(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】トレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/60 20060101AFI20240109BHJP
B60C 19/08 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
B29D30/60
B60C19/08
(21)【出願番号】P 2019193708
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】宗友 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 博幸
(72)【発明者】
【氏名】信近 英男
(72)【発明者】
【氏名】奥 達昭
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-115935(JP,A)
【文献】特開2013-144527(JP,A)
【文献】特開2016-088032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D30/00-30/72
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
絶縁性の第1ゴムストリップを少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動させながら巻き重ねる第1工程と、
導電性の第2ゴムストリップを前記第1ゴムストリップよりも前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側の位置から前記第1ゴムストリップの外周面に亘って巻き付ける第2工程と、
絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第2軸方向の側の位置から前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第3工程と、
絶縁性の第4ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側の位置から少なくとも前記第2軸方向に移動させながら、前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第4工程とを含
み、
前記第1工程が終了する前に前記第2工程が開始する、
トレッドゴム形成方法。
【請求項2】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
絶縁性の第1ゴムストリップを少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動させながら巻き重ねる第1工程と、
導電性の第2ゴムストリップを前記第1ゴムストリップよりも前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側の位置から前記第1ゴムストリップの外周面に亘って巻き付ける第2工程と、
絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第2軸方向の側の位置から前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第3工程と、
絶縁性の第4ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側の位置から少なくとも前記第2軸方向に移動させながら、前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第4工程とを含み、
前記第2工程が終了する前に前記第3工程が開始する、
トレッドゴム形成方法。
【請求項3】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
絶縁性の第1ゴムストリップを少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動させながら巻き重ねる第1工程と、
導電性の第2ゴムストリップを前記第1ゴムストリップよりも前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側の位置から前記第1ゴムストリップの外周面に亘って巻き付ける第2工程と、
絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第2軸方向の側の位置から前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第3工程と、
絶縁性の第4ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側の位置から少なくとも前記第2軸方向に移動させながら、前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第4工程とを含み、
前記第4ゴムストリップは、前記第1ゴムストリップに対して前記第1軸方向の側に巻き重ねられ、前記第1工程が終了する前に前記第4工程が開始する、
トレッドゴム形成方法。
【請求項4】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
絶縁性の第1ゴムストリップを少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動させながら巻き重ねる第1工程と、
導電性の第2ゴムストリップを前記第1ゴムストリップよりも前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側の位置から前記第1ゴムストリップの外周面に亘って巻き付ける第2工程と、
絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第2軸方向の側の位置から前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第3工程と、
絶縁性の第4ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側の位置から少なくとも前記第2軸方向に移動させながら、前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第4工程とを含み、
前記第4ゴムストリップは、前記第2ゴムストリップと前記第3ゴムストリップとの間に巻き重ねられ、前記第3工程が終了する前に前記第4工程が開始する、
トレッドゴム形成方法。
【請求項5】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
絶縁性の第1ゴムストリップを少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動させながら巻き重ねる第1工程と、
導電性の第2ゴムストリップを前記第1ゴムストリップよりも前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側の位置から前記第1ゴムストリップの外周面に亘って巻き付ける第2工程と、
絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第2軸方向の側の位置から前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第3工程と、
絶縁性の第4ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側の位置から少なくとも前記第2軸方向に移動させながら、前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第4工程とを含み、
前記第4工程は、前記第4ゴムストリップを前記第1軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、
トレッドゴム形成方法。
【請求項6】
前記第1ゴムストリップ、前記第2ゴムストリップ及び前記第4ゴムストリップは、加硫後の体積固有抵抗が1×10
8
Ωcm以上となるゴム材料からなり、
前記第2ゴムストリップは、加硫後の体積固有抵抗が1×10
7
Ωcm以下となるゴム材料からなる、請求項1ないし5のいずれかに記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項7】
前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを少なくとも前記第1軸方向に移動させながら巻き重ねる、請求項3記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項8】
前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを少なくとも前記第2軸方向に移動させながら巻き重ねる、
請求項4記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項9】
前記第1工程は、前記第1ゴムストリップを前記第2軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項10】
前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを前記第2軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、
請求項7
記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項11】
前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを前記第1軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、請求項8記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項12】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、
少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動しながら絶縁性の第1ゴムストリップを第1巻き位置に供給する第1アプリケータと、
前記第1アプリケータに対して前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側に位置され、導電性の第2ゴムストリップを第2巻き位置に供給する第2アプリケータと、
前記第2アプリケータに対して前記第2軸方向の側に位置され、少なくとも前記第1軸方向に移動しながら絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように、第3巻き位置に供給する第3アプリケータと、
前記第2アプリケータに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側に位置され、少なくとも前記第2軸方向に移動しながら、絶縁性の第4ゴムストリップを第4巻き位置に供給する第4アプリケータとを含む、
トレッドゴム形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、ジョイントのないトレッドゴムを形成し、タイヤのユニフォミティを向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、自動車の低燃費性能を高めるために、シリカをトレッドゴムの補強剤として用いたタイヤが提案されている。このシリカは電気絶縁性が高いため、タイヤの電気抵抗の増加を招き、静電気が車両に蓄積されることによりラジオノイズ等の電波障害を引き起こす虞がある。
【0005】
そこで、トレッドゴムを厚さ貫通する導電性のゴムによって、トレッドゴムの半径方向内側と半径方向外側とを導通させ、タイヤに蓄積された電荷を放電する技術が検討されている。
【0006】
しかしながら、上記導電性のゴムが貫通しているトレッドゴムは、通常のトレッドゴムと比較すると構成が複雑であり、生産性が悪化する。特に、ギアポンプから押し出されたゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることによりトレッドゴムを形成する工法においては、ギアポンプの押出能力を十分にたかめることが困難であるため、上記導電性のゴムの形成にあたって、多大な時間が必要となる。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤの低燃費性能及びユニフォミティを高めつつ、タイヤに蓄積された電荷を放電できるトレッドゴムを短時間で形成できる技術を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、絶縁性の第1ゴムストリップを少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動させながら巻き重ねる第1工程と、導電性の第2ゴムストリップを前記第1ゴムストリップよりも前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側の位置から前記第1ゴムストリップの外周面に亘って巻き付ける第2工程と、絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第2軸方向の側の位置から前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第3工程と、絶縁性の第4ゴムストリップを前記第2ゴムストリップに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側の位置から少なくとも前記第2軸方向に移動させながら、前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように巻き重ねる第4工程とを含む。
【0009】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第1ゴムストリップ、前記第2ゴムストリップ及び前記第4ゴムストリップは、加硫後の体積固有抵抗が1×108Ωcm以上となるゴム材料からなり、前記第2ゴムストリップは、加硫後の体積固有抵抗が1×107Ωcm以下となるゴム材料からなる、ことが望ましい。
【0010】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第1工程が終了する前に前記第2工程が開始する、ことが望ましい。
【0011】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第2工程が終了する前に前記第3工程が開始する、ことが望ましい。
【0012】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第4ゴムストリップは、前記第1ゴムストリップに対して前記第1軸方向の側に巻き重ねられ、前記第1工程が終了する前に前記第4工程が開始する、ことが望ましい。
【0013】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを少なくとも前記第1軸方向に移動させながら巻き重ねる、ことが望ましい。
【0014】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第4ゴムストリップは、前記第2ゴムストリップと前記第3ゴムストリップとの間に巻き重ねられ、前記第3工程が終了する前に前記第4工程が開始する、ことが望ましい。
【0015】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを少なくとも前記第2軸方向に移動させながら巻き重ねる、ことが望ましい。
【0016】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第1工程は、前記第1ゴムストリップを前記第2軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ことが望ましい。
【0017】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを前記第2軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ことが望ましい。
【0018】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第3工程は、前記第3ゴムストリップを前記第1軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ことが望ましい。
【0019】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第4工程は、前記第4ゴムストリップを前記第1軸方向に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ことが望ましい。
【0020】
本発明の第2発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、少なくとも前記トレッドゴムの第1軸方向に移動しながら絶縁性の第1ゴムストリップを第1巻き位置に供給する第1アプリケータと、前記第1アプリケータに対して前記第1軸方向とは反対の第2軸方向の側に位置され、導電性の第2ゴムストリップを第2巻き位置に供給する第2アプリケータと、前記第2アプリケータに対して前記第2軸方向の側に位置され、絶縁性の第3ゴムストリップを前記第2ゴムストリップの一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出するように、第3巻き位置に供給する第3アプリケータと、前記第2アプリケータに対して前記第1軸方向又は前記第2軸方向の側に位置され、少なくとも前記第2軸方向に移動しながら、絶縁性の第4ゴムストリップを第4巻き位置に供給する第4アプリケータとを含む。
【発明の効果】
【0021】
本第1発明のトレッドゴム形成方法は、前記第1工程、前記第3工程及び前記第4工程にて絶縁性の前記ゴムストリップが螺旋状に巻き重ねられ、前記第2工程にて導電性の前記第2ゴムストリップが巻き付けられる。前記第2ゴムストリップの一部は、前記トレッドゴムの半径方向内側に露出し、他の一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出する。これにより、タイヤの低燃費性能を高めつつ、タイヤに蓄積された電荷を放電できる前記トレッドゴムが形成される。
【0022】
本トレッドゴム形成方法では、トレッドゴムが前記第1工程ないし前記第4工程に分散して形成される。そして、前記第1工程ないし前記第4工程は一部において、同時に進行可能である。従って、前記トレッドゴムを短時間で形成できるようになる。
【0023】
本第2発明のトレッドゴム形成装置は、前記第1アプリケータ、前記第3アプリケータ及び前記第4アプリケータを用いて絶縁性の前記ゴムストリップが螺旋状に巻き重ねられ、前記第2アプリケータを用いて導電性の前記第2ゴムストリップが巻き付けられる。前記第2ゴムストリップの一部は、前記トレッドゴムの半径方向内側に露出し、他の一部が前記トレッドゴムの半径方向外側に露出する。これにより、タイヤの低燃費性能を高めつつ、タイヤに蓄積された電荷を放電できる前記トレッドゴムが形成される。
【0024】
本トレッドゴム形成方法では、トレッドゴムが前記第1アプリケータないし前記第4アプリケータを用いて分散して形成される。そして、前記第1アプリケータないし前記第4アプリケータは、一部において同時に動作可能である。従って、前記トレッドゴムを短時間で形成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のトレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置にて形成されるトレッドゴムの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態のトレッドゴム形成方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態のトレッドゴム形成装置の構成を示す側面図である。
【
図4】第1工程での上記トレッドゴム形成装置を示す略図である。
【
図5】第2工程での上記トレッドゴム形成装置を示す略図である。
【
図6】第3工程での上記トレッドゴム形成装置を示す略図である。
【
図7】第4工程での上記トレッドゴム形成装置を示す略図である。
【
図8】第3工程での上記トレッドゴム形成装置の変形例を示す略図である。
【
図9】第4工程での上記トレッドゴム形成装置の変形例を示す略図である。
【
図10】上記トレッドゴム形成装置の変形例を用いて形成されたトレッドゴムの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のトレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置にて形成されるタイヤのトレッドゴムの断面図である。トレッドゴム1は、環状に形成され、電気絶縁性を有する絶縁部2と電気導電性を有する導電部3とを含んでいる。導電部3は、絶縁部2をトレッドゴム1の厚さ方向(半径方向)に貫通して形成されている。
【0027】
絶縁部2は、例えば、シリカが補強剤として多く配合されたゴムによって構成されている。本トレッドゴムでは、絶縁部2は、加硫後の体積固有抵抗が1×108Ωcm以上となるゴム材料によって構成されているのが望ましい。導電部3は、例えば、カーボンが補強剤として多く配合されたゴムによって構成されている。本トレッドゴムでは、導電部3は、加硫後の体積固有抵抗が1×107Ωcm以下のゴム材料によって構成されているのが望ましい。なお、体積固有抵抗は、例えば、15cm四方かつ厚さ2mmのゴムの試料を用い、印加電圧500V、気温25℃、湿度50%の条件で電気抵抗測定器を用いて測定されうる。
【0028】
絶縁部2を貫通する導電部3によって、トレッドゴム1の半径方向内側と半径方向外側とが導通する。トレッドゴム1の半径方向内側には、例えば、ベルト部材のトッピングゴムやサイドウォールゴム等の導電性のゴムが配されているので、導電部3を介してタイヤに蓄積された電荷が放電される。
【0029】
図2は、本実施形態のトレッドゴム形成方法の手順を示すフローチャートである。また、
図3は、トレッドゴム形成方法に好適に用いられるトレッドゴム形成装置の一例を示している。
【0030】
図2に示されるように、本トレッドゴム形成方法は、絶縁性の第1ゴムストリップ11を巻き重ねる第1工程S1と、導電性の第2ゴムストリップ12を巻き付ける第2工程S2と、絶縁性の第3ゴムストリップ13を巻き重ねる第3工程S3と、絶縁性の第4ゴムストリップ14を巻き重ねる第4工程S4とを含んでいる(第1ゴムストリップ11ないし第4ゴムストリップ14については、
図4ないし10参照)。第1ゴムストリップ11、第3ゴムストリップ13及び第4ゴムストリップ14によって絶縁部2が形成され、第2ゴムストリップ12によって導電部3が形成される。
【0031】
図3に示されるように、トレッドゴム形成装置100は、第1ゴムストリップ11を第1巻き位置に供給する第1アプリケータ101と、第2ゴムストリップ12を第2巻き位置に供給する第2アプリケータ102と、第3ゴムストリップ13を第3巻き位置に供給する第3アプリケータ103と、第4ゴムストリップ14を第4巻き位置に供給する第4アプリケータ104とを含んでいる。
【0032】
第1ゴムストリップ11ないし第4ゴムストリップ14は、回転駆動される成形ドラム105の半径方向外側に巻き付けられ、環状のトレッドゴム1を構成する。第1アプリケータ101、第3アプリケータ103及び第4アプリケータ104は、成形ドラム105の軸方向(
図3中紙面に垂直な方向)に移動可能に構成されている。すなわち、第1アプリケータ101、第3アプリケータ103及び第4アプリケータ104は、トレッドゴム1の第1軸方向又は第1軸方向とは反対の第2軸方向に移動可能に構成されている。成形ドラム105がその軸方向に移動可能に構成されていてもよい。また、第1アプリケータ101、第2アプリケータ102、第3アプリケータ103及び第4アプリケータ104は、必要に応じて、成形ドラム105の軸方向に垂直な前後方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0033】
第1アプリケータ101ないし第4アプリケータ104には、公知のゴムストリップ供給装置が適用されうる。例えば、第1アプリケータ101は、第1ゴムストリップ11を搬送するためのベルト及び第1ゴムストリップ11の巻き付け箇所を成形ドラム105の半径方向内側に押圧するためのローラー等を有する装置によって構成されうる。第2アプリケータ102ないし第4アプリケータ104の構成についても、第1アプリケータ101と同様である。
【0034】
第1アプリケータ101、第3アプリケータ103及び第4アプリケータ104の上流側には、例えば、ギアポンプ(図示せず)が設けられている。ギアポンプによって、混合、加工及び貼付が困難なゴム材料であっても、第1ゴムストリップ11、第3ゴムストリップ13及び第4ゴムストリップ14が継続して安定的に供給され、容易に巻き重ね可能である。第2アプリケータ102の上流側には、例えば、第2ゴムストリップ12が巻回されたドラム又はボビン等(図示せず)が設けられている。
【0035】
成形ドラム105の回転と第1アプリケータ101、第3アプリケータ103、第4アプリケータ104及び成形ドラム105の移動は、制御部(図示せず)によって制御される。制御部は、第1アプリケータ101等又は成形ドラム105を同期制御する。以下、第1アプリケータ101、第3アプリケータ103及び第4アプリケータ104が移動可能な形態について説明するが、成形ドラム105が移動可能な形態についても同様である。
【0036】
図4は、第1工程S1でのトレッドゴム形成装置100を示している。第1工程S1では、第1アプリケータ101が、トレッドゴム1の第1軸方向D1に移動しながら第1ゴムストリップ11を第1巻き位置P1に供給する。これにより、第1ゴムストリップ11が第1軸方向D1に移動しながら巻き重ねられる。なお、説明の便宜上、第1軸方向D1は、
図4において右方向としているが、左方向であってもよい。巻き重ねられた第1ゴムストリップ11による断面の輪郭は、トレッドゴム1の断面の輪郭にも依存するが、本実施形態では、中央の平坦部と両端の斜面部を有する形状を呈する。
【0037】
図5は、第2工程S2でのトレッドゴム形成装置100を示している。第2工程S2では、第2アプリケータ102が、第2ゴムストリップ12を第2巻き位置P2に供給する。これにより、第2ゴムストリップ12が巻き付けられる。第2巻き位置P2は、第1巻き位置P1よりも第1軸方向D1とは反対の第2軸方向D2の側に位置されている。
【0038】
本実施形態では、第2ゴムストリップ12の幅は、導電部3の幅に対応するように構成されている。第2ゴムストリップ12の幅は、導電部3の幅より小さくてもよい。この場合、例えば、第2アプリケータ102がトレッドゴム1の第1軸方向D1に移動しながら第2ゴムストリップ12が螺旋状に巻き重ねられることにより、導電部3が形成される。
【0039】
第2工程S2では、第2ゴムストリップ12の第2軸方向D2の端縁が第1ゴムストリップ11の第2軸方向D2の端縁よりも第2軸方向D2の側に位置するように、第2巻き位置P2が設定されている。これにより、第2ゴムストリップ12の第2軸方向D2の端縁がトレッドゴム1の半径方向内側に露出する。
【0040】
また、第2ゴムストリップ12の第1軸方向D1の端縁が第1ゴムストリップ11よりもトレッドゴムの半径方向外側に位置するように第2巻き位置P2が設定されている。本実施形態では、第2ゴムストリップ12の第1軸方向D1は、第1ゴムストリップ11の上記斜面を超え、上記平坦部に亘って形成されている。
【0041】
図6は、第3工程S3でのトレッドゴム形成装置100を示している。第3工程S3では、第2アプリケータ102(
図5参照)に対して第2軸方向D2の側に位置された第3アプリケータ103が、第1軸方向D1に移動しながら第3ゴムストリップ13を第3巻き位置P3に供給する。これにより、第3ゴムストリップ13が第1軸方向D1に移動しながら巻き重ねられる。さらに、第3ゴムストリップ13が第1軸方向D1に移動することにより、第3ゴムストリップ13が第2ゴムストリップ12の半径方向外側に巻き重ねられ、第2ゴムストリップ12よりも第2軸方向D2の側に第3ゴムストリップ13が形成される。
【0042】
第3工程S3では、第3ゴムストリップ13が少なくとも第2ゴムストリップ12の第1軸方向D1の側の端縁よりも第2軸方向D2の側に位置するように、第3巻き位置P3が設定されている。これにより、第2ゴムストリップ12の一部がトレッドゴム1の半径方向外側に露出するように、第3ゴムストリップ13が巻き重ねられる。なお、第3工程S3では、第1アプリケータ101又は第4アプリケータ104を用いて第3ゴムストリップ13が巻き付けられるように構成されていてもよい。
【0043】
図7は、第4工程S4でのトレッドゴム形成装置100を示している。本トレッドゴム形成装置100において、第4アプリケータ104は、第1アプリケータ101及び第2アプリケータ102(
図4及び
図5参照)に対して第1軸方向D1の側に位置されている。
【0044】
第4工程S4では、第1アプリケータ101に対して第1軸方向D1の側に位置された第4アプリケータ104が、第2軸方向D2に移動しながら第4ゴムストリップ14を第4巻き位置P4に供給する。これにより、第4ゴムストリップ14が第2軸方向D2に移動しながら巻き重ねられ、第2ゴムストリップ12よりも第1軸方向D1の側に第1ゴムストリップ11及び第4ゴムストリップ14が形成される。
【0045】
第4工程S4では、第4ゴムストリップ14の第2軸方向D2の側の端縁が少なくとも第2ゴムストリップ12の第1軸方向D1の側の端縁よりも第1軸方向D1の側に位置するように、第4巻き位置P4が設定されている。これにより、第2ゴムストリップ12の一部がトレッドゴム1の半径方向外側に露出するように、第4ゴムストリップ14が巻き重ねられる。なお、第4工程S4では、第1アプリケータ101又は第3アプリケータ103を用いて第4ゴムストリップ14が巻き付けられるように構成されていてもよい。
【0046】
本トレッドゴム形成方法は、第1工程S1、第3工程S3及び第4工程S4にて絶縁性の第1ゴムストリップ11、第3ゴムストリップ13、第4ゴムストリップ14が螺旋状に巻き重ねられ、第2工程S2にて導電性の第2ゴムストリップ12が巻き付けられる。第2ゴムストリップ12の一部(第2軸方向D2の側の端部)は、トレッドゴム1の半径方向内側に露出し、他の一部(第1軸方向D1の側の端部)がトレッドゴム1の半径方向外側に露出する。これにより、タイヤの低燃費性能を高めつつ、タイヤに蓄積された電荷を放電できるトレッドゴム1が形成される。
【0047】
本トレッドゴム形成方法では、トレッドゴム1が第1工程S1ないし第4工程S4に分散して形成される。そして、後述するように、第1工程S1ないし第4工程S4は一部において、同時に進行可能である。従って、タイヤに蓄積された電荷を放電できるトレッドゴム1を短時間で形成できるようになる。特に、ゴムストリップの供給能力に乏しいギアポンプが適用される形態であっても、上記トレッドゴム1を短時間で形成できるようになる。
【0048】
本トレッドゴム形成装置100は、第1アプリケータ101、第3アプリケータ103及び第4アプリケータ104を用いて絶縁性の第1ゴムストリップ11、第3ゴムストリップ13、第4ゴムストリップ14が螺旋状に巻き重ねられ、第2アプリケータ102を用いて導電性の第2ゴムストリップ12が巻き付けられる。第2ゴムストリップ12の一部は、トレッドゴム1の半径方向内側に露出し、他の一部がトレッドゴム1の半径方向外側に露出する。これにより、タイヤの低燃費性能を高めつつ、タイヤに蓄積された電荷を放電できるトレッドゴム1が形成される。
【0049】
本トレッドゴム形成装置100では、トレッドゴム1が第1アプリケータ101ないし第4アプリケータ104を用いて分散して形成される。そして、第1アプリケータ101ないし第4アプリケータ104は、一部において同時に動作可能である。従って、タイヤに蓄積された電荷を放電できるトレッドゴム1を短時間で形成できるようになる。
【0050】
以下に説明するように、本トレッドゴム形成方法では、第1工程S1、第2工程S2、第3工程S3及び第4工程S4が、必ずしも
図2に示される順序で実行されなくてもよい。
【0051】
本トレッドゴム形成方法では、第1工程S1が終了する前に第2工程S2が開始する、ように構成されているのが望ましい。例えば、第1工程S1で第1ゴムストリップ11の第2軸方向D2の側の端縁が第2巻き位置P2の第1軸方向D1の側の端縁を通過した後、第2ゴムストリップ12の巻き付けが開始されてもよい。このような構成では、第1工程S1及び第2工程S2が部分的に同時に進行し、トレッドゴム1の生産効率が向上する。
【0052】
本トレッドゴム形成方法では、第2工程S2が終了する前に第3工程S3が開始する、ように構成されているのが望ましい。例えば、第2工程S2が開始する前に第3工程S3が開始する、ように構成されていてもよい。この場合、第3工程S3で第3ゴムストリップ13の第1軸方向D1の側の端縁が第2巻き位置P2の第1軸方向D1の側の端縁に到達する前に、第2工程S2が終了していればよい。このような構成では、第2工程S2及び第3工程S3が部分的に同時に進行し、トレッドゴム1の生産効率が向上する。
【0053】
本トレッドゴム形成方法では、第1工程S1が終了する前に第4工程S4が開始する、ように構成されているのが望ましい。例えば、第4工程S4で第4ゴムストリップ14の第2軸方向D2の側の端縁が第1巻き位置P1の第1軸方向D1の側の端縁に到達する前に、第1工程S1が終了していればよい。このような構成では、第1工程S1及び第4工程S4が部分的に同時に進行し、トレッドゴム1の生産効率が向上する。
【0054】
図8及び
図9は、トレッドゴム形成装置100の変形例であるトレッドゴム形成装置100Aを示している。本トレッドゴム形成装置100Aは、第4アプリケータ104が第1アプリケータ101及び第2アプリケータ102(
図4及び
図5参照)に対して第2軸方向D2の側に位置されている点で、トレッドゴム形成装置100とは異なっている。
【0055】
トレッドゴム形成装置100Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述したトレッドゴム形成装置100の構成が採用されうる。すなわち、本トレッドゴム形成装置100Aでは、
図4及び
図5と同様に、第1工程S1及び第2工程S2が実行される。
【0056】
図8は、第3工程S3でのトレッドゴム形成装置100Aを示している。第3工程S3では、第2アプリケータ102に対して第2軸方向D2の側に位置された第3アプリケータ103が、第2軸方向D2に移動しながら第3ゴムストリップ13を第3巻き位置P3に供給する。これにより、第3ゴムストリップ13が第2軸方向D2に移動しながら巻き重ねられる。
【0057】
トレッドゴム形成装置100Aを用いたトレッドゴム形成方法の第3工程S3では、第3ゴムストリップ13が少なくとも第2ゴムストリップ12の第2軸方向D2の側の端縁よりも第2軸方向D2の側に位置するように、第3巻き位置P3が設定されている。これにより、第3ゴムストリップ13が第2ゴムストリップ12よりも第2軸方向D2の側に距離を隔てて巻き付けられ、第2ゴムストリップ12の全体がトレッドゴム1の半径方向外側に露出する。
【0058】
なお、トレッドゴム形成装置100Aを用いたトレッドゴム形成方法の第3工程S3では、第3アプリケータ103が、第1軸方向D1に移動しながら第3ゴムストリップ13を第3巻き位置P3に供給するように構成されていてもよい。これにより、第3ゴムストリップ13が第1軸方向D1に移動しながら巻き重ねられる。
【0059】
図9は、第4工程S4でのトレッドゴム形成装置100Aを示している。本トレッドゴム形成装置100Aにおいて、第4アプリケータ104は、第2アプリケータ102及び第1アプリケータ101に対して第2軸方向D2の側に、かつ、第3アプリケータ103に対して第1軸方向D1の側に位置されている。これにより、第4ゴムストリップ14は、第2ゴムストリップ12と第3ゴムストリップ13との間に巻き重ねられる。
【0060】
第4工程S4では、第2アプリケータ102に対して第2軸方向D2の側に位置された第4アプリケータ104が、第2軸方向D2に移動しながら第4ゴムストリップ14を第4巻き位置P4に供給する。これにより、第4ゴムストリップ14が第2軸方向D2に移動しながら巻き重ねられ、第2ゴムストリップ12よりも第2軸方向D2の側に第3ゴムストリップ13及び第4ゴムストリップ14が形成される。
【0061】
第4工程S4では、第4ゴムストリップ14が少なくとも第2ゴムストリップ12の第2軸方向D2の側の端縁よりも第2軸方向D2の側に位置するように、第4巻き位置P4が設定されている。これにより、第2ゴムストリップ12の一部がトレッドゴム1の半径方向外側に露出するように、第4ゴムストリップ14が巻き重ねられる。トレッドゴム形成装置100Aにおいても、第2ゴムストリップ12の一部(第2軸方向D2の側の端部)は、トレッドゴム1の半径方向内側に露出し、他の一部(第1軸方向D1の側の端部)がトレッドゴム1の半径方向外側に露出する。
【0062】
本トレッドゴム形成装置100Aを用いたトレッドゴム形成方法においても、トレッドゴム1が第1工程S1ないし第4工程S4に分散して形成される。そして、第1工程S1ないし第4工程S4は一部において、同時に進行可能である。従って、タイヤに蓄積された電荷を放電できるトレッドゴム1を短時間で形成できるようになる。
【0063】
本トレッドゴム形成装置100Aを用いたトレッドゴム形成方法にあっても、第1工程S1、第2工程S2、第3工程S3及び第4工程S4が、必ずしも
図2に示される順序で実行されなくてもよい。そして、第1工程S1が終了する前に第2工程S2が開始する、ように構成されているのが望ましい。また、第2工程S2が終了する前に第3工程S3が開始する、ように構成されているのが望ましい。
【0064】
本トレッドゴム形成方法では、第3工程S3が終了する前に第4工程S4が開始する、ように構成されているのが望ましい。例えば、第4工程S4で第4ゴムストリップ14の第2軸方向D2の側の端縁が第3巻き位置P3の第1軸方向D1の側の端縁に到達する前に、第3工程S3が終了していればよい。このような構成では、第3工程S3及び第4工程S4が部分的に同時に進行し、トレッドゴム1の生産効率が向上する。
【0065】
図4に示される第1工程S1は、第1ゴムストリップ11を第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ように構成されているのが望ましい。例えば、第1ゴムストリップ11は、第1巻き位置P1において第1軸方向D1に移動させながら巻き重ねられた後、第1巻き位置P1の第1軸方向D1の側の端部で折返し、第2軸方向D2に移動させながら第2巻き位置P2の手前で終端するように巻き重ねられる。これにより、第1巻き位置P1での絶縁性ゴムのボリュームが容易に確保されうる。
【0066】
図6に示される第3工程S3は、第3ゴムストリップ13を第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ように構成されているのが望ましい。例えば、第3ゴムストリップ13は、第3巻き位置P3において第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねられた後、第3巻き位置P3の第2軸方向D2の側の端部で折返し、第1軸方向D1に移動させながら巻き重ねられる。これにより、第3巻き位置P3での絶縁性ゴムのボリュームが容易に確保されうる。
【0067】
図8に示される第3工程S3は、第3ゴムストリップ13を第1軸方向D1に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ように構成されているのが望ましい。例えば、第3ゴムストリップ13は、第3巻き位置P3において第1軸方向D1に移動させながら巻き重ねられた後、第3巻き位置P3の第1軸方向D1の側の端部で折返し、第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねられる。これにより、第3巻き位置P3での絶縁性ゴムのボリュームが容易に確保されうる。
【0068】
図7又は9に示される第4工程S4は、第4ゴムストリップ14を第1軸方向D1に移動させながら巻き重ねる工程を含む、ように構成されているのが望ましい。例えば、第4ゴムストリップ14は、第4巻き位置P4において第1軸方向D1に移動させながら巻き重ねられた後、第4巻き位置P4の第1軸方向D1の側の端部で折返し、第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねられる。これにより、第4巻き位置P4での絶縁性ゴムのボリュームが容易に確保されうる。
【0069】
図10は、トレッドゴム形成装置100Aを用いて、第1ゴムストリップ11を第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねる工程を含む第1工程S1、及び第3ゴムストリップ13を第2軸方向D2に移動させながら巻き重ねる工程を含む第3工程S3を経て、形成されたトレッドゴム1を示している。
図10に示されるトレッドゴム1では、ショルダー部に相当する領域で絶縁性ゴムのボリュームが容易に確保されうる。
【0070】
以上、本発明のトレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置100が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。例えば、トレッドゴム1は、成形ドラム105の半径方向外側に形成される形態に限られることなく、タイヤを構成するベルト部材等の半径方向外側に形成される形態にも適用されうる。
【符号の説明】
【0071】
1 トレッドゴム
11 第1ゴムストリップ
12 第2ゴムストリップ
13 第3ゴムストリップ
14 第4ゴムストリップ
100 トレッドゴム形成装置
101 第1アプリケータ
102 第2アプリケータ
103 第3アプリケータ
104 第4アプリケータ
D1 第1軸方向
D2 第2軸方向
S1 第1工程
S2 第2工程
S3 第3工程
S4 第4工程