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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】配管部材用ホルダー
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/10 20060101AFI20240109BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16B2/10 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019231079
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021099128
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】井村 元
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-337557(JP,A)
【文献】実開昭62-034690(JP,U)
【文献】特開2017-106476(JP,A)
【文献】特開2015-113947(JP,A)
【文献】特開2000-065252(JP,A)
【文献】特開2005-256925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/10
F16B 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管部材を保持するとともに、前記配管部材に設けられた被当接部に対して当接することで前記配管部材の管軸を中心とした回動を規制する配管部材用ホルダーであって、
施工面に固定されるベースと、前記ベースに設けられて前記配管部材を保持するための円筒状の保持部とを備え、
前記保持部は、前記ベースに設けられた固定側半円筒と、可動側半円筒とを備え、前記固定側半円筒において周方向の第一端と前記可動側半円筒の固定端とは、薄肉ヒンジを介して連結されており、
前記固定側半円筒の周方向において前記第一端とは反対側に位置する第二端には係合部が設けられ、
前記可動側半円筒の周方向において前記固定端とは反対側に位置する可動端には、前記固定側半円筒の前記係合部に対して係合する被係合部が設けられ、
前記固定側半円筒の前記第一端において前記薄肉ヒンジに臨む端面には第一当接部が設けられ、前記第一当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした第一方向への回動を規制し、
前記可動側半円筒の前記固定端において前記薄肉ヒンジに臨む端面には第二当接部が設けられ、前記第二当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした、前記第一方向とは反対側の第二方向への回動を規制する配管部材用ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水栓等の配管部材を保持するための配管部材用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のホルダーは、施工面に固定されるベースと、ベースに薄肉ヒンジを介して連結された湾曲状の第一アームと、ベースに薄肉ヒンジを介して連結された湾曲状の第二アームとを備えている。ホルダーは、第一アームに設けられた第一係合部と第二アームに設けられた第二係合部とが係合されることで、第一アームと第二アームとの間に止水栓を保持する。
【0003】
ホルダーは、止水栓に設けられた被当接部に対して当接することで、止水栓の管軸を中心とした回動を規制する。すなわち、第一アームにおいて第一係合部の近傍には、止水栓が管軸を中心として第一方向へ回動することを当接規制する第一当接部が設けられている。第二アームにおいて第二係合部の近傍には、止水栓が管軸を中心として、第一方向とは反対側の第二方向へ回動することを当接規制する第二当接部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-106476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、第一当接部及び第二当接部は、対応する第一アーム及び第二アームにおいて薄肉ヒンジから遠い位置に配されている。したがって、第一アーム(第一係合部)と第二アーム(第二係合部)とを係合させる際に、第一当接部と第二当接部との相対的な移動距離が大きくなり、よって第一当接部と第二当接部との相対的な位置がずれ易くなって、第一当接部と第二当接部との間に止水栓の被当接部を位置させる作業が不安定となる問題があった。
【0006】
本発明の目的は、第一当接部と第二当接部との間に配管部材の被当接部を位置させる作業を安定的に行い得る配管部材用ホルダーを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明の配管部材用ホルダーは、配管部材を保持するとともに、前記配管部材に設けられた被当接部に対して当接することで前記配管部材の管軸を中心とした回動を規制する配管部材用ホルダーであって、施工面に固定されるベースと、前記ベースに設けられて前記配管部材を保持するための円筒状の保持部とを備え、前記保持部は、前記ベースに設けられた固定側半円筒と、可動側半円筒とを備え、前記固定側半円筒において周方向の第一端と前記可動側半円筒の固定端とは、ヒンジを介して連結されており、前記固定側半円筒の周方向において前記第一端とは反対側に位置する第二端には係合部が設けられ、前記可動側半円筒の周方向において前記固定端とは反対側に位置する可動端には、前記固定側半円筒の前記係合部に対して係合する被係合部が設けられ、前記固定側半円筒の前記第一端には第一当接部が設けられ、前記第一当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした第一方向への回動を規制し、前記可動側半円筒の前記固定端には第二当接部が設けられ、前記第二当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした、前記第一方向とは反対側の第二方向への回動を規制する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第一当接部及び第二当接部は、対応する固定側半円筒又は可動側半円筒において、ヒンジに対して近い位置に配されている。したがって、固定側半円筒と可動側半円筒とを係合させる際に、第一当接部と第二当接部との相対的な移動距離が小さくなり、よって第一当接部と第二当接部との相対的な位置がずれ難くなって、第一当接部と第二当接部との間に配管部材の被当接部を位置させる作業を安定的に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】配管部材用ホルダーの正面図。
図2】配管部材用ホルダーの背面図。
図3】配管部材用ホルダーの右側面図。
図4】配管部材用ホルダーの左側面図。
図5】配管部材用ホルダーの平面図。
図6】配管部材用ホルダーの底面図。
図7】固定側半円筒と可動側半円筒とが係合された状態を示す平面図。
図8】固定側半円筒と可動側半円筒とが係合された状態を示す底面図。
図9図7のA-A線断面図。
図10】止水栓の右側面図。
図11】止水栓を保持した状態にある配管部材用ホルダーの右側面図。
図12図11のB-B線断面図。
図13図12に対応した図であり止水栓が別の向きである状態を示す図。
図14図12に対応した図であり止水栓が別の向きである状態を示す図。
図15図12に対応した図であり止水栓が別の向きである状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の配管部材用ホルダーを具体化した一実施形態について説明する。
なお、図1における紙面の表裏方向を配管部材用ホルダー101の前後方向とし、同じく紙面の左右方向を配管部材用ホルダー101の左右方向とし、同じく紙面の上下方向を配管部材用ホルダー101の上下方向として説明する。したがって、図1以外の図面において、紙面上での方向が、以下の説明における表記の方向と一致しないことがある。
【0011】
(水道の説明)
図11に示すように、配管部材用ホルダー101は、例えば家屋の壁等に配管される水道の施工面S上において、配管部材としての止水栓102を保持するために用いられる。施工面Sは鉛直面であり、施工面Sにおいて水道は、鉛直方向に延在されている。当該水道においては、下方のパイプ103から止水栓102を経由して、上方のパイプ104へと湯水が流れる。
【0012】
(止水栓の説明)
図10に示すように、止水栓102は、中空棒状をなす本体51と、本体51の下端に設けられた第一パイプ継手52と、本体51の上端に設けられた第二パイプ継手53と、本体51において第一パイプ継手52と第二パイプ継手53との間に設けられた弁部54と、本体51の中央部から突出された操作部55とを備えている。
【0013】
第一パイプ継手52が備える継手構造は、キャップ52a内にロックリング(図示しない)を収容してなるワンタッチタイプであって周知な構造であるため、説明は省略する。キャップ52aの下端部は、下方側ほど小径となる先細り形状をなしている。キャップ52aの上端は、本体51の外周面に設けられたリブ51aに当接されている。第一パイプ継手52には、上流側のパイプ103が接続されている。
【0014】
第二パイプ継手53が備える継手構造は、ナット53aを用いたネジ止めタイプである。第二パイプ継手53には、下流側のパイプ104が接続されている。
【0015】
弁部54が内部に備える開閉弁構造は周知であるため、説明は省略する。操作部55は、弁部54を開閉操作するためのものである。弁部54は、操作部55において一部が露出したスピンドル55aを回動操作することで、水道の開閉が可能である。
【0016】
本体51においてリブ51aの上方側には、第一被当接部56及び第二被当接部57が設けられている。第一被当接部56及び第二被当接部57は、それぞれリブ51aから管軸Lに沿う方向へと延びる薄板状をなしている。第一被当接部56及び第二被当接部57は、管軸Lの周りにおいて180°の間隔で配されている。
【0017】
(配管部材用ホルダーの説明)
図11に示すように、配管部材用ホルダー101は、施工面Sに固定されるベース1と、ベース1に設けられて止水栓102を保持するための保持部11とを備えている。保持部11は、上下方向に延在する円筒状をなしている。
【0018】
図3及び図4に示すように、ベース1と保持部11とは上端が面一とされている。保持部11の下端は、ベース1の下端よりも下方に位置されている。ベース1と保持部11とは、合成樹脂により一体成形されている。
【0019】
図5に示すように、ベース1は、左右両端部に取付孔2aが形成されたプレート2と、プレート2の中央において前後方向に立設された柱状部3とを備えている。ベース1は、プレート2の取付孔2aを介して施工面S(図11参照)に対してねじ止めされる(図11にねじ止め用のねじ5を示す)。柱状部3の上面3aは平面状をなしている。図6に示すように、柱状部3の下面3bには、肉抜きによってハニカム状のリブ3cが形成されている。
【0020】
図5及び図6に示すように、柱状部3の上面3aを平面状とし、下面3bにリブ3cを形成することは、作業者が配管部材用ホルダー101を施工面S(図11参照)に対して取り付ける際に、上下の向きを間違えないようにするための視覚上及び触覚上の配慮である。特に、リブ3cを、柱状部3の上面3aではなく下面3bに形成することは、配管部材用ホルダー101の設置後において、肉抜き部分に塵埃等が溜まらないようにするための配慮である。
【0021】
図5に示すように、保持部11は、ベース1に設けられた固定側半円筒12と、可動側半円筒13とを備えている。固定側半円筒12において周方向の第一端12a(左端)と、可動側半円筒13の固定端13a(左端)とは、ヒンジとしての薄肉ヒンジ14を介して連結されている。薄肉ヒンジ14は、固定側半円筒12に連結された第一薄肉部14aと、可動側半円筒13に連結された第二薄肉部14bと、第一薄肉部14aと第二薄肉部14bとの間に配された横断面三角形状をなす中間部14cとを備えている。
【0022】
可動側半円筒13は、薄肉ヒンジ14の弾性変形によって、固定側半円筒12との間の空間を径方向へ開放する保持部11の開放状態(図5に示す状態)と、固定側半円筒12との間の空間を径方向で閉鎖する保持部11の閉鎖状態(図7に示す状態)との間で変位が可能である。薄肉ヒンジ14の弾性変形は、第一薄肉部14a及び第二薄肉部14bのそれぞれで行われる。したがって、可動側半円筒13の変位に起因する応力が、第一薄肉部14aと第二薄肉部14bとに分散され、薄肉ヒンジ14の耐久性が向上される。また、横断面三角形状をなす中間部14cは、適度な肉厚を確保しつつ可動側半円筒13の変位を妨げない効果を奏する。
【0023】
図9に示すように、固定側半円筒12の内周面において上下方向の中央には、係止リブ12cが周方向に延設されている。固定側半円筒12の内周面において、係止リブ12cの上方側には、係止リブ12c側ほど固定側半円筒12の内径を小さくする傾斜面12dが設けられている。
【0024】
可動側半円筒13の内周面において上下方向の中央には、係止リブ13cが周方向に延設されている。可動側半円筒13の内周面において、係止リブ13cの上方側には、係止リブ13c側ほど可動側半円筒13の内径を小さくする傾斜面13dが設けられている。
【0025】
保持部11が閉鎖状態となると、固定側半円筒12の係止リブ12cと可動側半円筒13の係止リブ13cとが周方向に連続されて円環状をなすとともに、固定側半円筒12の傾斜面12dと可動側半円筒13の傾斜面13dとが周方向に連続されて円環状をなしている。閉鎖状態にある保持部11の内周面において、係止リブ12c,13cの先端における内径は、傾斜面12d,13dにおける最小内径よりも小さい。
【0026】
固定側半円筒12の内周面において、係止リブ12c及び傾斜面12dよりも上方側及び下方側には、それぞれ嵌合凹部12fが形成されている。可動側半円筒13の内周面において、係止リブ13c及び傾斜面13dよりも上方側及び下方側には、それぞれ嵌合凸部13fが形成されている。
【0027】
保持部11が閉鎖状態となると、固定側半円筒12の嵌合凹部12fに対して、可動側半円筒13の対応する嵌合凸部13fが嵌入される。したがって、保持部11の閉鎖状態にて、保持部11の薄肉ヒンジ14付近に作用する応力が、嵌合凹部12fと嵌合凸部13fとの嵌合部分でも負担され、薄肉ヒンジ14の耐久性が向上される。
【0028】
図2に示すように、固定側半円筒12において、第一端12aに対して周方向の反対側に位置する第二端12b(右端)には、係合部15が設けられている。係合部15は、固定側半円筒12の第二端12bにおいて、径方向外側に向かって延出された板状部15aと、板状部15aにおいて前後方向に貫通された係合孔15bとを備えている。図1に示すように、係合孔15bは、上下方向に一対が配されている。
【0029】
図5に示すように、可動側半円筒13において、固定端13aに対して周方向の反対側に位置する可動端13b(右端)には、固定側半円筒12の係合部15に対して係合する被係合部16が設けられている。被係合部16は、可動側半円筒13の可動端13bにおいて、周方向に延出されたV字状の弾性片16aを備えている。弾性片16aには、径方向外側に向かって係合突起16bが突設されている。図3及び図4に示すように、弾性片16aは、上下方向に一対が配されている。
【0030】
図5及び図7に示すように、保持部11を開放状態とする可動側半円筒13が、保持部11を閉鎖状態とすべく固定側半円筒12に対して変位されると、可動側半円筒13の弾性片16aが弾性変形しつつ固定側半円筒12の係合孔15bに対して挿通される。保持部11が閉鎖状態となると、係合孔15bを通過した係合突起16bが板状部15aに対して当接係合されて、弾性片16aが係合孔15bから抜け出すことが抑制される。
【0031】
逆に、閉鎖状態にある保持部11を開放状態とするためには、弾性片16aを圧縮して係合突起16bが係合孔15bを通過できるようにし、弾性片16aを係合孔15bから抜き出せばよい。
【0032】
固定側半円筒12の上端には、半円状の固定側リブ17が径方向内側に向かって延設されている。固定側リブ17において薄肉ヒンジ14側(固定側半円筒12の第一端12a側)の端面には、第一当接部21が設けられている。可動側半円筒13の上端には、半円状の可動側リブ18が径方向内側に向かって延設されている。可動側リブ18において薄肉ヒンジ14側(可動側半円筒13の固定端13a側)の端面には、第二当接部22が設けられている。
【0033】
固定側リブ17において係合部15側(固定側半円筒12の第二端12b側)の端面には、第三当接部23が設けられている。可動側リブ18において被係合部16側(可動側半円筒13の可動端13b側)の端面には、第四当接部24が設けられている。
【0034】
固定側リブ17の周方向において、第一当接部21と第三当接部23との間の途中部分には、切欠き17aが形成されている。切欠き17a内には、第一当接部21側に位置する第五当接部25と第三当接部23側に位置する第六当接部26とが、周方向において対向して設けられている。第五当接部25は、固定側半円筒12の径方向に沿って延在されている。第六当接部26において径方向内側に位置する部分は、内側に行くほど第五当接部25から離れるように、第五当接部25に対して傾斜されている。
【0035】
可動側リブ18の周方向において、第二当接部22と第四当接部24との間の途中部分には、切欠き18aが形成されている。切欠き18a内には、第二当接部22側に位置する第七当接部27と第四当接部24側に位置する第八当接部28とが、周方向において対向して設けられている。第七当接部27は、可動側半円筒13の径方向に沿って延在されている。第八当接部28において径方向内側に位置する部分は、内側に行くほど第七当接部27から離れるように、第七当接部27に対して傾斜されている。
【0036】
図7に示すように、保持部11の閉鎖状態において、第一当接部21と第二当接部22との組と、第三当接部23と第四当接部24との組と、第五当接部25と第六当接部26との組と、第七当接部27と第八当接部28との組とは、管軸Lの周りにおいて90°の等間隔で配されている。
【0037】
さて、図11及び図12に示すように、可動側半円筒13が閉鎖状態にある配管部材用ホルダー101には、止水栓102が保持されている。図9に示すように、止水栓102は、直接的には第一パイプ継手52のキャップ52aが保持部11によって保持されている。
【0038】
配管部材用ホルダー101に保持された状態にある止水栓102は、キャップ52aの下端部の外周面が、保持部11の傾斜面12d,13dに沿うように配されている。止水栓102は、キャップ52aの下端部が係止リブ12c,13cに対して当接することで、配管部材用ホルダー101に対する下方への移動が規制されている。止水栓102は、本体51のリブ51aが固定側リブ17及び可動側リブ18に対して当接することで、配管部材用ホルダー101に対する上方への移動が規制されている。
【0039】
図12に示すように、配管部材用ホルダー101に保持された状態にある止水栓102は、第一被当接部56が、固定側リブ17の第一当接部21と可動側リブ18の第二当接部22との間に配されている。また、当該状態にある止水栓102は、第二被当接部57が、固定側リブ17の第三当接部23と可動側リブ18の第四当接部24との間に配されている。
【0040】
止水栓102は、第一被当接部56が第一当接部21に対して当接しかつ第二被当接部57が第四当接部24に対して当接することとで、管軸Lを中心とした第一方向(図12の時計回り方向)への回動が規制されている。止水栓102は、第一被当接部56が第二当接部22に対して当接しかつ第二被当接部57が第三当接部23に対して当接することとで、管軸Lを中心とした、第一方向とは反対側の第二方向(図12の反時計回り方向)への回動が規制されている。
【0041】
このように、配管部材用ホルダー101は、保持した止水栓102の姿勢を一定に保てるため、例えば外力が止水栓102に作用されたとしても、当該外力がパイプ103,104等の他の配管部材に伝播して当該他の配管部材が捻じれたり撓んだり、或いは緊張することを防止できる。また、止水栓102の弁部54を開閉すべく、操作部55のスピンドル55aを回動操作する場合においても、操作力の作用によって止水栓102が動くことを抑制できるため、当該回動操作を安定して行い得る。
【0042】
なお、配管部材用ホルダー101に止水栓102を保持させる際、止水栓102の第一被当接部56を第一当接部21と第二当接部22との間以外、つまり第二被当接部57を第三当接部23と第四当接部24との間以外に位置させる選択も可能である。
【0043】
すなわち、例えば、図13に示すように、止水栓102の第一被当接部56を第三当接部23と第四当接部24との間に位置させかつ、第二被当接部57を第一当接部21と第二当接部22との間に位置させる選択も可能である。図13の態様においても図12の態様と同様に、止水栓102の回動を規制する作用効果を奏し得る。
【0044】
また、図14に示すように、止水栓102の第一被当接部56を第五当接部25と第六当接部26との間に位置させかつ、第二被当接部57を第七当接部27と第八当接部28との間に位置させる選択も可能である。
【0045】
図14の態様では、止水栓102は、第一被当接部56が第六当接部26に対して当接しかつ第二被当接部57が第七当接部27に対して当接することとで、管軸Lを中心とした前記第一方向への回動が規制されている。止水栓102は、第一被当接部56が第五当接部25に対して当接しかつ第二被当接部57が第八当接部28に対して当接することとで、管軸Lを中心とした前記第二方向への回動が規制されている。
【0046】
さらに、図15に示すように、止水栓102の第一被当接部56を第七当接部27と第八当接部28との間に位置させかつ、第二被当接部57を第五当接部25と第六当接部26との間に位置させる選択も可能である。図15の態様においても、図14の態様と同様に、止水栓102の回動を規制する作用効果を奏し得る。
【0047】
上記実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)第一当接部21及び第二当接部22は、対応する固定側半円筒12又は可動側半円筒13において、薄肉ヒンジ14に対して近い位置に配されている。したがって、固定側半円筒12と可動側半円筒13とを係合させる際に、第一当接部21と第二当接部22との相対的な移動距離が小さくなり、よって第一当接部21と第二当接部22との相対的な位置がずれ難くなって、第一当接部21と第二当接部22との間に止水栓102の第一被当接部56を位置させる作業を安定的に行い得る。
【0048】
(2)止水栓102の第一被当接部56を当接規制する構成として、第一当接部21と第二当接部22との組以外にも、第三当接部23と第四当接部24との組と、第五当接部25と第六当接部26との組と、第七当接部27と第八当接部28との組とが備えられている。したがって、止水栓102において、特に操作部55(スピンドル55a)の向きの多肢選択が可能となり、障害物を避ける必要がある場合や操作性を向上させる必要がある場合等の様々な施工条件に対して好適に対応できる。
【0049】
(3)第六当接部26において径方向内側に位置する部分は、内側に行くほど第五当接部25から離れるように、第五当接部25に対して傾斜されている。したがって、図14又は図15に示す態様において、例えば開放状態にある保持部11に対して、径方向外側から止水栓102を挿入する場合、傾斜された第六当接部26の案内作用によって、第五当接部25と第六当接部26との間に第一被当接部56(図14の態様)又は第二被当接部57(図15の態様)を位置させ易くなる。
【0050】
(4)第八当接部28において径方向内側に位置する部分は、内側に行くほど第七当接部27から離れるように、第七当接部27に対して傾斜されている。したがって、図14又は図15に示す態様において、例えば開放状態にある保持部11に対して、径方向外側から止水栓102を挿入する場合、傾斜された第八当接部28の案内作用によって、第七当接部27と第八当接部28との間に第一被当接部56(図15の態様)又は第二被当接部57(図14の態様)を位置させ易くなる。
【0051】
(別例)
本発明は例えば次の態様でも実施が可能である。
○止水栓102において、第一被当接部56及び第二被当接部57のうちの一方を削除すること。この場合、第一当接部21と第二当接部22との組と、第三当接部23と第四当接部24との組と、第五当接部25と第六当接部26との組と、第七当接部27と第八当接部28との組のうちの一組、二組又は三組を削除してもよい。
【0052】
○止水栓102において、第三被当接部及び第四被当接部を設けるとともに、第一被当接部~第四被当接部を、周方向に90°の等間隔で配すること。このようにすれば、配管部材用ホルダー101による止水栓102の保持がより強固となり、止水栓102の回動をより効果的に規制できる。
【0053】
○固定側半円筒12と可動側半円筒13とは、保持部11を180°の半円筒に二等分したものに限定されない。例えば、固定側半円筒12及び可動側半円筒13のうちの一方を120°の半円筒とし、他方を240°の半円筒としてもよい。
【0054】
○薄肉ヒンジ14から軸部材を用いたヒンジへと変更すること。
【0055】
(付記)
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記固定側半円筒の前記第二端には第三当接部が設けられ、前記第三当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした前記第二方向への回動を規制し、前記可動側半円筒の前記可動端には第四当接部が設けられ、前記第四当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした前記第一方向への回動を規制する請求項1に記載の配管部材用ホルダー。
【0056】
(2)前記固定側半円筒において前記第一端と前記第二端との間の途中部分には、第五当接部と第六当接部とが対向して設けられ、前記第一当接部側に位置する前記第五当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした前記第二方向への回動を規制し、前記第三当接部側に位置する前記第六当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした前記第一方向への回動を規制する請求項1又は技術的思想(1)に記載の配管部材用ホルダー。
【0057】
(3)前記可動側半円筒において前記固定端と前記可動端との間の途中部分には、第七当接部と第八当接部とが対向して設けられ、前記第二当接部側に位置する前記第七当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした前記第一方向への回動を規制し、前記第四当接部側に位置する前記第八当接部は、前記配管部材の前記被当接部に対して当接することで、前記配管部材の前記管軸を中心とした前記第二方向への回動を規制する請求項1、技術的思想(1)又は技術的思想(2)のいずれか一項に記載の配管部材用ホルダー。
【0058】
(4)前記第一当接部と前記第二当接部との組と、前記第三当接部と前記第四当接部との組と、前記第五当接部と前記第六当接部との組と、前記第七当接部と前記第八当接部との組とは、前記保持部の周方向において90°の等間隔で配されている技術的思想(3)に記載の配管部材用ホルダー。
【0059】
(5)前記第五当接部は前記固定側半円筒の径方向に延在されており、前記第六当接部において径方向内側に位置する部分は、内側に行くほど前記第五当接部から離れるように、前記第五当接部に対して傾斜されている技術的思想(2)に記載の配管部材用ホルダー。
【0060】
(6)前記第七当接部は前記可動側半円筒の径方向に延在されており、前記第八当接部において径方向内側に位置する部分は、内側に行くほど前記第七当接部から離れるように、前記第七当接部に対して傾斜されている技術的思想(3)に記載の配管部材用ホルダー。
【符号の説明】
【0061】
1…ベース、11…保持部、12…固定側半円筒、12a…第一端、12b…第二端、13…可動側半円筒、13a…固定端、13b…可動端、14…ヒンジとしての薄肉ヒンジ、15…係合部、16…被係合部、21…第一当接部、22…第二当接部、56…被当接部としての第一被当接部、101…配管部材用ホルダー、102…配管部材としての止水栓。
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