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特許7413640効率的なメモリ使用を伴う印刷システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】効率的なメモリ使用を伴う印刷システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B41J5/30 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020548954
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019056972
(87)【国際公開番号】W WO2019180086
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】2020646
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506176906
【氏名又は名称】ゼイコン マニュファクチュアリング ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル フフト, ロメイン ジャン ヴィクトール ポール
(72)【発明者】
【氏名】ゴーチャルックス, マーク ローデヴァイク コーネリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ヴェルデ, ネイサン アニー オマール カタリーナ ディディエ
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019046(JP,A)
【文献】特開2004-237599(JP,A)
【文献】特開2010-006066(JP,A)
【文献】特開2014-144590(JP,A)
【文献】特開2013-082208(JP,A)
【文献】特開2016-068462(JP,A)
【文献】特開2008-183884(JP,A)
【文献】特開平08-224918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0072036(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0254889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のインクジェットヘッド(310、320、330;310a、320a、330a)を使用して複数のスキャンライン(SL)を印刷するための方法であって、前記方法が、
a.前記複数のスキャンラインのうちの少なくとも1つのスキャンラインを受け取るステップと、
b.前記少なくとも1つのスキャンラインのピクセルから所定のサイズの複数のバンドル(B)を作成し、前記複数のバンドルを第1のメモリ(110)に格納するステップであって、前記複数のバンドルが、第1のバンドルおよび連続するバンドルを含み、前記第1のバンドルおよび前記連続するバンドルが、前記1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルがそれぞれ第1の期間内および連続する期間内に噴射されなければならないピクセルを含み、前記複数のバンドルのうちの1つのバンドルの前記所定のサイズが、第2のメモリ(200)に応じて選択される、ステップと、
c.前記複数のバンドルを前記第1のメモリ(110)から前記第2のメモリ(200)に転送するステップと、
d.前記1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルが前記第1の期間内に噴射されなければならないすべてのピクセルが前記第1のバンドルとして前記第2のメモリにおいて利用可能になるまで、ステップa~cを繰り返すステップと、
e.前記第1の期間内に前記第1のバンドルに従って前記1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルを噴射するステップと、
f.連続するバンドルおよび関連するそれぞれの連続する期間についてステップdおよびeを繰り返すステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第2のメモリが、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のバンドルのうちの1つのバンドルの前記所定のサイズが、前記第2のメモリを読み書きするための最適なサイズの50~100%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
各バンドルが、64ビット~512ビットを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のメモリが、前記第2のメモリの少なくとも1/10よりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のメモリが、10本未満のスキャンラインを格納し、前記第2のメモリが、少なくとも1000本のスキャンラインを格納する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のメモリが、プログラム可能なハードウェア構成要素に含まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のメモリが、CPUのキャッシュメモリである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のバンドルおよび前記連続するバンドルが、前記1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズル(N)がそれぞれ第1の時点および連続する時点に噴射されなければならないピクセルを含むように、前記作成が行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のスキャンラインが、少なくとも第1のスキャンライン、第(k+1)のスキャンライン、および第(2k+1)のスキャンラインを含み、kが整数であり、前記第1のバンドル(B1a、B1b、B1c、・・・)が前記第1のスキャンライン、前記第(k+1)のスキャンライン、および前記第(2k+1)のスキャンラインのピクセルのサブセットを含むように、かつ、第(k+1)のバンドル(B7a、B7b、・・・)が前記第1のスキャンライン、前記第(k+1)のスキャンライン、および前記第(2k+1)のスキャンラインのピクセルの異なるサブセットを含むように、前記作成が実行される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数のインクジェットヘッドが、複数のノズル行(N1、N2など)を備え、前記第1の期間内に噴射される各ノズル行(N1)のすべてのノズルが1つまたは複数の第1のバンドル(B1a、B1b)によってカバーされるように、かつ、前記連続する期間内に噴射される各ノズル行(N1)のすべてのノズルが1つまたは複数の連続するバンドル(B7a、B7b)によってカバーされるように、グループ化が実行される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップa中に2つ以上の隣り合うスキャンラインが受け取られ、前記第1のバンドルの各バンドルが、前記2つ以上の隣り合うスキャンラインからのピクセルを含み、前記連続するバンドルの各バンドルが、前記2つ以上の隣り合うスキャンラインからのピクセルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の期間および前記連続する期間が、100マイクロ秒未満である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数のインクジェットヘッドが、複数のノズル行(N1、N2など)を備え、前記複数のノズル行が印刷方向に垂直に向けられている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数のインクジェットヘッドが、複数のノズル行(N1、N2など)を備え、前記複数のノズル行が、印刷方向に対して60°~89°の角度に向けられている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、1つまたは複数のインクジェットヘッドを使用する印刷システムおよび方法に関し、特に、改善されたメモリ使用を伴う印刷方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、1つまたは複数のインクジェットヘッドに形成されたノズルからインクを吐出することにより、記録媒体に画像を記録する。基材は、1つまたは複数のインクジェットヘッドの下で所定の速度で搬送される。
【0003】
印刷方向全体に必要なノズルの数は、主に、使用するインクジェット印刷ヘッドの所与の印刷解像度に対する望ましい印刷解像度によって規定される。ノズルは最小の寸法を有するので、2つの隣り合うノズル間の距離を無限に小さくすることはできない。そのため、インクジェットヘッドは、印刷解像度を高めるために、互いに対してシフトされた複数のノズル行を備えることが好ましい。
【0004】
既知のインクジェットヘッドの例は、複数の行n、例えば16行を備え、それぞれが複数のノズルm、例えば100~200個のノズルを有し、行は、印刷方向に垂直な方向、すなわち、基材がインクジェットヘッドに対して移動する方向に向けられている。1つのインクジェットヘッドは、複数の行を形成するために一緒にされる複数のチップまたはダイを含み得ることに留意されたい。また、各行のノズル数は同じであってもよいし、いくつかの行ではノズル数が異なっていてもよい。物理的な制限により、通常、行は2つ以上のスキャンライン、例えばk本のスキャンラインで分離され、kは例えば10~30本のスキャンラインであってもよい。典型的な既知の実施形態では、インクジェットヘッドのノズルは、実質的に同時に噴射され得る。噴射周波数は、基材が1つの行から次の行に移動するごとに、インクジェットヘッドのすべてのノズルの噴射がk回実行されるようなものである。行は、印刷プロセスの後続のステップ中に印刷されるドットの組み合わせが規則的なパターンを形成するように、互いに対してシフトされる。より具体的には、基材がインクジェットヘッドの下を移動している間にインクジェットヘッドがすべての(n×m)ノズルをk回噴射すると、印刷方向に垂直に延在するn本のラインのうちの1本のラインが完了し、(n×m)個のドットを備えることができる。他の実施態様では、インクジェットヘッドのノズルは、出願人の名前でオランダ国特許出願第2020081号に開示されているように、異なる瞬間に噴射されてもよい。
【0005】
既知のインクジェットヘッドの別の例は、複数の行(n)および列(m)のアレイを備え、例えば32行(n=32)で、それぞれが複数のノズル、例えば64個のノズル(m=64)を有し、行は印刷方向に垂直な方向に対して小さな角度に向けられ、列は印刷方向に対して小さな角度に向けられる。印刷方向に垂直な方向から見ると、複数のそのようなヘッドを互いに隣接して設けることができる。印刷中、すべての(n×m)ノズルは、少なくとも基材が次の行に移動するたびにノズルが噴射するような噴射周波数で実質的に同時に噴射される。また、そのようなインクジェットヘッドを使用すると、印刷方向に見られる隣り合う印刷されたドット間の距離は、隣り合うノズル行間の距離よりも小さい係数になり得る。行と列の数を増やすことにより、印刷方向の解像度を上げることができる。
【0006】
既知のインクジェットヘッドの問題は、何千ものスキャンラインに対応する大量のデータを格納する必要があることである。これは通常、ソフトウェアと大容量メモリを組み合わせて実装されるため、システムが比較的高価になる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態の目的は、メモリ使用の改善を可能にし、より費用効果の高い印刷方法およびシステムをもたらす、1つまたは複数のインクジェットヘッドで複数のスキャンラインを印刷する方法およびシステムを提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、1つまたは複数のインクジェットヘッドを使用して複数のスキャンラインを印刷するための方法が、
a.複数のスキャンラインのうちの少なくとも1つのスキャンラインを受け取るステップと、
b.前記少なくとも1つのスキャンラインのピクセルから、所定のサイズの複数のバンドル(bundle;束)を作成して、前記複数のバンドルが第1のバンドルおよび連続するバンドルを含むようにし、前記第1のバンドルおよび前記連続するバンドルが、1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルがそれぞれ第1の期間内および連続する期間内に噴射されなければならないピクセルを含み、前記複数のバンドルを第1のメモリに格納し、複数のバンドルのうちの1つのバンドルの所定のサイズが、第2のメモリに応じて選択される、ステップと、
c.前記複数のバンドルを第1のメモリから第2のメモリに転送するステップと、
d.1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルが第1の期間内に噴射されなければならないすべてのピクセルが第1のバンドルとして第2のメモリにおいて利用可能になるまで、ステップa~cを繰り返すステップと、
e.第1の期間内に第1のバンドルに従って1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルを噴射するステップと、
f.連続するバンドルおよび関連するそれぞれの連続する期間についてステップdおよびeを繰り返すステップと、を含む。
【0009】
上記のステップを使用すると、比較的小さな第1のメモリと大きな第2のメモリを使用することが可能である。さらに、バンドルのサイズを第2のメモリに適するように、特に高速の読み出し/書き込みデータ速度を得るのに適するように選択することにより、ストレージの高速かつ効率的な使用が実現される。さらに、同じ期間内に噴射されるピクセルを適切なサイズのバンドルにグループ化することにより、特定の期間内に噴射されるバンドルのグループを第2のメモリから高速に読み出すことができ、その結果、メモリを効率的に使用する高速な印刷プロセスが得られる。
【0010】
好ましくは、第2のメモリは、ダイナミックランダムアクセスメモリ、より好ましくは同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、より好ましくはDDR3を含む。このようなメモリは、必要な量のバンドルを格納するのに適しており、適切なサイズのバンドルを使用すると、十分に高速に読み書きすることができる。
【0011】
好ましくは、複数のバンドルのうちの1つのバンドルの所定のサイズは、第2のメモリを読み書きするための最適サイズの50%~100%である。例えば、DDR3の場合、最適なパケットサイズは512ビットであり、これは、各ピクセルが4ビットで表される場合、128ピクセルに対応する。そのような実施形態では、各バンドルは、好ましくは、64~128ピクセルを含む。しかし、バンドルごとの適切なピクセル数は、1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルの配置と数にも依存し、通常は128ピクセル未満の値が使用される。他の実施形態では、各ピクセルは2ビットまたは1ビットで表すことができ、128個を超えるピクセルをバンドルにグループ化されてもよい。
【0012】
好ましくは、第1のメモリは、第2のメモリの少なくとも1/10よりも小さく、より好ましくは、第2のメモリの少なくとも1/100よりも小さい。好ましくは、第1のメモリは10本未満のスキャンライン、より好ましくは5本未満のスキャンラインを格納し、第2のメモリは少なくとも1000本のスキャンライン、好ましくは少なくとも2000本のスキャンラインを格納する。スキャンラインは、スキャンラインごとにファイルまたはデータストリームからスキャンラインで受け取られてもよく、次にバンドルにグループ化されて第2のメモリに転送されるので、第1のメモリを小さくすることができる。しかし、2本のスキャンラインを並行して受け取ることも可能であるが、そのような構成でも、第1のメモリは10本未満のスキャンラインを格納することができる。
【0013】
可能な実施形態によれば、第1のメモリは、プログラム可能なハードウェア構成要素、好ましくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)に含まれる。第1のメモリはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)に含まれてもよい。別の可能な実施形態によれば、第1のメモリは、中央処理装置(CPU)のキャッシュメモリである。
【0014】
他の好ましい実施形態は、添付の従属請求項に開示されている。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、複数のスキャンラインを印刷するための印刷システムが提供され、前記システムは、1つまたは複数のインクジェットヘッドと、第1のメモリおよび第2のメモリを有する論理ユニットと、を備える。論理ユニットは、少なくとも1つのスキャンラインを受け取り、前記少なくとも1つのスキャンラインのピクセルから、所定のサイズの複数のバンドルを作成して、前記複数のバンドルが第1のバンドルおよび連続するバンドルを含むようにし、前記第1のバンドルおよび前記連続するバンドルが、1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルがそれぞれ第1の期間内および連続する期間内に噴射されなければならないピクセルを含み、前記複数のバンドルを第1のメモリに格納して、前記複数のバンドルを第1のメモリから第2のメモリに転送するように構成される。第2のメモリが、第1の期間内に1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルが噴射されなければならない少なくともすべてのピクセルが第2のメモリにおいて利用可能になるまで、連続するスキャンラインのバンドルを格納するように構成される。複数のバンドルのうちの1つのバンドルの所定のサイズは、第2のメモリに適切であるように選択される。印刷システムは、第2のメモリから第1のバンドルを読み出すことにより、第1の期間内に第1のバンドルに従って、かつ第2のメモリから連続するバンドルを読み出すことにより、関連する連続する期間内に連続するバンドルに従って、1つまたは複数のインクジェットヘッドのノズルを噴射するように構成される。
【0016】
印刷システムの好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0017】
本方法の実施形態について上で述べた特徴および利点は、必要な変更を加えて印刷システムの実施形態に当てはまる。
【0018】
添付の図面は、本発明の装置の現在好ましい非限定的な例示的実施形態を示すために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、添付の図面と併せて読まれるとき、以下の詳細な説明からより明らかになり、本発明はよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】印刷システムの例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図2】印刷システムまたは方法で使用するための3つのインクジェットヘッドの簡略化された例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図3】ピクセルを印刷しなければならない瞬間を示すいくつかのスキャンラインの概略図である。
図4】複数のスキャンラインを印刷する方法の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
図5】単一のプリンタに組み合わされた2つの印刷システムの別の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図6】印刷システムのさらに別の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図7】印刷システムまたは方法の例示的な実施形態で使用するためのインクジェットヘッドの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、複数のスキャンラインSLを印刷するための印刷システム1000の例示的な実施形態を示している。印刷システム1000は、第1のメモリ110を備えた論理ユニット100、DRAMの形態の第2のメモリ200、および3つのインクジェットヘッド310、320、330からなるインクジェット装置300を含む。
【0021】
論理ユニット100は、少なくとも1つのスキャンラインSLを受け取るように構成される。可能な実施形態では、一度に1つのスキャンラインが受け取られるか、または別の言い方をすれば、連続するスキャンラインが論理ユニット100によってシリアル方式で受け取られる。しかしながら、他の実施形態では、論理ユニット100で2つまたは3つの連続するスキャンラインを並列に受け取ることが想定され得る。論理ユニット100は、少なくとも1つの受け取られたスキャンラインSLのピクセルから、所定のサイズの複数のバンドルBを作成するようにさらに構成される。バンドルBのサイズは、第2のメモリ200に、より具体的には、第2のメモリの高い書き込み/読み出しデータレートを得るのに適するように選択される。例えば、第2のメモリは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、好ましくは同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、より好ましくはDDR3メモリであってもよい。例えば、DDR3(320MHzのクロックと16ビットのデータバス)で10240メガビット/秒のデータレートを取得するには、バンドルのサイズを512ビットにする必要があり、これは、各ピクセルが4ビットで表される場合に128ピクセルに対応する。好ましくは、バンドルBの所定のサイズは、第2のメモリ200を読み書きするための最適サイズの50%~100%になるように選択される。したがって、例えばDDR3の場合、バンドルのサイズは64~128ピクセルであることが好ましい。
【0022】
論理ユニット100は、少なくとも1つのスキャンラインSLのピクセルから、複数のバンドルBを作成するように構成され、それにより、前記複数のバンドルBは第1のバンドルおよび連続するバンドルを含む。第1のバンドルは、インクジェット装置300のノズル350が第1の期間内に噴射されなければならないピクセルを含む。連続するバンドルは、インクジェット装置300のノズル350が前記第1の期間の後の連続する期間内に噴射されなければならないピクセルを含む。複数のバンドルBは、第2のメモリ200に転送される前に、第1のメモリ110に一時的に格納される。例えば、8000ピクセルの1つのスキャンラインが受け取られると、それぞれ80ピクセルの100個のバンドルが作成される。それぞれが時刻t1で噴射されるピクセルを含む80ピクセルの4つの第1のバンドル、時刻t1+k.Δtの連続する瞬間に噴射されるピクセルを含む4つの連続するバンドル、時刻t1+2k.Δtの連続した瞬間に発射されるピクセルを含む4つの連続したバンドル、・・・であり、ここでkは2つの行の間のスキャンラインの数に対応する整数であり、Δtは2つの連続する噴射の瞬間の間の時間である。これは簡略化された例であり、例えば特定の瞬間に噴射されるピクセルを含むバンドルの数は、異なる瞬間によって異なり得る。例えば、図1に示すように3つのインクジェットヘッド310、320、330を使用する場合、第1のスキャンラインでは、インクジェットヘッド310、330に関連付けられたピクセルについては、インクジェットヘッド310、330に対してシフトされたインクジェットヘッド320よりも多くのバンドルを作成する必要がある。より一般的には、バンドルへのマッピングは、以下により詳細に説明するように、1つまたは複数のインクジェットヘッドにおけるノズルの配置に依存する。
【0023】
第2のメモリ200は、インクジェット装置300のノズル350が第1の期間内に噴射されなければならない少なくともすべてのピクセルが第2のメモリ200において利用可能になるまで、連続するスキャンラインの第1のおよび連続するバンドルを格納するように構成される。例えば、各プリントヘッド310、320、330にn行があり、行がk本のスキャンラインで分離されている場合には、およびインクジェットヘッド320が図1のようにインクジェットヘッド310、330に対してシフトされている場合には、約(2×(n×k))本のスキャンラインは、第1の期間内に噴射されるピクセルを有するすべてのバンドルが第2のメモリで使用可能になるように、第2のメモリ200に格納される必要がある。
【0024】
印刷システムは、第2のメモリ200から第1のバンドルを読み出すことによって、第1の期間内に第1のバンドルに従ってインクジェットヘッド310、320、330のノズル350を噴射するようにさらに構成される。次に、第2のバンドルを第2のメモリ200から読み出すことなどにより、第2の期間内に第2のバンドルに従ってノズルが噴射される。
【0025】
好ましくは、第1のメモリ100は、第2のメモリ200の少なくとも1/10よりも小さく、より好ましくは、第2のメモリ200の少なくとも1/100よりも小さい。例えば、第1のメモリは、10本未満のスキャンラインを格納するように構成されたメモリであってもよく、一方で第2のメモリは、少なくとも2000本のスキャンラインを格納するように構成されてもよい。
【0026】
論理ユニット100は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。例えば、論理ユニット100は、プログラム可能なハードウェア構成要素、好ましくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはASICとして実装されてもよい。別の実施形態では、論理ユニット100は、小さなキャッシュメモリ110を備えたCPUであってもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、バンドルのすべてのピクセルは、同じ時点で噴射されなければならないピクセルである。しかし、特定のインクジェットヘッドの場合、同じ期間内の、通常は100マイクロ秒未満、好ましくは70マイクロ秒未満、より好ましくはより短い5~65マイクロ秒の期間内の、様々な瞬間に噴射する必要があるピクセルをグループ化することが有効であり得る。実際、いくつかの印刷方法によれば、すべてのノズルを同時に噴射するのではなく、ノズルの噴射の間に小さな時間差がある場合があり、このような場合、同じバンドル内の同じ短い期間内に噴射する必要があるピクセルをグループ化することが有効であり得る。
【0028】
k本のスキャンラインで区切られたn行のインクジェットヘッドの場合、第1のバンドルは、第1のスキャンラインのピクセルのサブセット、第(k+1)のスキャンラインのピクセルのサブセット、第(2k+1)のスキャンラインのピクセルのサブセット、・・・、および第((n-1)k+1)のスキャンラインのピクセルのサブセットを含む。同様に、第2のバンドルは、第2のスキャンラインのピクセルの異なるサブセット、第(k+2)のスキャンラインのピクセルの異なるサブセット、第(2k+2)のスキャンラインのピクセルの異なるサブセット、・・・、および第((n-1)k+2)のスキャンラインのピクセルの異なるサブセットを含む。好ましくは、バンドルは、異なるスキャンラインからのピクセルを含まない。しかしながら、特定の実施形態では、隣り合うスキャンラインのピクセルを同じバンドルにグループ化することが有効であり得る。
【0029】
図2は、3つのインクジェットヘッド310、320、330を含むインクジェット装置300の例を示す。各インクジェットヘッド310、320、330は、複数の行N1、N2などを含み、ここでは4つの行(n=4)を含む。各行N1、N2などは、複数のm個のノズル350、ここでは4個のノズル(m=4)を有する。インクジェットヘッドの現実的な実施形態では、行および行あたりのノズルの量は、通常、はるかに多いことに留意されたい、例えば16~32行であり、行当たり100~400個のノズルである。しかしながら、本発明の実施形態を説明するために、説明を過度に複雑にしないように、ノズルの数を減らした。行N1、N2などは、印刷方向Pに垂直な方向、すなわち、基材がインクジェットヘッド310、320、330の下を移動する方向に向けられる。同じ行の隣り合う2つのノズル350の中心間の距離は、解像度rのn倍である(ノズル間の距離=n×r)。隣り合うノズル行の間の距離は、解像度rのk倍である(ノズル行間の距離=k×r)。
【0030】
ノズル行N1、N2などは平行であり、複数のノズル行の隣り合うノズル行は、印刷方向Pに垂直な方向に互いに対してシフトされる。図示の実施形態では、行N2は行N1に対して距離rにわたって右にシフトされ、行N3は行N2に対して距離rにわたって右にシフトされ、行N4は行N3に対して距離rにわたって右にシフトされている。他の図示されていない実施形態では、シフトは異なってもよく、例えば行N2は行N1に対して距離2*rにわたってシフトされ、行N3は行N1に対して距離rにわたってシフトされ、行N4は行N3に対して距離3*rにわたって右にシフトされる。当業者は、他の変形が可能であることを理解する。印刷方向Pに垂直な線上に投影すると、ノズルの中心は、rに対応する互いに等しい距離に配置される。
【0031】
典型的な印刷プロセス中、基材は印刷速度vで移動し、3つのインクジェットヘッド310、320、330のすべての(m×n×3)ノズルは、噴射周波数f=v/rで実質的に同時に噴射される。大きな電力ピークを回避するために小さな差(ナノ秒のオーダ)が存在する場合があるが、そのような小さな差は印刷された画像では目に見えない。言い換えると、噴射周波数は、基材が距離rにわたって移動するたびに、インクジェットヘッド310、320、330のすべてのノズルの噴射が実行されるようなものである。行は、印刷プロセスの後続のステップ中に印刷されるドットの組み合わせが規則的なパターンを形成するように、互いに対してシフトされる。より具体的には、インクジェットヘッド310、320、330がすべての(n×m×3)ノズルを、行数(n×k×2)の2k倍に対応する回数噴射した場合、基材がインクジェットヘッド310、320、330の下を移動する間に、印刷方向に垂直に延びる1つのスキャンラインが完成し、(n×m×3)ピクセルを含むことができる。
【0032】
次に、図3を参照して、1つまたは複数のインクジェットヘッドで複数のスキャンラインSLを印刷する方法の例示的な実施形態を説明する。図3は、図2に示した3つのインクジェットヘッド310、320、330に対応する例であり、各ヘッドの行数は4(n=4)で、行当たりのノズル数はヘッド当たり4(m=4)であり、隣り合う行は6本のスキャンライン(k=6)で分離されている。各スキャンラインSLは(n×m×3)ピクセル、つまり、図3にP1、P2、P3、・・・、P48として示されている48ピクセルを含む。図2では、基材は、矢印Pで示されるように底部から上部に延在すると想定される。さらに、基材は、t1において、行N1のノズルが第1のスキャンラインSL1を印刷する位置にあると想定される。
【0033】
第1のスキャンラインSL1の場合、第1のピクセルP1は第1の時点t1で行N1の第1のノズルによって噴射され、第2のピクセルP2は行N2の第1のノズルによって6スキャンライン早く(t1-6Δt)噴射され、第3のピクセルP3は、行N3の第1のノズルによって12スキャンライン早く(t1-12Δt)噴射され、第4のピクセルP4は、行N4の第1のノズルによって18スキャンライン早く(t1-18Δt)噴射され、第5のピクセルP5は、第1の時点t1で再び噴射される、等々であり、ここで、Δtは2つの連続する噴射の瞬間の間の時間である。
【0034】
第2のスキャンラインSL2の場合、第1のピクセルP1は第2の時点t2(=t1+Δt)で第1の行N1の第1のノズルによって噴射され、第2のピクセルP2は第2の行N2の第1のノズルによってt2より6スキャンライン早く(t2-6Δt)噴射された、等々。
【0035】
第(k+1)のスキャンラインSL7の場合、第1のピクセルP1はt1の6スキャンライン後に(t7=t1+6Δt)噴射する必要があり、第2のピクセルP2は、第2のノズル行N2の第1のノズルによって、第1の時点t1で噴射される必要があり、第3のピクセルP3は、6スキャンライン早く(t1-6Δt)噴射された、等々。
【0036】
さらに、第2のインクジェットヘッド320は、第1および第3のインクジェットヘッド310、33に対してシフトされているので、スキャンラインSL25~SL48も、時刻t1、t2、t3などで印刷されるピクセルを含む。より具体的には、スキャンラインSL25の場合、第17のピクセルP17は時刻t1で噴射する必要があり、第18のピクセルP18はt1-6Δtなどで噴射する必要がある。
【0037】
言い換えると、以下のスキャンラインは、以下のように印刷されるピクセルで構成される。
時刻t1では:SL1、SL7、SL13、SL19、SL25、SL31、SL37、SL43;
時刻t2では:SL2、SL8、SL14、SL20、SL26、SL32、SL38、SL44;
時刻t3では:SL3、SL9、SL15、SL21、SL27、SL33、SL39、SL45;
時刻t4では:SL4、SL10、SL16、SL22、SL28、SL34、SL40、SL46;
時刻t5では:SL5、SL11、SL17、SL23、SL29、SL35、SL41、SL47;
時刻t6では:SL6、SL12、SL18、SL24、SL30、SL36、SL42、SL48;
時刻t7では:SL7、SL13、SL19、SL25、SL31、SL37、SL43;
時刻t8では:SL8、SL14、SL20、SL26、SL32、SL38、SL44;
時刻t9では:SL9、SL15、SL21、SL27、SL33、SL39、SL45;
時刻t10では:SL10、SL16、SL22、SL28、SL34、SL40、SL46;
時刻t11では:SL11、SL17、SL23、SL29、SL35、SL41、SL47;
時刻t12では:SL12、SL18、SL24、SL30、SL36、SL42、SL48;
等々であり、
ここで、t2=t1+Δt、t3=t1+2Δt、t4=t1+3Δtなどであり、Δtは2つの連続する噴射の瞬間の間の時間である。
【0038】
図4は、方法の例示的な実施形態に従って、図3のスキャンラインのピクセルがどのようにバンドルされ得るかを示す。第1のステップ1001では、少なくとも1つのスキャンラインが受け取られる。この例では、一度に受け取られるスキャンラインは1つだけであると想定されているが、当業者は、例えば2つまたは3つのスキャンラインを並列に受け取ることも可能であることを理解するであろう。最初に、第1のスキャンラインSL1が受け取られる。第1のスキャンラインSL1のピクセルP1~P48から、所定のサイズの複数のバンドルが作成される。この例では、簡単にするために、4つのピクセルのバンドルが作成されると想定している。しかし、現実的な解決策では、通常、例えば70~128ピクセルを含む、より大きなバンドルが作成される。
【0039】
スキャンラインSL1の場合、以下のバンドルが作成される。
t1で噴射されるバンドル:B1a(P1、P5、P9、P13);B1b(P33、P37、P41、P45)
(t1-6Δt)で噴射されるバンドル:B6’a(P2、P6、P10、P14)。B6’b(P34、P38、P42、P46)
(t1-12Δt)で噴射されるバンドル:B12’a(P3、P7、P11、P15)。B12’b(P35、P39、P43、P47)
(t1-18Δt)で噴射されるバンドル:B18’a(P4、P8、P12、P16);B18’b(P36、P40、P44、P48)
当業者には理解されるように、ピクセルP17~P32は、第2のインクジェットヘッド320のノズルによってさらに早期に印刷されなければならない。簡単にするために、これらのピクセルに対応するバンドルについては、ここではさらに詳しく説明しない。
【0040】
第2のスキャンラインSL2の場合、以下のバンドルが作成される。
t2(=t1+Δt)で噴射されるバンドル:B2a(P1、P5、P9、P13);B2b(P33、P37、P41、P45)
(t2-6Δt=t1-5Δt)で噴射されるバンドル:B5’a(P2、P6、P10、P14)。B5’b(P34、P38、P42、P46)
(t2-12Δt)で噴射されるバンドル:B11’a(P3、P7、P11、P15)。B11’b(P35、P39、P43、P47)
(t2-18Δt)で噴射されるバンドル:B17’a(P4、P8、P12、P16)。B17’b(P36、P40、P44、P48)
当業者には理解されるように、ピクセルP17~P32は、第2のインクジェットヘッド320のノズルによってさらに早期に印刷されなければならない。簡単にするために、これらのピクセルに対応するバンドルについては、ここではさらに詳しく説明しない。
【0041】
第(k+1)のスキャンラインSL7の場合、以下のバンドルが形成される。
t7で噴射されるバンドル(t7=t1+6Δt):B7a(P1、P5、P9、P13);B7b(P33、P37、P41、P45)
t1で噴射されるバンドル:B1c(P2、P6、P10、P14);B1d(P34、P38、P42、P46)
(t1-6Δt)で噴射されるバンドル:B6’c(P3、P7、P11、P15);B6’d(P35、P39、P43、P47)
等々である。
【0042】
論理ユニットのメモリ110は、通常、1つまたは2つだけのスキャンラインを格納できる小さなメモリであるため、バンドルは、第1のメモリがいっぱいになる前に、かつ好ましくは次のスキャンラインが到着する前に、第2のメモリ200に書き込まれる。したがって、第1のスキャンラインSL1のバンドルを作成した後に、バンドルB1a、B1b、B6’a、B6’b、B12’a、B12’bなどが第2のメモリ200に書き込まれ、次に第2のスキャンラインSL2がバンドルB2a、B2b、B5’a、B5’bなどにグループ化され、バンドルB2a、B2b、B5’a、B5’bなどが第2のメモリ200に書き込まれる。これらのステップは、インクジェットヘッド310、320、330のノズルが第1の時点t1で噴射されなければならないすべてのピクセルが第2のメモリにおいて利用可能になるまで繰り返される。スキャンラインSL43は、時点t1で噴射されるピクセルを収容する最後のスキャンラインであるから、スキャンラインSL43のバンドルを第2のメモリ200に格納した後に、インクジェットヘッド310、320、330のノズルは、時点t1で第1のバンドルに従って噴射され得る。スキャンラインSL44が受け取られ、バンドルにグループ化され、第2のメモリ200に格納された後に、インクジェットヘッド310、320、330のノズルは、第2の時点t2で第2のバンドルB2a、B2bなどに従って噴射され得る。
【0043】
図4では、ステップ1002は、論理ユニット100で実行されるバンドルの作成および格納を示し、ステップ1003は、第2のメモリ200への作成されたバンドルの格納を示す。次のステップ1004では、特定の時点で噴射されるバンドルが第2のメモリ200から読み出され、それに応じてインクジェットヘッド310、320、330のノズルが噴射される。
【0044】
図5は、本発明の2つの印刷システムを単一のプリンタに組み合わせることが可能であることを示している。インクジェット装置300a、300bは、直列に配置されてもよく、それぞれ、印刷されるスキャンラインのピクセルの半分を印刷してもよい。この例示的な実施形態では、インクジェット装置300a、300bごとに別個の論理ユニット100a、100bおよび別個の第2のメモリ200a、200bが設けられている。
【0045】
図6に示す別の例示的な実施形態では、単一の論理ユニット100および単一の第2のメモリ200を使用して、2つのインクジェット装置300a、300bを制御することができ、例えばそれぞれが3つのインクジェットヘッド310a、320a、330a;310b、320b、330bを含む。
【0046】
本発明の実施形態は、他のタイプのインクジェットヘッドにも適用可能である。インクジェットヘッドの別の例が図7に示されており、複数の行N1、N2など、例えば32行(n=32)を含む。各行N1、N2などは、m個のノズル、例えば64個のノズル(m=64)を含む。ノズル行は平行であり、印刷方向に対して60°~89°の角度に向けられている。印刷方向Pに垂直な線に投影した場合、同じ行の隣り合う2つのノズルの中心間の距離はdrである。drは、印刷方向に垂直な水平方向に見られる望ましい解像度rhの倍数である(dr=k4*rh、ここでk4は整数である)。複数のノズル行の隣り合うノズル行は、距離b1にわたって印刷方向Pに垂直な方向に互いに対してシフトされている。図示の実施形態では、行N2は行N1に対して距離b1だけ左にシフトされ、行N3は行N2に対して距離b1だけ左にシフトされる、等々。当業者は、図2について上で説明されたものと同様に、他の変形が可能であることを理解する。印刷方向Pに垂直な線上に投影すると、ノズルの中心は、b1に対応する互いに等距離に配置される。印刷方向に投影された、同じ行の隣り合うノズルの中心間の距離はb2である。b1は、印刷方向に垂直な方向の解像度rhの倍数である、つまり、b1=k1*rhであり、k1は整数である。b2は、印刷方向の解像度rの倍数である、つまり、b2=k2*rであり、k2は整数である。印刷方向Pに見た隣り合うノズル行間の距離はdである。また、dは印刷方向に見られる望ましい解像度rの倍数である(d=k3*r、k3は整数である)。基材は、印刷速度vで移動することができ、すべてのm×n個のノズルは、噴射周波数f=k*v/dで実質的に同時に噴射することができ、ここで、kは整数である。言い換えれば、噴射周波数は、基材が距離d/kにわたって移動するたびに、インクジェットヘッドのすべてのノズルの噴射が実行されるようなものである。行は、印刷プロセスの後続のステップ中に印刷されるドットの組み合わせが規則的なパターンを形成するように、互いに対してシフトされる。
【0047】
また、そのようなインクジェットヘッドについて、図4に関連して上で説明したようなバンドルの作成を実行することができる。そのような実施形態では、バンドルのサイズが十分に大きいことを確認するために、同じバンドル内の隣り合うスキャンラインのピクセルを組み合わせることが有効であり得る。
【0048】
本発明の特定の実施形態は、特に、同じ画像の多数のコピー、あるいは一連の画像、または大量の組の個別に変化する画像を印刷するために、いわゆる「連続」ウェブ、すなわち、基材(例えば、紙、プラスチックホイル、またはそれらの多層の組み合わせ)の連続ロールが一定の速度で印刷ステーションを通過する印刷システムのデジタル印刷システムおよび方法の分野に関する。
【0049】
「論理ユニット」とラベル付けされた任意の機能ブロックを含む、図に示す様々な要素の機能は、専用ハードウェアならびに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行できるハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、またはいくつかが共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供されてもよい。さらに、「論理ユニット」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗黙的に含むことができるが、これらに限定されない。従来型および/またはカスタムのその他のハードウェアも含めることができる。
【0050】
本発明の原理は特定の実施形態に関連して上に述べられているが、この説明は単なる例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって定められる保護範囲の限定としてなされていないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7