(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】磁性部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/28 20060101AFI20240109BHJP
H01F 27/22 20060101ALI20240109BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20240109BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01F27/28 176
H01F27/22
H01F27/24 P
H01F30/10 A
H01F30/10 D
H01F30/10 S
(21)【出願番号】P 2019234485
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-05-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】李 戈
(72)【発明者】
【氏名】長 寿典
(72)【発明者】
【氏名】蒲生 正浩
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-246364(JP,A)
【文献】特開2012-160616(JP,A)
【文献】特開2006-294754(JP,A)
【文献】特開2015-138800(JP,A)
【文献】特開2018-148058(JP,A)
【文献】特開2015-222758(JP,A)
【文献】特開2015-207741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0155088(US,A1)
【文献】国際公開第2017/208745(WO,A1)
【文献】特開2018-93009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/28
H01F 27/22
H01F 27/24
H01F 30/10
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々本体部を有し、互いに対向して配置される第1のコア、及び第2のコアと、
前記第1のコアの前記本体部と前記第2のコアの前記本体部との間に配置される導体部材と、
前記第1のコアと前記第2のコアとが対向する対向方向において、少なくとも前記導体部材に対する一方側に設けられる放熱部材と、を備え、
少なくとも前記第1のコアは、前記本体部の2つの対角方向に一対ずつ配置され、前記対向方向において前記第2のコア側へ延びる足部を有し、
前記第2のコアは、前記対向方向から見たときに、前記導体部材と重なり合わず、且つ前記足部と重なり合う領域を有し、
前記第1のコア及び前記第2のコアのうち、少なくとも前記対向方向における前記一方側のコアには、前記対向方向に貫通する第1の貫通部が形成され、
前記放熱部材は、前記第1の貫通部を介して、前記導体部材へ向かって延びる突出部を有し、
前記突出部の前記対向方向における端部側の面は、前記導体部材の面と接触または対向
し、
前記突出部と前記導体部材とは、伝熱部材を介して接続され、
前記突出部と前記一方側のコアとの間には、前記伝熱部材が前記突出部と前記導体部材との間から溢れた場合に、前記伝熱部材を受ける隙間が形成されている、磁性部品。
【請求項2】
前記対向方向における前記導体部材に対する他方側には、前記放熱部材が設けられず、
前記対向方向における前記他方側のコアには、前記対向方向に貫通する第2の貫通部が形成されている、請求項
1に記載の磁性部品。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記導体部材よりも前記第2のコア側に設けられ、
前記第2のコアには、前記第1の貫通部が形成される、請求項1
又は2に記載の磁性部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性部品として特許文献1に記載されたものが知られている。この磁性部品は、本体部、及び本体部の2つの対角方向に一対ずつ配置された足部を有する第1のコアと、足部を介して第1のコアと接続される第2のコアと、第1のコアと第2のコアとの間に配置される導体部材と、第2のコアに対し、第1のコアとは反対側に設けられる放熱部材と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の磁性部品では、導体部材のうち、各足部に囲まれる領域においては、第1のコアの本体部と、第2のコアとによって挟まれるような構成となる。当該構造では、第1のコアと第2のコアとに挟まれる領域は、熱がこもりやすい状態となる。この場合、当該領域付近の導体部材で発生した熱は、コアの外周側へ向かって導体部材内を平面方向に広がるように伝達された上で、第2のコアの外周部分において放熱部材に伝熱される。このように、熱の発生部分と放熱部材との間に距離があるため、導体部材の温度上昇の抑制という点で改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、導体部材の温度上昇を抑制することができる磁性部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る磁性部品は、各々本体部を有し、互いに対向して配置される第1のコア、及び第2のコアと、第1のコアの本体部と第2のコアの本体部との間に配置される導体部材と、第1のコアと第2のコアとが対向する対向方向において、少なくとも導体部材に対する一方側に設けられる放熱部材と、を備え、少なくとも第1のコアは、本体部の2つの対角方向に一対ずつ配置され、対向方向において第2のコア側へ延びる足部を有し、第2のコアは、対向方向から見たときに、導体部材と重なり合わず、且つ足部と重なり合う領域を有し、第1のコア及び第2のコアのうち、少なくとも対向方向における一方側のコアには、対向方向に貫通する第1の貫通部が形成され、放熱部材は、第1の貫通部を介して、導体部材へ向かって延びる突出部を有する。
【0007】
磁性部品では、第1のコア及び第2のコアのうち、少なくとも対向方向における一方側のコアには、対向方向に貫通する第1の貫通部が形成される。これにより、導体部材の一方側のコア側の箇所には第1の貫通部によって空間が形成される。放熱部材は、第1の貫通部を介して、導体部材へ向かって延びる突出部を有する。すなわち、突出部は、第1の貫通部によって形成される空間を通過して、導体部材へ近接又は接触する。これにより、導体部材で発生した熱は、突出部によって効率よく放熱部材へ伝達される。以上より、導体部材の温度上昇を抑制することができる。
【0008】
突出部と導体部材とは、伝熱部材を介して接続されていてよい。伝熱部材は、高い密着性で導体部材と接触することができる。従って、導体部材の熱は、伝熱部材を介して効率よく放熱部材に伝達される。
【0009】
突出部と第2のコアとの間には、隙間が形成されていてよい。これにより、伝熱部材が突出部と導体部材との間から溢れた場合などでも、隙間で受けることができる。
【0010】
第1のコアには、対向方向に貫通する第2の貫通部が形成されていてよい。これにより、導体部材の第1のコア側の箇所には第2の貫通部によって空間が形成される。従って、導体部材で発生した熱は、第2の貫通部の空間を介して放熱される。以上より、導体部材のうち、第1のコアの複数の足部に囲まれた部分の温度上昇を更に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導体部材の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る磁性部品を示す斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による成形装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る磁性部品100を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す磁性部品100の展開図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。なお、本実施形態では、磁性部品100としてトランスが例示されているが、磁性部品は特に限定されるものではなくインダクタなどであってもよい。
図1~
図3に示すように、磁性部品100は、第1のコア1と、第2のコア2と、放熱部材3と、導体部材6を有する基板4と、を備える。この磁性部品100は、DC-DCコンバータなどのスイッチング電源装置に用いられるものである。なお、第1のコア1と第2のコア2とが対向する対向方向をZ軸方向とする。第1のコア1側をZ軸方向の正側とする。また、Z軸方向と直交する方向をX軸方向、Y軸方向とする。
【0015】
第1のコア1は、本体部10と、複数の足部11A,11B,11C,11Dと、を備える。本体部10は、XY平面と平行に広がる矩形板状の形状を有している。本体部10は、X軸方向に平行な一対の辺部と、Y軸方向に平行な一対の辺部と、を有するように広がる。本体部10のZ軸方向の負側の下面10aには、四つの足部11A,11B,11C,11Dが形成されている。各足部11A,11B,11C,11Dは、本体部10の四つの角部から、Z軸方向の負側、すなわち第2のコア2側へ延びる。足部11Aは、X軸方向の正側であってY軸方向の正側の角部に配置される。足部11Bは、X軸方向の正側であってY軸方向の負側の角部に配置される。足部11Cは、X軸方向の負側であってY軸方向の正側の角部に配置される。足部11Dは、X軸方向の負側であってY軸方向の正側の角部に配置される。以上より、第1のコア1は、本体部10の2つの対角方向に一対ずつ配置された足部11A,11Cと足部11B,11Dとを有する。ここでは、X軸方向の正側に対してY軸方向の正側へ45°をなす方向が一方の対角方向に該当し、X軸方向の正側に対してY軸方向の負側へ45°をなす方向が他方の対角方向に該当する。
【0016】
各足部11A,11B,11C,11Dは、基板4の貫通孔21A,21B,21C,21Dに挿入されて、基板4よりもZ軸方向の負側まで延びる。本実施形態では、足部11は円柱状の形状を有している。四つの足部11A,11B,11C,11Dは、X軸方向及びY軸方向に互いに離間するように配置される。本体部10の下面10aの中央位置12は、四つの足部11A,11B,11C,11Dに囲まれた領域である。すなわち、中央位置12は、一方の対角方向の足部11A,11C間であって、他方の対角方向の足部11B,11D間の位置である。
【0017】
第2のコア2は、足部11A,11B,11C,11Dを介して第1のコア1と磁気的に接続される。第2のコア2は、XY平面と平行に広がる矩形板状の形状を有している。第2のコア2は、Z軸方向から見て、第1のコア1と重なり合うように配置される。第2のコア2のZ軸方向の正側の上面2aには、第1のコア1の四つの足部11A,11B,11C,11Dの下面が配置される。各足部11A,11B,11C,11Dは、第2のコア2の四つの角部付近にそれぞれ配置される。すなわち、第2のコア2は、Z軸方向から見たときに、導体部材6と重なり合わず、且つ足部11A,11B,11C,11Dと重なり合う領域TE(
図2参照)を有する。第1のコア1及び第2のコア2の組み合わせによって磁芯が構成される。第2のコア2は、中央位置にZ軸方向に貫通する貫通部16(第1の貫通部)を有する。貫通部16の詳細な構成については、後述する。
【0018】
放熱部材3は、導体部材6を有する基板4よりも第2のコア2側に設けられ、磁性部品100において発生した熱を放熱する部材である。放熱部材3は、XY平面と平行に広がる板状の形状を有している。また、放熱部材3は、第2のコア2を収容するための溝部31を有する。溝部31は、放熱部材3のZ軸方向の正側の上面3aに形成される矩形状の凹部である。
【0019】
溝部31は、矩形状の底面31aと、底面31aの四方の辺からZ軸方向の正側へ立ち上がる四方の側面31bと、を有する。底面31aは、放熱部材3の上面3aから、Z軸方向の負側へ離間する面である。底面31aは、XY平面と平行に広がる。四方の側面31bは、XZ平面又はYZ平面と平行に広がる。第2のコア2のZ軸方向の負側の下面2bは、溝部31の底面31aと接触するように、当該底面31a上に配置される。また、溝部31内に配置された第2のコア2の上面2aは、放熱部材3の上面3aよりも、Z軸方向における負側の位置に配置される(
図3参照)。第2のコア2の四方の側面2cは、溝部31の四方の側面31bと対向するように配置される。四方の側面2cと四方の側面31bとの間には僅かな隙間が形成される(
図3参照)。溝部31には、突出部32が形成される。突出部32の詳細な構成については後述する。
【0020】
基板4は、各種電子部品が実装されるXY平面と平行に広がる板状の部材である。基板4は、第1のコア1と第2のコア2との間に配置される。基板4は、放熱部材3の上面3a上に配置される。基板4には、導電性の材料によって巻線が形成されることによって、導体部材6が設けられる。導体部材6は、基板4のZ軸方向の正側の上面4a、及びZ軸方向の負側の下面4bの両方に形成される。上面4aの導体部材6の巻線と下面4bの導体部材6の巻線とは、互いに直列接続されており、コイルを構成する。基板4には、足部11A,11B,11C,11Dを挿通させるための四つの貫通孔21A,21B,21C,21Dが形成されている。当該位置においては、導体部材6にも貫通孔が形成される。四つの貫通孔21A,21B,21C,21Dで囲まれる領域22にも、導体部材6が配置されている。なお、図に示す基板4及び導体部材6の形状は一例に過ぎず、後述のような磁路が形成されるような巻線を構成できる限りどのようなパターンに構成されてもよい。
【0021】
以上のような構成により、磁性部品100では、足部11Aと、足部11Bと、第1のコア1の本体部10及び第2のコア2のうち足部11A及び足部11Bとの間の部分と、によって磁路が形成される。また、磁性部品100では、足部11Bと、足部11Cと、第1コア1の本体部10及び第2のコア2のうち足部11B及び足部11Cとの間の部分と、によって磁路が形成される。また、磁性部品100では、足部11Cと、足部11Dと、第1コア1の本体部10及び第2のコア2のうち足部11C及び足部11Dとの間の部分と、によって磁路が形成される。また、磁性部品100では、足部11Dと、足部11Aと、第1コア1の本体部10及び第2のコア2のうち足部11D及び足部11Aとの間の部分と、によって磁路が形成される。なお、対角線上の足部11A及び足部11Cに形成される磁路の向きと、対角線上の足部11B及び足部11Dに形成される磁路の向きは、互いに逆向きとなる。
【0022】
次に、
図2及び
図3を参照して、磁性部品100の放熱構造について詳細に説明する。
【0023】
第2のコア2には、貫通部16が形成される。貫通部16は、第2のコア2の中央位置において、上面2aから下面2bに至るまでZ軸方向に貫通する。貫通部16は、四方に内側面16aを有する矩形状の貫通孔によって構成される。四方の内側面16aは、Z軸方向と平行に広がる平面によって構成される。四方の内側面16aは、第2のコア2の四方の側面2cとそれぞれ平行をなすように配置される。貫通部16は、基板4の領域22、及び第1のコア1の中央位置12と、Z軸方向において対向する位置に形成される。
【0024】
放熱部材3は、貫通部16を介して、導体部材6へ向かって延びる突出部32を有する。突出部32は、溝部31の底面31aの中央位置において、Z軸方向の正側へ向かって突出する。突出部32は、第2のコア2の貫通部16内に挿入され、基板4の下面4b側の導体部材6の手前側まで延びている。突出部32は、四角柱の形状を有している。突出部32は、Z軸方向の正側の上面32aと、四方の側面32bを有する。
【0025】
突出部32の上面32aは、XY平面と平行な矩形状の平面である。突出部32の上面2aは、基板4の領域22、及び第1のコア1の中央位置12と、Z軸方向において対向する位置に形成される。上面32aは、第2のコア2の上面2aよりもZ軸方向の正側であって、基板4の下面4b側の導体部材6よりもZ軸方向の負側の位置に配置される。上面32aは、領域22における導体部材6と、Z軸方向に離間した状態で対向する。上面32aと導体部材6との間には、伝熱部材8が充填されている。伝熱部材8は、上面32aと導体部材6とを接続する。これにより、突出部32と導体部材6とは、伝熱部材8を介して接続されている。伝熱部材8として、フィラーなどが用いられる。
【0026】
突出部32の四方の側面32bは、Z軸方向と平行に広がる平面によって構成される。四方の側面32bは、第2のコア2の貫通部16の四方の内側面16aとそれぞれ平行をなすように配置される。四方の側面32bと貫通部16の四方の内側面16aとは、X軸方向又はY軸方向に対向する。また、
図3に示すように、四方の側面32bと貫通部16の四方の内側面16aとの間には、それぞれ僅かな隙間が形成される。これにより、突出部32と第2のコア2との間には、隙間40が形成される。隙間40は、突出部32の側面32bと、貫通部16の内側面16aと、底面31aと、によって構成される。隙間40は、過剰な伝熱部材8が上面32aと導体部材6との間から溢れだした場合、当該溢れ出した伝熱部材8を受ける。隙間40の隙間の大きさは特に限定されるものではないが、溢れだした伝熱部材8を受けるときに、当該伝熱部材8が第2のコア2の上面2aなどに進行しない程度の大きさに設定されてよい。
【0027】
次に、本実施形態に係る磁性部品100の作用・効果について説明する。
【0028】
まず、比較例に係る磁性部品について説明する。比較例に係る磁性部品は、第2のコア2が貫通部16を有さず、溝部31が突出部32を有していない点で、本実施形態の磁性部品100と相違する。すなわち、比較例の磁性部品における第2のコア2では、中央位置は開口することなく、コア材料で塞がれた状態となる。比較例に係る磁性部品では、基板4の領域22付近では、Z軸方向において、第1のコア1の本体部10、及び第2のコア2で挟まれるような構成となる。当該構造では、第1のコア1と第2のコア2とに挟まれる領域22は、熱がこもりやすい状態となる。この場合、導体部材6の領域22付近で発生した熱は、コア1,2の外周側へ向かって導体部材6内を平面方向に広がるように伝達された上で、第2のコア2の外周部分において放熱部材3に伝熱される。このように、領域22と放熱部材3との間に距離があるため、導体部材6の温度上昇の抑制という点で(特に領域22付近の温度上昇)、改善の余地があった。
【0029】
これに対し、本実施形態に係る磁性部品100は、本体部10、及び本体部10の2つの対角方向に一対ずつ配置された足部11A,11B,11C,11Dを有する第1のコア1と、足部11A,11B,11C,11Dを介して第1のコア1と接続される第2のコア2と、第1のコア1と第2のコア2との間に配置される導体部材6と、第2のコア2に対し、第1のコア1とは反対側に設けられる放熱部材3と、を備える。第2のコア2には、第1のコア1と第2のコア2とが対向する対向方向であるZ軸方向に貫通する貫通部16が形成される。放熱部材3は、貫通部16を介して、導体部材6へ向かって延びる突出部32を有する。
【0030】
磁性部品100では、第2のコア2には、Z軸方向に貫通する貫通部16が形成される。これにより、領域22付近における導体部材6の第2のコア2側の箇所には貫通部16によって空間が形成される。放熱部材3は、貫通部16を介して、導体部材6へ向かって延びる突出部32を有する。すなわち、突出部32は、貫通部16によって形成される空間を通過して、導体部材6へ近接又は接触することができる。これにより、領域22付近の導体部材6で発生した熱は、突出部32によって効率よく放熱部材3へ伝達される。以上より、導体部材6の温度上昇を抑制することができる。
【0031】
なお、前述のように、第2のコア2に形成される磁路は、足部11A,11B間、足部11B,11C間、足部11C,11D間、及び足部11D,11A間で挟まれる部分に形成される。すなわち、第2のコア2の外周縁部付近に磁路が形成される。従って、第2のコア2の中央位置付近のコア材料は、磁路の形成にあまり寄与していない。従って、第2のコア2の中央位置に貫通部16を形成しても、当該貫通部16が磁気特性に与える影響は、限定的である。
【0032】
突出部32と導体部材6とは、伝熱部材8を介して接続されている。伝熱部材8は、高い密着性で導体部材6と接触することができる。従って、導体部材6の熱は、伝熱部材8を介して効率よく放熱部材3に伝達される。
【0033】
突出部32と第2のコア2との間には、隙間40が形成される。これにより、伝熱部材8が突出部32と導体部材6との間から溢れた場合などでも、隙間40で受けることができる。
【0034】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
例えば、
図4に示すような磁性部品100を採用してもよい。磁性部品100において、第1のコア1には、Z軸方向に貫通する貫通部50(第2の貫通部)が形成されている。貫通部50は、第1のコア1の中央位置12において、Z軸方向に貫通する。貫通部50は、四方に内側面50aを有する矩形状の貫通孔によって構成される。四方の内側面50aは、Z軸方向と平行に広がる平面によって構成される。四方の内側面50aは、第1のコア1の四方の側面とそれぞれ平行をなすように配置される。貫通部50は、基板4の領域22と、Z軸方向において対向する位置に形成される。
【0036】
磁性部品100によれば、領域22付近の導体部材6の第1のコア1側の箇所には貫通部50によって空間が形成される。従って、導体部材6で発生した熱は、貫通部50の空間を介して放熱される。以上より、導体部材6のうち、第1のコア1の複数の足部11A,11B,11C,11Dに囲まれた部分の温度上昇を更に抑制することができる。
【0037】
例えば、
図5に示すような磁性部品200を採用してもよい。この磁性部品200では、第1のコア201Aが四つの足部221Aを有することに加え、第2のコア201Bも四つの足部221Bを有している。四つの足部221Aの下面は、四つの足部221Bの上面と接続される。この場合、足部221Bの上面が「前記対向方向から見たときに、前記導体部材と重なり合わず、且つ前記足部と重なり合う領域」に該当する。また、基板204に対して、第1のコア201A側及び第2のコア201B側の両方に放熱部材203A,203Bが設けられると共に、第1のコア201A及び第2のコア201Bの両方に貫通部216A,216B(第1の貫通部)が形成される。基板204は、両側の主面に導体部材222を有している。また、放熱部材203A,203Bは、貫通部216A,216Bを介して、導体部材222へ向かって延びる突出部232A,232Bを有している。突出部232A,232Bは、それぞれ伝熱部材208A,208Bを介して導体部材222と接続される。
【0038】
なお、上述の実施形態では、突出部32と導体部材6とは伝熱部材8を介して接続されていたが、伝熱部材8が設けられていなくともよい。この場合、突出部32の上面32aは、絶縁性を確保した状態で導体部材6と接触することが好ましい。
【0039】
なお、貫通部16,50及び突出部32の形状及び位置は、コア1,2の磁気特性に過度に影響を与えない範囲で、どのように変更されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…第1のコア、2…第2のコア、3…放熱部材、4…基板、6…導体部材、8…伝熱部材、16…貫通部(第1の貫通部)、32…突出部、40…隙間、50…貫通部(第2の貫通部)、100,200…磁性部品。