(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】空気流通装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6566 20140101AFI20240109BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/652 20140101ALI20240109BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240109BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20240109BHJP
B60K 11/08 20060101ALI20240109BHJP
B60L 58/26 20190101ALN20240109BHJP
【FI】
H01M10/6566
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M10/652
B60K1/04 Z
B60K11/06
B60K11/08
B60L58/26
(21)【出願番号】P 2019146742
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】佐口 公一
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519353(JP,A)
【文献】特開2016-219260(JP,A)
【文献】特開2012-199205(JP,A)
【文献】特開2006-294336(JP,A)
【文献】特開2001-105894(JP,A)
【文献】特開2006-128123(JP,A)
【文献】特開2004-071394(JP,A)
【文献】特開2016-225181(JP,A)
【文献】仏国特許発明第3099822(FR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
B60K1/00-6/12
B60K11/00-15/10
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、電装品を冷却する空気が流通し、所定の延伸方向に延伸する流路を形成する流路形成部材を備える空気流通装置であって、
前記流路形成部材は、
前記延伸方向の一方側に連通する第1開口部と、
前記延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する第2開口部と、
前記第2開口部に対して前記交差方向の他方側に対向する対向部と、
前記対向部に設けられ、前記延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて前記交差方向で前記第2開口部側へ近づくように前記流路の幅を狭める複数の対向傾斜部と、を有し、
複数の前記対向傾斜部は、前記延伸方向に並んで配置され
、
前記流路形成部材は、前記対向傾斜部の前記交差方向の一方側の一端部と、前記対向傾斜部に前記延伸方向の他方側に隣り合う前記対向傾斜部の前記延伸方向の他端部と、を接続する接続部を有し、
前記接続部は、前記延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて前記交差方向の一方側から他方側へ徐々に前記流路の幅を広げることを特徴とする空気流通装置。
【請求項2】
車両に搭載され、電装品を冷却する空気が流通し、所定の延伸方向に延伸する流路を形成する流路形成部材を備える空気流通装置であって、
前記流路形成部材は、
前記延伸方向の一方側に連通する第1開口部と、
前記延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する第2開口部と、
前記第2開口部に対して前記交差方向の他方側に対向する対向部と、
前記対向部に設けられ、前記延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて前記交差方向で前記第2開口部側へ近づくように前記流路の幅を狭める複数の対向傾斜部と、を有し、
複数の前記対向傾斜部は、前記延伸方向に並んで配置され、
前記対向傾斜部の前記交差方向の一方側の一端部は、前記延伸方向の一方側に隣接する他の一端部よりも、前記交差方向の一方側に配置され、
前記第2開口部は、前記延伸方向に複数並んで設けられており、
前記対向傾斜部の傾斜面を仮想的に延長した仮想延長線上に前記第2開口部が配置されていることを特徴とする空気流通装置。
【請求項3】
複数の前記第2開口部は、前記延伸方向に間隔を隔ててそれぞれ配置されており、
前記対向傾斜部は、前記仮想延長線上に配置される前記第2開口部よりも前記延伸方向の一方側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の空気流通装置。
【請求項4】
車両に搭載され、電装品を冷却する空気が流通し、所定の延伸方向に延伸する流路を形成する流路形成部材を備える空気流通装置であって、
前記流路形成部材は、
前記延伸方向の一方側に連通する第1開口部と、
前記延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する第2開口部と、
前記延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて前記交差方向で前記第2開口部側へ近づくように前記流路の幅を狭める複数の傾斜部と、を有し、
複数の前記傾斜部は、前記交差方向で前記第2開口部に近づくに連れて前記延伸方向および前記交差方向に直交する直交方向で前記第2開口部に近づくように前記流路の幅を徐々に狭める第1傾斜部を有することを特徴とする空気流通装置。
【請求項5】
前記第1傾斜部は、
前記延伸方向の一方側に位置する第1傾斜面と、
前記第1傾斜面よりも前記延伸方向の他方側に位置し前記第1傾斜面よりも前記直交方向に対する傾斜度合の小さい第2傾斜面と、を有することを特徴とする請求項4に記載の空気流通装置。
【請求項6】
前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面よりも前記延伸方向の寸法が長く、かつ、前記延伸方向で他方側に近づくに連れて前記交差方向における前記流路の幅が小さくなることを特徴とする請求項5に記載の空気流通装置。
【請求項7】
複数の前記傾斜部は、前記第1傾斜部よりも前記延伸方向の他方側かつ前記交差方向の前記第2開口部よりも他方側に第2傾斜部を有し、
第2傾斜部は、前記延伸方向および前記直交方向に対する傾斜度合が前記第1傾斜部よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項4から請求項6の何れか1項に記載の空気流通装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気流通装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両や電気自動車両等の車両にあっては、走行用モータに電力を供給する大容量のバッテリモジュールと、ファンやインバータ等の電装部品と、を備えており、これらのバッテリモジュールおよび電装部品は、ハウジング内に収容することでバッテリパックとして一体化されている。また、バッテリモジュールは、充放電時の発熱により温度が上昇すると出力特性が低下するため、温度が上昇し過ぎないように冷却する必要がある。
【0003】
従来のこの種の技術として特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、電池モジュールが収納されるケースに接続される分岐ダクトと、DCDCコンバータに接続される分岐ダクトとに分岐する吸気ダクトを有している。また、特許文献1に記載のものは、電池モジュールに分岐する分岐ダクトの送風方向よりも下流側かつ電池モジュールを構成する単電池の並び方向と送風方向が直交するように、電池モジュールを配置しており、分岐ダクトにより空気を単電池に導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空気には流れ方向を維持しようとする慣性が働いているため、特許文献1に記載のものは、送風方向の上流側で分岐して単電池に供給される空気の流量よりも、送風方向の下流側で分岐して単電池に供給される空気の流量の方が多くなってしまう。このため、単電池ごとの温度差が大きくなり、冷却の不十分な単電池が発生したり、単電池ごとの特性が異なってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、複数の電装品に供給する空気を所望の流量に調整でき、電装品の出力特性を高めることができる空気流通装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両に搭載され、電装品を冷却する空気が流通し、所定の延伸方向に延伸する流路を形成する流路形成部材を備える空気流通装置であって、前記流路形成部材は、前記延伸方向の一方側に連通する第1開口部と、前記延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する第2開口部と、前記第2開口部に対して前記交差方向の他方側に対向する対向部と、前記対向部に設けられ、前記延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて前記交差方向で前記第2開口部側へ近づくように前記流路の幅を狭める複数の対向傾斜部と、を有し、複数の前記対向傾斜部は、前記延伸方向に並んで配置され、前記流路形成部材は、前記対向傾斜部の前記交差方向の一方側の一端部と、前記対向傾斜部に前記延伸方向の他方側に隣り合う前記対向傾斜部の前記延伸方向の他端部と、を接続する接続部を有し、前記接続部は、前記延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて前記交差方向の一方側から他方側へ徐々に前記流路の幅を広げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように上記の本発明によれば、複数の電装品に供給する空気を所望の流量に調整でき、電装品の出力特性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る空気流通装置を備える車両用バッテリパックの車両搭載状態を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る空気流通装置を備える車両用バッテリパックの内部構造を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る空気流通装置を備える車両用バッテリパックの内部構造を示す背面図である。
【
図4】
図4は、
図5に示すIV-IV方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置の構成を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すV-V方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置の構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示すVI-VI方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置の構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示すIV-IV方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置の各部の寸法を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図4に示すV-V方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置の各部の寸法を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図5に示すIV-IV方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置の対向傾斜部の傾斜状態等を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図5に示すIV-IV方向矢視断面で空気流通装置を切断したときの断面図であり、本発明の一実施例に係る空気流通装置における空気の流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る空気流通装置は、車両に搭載され、電装品を冷却する空気が流通し、所定の延伸方向に延伸する流路を形成する流路形成部材を備える空気流通装置であって、流路形成部材は、延伸方向の一方側に連通する第1開口部と、延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する第2開口部と、第2開口部に対して交差方向の他方側に対向する対向部と、対向部に設けられ、延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向で第2開口部側へ近づくように流路の幅を狭める複数の対向傾斜部と、を有し、複数の対向傾斜部は、延伸方向に並んで配置されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る空気流通装置は、複数の電装品に供給する空気を所望の流量に調整でき、電装品の出力特性を高めることができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例に係る空気流通装置を備える車両用バッテリパックについて、図面を用いて説明する。
図1から
図10において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両用バッテリパックの上下前後左右方向とし、車両の前後方向に対して直交する方向が左右方向、車両用バッテリパックの高さ方向が上下方向である。
【0012】
図1から
図10は、本発明の一実施例に係る空気流通装置を示す図である。
図1において、空気流通装置を備える車両用バッテリパック10は、車両1の車体2の後部のリヤフロアパネル2Aに形成された窪み部2Bに収容されている。窪み部2Bは、車両用バッテリパック10の全体をリヤフロアパネル2Aよりも低い位置に収容可能な形状に形成されている。なお、リヤフロアパネル2Aは、車体2の側面を構成するサイドパネル2Cと車体の後面を構成するリヤパネル2Dとによって荷室を形成している。
【0013】
車両用バッテリパック10は、
図2、
図3に破線で示すように、複数(本実施例では4つ)のバッテリモジュール11を内蔵している。バッテリモジュール11は本発明における電装品を構成している。
図3において、車両用バッテリパック10は、4つのバッテリモジュール11を覆うケース48を有している。
【0014】
図2において、車両用バッテリパック10は、バッテリモジュール11からの電力を変換するインバータ13と、バッテリモジュール11とインバータ13とを電気的に接続する図示しない切換部とを備えている。また、車両用バッテリパック10は、冷却用の空気を各部に供給するダクト50と、ダクト50に接続される冷却ファン12(
図1参照)とを備えている。
【0015】
図1において、車両用バッテリパック10はハウジング30を備えている。ハウジング30には、
図2に示すバッテリモジュール11、インバータ13、切換部およびダクト50が収容されている。
【0016】
図2、
図3において、バッテリモジュール11は、車幅方向に並べて配置されている。各バッテリモジュール11は、複数のセルを電気的に接続した組電池からなる。バッテリモジュール11は、ハウジング30における車幅方向の中央部から右側の領域に配置されている。そして、ハウジング30における車幅方向の左側の領域には、インバータ13等を配置する空間が形成される。
【0017】
図1において、冷却ファン12は、ハウジング30の左後端部の上面に配置されており、ハウジング30の外部から空気を取り込み、取り込んだ空気をダクト50(
図2参照)に供給する。
図2において、ダクト50は、冷却ファン12と接続される上流側ダクト51と、この上流側ダクト51から分岐してインバータ13に向かって前方に延びる電装部品冷却ダクト60と、上流側ダクト51から分岐してバッテリケース20の後面に沿って右方に延びるバッテリ冷却ダクト70とを有している。
【0018】
冷却ファン12から上流側ダクト51に供給された空気は、電装部品冷却ダクト60とバッテリ冷却ダクト70とに分岐して流れる。上流側ダクト51から電装部品冷却ダクト60に流れ込んだ空気はインバータ13に供給され、インバータ13を冷却する。上流側ダクト51からバッテリ冷却ダクト70に流れ込んだ空気はバッテリケース20の上面から各バッテリモジュール11(
図2、
図3参照)の内部に供給され、バッテリモジュール11を冷却する。このように、冷却ファン12は、空気を外部から吸気してダクト50の内部に供給する吸気ファンとして機能している。
【0019】
なお、冷却ファン12が備える図示しないモータを吸気時とは逆方向に回転させて冷却ファン12を逆転させ、冷却ファン12を排気ファンとして機能させるようにしてもよい。また、本実施例では冷却ファン12がダクト50の上流端部に接続されているが、冷却ファン12の位置は必ずしもダクト50の上流端部に限定されるものではなく、例えばダクト50の途中または下流端部に冷却ファン12が配置されていてもよい。
【0020】
なお、本実施例では、電装部品を冷却するための冷媒として空気を用いているが、冷媒として冷却水のような流体を用いてもよい。この場合、電装部品は、内部に流体が侵入しないように一部に放熱部材を含む部材で密閉した状態となるように構成し、放熱部材に冷却水を接触させ、放熱部材を介して電装部品を冷却してもよい。
【0021】
ダクト50の電装部品冷却ダクト60は、車両前後方向に延びる前後方向延伸部61を有している。また、電装部品冷却ダクト60は、前後方向延伸部61と接続され、並び方向におけるインバータ13と切換部14との間に配置される車幅方向延伸部62を有している。
図3に示すように、背面図において、前後方向延伸部61は四角形の形状を有しており、この前後方向延伸部61の前端部から車幅方向の左方かつ下方に延出している部分が車幅方向延伸部62となる。
【0022】
図2、
図3において、車幅方向延伸部62は、その下部に空気通路形成部材45を有している。空気通路形成部材45はダクト50の車幅方向延伸部62の一部である。空気通路形成部材45は、インバータ13の下面との間で空気通路を構成している。また、インバータ13は、その下面に図示しないヒートシンクを有している。このため、車幅方向延伸部62から空気通路形成部材45により形成された空気通路に供給された空気は、インバータ13のヒートシンクとの間で熱交換を行い、インバータ13を冷却する。
【0023】
バッテリ冷却ダクト70は、バッテリモジュール11の後端部の上部の近傍において車幅方向に延伸する分配ダクト100と、この分配ダクト100から各バッテリモジュール11の上面に沿って前方に分岐する4つの分岐ダクト72とを有している。分岐ダクト72は、分配ダクト100と一体で形成されており、各バッテリモジュール11の上面との間に冷却用の空気の流路を形成している。分配ダクト100は本発明における流路形成部材を構成している。
【0024】
図4、
図5、
図6において、分配ダクト100は、延伸方向の一方側に配置される1つの吸気口101を有しており、この吸気口101は上流側ダクト51に連通している。吸気口101は本発明における第1開口部を構成している。吸気口101には、冷却ファン12から送風される空気が上流側ダクト51を介して導入される。本実施例では分配ダクト100の延伸方向は車幅方向となっており、延伸方向の一方側は車幅方向の左端部である。
【0025】
分配ダクト100は、延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する4つの排気口111、112、113、114を有している。排気口111、112、113、114は本発明における第2開口部を構成している。本実施例では、排気口111、112、113、114は、延伸方向と直角に交差するように前方に向けて開口している。そのため、交差方向(第1交差方向)とは車両前後方向であり、交差方向の一方側は前方側である。排気口111、112、113、114は、4つの分岐ダクト72にそれぞれ連通している。吸気口101から分配ダクト100に導入された空気は、分配ダクト100内を延伸方向に流れる。つまり、分配ダクト100は、延伸方向に流れる冷媒の流路を延伸方向と交差する交差方向に変更する流路変更手段として機能する。また、吸気口101から分配ダクト100に導入された空気は、分配ダクト100内で各排気口111、112、113、114に向かって均等の量になるように分配され、各排気口111、112、113、114から各分岐ダクト72に導入される。つまり、分配ダクト100は、吸気口101から導入された冷媒を、排気口111、112、113、114のような所定の排気領域に分配する冷媒分配手段として機能する。
【0026】
分配ダクト100は、排気口111、112、113、114に対して交差方向の他方側(後方側)に対向する対向部120を有している。対向部120は、分配ダクト100の後面を構成している。
【0027】
図4において、分配ダクト100は、複数(本実施例では4つ)の対向傾斜部121、122、123、124を有している。対向傾斜部121、122、123、124は、対向部120に設けられており、延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向で排気口111、112、113、114側(交差方向の一方側)へ近づくように、交差方向に直交する平面に対して傾斜し、流路の幅(以下、流路幅ともいう)を狭めている。対向傾斜部121、122、123、124は、延伸方向に並んで配置されている。
【0028】
なお、対向傾斜部121、122、123、124は、第1交差方向で分配ダクト100の流路幅を排気口111、112、113、114側へ徐々に狭める構成であれば、その一部を、延伸方向に対する傾斜量を一定、つまり直線状にしたり、延伸方向に対する傾斜量を徐々に大きくして湾曲させたり、延伸方向に対する傾斜量を徐々に小さくしてもよい。つまり、対向傾斜部121、122、123、124の傾斜度合は、分配ダクト100に流れる冷媒の流路変更量や排気領域への冷媒分配量に応じて適宜調整することができる。
【0029】
また、本実施例では、対向傾斜部121、122、123、124は、分配ダクト100の壁面を構成する対向部120自体によって形成しているが、対向部120とは別部材として対向部120の内面に固定してもよい。
【0030】
なお、本実施例では、分配ダクト100が4つの排気口111、112、113、114を備えているが、排気口の数は4つに限定されるものではない。例えば、分配ダクト100が流路断面積の小さな数十個の排気口を備える構成、または流路断面積の大きな1つの排気口を備える構成であってもよい。分配ダクト100が1つの排気口を備えるように構成した場合、その排気口における車幅方向の全ての箇所または排気口における複数の排気領域の各々に通過する空気量が均等になるように、分配ダクト100内で空気が分配される。分配ダクト100が1つの排気口を備える例として、分配ダクト100が、その延伸方向とこれに直交する方向の両方向を含む平面の全体にわたって開口する大きな開口部を有し、この開口面に冷却対象を隣り合わせて配置する構成が挙げられる。上記で述べた複数の排気領域の例としては、排気口111、112、113、114と第1交差方向で対面する位置に複数の電装部品を延伸方向に所定の間隔で並べて配置し、各電装部品同士の間を排気領域とすればよい。
【0031】
対向傾斜部121、122、123の交差方向の排気口111、112、113側の一端部121A、122A、123Aは、延伸方向の他方側に近づくほど交差方向で排気口111、112、113に近い側(交差方向の一方側)に配置されている。
【0032】
詳しくは、対向傾斜部121の排気口111側の一端部121Aよりも、延伸方向の他方側に近い対向傾斜部122の排気口112側の一端部122Aが、前方に配置されている。また、対向傾斜部122の排気口112側の一端部122Aよりも、延伸方向の他方側に近い対向傾斜部123の排気口113側の一端部123Aが、前方に配置されている。
【0033】
図10において、排気口111、112、113、114は、分配ダクト100の延伸方向に複数並んで設けられている。また、排気口111、112、113は、対向傾斜部121、122、123の傾斜面を仮想的に延長した仮想延長線121C、122C、123C上にそれぞれ配置されている。
【0034】
詳しくは、排気口111は、対向傾斜部121の仮想延長線121C上に配置され、排気口112は、対向傾斜部122の仮想延長線122C上に配置され、排気口113は、対向傾斜部123の仮想延長線123C上に配置されている。
【0035】
言い換えると、対向傾斜部121、122、123は、対応する排気口111、112、113に向かって空気の流れ方向を延伸方向から変更するように傾斜している。
【0036】
なお、対向傾斜部121、122、123、124の傾斜面は、略直線状に形成されているが、延伸方向の他方側から一方側に近づくに連れて徐々に流路幅を小さくする形状であればよい。例えば、傾斜面の傾斜角度の変化量を徐々に大きくしたり、傾斜面の傾斜角度の変化量を徐々に小さくするなどの態様で、傾斜面の傾斜度合(変化量)を変化させてもよい。
【0037】
図9において、分配ダクト100は、排気口111、112、113、114の間を仕切る仕切部150、151、152を有している。仕切部150は排気口111と排気口112の間を仕切っており、仕切部151は排気口112と排気口113の間を仕切っており、仕切部152は排気口113と排気口114の間を仕切っている。
【0038】
仕切部150の排気口112側の後端部には傾斜部150Aが設けられ、仕切部152の排気口114側の後端部には傾斜部152Aが設けられている。これらの傾斜部150A、152Aは、分配ダクト100内を流れる空気のうち、仕切部150、152に沿って延伸方向に流れる空気を、排気口112、114にそれぞれ案内するように機能する。
【0039】
排気口111、112、113、114は、延伸方向に間隔A1、A2、A3を隔ててそれぞれ配置されている。詳しくは、排気口111と排気口112とは、延伸方向に間隔A1を隔てて配置され、排気口112と排気口113とは、延伸方向に間隔A2を隔てて配置され、排気口113と排気口114とは、延伸方向に間隔A3を隔てて配置されている。
【0040】
対向傾斜部121、122、123は、仮想延長線121C、122C、123C上に配置される排気口111、112、113、114よりも延伸方向の一方側に配置されている。詳しくは、対向傾斜部121は、仮想延長線121C上に配置される排気口111よりも延伸方向の一方側に配置され、対向傾斜部122は、仮想延長線122C上に配置される排気口112よりも延伸方向の一方側に配置され、対向傾斜部123は、仮想延長線123C上に配置される排気口113よりも延伸方向の一方側に配置されている。
【0041】
分配ダクト100は、対向傾斜部121、122、123、124の一端部121A、122A、123Aと、対向傾斜部121、122、123に延伸方向に隣り合う対向傾斜部121、122、123、124の他端部122B、123B、124Bと、を接続する接続部125、126、127を有する。
【0042】
詳しくは、分配ダクト100は、対向傾斜部121の一端部121Aと、この対向傾斜部121に延伸方向に隣り合う対向傾斜部122の他端部122Bとを接続する接続部125を有する。また、分配ダクト100は、対向傾斜部122の一端部122Aと、この対向傾斜部122に延伸方向に隣り合う対向傾斜部123の他端部123Bと、を接続する接続部126を有する。
【0043】
また、分配ダクト100は、対向傾斜部123の一端部123Aと、この対向傾斜部123に延伸方向に隣り合う対向傾斜部124の他端部124Bと、を接続する接続部127を有する。
【0044】
これらの接続部125、126、127は、延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向の一方側から他方側に傾斜する傾斜面を有する。この傾斜面は、直線状に形成されているが、交差方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向の一方側から他方側に徐々に傾斜している。そして、接続部125、126、127は、延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向の一方側(前方側)から他方側(後方側)へ徐々に流路の幅を広げている。
【0045】
なお、流路形成部材としての分配ダクト100は、本実施例では1つの部材で構成しているが、流路を形成する壁面の一部をバッテリケース20の壁面や他の部材の側面を利用して構成してもよい。
【0046】
図4、
図5、
図6において、分配ダクト100は、延伸方向で他方側に近づくに連れて交差方向で排気口111、112、113、114側に近づくように傾斜する第1傾斜面131および第2傾斜面132を有する。第1傾斜面131および第2傾斜面132は、本発明における第1傾斜部を構成している。なお、第1傾斜面131は、分配ダクト100における排気口111側の面だけでなく、この面と反対側の面である対向部120側の面にも設けられている。
【0047】
第1傾斜面131および第2傾斜面132は、交差方向で排気口111、112、113、114に近づくに連れて延伸方向および交差方向に直交する直交方向(高さ方向)で排気口111、112、113、114に近づくように傾斜している。
【0048】
なお、第1傾斜面131および第2傾斜面132は、交差方向を第1交差方向としたとき、延伸方向および第1交差方向と交差する交差方向(第2交差方向)で排気口111、112、113、114に近づくように傾斜させてもよい。
【0049】
第1傾斜面131は、延伸方向の一方側に位置している。第2傾斜面132は、第1傾斜面131よりも延伸方向の他方側に位置し第1傾斜面131よりも直交方向に対する傾斜角が小さく設定されている。
【0050】
第2傾斜面132は、第1傾斜面131よりも延伸方向の寸法が長く、かつ、延伸方向で他方側に近づくに連れて交差方向の幅が小さくなるように形成されている。
【0051】
分配ダクト100は、第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも延伸方向の他方側かつ交差方向の排気口111、112、113、114と反対側に、対向傾斜部121、122、123、124に連続する第3傾斜面133および第4傾斜面134を有している。第3傾斜面133および第4傾斜面134は、本発明における第2傾斜部を構成している。
【0052】
第3傾斜面133および第4傾斜面134は、延伸方向および交差方向に直交する直交方向(高さ方向)に対する傾斜角度が第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも小さく設定されている。
【0053】
ここで、対向傾斜部121、122、123、124、第1傾斜部、第2傾斜部は、本発明における傾斜部を構成している。対向傾斜部121、122、123、124、第1傾斜部、第2傾斜部の少なくとも一部は、弧状であってもよい。傾斜面が弧状である場合、傾斜度合を変化させる方法として、傾斜面の曲率半径を変化させてもよい。例えば、ある傾斜面の曲率半径を他の傾斜面の曲率半径よりも大きく、または小さくすればよい。また、第1傾斜部、第2傾斜部を総称して直交傾斜部としたとき、この直交傾斜部を3つ以上設けるようにしてもよい。
【0054】
なお、本実施例では、分配ダクト100に関する延在方向、交差方向および直交方向は、車両1との関係では車幅方向、車両前後方向、高さ方向であるが、分配ダクト100およびこの分配ダクト100を含むダクト50の車両1への搭載姿勢は、種々の態様と取り得るものである。また、分配ダクト100は、車両1への搭載姿勢がどのような状態であっても、実施可能かつ同様の作用効果を奏する。したがって、延在方向、交差方向および直交方向は、本実施例で例示した車幅方向、車両前後方向、高さ方向に限定されるものではない。
【0055】
図6において、バッテリ冷却ダクト70における分配ダクト100と分岐ダクト72との境界部分の下面には、上方に窪む位置決め用の凹部140が形成されている。
【0056】
図8において、吸気口101の上下方向の寸法をD1とし、排気口111、112、113、114の上下方向の寸法をD2とする。また、
図5の第1傾斜部としての第1傾斜面131および第2傾斜面132の上下方向の寸法を
図8に示すようにD3とし、
図5の第2傾斜部としての第3傾斜面133および第4傾斜面134の上下方向の寸法を
図8に示すようにD4とする。このとき、D1≧D2+D3、D1≧D2+D4の関係が成立している。
【0057】
排気口111、112、113、114は、第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも直交方向の一方側(上方)に位置している。このため、吸気口101の第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも高い位置から流れる空気を延伸方向下流側に流れやすくしつつ、吸気口101の下方から流れる空気を第1傾斜面131や第2傾斜面132を介して延伸方向の上流側に位置する排気口112、113、114に流すことができる。
【0058】
図5の第1傾斜面131のダクト延伸方向の寸法を
図7に示すようにL1とし、
図5の第2傾斜面132のダクト延伸方向の寸法を
図7に示すようにL2とし、
図5の第3傾斜面133のダクト延伸方向の寸法を
図7に示すようにL3とし、
図5の第4傾斜面134のダクト延伸方向の寸法を
図7に示すようにL4とする。このとき、L1<L2、L3<L4、L1+L2>L3+L4の関係が成立している。L1<L2およびL3<L4、とすることにより、第1傾斜面131および第3傾斜面133を分配ダクト100の延伸方向の長さの半分の位置より吸気口101側に設定することができる。また、L1+L2>L3+L4とすることにより、延伸方向において、第2傾斜面132と第4傾斜面134の後端の位置を揃えつつ、第1傾斜面131の先端の位置を第3傾斜面133の先端の位置よりも吸気口101に近い位置に配置することができる。
【0059】
図10のダクト延伸方向(車幅方向)に対する対向傾斜部121の一端部から排気口111のダクト延伸方向の一端部に向かう角度を
図9に示すようにQaとし、
図10のダクト延伸方向に対する対向傾斜部121の一端部から排気口111のダクト延伸方向の他端部に向かう角度を
図9に示すようにQbとし、
図10のダクト延伸方向に対する対向傾斜部121の仮想延長線121Cに沿う方向の角度を
図9に示すようにQ1とする。このとき、Qa<Q1<Qbの関係が成立している。このような関係が成立していることにより、対向傾斜部121の仮想延長線121Cが排気口112を通過する。このため、対向傾斜部121に沿って流れる空気を排気口112に導くことができる。
【0060】
また、
図10の対向傾斜部121、122、123の延伸方向に対する角度を
図9に示すようにそれぞれθ1、θ3、θ5とし、
図10の接続部125、126、127の延伸方向に対する角度を
図9に示すようにそれぞれθ2、θ4、θ6とする。このとき、θ3>θ2、θ3>θ4、θ5>θ4、θ5>θ6の関係が成立している。
【0061】
ここで、θ1については、対向傾斜部121の仮想延長線121Cを排気口111と重なるように配置することで、対向傾斜部121に沿って流れて対向傾斜部121から剥離した空気が、吸気口101側へ流入させやすくなる。
【0062】
さらに、吸気口101の直交方向の寸法D1を排気口111の寸法D2よりも大きくしつつ、排気口111よりも直交方向でオフセットした位置(低い位置)に第1傾斜部を構成する第1傾斜面131を設け、θ1の角度を対向傾斜部121の仮想延長線122Cを直交方向から見て第1傾斜面131と重なるように設定している。
【0063】
これにより、吸気口101から分配ダクト100内に流すことができる空気量を増やしつつ、対向傾斜部121に沿って流れ対向傾斜部21から剥離する空気のうち、排気口111と直交方向でオフセットした位置(低い位置)に流れる空気を、第1傾斜面131を介して第1排気口111に導くことができる。
【0064】
これにより、より一層、他の排気口112、113、114よりも吸気方向上流側つまり延伸方向の一端側に配置されることで空気が流入しにくい第1排気口111へ流入する空気の量を増やすことができる。
【0065】
また、θ3については、対向傾斜部122と第2傾斜部の第3傾斜面133が隣接して配置されることにより、分配ダクト100の流路幅が、交差方向および直交方向の両方向から延伸方向の一方側から他方側に近づくにつれて狭くなる。これにより、対向傾斜部122に沿って流れる空気の流速が高まって、対向傾斜部122に沿って流れ対向傾斜部122から剥離して第2排気口112に流れやすくしている。
【0066】
ただし、対向傾斜部122に沿って流れて対向傾斜部122から剥離する空気が流れ過ぎて、第3排気口第3に導かれる空気量が減少し過ぎないように、θ1>θ3に設定して、対向傾斜部123から剥離する空気を調整(制限)している。
【0067】
さらに、θ2>θ4に設定しているので、対向傾斜部121に沿って流れる空気よりも対向傾斜部122に沿って流れる空気のほうが剥離しにくくなって、対向傾斜部123から剥離する空気を調整・制限している。
【0068】
さらに本実施例では、仮想延長線122Cが直交方向から見て第2排気口112における延伸方向の他端側に位置しつつ、直交方向から見て仮想延長線122Cと第1傾斜部を構成する第2傾斜面132を交差させているので、対向傾斜部122から剥離した空気の一部が延伸方向の他方側に流れやすくしている。
【0069】
また、θ5については、排気口114は、延伸方向の最下端に位置するために他の排気口111、112、114よりも空気が流れやすい。このため、θ3<θ5に設定することにより、対向傾斜部123に沿って流れる空気を排気口113に流れやすくしている。
【0070】
また、D1~D4については、D1≧D2+D3を満たすことにより、延伸方向に流れる空気のうち、分配ダクト100内で排気口と直交方向でずれた位置に流れる空気を、第1傾斜部を構成する第1傾斜面131、第2傾斜面132によって、排気口111に導くことができ、排気口111に流れる空気量を増やすことができる。
【0071】
また、D1≧D2+D4を満たすことにより、延伸方向に流れる空気のうち、分配ダクト100内で排気口112、113、114と直交方向でずれた位置に流れる空気を第1傾斜部を構成する第1傾斜面131、第2傾斜部を構成する第3傾斜面133、第4傾斜面134によって、各排気口112、113、114へ導くことができ、これらに流れるダクトに流入する空気量を増やすことができる。
【0072】
また、第1傾斜面131の傾斜角X1は、第2傾斜面の傾斜角度X2よりも大きく設定されている。第3傾斜面133の傾斜角Y1は、第4傾斜面134の傾斜角度Y2よりも大きく設定されている。第1傾斜面131の傾斜角X1は、第3傾斜面133の傾斜角Y1よりも大きく設定されている。第4傾斜面134の傾斜角度Y2は、第2傾斜面132の傾斜角度Y1よりも大きく設定されている。
【0073】
第1傾斜部と第2傾斜部との関係については、第1傾斜部は、第2傾斜部よりも延伸方向の一方側かつ交差方向の一方側に配置されており、第1傾斜面131の交差方向における寸法は、第3傾斜面133の交差方向における寸法より小さく設定されている。
【0074】
以上説明したように、本実施例において、分配ダクト100は、延伸方向の一方側に連通する吸気口101と、延伸方向と交差する交差方向の一方側に開口する排気口111、112、113、114と、排気口111、112、113、114に対して交差方向の他方側に対向する対向部120と、対向部120に設けられ、延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向で排気口111、112、113、114側へ近づくように流路の幅を狭める複数の対向傾斜部121、122、123、124と、を有する。また、複数の対向傾斜部121、122、123、124は、延伸方向に並んで配置されている。
【0075】
これにより、吸気口101から分配ダクト100内に送り込まれた空気を、
図10に矢印で示すように、複数の対向傾斜部121、122、123、124に沿う方向に導くことができ、各対向傾斜部121、122、123、124の位置または傾斜角度等に応じた所望の量の空気を、排気口111、112、113、114に案内することができる。
【0076】
この結果、複数のバッテリモジュール11に供給する空気を所望の流量に調整でき、バッテリモジュール11の出力特性を高めることができる。
【0077】
本実施例において、対向傾斜部121、122、123、124の交差方向の一方側(排気口111、112、113、114側)の一端部121A、122A、123Aは、延伸方向の一方側に隣接する他の一端部よりも、交差方向の一方側(排気口111、112、113、114に近い側)に配置されている。
【0078】
これにより、延伸方向の他端部に近づくほど対向傾斜部121、122、123、124の周辺の空気密度が延伸方向の一端部側よりも高くなる。このため、吸気口101から分配ダクト100内に取り込まれた空気が、延伸方向の他方側の排気口111、112、113、114よりも空気密度の低い一方側の排気口111、112、113、114に流れやすくなるので、一方側の排気口111、112、113、114に流れる空気量を増やすことができる。
【0079】
本実施例において、排気口111、112、113、114は、延伸方向に複数並んで設けられており、対向傾斜部121、122、123、124の傾斜面を仮想的に延長した仮想延長線121C、122C、123C上に排気口111、112、113、114が配置されている。
【0080】
これにより、排気口111、112、113、114毎に各対向傾斜部121、122、123、124によって冷却空気を導くことができ、排気口111、112、113、114毎の冷却空気の流量を調整できる。
【0081】
本実施例において、複数の排気口111、112、113、114は、延伸方向に間隔A1、A2、A3を隔ててそれぞれ配置されており、対向傾斜部121、122、123、124は、仮想延長線121C、122C、123C上に配置される排気口111、112、113、114よりも延伸方向の一方側に配置されている。
【0082】
これにより、各排気口111、112、113、114よりも延伸方向の一方側から対向傾斜部121、122、123、124が傾斜を開始するので、対向傾斜部121、122、123、124の傾斜角度を大きくすることなく各排気口111、112、113、114に空気を導入できる。
【0083】
このため、対向部120における対向傾斜部121、122、123、124の延伸方向の他方側の壁面から空気が剥離することを防止できる。また、対向傾斜部121、122、123、124の傾斜角度を大きくした場合の対向傾斜部121、122、123、124への空気の衝突による空気の流速低下を抑制しつつ、各排気口111、112、113、114に空気を導くことができる。
【0084】
本実施例において、分配ダクト100は、対向傾斜部121、122、123、124の一端部121A、122A、123Aと、対向傾斜部121、122、123に延伸方向に延伸方向の他方側に隣り合う対向傾斜部121、122、123、124の他端部122B、123B、124Bと、を接続する接続部125、126、127を有する。そして、接続部125、126、127は、延伸方向の一方側から他方側に近づくに連れて交差方向の一方側(前方側)から他方側(後方側)へ徐々に流路の幅を広げている。
【0085】
これにより、吸気口101から分配ダクト100に取り込まれた空気を、延伸方向の他方側に隣り合う対向傾斜部121、122、123、124の間で、壁面から剥離することなく接続部125、126、127に沿って滑らかに流すことができる。このため、各排気口111、112、113、114に流れ込む冷却空気の流速を速めることができる。
【0086】
本実施例において、分配ダクト100は、延伸方向で他方側に近づくに連れて交差方向で排気口111、112、113、114側に近づくように傾斜する第1傾斜部としての第1傾斜面131および第2傾斜面132を有する。
【0087】
これにより、複数の排気口111、112、113、114のうち、第1傾斜部に近い側の領域に多くの空気を導くことができる。
【0088】
本実施例において、第1傾斜部としての第1傾斜面131および第2傾斜面132は、交差方向で排気口111、112、113、114に近づくに連れて延伸方向および第1交差方向に交差する第2交差方向(第1交差方向と直交する直交方向つまり本実施例の高さ方向)で排気口111、112、113、114に近づくように傾斜し、流路の幅を徐々に狭めている。
【0089】
これにより、分配ダクト100内を延伸方向の他方側に流れる空気を第1傾斜面131および第2傾斜面132に沿って上方の排気口111、112、113、114側に導くことができる。
【0090】
本実施例において、第1傾斜部は、延伸方向の一方側に位置する第1傾斜面131と、第1傾斜面131よりも延伸方向の他方側に位置し第1傾斜面131よりも直交方向に対する傾斜度合(傾斜角度または傾斜角度の変化量)の小さい第2傾斜面132と、を有する。
【0091】
これにより、分配ダクト100内の延伸方向の一方側では交差方向で排気口111、112、113、114側に空気が流れにくいが、第2傾斜面132よりも傾斜角度の大きい第1傾斜面131を設けたことにより空気を排気口111、112、113、114側へ流れやすくできる。
【0092】
また、分配ダクト100内の延伸方向の他方側では交差方向で排気口111、112、113、114側に空気が流れやすいため、傾斜角度の小さい第2傾斜面132を設けることによって排気口111、112、113、114への向かう空気の量を抑制することができる。
【0093】
したがって、延伸方向の一方側と他方側との間で、排気口111、112、113、114に導かれる空気の流量差を小さくすることができる。
【0094】
本実施例において、第2傾斜面132は、第1傾斜面131よりも延伸方向の寸法が長く、かつ、延伸方向で他方側に近づくに連れて交差方向における流路の幅が小さくなるように形成されている。
【0095】
これにより、複数の排気口111、112、113、114のうち、空気流れ方向の上流側である延伸方向の一方側に位置する排気口ほど、その排気口に導かれる空気の流量を大きくすることができる。
【0096】
本実施例において、分配ダクト100は、第1傾斜部としての第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも延伸方向の他方側かつ交差方向の排気口111、112、113、114と反対側に、対向傾斜部121、122、123、124に連続する第2傾斜部としての第3傾斜面133および第4傾斜面134を有している。
【0097】
また、第2傾斜部としての第3傾斜面133および第4傾斜面134は、第1傾斜部としての第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも延伸方向の他方側かつ交差方向の排気口111、112、113、114よりも他方側に設けられている。そして、第3傾斜面133および第4傾斜面134は、延伸方向および交差方向に直交する直交方向(高さ方向)に対する傾斜度合(傾斜角度または傾斜角度の変化量)が第1傾斜面131および第2傾斜面132よりも小さく設定されている。
【0098】
これにより、複数の対向傾斜部121、122、123、124による圧損によって空気の流速が低下することを抑制することができる。
【0099】
また、分配ダクト100の対向部120自体を凹凸形状にして対向傾斜部121、122、123、124および接続部125、126、127を形成しているので、他端部122B、123B、124Bにおいて後方に突出した形状であるため、分配ダクト100が対向部120側から衝撃を受けたときに他端部122B、123B、124Bが弾性的に変形しながら衝突荷重を受け止めることができる。このため、分配ダクト100に対する衝撃エネルギーを変形エネルギーとして吸収することができる。
【0100】
また、本実施例によれば、分配ダクト100の対向部120自体を凹凸形状にして対向傾斜部121、122、123、124および接続部125、126、127を形成しているので、対向部120の後面が対向傾斜部121、122、123、124を含む複数の面から構成されているため、複数の面ごとに面振動が発生するため、対向部120の面振動を小さくすることができる。
【0101】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0102】
1...車両、11...バッテリモジュール(電装品)、101...吸気口(第1開口部)、111,112,113,114...排気口(第2開口部)、120...対向部、121,122,123,124...対向傾斜部、121A,122A,123A...一端部、121C,122C,123C...仮想延長線、122B,123B,124B...他端部、125,126,127...接続部、131...第1傾斜面(第1傾斜部)、132...第2傾斜面(第1傾斜部)、133...第3傾斜面(第2傾斜部)、134...第4傾斜面(第2傾斜部)