(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】在庫管理プログラム、在庫管理方法及び在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20240109BHJP
【FI】
G06Q10/087
(21)【出願番号】P 2019160213
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 治
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-295227(JP,A)
【文献】特開2006-318289(JP,A)
【文献】特開2015-114787(JP,A)
【文献】特開2002-279024(JP,A)
【文献】特開2004-178037(JP,A)
【文献】特開2001-229319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから
、連続する複数の単位期間である第1の期間に含まれる単位期間毎に算出され
る複数の在庫日数を算出する処理と、
在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する処理と、
前
記複数の在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められる、在庫管理プログラム。
【請求項2】
前記第1の期間を、予め定められた複数の候補期間から、各候補期間内の出荷数が1以上の日の割合に基づき決定する処理を有する、
請求項1に記載の在庫管理プログラム。
【請求項3】
前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを表示する処理を有する、
請求項1又は2に記載の在庫管理プログラム。
【請求項4】
前記品目の在庫が過少である割合及び/又は前記品目の在庫が過多である割合とイベント情報とを紐付けて表示する処理を有する、
請求項3に記載の在庫管理プログラム。
【請求項5】
処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから
、連続する複数の単位期間である第1の期間に含まれる単位期間毎に算出され
る複数の在庫日数を算出する処理と、
在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する処理と、
前
記複数の在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する処理と、
をコンピュータが実行し、
前記過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められる、在庫管理方法。
【請求項6】
処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから
、連続する複数の単位期間である第1の期間に含まれる単位期間毎に算出され
る複数の在庫日数を算出し、
在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する算出部と、
前
記複数の在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する判定部と、
を有し、
前記過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められる、在庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、在庫管理プログラム、在庫管理方法及び在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
安全かつ効率的な在庫管理を目的とする在庫管理方法が提案されている。例えば、特許文献1は、往復物流の在庫数量変動を過去の出荷実績情報等から予測し、予測結果に基づき在庫調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-120255号公報
【文献】特開2004-302553号公報
【文献】特開2012-066886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の手法では、在庫数と、予め設定された在庫の上限値及び下限値の数量とに基づき、在庫が過少であるか又は過剰であるかを判定し、商品の補充若しくは引き上げの指示とその数量とを決定する。よって、予め固定された在庫の上限値及び下限値の数量が日々状況が変わる在庫数に対して在庫数の過少又は過剰を判定するのに適した値でなくなった場合、在庫の過少又は過剰の判定の結果が正確でなくなってしまう。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、ユーザ毎の在庫状況に合致した閾値を用いた在庫管理を行うことを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様では、処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから、連続する複数の単位期間を含む第1の期間における在庫日数を算出する処理と、在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する処理と、前記在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する処理と、をコンピュータに実行させる在庫管理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示は、ユーザ毎の在庫状況に合致した閾値を用いた在庫管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施形態に係る在庫管理システムを示す図。
【
図3】一実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示す図。
【
図4】一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成を示す図。
【
図5】一実施形態に係る在庫管理方法を示すフローチャート。
【
図6】一実施形態に係る在庫管理方法を説明するための図。
【
図7】一実施形態に係る過少判定結果の表示例を示す図。
【
図8】一実施形態に係る過少過剰判定の閾値算出方法を示すフローチャート。
【
図9】一実施形態に係る過少過剰判定の閾値算出方法を説明するための図。
【
図10】一実施形態に係る過少過剰判定の期間算出方法を示すフローチャート。
【
図11】一実施形態に係る過少過剰判定の期間算出方法を説明するための図。
【
図12】一実施形態に係る過少の割合とイベント情報とを紐付けて表示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0010】
[在庫管理]
需給調整では在庫の状況を把握することが重要であるが、多品種、多品目を対象とした在庫管理は難しい。例えば、在庫が過少又は過剰状態(以下、「過少、過剰状態」とも表記する。)にある品目を自動抽出するだけでは、その商品の過少、過剰状態が一時的なものか又は慢性的なものかをユーザが判断するのは困難である。このため、ユーザは緊急に対応すべき商品なのか、緊急に対応する必要はない商品なのかを正確に把握することができない。特に、過少、過剰状態にある対象の商品数が多数(例えば数百、数千)になると、ユーザが1商品ごとに過少、過剰状態をチェックし、緊急に在庫調整等の対応をすべき商品か、それ以外の商品かを判定することは困難である。
【0011】
よって、在庫が過少、過剰状態にある品目を自動で抽出し、その過少、過剰状態が一時的か又は慢性的かを自動で判定できれば、ユーザは、その判定結果を用いてより効率的な在庫管理を行うことが可能になる。また、在庫の過少、過剰状態を判定するために使用する「閾値」、及び在庫の過少、過剰状態が一時的か又は慢性的かを判定するために使用する時系列の在庫情報の「期間」を自動で設定できれば、日々変化する在庫状況に合わせた判定結果を得ることができる。
【0012】
例えば、
図1に従来の在庫管理の一例を示す。
図1の例では前日の在庫数から当日の在庫が過少か過剰かを判定し、その判定結果に基づき次の出荷や生産の個数を決定する。このとき、在庫が過少か過剰かの判定に「閾値」を使用する。その閾値が、在庫が過少か過剰かの判定に適切な数値でなければ在庫状況の判定結果が正確でなくなる。
【0013】
また、
図1の例では前日(1日前)だけでなく、2日前~7日前の在庫情報から各日の過少、過剰状態を判定し、その判定に基づき、半数以上が過少、過剰状態である場合に慢性的な過少、過剰状態であると判定し、それ以外は一時的な過少、過剰状態であると判定する。この場合、過少、過剰状態の判定に使用する在庫情報の「期間」として7日を使用した。その期間が、過少、過剰状態が一時的か又は慢性的かの判定に適切な数値でなければ在庫状況の判定結果が正確でなくなる。
【0014】
そこで、本実施形態に係る在庫管理システムでは、前記閾値及び前記期間の設定を自動化する。これにより、最新の在庫状況に合わせて閾値及び期間を設定及び更新できる。これにより、ユーザ毎に在庫状況に合致した閾値及び期間を用いた在庫管理を行うことができる。更に、閾値及び期間の設定を自動化することで在庫管理の処理の負荷を軽減することができる。
【0015】
[在庫管理システム]
以下、一実施形態に係る在庫管理システムについて、
図2を参照しながら説明する。
図2は、一実施形態に係る在庫管理システム1を示す図である。在庫管理システム1は、サーバ10及び端末装置20を有する。サーバ10は、ネットワーク40を介してユーザ(在庫管理システム1の利用者)の端末装置20に接続されている。
【0016】
サーバ10は、一実施形態に係る在庫管理方法を実行し、在庫が過少、過剰状態にある品目を抽出し、その過少、過剰状態が一時的か又は慢性的かを判定する。また、サーバ10は、在庫の過少、過剰状態を判定するために使用する「閾値」、及び記憶された時系列の在庫情報(ログ情報)のうち、在庫の過少、過剰状態が一時的か又は慢性的かを判定するために使用する在庫情報の「期間」を判定し、所定のタイミングに前記閾値及び前記期間の設定を更新する。
【0017】
端末装置20は、サーバ10が判定した在庫の過少、過剰状態の結果を、ブラウザ等を用いてディスプレイに表示する。端末装置20は、サーバ10が判定した在庫の過少、過剰状態の結果についてサーバ10から通知を受けてもよい。
【0018】
サーバ10は、コンピュータ等の情報処理装置であってもよいし、クラウドサービスを提供するネットワーク上のサーバであってもよい。サーバ10が行う処理の一部又は全部を在庫管理システム1又はネットワーク40上の他のサーバで実行し、残りの処理をサーバ10が実行するように、在庫管理システム1内の複数のコンピュータが連携して在庫管理の一連の処理を行うようにしてもよい。
【0019】
端末装置20の一例としては、スマートフォン、タブレット型端末等の携帯デバイス、パーソナルコンピュータ、HMD(Head Mount Display)、FMD(Face Mount Display)等のウェアラブルデバイスであってもよい。端末装置20の他の例としては、コンピュータ等の情報処理装置であってもよい。
【0020】
サーバ10の替わりに端末装置20が在庫管理を行ってもよい。この場合、在庫管理システム1は、サーバ10を有さなくてもよい。例えば、端末装置20が以下に説明するサーバ10の機能を有し、端末装置20が在庫管理を行ってもよい。
【0021】
[サーバの機能構成]
次に、サーバ10の機能構成の一例について、
図2を参照しながら説明する。サーバ10は、通信部11、受付部12、算出部13、判定部14、表示制御部15及び記憶部16を有する。
【0022】
通信部11は、ネットワーク40に接続される端末装置20及びその他のコンピュータと通信を行う。受付部12は、端末装置20及びその他のコンピュータからの要求を受け付ける。
【0023】
算出部13は、処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから、連続する複数の単位期間を含む第1の期間における在庫日数を算出する。算出部13は、在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する。過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められてもよい。
【0024】
判定部14は、前記在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する。
【0025】
算出部13は、第1の期間を、予め定められた複数の候補期間から、各候補期間内の出荷数が1以上の日の割合に基づき決定してもよい。第2の期間は、1年や半年等予め定められている。
【0026】
表示制御部15は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを表示する。表示制御部15は、品目毎の過少在庫の割合及び/又は過剰在庫の割合を表示してもよい。表示制御部15は、品目の在庫が過少である割合及び/又は前記品目の在庫が過多である割合とイベント情報とを紐付けて表示してもよい。
【0027】
記憶部16は、在庫情報データベース30、出荷情報データベース31及びイベント情報データベース32を有する。在庫情報データベース30は、時系列に商品毎又は品目毎の在庫数を記憶する。出荷情報データベース31は、時系列に商品毎又は品目毎の出荷数を記憶する。イベント情報データベース32は、商品又は品目とイベントとを関連付けて記憶する。
【0028】
[端末装置の機能構成]
次に、端末装置20の機能構成の一例について説明する。端末装置20は、操作部21、通信部22、制御部23、表示部24及び記憶部25を有する。操作部21は、端末装置20を使用するユーザによるタッチ操作やキーボード操作を入力する。通信部22は、ネットワーク40に接続されるサーバ10及びその他のコンピュータと通信を行う。
【0029】
制御部23は、操作部21がユーザのタッチ操作やキーボード操作に応じて入力した情報に基づき所定の処理を実行する。例えば、制御部23は、ユーザが行った操作に基づき在庫管理のアプリケーションを立ち上げ、在庫の過少、過剰状態を判定する在庫管理方法の実行をサーバ10に要求する。
【0030】
表示部24は、サーバ10が実行した在庫の過少、過剰状態の判定結果を、例えばブラウザを用いて端末装置20のディスプレイに表示する。記憶部25は、サーバ10が判定した在庫管理に関する判定結果等の情報を記憶する。
【0031】
[サーバのハードウェア構成]
次に、サーバ10のハードウェア構成の一例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、一実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成を示す図である。サーバ10は、入力装置111、表示装置112、外部I/F113、通信I/F114、ROM115、RAM116、CPU117、及び補助記憶装置118を有する。各部はバスで相互に接続されている。
【0032】
入力装置111は、例えばタッチパネル、キーボード、マウスであり、サーバ10に各種の入力操作をするのに用いられる。表示装置112は、例えばタッチパネル式ディスプレイであり、各種のデータを表示する。
【0033】
外部I/F113は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、記録媒体113a等がある。サーバ10は、外部I/F113を介して、記録媒体113aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体113aには、例えば、SDメモリカード(SD memory card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等がある。
【0034】
通信I/F114は、サーバ10をネットワークに接続するためのインターフェースである。サーバ10は、通信I/F114を介して端末装置20やその他の装置と通信を行う。
【0035】
ROM115は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM116は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU117は、例えば補助記憶装置118やROM115等からプログラムやデータをRAM116上に読み出して、在庫管理処理を実行する演算装置である。
【0036】
補助記憶装置118は、プログラムやデータを格納している不揮発性の補助記憶装置である。補助記憶装置118には、在庫管理プログラムが格納されてもよい。
【0037】
図2に示すサーバ10の機能は、サーバ10が
図3に示すハードウェア構成を有することにより実現される。例えば、通信部11の機能は、通信I/F114により実現される。受付部12、算出部13、判定部14、表示制御部15の各機能は、CPU117が在庫管理プログラムを実行することにより実現される。記憶部16の機能は、ROM115、RAM116又は補助記憶装置118により実現される。
【0038】
[端末装置のハードウェア構成]
次に、端末装置20のハードウェア構成の一例について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、一実施形態に係る端末装置20のハードウェア構成を示す図である。本実施形態に係る端末装置20は、ディスプレイ211、CPU212、メモリ213、タッチパネル214及び通信I/F(インターフェース)215を有する。
【0039】
CPU212は、端末装置20が備える各部を統括して制御する。端末装置20が備える機能は、CPU212が、ROMやRAM等で構成されるメモリ213に記憶されているプログラムを、RAMなどに読み出して実行することで実現される。例えば、CPU212は、メモリ213に記憶されているアプリケーションプログラムを、RAMなどに読み出して実行することで、サーバ10に在庫管理方法の実行を要求することができる。これにより、CPU212は、端末装置20の全体制御や端末装置20に搭載された各機能を実現する。
【0040】
ディスプレイ211は、液晶ディスプレイや有機EL(electroluminescence)ディスプレイであってもよい。タッチパネル214は、ディスプレイ211の上に重ねて設置されており、これにより、ユーザはディスプレイ211の画面を見ながら、タッチパネル214に指で直接触れることで行われる入力操作を受け付けることができる。タッチパネル214は、指などによるタッチ位置と、タッチ位置における接触状態を示す静電容量や電気抵抗量などの検知量を検出する入力装置である。これにより、端末装置20の画面に対するタッチ位置の座標からユーザの操作を検出することができる。センサの一例としては、圧力センサ、静電容量センサ、光センサ等が挙げられる。
【0041】
通信I/F215は、端末装置20をネットワークに接続するためのインターフェースである。端末装置20は、通信I/F215を介してサーバ10やその他の装置と通信を行う。
【0042】
図2に示す端末装置20の機能は、端末装置20が
図4に示すハードウェア構成を有することにより実現される。例えば、操作部21の機能は、タッチパネル214により実現される。通信部22の機能は、通信I/F215により実現される。制御部23の機能は、CPU212が所定のプログラムを実行することにより実現される。表示部24の機能は、ディスプレイ211により実現される。記憶部25の機能は、メモリ213により実現される。
【0043】
[在庫管理方法]
次に、本実施形態に係る在庫管理方法の一例について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、一実施形態に係る在庫管理方法を示すフローチャートである。
図6は、一実施形態に係る在庫管理方法を説明するための図である。本処理は、1回/1日や所定時間毎等、周期的に実行されてもよいし、端末装置20からの在庫管理の要求があったとき等、不定期に実行されてもよい。
【0044】
本処理が実行されると、算出部13は、第1の期間の品目毎の在庫数と出荷数とを取得する(ステップS1)。「第1の期間」は、時系列に記憶されている在庫数と出荷数とのうち、過少、過剰状態の判定に使用する在庫数と出荷数に対応する日付の期間である。第1の期間の設定の自動化については、
図9を用いて後述する。本実施形態では、例えば第1の期間を直前(前日:2017/7/1)から7日間とし、算出部13は、在庫情報データベース30に記憶された、前日(1日前)から7日前までの在庫数と、出荷情報データベース31に記憶された、前日(1日前)から7日前までの出荷数とを取得する。
図6に在庫情報データベース30の一例を示す。在庫情報データベース30は、商品コード、カテゴリ、前日(2017/7/1)~7日前(2017/7/7)の日付、在庫数が記憶されている。また、
図6に出荷情報データベース31の一例を示す。出荷情報データベース31は、商品コード、カテゴリ、前日(2017/7/1)~7日前(2017/7/7)の日付、出荷数が記憶されている。ただし、
図6に示す在庫情報データベース30に記憶された在庫数と、出荷情報データベース31に記憶された出荷数とは、過少、過剰状態の判定に使用する在庫情報の一例であり、これに限られない。なお、在庫情報データベース30及び出荷情報データベース31に記憶された商品コード及びカテゴリは、商品及び品目の識別情報である。
図5のステップS1では、直近(例えば前日)の在庫状況だけでなく、第1の期間の在庫数と出荷数とが取得される。
【0045】
図5において、次に、算出部13は、取得した第1の期間の品目毎の在庫数と出荷数とから在庫日数を算出する(ステップS2)。在庫日数は、各日の在庫数/平均出荷数から算出される。平均出荷数は、第1の期間の出荷数の平均値である。在庫日数は、商品が何日在庫として保存されるかを示す。換言すれば、在庫日数は、商品が何日でなくなるかを示す。
【0046】
図6を参照すると、7日間の平均出荷数は、12.5(小数点第2位以下切り捨て)となり、在庫日数は、2017/7/1から2017/7/7の各日について、「4」、「2.4」、「8」、「7」、「4.8」、「4」、「2.4」と算出される。
【0047】
図5において、次に、判定部14は、在庫日数が過少閾値以下であるかを判定する(ステップS3)。判定部14は、在庫日数が過少閾値よりも大きいと判定すると、ステップS6に進む。判定部14は、在庫日数が過少閾値以下であると判定すると、過少在庫であると判定し(ステップS4)、過少割合を判定する(ステップS5)。
【0048】
図6の例では、過少閾値が「5」である場合、判定部14は、2017/7/1から2017/7/7の各日の在庫日数と過少閾値「5」とを比較し、2017/7/1、7/2、7/5~7/7の5日が過少在庫であると判定する。その結果、判定部14は、過少割合を約70%(=5/7)と判定する。
【0049】
図5において、次に、判定部14は、在庫日数が過剰閾値以上であるかを判定する(ステップS6)。判定部14は、在庫日数が過剰閾値よりも小さいと判定すると、ステップS9に進む。判定部14は、在庫日数が過剰閾値以上であると判定すると、過剰在庫であると判定し(ステップS7)、過剰割合を判定する(ステップS8)。
【0050】
図6の例では、過剰閾値が「8」である場合、判定部14は、2017/7/1~2017/7/7の各日の在庫日数と過剰閾値「8」とを比較し、2017/7/3の1日が過剰在庫であると判定する。その結果、判定部14は、過剰割合を約14%(=1/7)と判定する。
【0051】
図5において、次に、表示制御部15は、端末装置20のディスプレイ211に品目毎に過少状態の割合及び過剰状態の割合を表示し(ステップS9)、本処理を終了する。
図7は、一実施形態に係る過少判定結果の表示例を示す図である。
図7に示すように、2017/7/1~2017/7/7の7日間の各日における在庫の過少状態を表示するとともに、過少状態の割合を表示する。
図7に示す例では、過剰判定結果を表示していないが、例えば、過剰判定結果についても同様に2017/7/1~2017/7/7の7日間の各日における在庫の過剰状態を表示するとともに、過剰状態の割合を表示してもよい。
【0052】
以上に説明した在庫管理方法によれば、直近(例えば前日)の在庫だけでなく、予め設定した過少、過剰状態の判定に使用する在庫数と出荷数に対応する日付の期間(第1の期間)の時系列の在庫数及び出荷数から在庫の過少、過剰状態を判定し、表示することで、ユーザは、在庫が慢性的なのか一時的なのかを判断できる。例えば、ユーザは、
図7に示す過少割合が70%の表示から、在庫が足りない状態が慢性的であると判定してもよい。慢性的であるか否かの割合は、ユーザにより定められる。
【0053】
また、時系列の過少、過剰状態の判定結果をわかりやすく可視化して、ユーザの端末装置20に表示する。これにより、ユーザは、在庫の過少、過剰状態を容易に把握することができ、効率的に需要計画、需給計画の立案ができる。例えば過少割合が30%以下の場合、ユーザは過少在庫の状態が一時的であると判定し、直ぐに対応せず、例えば、過少割合が70%以上の場合、過少在庫の状態が慢性的であると判定し、直ぐに対応することができる。
【0054】
日々状況が変わる在庫数に対して、在庫下限及び在庫上限の数量を示す過少閾値及び過剰閾値が、在庫の過少又は過剰を判定するのに適した値でない場合、在庫の過少又は過剰の判定結果が正確に得られないことになる。そこで、本実施形態に係る在庫管理方法では、過少、過剰状態の判定に使用する「過少閾値」及び「過剰閾値」の設定を、ユーザが指定した判断基準値と過去の実績とに基づき自動化する。「第1の期間」の設定についても、第1の期間の候補となる期間(候補期間)と出荷の発生した日数に基づき自動化する。これにより、ユーザ毎の在庫状況に合致した過少閾値及び過剰閾値と期間を用いた在庫管理を行うことができる。以下、「過少閾値」及び「過剰閾値」の設定の自動化について
図8及び
図9を参照して説明した後、「第1の期間」の設定について
図10及び
図11を参照して説明する。
[閾値の設定の自動化]
本実施形態に係る在庫管理方法に使用する過少過剰判定の閾値の設定の一例について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、一実施形態に係る過少過剰判定の閾値算出方法を示すフローチャートである。
図9は、一実施形態に係る過少過剰判定の閾値算出方法を説明するための図である。本処理は、1回/1日や所定時間毎等、周期的に実行されてもよいし、端末装置20からの過少閾値及び過剰閾値の設定要求があったとき等、不定期に実行されてもよい。
【0055】
本処理が開始されると、算出部13は、過少基準値と過剰基準値とを取得する(ステップS11)。過少基準値と過剰基準値とはユーザが予め指定した値に設定されている。例えば、
図9に示すように、過少基準値がユーザの指定により30%マイナスに設定され、過剰基準値が30%プラスに設定されている場合を例に挙げて説明する。ただし、過少基準値と過剰基準値とはユーザが設定することに限られず、サーバ10が設定してもよい。
【0056】
図8において、次に、算出部13は、第2の期間の在庫日数の中央値と、第2の期間の出荷数の中央値とを算出する(ステップS12)。「第2の期間」は、予め定められた期間であり、
図9の例では1年間に設定されている。つまり、
図9の例では、算出部13は、在庫情報データベース30に時系列に記憶された過去1年間分の在庫数を算出する。また、出荷情報データベース31に時系列に記憶された過去1年間分の出荷数を算出する。そして、過去1年間分の在庫数と出荷数とから、過去1年間分の在庫日数(=各日の在庫数/平均出荷数)を記憶した在庫日数データベースを作成する。算出部13は、作成した在庫日数データベースに基づき、過去1年間分の在庫日数の中央値を、通常在庫日数として算出する。
図9の例では、通常在庫日数が「5.5」と算出された場合を示す。
【0057】
また、
図9の例では、算出部13は、出荷情報データベース31に時系列に記憶された過去1年間分の出荷数から、過去1年間分の出荷数の中央値を、通常出荷数として算出する。
図9の例では、通常出荷数が「12.5」と算出された場合を示す。
【0058】
図8において、次に、算出部13は、過少基準値と、第2の期間の在庫日数の中央値と、第2の期間の出荷数の中央値とに基づき過少閾値を算出する(ステップS13)。次に、算出部13は、過剰基準値と、第2の期間の在庫日数の中央値と、第2の期間の出荷数の中央値とに基づき過剰閾値を算出し(ステップS14)、本処理を終了する。
【0059】
過少閾値は、品目毎の商品の在庫を過少とするための判断に用いる閾値であり、通常在庫数×(100-A)%により算出される。過剰閾値は、在庫を過剰とするための判断に用いる閾値であり、通常在庫数×(100+A)%により算出される。A値は、過少又は過剰の割合であり、ユーザの扱う商品により異なる。よって、
図9に示す例では、ユーザの指定に基づきA値、すなわち、過少基準値を「30%マイナス」とし、過剰基準値を「30%プラス」とする。
【0060】
算出部13は、通常在庫数=通常在庫日数×通常出荷数の式から通常在庫数を66(=5.5×12.0)と算出する。そして、算出部13は、過少閾値=通常在庫数×(100-A)%の式から、過少閾値を46(=66×0.7)と算出する。また、算出部13は、過剰閾値=通常在庫数×(100+A)%の式から、過剰閾値を86(=66×1.3)と算出する。
【0061】
以上、在庫の過少状態及び過剰状態を判定する閾値となる過少閾値及び過剰閾値の設定の自動化について説明した。本処理により、定期的又は不定期に過少閾値が更新され、過少閾値が5から3に変更された後に
図5の在庫管理方法が実行されたとする。そうすると、
図6に示す各日の在庫日数に対して、2017/7/2及び2017/7/7の2日の在庫が過少状態であると判定される。同様に、本処理により、過剰閾値が8から6に変更された後に
図5の在庫管理方法が実行されると、
図6に示す各日の在庫日数に対して、2017/7/3及び2017/7/4の2日の在庫が過剰状態であると判定される。これによれば、過少閾値及び過剰閾値の設定を更新することで、過少在庫及び過剰在庫の結果を異ならせることができる。
【0062】
なお、第2の期間の在庫日数の中央値は、1年間の在庫日数を小さいものから順に探索して第2の期間の在庫日数の中央にある値である。第2の期間の在庫日数の平均値では、第2の期間の在庫日数に極端に大きい値が含まれた場合に、その値による影響が大きくなるため、平均値よりも中央値をとることが好ましい。ただし、第2の期間の在庫日数の中央値及び第2の期間の在庫日数の平均値はいずれも第2の期間の在庫日数の統計値の一例である。
【0063】
同様に、第2の期間の出荷数の平均値では、第2の期間の出荷数に極端に大きい値が含まれた場合にその値による影響が大きくなるため、平均値よりは中央値をとることが好ましい。ただし、第2の期間の出荷数の中央値及び第2の期間の出荷数の平均値はいずれも第2の期間の出荷数の統計値の一例である。
【0064】
かかる計算により算出した過少閾値は、過少基準値と、第2の期間の在庫日数の統計値と、第2の期間の出荷数の統計値とに基づき算出した第1の閾値の一例である。また、かかる計算により算出した過剰閾値は、過剰基準値と、第2の期間の在庫日数の統計値と、第2の期間の出荷数の統計値とに基づき算出した第2の閾値の一例である。
【0065】
[期間の設定の自動化]
次に、過少過剰判定に使用する在庫数及び出荷数を取得する期間(過少過剰判定の期間)の設定の一例について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、一実施形態に係る過少過剰判定の期間算出方法を示すフローチャートである。
図11は、一実施形態に係る過少過剰判定の期間算出方法を説明するための図である。本処理は、1回/1日や所定時間毎等、周期的に実行されてもよいし、端末装置20からの過少過剰判定の期間の設定要求があったとき等、不定期に実行されてもよい。
【0066】
本処理が開始されると、算出部13は、予め設定された候補期間内の出荷数が1以上の日数の割合を候補期間毎に算出する(ステップS15)。候補期間は最大30日とし、予め複数の候補期間を用意する。在庫の見直し(棚卸し)の頻度はユーザ毎に異なることが想定されるが、1年又は半年ベースで在庫の見直しをすると想定するのは長すぎると考えられる。日々商品の出荷及び入荷が行われることを考慮すると、当該期間は、直近(前日)から最長で30日程度が好ましいと考えられる。
【0067】
そこで、本実施形態では、例えば、
図11に示すように、当該期間の最小を7日、最大を30日とし、候補期間は7日、14日、21日、30日の4つに設定する。ただし、候補期間の長さ、候補期間の最小値、候補期間の最大値は、これに限られず、他の日数であってもよい。また、候補期間は予め複数設定されていれば4つに限られない。
【0068】
図10において、次に、判定部14は、候補期間内の出荷数が1以上の日数の割合が当該期間の半数以下の候補期間があるかを判定する(ステップS16)。このように、候補期間は7日、14日、21日、30日から選択するとし、判定は出荷実績回数で行う。出荷実績回数の閾値を「半数」としの意味は、キャンペーンなどによる出荷は一時的なものであるため、出荷実績のない日も含む期間を選択し、在庫の過少、過剰状態が慢性化していないかを判定できるようにするためである。ここでいう期間とは、上記の候補(7日、14日、21日、30日)の期間のことであり、閾値として出荷実績がある日(出荷実績回数)を全体の半数とすることで出荷実績のない日も期間に含むようにしている。
【0069】
次に、
図10のステップS16において、判定部14は、候補期間内の出荷数が1以上の日数の割合が当該期間の半数以下の候補期間がないと判定した場合、本処理を終了する。一方、判定部14は、候補期間内の出荷数が1以上の日数の割合が当該期間の半数以下の候補期間があると判定した場合、最短の候補期間を「第1の期間」と判定する(ステップS17)。
【0070】
最短の候補期間は、7日で出荷実績がある日が半数以下の場合、7日とし、7日で出荷実績がある日が半数よりも多く、14日で出荷実績がある日が半数以下の場合、14日とする。最短の候補期間は、7日及び14日で出荷実績がある日が半数よりも多く、21日で出荷実績がある日が半数以下の場合、21日とし、上記以外は30日とする。
【0071】
算出部13は、例えば、出荷情報データベース31に基づき、直前から1週間単位で出荷実績がある日を出荷実績回数と算出する。その結果、
図11の例では、7日で出荷実績回数が半数よりも多く、14日、21日、30日で出荷実績回数が半数以下であったとする。この場合、判定部14は、出荷実績回数が半数以下になった最短の期間である14日を、第1の期間に設定する。
【0072】
以上に説明したように、本実施形態に係る在庫管理システムでは、過少閾値及び過剰閾値の設定を自動化する。また、過少過剰判定に使用する第1の期間の設定を自動化する。これにより、最新の在庫状況に合わせて過少閾値及び過剰閾値と、過少過剰判定に使用する第1の期間とを更新できる。これにより、ユーザ毎に在庫状況に合致した、過少閾値及び過剰閾値と、過少過剰判定に使用する第1の期間とを用いた在庫管理を行うことができる。また、過少閾値及び過剰閾値の設定と、過少過剰判定に使用する第1の期間の設定とを自動化することで在庫管理の処理の負荷を軽減することができる。
【0073】
算出した第1の期間での過少在庫及び過剰在庫の割合と、第1の期間内に開催されるイベント情報とを紐付けして表示することも可能である。これによれば、時系列の過少、過剰状態の判定結果の情報とイベント情報とを可視化して関連をわかりやすく表示することができる。これにより、ユーザは、イベントを考慮して在庫の過少、過剰状態に対する対応を行うことができる。
【0074】
図12は、一実施形態に係る在庫の過少状態の割合とイベント情報とを紐付けて端末装置20のディスプレイ211に表示した図である。
図12の例では、イベント情報データベース32に、商品コード、カテゴリ、イベント名、開始日付、終了日付の各項目が記憶されている。これにより、商品コード及びカテゴリに基づき、イベント名、開始日付、終了日付などのイベント情報と、在庫の過少、過剰状態の判定結果とを紐づけて表示できる。これにより、在庫の過少、過剰の状態又は割合とイベントとの関連性を可視化することができる。なお、
図12では、過少在庫の結果を可視化した画面例を示したが、これに限られず、過剰在庫の結果及び過少割合及び過剰割合を可視化してもよい。
【0075】
以上の説明では、一品目について過少、過剰状態の結果を可視化する表示方法の一例を示したが、商品の品目が多い場合には、過少割合又は過剰割合の高い品目から優先的にリストに表示して、ユーザに提示してもよい。ユーザは、過少割合又は過剰割合の高い品目から優先的に、生産量を増やす、在庫数を増やす等の対策を迅速に取ることができる。なお、表示制御部15は、ユーザが検索したいカテゴリを絞って在庫の過少、過剰状態の検索を行なった場合には、そのカテゴリに絞った品目のリストを表示してもよい。サーバ10側にも過少、過剰状態の判定結果を表示することができる。なお、本実施形態に係る在庫管理方法は、製造業、小売り、流通業等、在庫を有する業務を有する全てのユーザが好適に利用できる。
【0076】
以上に説明したように、一実施形態に係る在庫管理システムによれば、ユーザ毎の在庫状況に合致した過少閾値及び過剰閾値と、ユーザ毎の在庫状況に合致した過少過剰判定に使用する第1の期間とを用いた在庫管理を行うことができる。
【0077】
以上、在庫管理プログラム、在庫管理方法及び在庫管理システムを上記実施形態により説明したが、本開示に係る在庫管理プログラム、在庫管理方法及び在庫管理システムは上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記実施形態及び変形例が複数存在する場合、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0078】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから、連続する複数の単位期間を含む第1の期間における在庫日数を算出する処理と、
在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する処理と、
前記在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する処理と、
をコンピュータに実行させる在庫管理プログラム。
(付記2)
前記第1の期間を、予め定められた複数の候補期間から、各候補期間内の出荷数が1以上の日の割合に基づき決定する処理を有する、
付記1に記載の在庫管理プログラム。
(付記3)
前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを表示する処理を有する、
付記1又は2に記載の在庫管理プログラム。
(付記4)
前記品目の在庫が過少である割合及び/又は前記品目の在庫が過多である割合とイベント情報とを紐付けて表示する処理を有する、
付記3に記載の在庫管理プログラム。
(付記5)
前記過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められる、
付記1~4のいずれか一項に記載の在庫管理プログラム。
(付記6)
処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから、連続する複数の単位期間を含む第1の期間における在庫日数を算出する処理と、
在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する処理と、
前記在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する処理と、
をコンピュータが実行する在庫管理方法。
(付記7)
前記第1の期間を、予め定められた複数の候補期間から、各候補期間内の出荷数が1以上の日の割合に基づき決定する処理を有する、
付記6に記載の在庫管理方法。
(付記8)
前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを表示する処理を有する、
付記6又は7に記載の在庫管理方法。
(付記9)
前記品目の在庫が過少である割合及び/又は前記品目の在庫が過多である割合とイベント情報とを紐付けて表示する処理を有する、
付記8に記載の在庫管理方法。
(付記10)
前記過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められる、
付記6~9のいずれか一項に記載の在庫管理方法。
(付記11)
処理対象の品目についての単位期間毎の在庫数と出荷数とから、連続する複数の単位期間を含む第1の期間における在庫日数を算出し、
在庫が過少か否かを判別する所定の過少基準値及び/又は在庫が過多か否かを判別する所定の過剰基準値と、前記第1の期間とは異なる第2の期間における前記在庫日数の統計値と、前記第2の期間における前記出荷数の統計値とに基づき、前記品目についての在庫が過少か否かを判別する第1の閾値及び/又は前記品目についての在庫が過多か否かを判別する第2の閾値を算出する算出部と、
前記在庫日数と前記第1の閾値及び/又は前記第2の閾値とに基づき、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを判定する判定部と、
を有する在庫管理システム。
(付記12)
前記判定部は、前記第1の期間を、予め定められた複数の候補期間から、各候補期間内の出荷数が1以上の日の割合に基づき決定する、
付記11に記載の在庫管理システム。
(付記13)
前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かを表示する表示制御部を有する、
付記11又は12に記載の在庫管理システム。
(付記14)
前記表示制御部は、前記品目の在庫が過少である割合及び/又は前記品目の在庫が過多である割合とイベント情報とを紐付けて表示する、
付記13に記載の在庫管理システム。
(付記15)
前記過少基準値及び/又は過剰基準値は、前記品目の在庫が過少及び/又は過多か否かの判定結果を利用するユーザ毎に定められる、
付記11~14のいずれか一項に記載の在庫管理システム。
【符号の説明】
【0079】
1 在庫管理システム
10 サーバ
11 通信部
12 受付部
13 算出部
14 判定部
15 表示制御部
16 記憶部
20 端末装置
21 操作部
22 通信部
23 制御部
24 表示部
25 記憶部
30 在庫情報データベース
31 出荷情報データベース
32 イベント情報データベース