(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】調光制御機構
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20240109BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20240109BHJP
F21S 11/00 20060101ALI20240109BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H05B47/125
E06B3/66 E
F21S11/00 310
E06B9/24 C
(21)【出願番号】P 2019190992
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-06-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月13日 EQ House (イーキュー ハウス)にて公開 令和1年7月1日 株式会社新建築社発行 新建築 第94巻9号、第116~123、193、194頁にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】花岡 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】福西 英知
(72)【発明者】
【氏名】市倉 隆平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 貴司
(72)【発明者】
【氏名】青野 敏紀
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-058606(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061792(WO,A1)
【文献】特開2007-120088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0363897(US,A1)
【文献】特開2015-087200(JP,A)
【文献】特開昭53-047141(JP,A)
【文献】特開2000-108660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に太陽光を採光する開口部に設けられ、遮光率が可変の複数の遮光部と、
前記建物に設けられ、前記建物内の人を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された撮像画像を取得して前記人の動作を検出し、所定の動作が検出されると、前記所定の動作をした人に当たる太陽光が通過する前記遮光部の遮光率を制御する制御装置と、
を備えた調光制御機構。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記建物内の前記人の位置情報及び時間情報を取得し、取得した前記人の位置情報及び前記時間情報に基づいて、前記所定の動作をした人に当たる太陽光が通過する前記遮光部を決定する、
請求項1に記載の調光制御機構。
【請求項3】
前記制御装置には、
仮想的に格子状に区分けしたエリア毎に当該エリアに居る前記人に当たる太陽光が通過する前記遮光部と前記時間情報との関係が予め記憶され、
前記制御装置は、
前記所定の動作をした人が居る前記エリアの前記遮光部の遮光率を制御する、
請求項2に記載の調光制御機構。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記エリアの床面から0.9m~2.0mの間を通る太陽光が通過する前記遮光部の前記遮光率を制御する、
請求項3に記載の調光制御機構。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記所定の動作をした人に当たる太陽光が通過する前記遮光部の透過率を最小にして前記遮光部の前記遮光率を最大にする、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の調光制御機構。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記所定の動作をした人の移動に合わせて透過率を最小にする前記遮光部を移動し、前記所定の動作をした人に太陽光が当たらない状態を維持する、
請求項5に記載の調光制御機構。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記所定の動作をした人に当たる太陽光が通過する前記遮光部の透光率を最大にして前記遮光部の前記遮光率を最小にする、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の調光制御機構。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記所定の動作をした人の移動に合わせて透過率を最大にする前記遮光部を移動し、前記所定の動作をした人に太陽光が当たる状態を維持する、
請求項7に記載の調光制御機構。
【請求項9】
前記遮光部は、
光が透過するガラス部と、
前記ガラス部に設けられ、透過率を増減可能な調光フィルムと、
を有している、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の調光制御機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光制御機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明空間に存在する人の状態を検知し、この検知結果に基づいて室内の照明器具を調光制御する照明装置に関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、人体感知センサによって感知された居住空間での人間の情報に応じてスラット角度とブラインドの長さを変更すること、もしくは、調光ガラスの透過率により入射光量を調整する調光装置に関する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、撮像手段で撮像された動画像の動作パターンを認識する画像認識装置、この画像認識装置を用いて電装機器の動作を制御する電装機器動作制御ユニット、電装機器動作制御ユニットが搭載された電化製品、画像認識プログラム、半導体装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-238400号公報
【文献】特開1996-060956号公報
【文献】特開2010-009558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、建物内の照度を保ちつつ、眩しくないように自分には太陽光が当たらないようにしたい場合がある。或いは、他の人が眩しくならないように、自分だけに太陽光が当たるようにしたい場合がある。
【0007】
しかし、特許文献1~特許文献3の技術は、建物内において、自分には太陽光が当たらないようにする又は自分だけに太陽光が当たるようにする等の建物内の人が所望する太陽光の光環境を実現することを考慮していない。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑み、建物内の人が所望する太陽光の光環境を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一態様は、建物内に太陽光を採光する開口部に設けられ、遮光率が可変の複数の遮光部と、前記建物に設けられ、前記建物内の人を撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された撮像画像を取得して前記人の動作を検出し、所定の動作が検出されると、前記人に当たる太陽光が通過する前記遮光部の遮光率を制御する制御装置と、を備えた調光制御機構である。
【0010】
第一態様の調光制御機構では、人が所定の動作を行うと、人に当たる太陽光が通過する遮光部の遮光率が、制御装置によって制御される。よって、建物内の人が所望する太陽光の光環境が得られる。
【0011】
第二態様は、前記制御装置は、前記建物内の前記人の位置情報及び時間情報を取得し、取得した前記人の位置情報及び前記時間情報に基づいて、前記人に当たる太陽光が通過する前記遮光部を決定する、第一態様に記載の調光制御機構である。
【0012】
第二態様の調光制御機構では、建物内の人の位置情報及び時間情報を取得することで、人に当たる太陽光が通過する遮光部を容易に決定することができる。
【0013】
第三態様は、前記遮光部は、光が透過するガラス部と、前記ガラス部に設けられ、透過率を増減可能な調光フィルムと、を有している、第一態様又は第二態様に記載の調光制御機構である。
【0014】
第三態様の調光制御機構では、調光フィルムの透過率を増減することで、容易に遮光率を制御することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、建物内の人が所望する太陽光の光環境を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】一実施形態の建物の縦断面を模式的に示す断面図である。
【
図3】窓部のガラス部の断面図とブロック図である。
【
図4】一実施形態の調光制御機構を説明する説明図である。
【
図5】一実施形態の調光制御機構のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
本発明の一実施形態の調光制御機構について説明する。
【0018】
[構成]
先ず、本実施形態の調光制御機構及び本調光制御機構を備えた建物の構成について説明する。
【0019】
(建物構成)
図1及び
図2に示すように、建物10は、地盤G(
図2参照)に設けられた図示していない基礎上に構築されている。なお、
図2は断面図であるが、判りやすくするため、断面を表すハッチング(斜線)の図示を省略している。
【0020】
建物10は、屋根部12及び外周壁部14を有している。本実施形態の屋根部12は、傾斜屋根とされている。なお、屋根部12は、傾斜屋根に限らず、平屋根であってもよい。この屋根部12には、室内16(
図2参照)に太陽Tの光(以降「太陽光P」を記す)を採光するための開口部20が形成されている。開口部20には、複数の窓部22が格子状に設けられている。なお、後述する
図4の説明図では、判りやすくするため、開口部20及び窓部22を水平方向に沿って図示している。
【0021】
図3に示すように、遮光部の一例としての窓部22は、図示していない窓枠と、この窓枠内に設けられたガラス部24と、を有している。本実施形態では、ガラス部24は、二枚の透明なガラス板23、25構成された二重ガラス構造になっている。
【0022】
ガラス部24を構成する外側のガラス板23の室内16側の内面には、調光フィルム30が貼られている。なお、調光フィルム30は、ガラス板23、25の少なくとも一方に貼られていればよい。また、ガラス部24は、二重ガラスでなく、一重ガラスであってもよいし、三重以上のガラスで構成されていてもよい。
【0023】
調光フィルム30は、印加される電圧に応じて、その透過率が増減する。具体的には、調光フィルム30に印加される電圧が大きくなると、調光フィルム30の透過率が増加し、ガラス部24が透明になる。一方、調光フィルム30に印加される電圧が小さくなると、調光フィルム30の透過率が減少し、ガラス部24が曇りガラスのようになる。なお、調光フィルム30に電圧が印加されていない状態では、調光フィルム30の透過率が最小となる。
【0024】
調光フィルム30は、制御部50(
図5も参照)に電気的に接続される。また、制御部50には、例えば、商用電源等の図示しない電源が接続されている。この制御部50によって、電源から調光フィルム30に印加される電圧が制御される。つまり、制御部50によって、調光フィルム30の透過率が制御される。
【0025】
なお、本実施形態の建物10では、通常は、調光フィルム30に最大電圧を印加して、調光フィルム30の透過率を最大とし、ガラス部24が透明の状態になっている。よって、通常は、太陽光Pが室内16に採光されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、室内16には、それぞれ撮像装置の一例としてのカメラ36が複数個所、本実施形態では室内の隅部にそれぞれ設けられている(
図4及び
図5も参照)。本実施形態のカメラ36は、動画を撮像する。なお、本実施形態では、カメラ36が複数個所、本実施形態では四ヶ所に設けられているが、これに限定されない。カメラ36は、少なくとも室内16に一ヶ所以上設けられていればよい。
【0027】
また、室内16には、室内16に居る人Hの位置を検出する人感センサ34(
図4及び
図5も参照)が設けられている。
【0028】
(調光制御機構)
図5に示すように、調光制御機構100は、制御装置70と、前述した人感センサ34、カメラ36及び調光フィルム30と、を含んで構成されている。調光制御機構100は、人Hが所定の動作を行うと、本実施形態では右手HRを下から上に上げると、右手HRを上げた人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22の調光フィルム30の透過率を最小にし、右手HRを上げた人Hに太陽光Pが当たらなくなるようにする。
【0029】
調光制御機構100を構成する制御装置70のハードウェア構成は、図示していないCPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータによって構成されている。なお、制御装置70は、複数のサーバーやクラウド等を用いて構成されていてもよい。
【0030】
また、
図5に示すように、制御装置70は、機能的には、取得部52、記憶部54及び制御部50を備えている。
【0031】
制御装置70を構成する取得部52は、カメラ36によって撮像された撮像画像、人感センサ34によって検出された位置情報及び時間情報を取得する。時間情報は、月、日、時及び分を含む現在時刻であり、本実施形態では、インターネット37を介してNTPサーバ38から取得している。
【0032】
制御装置70を構成する記憶部54には、撮像画像、位置情報及び時間情報(現在時刻)に応じて、調光フィルム30に印加する電圧の制御、すなわち調光フィルム30の透過率の制御を行うための制御プログラム及びデータベース(以降「DB」と記載)が格納されている。記憶部54に格納されたDBは、時間情報(現在時刻)と、
図4に示す室内16のエリア18毎にそのエリア18に居る人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22と、の関係を、予めコンピューターシミュレーションによって求めデータベース化したものである。
【0033】
なお、エリア18は、平面視において室内16を格子状に所定領域に仮想的に区分けしたものである。
【0034】
また、「人Hに当たる太陽光P」とは、「当該エリア18に立っている子供の頭の位置と大人の頭の位置との間の範囲を通過する太陽光P」である。具体的には、当該エリア18の床面から0.9m~2.0mの間を通過する太陽光Pである。
【0035】
制御装置70を構成する制御部50は、取得部52によって取得された撮像画像、位置情報及び時間情報(現在時刻)と、記憶部54に格納されたDBと、に基づいて、人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22(
図4参照)を特定し、特定した窓部22の調光フィルム30(
図3参照)の透過率を制御する。
【0036】
本実施形態では、制御部50は、取得部52によって取得されたカメラ36の撮像画像、人感センサ34によって検出された人H(
図4参照)の位置情報及び時間情報(現在時刻)に基づいて、記憶部54に格納された制御プログラム及びDBを読み出し、
図4に示されているように、人Hに太陽光Pが当たらないように、人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22の調光フィルム30(
図3参照)の透過率を最小にする。
【0037】
(調光制御ルーチン)
次に、画像情報、位置情報及び時間情報(現在時刻)に応じて、人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22の調光フィルム30の透過率を最小にするための具体的な調光制御ルーチンの一例について、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
ステップS100において、取得部52(
図5参照)は、カメラ36(
図2、
図4及び
図5参照)によって撮像された撮像画像、人感センサ34(
図2、
図4及び
図5参照)によって検出された位置情報及び時間情報を取得する。
【0039】
ステップS200において、制御部50(
図5参照)は、撮像画像から人H(
図4参照)の所定の動作を検出する。本実施形態では、人Hが右手HRを下から上に上げた動作を検出する(
図4参照)。なお、撮像画像から人Hの所定の動作の検出は、オプティカルフロー及びテンプレートマッチング等の画像処理の技術を用いることができる。また、ディープラーニング等のAI技術を用いてもよい。
【0040】
ステップS300において、制御部50(
図5参照)は、人感センサ34(
図4及び
図5参照)によって検出された人H(
図4参照)の位置情報を基に、人Hが居るエリア18(
図4参照)を特定する。
【0041】
ステップS400において、制御部50(
図5参照)は、時間情報(現在時刻)及び特定されたエリア18(
図4参照)から記憶部54に格納されたDBを読み出し、エリア18に居る人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22を特定する。
【0042】
ステップS500において、制御部50(
図5参照)は、特定された窓部22(
図4参照)の調光フィルム30(
図3参照)に印加する電気の電圧を下げて透過率を最小にする。
【0043】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0044】
調光制御機構100は、人Hが所定の動作を行うと、本実施形態では右手HRを下から上に上げると、右手HRを上げた人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22の調光フィルム30の透過率が最小になる。これにより、当該窓部22のガラス部24が曇りガラスになり、右手HRを上げた人Hに太陽光Pが当たらなくなる。このように、室内16の照度を保ちつつ、眩しくないように自分(人H)には太陽光Pが当たらないようにすることができる。つまり、室内16の人Hが所望する太陽光Pの光環境を得ることができる。
【0045】
また、時間情報(現在時刻)を取得することで、例えば、日照センサ等で太陽Tの方位角及び高度を測定して人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22を特定する場合と比較し、太陽Tの方位角及び高度を容易に求めることができる。
【0046】
また、人Hの位置情報を、人感センサ34で検出するので、例えば、撮像画像から位置情報を求める場合と比較し、位置情報を容易に取得することができる。
【0047】
また、室内16のエリア18毎にそのエリア18に居る人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22と、時間情報(現在時刻)と、の関係がデータベース化されて格納されているので、人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22を、例えば人Hが右手HRを上げる度に計算して求める場合と比較し、容易に決定することができる。
【0048】
また、窓部22のガラス部24の調光フィルム30に印加する電圧を調整することで、容易に遮光率を制御することができる。
【0049】
[その他]
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0050】
例えば、上記実施形態では、「人Hに当たる太陽光P」とは、「当該エリア18に立っている子供の頭の位置と大人の頭の位置との間の範囲を通過する太陽光P」、具体的には、「当該エリア18の床面から0.9m~2.0mの間を通過する太陽光P」であったが。これに限定されない。「当該エリア18に立っている子供の頭の位置と大人の頭の位置との間の範囲を通過する太陽光P」は、0.9m~2.0m以外の設定であってもよい。また、例えば、大人の顔にあたる太陽光Pのみを対象としてもよい。また、撮像画像から人Hの姿勢情報を取得し、人Hに当たる太陽光Pの範囲を調整してもよい。例えば、人Hが立っている場合と座っている場合とで、範囲を調整してもよい。
【0051】
また、例えば、上記実施形態では、室内16のエリア18毎にそのエリア18に居る人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22と、時間情報(現在時刻)と、の関係は、予めコンピューターシミュレーションによって求めてデータベース化したが、これに限定されない。時間情報(現在時刻)及び位置情報(人Hが居るエリア18)から人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22を逐次計算して求めてもよい。
【0052】
また、時間情報(現在時刻)でなく、日照センサ等で太陽Pの方位角及び高度を測定し、測定結果と位置情報(人Hが居るエリア18)とから人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22をデータベース化又は逐次計算して求めてもよい。
【0053】
また、例えば、上記実施形態では、室内16に人Hが居るエリア18の特定は、人感センサ34で行ったが、これに限定されない。例えば、カメラ36の撮像画像を画像解析して人Hが居るエリア18を特定してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、調光制御機構100は、人Hが右手HRを下から上に上げると、人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22の調光フィルム30の透過率を最小にし、右手HRを上げた人Hに太陽光Pが当たらなくなるように制御されていたが、これに限定されない。
【0055】
例えば、通常は、調光フィルム30に電圧を印加せずに、調光フィルム30の透過率を最小にしてガラス部24が曇りガラスの状態とし、人Hが所定の動作、例えば、右手HRを上から下に下げると、人Hに当たる太陽光Pが通過する窓部22の調光フィルム30の透過率を最大にし、右手HRを下げた人Hに太陽光Pが当たるように制御してもよい。言い換えると、室内16の他の人が眩しくならないように、自分(人H)だけに太陽光Pが当たるようにしてもよい。
【0056】
或いは、人Hが顔の前に右手HR又は左手HL(
図5参照)をかざした際の手のひらと目とを結ぶ仮線上にある窓部22の調光フィルム30の透過率を最小又は最大にするようにしてもよい。なお、前述の仮想線は、例えば、撮像画像を画像解析して、人Hの手のひらの位置及び目の位置の三次元座標を検出する等して求めればよい。
【0057】
また、人Hが室内16を移動した場合、それに応じて調光フィルム30の透過率を最大又は最小にする窓部22を移動し、人Hが移動しても太陽光Pが当たらない状態又は太陽光Pが当たる状態を維持するようにしてもよい。
【0058】
或いは、人が所定の動作、例えば、人Hが左手HL(
図5参照)を下から上に上げると、全ての窓部22の調光フィルム30の透過率が最小になり、室内16全体に太陽光Pが採光されるようしてもよい。また、人が所定の動作、例えば、人Hが左手HLを上から下に下げると、全ての窓部22の調光フィルム30の透過率が最大になり、室内16全体に太陽光Pが採光されないようにしてもよい。
【0059】
また、窓部22の調光フィルム30の遮光率は、最小及び最大だけでなく、これらの間の中間値であってもよい。中間値にする場合は、人Hの動作及び時間情報(現在時刻)等によって決定してもよい。なお、人Hの動作とは、例えば、右手HR又は左手HLを挙げる高さや角度等であり、右手Hを水平にすると遮光率を最小と最大との中間にする等である。また、時間情報(現在時刻)とは、例えば、朝方及び夕方は、遮光率を中間値にする等である。
【0060】
また、上記実施形態では、開口部20の窓部22の遮光率は、調光フィルム30で調整したが、これに限定されない。例えば、スラット角度が可変のブラインド等で調整してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、遮光率が可変の複数の遮光部は、建物10の屋根部12に設けられていたが、これに限定されない。例えば、建物10の外周壁部14に設けられた窓等の太陽光Pを採光する開口部に設けられていてもよい。
【0062】
また、建物は、内側の外壁を表す内皮と、前記内皮の外側に位置する外壁を表す外皮とを含んで構成され、前記外皮における太陽光を採光する開口部及び前記内皮における太陽光を採光する開口部の少なくとも一方に、遮光率が可変の複数の遮光部が設けられていてもよい。
【0063】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0064】
10 建物
16 室内(建物内の一例)
20 開口部
22 窓部(遮光部の一例)
24 ガラス部
30 調光フィルム
36 カメラ(撮像装置の一例)
70 制御装置
100 調光制御機構
H 人
P 太陽光