(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】眼鏡枠形状測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240109BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01B11/24 A
G02C13/00
(21)【出願番号】P 2019178851
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】滝井 通浩
(72)【発明者】
【氏名】武市 教児
(72)【発明者】
【氏名】中子 裕也
(72)【発明者】
【氏名】ミノッツイ マティア
(72)【発明者】
【氏名】コドグノ ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】カラロ フェデリコ
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/026416(WO,A1)
【文献】特開2012-154709(JP,A)
【文献】特開2012-251816(JP,A)
【文献】特表2001-519025(JP,A)
【文献】特開2002-181516(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049716(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射する投光光学系と、
前記眼鏡フレームの前記リムの溝にて反射された前記測定光束の反射光束を検出器によって受光する受光光学系と、
を備え、
前記眼鏡フレームの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置であって、
前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する
動径方向の内側に、前記投光光学系と、前記受光光学系と、が配置され、
前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する測定位置を変更する際に、前記リムと前記受光光学系との干渉が抑制されるように、前記投光光学系の投光光軸と
前記受光光学系の受光光軸と
により形成される投受光面
を、前記リムの溝が前記測定光束により切断される切断面に対して、傾斜
させる傾斜角度を設定することによって、前記受光光軸が前記リムの動径平面よりも上側あるいは下側に配置され、
前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する測定位置を変更する際に、前記投光光学系と前記受光光学系の位置関係を維持することで前記傾斜角度を維持し、前記光源によって
前記リムの内側から前記リムの溝に向けて前記測定光束が照射され、前記検出器によって
前記反射光束を前記リムの内側で検出することで、前記リムの溝の断面形状を取得することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項2】
請求項1の眼鏡枠形状測定装置において、
前記投光光学系及び前記受光光学系を一体的に保持する保持ユニットと、
前記眼鏡フレームに対して前記保持ユニットを移動させる変更手段と、
前記変更手段を制御する変更制御手段と、
を備え、
前記変更制御手段は、前記眼鏡フレームの前記リムの内側にて、前記保持ユニットを移動させることで、前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する
前記測定位置を変更することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項3】
請求項1または2の眼鏡枠形状測定装置において、
前記投光光学系の前記投光光軸は、前記リムの溝の接線に対して垂直な方向から前記測定光束が照射されるように、配置されることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項4】
請求項3の眼鏡枠形状測定装置において、
前記投光光学系の前記投光光軸は、前記リムの溝の動径平面に対して傾斜して配置されることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの眼鏡枠形状測定装置において、
前記受光光学系の前記受光光軸が、水平方向に傾斜される第1傾斜角度と、鉛直方向に傾斜される第2傾斜角度と、を前記傾斜角度として設定し、
前記受光光学系の前記受光光軸における
第1傾斜角度及び
第2傾斜角度に基づいて、前記リムの溝の前記断面形状を補正する補正手段を備えることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡フレームの形状を得るための眼鏡枠形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡フレームのリムの溝に測定光束を照射し、眼鏡フレームのリムの溝に反射された測定光束の反射光束を受光し、この反射光束に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を取得する眼鏡枠形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような眼鏡枠形状測定装置では、眼鏡フレームのリムの内側に測定光束を適切に照射できず、場合によっては、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を得られない可能性があった。
【0005】
本開示は、上記従来技術に鑑み、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を良好に取得することができる眼鏡枠形状測定装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備えることを特徴とする。
【0007】
本開示の第1態様に係る眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射する投光光学系と、前記眼鏡フレームの前記リムの溝にて反射された前記測定光束の反射光束を検出器によって受光する受光光学系と、を備え、前記眼鏡フレームの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置であって、前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する動径方向の内側に、前記投光光学系と、前記受光光学系と、が配置され、前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する測定位置を変更する際に、前記リムと前記受光光学系との干渉が抑制されるように、前記投光光学系の投光光軸と前記受光光学系の受光光軸とにより形成される投受光面を、前記リムの溝が前記測定光束により切断される切断面に対して、傾斜させる傾斜角度を設定することによって、前記受光光軸が前記リムの動径平面よりも上側あるいは下側に配置され、前記眼鏡フレームの前記リムの溝に対する測定位置を変更する際に、前記投光光学系と前記受光光学系の位置関係を維持することで前記傾斜角度を維持し、前記光源によって前記リムの内側から前記リムの溝に向けて前記測定光束が照射され、前記検出器によって前記反射光束を前記リムの内側で検出することで、前記リムの溝の断面形状を取得することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】保持ユニット及び眼鏡フレーム測定光学系の概略図である。
【
図6】投光光学系の投光光軸と、受光光学系の撮像光軸と、の配置の関係を示す図である。
【
図9】Z方向移動ユニット及びY方向移動ユニットの上面斜視図である。
【
図12】リムの撮像画像の取得位置を説明する図である。
【
図13】投光光学系の投光光軸を鉛直方向に傾斜配置し、受光光学系の撮像光軸を水平方向及び鉛直方向に傾斜配置した状態である。
【
図15】リムの溝の断面形状から得られるパラメータを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
本開示の実施形態に関わる眼鏡枠形状測定装置の概要を説明する。本実施形態では、眼鏡枠形状測定装置の上下方向をZ方向、左右方向をX方向、前後方向をY方向とする。言い換えると、眼鏡枠形状測定装置に保持される眼鏡フレームにおいて、装用時のリムの前後方向をZ方向、装用時のリムの左右方向(左端及び右端の方向)をX方向、装用時のリムの上下方向(上端及び下端の方向)をY方向とする。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0010】
<保持ユニット>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、保持ユニット(例えば、保持ユニット25)を備える。保持ユニットは、後述の投光光学系と受光光学系とを一体的に保持する。すなわち、保持ユニットは、投光光学系と受光光学系とを、常に一定の位置関係で保持する。例えば、保持ユニットが後述の変更手段及び変更制御手段により移動されても、各々の測定位置において、投光光学系と受光光学系との位置関係が維持される。
【0011】
<投光光学系>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、投光光学系(例えば、投光光学系30a)を備える。投光光学系は、光源(例えば、光源31)を有し、眼鏡フレームのリムの溝に向けて、光源から測定光束を照射する。光源には、少なくとも1つの光源を用いてもよい。例えば、1つの光源を用いてもよい。また、例えば、複数の光源を用いてもよい。
【0012】
投光光学系は、光学部材を有してもよい。例えば、光学部材としては、レンズ、ミラー、絞り、等の少なくともいずれかを用いてもよい。もちろん、例えば、光学部材としては、これらの光学部材とは異なる光学部材を用いてもよい。例えば、光学部材として絞りを用いることで、測定光束の焦点深度を深くすることができる。このように、投光光学系が光学部材を有する場合、光源から出射された測定光束は、各々の光学部材を介して、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射されてもよい。
【0013】
なお、投光光学系は、光源から出射された測定光束が、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射される構成であればよい。例えば、投光光学系は、少なくとも光源を有する構成であってもよい。また、投光光学系は、光源から出射された測定光束が、光学部材とは異なる部材を経由して、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射される構成であってもよい。
【0014】
例えば、投光光学系によって、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射される測定光束は、幅を有する測定光束(例えば、スリット状の測定光束)であってもよい。この場合、投光光学系は、光源からの測定光束を眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射し、リムの溝上に光切断面を形成させてもよい。
【0015】
例えば、投光光学系が、幅を有する測定光束を照射する場合、光源として、スリット状の光束を出射する光源を用いてもよい。例えば、この場合、光源は点光源であてもよい。例えば、点光源を複数並べて配置することで、幅を有する測定光束を照射してもよい。また、例えば、点光源から照射されたスポット状の光束を走査することで、幅を有する測定光束を照射してもよい。また、例えば、点光源から照射されたスポット状の測定光束を光学部材で拡散させることで、幅を有する測定光束を照射してもよい。もちろん、上記の光源とは異なる種々の種類の光源を用いて、幅を有する測定光束を照射してもよい。
【0016】
<受光光学系>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、受光光学系(例えば、受光光学系30b)を備える。受光光学系は、検出器(例えば、検出器37)を有し、眼鏡フレームのリムの溝にて反射された測定光束の反射光束を検出器によって受光する。検出器には、少なくとも1つの検出器を用いてもよい。例えば、1つの検出器を用いてもよい。また、例えば、複数の検出器を用いてもよい。
【0017】
受光光学系は、光学部材を有してもよい。例えば、光学部材としては、レンズ、ミラー、絞り、等の少なくともいずれかを用いてもよい。もちろん、例えば、光学部材としては、これらの光学部材とは異なる光学部材を用いてもよい。このように、受光光学系が光学部材を有する場合、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束は、各々の光学部材を介して、検出器に受光されるようにしてもよい。
【0018】
なお、受光光学系は、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束が、検出器に受光される構成であればよい。例えば、受光光学系は、少なくとも検出器を有する構成であってもよい。また、受光光学系は、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束が、光学部材とは異なる部材を経由して、検出器に受光される構成であってもよい。
【0019】
なお、投光光学系が、光源からの測定光束を眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射し、リムの溝上に光切断面を形成させる場合、受光光学系は、リムの溝の光切断面での反射光束(例えば、散乱光、正反射光、等)を、検出器で受光してもよい。
<投光光学系と受光光学系の位置関係>
本実施形態において、投光光学系と受光光学系とは、眼鏡フレームのリムの内側(言い換えると、眼鏡フレームのリムの溝に対する動径方向の内側)に配置される。例えば、投光光学系と受光光学系とは、前述の保持ユニットにより一体的に保持され、眼鏡フレームのリムの内側に配置される。このため、投光光学系と受光光学系の位置関係は常に一定となり、容易な構成で、リムの溝の断面形状を取得することができる。
【0020】
また、本実施形態において、投光光学系と受光光学系とは、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を取得することができればよい。例えば、投光光学系と受光光学系とは、シャインプルークの原理に基づく光学系の構成であってもよい。もちろん、投光光学系と受光光学系は、シャインプルークの原理に基づく光学系の構成ではなく、異なる光学系の構成であってもよい。
【0021】
例えば、投光光学系の投光光軸(例えば、投光光軸L1)は、眼鏡フレームのリムの溝の接線に対して、斜め方向から測定光束が照射されるように、配置されてもよい。これによって、リムの溝を、リムの接線に対して斜め方向から切断した光切断面を形成させてもよい。
【0022】
なお、この場合、投光光学系の投光光軸は、リムの溝の接線に対して、リムの動径平面上(つまり、リムの水平平面上であり、言い換えると、リムのXY平面上)における斜め方向から、測定光束が照射されるように、配置されてもよい。また、この場合、投光光学系の投光光軸は、リムの動径平面上における斜め方向であって、かつ、リムの動径平面に対する鉛直方向から、測定光束を照射するように、配置されてもよい。一例として、投光光学系の投光光軸は、リムの動径平面上における斜め方向であって、かつ、リムの動径平面よりも上方向から、測定光束を照射するように、配置されてもよい。また、一例として、投光光学系の投光光軸は、リムの動径平面上における斜め方向であって、かつ、リムの動径平面よりも下方向から、測定光束を照射するように、配置されてもよい。
【0023】
また、例えば、投光光学系の投光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の接線に対して、垂直な方向から測定光束が照射されるように、配置されてもよい。これによって、リムの溝を、リムの接線に対して直交した方向から切断した光切断面を形成させてもよい。
【0024】
なお、この場合、投光光学系の投光光軸は、リムの溝の接線に対して、リムの動径平面上における垂直方向から、測定光束が照射されるように、配置されてもよい。また、この場合、投光光学系の投光光軸は、リムの動径平面上における垂直方向であって、かつ、リムの動径平面に対する鉛直方向から、測定光束を照射するように、配置されてもよい。一例として、投光光学系の投光光軸は、リムの動径平面上における垂直方向であって、かつ、リムの動径平面よりも上方向から、測定光束を照射するように、配置されてもよい。また、例えば、投光光学系の投光光軸は、リムの動径平面上における垂直方向であって、かつ、リムの動径平面よりも下方向から、測定光束を照射するように、配置されてもよい。
【0025】
例えば、本実施形態において、投光光学系の投光光軸と、受光光学系の受光光軸(例えば、撮像光軸L2)と、により形成される投受光面は、眼鏡フレームのリムの溝が測定光束により切断される切断面に対して、傾斜して配置されてもよい。例えば、投光光軸と受光光軸による投受光面は、リムの切断方向(投光光軸における光軸方向)からみて、切断面に対し傾斜するように配置されてもよい。また、例えば、投光光軸と受光光軸による投受光面は、リムの切断面に直交する方向からみて、切断面に対し傾斜するように配置されてもよい。もちろん、例えば、投光光軸と受光光軸による投受光面は、リムの切断方向からみて切断面に対し傾斜するとともに、リムの接面方向からみて切断面に対し傾斜するように配置されてもよい。
【0026】
また、例えば、本実施例において、投光光軸と受光光軸による投受光面は、リムの動径平面に対して、傾斜して配置されてもよい。例えば、投光光軸と受光光軸による投受光面は、リムの動径平面に対して水平方向に傾斜して配置されてもよい。また、例えば、投光光軸と受光光軸による投受光面は、リムの動径平面に対して垂直方向に傾斜して配置されてもよい。
【0027】
なお、投光光学系及び受光光学系による投受光面の傾斜は、投光光学系及び受光光学系による投受光面がリムの動径平面と水平に配置される状態を除いて傾斜した状態であってもよい。言い換えると、投光光学系の投光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝が測定光束により切断される切断面上に配置されず、かつ、切断面に垂直な軸に対して、水平方向に第1傾斜角度で傾斜するとともに、鉛直方向に第2傾斜角度で傾斜して配置される。すなわち、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝が測定光束により切断される切断面に垂直な軸に対して、水平方向(リムの動径平面上)に第1傾斜角度で傾斜するとともに、その水平方向に対する垂直方向に第2傾斜角度で傾斜して配置される。
【0028】
例えば、上記のような、受光光学系の受光光軸が水平方向かつ鉛直方向に傾斜する構成において、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、水平方向におけるいずれの方向から反射光束を受光してもよい。一例として、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、右方向(すなわち、リムの動径平面における右側)から反射光束を受光するように、配置されてもよい。また、一例として、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、左方向(すなわち、リムの動径平面における左側)から反射光束を受光するように、配置されてもよい。なお、これらの構成において、受光光学系の受光光軸は、シャインプルークの原理に基づき、第1傾斜角度の大きさが決定されてもよい。
【0029】
また、例えば、上記のような、受光光学系の受光光軸が水平方向かつ鉛直方向に傾斜する構成において、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、鉛直方向におけるいずれの方向から反射光束を受光してもよい。一例として、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、上方向(すなわち、リムの動径平面における上側)から反射光束を受光するように、配置されてもよい。また、一例として、受光光学系の受光光軸は、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、下方向(すなわち、リムの動径平面における下側)から反射光束を受光するように、配置されてもよい。なお、これらの構成において、受光光学系の受光光軸は、シャインプルークの原理に基づき、第2傾斜角度の大きさが決定されてもよい。
【0030】
例えば、本実施形態では、投光光学系の投光光軸が、眼鏡フレームのリムの溝の動径平面に対して傾斜するように(言い換えると、リムの動径平面よりも上側あるいは下側に)配置される。また、受光光学系の受光光軸が、眼鏡フレームのリムの溝の切断面上に配置されず、かつ、眼鏡フレームのリムの溝の切断面に垂直な軸に対して、水平方向(言い換えると、リムの動径平面)に第1傾斜角度で傾斜するとともに、鉛直方向(リムの動径平面よりも上側あるいは下側)に第2傾斜角度で傾斜して配置される。このため、保持ユニットを省スペースに設計することができ、リムの角部において、リムと光学系とは干渉しづらくなり、リムの溝の断面形状を良好に取得することができる。
【0031】
なお、投光光学系の投光光軸がリムの溝の動径平面に対して傾斜する傾斜角度、受光光学系の受光光軸がリムの溝の切断面に垂直な軸に対して水平方向に傾斜する第1傾斜角度、及び、受光光学系の受光光軸がリムの溝の切断面に垂直な軸に対して鉛直方向に傾斜する第2傾斜角度、のそれぞれは、保持ユニットをより省スペース化できる角度に設定されることが好ましい。また、リムの溝の断面形状を取得した際、リムの溝の断面形状に欠損が生じにくい角度に設定されることが好ましい。
【0032】
<変更手段>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、変更手段(例えば、移動ユニット210、回転ユニット260)を備える。変更手段は、眼鏡フレームに対して保持ユニットを移動させる。これによって、変更手段は、眼鏡フレームのリムの溝に対する保持ユニットの相対位置を変更してもよい。すなわち、変更手段は、眼鏡フレームのリムの溝に対し、投光光学系による測定光束の照射位置を相対的に変更するとともに、眼鏡フレームのリムの溝に対し、受光光学系による反射光束の受光位置を、相対的に変更してもよい。
【0033】
例えば、変更手段は、眼鏡フレームに対して保持ユニットをX方向へ移動させるためのX方向移動手段(例えば、X方向移動ユニット240)を備えてもよい。X方向移動手段は、駆動手段(例えば、モータ245)を有してもよい。また、例えば、変更手段は、眼鏡フレームに対して保持ユニットをY方向へ移動させるためのY方向移動手段(例えば、Y方向移動ユニット230)を備えてもよい。Y方向移動手段は、駆動手段(例えば、モータ235)を有してもよい。また、例えば、変更手段は、眼鏡フレームに対して保持ユニットをZ方向へ移動させるためのZ方向移動手段(例えば、X方向移動ユニット220)を備えてもよい。Z方向移動手段は、駆動手段(例えば、モータ225)を有してもよい。また、例えば、変更手段は、眼鏡フレームに対して保持ユニットを回転させるための回転手段(例えば、回転ユニット260)を備えてもよい。回転手段は、駆動手段(例えば、モータ265)を有してもよい。
【0034】
なお、本実施形態において、変更手段は、眼鏡フレームのリムの溝に対し、投光光学系と受光光学系とを別々に移動させる構成としてもよい。すなわち、変更手段は、眼鏡フレームのリムの溝に対し、投光光学系による測定光束の照射位置を相対的に変更してもよい。また、変更手段は、眼鏡フレームのリムの溝に対し、受光光学系による反射光束の受光位置を相対的に変更してもよい。このような場合、変更手段として、投光光学系を移動させるための第1変更手段と、受光光学系を移動させるための第2変更手段と、を設けてもよい。
【0035】
<変更制御手段>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、変更制御手段(例えば、制御部50)を備える。変更制御手段は、変更手段を制御する。例えば、変更制御手段は、X方向移動手段が有する駆動手段、Y方向移動手段が有する駆動手段、Z方向移動手段が有する駆動手段、及び、回転手段が有する駆動手段、の少なくともいずれかの駆動を制御することによって、保持ユニットを移動させ、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置を変更してもよい。一例として、変更制御手段は、各々の駆動手段の少なくともいずれかの駆動を制御することによって、保持ユニットを移動させ、眼鏡フレームのリムの溝に対する動径角毎に測定位置を変更してもよい。
【0036】
例えば、本実施形態では、変更制御手段が、眼鏡フレームのリムの内側にて、保持ユニットを移動させることで、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置を変更してもよい。これによって、眼鏡フレームのリムの内側にて、投光光学系による測定光束の照射位置及び受光光学系による反射光束の受光位置が移動し、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置が変更される。例えば、これによって、眼鏡フレームのリムの外側に、投光光学系が有する光学部材の少なくとも一部、及び、受光光学系が有する光学部材の少なくとも一部、を配置して、測定光束の照射位置と反射光束の受光位置を移動させ、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置を変更する構成とするよりも、眼鏡枠形状測定装置を小型化することができる。
【0037】
なお、本実施形態において、眼鏡フレームのリムの溝に対し、投光光学系を移動させるための第1変更手段と、受光光学系を移動させるための第2変更手段と、を前述の変更手段として設けた場合、第1変更手段を制御する第1変更制御手段と、第2変更手段を制御する第2変更制御手段と、を変更制御手段として設けてもよい。この場合、眼鏡フレームのリムの内側にて、第1変更制御手段が投光光学系による測定光束の照射位置を移動させ、第2変更制御手段が受光光学系による反射光束の受光位置を移動させることで、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置が変更されてもよい。このような、第1変更手段と第2変更手段とを設ける構成では、第1変更制御手段と第2変更制御手段とによって、各々の測定位置における投光光学系と受光光学系との位置関係を維持するように、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置が変更されてもよい。
【0038】
<補正手段>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、補正手段(例えば、制御部50)を備える。補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を補正する。
【0039】
なお、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状は、画像(画像データ)であってもよい。この場合、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を示す画像を補正してもよい。また、例えば、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状は、信号(信号データ)であってもよい。この場合、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を示す信号を補正してもよい。
【0040】
例えば、補正手段は、受光光学系の受光光軸を傾斜させて配置することで生じる、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状の歪を補正することができればよい。一例として、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度を利用した三角関数によって、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を補正してもよい。もちろん、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度に基づく、三角関数とは異なる演算によって、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を補正してもよい。
【0041】
例えば、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を水平方向に補正した後、受光光学系の受光光軸における第2傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の補正後の断面形状をさらに鉛直方向へ補正してもよい。また、例えば、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第2傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を鉛直方向に補正した後、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の補正後の断面形状をさらに水平方向へ補正してもよい。また、例えば、補正手段は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度を合成した傾斜角度に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面形状を補正してもよい。
【0042】
<実施例>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置(以下、測定装置)の一実施例について説明する。なお、眼鏡枠形状測定装置のX方向及びY方向は、それぞれ、後述のフレーム保持ユニットに保持される眼鏡フレームの左右方向及び上下方向である。また、眼鏡枠形状測定装置のXY方向は、後述のフレーム保持ユニットに保持される眼鏡フレームのリムの動径方向(リムの測定平面)と平行な方向であり、眼鏡枠形状測定装置のZ方向は、眼鏡フレームのリムの動径方向に垂直な方向である。
【0043】
図1は、測定装置1の外観図である。本実施例では、測定装置1の左右方向(水平方向)をX方向、上下方向(鉛直方向)をY方向、前後方向をZ方向として表す。例えば、取得装置1は、モニタ3、スイッチ部4、フレーム保持ユニット10、測定ユニット20、等を備える。
【0044】
モニタ3は、各種の情報(例えば、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける断面形状41、眼鏡フレームFのリムの形状、等)を表示する。モニタ3は、タッチパネルであり、モニタ3がスイッチ部4の機能を兼ねてもよい。モニタ3から入力された操作指示に応じた信号は、後述の制御部50に出力される。
【0045】
スイッチ部4は、各種の設定(例えば、測定の開始、等)を行うために用いる。スイッチ部4から入力された操作指示に応じた信号は、後述の制御部50に出力される。
【0046】
<フレーム保持ユニット>
図2は、フレーム保持ユニット10の上面図である。なお、
図2のフレーム保持ユニット10は、眼鏡フレームFを保持した状態である。
【0047】
フレーム保持ユニット10は、眼鏡フレームFを所期する状態に保持する。例えば、フレーム保持ユニット100は、保持部ベース101、第1スライダー102、第2スライダー103、開閉移動機構110、等を備える。
【0048】
例えば、保持部ベース101上には、眼鏡フレームFを水平に保持するための前スライダー102と、後スライダー103と、が載置されている。なお、例えば、水平とは略水平であってもよい。例えば、前スライダー102と後スライダー103は、その中心線CLを中心に2つのレール111上を対向して摺動可能に配置されていると共に、バネ113により常に両者の中心線CLに向かう方向に引っ張られている。
【0049】
例えば、前スライダー102には、眼鏡フレームFのリムをその厚み方向からクランプするためのクランプピン130a,130bがそれぞれ2箇所に配置されている。例えば、後スライダー103には眼鏡フレームFのリムをその厚み方向からクランプするためのクランプピン131a,131bがそれぞれ2箇所に配置されている。また、例えば、型板を測定するときは、前スライダー102及び後スライダー103が開放され、周知の型板保持治具が所定の取付け位置140に配置されて使用される。このフレーム保持ユニット10の構成は、例えば、特開2000-314617号公報等に記載された周知のものが使用できる。
【0050】
例えば、眼鏡フレームFは、眼鏡装用時のリムの下側が前スライダー102側に位置され、リムの上側が後スライダー103側に位置される。例えば、左右のリムのそれぞれの下側及び上側に位置するクランプピンにより、眼鏡フレームFは所定の測定状態に保持される。
【0051】
なお、本実施例においては、リムの前後方向の位置を規制する構成として、上記クランプピン130a,130b及びクランプピン131a,131bの構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。周知の機構が使用されても良い。例えば、左右リムの前後方向を固定する機構としては、V字状の溝を持つ当接部材(規制部材)を左右リム用にそれぞれ設ける構成でも良い。
【0052】
<測定ユニット>
測定ユニット20は、フレーム保持ユニット10の下部に配置される。例えば、測定ユニット20は、ベース部211、保持ユニット25、移動ユニット210、回転ユニット260、等を備える。
【0053】
ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット10の下部に設けられる。保持ユニット25は、後述のフレーム測定光学系30を保持する。移動ユニット210は、保持ユニット25をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させることで、保持ユニット25をフレームFに対して相対的に移動させる。回転ユニット260は、保持ユニット25を、回転軸L0を中心に回転させる。
【0054】
<保持ユニット>
保持ユニット25について説明する。保持ユニット25には、開口部26が設けられる。例えば、開口部26には、開口部26を覆うような透明パネルが設けられてもよい。保持ユニット25は、その内部に、眼鏡フレーム測定光学系30を保持する。
【0055】
図3は、保持ユニット25及び眼鏡フレーム測定光学系30の概略図である。
図3(a)は、保持ユニット25を正面方向から示す図である。
図3(b)は、保持ユニット25を上面方向から示す図である。
図3(c)は、保持ユニット25を側面方向から示す図である。
【0056】
例えば、眼鏡フレーム測定光学系30は、投光光学系30aと、受光光学系30bと、で構成される。例えば、投光光学系30aは、眼鏡フレームFのリムの溝に向けて、光源から測定光束を照射する。例えば、受光光学系30bは、眼鏡フレームFのリムの溝にて反射された測定光束の反射光束を、検出器によって受光する。
【0057】
本実施例では、眼鏡フレームFのリムの内側(言い換えると、眼鏡フレームFのリムに対する動径方向の内側)に、保持ユニット25が配置される。すなわち、本実施例では、眼鏡フレームFのリムの内側に、投光光学系30aと受光光学系30bと、が配置される。このため、投光光学系30aからの測定光束は、保持ユニット25の内部から保持ユニット25の外部に向けて出射され、開口部26を通過し、リムの内側からリムの溝に向けて照射される。また、このため、眼鏡フレームFのリムの溝に反射された測定光束の反射光束は、リムの溝からリムの内側に向けて導光され、開口部26を通過し、保持ユニット25の外部から保持ユニット25の内部の受光光学系30bに向けて導光される。
【0058】
<投光光学系>
例えば、投光光学系30aは、光源31と、レンズ32と、スリット板33と、レンズ34と、を備える。例えば、光源31から出射された測定光束は、レンズ32によって集光し、スリット板33を照明する。例えば、スリット板33を照明した測定光束は、スリット板33によって、細いスリット状に制限された測定光束となり、レンズ34を介して、眼鏡フレームFのリムの溝FAに照射される。すなわち、眼鏡フレームFのリムの溝FAにスリット光が照射される。これにより、眼鏡フレームFのリムの溝FAは、スリット光により光切断された形で照明される。
【0059】
<受光光学系>
例えば、受光光学系30bは、レンズ36と、検出器37(例えば、受光素子)と、を備える。例えば、受光光学系30bは、眼鏡フレームFのリムの溝FAに対して、斜め方向から断面形状を取得する構成となっている。例えば、受光光学系30bは、シャインプルークの原理に基づいて、眼鏡フレームFのリムの溝FAの断面形状を取得する構成となっている。
【0060】
例えば、レンズ36は、眼鏡フレームFのリムの溝FAでの反射により取得される、リムの溝FAの反射光束(例えば、リムの溝FAの散乱光、リムの溝FAの正反射光、等)を検出器37に導く。例えば、検出器37は、眼鏡フレームFのリムの溝FAと略共役な位置に配置された受光面を持っている。例えば、投光光学系30aによって眼鏡フレームFのリムの溝FAに照射される光断面と、眼鏡フレームFのリムの溝FAを含むレンズ系(眼鏡フレームFのリムの溝FA及びレンズ36)と検出器37の受光面(受光位置)とがシャインプルークの関係にて配置されている。
【0061】
<投光光学系と受光光学系の配置>
例えば、本実施例において、投光光学系30aと、受光光学系30bと、はシャインプルークの原理に基づいて配置される。また、投光光学系30aの投光光軸L1と、受光光学系30bの撮像光軸L2と、により形成される投受光面が、リムの溝FAの切断面に対して傾斜して配置される。以下、各光軸の配置について、詳細に説明する。
【0062】
図4は、投光光学系30aの投光光軸L1の配置の一例である。例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、光源31から照射されるスリット光が、リムの溝FAの接線tに対して垂直な方向から照射されるように、配置される。すなわち、リムの溝FAの内接円が存在する平面(XZ平面)に対して、リムの溝FAがスリット光により光切断された切断面Sが、直交するように、配置される。言い換えると、リムの溝FAの深さ方向(
図4では、Y方向)に対して、切断面Sが平行となるように、配置される。
【0063】
例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、リムの溝FAの動径平面(すなわち、XY平面)に対して、水平に配置されてもよい。つまり、投光光学系30aの投光光軸L1は、リムの溝FAの動径平面に対して、鉛直方向(Z方向)に0度の傾斜角度αで配置されてもよい。また、例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、リムの溝FAの動径平面に対して、傾斜して配置されてもよい。つまり、投光光学系30aの投光光軸L1は、リムの溝FAの動径平面に対して、鉛直方向に所定の傾斜角度αで配置されてもよい。
【0064】
なお、本実施例では、投光光学系30aの投光光軸L1が、リムの溝FAの動径平面に対して、傾斜して(所定の傾斜角度αで)配置される。これによって、投光光学系30aによる測定光束の光路が、リムの動径平面上からずれるため、リムの溝FAに対する測定光束の照射位置を変更した際、特に、リムの角部において、リムと、投光光学系30aを構成する光学部材と、がより干渉しにくくなる(これについての詳細は後述する)。また、投光光学系30aの投光光軸L1を水平に(0度の傾斜角度αで)配置した場合に比べて、保持ユニット25を細い形状にすることができる。すなわち、保持ユニット20は、XY方向に対する径が小さくなり、Z方向に長い形状となる。このため、リムと、投光光学系30aを構成する光学部材と、の干渉を抑制することができる。
【0065】
図5は、受光光学系30bの撮像光軸L2の配置の一例である。例えば、受光光学系30bの受光光軸L2は、リムの溝FAの切断面S上に配置されない。言い換えると、受光光学系30bの撮像光軸L2は、投光光学系30aの投光光軸L1と同一平面上に配置されない。
【0066】
また、受光光学系30bの撮像光軸L2は、リムの溝FAの切断面Sに垂直な垂直軸Aに対して、水平方向(すなわち、XY平面)に第1傾斜角度β(
図3b参照)で傾斜するように、配置される。つまり、投光光学系30aの投光光軸30aと、受光光学系30bの撮像光軸L2と、が水平方向において成す角度が、第1傾斜角度βとなるように、配置される。さらに、受光光学系30bの撮像光軸L2は、リムの溝FAの切断面Sに垂直な垂直軸Aに対して、鉛直方向(すなわち、YZ平面)に第2傾斜角度γ(
図4参照)で傾斜するように、配置される。つまり、投光光学系30aの投光光軸30aと、受光光学系30bの撮像光軸L2と、が鉛直方向において成す角度が、第2傾斜角度γとなるように、配置される。
【0067】
なお、受光光学系30bの撮像光軸L2は、リムの溝FAの切断面Sに垂直な垂直軸Aに対して、水平方向かつ鉛直方向に所定の傾斜角度δ(言い換えると、第1傾斜角度βと第2傾斜角度γとを合成した傾斜角度δ)で配置されると考えてもよい。つまり、リムの溝FAの切断面Sに鉛直な鉛直軸Bと、受光光学系30bの撮像光軸L2と、の成す角度が、傾斜角度θで配置されると考えてもよい。例えば、傾斜角度δは、リムの溝FAの開き角(例えば、ヤゲンの開き角)に基づいて設定されてもよい。一例として、傾斜角度δは、55度以下に設定してもよい。
【0068】
本実施例では、このように、投光光学系30aの投光光軸L1に対して、受光光学系30bの撮像光軸L2が、3次元的な角度で傾斜し、互いに交わるように配置される。これによって、投光光学系30aによる測定光束が反射した反射光束の光路が、リムの動径平面上からずれるため、リムの溝FAに対する測定光束の照射位置を変更した際、特に、リムの角部において、リムと、反射光束を受光する受光光学系30bを構成する光学部材と、がより干渉しにくくなる(これについての詳細は後述する)。また、受光光学系30bの撮像光軸L2を水平方向にのみ傾斜して(所定の傾斜角度βかつ0度の傾斜角度γで)配置した場合に比べて、保持ユニット25を細い形状にすることができる。すなわち、保持ユニット20は、XY方向に対する径が小さくなり、Z方向に長い形状となる。このため、リムと、受光光学系30bを構成する光学部材と、の干渉を抑制することができる。
【0069】
図6は、投光光学系30aの投光光軸L1と、受光光学系30bの撮像光軸L2と、の配置の関係を示す図である。例えば、上述のように、投光光学系30aの投光光軸L1を、鉛直方向に所定の傾斜角度αで配置し、受光光学系30bの撮像光軸L2を、水平方向に第1傾斜角度β、鉛直方向に第2傾斜角度γで配置することによって、投光光学系30aの投光光軸L1と、受光光学系30bの撮像光軸L2と、による投受光面Dは、リムの溝FAの切断面Sに対して傾斜して配置されるようになる。
【0070】
<移動ユニット>
移動ユニット210について説明する。
図7~
図9は、測定ユニット20を説明する図である。
図7は、測定ユニット20の上面斜視図である。
図8は、測定ユニット20の下面斜視図である。
図9は、後述するZ方向移動ユニット220及びY方向移動ユニット230の上面斜視図(ベース部211とX方向移動ユニット240を取り外した状態の斜視図)である。
【0071】
例えば、移動ユニット210は、ベース部211、Z方向移動ユニット220、Y方向移動ユニット230、X方向移動ユニット240、等を備える。例えば、ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット10の下部に配置される。例えば、Z方向移動ユニット220は、保持ユニット25をZ方向へ移動させる。例えば、Y方向移動ユニット230は、保持ユニット25及びZ方向移動ユニット220を保持し、これらをY方向へ移動させる。例えば、X方向移動ユニット240は、保持ユニット25、Z方向移動ユニット220、及びY方向移動ユニット230を保持し、これらをX方向へ移動させる。
【0072】
例えば、X方向移動ユニット240は、概略的に次のように構成されている。例えば、X方向移動ユニット240は、ベース部211の下方に、X方向へ延びるガイドレール241を備える。例えば、ガイドレール241には、Y方向移動ユニット230のYベース230aが、X方向へ移動可能に取り付けられている。例えば、ベース部211には、モータ245が取り付けられている。例えば、モータ245の回転軸には、X方向に延びる送りネジ242が取り付けられている。例えば、Yベース230aに固定されたナット部246は、送りネジ242に螺合されている。これにより、モータ245が回転されると、Yベース230aがX方向に移動される。
【0073】
例えば、Y方向移動ユニット230は、概略的に次のように構成されている。例えば、Yベース230aには、Y方向に延びる図示なきガイドレールが取り付けられている。例えば、ガイドレールには、Zベース220aがY方向へ移動可能に取り付けられている。例えば、Yベース230aには、Y方向移動用のモータ235と、Y方向に延びる回転可能な送りネジ232と、が取り付けられている。例えば、モータ235の回転は、ギヤ等の回転伝達機構を介して、送りネジ232に伝達される。例えば、送りネジ232には、Zベース220aに取り付けられたナット227が螺合されている。これにより、モータ235が回転されると、Zベース220aがY方向に移動される。
【0074】
例えば、X方向移動ユニット240及びY方向移動ユニット230によって、XY方向移動ユニットが構成される。例えば、保持ユニット25のXY方向の移動位置は、後述する制御部50が、モータ245及びモータ235が駆動されるパルス数を検知することで、検出される。なお、例えば、保持ユニット25のXY方向の移動位置は、モータ245及び235に取り付けたエンコーダ等のセンサを使用して検出してもよい。
【0075】
例えば、Z方向移動ユニット220は、概略的に次のように構成されている。例えば、Zベース220aには、Z方向に延びるガイドレール221が形成され、ガイドレール221に沿って、保持ユニット25が取り付けられた移動ベース250aが、Z方向へ移動可能に保持される。例えば、Zベース220aには、Z方向移動用のパルスモータ225が取り付けられるとともに、Z方向に延びる図示なき送りネジが回転可能に取り付けられている。例えば、保持ユニット25のベース250aに取り付けられたナットに螺合されている。例えば、モータ225の回転は、ギヤ等の回転伝達機構を介して送りネジ222に伝達され、送りネジ222の回転により、保持ユニット25がZ方向に移動される。
【0076】
例えば、保持ユニット25のZ方向の移動位置は、後述する制御部50が、モータ225が駆動されるパルス数を検知することで、検出される。なお、例えば、保持ユニット25のZ方向の移動位置は、モータ225に取り付けたエンコーダ等のセンサを使用して検出してもよい。
【0077】
なお、上記のような、X方向、Y方向、及びZ方向の各移動機構は、本実施例に限定されず、周知の機構を採用することができる。例えば、保持ユニット25を直線移動させる代わりに、回転ベースの中心に対して円弧起動で移動させる構成としてもよい(例えば、特開2006-350264号公報等参照)。
【0078】
<回転ユニット>
回転ユニット260について説明する。
図10は、回転ユニット260の概略図である。
【0079】
例えば、回転ユニット260は、Z方向に延びる回転軸LOを中心に、保持ユニット25を回転させることで、開口部26が向くXY方向を変更する。例えば、回転ユニット260は、回転ベース261を備える。例えば、保持ユニット25は、回転ベース261に取り付けられている。例えば、回転ベース261は、Z方向に延びる回転軸LOを中心にして回転可能に保持されている。例えば、回転ベース261の下部の外周には、大径ギヤ262が形成されている。例えば、回転ユニット260は、取り付け板252を有する。例えば、取り付け板252には、モータ265が取り付けられている。例えば、モータ265の回転軸には、ピニオンギヤ266が固定され、ピニオンギヤ266の回転は、取り付け板252に回転可能に設けられたギヤ263を介して、大径ギヤ262に伝達される。したがって、モータ265の回転により、回転ベース261が回転軸LOの軸回りに回転される。例えば、モータ265の回転は、モータ265へ一体的に取り付けられたエンコーダ265aにより検出され、エンコーダ265aの出力から、回転ベース261の回転角が検知される。回転ベース261の回転の原点位置は、図示を略す原点位置センサにより検知される。なお、上記のような回転ユニット260の各移動機構は、本実施例に限定されず、周知の機構を採用することができる。
【0080】
本実施例において、回転ユニット260の回転軸LOは、投光光学系30aの光源31を通る軸として設定されている。すなわち、回転ユニット260は、投光光学系30aの光源31を中心に回転する。もちろん、回転ユニット260の回転軸LOは、異なる位置を回転軸としてもよい。例えば、回転ユニット260の回転軸LOは、受光光学系30bの検出器37を通る軸として設定してもよい。
【0081】
<制御部>
図11は、測定装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部50には、モニタ3、スイッチ部4、光源31、検出器37、エンコーダ265a、各モータ、不揮発性メモリ52(以下、メモリ52)、等が電気的に接続されている。
【0082】
例えば、制御部50は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、測定装置1における各部材の制御を司る。また、例えば、CPUは、各センサからの出力信号に基づくリムの溝FAの断面形状の演算等、各種の演算処理を行う演算部として機能する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、検眼装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値、等が記憶されている。なお、制御部50は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0083】
例えば、メモリ75は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ75としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。
【0084】
<制御動作>
測定装置1の制御動作を説明する。
【0085】
操作者は、第1スライダー102と第2スライダー103との間隔を広げ、眼鏡フレームFのリムの上側と下側をクランプピンでクランプすることで、フレーム保持ユニット10にフレームを保持させる。
【0086】
続いて、操作者は、スイッチ部4を操作して、リムの溝FAの測定を開始する。本実施例では、先に、左リムFLにおける溝FAの測定が行われ、後に、右リムFRにおける溝FAの測定が行われる。もちろん、先に、右リムFRの測定を行い、後に、左リムFLの測定が行われてもよい。
【0087】
<リムの測定と撮像画像の取得>
例えば、制御部50は、測定開始の信号に基づいて、X方向移動ユニット240、Y方向移動ユニット230、Z方向移動ユニット220、及び回転ユニット260、の少なくともいずれかの駆動を制御し、保持ユニット25を退避位置から測定開始位置へと移動させる。例えば、本実施例では、測定開始位置におけるX方向の位置が、右リムFRの下端側のクランプピン130a及び130bと、右リムFRの上端側クランプピン131a及び131bと、の中央位置に設定されている。また、例えば、本実施例では、測定開始位置におけるY方向の位置が、中心線CLの位置に設定されている。もちろん、測定開始位置は、任意の位置に設定可能であってもよい。
【0088】
また、例えば、制御部50は、保持ユニット25を測定開始位置まで移動させると、光源31を点灯させ、眼鏡フレームFにおけるリムの溝FAの所定の位置に測定光束を照射するために、移動ユニット210及び回転ユニット260の少なくともいずれかの駆動を制御し、保持ユニット25を移動させる。
【0089】
例えば、本実施例において、制御部50は、保持ユニット25を眼鏡フレームFのリムの輪郭に沿って移動させる。言い換えると、制御部50は、眼鏡フレーム測定光学系30を、眼鏡フレームFのリムの溝に対して一定の位置関係となるように移動させる。すなわち、制御部50は、投光光学系30a及び受光光学系30bを、眼鏡フレームFに対して、シャインプルークの関係を維持した状態で移動させる。これによって、眼鏡フレームFのリムの撮像画像が取得される。
【0090】
以下、リムの撮像画像の取得について詳細に説明する。
図12は、リムの撮像画像の取得位置を説明する図である。
図12(a)と
図12(b)は、リムの上面図であり、それぞれ異なる動径角における撮像画像の取得位置を表している。なお、
図12において、保持ユニット25の図示は省略している。
【0091】
例えば、制御部50は、リムの撮像画像40を取得する取得位置を設定する。例えば、制御部50は、回転ユニット260を制御して、投光光学系30aの投光光軸L1をXY平面上で回転させ、投光光学系30aの投光光軸L1をリムの周方向に移動させる。また、例えば、制御部50は、移動ユニット210(X方向移動ユニット240、Y方向移動ユニット230、及びZ方向移動ユニット220の少なくともいずれか)を制御して、リムの溝FAに測定光束が照射されるように、測定光束の照射位置を変更する。これによって、リムの撮像画像40を取得する動径角が変更され、投光光学系30aによる測定光束の照射位置T1が、投光光学系30aによる測定光束の照射位置T2へと変更される。
【0092】
例えば、投光光学系30aにおける光源31の点灯により、眼鏡フレームFのリムの溝FAは、スリット光で光切断される。また、例えば、眼鏡フレームFのリムの溝FAで反射された反射光束は、受光光学系30bに向かい、検出器37に受光される。制御部50は、検出器37に受光された反射光束に基づいて、リムの撮像画像40を取得することができる。
【0093】
例えば、制御部50は、測定開始位置におけるリムの撮像画像40を取得すると、回転ユニット260を制御し、回転軸LOを中心に動径角を変更しながら、リムの撮像画像40を取得する取得位置を、リムの周方向に移動させる。これによって、各動径角におけるリムの撮像画像40が順に取得される。
【0094】
<投光光学系及び受光光学系の配置による撮像画像の取得の良否>
ここで、本実施例では、眼鏡フレームFのリムの内側で、保持ユニット25をリムの周方向へ移動させるため、投光光学系30a及び受光光学系30bを所定の配置関係としている。このため、リムと各々の光学系との干渉を抑制し、リムの撮像画像40を良好に得ることができる。以下、これについて説明する。
【0095】
前述の
図12は、投光光学系30aの投光光軸L1を鉛直方向に所定の傾斜角度αで配置し、受光光学系30bの撮像光軸Lbを水平方向に所定の傾斜角度βで、鉛直方向に所定の傾斜角度γで配置した状態である。
図13は、投光光学系30aの投光光軸L1を鉛直方向に所定の傾斜角度αで配置し、受光光学系30bの撮像光軸Lbを水平方向に所定の傾斜角度βで、鉛直方向に0度の傾斜角度γで配置した状態(すなわち、受光光学系30bの撮像光軸Lbを鉛直方向に傾斜させない状態)である。
図13においても、保持ユニット25の図示は省略している。なお、
図12(a)及び
図12(b)と、
図13(a)及び
図13(b)と、はリムの上面図であり、それぞれ異なる動径角における断面形状の取得位置(測定光束の照射位置)を表している。
【0096】
例えば、リムの撮像画像40を得るためには、投光光学系30aによるリムの切断面Sに対し、受光光学系30bの撮像光軸Lbを切断面S上に配置しない必要がある。そこで、本実施例では、
図12のように、受光光学系30bの撮像光軸Lbを、水平方向に所定の第1傾斜角度βで傾斜させるとともに、鉛直方向に所定の第2傾斜角度γで傾斜させて配置する構成としている。
【0097】
このような場合、例えば、
図12(a)のように、リムの上端部、下端部、右端部、及び左端部、に向けて測定光束を照射したとき、リムと受光光学系30bとは干渉しない。また、例えば、
図12(b)のように、リムの角部に向けて測定光束を照射したときにも、リムと受光光学系30bとが干渉しにくい。すなわち、リムの動径平面上(XY平面上)から受光光学系30bがずれ、リムの下面に受光光学系30が配置されるため、リムと受光光学系30bとの干渉を避け、リムの撮像画像40を良好に取得することができる。
【0098】
しかし、
図13のように、受光光学系30bの撮像光軸Lbを、水平方向に所定の第1傾斜角度βで傾斜させるが、鉛直方向には傾斜させない構成であると、リムと受光光学系30bとの干渉を避けることは難しい。
【0099】
例えば、
図13(a)のように、リムの上端部、下端部、右端部、及び左端部、に向けて測定光束を照射したときは、リムと受光光学系30bとが干渉しない。一方で、例えば、
図13(b)のように、リムの角部に向けて測定光束を照射したときは、リムと受光光学系30bとが干渉しやすい。すなわち、リムの動径平面上(XY平面上)に受光光学系30bが配置されるため、リムと受光光学系30bとの干渉が避けられず、リムの撮像画像40を良好に取得することができない。
【0100】
例えば、本実施例では、上記の問題を解消するため、受光光学系30bの撮像光軸Lbを、水平方向かつ鉛直方向に傾斜させている。
【0101】
<リムの溝の断面形状の取得>
図14は、リムの撮像画像40の一例である。例えば、制御部50は、取得した撮像画像40を解析し、リムの溝FAの断面形状41を検出する。例えば、制御部50は、撮像画像40に対して、走査線S1、走査線S2、走査線S3、・・・、走査線Snの順に輝度値の検出を行い、輝度分布を得る。例えば、検出器37により反射光束が検出されるため、撮像画像40上に断面形状41が存在する場合は、輝度値が上昇する。例えば、制御部50は、このように撮像画像40の輝度値の変化を検出することで、撮像画像40上からリム溝FAの断面形状41を抽出することができる。
【0102】
なお、例えば、制御部50は、撮像画像40上から断面形状41を検出できなかった際には、断面形状41が検出されるように、移動ユニット210を制御してもよい。また、例えば、制御部50は、撮像画像40上の所定の位置に断面形状41が表示されるように、移動ユニット210を制御してもよい。すなわち、制御部50は、移動ユニット210の移動を制御し、検出器37上におけるリムの溝FAの反射光束の受光位置を変更することによって、撮像画像40上における断面形状41の位置を変更してもよい。
【0103】
例えば、制御部50は、モータ225のパルス数と、モータ235のパルス数と、モータ245のパルス数と、エンコーダ265aの検出結果と、の少なくともいずれかを用いて、撮像画像40の取得位置(リムの溝FAの断面形状41の取得位置)を演算し、メモリ52に記憶させる。また、例えば、制御部50は、撮像画像40の取得位置におけるリムの溝FAの断面形状41を、メモリ52に記憶させる。これによって、リムの溝FAの二次元断面形状が取得される。
【0104】
<リムの溝の断面形状の補正>
例えば、リムの溝FAの断面形状41は、投光光学系30aの投光光軸L1に対し、受光光学系30bの撮像光軸Lbが傾斜しているため、歪んでいることがある。このため、制御部50は、リムの溝FAの断面形状41における歪を補正してもよい。例えば、本実施例では、制御部50が、受光光学系30bの撮像光軸L2における水平方向の所定の傾斜角度βと、鉛直方向の所定の傾斜角度γと、に基づいて、リムの溝FAの断面形状41を補正する。
【0105】
例えば、制御部50は、受光光学系30bの撮像光軸Lbが水平方向に傾斜した傾斜角度βを利用した三角関数によって、リムの溝FAの断面形状41における水平方向の歪を補正する。さらに、例えば、制御部50は、受光光学系30bの撮像光軸Lbが鉛直方向に傾斜した傾斜角度γを利用した三角関数によって、リムの溝FAの断面形状41における鉛直方向の歪を補正する。これによって、リムの溝FAの断面形状41の歪は補正され、リムの溝FAの切断面Sに対して垂直な方向からみた適切な断面形状41が取得される。
【0106】
もちろん、例えば、本実施例では、制御部50が、受光光学系30bの撮像光軸L2における水平方向及び垂直方向の傾斜角度δに基づいて、リムの溝FAの断面形状41を補正してもよい。この場合、例えば、制御部50は、受光光学系30bの撮像光軸Lbが水平方向及び鉛直方向に傾斜した傾斜角度δを利用した三角関数によって、リムの溝FAの断面形状41における歪を補正してもよい。
【0107】
<リムの溝の断面形状の補間>
例えば、リムの溝FAの断面形状41は、その一部が欠損していることがある。このため、制御部50は、リムの溝FAの断面形状41における欠損部分を補間してもよい。例えば、本実施例では、制御部50が、リムの撮像画像40の輝度分布から、輝度値が検出されたもっとも下側の位置を、リムの溝FAの底43として検出する。また、例えば、制御部50は、リムの溝FAの断面形状41を、リムの溝FAの底43を基準とし、リムの溝FAの深さ方向に対して左右対称な形状とすることで、欠損部分を補間する。
【0108】
もちろん、例えば、制御部50は、リムの溝FAの断面形状41における欠損部分の周辺の位置(例えば、隣接する位置)における反射光束の受光結果から、欠損部分を補間してもよい。また、例えば、制御部50は、リムの断面形状41を近似することで、欠損部分を補間してもよい。
【0109】
なお、本実施例では、リムの溝FAの断面形状41における歪を補正した後に、リムの溝FAの断面形状41における欠損部分を補間する構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されない。例えば、リムの溝FAの断面形状41における欠損部分を補間した後に、リムの溝FAの断面形状41における歪を補正する構成としてもよい。
【0110】
<リムの溝の断面形状の解析>
図15は、リムの溝FAの断面形状41から得られるパラメータを説明する図である。例えば、制御部50は、リムの溝FAの断面形状41を解析処理することで、リムの溝FAに関する種々のパラメータを取得する。例えば、制御部50は、リムの溝FAの断面形状41における輝度分布を取得することで、リムの溝FAのパラメータを取得してもよい。例えば、制御部50は、リムの溝FAのパラメータとして、リムの溝FAの底までの距離K1、リムの溝FAの左右の斜面角度θ1及びθ2、リムの溝FAの左右の斜面長さK2及びK3、左右のリム肩の長さK4及びK5、等を得ることができる。
【0111】
例えば、制御部50は、リムの全周にわたって前述の上記の制御を繰り返すことで、リムの全周におけるリムの撮像画像40を取得し、これに基づいて、リムの全周におけるリムの溝FAの断面形状41を取得することができる。例えば、制御部50は、逐次メモリ52に記憶した、リムの全周におけるリムの溝FAの断面形状41と、その取得位置を呼び出し、演算処理を行うことで、リムの溝FAの三次元断面形状を取得することができる。また、例えば、制御部50は、得られたリムの溝FAの三次元断面形状を、メモリ52に記憶させる。
【0112】
<眼鏡フレーム形状の取得>
例えば、制御部50は、眼鏡フレームFのリムの形状を、リムの溝FAの三次元断面形状から取得することができる。例えば、制御部50は、リムの溝FAの複数の動径角における断面形状41から、リムの溝FAの複数の動径角における底43を検出し、検出結果に基づいて、眼鏡フレームのリムの形状を取得する。例えば、制御部50は、動径角毎に取得されたリムの溝FAの底43の位置と、リムの溝FAの断面形状41を取得した取得位置と、に基づいて、リムの溝FAの底43の位置情報を取得する。例えば、これによって、制御部50は、眼鏡フレームFのリムの三次元形状(rn,zn,θn)(n=1,2,3,・・・,N)を取得してもよい。
【0113】
例えば、制御部50は、右リムFRの測定を終えると、左リムFRの測定を開始する。例えば、制御部50は、X方向移動ユニット240、Y方向移動ユニット230、Z方向移動ユニット220、及び回転ユニット260、の少なくともいずれかの駆動を制御し、保持ユニット25を左リムFLの測定開始位置へと移動させる。また、例えば、制御部50は、同様に、左リムFRの溝FAの断面形状41と、眼鏡フレームFの左リムFRの形状と、を取得する。
【0114】
なお、測定装置1を用いて取得された、リムの溝FAの断面形状(二次元断面形状及び三次元断面形状の少なくともいずれか)、眼鏡フレームFのリムの形状、等は、眼鏡フレームFのリムに枠入れする眼鏡レンズを加工するための眼鏡レンズ加工装置に送信されてもよい。眼鏡レンズ加工装置の制御部は、これらの情報を受信し、これらの情報に基づいて、眼鏡レンズの周縁を加工してもよい。
【0115】
以上、説明したように、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置において、投光光学系の投光光軸と、受光光学系の受光光軸と、により形成される投受光面は、リムの溝が測定光束により切断される切断面に対して、傾斜して配置される。言い換えると、受光光学系の受光光軸は、リムの溝が測定光束により切断される切断面上に配置されず、かつ、切断面に垂直な軸に対して、水平方向に第1傾斜角度で傾斜するとともに、鉛直方向に第2傾斜角度で傾斜して配置される。これによって、リムの溝に対する動径方向の内側に、投光光学系と受光光学系とを配置する構成であっても、リムの内側における投光光学系及び受光光学系の移動の自由度を高くすることができる(言い換えると、移動範囲を広く設けることができる)。このため、特に、リムの角部においても、リムと光学系とが干渉しづらく、リムの溝の断面形状を良好に取得することができる。
【0116】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置は、投光光学系と受光光学系を一体的に保持ユニットで保持し、眼鏡フレームのリムの内側にて、保持ユニットを移動させることで、眼鏡フレームのリムの溝に対する測定位置を変更する。このため、投光光学系と受光光学系の位置関係(例えば、シャインプルークの関係に基づく投光光学系と受光光学系の配置)は常に一定となり、容易な構成で、リムの溝の断面形状を取得することができる。
【0117】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置において、投光光学系の投光光軸は、リムの溝の接線に対して垂直な方向から測定光束が照射されるように配置される。これによって、リムの溝の断面形状を精度よく取得することができる。
【0118】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置において、投光光学系の投光光軸は、リムの溝の接線に対して垂直な方向から測定光束が照射されるように、リムの溝の動径平面に対して傾斜して配置される。例えば、これによって、眼鏡フレームのリムの動径方向に垂直な方向(すなわち、鉛直方向)に、投光光学系の投光光軸と、受光光学系の受光光軸と、をそれぞれ傾斜させることができる。このため、保持ユニットがより省スペース化され、リムの角部においても、リムと光学系とを干渉しづらくすることができ、リムの溝の断面形状が良好に取得される。
【0119】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置は、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度に基づいて、リムの溝の断面形状を補正する。例えば、少なくとも受光光学系の受光光軸を水平方向及び鉛直方向へ傾斜させた場合、保持ユニットが省スペース化されて移動の自由度は高くなるが、一方でリムの溝の断面形状が歪むようになる。このため、受光光学系の受光光軸における第1傾斜角度及び第2傾斜角度に基づき、リムの溝の断面形状を補正することによって、リムの溝の断面形状を精度よく取得することができる。
【0120】
<変容例>
なお、本実施例では、投光光学系30aの投光光軸L1を、リムの溝FAの接線tに対する垂直方向から測定光束が照射されるように配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、リムの溝FAの接線tに対して斜め方向から測定光束が照射されるように配置する構成としてもよい。一例としては、投光光学系30aの投光光軸L1は、リムの溝FAの接線tに対して、水平方向(XY方向)に傾斜した測定光束が照射されるように配置する構成としてもよい。
【0121】
この場合、リムの溝FAに内接する平面(XZ平面)に対して、リムの溝FAがスリット光により光切断された切断面Sは、斜めに位置される。制御部50は、投光光学系30aの投光光軸L1が水平方向に傾斜した傾斜角度に基づいてリムの撮像画像40を補正し、リムの溝FAに内接する平面に対して切断面Sが垂直に位置したときのリムの溝FAの断面形状41を取得してもよい。
【0122】
なお、本実施例では、投光光学系30aの投光光軸L1を、鉛直方向に所定の傾斜角度αで傾斜させて配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、鉛直方向に0度の傾斜角度αで配置してもよい。つまり、投光光学系30aの投光光軸L1は、鉛直方向に傾斜させず、水平(XY平面上)に配置にしてもよい。
【0123】
しかし、投光光学系30aの投光光軸L1を鉛直方向に傾斜させる構成に比べ、投光光学系30aの投光光軸L1を鉛直方向に傾斜させない構成では、保持ユニット25が大型化する。このため、保持ユニット25のリムの内側における移動の自由度が低くなり、特にリムの角部では、リムと保持ユニット25が干渉しやすくなる。このため、投光光学系30aの投光光軸L1は、鉛直方向に傾斜させて配置することが好ましい。
【0124】
なお、本実施例では、投光光学系30aの投光光軸L1を、鉛直方向における上側に配置し、受光光学系30bの撮像光軸L2を、鉛直方向における下側に配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、投光光学系30aの投光光軸L1及び受光光学系30bの撮像光軸L2をシャインプルークの関係で配置するとともに、リムと光学系(言い換えると、保持ユニット25)との干渉を避けることができる配置であればよい。一例として、投光光学系30aの投光光軸L1を、鉛直方向における下側に配置し、受光光学系30bの撮像光軸L2を、鉛直方向における上側に配置する構成でもよい。また、一例として、光光学系30aの投光光軸L1と、受光光学系30bの撮像光軸L2と、をどちらも鉛直方向における上側に配置する構成でもよい。また、一例として、光光学系30aの投光光軸L1と、受光光学系30bの撮像光軸L2と、をどちらも鉛直方向における下側に配置する構成でもよい。
【0125】
なお、本実施例では、受光光学系30bの撮像光軸L2を、水平方向における左側に配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、前述のように、投光光学系30aの投光光軸L1及び受光光学系30bの撮像光軸L2をシャインプルークの関係で配置するとともに、リムと光学系(言い換えると、保持ユニット25)との干渉を避けることができる配置であればよい。一例として、受光光学系30bの撮像光軸L2を、水平方向における右側に配置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 眼鏡枠形状測定装置
3 モニタ
4 スイッチ部
10 フレーム保持ユニット
20 測定ユニット
25 保持ユニット
30a 投光光学系
30b 受光光学系
50 制御部
52 メモリ
220 Z方向移動ユニット
230 Y方向移動ユニット
240 X方向移動ユニット
260 回転ユニット