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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】医療用排液受け部材
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20240109BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61M1/36 123
A61M1/16 185
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019154340
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021029704
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】今井 智則
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-013371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0115363(US,A1)
【文献】特開2019-68950(JP,A)
【文献】特開平10-82082(JP,A)
【文献】特開平7-275272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16、36
A61G 15/00-18
A61C 17/00
B08B 3/00-14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入された排液を受けて流出させる医療用排液受け部材であって、
排液を流出させる排液流出口と、前記排液流出口側に下る直線状の底部側直線状傾斜部分と、を有する底部と、
前記底部の外周縁から立ち上がる周壁部と、
前記周壁部における前記底部側の端部に形成され前記周壁部の側方から前記周壁部の内面に沿うように洗浄液を流入させる洗浄液流入部と、を備え
前記洗浄液流入部は、前記周壁部の内面から内側に突出して形成される突出部と、前記突出部に形成され前記周壁部の内面の接線方向に平行な方向に開口する吐出口と、を有し、
前記吐出口は、前記周壁部の内面から内側に離れた位置において開口する医療用排液受け部材。
【請求項2】
前記底部側直線状傾斜部分の水平面に対する角度は、45°以下である請求項1に記載の医療用排液受け部材。
【請求項3】
前記周壁部は、直線状の周壁部側直線状部分を有し、
前記周壁部と前記底部とにより形成される角部は、前記周壁部側直線状部分と前記底部側直線状傾斜部分とが繋がることで形成される請求項1又は2に記載の医療用排液受け部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排液を受けて流出させる医療用排液受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腎機能不全の患者に対して、その患者の血液を浄化するために、透析治療が行われている。透析治療においては、採取した患者の血液を体外循環させて再び体内に戻すための血液回路が用いられる。血液回路は、血液を浄化するダイアライザに患者から血液を送る動脈側ラインと、ダイアライザで浄化された血液を患者に戻すための静脈側ラインと、を主体として構成される。
【0003】
静脈側ラインには、ラインに混入した気泡や凝固した血液等を除去するため、また、静脈圧を測定するため、一定量の血液を貯留するチャンバが設けられる。チャンバにおいては、チャンバ内の上部に空気層を形成するため、血液等の液体の液面高さを調整する液面調整が行われる。
【0004】
血液回路に血液を流して血液浄化を開始する前には、生理食塩水、透析液等のプライミング液を用いて血液回路やダイアライザ内部を洗浄して残留物や気泡等を除去し、プライミング液で置換するプライミングと呼ばれる準備作業を行う。
【0005】
現在では、多用途透析装置等にて、自動的にプライミングを実施する自動プライミング機能を備える血液浄化装置が一般的となっている。
自動プライミングを可能とするため、チャンバには所定の液面高さでプライミング液を排出できるようにオーバーフローラインが接続されており、オーバーフローラインからプライミング液を排出させて液面調整を行う構成がある。
【0006】
オーバーフローラインから排出されたプライミング液を、排液として受けて流出させる医療用の排液ポット(医療用排液受け部材)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の排液ポットは、薬液を充填して洗浄される。排液ポットの洗浄は、一般的には、手作業により薬液を投入することで行われている。
また、排液ポットは筒状に形成されおり、排水口を鉗子等で封止して内部に薬液を貯留することで、排液ポットの内面の全体を洗浄するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-50509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
排液ポットの内部の洗浄を、手作業により内部に薬液を投入することで行う場合に、洗浄作業に伴う作業者の作業負担が増大することになる。
また、排液ポットの内部の洗浄を、排出口を電磁弁等で封止して内部に薬液を貯留して行う場合に、電磁弁等の制御が必要となる。
そのため、排液ポットの洗浄を容易に行うことができることが望まれる。
【0009】
本発明は、排液ポットの洗浄を容易に行うことができる医療用排液受け部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、流入された排液を受けて流出させる医療用排液受け部材であって、排液を流出させる排液流出口と、前記排液流出口側に下る直線状の底部側直線状傾斜部分と、を有する底部と、前記底部の外周縁から立ち上がる周壁部と、前記周壁部における前記底部側の端部に形成され前記周壁部の側方から前記周壁部の内面に沿うように洗浄液を流入させる洗浄液流入部と、を備える医療用排液受け部材に関する。
【0011】
また、前記底部側直線状傾斜部分の水平面に対する角度は、45°以下であることが好ましい。
【0012】
また、前記周壁部は、直線状の周壁部側直線状部分を有し、前記周壁部と前記底部とにより形成される角部は、前記周壁部側直線状部分と前記底部側直線状傾斜部分とが繋がることで形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記洗浄液流入部は、前記周壁部の内面から内側に突出して形成される突出部と、前記突出部に形成され前記周壁部の内面の接線方向に平行な方向に開口する吐出口と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排液ポットの洗浄を容易に行うことができる医療用排液受け部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における血液浄化システムを示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る排液ポットを斜め上方側から視た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る排液ポットを上方側から視た斜視図である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5】ポット本体部からライン固定ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
図6図4のB-B線断面図である。
図7図2のC-C線断面図である。
図8】ライン固定部を示す斜視図である。
図9】排液ポットを上方側から視た図である。
図10】ライン固定部の縦断面図である。
図11図10のD-D線断面図である。
図12図10のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の排液ポット1(医療用排液受け部材)は、例えば、血液透析や血漿交換、吸着療法等の治療に用いられる血液を浄化する血液浄化システムに用いられる。
血液浄化システム100は、図1に示すように、ダイアライザ200と、排液ポット1と、動脈側血液ラインL3と、静脈側血液ラインL4と、洗浄液供給ラインL5と、第1薬液ラインL61と、第2薬液ラインL62と、透析液導入ラインL71と、排液排出ラインL72と、オーバーフローラインL8(排液ライン)と、ポット側排液ラインL9と、血液浄化装置10と、コンソール500と、を備える。コンソール500には、操作パネル510、クランプユニット520、動脈側血液ラインL3の一部、静脈側血液ラインL4の一部、第1薬液ポンプ531、第2薬液ポンプ532、洗浄液供給装置としての電磁弁533、接続カプラ560(動脈側カプラ561、静脈側カプラ562)、血液ポンプ540及び制御装置550が配置されている。
【0017】
動脈側血液ラインL3、静脈側血液ラインL4、オーバーフローラインL8及びポット側排液ラインL9は、いずれも液体が流通可能な可撓性を有するチューブを主体として構成される。
【0018】
ダイアライザ200は、血液と透析液との間で透析を行うことで血液を浄化する。
動脈側血液ラインL3は、患者から採取した血液が流通する。動脈側血液ラインL3は、上流側が患者の動脈に接続され下流側がダイアライザ200に接続される。動脈側血液ラインL3を流通した血液は、ダイアライザ200に供給される。動脈側血液ラインL3には、動脈側エアトラップチャンバ301が配置される。
【0019】
動脈側血液ラインL3の途中には、コンソール500が配置される。コンソール500において、動脈側血液ラインL3が通る部分には、クランプユニット520及び血液ポンプ540が配置される。
クランプユニット520は、動脈側血液ラインL3を構成するチューブ、及び静脈側血液ラインL4を構成するチューブをクランプして保持する。
血液ポンプ540は、動脈側血液ラインL3におけるクランプユニット520よりも下流側に配置される。血液ポンプ540は、動脈側血液ラインL3を構成するチューブをローラでしごくことにより、動脈側血液ラインL3の内部の血液やプライミング液等の液体を送り出す。
【0020】
第1薬液ラインL61は、血液透析中に必要な薬液を動脈側血液ラインL3に供給する。第1薬液ラインL61は、一端側(基端側)が薬液を送り出す第1薬液ポンプ531に接続され、他端側(先端側)が動脈側血液ラインL3における血液ポンプ540とダイアライザ200との間に接続される。
【0021】
第2薬液ラインL62は、血液透析中に必要な薬液を動脈側血液ラインL3に供給する。第2薬液ラインL62は、一端側(基端側)が薬液を送り出す第2薬液ポンプ532に接続され、他端側(先端側)が動脈側血液ラインL3における第1薬液ラインL61との接続部とダイアライザ200との間に接続される。
【0022】
静脈側血液ラインL4は、上流側がダイアライザ200に接続され下流側が患者の静脈に接続される。ダイアライザ200から排出された血液は、患者に戻される。静脈側血液ラインL4の途中には、静脈側エアトラップチャンバ401及びコンソール500が配置される。コンソール500において、静脈側血液ラインL4が通る部分には、クランプユニット520が配置される。
【0023】
オーバーフローラインL8は、一端側(基端側)が静脈側エアトラップチャンバ401に接続され、他端側(先端側)が排液ポット1に接続されている。オーバーフローラインL8は、プライミング工程において静脈側血液ラインL4を流通する生理食塩液、空気等を排液として、排液ポット1を介して外部に排出する。オーバーフローラインL8の途中には、オーバーフローラインクランプ402が配置される。オーバーフローラインクランプ402は、オーバーフローラインL8の流路を開閉する。排液ポット1の詳細については後述する。
【0024】
ポット側排液ラインL9は、一端側が排液ポット1の下端部に接続され、他端側が排液排出ラインL72(後述)の途中に接続されている。ポット側排液ラインL9は、排液排出ラインL72を介して、排液ポット1から排出される排液を外部に排出する。
【0025】
血液浄化システム100においては、透析液導入ラインL71を介して、透析液供給ラインL1及び透析液回収ラインL2に洗浄液を供給する以外に、電磁弁533が、後述する制御装置550により制御されることで、洗浄液供給ラインL5を介して、排液ポット1に洗浄液を供給し、透析液供給ラインL1及び透析液回収ラインL2に洗浄液を供給するだけでなく、排液ポット1も洗浄する。洗浄液供給ラインL5は、上流側の端部が透析液導入ラインL71に接続され、下流側の端部が排液ポット1に接続されている。電磁弁533は、洗浄液供給ラインL5の途中に設けられている。洗浄液は、図示しない洗浄液供給部から透析液導入ラインL71を介して血液浄化システム100に供給される洗浄液であり、例えば、次亜塩素酸ナトリウムである。
【0026】
血液浄化装置10は、透析液をダイアライザ200供給すると共に、ダイアライザ200において血液の浄化に用いられた透析液を回収して排出する。血液浄化装置10は、透析液容器110と、透析液導入ラインL71と、透析液供給ラインL1と、透析液回収ラインL2と、透析液回収容器120と、排液排出ラインL72と、を備える。透析液容器110、透析液供給ラインL1、透析液回収ラインL2及び透析液回収容器120は、コンソール500に配置される。
【0027】
透析液容器110は、透析液を収容する。
透析液導入ラインL71は、一端側が透析液供給装置(図示せず)に接続され、他端側が透析液容器110に接続される。透析液導入ラインL71は、透析液容器110に透析液を供給する。
【0028】
透析液供給ラインL1は、上流側が透析液容器110に接続され、下流側がダイアライザ200に接続される。透析液供給ラインL1には、ダイアライザ200に供給される透析液が流通する。透析液供給ラインL1は、上流側が透析液容器110に接続され、下流側が静脈側カプラ562を介してダイアライザ200に接続される。
【0029】
透析液回収ラインL2は、上流側が動脈側カプラ561を介してダイアライザ200に接続され、ダイアライザ200から排出される透析液が流通する。
透析液回収容器120は、透析液回収ラインL2の下流側に接続され、透析液回収ラインL2を流通して回収された透析液を貯留する。透析液回収容器120に貯留された透析液は、排液として、排液排出ラインL72を介して外部に排出される。
排液排出ラインL72は、基端側が透析液回収容器120に接続され、透析液回収容器120に貯留された透析液の排液を排出する。排液排出ラインL72の途中には、ポット側排液ラインL9の下流側の端部が接続される。
血液浄化システム100に含まれる各ラインには、必要に応じてポンプ、バルブ等が配置される。
【0030】
制御装置550は、情報処理装置(コンピュータ)により構成されており、制御プログラムを実行することにより、血液浄化システム100の動作を制御する。制御装置550は、以下に説明する各工程の制御プログラムを実行することにより、血液浄化システム100の動作を制御して運転する。具体的には、制御装置550は、動脈側血液ラインL3、静脈側血液ラインL4及び血液浄化装置10に配置された各種のポンプやクランプ等の動作を制御して、血液浄化システム100により行われる各種工程(プライミング工程、脱血工程、透析工程、補液工程、返血工程等)を実行する。
【0031】
プライミング工程は、血液回路20やダイアライザ200を洗浄し清浄化する準備工程である。
脱血工程は、穿刺後に患者の血液を血液回路20に充填させて体外循環させる工程である。
透析工程は、脱血工程に続いて行われ、血液を透析して浄化する工程である。
補液工程は、透析治療中において血圧低下時等に行う急速補液を行う工程である。
返血工程は、血液回路20内の血液を患者の体内に戻す工程である。
【0032】
また、制御装置550は、排液ポット1の内部を洗浄する場合に、電磁弁533を制御することで、洗浄液を排液ポット1に供給する動作を実行する。例えば、制御装置550は、透析工程の後に、洗浄液供給ラインL5を介して洗浄液を排液ポット1に供給して、排液ポット1の内部を洗浄する動作を実行するように、電磁弁533を制御する。
【0033】
排液ポット1について説明する。
図1に示すように、排液ポット1(医療用排液受け部材)は、オーバーフローラインL8を介して流入された排液を受けてポット側排液ラインL9に流出させる。
図2図4に示すように、排液ポット1は、ポット本体部2と、ライン固定ユニット3と、を備える。
【0034】
ポット本体部2は、底部21と、周壁部25と、排液排出部27と、洗浄液流入部28と、を有する。
【0035】
底部21は、ポット本体部2の下部に配置され、平面視で、外形が円形状に形成される。底部21は、排液流出口22と、湾曲傾斜面部23(落とし込み湾曲部分)と、底部側直線状傾斜面部24(底部側直線状傾斜部分)と、を有する。
【0036】
排液流出口22は、底部21の中央に形成され、円形状に開口する。排液流出口22は、底部21に受け止められた排液を、排液排出部27を介して、排液ポット1の外部に排出する。排液排出部27は、排液流出口22から下方に延びる円筒状に形成される。排液排出部27の下端部には、ポット側排液ラインL9(図1参照)が接続される。
【0037】
底部側直線状傾斜面部24は、底部21の径方向の外側に配置され、円環状に形成される。底部側直線状傾斜面部24は、排液流出口22側に下る直線状に形成される。底部側直線状傾斜面部24は、図4に示すように、縦断面視で、外側から内側に向かって下る直線状の下り傾斜で形成される。底部側直線状傾斜面部24は、外周縁が周壁部25の下端部に接続される。底部側直線状傾斜面部24は、縦断面視において、水平面に対して、傾斜角度αで配置される。例えば、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αは、45°以下であることが好ましく、25°以下であることがより好ましい。
【0038】
例えば、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αは、排液ポット1の洗浄時において排液ポット1の内部に洗浄液を貯留させた状態で周壁部25の内面の洗浄を行うが、底部21の傾斜角度を小さくすることで、排液ポット1に流入された洗浄液の流出速度を低減でき、洗浄液の流出速度と流入速度とのバランスを考慮して設定することで、排液ポット1における流通時間を調整できる。例えば、洗浄液の流入速度は、排液ポット1の内部に洗浄液を貯留させるため、洗浄液の流出速度以上に設定される(洗浄液の流入速度≧洗浄液の流出速度)。
【0039】
湾曲傾斜面部23は、図3及び図4に示すように、底部21の径方向の底部側直線状傾斜面部24と排液流出口22との間に形成され、排液流出口22の周縁に沿って円環状に形成される。湾曲傾斜面部23は、底部21の径方向の外側から内側に向かうに従って傾斜が急になる下り傾斜で、斜め上方側に凸となる湾曲面形状に形成される。
【0040】
周壁部25は、図3及び図4に示すように、底部21の外周縁から立ち上がる円筒状に形成される。周壁部25の上方側は開放して形成される。周壁部25は、縦断面視において、直線状の周壁部側直線状部分251を有する。周壁部25と底部21の交差部分には、角部20aが形成される。周壁部25と底部21とにより形成される角部20aは、周壁部側直線状部分251と底部側直線状傾斜面部24とが繋がることで形成される。つまり、角部29aは、直線状の部分が繋がることで、先端が、R(アール)を有さずに形成されている。ここで、角部29aの先端がR(アール)を有さずに形成されるとは、意図して形成したR(アール)を有さなければよく、R(アール)を全く有さない場合や、意図せず形成された僅かな欠けや僅かなR(アール)を有する場合を含む。
【0041】
図5に示すように、周壁部25の上端部の外周面には、ライン固定ユニット取付部26が形成される。ライン固定ユニット取付部26には、ライン固定ユニット3(後述)が回転可能に取り付けられる。ライン固定ユニット3には、オーバーフローラインL8の先端が固定される。ライン固定ユニット3に固定されたオーバーフローラインL8は、排液ポット1の周壁部25の内部に排液を流入させる。
【0042】
ライン固定ユニット取付部26は、図5に示すように、外周取付溝261と、3つの導入凹部262と、を有する。
外周取付溝261は、周壁部25の上端部の外周面において、周壁部25の周方向の全域に溝状に形成される。外周取付溝261には、後述するライン固定ユニット3の3つの嵌合凸部313が取り付けられ、外周取付溝261は、ライン固定ユニット3の3つの嵌合凸部313を周方向に移動可能にガイドする。
【0043】
3つの導入凹部262は、周壁部25の上端部の外周面において、周方向に離間して形成され、軸方向に凹状に延びており、外周取付溝261に連通する。3つの導入凹部262には、後述するライン固定ユニット3の3つの嵌合凸部313が挿入されることで、ライン固定ユニット3の3つの嵌合凸部313は、外周取付溝261に導入される。
【0044】
洗浄液流入部28は、図6及び図7に示すように、筒状に形成され、周壁部25における底部21側の下端部に形成される。洗浄液流入部28は、周壁部25の側方から周壁部25の内面252に沿うように洗浄液を流入させる。洗浄液流入部28は、図6に示すように、周壁部25の内面252の接線Tが延びる接線方向Taに沿って延びて形成され、周壁部25を貫通して配置される。
【0045】
洗浄液流入部28は、外部導入筒部281と、内部突出筒部282(突出部)と、を有する。外部導入筒部281は、周壁部25の下端部の外周面から外側に突出して形成され、洗浄液供給ラインL5を流通する洗浄液を、周壁部25の側方から導入する。外部導入筒部281には、洗浄液供給ラインL5の下流側の端部が接続される。外部導入筒部281には、洗浄液供給ラインL5を介して、電磁弁533を制御することにより洗浄液が供給される。内部突出筒部282は、周壁部25の下端部において周壁部25の内面252から内側に突出して形成される。
【0046】
外部導入筒部281及び内部突出筒部282は、周壁部25の内面252の接線Tに沿って連続して一直線上に延びて配置される。外部導入筒部281及び内部突出筒部282の内部には、外部導入筒部281及び内部突出筒部282の軸方向に貫通する洗浄液流通口283が形成される。内部突出筒部282の先端側には、洗浄液流通口283の先端側の部分を構成する吐出口284が形成される。吐出口284は、図6に示すように、内部突出筒部282に形成され、周壁部25の内面252の接線Tの接線方向Taに平行な方向に開口する。
【0047】
吐出口284は、内部突出筒部282に形成されることで、図6に示すように、排液ポット1の内部における周壁部25の内面から内側に離れた位置において開口する。そのため、吐出口284が周壁部25の内面から内側に離れた位置において、吐出口284から洗浄液が吐出される。これにより、吐出口284から吐出された洗浄液は、周壁部25の内面に直ぐには当たらないため、洗浄液は周壁部25の内面に引き寄せられずに、真直ぐに吐出される。よって、吐出口284から吐出される洗浄液の流速が低下することを抑制できる。これにより、洗浄液を周壁部25の内面に沿って周方向に回しながら供給できるため、洗浄液を周壁部25の周方向の全体に効率的に供給することができる。
【0048】
ここで、以上のように構成されるポット本体部2において、底部21の底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの適正範囲について以下に説明する。また、底部21の底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αを20°又は一部を25°にした場合の実験結果について説明する。
【0049】
底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの適正範囲は、例えば、(i)目標洗浄範囲、(ii)目標洗浄量、(iii)底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの検討、(iv)洗浄時以外の排液の排出速度などを考慮して設定する。
【0050】
(i)目標洗浄範囲
目標とする排液ポット1の洗浄範囲に応じて、洗浄液の吐出速度を設定する。洗浄液の吐出速度により周壁部25に旋回する洗浄液の水位が決定されるため、洗浄液の吐出速度が速いほど少ない流量で広範囲を洗浄できる。洗浄液の吐出速度は、吐出口284における洗浄液の流量が多いほど上昇し、吐出口284の口径を絞るほど上昇する。
【0051】
(ii)目標洗浄液量
目標とする洗浄液量は、排液ポット1及び洗浄液が流れる配管に流す目標の洗浄液量及び時間を考慮して設定する。
【0052】
(iii)底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの検討
上記(i)目標洗浄範囲及び(ii)目標洗浄量の目標値になるように、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αを変更することで、排液の効率を変化させて良好な値を設定する。底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αが大きい場合には、排液流出口22に流れる洗浄液の流速が上昇するため、排液流出口22から流れ出る洗浄液の排液効率が向上する一方、洗浄時に洗浄液が旋回しにくくなる。また、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αが小さい場合には、洗浄時に洗浄液が旋回しやすくなる一方、排液流出口22から流れ出る洗浄液の排液効率が低下する。
【0053】
(iv)洗浄時以外の排液の排出速度
底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αが小さくなりすぎると、排液流出口22に流れる排液の流速が低下するため、この点を考慮して、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αを設定する。
【0054】
次に、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αを20°に構成した場合の実験結果について説明する。
底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αを20°に構成した場合に、洗浄液流入部28の吐出口284(口径:φ2.5mm)から500ml/minの流量で洗浄液を吐出させると、底部21の表面が洗浄液で覆われる程度の洗浄液が滞留した状態で、排液ポット1を良好に洗浄することができた。
【0055】
また、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの一部を25°に構成した場合の実験結果について説明する。
底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの一部が25°である場合に、洗浄液流入部28の吐出口284(口径:φ2.5mm)から500ml/minの流量で洗浄液を吐出させると、底部21の表面の洗浄液が液切れを起こしやすくなった。そのため、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αは、25°以下であることが好ましい。
ただし、洗浄液流入部28の吐出口284から吐出する洗浄液の流量を増やすことで(550ml/min)、底部21の表面の洗浄液が液切れは解消することができた。そのため、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αは、諸条件で変わるため、上述した底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの適正範囲の検証内容((i)目標洗浄範囲、(ii)目標洗浄量、(iii)底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αの検討、(iv)洗浄時以外の排液の排出速度など)に基づいて設定することが好ましい。
【0056】
ライン固定ユニット3について説明する。図8に示すように、ライン固定ユニット3は、周壁部25の上端に配置され、排液が流通されるオーバーフローラインL8(排液ライン)を固定する。ライン固定ユニット3は、図5に示すように、周壁部25の周方向に回転可能に、ライン固定ユニット取付部26に取り付けられる。
【0057】
ライン固定ユニット3は、図8図10に示すように、円環枠体31と、円環枠体31の上端部に配置されるライン固定部32と、を有する。
【0058】
円環枠体31は、図5に示すように、周壁部25の上端部に取り付けられる。円環枠体31は、短筒状の円筒部311と、円筒部311の上端部に配置される円環状の円環板312と、円環板312の下端部に形成される3つの嵌合凸部313と、を有する。
【0059】
3つの嵌合凸部313は、それぞれ、円環枠体31の下端部から、円環枠体31の径方向の内側に突出して形成される。3つの嵌合凸部313は、それぞれ、周壁部25の上端部に形成されるライン固定ユニット取付部26の3つの導入凹部262を介して、ライン固定ユニット取付部26の外周取付溝261に導入して配置される。3つの嵌合凸部313が外周取付溝261に配置されることで、ライン固定ユニット3は、周壁部25の周方向に移動可能にガイドされる。
【0060】
このように、ライン固定ユニット3の円環枠体31が周壁部25に取り付けられることで、ライン固定ユニット3のライン固定部32は、周壁部25に対して回転可能に、外周取付溝261に取り付けられる。そのため、ライン固定ユニット3を回転させることで、オーバーフローラインL8の固定位置を自由に設定できる。例えば、洗浄液供給ラインL5を接続した後であって排液ポット1の向きを変更することが難しいような場合であっても、ライン固定ユニット3を回転させることで、オーバーフローラインL8の設置方向を自由に設定できる。
【0061】
ライン固定部32は、図8に示すように、3つのライン固定溝33を有する。
3つのライン固定溝33は、図9に示すように、平面視において、底部21の中心から径方向に放射線状に延びる線上に沿って延びて形成される。そのため、3つのライン固定溝33にオーバーフローラインL8が固定された場合に、3つのライン固定溝33に固定されたオーバーフローラインL8の先端側も、放射線状に延びる線上に沿って延びる。本実施形態においては、3つのライン固定溝33は、それぞれ、配置される位置及び向きが異なるが、それ以外は、同様の構成である。
【0062】
ライン固定溝33は、図10に示すように、縦断面視において、底部21の径方向の外側から内側に向かうにしたがって上部から下部に向かって下る下り傾斜で直線状に延びる。ライン固定溝33の深さDは、オーバーフローラインL8のチューブ部82の外形の径R2以上に設定される。ライン固定溝33の深さDをオーバーフローラインL8のチューブ部82の外形の径R2以上に設定することで、オーバーフローラインL8のチューブ部82がライン固定溝33に固定された場合に、オーバーフローラインL8のチューブ部82は、ライン固定溝33から簡単には外れにくいように構成される。
【0063】
ライン固定溝33には、オーバーフローラインL8(排液ライン)の下流側の端部が固定される。オーバーフローラインL8は、先端側に配置されるノズル部81と、ノズル部81の後部に接続されるチューブ部82と、を有する。
【0064】
チューブ部82は、所定方向に延びる筒状に形成される。チューブ部82は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコン(Si)等の可撓性のチューブで形成される。チューブとしては、例えば、外径が5.5mm、内径が3.3mmのものなどが用いられる。チューブの硬度は、例えば、50~85程度(JIS K7215)のものなどが用いられる。
【0065】
ノズル部81は、チューブ部82の先端に接続される。ノズル部81は、オーバーフローラインL8により流通された排液を排液ポット1に流入させる。ノズル部81は、筒状に形成され、図10に示すように、先端部811と、中間部812(大径部)と、後端部813と、を有する。先端部811、中間部812及び後端部813は、一直線上に配置され、その内部には、軸方向に一直線状に貫通する流通路が形成される。ノズル部81は、例えば、チューブ部82の材料よりも硬度が高い樹脂製の材料により形成される。
【0066】
先端部811は、ノズル部81の先端側に配置され、外形が、先端に向かうに従って僅かに径が小さくなるテーパ状に形成される。先端部811からは、排液ポット1の内部に排液が吐出される。
【0067】
中間部812は、先端部811の後端に接続され、先端部811よりも外形の径が大きく且つ同径で延びる筒状に形成される。中間部812の外形の径R1は、図10に示すように、チューブ部82の外形の径R2よりも大きい径で形成される。中間部812は、端面812a(対向面)を有する。中間部812の端面812aは、後端部813にチューブ部82の先端部(下端部)が接続された場合に、チューブ部82の外側において上方側を向いて配置され、ライン固定部32の下端面35に対向する。
【0068】
後端部813は、中間部812の後端に接続され、中間部812よりも外形の径が小さく且つ同径で延びる筒状に形成される。後端部813は、チューブ部82の下端部の内部に挿入される。これにより、後端部813には、チューブ部82の下端部が接続される。
【0069】
ライン固定溝33は、上部側に形成される円弧状溝部331と、下部側に形成される方形状溝部332と、を有する。ライン固定溝33の傾斜方向の下端部には、図8及び図9に示すように、一対の脱落規制凸部34(凸部)が形成される。一対の脱落規制凸部34は、ライン固定溝33の下端部において、ライン固定溝33の幅方向の両側から内側に突出する。脱落規制凸部34は、ライン固定溝33の傾斜方向において、円弧状溝部331の下端部から方形状溝部332に跨って形成される。
【0070】
以上のライン固定溝33は、図8図11及び図12に示すように、上部側の幅W1がオーバーフローラインL8のチューブ部82の外形の径R2よりも大きく、かつ、下端部に形成される一対の脱落規制凸部34の幅W2がオーバーフローラインL8のチューブ部82の外形の径R2よりも小さく形成される。
【0071】
図12に示すように、ライン固定溝33の下端部に形成される方形状溝部332の深さ方向において、一対の脱落規制凸部34の奥側には、図12に示すように、一対の脱落規制凸部34が離間する幅W2よりも大きく且つライン固定溝33の傾斜方向の上方側の幅と同じ幅W1の奥側溝332aが形成されている。
【0072】
ライン固定溝33の下端部において、オーバーフローラインL8のノズル部81の後端部813が挿入されたチューブ部82は、方形状溝部332の深さ方向の奥側において幅W1の奥側溝332aに配置されると共に、上部側の部分が、方形状溝部332の深さ方向の手前側において幅W2で離間して配置される一対の脱落規制凸部34に挟まれる。
【0073】
ここで、ノズル部81は、例えば、チューブ部82の材料よりも硬度が高い樹脂製の材料により形成される。そのため、ライン固定溝33の下端部の方形状溝部332において、ノズル部81の後端部813が挿入されたチューブ部82は、ノズル部81の後端部813と、方形状溝部332の奥側溝332a及び一対の脱落規制凸部34とにより、幅方向において、チューブ部82よりも硬度が高い材料の部材に挟まれて、ライン固定溝33から脱落しないように、軽度の圧入状態で固定される。
【0074】
ライン固定溝33は、オーバーフローラインL8がライン固定部32に固定された状態において、図4に示すように、オーバーフローラインL8が延びる方向の延長線上に、底部21の湾曲傾斜面部23(落とし込み湾曲部分)が配置されるように構成される。
【0075】
ライン固定部32が設けられる高さHは、オーバーフローラインL8から吐出される排液が排液ポット1の底部21に到達するまで、層流の状態が維持される高さに設定される。そのため、オーバーフローラインL8から吐出される排液は、排液ポット1の底部21に到達するまで、層流の状態が維持される。層流とは、流れの方向に向かって、流体が規則正しく運動する流れである。層流は、流れの途中で乱れて拡散する乱流とは異なり、ほぼ一本線の流れで流れる。これにより、オーバーフローラインL8から吐出される排液は、層流の状態で、湾曲傾斜面部23に接触する。よって、乱流の状態で湾曲傾斜面部23に接触するよりも、排液の水跳ねの量を低減できる。
【0076】
オーバーフローラインL8のノズル部81の中間部812は、端面812a(対向面)を有する。中間部812の端面812aは、ライン固定部32の下端面35に対向する。そのため、オーバーフローラインL8のノズル部81の中間部812の端面812aが、ライン固定部32の下端面35に引っ掛かり易い。これにより、オーバーフローラインL8がライン固定部32から脱落することを低減できる。
【0077】
ライン固定部32の下端面35は、オーバーフローラインL8が延びる方向に対して角度β(例えば90°)以上である。そのため、角度βが90°以上である場合に、オーバーフローラインL8のノズル部81の中間部812の端面812aにライン固定部32の下端面35が当たったときに、力のベクトルを、互いが外れる方向に向かないようにすることができる。これにより、ライン固定部32において、オーバーフローラインL8が人に接触することなどで上方側に引っ張られても、オーバーフローラインL8のノズル部81の中間部812の端面812aが、ライン固定部32の下端面35に引っ掛かり易い。よって、オーバーフローラインL8がライン固定部32から脱落することをより低減できる。
【0078】
続いて、排液ポット1の作用について説明する。
例えば、プライミング工程において、静脈側エアトラップチャンバ401からオーバーフローラインL8を介して排出された排液は、オーバーフローラインL8の先端から吐出されて、排液ポット1に供給される。排液ポット1に供給された排液は、排液ポット1の内部を流通して、排液排出部27から、ポット側排液ラインL9に排出される。ポット側排液ラインL9を流通する排液は、排液排出ラインL72に合流され、排液排出ラインL72により、外部に排出される。
【0079】
ここで、オーバーフローラインL8の先端から吐出された排液は、図4に示すように、ライン固定溝33が延びる方向の延長線上に湾曲傾斜面部23が配置されるため、湾曲傾斜面部23に当たって、排液が湾曲傾斜面部23に沿って排液流出口22側に流れることで水跳ねが低減される。また、排液が湾曲傾斜面部23に当たった場合に、排液の水跳ねが起こったとしても、排液ポット1の上部側の開放部分の方向からずれて水跳ねが起こるため、外部への水跳ねが低減される。
【0080】
また、オーバーフローラインL8から吐出される排液は、層流の状態で、湾曲傾斜面部23に当たる。これにより、乱流の状態で湾曲傾斜面部23に当たるよりも、排液の水跳ねの量を低減できる。
【0081】
排液ポット1を洗浄する場合には、電磁弁533を制御することで、洗浄液を排液ポット1に供給する動作を実行する。これにより、排液ポット1の下端部に形成される洗浄液流入部28から、排液ポット1の内部に洗浄液が流入される。
【0082】
ここで、吐出口284は、周壁部25の内面から内側に突出して形成される内部突出筒部282に形成され、周壁部25の内面の接線方向Taに平行な方向に開口することで、周壁部25の内面から内側に離れた位置において開口する。吐出口284は、周壁部25の内面から内側に離れた位置において、洗浄液を吐出する。そのため、吐出口284から吐出された洗浄液は、周壁部25の内面に直ぐには当たらないため、洗浄液は周壁部25の内面に引き寄せられずに、真直ぐに吐出される。これにより、吐出口284から吐出される洗浄液の流速が低下することを抑制できる。よって、洗浄液を周壁部25の内面に沿って周方向に回しながら供給できるため、洗浄液を周壁部25の周方向の全体に効率的に供給することができる。
【0083】
続けて、吐出口284から洗浄液を供給し続けることで、旋回流を発生させながら洗浄液を排液ポット1に供給する。また、洗浄液は、排液流出口22から外部に流出される。本実施形態においては、洗浄液の流入速度は、洗浄液の流出速度以上に設定される。これにより、周壁部25の内部において洗浄液の水位が上昇されて、周壁部25の内面の上方側の部分まで洗浄液を接触させて洗浄することができる。
【0084】
ここで、縦断面視において、底部側直線状傾斜面部24は、水平面に対して、傾斜角度αで配置される。例えば、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する傾斜角度αは、排液ポット1に流入された洗浄液の流出速度を低減できるため、45°以下であることが好ましく、25°以下であることがより好ましい。これにより、排液ポット1の洗浄時において、底部21に洗浄液を滞留させて、より好適に、周壁部25の内面の洗浄を行うことができる。
【0085】
また、周壁部25と底部21とにより形成される角部20aは、周壁部側直線状部分251と底部側直線状傾斜面部24とが繋がることで形成される。そのため、角部20aを滑らかに接続されずに、周壁部側直線状部分251と底部側直線状傾斜面部24とが直線状部分同士で繋がれる。これにより、角部20aを周壁部側直線状部分251と底部側直線状傾斜面部24とが直線状部分同士を繋いで形成することで、角部20aが滑らかなR(アール)を有する場合よりも、底部21の外周縁側への洗浄液の液回りをよくして、排液流出口22側に洗浄液が早く移動されることを低減できる。
【0086】
上記実施形態に係る排液ポット1によれば、以下の効果が奏される。
上記実施形態では、排液ポット1を、排液を流出させる排液流出口22と、排液流出口22側に下る直線状の底部側直線状傾斜面部24と、を有する底部21と、底部21の外周縁から立ち上がる周壁部25と、周壁部25における底部21側の端部に形成され周壁部25の側方から周壁部25の内面に沿うように洗浄液を流入させる洗浄液流入部28と、を含んで構成した。これにより、底部21の傾斜角度を小さくすることで、排液ポット1に流入された洗浄液の流出速度を低減できる。よって、排液ポット1の洗浄時において排液ポット1の内部に洗浄液を貯留させて、周壁部25の内面の洗浄を行うことができる。
【0087】
また、上記実施形態においては、底部側直線状傾斜面部24の水平面に対する角度を、45°以下とした。これにより、排液ポット1の洗浄時において、底部21に洗浄液を滞留させて、より好適に、周壁部25の内面の洗浄を行うことができる。
【0088】
また、上記実施形態においては、周壁部25を、直線状の周壁部側直線状部分251を含んで構成し、周壁部25と底部21とにより形成される角部20aを、周壁部側直線状部分251と底部側直線状傾斜面部24とが繋がることで形成される構成とした。これにより、角部20aを周壁部側直線状部分251と底部側直線状傾斜面部24とが直線状部分同士を繋いで形成することで、角部20aが滑らかなR(アール)を有する場合よりも、底部21の外周縁側への洗浄液の液回りをよくして、排液流出口22側に洗浄液が早く移動されることを低減できる。
【0089】
また、上記実施形態においては、洗浄液流入部28は、周壁部25の内面から内側に突出して形成される内部突出筒部282と、内部突出筒部282に形成され周壁部25の内面の接線方向Taに平行な方向に開口する吐出口284と、を有する。そのため、吐出口284を周壁部25の内面から内側に離れた位置において、洗浄水を吐出する。吐出口284から吐出された洗浄液は、周壁部25の内面に直ぐには当たらないため、洗浄液は周壁部25の内面に引き寄せられずに、真直ぐに吐出される。これにより、吐出口284から吐出される洗浄液の流速が低下することを抑制できる。よって、洗浄液を周壁部25の内面に沿って周方向に回しながら供給できるため、洗浄液を周壁部25の周方向の全体に効率的に供給することができる。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上記実施形態においては、ライン固定部32の3つのライン固定溝33の1つにオーバーフローラインL8を配置したが、これに限定されない。ライン固定溝33に配置されるラインは、オーバーフローラインL8以外の他の排液ラインでもよい。また、3つのライン固定溝33それぞれに排液ラインを配置してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 排液ポット(医療用排液受け部材)
21 底部
22 排液流出口
24 底部側直線状傾斜面部(底部側直線状傾斜部分)
25 周壁部
28 洗浄液流入部
251 周壁部側直線状部分
282 内部突出筒部(突出部)
284 吐出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12