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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/68 20060101AFI20240109BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20240109BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H3/68
B65H3/52 330Z
G03G15/00 407
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019167686
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021042072
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 豊英
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-203071(JP,A)
【文献】特開2017-105635(JP,A)
【文献】特開2007-137559(JP,A)
【文献】実開昭60-180242(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0142561(US,A1)
【文献】特開平05-124753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部から送り出された被搬送材を搬送する搬送ロールと、
前記搬送ロールとで該被搬送材を挟み込み、該被搬送材の重送を抑制する挟込部と、
前記挟込部に対する搬送方向上流側に配置され、前記挟込部に対する前記搬送ロール側を向く第一搬送路面であって、前記搬送ロールと前記挟込部との挟込ラインよりも前記搬送ロール側に突出する頂部を有する前記第一搬送路面と、
前記挟込部に対する搬送方向下流側に配置され、前記挟込部に対する前記搬送ロール側を向く第二搬送路面であって、前記挟込ラインよりも前記搬送ロール側に突出する頂部を有する前記第二搬送路面と、
を備え
前記第一搬送路面は、
前記頂部から搬送方向下流側へ向かうに連れて、前記搬送ロールに対する挟込部側へ傾斜し、且つ、前記挟込ラインよりも前記挟込部側に達する勾配を有する
搬送装置。
【請求項2】
前記第一搬送路面は、
前記頂部に対する搬送方向上流側で、前記搬送ロールに対する前記挟込部側へ凹む底部を有する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第一搬送路面は、
前記底部が、前記挟込ラインよりも前記挟込部側に配置されている
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第二搬送路面は、
前記頂部に対する搬送方向下流側で、前記搬送ロールに対する前記挟込部側へ凹む底部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第二搬送路面は、
前記底部が、前記挟込ラインよりも前記挟込部側に配置されている
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第二搬送路面は、
前記底部に対する搬送方向下流側で、前記挟込部に対する前記搬送ロール側へ張り出す張出部を有する請求項4又は5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第二搬送路面は、
前記張出部が、前記挟込ラインよりも前記搬送ロール側に配置されている
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第二搬送路面に対向して配置され、前記第二搬送路面の前記頂部から前記底部にかけて、前記第二搬送路面との距離が大きくなる第三搬送路面、
を備える請求項4~7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記第二搬送路面に対する搬送方向下流側であって、前記挟込部に対する前記搬送ロール側に配置された搬送部材、を備え、
前記第二搬送路面の頂部は、前記第一搬送路面の頂部よりも、前記搬送ロール側に配置されている
請求項1~8のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置において前記挟込部に対する搬送方向下流側に配置された搬送路面の搬送方向下流側に配置され、被搬送材に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シート材の上面と接触して当該シート材を所定の搬送経路に沿って下流側に給送する給送部材と、前記給送部材と対向し前記搬送経路を挟む位置に配設されて前記シート材の下面と接触する摩擦分離部材と、前記給送部材と前記摩擦分離部材との間に形成された分離ニップ部の上流側において前記シート材の前端部を前記分離ニップ部に向けてガイドするガイド面を有するガイド板とを備えたシート給送装置において、前記搬送経路の搬送方向と直角を成す幅方向における前記ガイド板の中央部に、前記分離ニップ部の上流側に位置し前記搬送経路側に開いた切り欠き部を形成したことを特徴とするシート給送装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、給紙トレイと、該給紙トレイの給紙方向先側に設置された給紙ローラと、該給紙ローラに弾接する分離パッドとを備えた分離給紙装置であって、上記分離パッドの給紙ローラとのニップ部より給紙方向上流側部の表面には、用紙の滑り抵抗の小さなフィルムを貼着し、且つ分離パッドの上記ニップ部より下流側部を、給紙ローラの曲率半径より小さな曲率半径で湾曲形成し、給紙ローラに対して圧縮変形した状態で弾接させるようにしたことを特徴とする分離給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-171938号公報
【文献】特開2008-94523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、搬送装置としては、収容部から送り出された被搬送材を搬送する搬送ロール(例えばフィードロール)と、搬送ロールとで該被搬送材を挟み込み該被搬送材の重送を抑制する挟込部(例えばリタードロール)と、を有する搬送装置が考えられる。当該搬送装置において、挟込部に対する搬送方向上流側に配置され、挟込部に対する搬送ロール側を向く第一搬送路面の全体と、挟込部に対する搬送方向下流側に配置され、挟込部に対する搬送ロール側を向く第二搬送路面の全体とが、搬送ロールと挟込部との挟込ラインよりも挟込部側に配置された構成では、被搬送材が搬送ロールに押し付けられず、搬送ロールの搬送能力が不足する場合がある。
【0006】
なお、挟込ラインとは、搬送ロールと挟込部との接触点と搬送ロールの中心とを結ぶ線に対する垂線であって、当該接触点を通る垂線をいう。搬送ロールと挟込部とが搬送方向に幅を有して接触する場合には、その接触領域における搬送方向の中央点が接触点である。
【0007】
本発明は、第一搬送路面及び第二搬送路面の全体が挟込ラインよりも挟込部側に配置された構成に比べ、搬送ロールの搬送能力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様は、収容部から送り出された被搬送材を搬送する搬送ロールと、前記搬送ロールとで該被搬送材を挟み込み、該被搬送材の重送を抑制する挟込部と、前記挟込部に対する搬送方向上流側に配置され、前記挟込部に対する前記搬送ロール側を向く第一搬送路面であって、前記搬送ロールと前記挟込部との挟込ラインよりも前記搬送ロール側に突出する頂部を有する前記第一搬送路面と、前記挟込部に対する搬送方向下流側に配置され、前記挟込部に対する前記搬送ロール側を向く第二搬送路面であって、前記挟込ラインよりも前記搬送ロール側に突出する頂部を有する前記第二搬送路面と、を備える搬送装置である。
【0009】
第2態様は、前記第一搬送路面は、前記頂部に対する搬送方向上流側で、前記搬送ロールに対する前記挟込部側へ凹む底部を有する第1態様に係る搬送装置である。
【0010】
第3態様は、前記第一搬送路面は、前記底部が、前記挟込ラインよりも前記挟込部側に配置されている請求第2態様に係る搬送装置である。
【0011】
第4態様は、前記第二搬送路面は、前記頂部に対する搬送方向下流側で、前記搬送ロールに対する前記挟込部側へ凹む底部を有する第1態様から第3態様までのいずれか1つの態様に係る搬送装置である。
【0012】
第5態様は、前記第二搬送路面は、前記底部が、前記挟込ラインよりも前記挟込部側に配置されている第4態様に係る搬送装置である。
【0013】
第6態様は、前記第二搬送路面は、前記底部に対する搬送方向下流側で、前記挟込部に対する前記搬送ロール側へ張り出す張出部を有する第4態様又は第5態様に係る搬送装置である。
【0014】
第7態様は、前記第二搬送路面は、前記張出部が、前記挟込ラインよりも前記搬送ロール側に配置されている第6態様に係る搬送装置である。
【0015】
第8態様は、前記第二搬送路面に対向して配置され、前記第二搬送路面の前記頂部から前記底部にかけて、前記第二搬送路面との距離が大きくなる第三搬送路面、を備える第4態様から第7態様までのいずれか1つの態様に係る搬送装置である。
【0016】
第9態様は、前記第二搬送路面に対する搬送方向下流側であって、前記挟込部に対する前記搬送ロール側に配置された搬送部材、を備え、前記第二搬送路面の頂部は、前記第一搬送路面の頂部よりも、前記搬送ロール側に配置されている第1態様から第8態様までのいずれか1つの態様に係る搬送装置である。
【0017】
第10態様は、収容部から送り出された被搬送材を搬送する搬送ロールと、前記搬送ロールとで該被搬送材を挟み込み、該被搬送材の重送を抑制する挟込部と、前記挟込部に対する搬送方向上流側及び搬送方向下流側に配置され、前記被搬送材の姿勢を、前記挟込部に対する被搬送材の接触面積よりも前記搬送ロールに対する被搬送材の接触面積が大きくなる姿勢にさせる搬送路面と、を備える搬送装置である。
【0018】
第11態様は、第1態様から第10態様までのいずれか1つの態様に係る搬送装置と、前記搬送装置において前記挟込部に対する搬送方向下流側に配置された搬送路面の搬送方向下流側に配置され、被搬送材に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
第1態様の構成によれば、第一搬送路面及び第二搬送路面の全体が挟込ラインよりも挟込部側に配置された構成に比べ、搬送ロールの搬送能力が向上する。
【0020】
第2態様の構成によれば、第一搬送路面の頂部から搬送方向上流側へ向かって高さが一定である構成に比べ、搬送ロールの搬送能力が向上する。
【0021】
第3態様の構成によれば、第一搬送路面の底部が、挟込ラインよりも搬送ロール側に配置される構成に比べ、搬送ロールの搬送能力が向上する。
【0022】
第4態様の構成によれば、第二搬送路面の頂部から搬送方向下流側へ向かって高さが一定である構成に比べ、搬送ロールの搬送能力が向上する。
【0023】
第5態様の構成によれば、第二搬送路面の底部が、挟込ラインよりも搬送ロール側に配置される構成に比べ、搬送ロールの搬送能力が向上する。
【0024】
第6態様の構成によれば、第二搬送路面が頂部及び底部のみを有する構成に比べ、被搬送材が搬送ロール側へ偏って凸状に変形することが抑制される。
【0025】
第7態様の構成によれば、第二搬送路面の張出部が、挟込ラインよりも挟込部側に配置される構成に比べ、被搬送材が搬送ロール側へ凸状に変形することが抑制される。
【0026】
第8態様の構成によれば、第二搬送路面の頂部から底部にかけて、第三搬送路面と前記第二搬送路面との距離が一定である構成に比べ、被搬送材の搬送不良が抑制される。
【0027】
第9態様の構成によれば、第二搬送路面の頂部が、第一搬送路面の頂部と同じ高さである構成に比べ、搬送部材側へ向かって被搬送材を搬送できる。
【0028】
第10態様の構成によれば、被搬送材の姿勢を、搬送ロールに対する被搬送材の接触面積が挟込部に対する被搬送材の接触面積以下になる姿勢にさせる構成に比べ、搬送ロールの搬送能力が向上する。
【0029】
第11態様の構成によれば、第一搬送路面及び第二搬送路面の全体が挟込ラインよりも挟込部側に配置された搬送装置を用いる構成に比べ、画像不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る搬送装置の一部の構成を示す概略図である。
図3図2に示される搬送装置の一部の構成において、送出ロールが記録媒体を搬送する状態を示す概略図である
図4】本実施形態に係る搬送装置の一部の構成において、2つの頂部による作用を説明するための概略図である。
図5】2つの頂部を有さない比較例の構成を示す概略図である。
図6】本実施形態に係る搬送装置の一部の構成において、ニップ領域に対する搬送方向上流側の底部による作用を説明するための概略図である。
図7】ニップ領域に対する搬送方向上流側の底部を有さない場合の構成を示す概略図である。
図8】本実施形態に係る搬送装置の一部の構成において、ニップ領域に対する搬送方向下流側の底部による作用を説明するための概略図である。
図9】ニップ領域に対する搬送方向下流側の底部を有さない場合の構成を示す概略図である。
図10】本実施形態に係る搬送装置の一部の構成において、張出部による作用を説明するための概略図である。
図11】張出部を有さない場合の構成を示す概略図である。
図12】ニップ領域に対する搬送方向下流側の上下の搬送路面の距離が一定である構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0032】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0033】
図1に示される画像形成装置10は、被搬送材の一例としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、第一収容部12と、第二収容部19と、排出部13と、搬送装置15と、画像形成部14と、定着装置16と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(第一収容部12、第二収容部19、排出部13、搬送装置15、画像形成部14、定着装置16)について説明する。
【0034】
(第一収容部12、第二収容部19、排出部13及び搬送装置15)
第一収容部12及び第二収容部19は、用紙等の記録媒体Pを収容する機能を有している。第一収容部12は、箱状に形成されている。この第一収容部12には、記録媒体Pが積載された状態で収容される。
【0035】
第二収容部19は、いわゆる手差しトレイである。この第二収容部19は、画像形成装置10の装置本体11の側面11Aに沿った姿勢となる位置(図1において二点鎖線で示す位置)と、側面11Aから張り出した姿勢となる位置(図1において実線で示す位置)と、の間を移動可能に装置本体11に支持されている。第二収容部19には、記録媒体Pが積載された状態で収容される。なお、第二収容部19は、収容部の一例である。
【0036】
排出部13は、記録媒体Pが排出される部分である。搬送装置15は、記録媒体Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送装置15は、第一収容部12及び第二収容部19から選択的に画像形成部14(具体的には後述の二次転写位置T2)、定着装置16、排出部13へ記録媒体Pを搬送する機能を有している。この搬送装置15が記録媒体Pを搬送する方向を、以下「搬送方向」という。また、搬送装置15の具体的な構成については、後述する。
【0037】
(画像形成部14)
画像形成部14は、トナー画像(画像の一例)を記録媒体Pに形成する機能を有している。この画像形成部14は、搬送装置15の後述の第二搬送路面222に対する搬送方向下流側に配置されている。具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、転写装置17と、を有している。
【0038】
(トナー像形成部22)
図1に示されるトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0039】
各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、図1ではトナー像形成部22(Y)の各部に符号を付している。
【0040】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32(感光体)を有している。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置36と、現像装置38と、を有している。
【0041】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置36が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0042】
(転写装置17)
図1に示される転写装置17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置17は、図1に示されるように、中間転写体としての転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写ロール28と、を備えている。
【0043】
転写ベルト24は、複数のロール42に巻き掛けられた環状のベルトで構成されている。この転写ベルト24は、複数のロール42のいずれかが回転駆動することで、一方向(例えば図1における時計回り方向)へ周回する。
【0044】
転写装置17では、一次転写ロール26が、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて、転写ベルト24に重ねて一次転写する。
【0045】
転写ベルト24に一次転写されたトナー像は、転写ベルト24が周回することで、二次転写ロール28と転写ベルト24との間の二次転写位置T2へ搬送される。そして、二次転写ロール28が、二次転写位置T2へ搬送されるトナー像を記録媒体Pに二次転写する。
【0046】
なお、画像形成部14の構成としては、上記構成に限らない。例えば、画像形成部14の構成としては、転写ベルト24を介さずに、感光体ドラム32から直接、記録媒体Pに転写する構成であってもよい。この場合では、例えば、単色のトナー画像が記録媒体Pに転写される。
【0047】
(定着装置16)
図1に示される定着装置16は、二次転写ロール28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。さらに具体的には、定着装置16は、図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール68と、加圧部材としての加圧ロール69と、を有している。定着装置16では、加熱ロール68及び加圧ロール69によって、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0048】
(搬送装置15の具体的な構成)
搬送装置15は、具体的には、図1に示されるように、送出ロール71と、搬送ロール対72、73、74と、レジストロール対75と、搬送ロール対76と、排出ロール対77と、を有している。
【0049】
送出ロール71は、第一収容部12に収容された記録媒体Pを送り出すロールである。搬送ロール対72、73、74は、第一収容部12から送り出された記録媒体Pをレジストロール対75へ向けて搬送するロールである。この搬送ロール対72、73、74は、搬送方向下流側に向かって、この順で配置されている。なお、搬送ロール対74の具体的な構成については後述する。
【0050】
レジストロール対75は、二次転写位置T2に記録媒体Pを搬送するロールである。具体的には、レジストロール対75は、二次転写位置T2へ転写ベルト24によって搬送されるトナー像の搬送タイミングに合わせて、二次転写位置T2に記録媒体Pを搬送する。
【0051】
図1に示される搬送ロール対76は、定着装置16から搬送された記録媒体Pを排出ロール対77へ搬送するロールである。なお、レジストロール対75によって二次転写位置T2へ搬送された記録媒体Pは、二次転写ロール28と転写ベルト24とで定着装置16へ搬送される。さらに、定着装置16に搬送された記録媒体Pは、定着装置16の加熱ロール68と加圧ロール69とで搬送ロール対76へ搬送される。したがって、二次転写ロール28及び転写ベルト24と、加熱ロール68及び加圧ロール69とは、記録媒体Pを搬送する搬送装置15の一部を構成しているともいえる。排出ロール対77は、搬送ロール対76から搬送された記録媒体Pを排出部13へ排出する。
【0052】
搬送装置15では、第一収容部12に収容された記録媒体Pを、送出ロール71、搬送ロール対72、73、74、レジストロール対75、搬送ロール対76及び排出ロール対77で、画像形成部14(具体的には二次転写位置T2)及び定着装置16を経由して、排出部13へ搬送する。
【0053】
本実施形態では、搬送装置15は、搬送ロール対72、73、74、レジストロール対75、搬送ロール対76及び排出ロール対77の各ロールの間に配置された搬送ガイド等の案内部(図示省略)を有している。これにより、記録媒体Pが予め定められた搬送経路にて搬送される。また、当該各ロールは、一対のロールで構成されており、当該一対のロールの一方が駆動される構成とされている。
【0054】
さらに、搬送装置15は、図1に示されるように、送出ロール121と、支持部122と、駆動ロール125と、分離ロール126と、第一案内部210と、第二案内部220と、第三案内部230と、を有している。以下、送出ロール121、支持部122、駆動ロール125、分離ロール126、搬送ロール対74、第一案内部210、第二案内部220及び第三案内部230の各構成部について説明する。
【0055】
(送出ロール121及び支持部122)
送出ロール121は、第二収容部19に収容された記録媒体Pを送り出すロールである。支持部122は、図2に示されるように、一端部122A(具体的には、搬送方向下流端部であり、図2の右端部)が駆動ロール125の軸部に揺動可能に支持されている。送出ロール121は、支持部122の他端部122B(具体的には、搬送方向上流端部であり、図2の左端部)に取り付けられている。
【0056】
そして、支持部122は、駆動部(図示省略)に駆動されることで、一端部122Aを揺動中心にして、他端部122Bが駆動ロール125の軸周りに揺動する。これにより、送出ロール121が、第二収容部19に収容された記録媒体Pに接触する接触位置(図2において二点鎖線で示す位置、図3に示す位置)と、当該記録媒体Pから離間する離間位置(図2において実線で示す位置)との間を移動する。
【0057】
送出ロール121は、図3に示されるように、第二収容部19に収容された記録媒体Pの上面に接触した状態で図3における反時計回り方向へ回転することで、記録媒体Pを第二収容部19から図3における右方へ送り出す。
【0058】
(駆動ロール125及び分離ロール126)
駆動ロール125は、搬送ロールの一例である。この駆動ロール125は、第二収容部19から送り出された記録媒体Pを搬送する搬送ロールである。具体的には、駆動ロール125は、駆動部(図示省略)によって、搬送方向に交差する方向(具体的には直交する方向であり、図3の紙面の奥行方向)を軸方向として、この軸周りに、図3における反時計回り方向へ回転する駆動ロールである。
【0059】
分離ロール126は、挟込部の一例である。この分離ロール126は、駆動ロール125とで記録媒体Pを挟み込み、記録媒体Pの重送を以下のように抑制する機能を有している。具体的には、分離ロール126は、搬送方向に交差する方向(具体的には直交する方向であり、図3の紙面の奥行方向)を軸方向として、この軸周りに、図3における時計回り方向へ回転する従動ロールである。
【0060】
さらに具体的には、分離ロール126は、駆動ロール125の下側に対向して配置されている。これにより、駆動ロール125と分離ロール126との間に、第二収容部19から送り出された記録媒体Pを挟み込む挟込領域(以下、ニップ領域N1という)が形成される。さらに、分離ロール126の軸部には、トルクリミッター(図示省略)が取り付けられている。
【0061】
搬送装置15では、ニップ領域N1に記録媒体Pが送られると、駆動ロール125が、記録媒体Pの前端側(すなわち搬送方向下流側)の上面(表面)に接触して回転駆動することにより、記録媒体Pを搬送方向下流へ搬送する。一方、分離ロール126の外周面に記録媒体Pが接触し、この記録媒体Pとの摩擦によって、分離ロール126へ予め定められた回転力が付与された場合に、分離ロール126は従動し始める。分離ロール126へ予め定められた回転力が付与されるまでは、分離ロール126は、回転負荷を生じるブレーキとして機能する。
【0062】
そして、分離ロール126がブレーキとして機能することにより、複数枚の記録媒体Pが重なってニップ領域N1に導入された場合に、その記録媒体Pへ下面側(裏面側)から搬送抵抗を付与して、駆動ロール125が搬送する記録媒体Pの重送を防止する。
【0063】
このように、第二収容部19からニップ領域N1へ複数の記録媒体Pが重なって送り出されると、駆動ロール125が上側の記録媒体P(1枚目の記録媒体P)へ搬送力を付与する一方、下側の記録媒体P(2枚目以降の記録媒体P)へは、分離ロール126が、搬送抵抗を付与する。すなわち、駆動ロール125と分離ロール126とで、重なった記録媒体Pを分離して(さばいて)、記録媒体Pを一枚ずつ搬送する。
【0064】
(搬送ロール対74)
図3に示される搬送ロール対74は、搬送部材の一例である。搬送ロール対74は、前述のように、互いに対向した一対のロールで構成されている。これにより、搬送ロール対74の間に、駆動ロール125から搬送された記録媒体Pを挟み込む挟込領域(以下、ニップ領域N2という)が形成される。
【0065】
搬送ロール対74は、第二案内部220に対する搬送方向下流側であって、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には上方側)に配置されている。具体的には、搬送ロール対74のニップ領域N2が分離ロール126に対する駆動ロール125側に配置されている。さらに具体的には、搬送ロール対74のニップ領域N2が、挟込ラインLAに対する上方側に配置されている。
【0066】
換言すれば、搬送ロール対74のニップ領域N2は、駆動ロール125と分離ロール126とのニップ領域N1よりも駆動ロール125側(具体的には上方側)に配置されている。これにより、記録媒体Pはニップ領域N1からニップ領域N2に向けて斜め上方へ搬送される。なお、搬送ロール対74の下側のロールの一部は、挟込ラインLAに対する下方側に位置している。
【0067】
そして、搬送装置15では、第二収容部19に収容された記録媒体Pを、送出ロール121、駆動ロール125、分離ロール126、搬送ロール対74、レジストロール対75、搬送ロール対76及び排出ロール対77で、画像形成部14(具体的には二次転写位置T2)及び定着装置16を経由して、排出部13へ搬送する。
【0068】
(第一案内部210)
第一案内部210は、図3に示されるように、分離ロール126に対する搬送方向上流側に配置され、搬送される記録媒体Pをニップ領域N1へ案内する機能を有している。具体的には、第一案内部210は、送出ロール121に対する搬送方向下流側であって、分離ロール126に対する搬送方向上流側に配置されている。
【0069】
第一案内部210は、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には上方側)を向く第一搬送路面211を有している。第一案内部210では、送出ロール121によって第二収容部19(図1参照)から送り出され且つ搬送されている記録媒体Pを、第一搬送路面211がニップ領域N1へ案内する。
【0070】
さらに、第一搬送路面211は、駆動ロール125と分離ロール126との挟込ラインLAよりも駆動ロール125側(具体的には上方側)に突出する頂部213を有している。なお、第一搬送路面211は、搬送路面の一例である。
【0071】
ここで、挟込ラインLAとは、駆動ロール125と分離ロール126との接触点S1と、駆動ロール125の中心125Aと、を結ぶ線LSに対する垂線であって、接触点S1を通る垂線をいう。駆動ロール125と分離ロール126とが搬送方向に幅を有して接触する場合には、その接触領域における搬送方向の中央点が接触点S1である。なお、線LSは、駆動ロール125の中心125Aと分離ロール126の中心126Aを結ぶ線ともいえる。なお、各図では、挟込ラインLAとの位置関係をわかりやすくするため、第一案内部210及び第二案内部220の凹凸を誇張して示している部分がある。
【0072】
第一搬送路面211は、頂部213から搬送方向下流側へ向かうに連れて、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)へ下る下り勾配を有している。この下り勾配は、徐々に下っており、挟込ラインLAに対する下方側まで達している。
【0073】
さらに、第一搬送路面211は、頂部213に対する搬送方向上流側で、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)へ凹む底部215を有している。この底部215は、挟込ラインLAよりも分離ロール126側(具体的には下方側)に配置されている。
【0074】
換言すれば、第一搬送路面211は、頂部213から底部215へ向かうに連れて挟込ラインLAに対する下方側へ下る下り勾配を有している。さらに換言すれば、第一搬送路面211は、底部215から頂部213へ向かうに連れて挟込ラインLAに対する上方側へ上る上り勾配を有している。この上り勾配は、徐々に上っている。
【0075】
(第二案内部220)
第二案内部220は、分離ロール126に対する搬送方向下流側に配置され、搬送される記録媒体Pを搬送ロール対74(具体的にはニップ領域N2)へ案内する機能を有している。具体的には、第二案内部220は、分離ロール126に対する搬送方向下流側であって、搬送ロール対74に対する搬送方向上流側に配置されている。
【0076】
第二案内部220は、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には上方側)を向く第二搬送路面222を有している。第二案内部220では、駆動ロール125によって搬送されている記録媒体Pを、第二搬送路面222が搬送ロール対74(具体的にはニップ領域N2)へ案内する。
【0077】
さらに、第二搬送路面222は、駆動ロール125と分離ロール126との挟込ラインLAよりも駆動ロール125側(具体的には上方側)に突出する頂部223を有している。なお、第二搬送路面222は、搬送路面の一例である。
【0078】
第二搬送路面222は、頂部223から搬送方向上流側へ向かうに連れて、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)へ下る下り勾配を有している。この下り勾配は、徐々に下っており、挟込ラインLAに対する下方側まで達している。
【0079】
また、第二搬送路面222は、頂部223に対する搬送方向下流側で、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)へ凹む底部225を有している。この底部225は、挟込ラインLAよりも分離ロール126側(具体的には下方側)に配置されている。
【0080】
換言すれば、第二搬送路面222は、頂部223から底部225へ向かうに連れて挟込ラインLAに対する下方側へ下る下り勾配を有している。さらに換言すれば、第二搬送路面222は、底部225から搬送方向上流側へ向かうにつれて挟込ラインLAに対する上方側へ上る上り勾配を有している。当該上り勾配は、徐々に上っている。
【0081】
さらに、第二搬送路面222は、底部225に対する搬送方向下流側で、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には上方側)へ張り出す張出部227を有している。この張出部227は、挟込ラインLAよりも駆動ロール125側(具体的には上方側)に配置されている。
【0082】
換言すれば、第二搬送路面222は、底部225から張出部227へ向かうに連れて挟込ラインLAに対する上方側へ上る上り勾配を有している。当該上り勾配は、徐々に上っている。
【0083】
さらに、第二搬送路面222の頂部223は、第一搬送路面211の頂部213よりも、駆動ロール125側(具体的には上方側)に配置されている。これにより、記録媒体Pは、概略、頂部213から頂部223に向けて斜め上方へ搬送される。
【0084】
(第三案内部230)
第三案内部230は、第二案内部220に対向して配置されている。すなわち、第三案内部230は、駆動ロール125に対する搬送方向下流側であって、搬送ロール対74に対する搬送方向上流側に配置されている。
【0085】
第三案内部230は、第二搬送路面222に対向して配置された第三搬送路面233を有している。すなわち、第三搬送路面233は、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)を向いている。
【0086】
第三搬送路面233は、第二搬送路面222の頂部223から底部225にかけて、第二搬送路面222との距離が大きくなっている。すなわち、第三搬送路面233と第二搬送路面222の頂部223との最端距離L1よりも、第三搬送路面233と第二搬送路面222の底部225との最端距離L2が大きくなっている。
【0087】
具体的には、第二搬送路面222が頂部223から底部225へ向かうに連れて挟込ラインLAに対する下方側へ下る下り勾配を有するのに対して、第三搬送路面233は、頂部223から底部225までの範囲で対向する対向部分において、第二搬送路面222から離れる方向の勾配を有している。さらに具体的には、第三搬送路面233は、当該対向部分において、挟込ラインLAに対する上方側へ上る上り勾配を有している。
【0088】
さらに具体的には、第三搬送路面233は、線LSに沿った方向における高低差(すなわち最高値と最低値の差)が、第二搬送路面222よりも小さくされている。すなわち、第三搬送路面233は、挟込ラインLAに沿った平面に近い路面で構成されている。
【0089】
(本実施形態に係る作用)
図1に示される画像形成装置10では、図3に示されるように、第二収容部19に収容された記録媒体Pが送出ロール121によって、第二収容部19から送り出される。第二収容部19から送り出された記録媒体Pは、ニップ領域N1に導入され、駆動ロール125によって、搬送ロール対74へ搬送される。
【0090】
本実施形態では、分離ロール126がブレーキとして機能することにより、複数枚の記録媒体Pが重なってニップ領域N1に導入された場合に、その記録媒体Pへ下面側(裏面側)から搬送抵抗を付与して、駆動ロール125が搬送する記録媒体Pの重送を防止する。
【0091】
このように、第二収容部19からニップ領域N1へ複数の記録媒体Pが重なって送り出されると、駆動ロール125が上側の記録媒体P(1枚目の記録媒体P)へ搬送力を付与する一方、下側の記録媒体P(2枚目以降の記録媒体P)へは、分離ロール126が、搬送抵抗を付与する。すなわち、駆動ロール125と分離ロール126とで、重なった記録媒体Pを分離して(さばいて)、記録媒体Pを一枚ずつ搬送する。
【0092】
そして、本実施形態では、第一案内部210の第一搬送路面211が、送出ロール121によって第二収容部19から送り出され且つ搬送されている記録媒体Pをニップ領域N1へ案内する。また、駆動ロール125によって搬送されている記録媒体Pを、第二案内部220の第二搬送路面222が搬送ロール対74(具体的にはニップ領域N2)へ案内する。
【0093】
ここで、本実施形態では、第一搬送路面211は、駆動ロール125と分離ロール126との挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に突出する頂部213を有している。また、第二搬送路面222は、駆動ロール125と分離ロール126との挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に突出する頂部223を有している。
【0094】
これにより、図4に示されるように、ニップ領域N1に対する搬送方向の上流側及び下流側において、搬送される記録媒体Pが挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に持ち上げられる(矢印X1、矢印X2参照)。このため、記録媒体Pが駆動ロール125に押し付けられる(矢印X3参照)。これにより、記録媒体Pは、分離ロール126に対する接触面積よりも、駆動ロール125に対する接触面積が大きくなる。
【0095】
換言すれば、本実施形態は、第一搬送路面211及び第二搬送路面222が、記録媒体Pの姿勢を、分離ロール126に対する記録媒体Pの接触面積よりも駆動ロール125に対する記録媒体Pの接触面積が大きくなる姿勢にさせるともいえる。なお、図4図12の各図では、記録媒体Pの一部を示している。
【0096】
ここで、図5に示されるように、第一搬送路面211及び第二搬送路面222の全体が挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置された構成(以下、第1構成という)では、記録媒体Pが駆動ロール125に押し付けらず、記録媒体Pは、駆動ロール125に対する接触面積が、分離ロール126に対する接触面積以下となる。すなわち、第1構成は、記録媒体Pの姿勢を、駆動ロール125に対する接触面積が、分離ロール126に対する接触面積以下となる姿勢にさせる構成ともいえる。
【0097】
これに対して、本実施形態では、記録媒体Pは、分離ロール126に対する接触面積よりも、駆動ロール125に対する接触面積が大きくなるので、第1構成に比べ、駆動ロール125の搬送力が記録媒体Pに伝達され、駆動ロール125の搬送能力が向上する。すなわち、本実施形態によれば、第1構成に比べ、駆動ロール125が記録媒体Pを搬送するために必要な搬送力が確保されやすい。
【0098】
また、本実施形態では、第一搬送路面211は、頂部213に対する搬送方向上流側で、駆動ロール125に対する分離ロール126側へ凹む底部215を有している。これにより、底部215から頂部213へ搬送される記録媒体Pが、図6に示されるように、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には斜め上方側)を向いた姿勢となりやすい。
【0099】
ここで、図7に示されるように、第一搬送路面211の頂部213から搬送方向上流側へ向かって高さが一定である構成(以下、第2構成という)では、記録媒体Pは、挟込ラインLAに沿った姿勢で頂部213まで搬送された後、頂部213からニップ領域N1までの下り勾配によって、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には斜め下方側)を向いた姿勢となる。そして、斜め下方側を向いた姿勢で、記録媒体Pがニップ領域N1に導入されると、記録媒体Pが分離ロール126に接触しやすいため、駆動ロール125の駆動力を受けにくい。
【0100】
これに対して、本実施形態では、頂部213へ搬送される記録媒体Pが、斜め上方側を向いた姿勢となるため、第2構成に比べ、斜め上方側を向いた姿勢で、記録媒体Pがニップ領域N1に導入されやすい。これにより、記録媒体Pが駆動ロール125に接触しやすくなり、駆動ロール125の駆動力を受けやすい。この結果、本実施形態によれば、第2構成に比べ、駆動ロール125の搬送力が記録媒体Pに伝達され、駆動ロール125の搬送能力が向上する。
【0101】
さらに、本実施形態では、第一搬送路面211の底部215は、挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置されている。
【0102】
このため、第一搬送路面211の底部215が挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に配置される構成(以下、第3構成という)に比べ、底部215から頂部213へまでの上り勾配の範囲が長くなり又は上り勾配がきつくなり、斜め上方側を向いた姿勢で、記録媒体Pがニップ領域N1に導入されやすい。これにより、本実施形態によれば、第3構成に比べ、記録媒体Pが駆動ロール125に接触しやすくなり、駆動ロール125の駆動力を受けやすい。この結果、本実施形態によれば、第3構成に比べ、駆動ロール125の搬送力が記録媒体Pに伝達され、駆動ロール125の搬送能力が向上する。
【0103】
また、本実施形態では、第二搬送路面222は、頂部223に対する搬送方向下流側で、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)へ凹む底部225を有している。これにより、図8に示されるように、頂部223から底部225へ搬送される記録媒体Pが、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には斜め下方側)を向いた姿勢となりやすい。
【0104】
ここで、図9に示されるように、第二搬送路面222の頂部223から搬送方向下流側へ向かって高さが一定である構成(以下、第4構成という)では、記録媒体Pは、頂部213から搬送方向下流側へ挟込ラインLAに沿った姿勢で搬送される。
【0105】
これに対して、本実施形態では、頂部223から底部225へ搬送される記録媒体Pが、斜め下方側を向いた姿勢となるため、第4構成に比べ、記録媒体Pにおける頂部223よりも後端側(搬送方向上流側)の部分が、頂部223を支点に持ち上がりやすい。これにより、記録媒体Pは、第4構成に比べ、駆動ロール125に押し付けられ、分離ロール126に対する接触面積よりも、駆動ロール125に対する接触面積が大きくなりやすい。この結果、本実施形態によれば、第4構成に比べ、駆動ロール125の搬送力が記録媒体Pに伝達され、駆動ロール125の搬送能力が向上する。
【0106】
さらに、本実施形態では、第二搬送路面222の底部225は、挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置されている。
【0107】
このため、第二搬送路面222の底部225は、挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に配置される構成(以下、第5構成という)に比べ、頂部223から底部225へ搬送される記録媒体Pが、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には斜め下方側)を向いた姿勢となりやすい。したがって、本実施形態によれば、第5構成に比べ、記録媒体Pにおける頂部223よりも後端側(搬送方向上流側)の部分が、頂部223を支点に持ち上がりやすい。これにより、記録媒体Pは、第5構成に比べ、駆動ロール125に押し付けられ、分離ロール126に対する接触面積よりも、駆動ロール125に対する接触面積が大きくなりやすい。この結果、本実施形態によれば、第5構成に比べ、駆動ロール125の搬送力が記録媒体Pに伝達され、駆動ロール125の搬送能力が向上する。
【0108】
また、本実施形態では、第二搬送路面222は、底部225に対する搬送方向下流側で、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には上方側)へ張り出す張出部227を有している。これにより、図10に示されるように、底部225から張出部227へ搬送される記録媒体Pが、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には斜め上方側)を向いた姿勢となるため、記録媒体Pは、底部225において分離ロール126側(具体的には下方側)へ凸状に変形されやすい。
【0109】
ここで、図11に示されるように、第二搬送路面222が頂部223及び底部225のみを有する構成(以下、第6構成という)では、記録媒体Pは、頂部223において駆動ロール125側(具体的には上方側)へ凸状に変形されやすい。
【0110】
これに対して、本実施形態では、記録媒体Pが、頂部223において上方側へ凸状に変形された後、底部225において下方側へ凸状に変形されるため、第6構成に比べ、記録媒体Pが上下方向の一方側(具体的には上方側)へ偏って凸状に変形することが抑制される。また、本実施形態によれば、記録媒体Pが、張出部227によって、上方側を向いた姿勢となるため、第6構成に比べ、分離ロール126に対する上方側に配置された搬送ロール対74へ向かう搬送経路を形成しやすい。
【0111】
さらに、本実施形態では、第二搬送路面222の張出部227は、挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に配置されている。このため、第二搬送路面222の張出部227が、挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置される構成(以下、第7構成という)構成に比べ、底部225から張出部227へ搬送される記録媒体Pが、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には斜め上方側)を向いた姿勢となりやすい。したがって、本実施形態によれば、第7構成に比べ、記録媒体Pが上方側へ凸状に変形することが抑制される。また、本実施形態によれば、記録媒体Pが、第7構成に比べ、上方側を向いた姿勢となりやすいため、分離ロール126に対する上方側に配置された搬送ロール対74へ向かう搬送経路を形成しやすい。
【0112】
また、本実施形態では、図3に示されるように、第三搬送路面233は、第二搬送路面222の頂部223から底部225にかけて、第二搬送路面222との距離が大きくなっている。
【0113】
ここで、図12に示されるように、第二搬送路面222の頂部223から底部225にかけて、第三搬送路面233と第二搬送路面222との距離が一定である構成(以下、第8構成という)では、頂部223から底部225にかけて第二搬送路面222に対向する第三搬送路面233の対向面239が、第二搬送路面222と同じ勾配を有する搬送方向下流側への下り勾配となる。この場合では、第二搬送路面222の頂部223から底部225へ搬送される記録媒体Pが、対向面239に引っ掛かりやすく、記録媒体Pの搬送不良が生じる場合がある。
【0114】
これに対して、本実施形態によれば、第三搬送路面233は、第二搬送路面222の頂部223から底部225にかけて、第二搬送路面222との距離が大きくなっているので、第三搬送路面233の対向面239が、搬送方向下流側への下り勾配とならないか、下り勾配となっても勾配が第二搬送路面222よりも小さくなる。
【0115】
このため、第8構成に比べ、搬送される記録媒体Pが対向面239に引っ掛かりにくく、記録媒体Pの搬送不良が抑制される。
【0116】
また、本実施形態では、第二搬送路面222の頂部223は、第一搬送路面211の頂部213よりも、駆動ロール125側(すなわち上方側)に配置されている。
【0117】
このため、第二搬送路面222の頂部223が、第一搬送路面211の頂部213と同じ高さである構成(以下、第9構成という)に比べ、上方側を向いた姿勢となりやすい(図4参照)。このため、本実施形態によれば、第9構成に比べ、分離ロール126に対する上方側に配置された搬送ロール対74へ向かう搬送経路を形成しやすい。
【0118】
以上のように、本実施形態によれば、駆動ロール125の搬送能力が向上するので、搬送装置15における搬送不良が抑制される。この結果、搬送装置15における搬送不良に起因する画像不良が抑制される。
【0119】
(変形例)
本実施形態では、挟込部の一例として、分離ロール126を用いたが、これに限られない。例えば、挟込部の一例としては、例えば、記録媒体Pに接触する非回転の部材(例えばパッド)であってもよい。
【0120】
また、本実施形態では、搬送ロールの一例として駆動ロール125を用い、挟込部の一例として分離ロール126を用いたが、これに限られない。例えば、搬送ロール対72の上側のロールを駆動ロール125と同様に構成することで搬送ロールの一例として用い、搬送ロール対72の下側のロールを分離ロール126と同様に構成することで挟込部の一例として用いる構成であってもよい。この場合では、第一収容部12が収容部の一例となる。
【0121】
また、本実施形態では、第一搬送路面211は、頂部213に対する搬送方向上流側で、駆動ロール125に対する分離ロール126側へ凹む底部215を有していたが、これに限られない。例えば、図7に示されるように、第一搬送路面211の頂部213から搬送方向上流側へ向かって高さが一定である構成であってもよい。
【0122】
また、本実施形態では、第一搬送路面211の底部215は、挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置されていたが、これに限られない。例えば、第一搬送路面211の底部215が、挟込ラインLAよりも駆動ロール125側、又は、挟込ラインLA上に配置される構成であってもよい。
【0123】
また、本実施形態では、第二搬送路面222は、頂部223に対する搬送方向下流側で、駆動ロール125に対する分離ロール126側(具体的には下方側)へ凹む底部225を有していたが、これに限られない。例えば、図9に示されるように、第二搬送路面222の頂部223から搬送方向下流側へ向かって高さが一定である構成であってもよい。
【0124】
また、本実施形態では、第二搬送路面222の底部225は、挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置されていたが、これに限られない。例えば、第二搬送路面222の底部225が、挟込ラインLAよりも駆動ロール125側、又は、挟込ラインLA上に配置される構成であってもよい。
【0125】
また、本実施形態では、第二搬送路面222は、底部225に対する搬送方向下流側で、分離ロール126に対する駆動ロール125側(具体的には上方側)へ張り出す張出部227を有していたが、これに限られない。例えば、図11に示されるように、第二搬送路面222が頂部223及び底部225のみを有する構成であってもよい。
【0126】
また、本実施形態では、第二搬送路面222の張出部227は、挟込ラインLAよりも駆動ロール125側に配置されていたが、これに限られない。例えば、第二搬送路面222の張出部227が、挟込ラインLAよりも分離ロール126側に配置される構成であってもよい。
【0127】
また、本実施形態では、図3に示されるように、第三搬送路面233は、第二搬送路面222の頂部223から底部225にかけて、第二搬送路面222との距離が大きくなっていたが、これに限られない。例えば、図12に示されるように、第二搬送路面222の頂部223から底部225にかけて、第三搬送路面233と第二搬送路面222との距離が一定である構成であってもよい。
【0128】
また、本実施形態では、第二搬送路面222の頂部223は、第一搬送路面211の頂部213よりも、駆動ロール125側(すなわち上方側)に配置されていたが、これに限られない。例えば、第二搬送路面222の頂部223が、第一搬送路面211の頂部213と同じ高さであってもよいし、頂部213より下方側に配置された構成であってもよい。
【0129】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0130】
10 画像形成装置
14 画像形成部
15 搬送装置
74 搬送ロール対(搬送部材の一例)
125 駆動ロール(搬送ロールの一例)
126 分離ロール(挟込部の一例)
211 第一搬送路面(搬送路面の一例)
213 頂部
215 底部
222 第二搬送路面(搬送路面の一例)
223 頂部
225 底部
227 張出部
230 第三案内部
233 第三搬送路面
P 記録媒体(被搬送材の一例)
図1
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