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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】レーザ加工機付き製袋システム
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/16 20170101AFI20240109BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20240109BHJP
   B23K 26/359 20140101ALI20240109BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240109BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20240109BHJP
   B31B 70/64 20170101ALI20240109BHJP
   B31B 160/10 20170101ALN20240109BHJP
【FI】
B31B70/16
B23K26/03
B23K26/359
B65B57/00 A
B65B57/02 E
B31B70/64
B31B160:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019223959
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021091167
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-121220(JP,A)
【文献】米国特許第06074097(US,A)
【文献】特開2006-117307(JP,A)
【文献】特開2004-331087(JP,A)
【文献】特開2018-030602(JP,A)
【文献】特開2009-137078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/16
B23K 26/03
B23K 26/359
B65B 57/00
B65B 57/02
B31B 70/64
B31B 160/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフィルムを熱接着して外周シール部を形成することにより袋状に形成され、所定位置にレーザ加工線が形成されたパウチを作製するレーザ加工機付き製袋システムであって、
一対のフィルムを一方向に向かって供給する給紙部と、
外周シール部を熱接着により形成する熱接着部と、
前記フィルムの所定位置に前記レーザ加工線を形成するレーザ加工部と、
前記フィルムの供給方向における前記レーザ加工部よりも上流側かつ前記給紙部よりも下流側に配置された、フィルムの画面ピッチを計測する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって計測されたフィルムの画面ピッチに基づいて、前記レーザ加工部におけるレーザ加工線の形成位置を調整するための補正値を算出する演算部と、
前記演算部において算出された補正値に基づいて、前記レーザ加工部におけるレーザ加工線の形成位置をフィルムの供給方向に沿って変位させる制御部とを備え
前記熱接着部は、フィルムの供給方向に伸びる前記外周シール部を形成するための縦方向熱接着部と、フィルムの幅方向に伸びる前記外周シール部を形成するための横方向熱接着部とを有し、
前記位置検出手段は、前記給紙部よりも下流側であって縦方向熱接着部よりも上流側に設置された第1の監視カメラと、縦方向熱接着部よりも下流側であって横方向熱接着部よりも上流側に設置された第2の監視カメラとを有し、前記第1の監視カメラおよび前記第2の監視カメラから得られた画像情報から、画面ピッチ間のパスの変動量を計測するものであることを特徴とするレーザ加工機付き製袋システム。
【請求項2】
前記レーザ加工部は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を前記フィルムの表面に照射する光学系とを有するレーザ加工ユニットを有し、
前記光学系は、前記レーザ光源から出射されるレーザ光の進行方向を転換するミラー部材を有しており、
前記演算部において算出された補正値に基づいて前記ミラー部材の角度が調整されることにより、前記レーザ加工部におけるレーザ加工線の形成位置が変位されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工機付き製袋システム。
【請求項3】
前記レーザ加工部は、一対のフィルムに対して各々レーザ加工線を形成するレーザ加工ユニットをそれぞれ有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ加工機付き製袋システム。
【請求項4】
前記レーザ加工部の各々のレーザ加工ユニットが、互いにフィルムの供給方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工機付き製袋システム。
【請求項5】
前記位置検出手段が、前記熱接着部において熱接着を開始する位置を識別するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザ加工機付き製袋システム。
【請求項6】
前記位置検出手段が、前記給紙部において供給されるフィルムの蛇行状態を識別するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のレーザ加工機付き製袋システム。
【請求項7】
前記位置検出手段が、前記給紙部において供給される一対のフィルムの、フィルムの供給方向の互いのずれを識別するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のレーザ加工機付き製袋システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工によって易開封用の切取り線が形成されたパウチを製造するためのレーザ加工機付き製袋システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のフィルムの外周を熱接着(ヒートシール)することにより袋状に形成し、外周シール部よりも内側の収容部に内容物を収容するパウチにおいて、従来、使用者が内容物を取り出す際に鋏等を使わずに手で開封できるよう、内容物の注出口となる部位に沿ってレーザ加工によってハーフカット状の切取り線を形成するなどの易開封加工が施されたものがある(例えば、特許文献1等)。
【0003】
この種のパウチは、一般に、樹脂製のフィルムからなる長尺状の原反フィルムを順次繰り出しながら、熱接着のためのヒートシール加工、切取り線を形成するための易開封加工、パウチの外輪郭に沿って切り出すカット加工などの各工程が流れ作業的に行われて製袋されることにより製造される。このとき、原反フィルムはある程度の張力がかけられながら搬送されるので、原反フィルムには搬送張力に起因した微小なフィルムの伸びが生じる結果、各工程での加工位置に許容範囲を逸脱したズレが発生することがある。すなわち、例えばレーザ加工による切取り線の形成位置は予め原反フィルムに印刷されたフィルム画面上の所定位置に定められているが、原反フィルムに伸びが生じて画面ピッチが大きく変動した場合に、切取り線の形成位置が所定位置からずれてしまう、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-287284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような問題を解決するために、従来、原反フィルムの画面ピッチの変動が生じた場合に、切取り線の形成位置を合わせるためにレーザ加工のためのレーザ加工ユニットを人手で動かすことが行われている。
切取り線の形成位置がフィルム画面上の所定位置からずれて製造されたパウチは、切取り線の位置ずれが許容範囲から逸脱すると不良品として取り除かなければならないが、箱詰めなどの担当者が発見するまで不良品の製袋が連続して行われてしまう。さらに、切取り線はパウチの形状やフィルム画面上の印刷図柄に隠れて見え難くなっていることも多いことから視認による選別は困難であり、位置ずれが発生初期の段階で検知されれば不良品の発生を最小限に抑えることができるところ、切取り線の形成位置にずれが生じたことに気が付かないまま製造が続行されてしまうことも多々あり、このような場合には、大量の不良品が発生して歩留まりが低下するだけでなく、選別作業にも多くの人手を要し、生産効率が著しく低下するという製造上の問題もある。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、歩留まりを向上させて不良品の発生を抑止し、極めて高い生産効率でレーザ加工線による切取り線が形成されたパウチを製造することができるレーザ加工機付き製袋システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレーザ加工機付き製袋システムは、一対のフィルムを熱接着して外周シール部を形成することにより袋状に形成され、所定位置にレーザ加工線が形成されたパウチを作製するレーザ加工機付き製袋システムであって、
一対のフィルムを一方向に向かって供給する給紙部と、
外周シール部を熱接着により形成する熱接着部と、
前記フィルムの所定位置に前記レーザ加工線を形成するレーザ加工部と、
前記フィルムの供給方向における前記レーザ加工部よりも上流側かつ前記給紙部よりも下流側に配置された、フィルムの画面ピッチを計測する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって計測されたフィルムの画面ピッチに基づいて、前記レーザ加工部におけるレーザ加工線の形成位置を調整するための補正値を算出する演算部と、
前記演算部において算出された補正値に基づいて、前記レーザ加工部におけるレーザ加工線の形成位置をフィルムの供給方向に沿って変位させる制御部とを備え
前記熱接着部は、フィルムの供給方向に伸びる前記外周シール部を形成するための縦方向熱接着部と、フィルムの幅方向に伸びる前記外周シール部を形成するための横方向熱接着部とを有し、
前記位置検出手段は、前記給紙部よりも下流側であって縦方向熱接着部よりも上流側に設置された第1の監視カメラと、縦方向熱接着部よりも下流側であって横方向熱接着部よりも上流側に設置された第2の監視カメラとを有し、前記第1の監視カメラおよび前記第2の監視カメラから得られた画像情報から、画面ピッチ間のパスの変動量を計測するものであることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレーザ加工機付き製袋システムによれば、レーザ加工線の形成位置(レーザ加工位置)が、位置検出手段によって計測された原反フィルムの画面ピッチに基づいて、フィルムの供給方向に変位されることにより、給紙部から繰り出される原反フィルムの画面ピッチに対してレーザ加工位置がフィルム画面上の所定位置に自動的に追従されるので、レーザ加工線を形成するためのレーザ加工部自体を人手で動かす必要がなく、歩留まりが向上されて不良品の発生を抑止される結果、極めて高い生産効率でレーザ加工線が形成されたパウチを製造することができる。
本請求項2に係る発明によれば、レーザ加工部のミラー部材の角度の調整によってレーザ加工位置が変位されることにより、ミラー部材の角度という高い精度で制御が可能な部材の調整のみによってレーザ加工位置を変位させることができるので、確実にレーザ加工位置をフィルム画面上の所定位置に略一致させることができ、従って、確実に不良品の発生を抑止することができ、より高い生産効率でレーザ加工線が形成されたパウチを製造することができる。
本発明によれば、位置検出手段が画面ピッチを計測する監視カメラであることにより、容易にフィルムの画面ピッチを計測することができるので、確実に不良品の発生を抑止することができ、より高い生産効率でレーザ加工線が形成されたパウチを製造することができる。
本発明によれば、一対のフィルムに対して各々レーザ加工線を形成するレーザ加工ユニットをそれぞれ有することにより、一対のフィルムを表裏反転させることなく両面にレーザ加工線を形成することができるので、パウチを高い生産効率で製造することができる。
本発明によれば、一対のフィルムに対する複数のレーザ加工ユニットが互いにフィルムの供給方向にずれて配置されていることにより、レーザ加工ユニットに接続される配線の効率化が図られるなどのレーザ加工機付き製袋システム自体の省空間化を図ることができる。
本発明に係る発明によれば、位置検出手段が、熱接着部において熱接着を開始する位置を識別するもの、給紙部において供給されるフィルムの蛇行状態を識別するもの、または、給紙部において供給される一対のフィルムの、フィルムの供給方向の互いのずれを識別するものであることにより、部材の共通化が図られるので、レーザ加工機付き製袋システム自体の省空間化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明のレーザ加工機付き製袋システムによって製造するパウチを示す平面図、(b)は、(a)のパウチの一部を拡大して示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るレーザ加工機付き製袋システムを示す模式図である。
図3】レーザ加工ユニットの要部を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係るレーザ加工機付き製袋システムについて、図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態に係るレーザ加工機付き製袋システムは、所定位置にレーザ加工線が形成されたパウチを作製するものである。
【0011】
本発明のレーザ加工機付き製袋システムによって製造する、レーザ加工線が形成されたパウチ10の一実施形態について、以下に説明する。
パウチ10は、図1(a)に示すように、一対の樹脂製のフィルム11を熱接着した外周シール部20を形成することにより袋状に形成され、外周シール部20よりも内側の収容部25に内容物を収容するものである。具体的には、フィルム11の側部周縁には外周シール部20のうちのサイドシール部21が形成されていると共に、フィルム11の底部周縁には外周シール部20のうちのボトムシール部22が形成されている。図1に示す例においては、パウチ10の上部は未シール状態とされているが、通常、パウチ10のトップシール部となる部分は、未シール状態で内容物の充填工程まで搬送され、内容物が充填された後にトップシール部が形成される。
スタンディングパウチ等の底部を有するパウチ10として構成する場合には、底部となるフィルム(底部フィルム)が一対のフィルム11の間に折り畳んで挿入された状態でサイドシール部21が形成され、フィルム11と底部フィルムとの間にボトムシール部22が形成される。
【0012】
フィルム11の角(図1において左上角)には、斜め上方に突出するノズル16が形成されている。ノズル16には、易開封性を付与するための切取り線18が、パウチ10のうち外周シール部20およびヒートシールされていない収容部25を通るよう直線状に形成されており、その切り取り開始位置にはノッチ15が形成されている。
切取り線18は、ノズル16の先端部分19を切り取って開封するために形成されるものであり、先端部分19を切取り線18に沿って切り取った後のノズル16には、内容物を注出する注出口が形成される。
切取り線18は、ノズル16を構成する表裏のフィルム11,11の両方に互いの位置が一致する状態で形成されている。
切取り線18は、レーザ加工(レーザ照射)によって形成された、フィルム11の外面(すなわち、パウチ10の外側に露出する表面)からフィルム11の厚み方向の途中まで形成された溝状のレーザ加工線18aから構成される。レーザ加工線18aは、連続する溝状のものに限定されず、破線状に伸びる溝状のものであってもよい。また、レーザ加工線18aは、直線状であることに限定されず、曲線状やV字状またはこれらと直線とを組み合わせた形状などの種々の形状を採用することができる。
切取り線18は、図1(b)に示されるように、パウチ平面方向に平行に延びる複数のレーザ加工線18aの集合から構成されている。図1に示す例においては、ほぼ等間隔に並んだ連続した直線状の4本の溝(レーザ加工線18a)によって、切取り線18が構成されている。このように複数のレーザ加工線18aの集合から切取り線18が構成されることにより、ノズル16の開封性や、開封時における開封方向の安定性を向上させることができる。
切取り線18を構成する各レーザ加工線18aは、ノズル16の突出方向に交差する方向に伸びる状態、すなわち、サイドシール部21側(図1において左方)に向かうに従ってボトムシール部22側(図1において下方)に向かう斜線として形成されている。
なお、図1において符号13はユーザーに開口方法を示すための矢印の図柄である。
【0013】
本発明の一実施形態に係るレーザ加工機付き製袋システムは、上記のようなパウチ10を製袋するものであり、図2に示されるように、一対のフィルム11,11を一方向に向かって供給する給紙部30と、外周シール部20を熱接着により形成する熱接着部40と、フィルム11の所定位置にレーザ加工線18aを形成するレーザ加工部50と、レーザ加工位置を制御するレーザ加工線位置制御機構とを備えている。レーザ加工線位置制御機構は、フィルム11の供給方向におけるレーザ加工部50よりも上流側かつ給紙部30よりも下流側に配置された、フィルム11に予め印刷された図柄の画面ピッチを計測する位置検出手段60と、位置検出手段60によって計測されたフィルム11の画面ピッチに基づいて、レーザ加工部50におけるレーザ加工位置を調整するための補正値を算出する演算部70と、演算部70において算出された補正値に基づいて、レーザ加工部50におけるレーザ加工位置をフィルム11の供給方向に沿って変位させる制御部80とを有する。
【0014】
給紙部30は、長尺状のヒートシールされていないフィルム11が巻き取られた原反フィルムから、フィルム11を順次繰り出し、一対のフィルム11が積層された積層体として一方向に走行させて供給するものである。
フィルム11には、予め文字や模様等の図柄が印刷された印刷部(図示せず)が形成されており、フィルム11は、図示しない駆動ローラや定テンショナ装置によって一定の張力が付与された状態で、図柄の画面ピッチ(ピッチ)に合わせて間欠搬送される。
給紙部30には、表面側のフィルム11と裏面側のフィルム11とが重ねあわされた積層体を得る積層部31が設けられている。パウチ10が底部を有するものとして構成される場合には、積層部31において表面側のフィルム11と裏面側のフィルム11との間に底部フィルムを折り畳んで挟み込んだ積層体を得て、これがフィルム11の走行路に供給される。
【0015】
本発明において、フィルム11の供給方向とは、繰り出しロールからフィルム11が繰り出されて走行する方向(図2において左方向(x方向))であり、フィルム11の幅方向とはフィルム11の供給方向と垂直な方向(図2において紙面と垂直な方向)と定義する。
【0016】
1枚のフィルム11は、例えば厚み方向に積層された複数層から構成され、少なくとも最外層にレーザ吸収層、最内層にレーザ非吸収層を備えている。レーザ加工線18aは、例えば、フィルム11を構成する複数層における最内層以外の層を厚み方向に貫通するように形成されている。フィルム11の層構成の一例を挙げると、例えば外面側から順に、PET(ポリエチレンテレフタラート)層、アルミ蒸着層、ナイロン層、および、ヒートシール性を有するポリエチレン層(最内層)が積層されたものとすることができる。
【0017】
熱接着部40は、フィルム11の供給方向(縦方向)に伸びる外周シール部20を形成するための縦方向熱接着部41と、フィルム11の幅方向(横方向)に伸びる外周シール部20を形成するための横方向熱接着部42とを有する。
本実施形態では、製造効率を向上させるために、フィルム11の供給方向に沿ってパウチ10が同時に2つずつ製造される構成とされている。具体的には、2つのパウチ10のトップシール部側が互いに対向すると共にボトムシール部22が互いに離間し、一方のサイドシール部21(図1において左方のサイドシール部)側が供給方向(図1のx方向)の先頭となる状態で製造される。図1において、従って、本実施形態においては、縦方向熱接着部41はボトムシール部22を形成するものとされ、横方向熱接着部42は、サイドシール部21を形成するものとされる。なお、パウチ10はフィルム11の供給方向に沿って1つずつ製造されるよう構成されていてもよい。
【0018】
レーザ加工部50は、レーザ加工によりレーザ加工線18aを形成するものであって、レーザ光を出射するレーザ光源(図示せず)と、レーザ光をフィルム11の表面に照射する光学系52とを有するレーザ加工ユニットを有している。
レーザ光源としては、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、アルゴンイオンレーザなどを用いることができる。
本実施形態においては、一対のフィルム11に対して各々レーザ加工線18aを形成するレーザ加工ユニット51A,51Bをそれぞれ有する構成とされている。具体的には、表面側のフィルム11に対してレーザ光を照射するレーザ加工ユニット51Aがフィルム11の走行路の一側(図2において上側)に表面側のフィルム11と対向するよう配置されると共に、裏面側のフィルム11に対してレーザ光を照射するレーザ加工ユニット51Bが、フィルム11の走行路の他側(図2において下側)に裏面側のフィルム11と対向するよう配置されている。各々のレーザ加工ユニット51A,51Bは、互いにフィルム11の供給方向にずれるよう、裏面側のフィルム11にレーザ加工線18aを形成するレーザ加工ユニット51Bが表面側のフィルム11にレーザ加工線18aを形成するレーザ加工ユニット51Aよりも下流側に配置されている。
【0019】
光学系52は、レーザ光源から出射されるレーザ光Lの進行方向をフィルム11の走行路に向かって転換するレーザ光反射面を有するミラー部材53と、ミラー部材53から出射されたレーザ光を集光する複数の集光レンズ54A,54Bを有するレンズ系54とを有する。ミラー部材53は、後述する演算部70において算出された補正値に基づいてミラー部材53のレーザ光の光軸に対する角度を調整することができるよう調整自在に支持されている。集光レンズ54A,54Bは、その光軸が同軸上に位置されるよう配置されている。
【0020】
位置検出手段60は、フィルム11の供給方向におけるレーザ加工部50よりも上流側に配置されており、具体的には、給紙部30の積層部31よりも下流側であって熱接着部40の縦方向熱接着部41よりも上流側に設置された第1の監視カメラ61と、熱接着部40の縦方向熱接着部41よりも下流側であって横方向熱接着部42よりも上流側に設置された第2の監視カメラ62とを有する。
位置検出手段60においては、フィルム11の画面ピッチが計測される。具体的には、第1の監視カメラ61から得られた画像情報と第2の監視カメラ62から得られた画像情報とから、適宜の画像処理装置によって画面ピッチ間のパス(フィルムパス)すなわちフィルム11の伸びの変動量が計測される。
演算部70は、フィルム11の供給方向へのフィルム11の伸縮に対応するよう、レーザ加工位置をフィルム11の供給方向に沿って微調整するための補正値(レーザ加工位置の座標)を算出するものである。補正値は、具体的には、フィルムパスが長くなった場合にレーザ加工位置をフィルム11の供給方向(x方向)の上流側に変位させ、フィルムパスが短くなった場合にレーザ加工位置をフィルム11の供給方向(x方向)の下流側に変位するよう、微調整する値とする。
制御部80は、演算部70において算出された補正値(レーザ加工位置の座標)に基づいて、自動的にレーザ加工ユニット51A,51B内のミラー部材53,53のレーザ光の光軸に対する角度を追従させ、レーザ加工線18aを形成するためのレーザ発振方向を微調整するものである。
レーザ加工線位置制御機構においては、フィルム11の画面ピッチの1ピッチ毎にレーザ加工位置を制御するが、これに限定されず、数ピッチ~数十ピッチ毎であってもよい。
以上のように、レーザ加工線位置制御機構においては、位置検出手段60の監視カメラ61,62からの画像情報に基づいてレーザ加工位置がフィルム画面上の所定位置に自動的に変位される。
【0021】
以上のようなレーザ加工機付き製袋システムにおいては、以下のようにパウチ10が製造される。
まず、給紙部30において原反フィルムからからフィルム11が繰り出されると、図示しない駆動ローラや定テンショナ装置によって一定の張力が付与された状態で、一対のフィルム11が、底部フィルムが折り畳んで挟み込まれた積層体として縦方向熱接着部41に搬送される。縦方向熱接着部41に搬送された積層体は、縦方向熱接着部41において一対のフィルム11に対してフィルム11の供給方向(縦方向)にヒートシールが施されて、底部フィルムが表面側のフィルム11と裏面側のフィルム11とのそれぞれにヒートシールされて一体となり、ボトムシール部22が形成される。次いで、横方向熱接着部42に搬送された積層体は、横方向熱接着部42において一対のフィルム11に対してフィルム11の幅方向(横方向)にヒートシールが施されて、サイドシール部21が形成される。このとき、フィルム11の供給方向に沿って1ピッチ目の後端部のサイドシール部21と2ピッチ目の先頭部のサイドシール部21とが同時にヒートシールされる。
一方、縦方向熱接着部41への搬送の前後において監視カメラ61,62により画面ピッチ間のパス(フィルムパス)が計測され、演算部70において補正値(レーザ加工位置の座標)が算出され、制御部80においてこの補正値(レーザ加工位置の座標)に基づいてレーザ加工ユニット51A,51B内のミラー部材53の角度が自動的に調整され、これにより、レーザ加工位置がフィルム画面上の所定位置に自動的に変位される。
そして、制御部80によってレーザ加工位置がフィルム画面上の所定位置に自動的に制御されたレーザ加工部50において、まず、表面側(図2において上側)のフィルム11に対して上方のレーザ加工ユニット51Aからレーザ光が照射され、このレーザ光によって表面側のフィルム11に複数本のレーザ加工線18aが形成される。次いで、フィルム11の供給方向に1ピッチ下流側において、裏面側(図2において下側)のフィルム11に対して下方のレーザ加工ユニット51Bからレーザ光が照射され、このレーザ光によって裏面側のフィルム11に複数本のレーザ加工線18aが形成される。
レーザ加工線18aが形成されたパウチ10は、カット加工部(図示せず)においてパウチ10の外輪郭に沿ってカットされ、連続した原反フィルムから切り離される。これにより、トップシール部となる部分が未シール状態のパウチ10が形成される。
【0022】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、ノズルを有するパウチに限定されず、幅方向(図1における横方向)全体にわたって切取り線が形成されたパウチであってもよい。
また、パウチ10の具体的態様としては、スタンディングパウチタイプのものに限定されず、ピロータイプのパウチ、ガセットタイプのパウチ、サシェを含む平パウチ、角底パウチ、ジッパー付きパウチ等、様々な形態を採用することができる。
【0023】
また、位置検出手段は、このレーザ加工機付き製袋システム内の別の機能を担うカメラ等の識別部材を共通に用いることができる。別の機能を担う識別部材とは、例えば、熱接着部40において熱接着を開始する位置を識別するもの、給紙部30において供給されるフィルム11の蛇行状態を識別するもの、または、給紙部30において供給される一対のフィルム11の、フィルム11の供給方向の互いのずれを識別するものなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0024】
10 パウチ
11 フィルム
13 図柄
15 ノッチ
16 ノズル
18 切取り線
18a レーザ加工線
19 先端部分
20 外周シール部
21 サイドシール部
22 ボトムシール部
25 収容部
30 給紙部
31 積層部
40 熱接着部
41 縦方向熱接着部
42 横方向熱接着部
50 レーザ加工部
51A,51B レーザ加工ユニット
52 光学系
53 ミラー部材
54 レンズ系
54A,54B 集光レンズ
60 位置検出手段
61 第1の監視カメラ
62 第2の監視カメラ
70 演算部
80 制御部
図1
図2
図3