるのに十分な量である、付記43~63のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記65]
対象(subject)は、神経病性疼痛を有する、付記43~64のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記66]
対象(subject)は、糖尿病性神経病症を有する、付記43~65のいずれかに記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
[付記67]
IGF-1エンコーディングDNAコンストラクトを投与する段階又は第2のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクトは、筋肉内注射を含む、付記43~66に記載のIGF-1エンコーディングDNAコンストラクト。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【配列表】
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