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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】歯車加工装置及び歯車加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 15/00 20060101AFI20240109BHJP
   B23F 5/16 20060101ALI20240109BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B23F15/00
B23F5/16
B23Q15/00 309Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020010193
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021115657
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 稔
(72)【発明者】
【氏名】吉永 克仁
(72)【発明者】
【氏名】高須 俊太朗
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 嘉太郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐樹
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118977(JP,A)
【文献】特開2005-115433(JP,A)
【文献】特開2019-018335(JP,A)
【文献】特開昭59-069216(JP,A)
【文献】特開平08-039392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00 - 23/12
B23Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用工具を工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線の方向に相対的に送り、前記工作物の周面を切削加工することにより複数の歯を創成する歯車加工装置であって、
回転角度の検出値が所定値である場合を基準状態とし、前記工作物を回転駆動する工作物回転駆動装置と、
前記加工用工具と前記工作物とを相対的な位置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
加工準備工程として、前記加工用工具を、前記工作物に対して前記回転軸線の方向に離間して配置されたアプローチ位置に位置させ、
前記加工準備工程として、前記アプローチ位置において、前記加工用工具の工具刃の回転位置を前記工作物の前記周面に既に形成され歯溝の位置に応じ所定工具刃位置に位置させ
前記加工準備工程として、前記加工用工具の前記アプローチ位置と前記アプローチ位置における前記加工用工具の前記工具刃の前記所定工具刃位置とに基づいて、既に形成された前記歯溝が所定歯溝位置に位置するときの前記工作物回転駆動装置の回転角度である基準回転角を決定し、
前記加工準備工程として、既に形成された前記歯溝が前記所定歯溝位置に位置させるために、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させ、
前記加工準備工程の次の加工工程として、前記加工用工具を前記アプローチ位置から前記工作物の前記回転軸線の方向に相対的に送るとともに、前記加工用工具を前記工作物と同期回転させることにより、既に形成された前記工作物の前記歯溝を形成する前記歯に対して切削加工する、歯車加工装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記加工準備工程として、既に形成された前記工作物の前記歯溝を形成する前記歯に対してねじれ角を有する歯面を切削加工する場合であって、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させて前記加工工程を開始した場合において、前記アプローチ位置に配置した前記加工用工具が前記回転軸線の方向にて前記工作物に当接まで移動するアプローチ距離と前記ねじれ角とに基づいて、前記加工用工具が前記歯面の切削加工を開始する際の前記工作物の周方向位置である切削開始位置を算出し、
前記加工準備工程として、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させて前記加工工程を開始した場合において算出された前記切削開始位置と、前記歯面を切削加工する際の目標位置である実切削開始位置との前記工作物の回転方向における差に対応する補正量を算出し、
前記加工準備工程として、前記基準回転角の前記補正量を用いて、前記工作物回転駆動装置の回転角度及び前記加工用工具の少なくとも一方を回転させる、請求項1に記載の歯車加工装置。
【請求項3】
前記切削加工は、前記歯にテーパ歯面を切削加工するテーパ切削加工、又は、前記歯にチャンファ歯面を切削加工するチャンファ切削加工である、請求項に記載の歯車加工装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記工作物に前記歯溝を切削加工することによって前記歯を創成する加工条件及び前記加工用工具の工具諸元を記憶する記憶部をさらに備え、
前記加工条件及び前記工具諸元に基づいて前記所定工具刃位置を決定する、請求項1-のうちの何れか一項に記載の歯車加工装置。
【請求項5】
前記加工条件として前記工作物に偶数又は奇数の内歯を創成する場合であり、前記工具諸元として前記加工用工具の前記工具刃が偶数又は奇数である場合であり、且つ、前記工作物の軸線方向に直交する第一方向に前記歯溝を加工する場合において、
前記制御装置は、前記加工用工具を回転制御して前記工具刃の刃先を前記所定工具刃位置にする、請求項に記載の歯車加工装置。
【請求項6】
加工用工具を工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線の方向に相対的に送り操作することにより前記工作物の周面を切削加工し、前記周面に複数の歯を創成する歯車加工方法であって、
回転角度の検出値が所定値である場合を基準状態とし、前記工作物を回転駆動する工作物回転駆動装置と、
前記加工用工具と前記工作物とを相対的な位置を制御する制御装置と、を用い、
前記制御装置により、
加工準備工程として、前記加工用工具を、前記工作物に対して前記回転軸線の方向に離間して配置されたアプローチ位置に位置させ、
前記加工準備工程として、前記アプローチ位置において、前記加工用工具の工具刃の回転位置を前記工作物の前記周面に既に形成され歯溝の位置に応じ所定工具刃位置に位置させ
前記加工準備工程として、前記加工用工具の前記アプローチ位置と前記アプローチ位置における前記加工用工具の前記工具刃の前記所定工具刃位置とに基づいて、既に形成された前記歯溝が所定歯溝位置に位置するときの前記工作物回転駆動装置の回転角度である基準回転角を決定し、
前記加工準備工程として、既に形成された前記歯溝が前記所定歯溝位置に位置させるために、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させ、
前記加工準備工程の次の加工工程として、前記加工用工具を前記アプローチ位置から前記工作物の前記回転軸線の方向に相対的に送るとともに、前記加工用工具を前記工作物と同期回転させることにより、既に形成された前記工作物の前記歯溝を形成する前記歯に対して切削加工する、歯車加工方法。
【請求項7】
前記制御装置により、
前記加工準備工程として、既に形成された前記工作物の前記歯溝を形成する前記歯に対してねじれ角を有する歯面を切削加工する場合であって、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させて前記加工工程を開始した場合において、前記アプローチ位置に配置した前記加工用工具が前記回転軸線の方向にて前記工作物に当接まで移動するアプローチ距離と前記ねじれ角とに基づいて、前記加工用工具が前記歯面の切削加工を開始する際の前記工作物の周方向位置である切削開始位置を算出し、
前記加工準備工程として、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させて前記加工工程を開始した場合において算出された前記切削開始位置と、前記歯面を切削加工する際の目標位置である実切削開始位置との前記工作物の回転方向における差に対応する補正量を算出し、
前記加工準備工程として、前記基準回転角の前記補正量を用いて、前記工作物回転駆動装置の回転角度及び前記加工用工具の少なくとも一方を回転させる、請求項に記載の歯車加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車加工装置及び歯車加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるトランスミッションには、円滑な変速操作を行うためにシンクロメッシュ機構が設けられる。キー式のシンクロメッシュ機構110は、図11に示すように、メーンシャフト111、メーンドライブシャフト112、クラッチハブ113、キー114、スリーブ115、メーンドライブギヤ116、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118等を備える。
【0003】
メーンシャフト111及びメーンドライブシャフト112は、同軸配置される。メーンシャフト111にはクラッチハブ113がスプライン嵌合され、メーンシャフト111及びクラッチハブ113は共に回転する。クラッチハブ113の外周の3か所には、キー114が図示省略のスプリングによって支持される。スリーブ115の内周には、内歯(スプライン)115aが形成され、スリーブ115はキー114と共にクラッチハブ113の外周に形成される図示省略のスプラインに沿って回転軸線LLの方向に摺動する。
【0004】
メーンドライブシャフト112には、メーンドライブギヤ116が嵌合され、メーンドライブギヤ116のスリーブ115側には、テーパコーン117bが突設されたクラッチギヤ117が一体形成される。スリーブ115とクラッチギヤ117との間には、シンクロナイザーリング118が配置される。クラッチギヤ117の外歯117a及びシンクロナイザーリング118の外歯118aは、スリーブ115の内歯115aと噛み合わせ可能に形成される。シンクロナイザーリング118の内周は、テーパコーン117bの外周と摩擦係合可能なテーパ状に形成される。
【0005】
次に、シンクロメッシュ機構110の動作を説明する。図12Aに示すように、図示省略のシフトレバーの操作により、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LLの方向に移動する。キー114は、シンクロナイザーリング118を回転軸線LLの方向に押して、シンクロナイザーリング118の内周をテーパコーン117bの外周に押し付ける。これにより、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は、同期回転を開始する。
【0006】
そして、図12Bに示すように、キー114は、スリーブ115に押し下げられてシンクロナイザーリング118を回転軸線LLの方向に更に押し付けるため、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との密着度は増す。その結果、強い摩擦力が発生し、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は同期回転する。クラッチギヤ117の回転数とスリーブ115の回転数が完全に同期すると、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との摩擦力が消滅する。
【0007】
そして、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LLの方向に更に移動すると、キー114はシンクロナイザーリング118の溝118bに嵌って止まるが、スリーブ115はキー114の凸部114aを超えて移動し、スリーブ115の内歯115aがシンクロナイザーリング118の外歯118aと噛み合う。そして、図12Cに示すように、スリーブ115は図示矢印の回転軸線LLの方向に更に移動し、スリーブ115の内歯115aがクラッチギヤ117の外歯117aと噛み合う。以上により、変速が完了する。
【0008】
以上のようなシンクロメッシュ機構110においては、走行中におけるクラッチギヤ117の外歯117aとスリーブ115の内歯115aとのギヤ抜け防止のため、図13及び図14に示すように、スリーブ115の内歯115aには、テーパ状のギヤ抜け防止部120が設けられ、クラッチギヤ117の外歯117aには、ギヤ抜け防止部120とテーパ嵌合するテーパ状のギヤ抜け防止部(図示省略)が設けられる。尚、以下の説明においては、スリーブ115の内歯115aの図示左側の側面115Aを左側面115Aと称呼し、スリーブ115の内歯115aの図示右側の側面115Bを右側面115Bと称呼する。
【0009】
そして、スリーブ115の内歯115aの左側面115Aは、左歯面115bと、この左歯面115bとねじれ角が異なる歯面121(以下、左テーパ歯面121と称呼する。)及び歯面131(以下、左チャンファ(面取り)歯面131と称呼する。)と、を有する。又、スリーブ115の内歯115aの右側面115Bは、右歯面115cと、この右歯面115cとねじれ角が異なる歯面122(以下、右テーパ歯面122と称呼する。)及び歯面132(以下、右チャンファ(面取り)歯面132と称呼する。)と、を有する。
【0010】
上述した従来例においては、左歯面115bのねじれ角は0(ゼロ)、左テーパ歯面121のねじれ角はθfであり、左チャンファ歯面131のねじれ角はθLである。又、右歯面115cのねじれ角は0(ゼロ)、右テーパ歯面122のねじれ角はθr、右チャンファ歯面132のねじれ角はθRである。そして、左テーパ歯面121、左テーパ歯面121と左歯面115bを繋ぐ歯面121a(以下、左サブ歯面121aと称呼する。)及び左チャンファ歯面131、並びに、右テーパ歯面122、右テーパ歯面122と右歯面115cを繋ぐ歯面122a(以下、右サブ歯面122aと称呼する。)及び右チャンファ歯面132が、ギヤ抜け防止部120を構成する。尚、ギヤ抜け防止は、左テーパ歯面121とクラッチギヤ117のギヤ抜け防止部とがテーパ嵌合することにより達成される。又、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132は、クラッチギヤ117のギヤ抜け防止部との噛み合わせをスムーズに行うためのものである。
【0011】
このように、スリーブ115の内歯115aの構造は複雑であり、又、上述したギヤ抜けを確実に防止するためにはギヤ抜け防止部120を高精度に加工する必要がある。このため、従来から、下記特許文献1,2に開示されているように、歯面を高精度に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法が知られている。又、スリーブ115は大量生産が必要な部品である。このため、従来から、下記特許文献3に開示されているように、複数の刃を備える加工用工具において加工毎に加工用工具の位相を異ならせて加工を行うことにより、加工用工具の長寿命化を図ることができる歯車加工方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2019-018335号公報
【文献】特開2018-079558号公報
【文献】特開2018-001343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、スリーブ115の内歯115aのギヤ抜け防止部120を高精度に加工する場合、加工部位及び加工内容に応じて異なる複数の加工用工具を用いて歯車を加工する必要がある。この場合、加工用工具の刃位置をスリーブ115等の工作物の歯位相に合わせた後、或いは、工作物の歯位置を加工用工具の刃位相に合わせた後、即ち、工作物を切削加工するための基準回転角を決定してから次の加工を行わなければならない。しかし、一連の加工において、工作物の歯位相又は加工用工具の刃位相を加工終了毎に測定して基準回転角を決定するようにすると、測定機器が必要であり、又、加工に要するサイクルタイムが伸びるという問題が生じる。
【0014】
本発明は、複数の加工用工具を用いても、工作物の歯位相を測定することなく基準回転角を容易に決定して次加工を行うことが可能な歯車加工装置及び歯車加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、
加工用工具を工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線の方向に相対的に送り、前記工作物の周面を切削加工することにより複数の歯を創成する歯車加工装置であって、
回転角度の検出値が所定値である場合を基準状態とし、前記工作物を回転駆動する工作物回転駆動装置と、
前記加工用工具と前記工作物とを相対的な位置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
加工準備工程として、前記加工用工具を、前記工作物に対して前記回転軸線の方向に離間して配置されたアプローチ位置に位置させ、
前記加工準備工程として、前記アプローチ位置において、前記加工用工具の工具刃の回転位置を、前記工作物の前記周面に既に形成された歯溝の位置に応じた所定工具刃位置に位置させ、
前記加工準備工程として、前記加工用工具の前記アプローチ位置と前記アプローチ位置における前記加工用工具の前記工具刃の前記所定工具刃位置とに基づいて、既に形成された前記歯溝が所定歯溝位置に位置するときの前記工作物回転駆動装置の回転角度である基準回転角を決定し、
前記加工準備工程として、既に形成された前記歯溝が前記所定歯溝位置に位置させるために、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させ、
前記加工準備工程の次の加工工程として、前記加工用工具を前記アプローチ位置から前記工作物の前記回転軸線の方向に相対的に送るとともに、前記加工用工具を前記工作物と同期回転させることにより、既に形成された前記工作物の前記歯溝を形成する前記歯に対して切削加工する、歯車加工装置にある。
また、本発明の他の態様は、
加工用工具を工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線の方向に相対的に送り操作することにより前記工作物の周面を切削加工し、前記周面に複数の歯を創成する歯車加工方法であって、
回転角度の検出値が所定値である場合を基準状態とし、前記工作物を回転駆動する工作物回転駆動装置と、
前記加工用工具と前記工作物とを相対的な位置を制御する制御装置と、を用い、
前記制御装置により、
加工準備工程として、前記加工用工具を、前記工作物に対して前記回転軸線の方向に離間して配置されたアプローチ位置に位置させ、
前記加工準備工程として、前記アプローチ位置において、前記加工用工具の工具刃の回転位置を、前記工作物の前記周面に既に形成された歯溝の位置に応じた所定工具刃位置に位置させ、
前記加工準備工程として、前記加工用工具の前記アプローチ位置と前記アプローチ位置における前記加工用工具の前記工具刃の前記所定工具刃位置とに基づいて、既に形成された前記歯溝が所定歯溝位置に位置するときの前記工作物回転駆動装置の回転角度である基準回転角を決定し、
前記加工準備工程として、既に形成された前記歯溝が前記所定歯溝位置に位置させるために、前記工作物回転駆動装置の回転角度を前記基準回転角に位置させ、
前記加工準備工程の次の加工工程として、前記加工用工具を前記アプローチ位置から前記工作物の前記回転軸線の方向に相対的に送るとともに、前記加工用工具を前記工作物と同期回転させることにより、既に形成された前記工作物の前記歯溝を形成する前記歯に対して切削加工する、歯車加工方法にある。
【0016】
前記態様によれば、複数の加工用工具を用いる場合であっても、切削加工される工作物の歯位相を都度測定する必要がなく、速やかに基準回転角を決定して次加工を行うことができる。従って、位相を測定するための測定機器が不要であり、又、加工に要するサイクルタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】歯車加工装置の全体構成を示す図である。
図2図1の工具交換装置の構成を示す図である。
図3】加工用工具(スカイビングカッタ)の構成を示す一部断面図である。
図4】加工用工具の所定回転位置を説明するための図である。
図5A】工作物のトップ位置を説明するための図である。
図5B】加工用工具の所定回転位置におけるトップ形状を説明するための図である。
図6A】基準回転角を説明するための図である。
図6B】テーパ歯面を切削加工する場合の補正量を説明するための図である。
図6C】チャンファ歯面を切削加工する場合の補正量を説明するための図である。
図7】スリーブのギヤ抜け防止部を切削加工する場合の加工条件を示す表である。
図8】スリーブの歯面(歯溝)をスカイビング加工によって切削加工する状態を説明するための図である。
図9】スリーブをスカイビング加工によって切削加工する際の加工用工具の回転数とスリーブの回転数との関係を示し、加工開始時の加工用工具のトップ形状及びスリーブのトップ位置を示す図である。
図10】工作物であるスリーブの加工工程を示すフローチャートである。
図11】工作物であるスリーブを有するシンクロメッシュ機構を示す断面図である。
図12A図11のシンクロメッシュ機構の作動開始前の状態を示す断面図である。
図12B図11のシンクロメッシュ機構の作動中の状態を示す断面図である。
図12C図11のシンクロメッシュ機構の作動完了後の状態を示す断面図である。
図13】工作物であるスリーブのギヤ抜け防止部を示す斜視図である。
図14図13のスリーブのギヤ抜け防止部を径方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1.歯車加工装置の機械構成)
本例においては、歯車加工装置の一例として、スカイビング加工が可能な5軸マシニングセンタを例に挙げる。具体的に、図1に示すように、本例の歯車加工装置1は、駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X軸、Y軸、Z軸)及び2つの回転軸(X軸線に平行なA軸、A軸線に直角なC軸)を有する装置である。
【0019】
図1に示すように、歯車加工装置1は、ベッド10と、コラム20と、サドル30と、回転主軸40と、テーブル50と、チルトテーブル60と、工作物回転駆動装置としてのターンテーブル70と、工作物保持装置80と、工具交換装置90と、制御装置100と、を主に備える。
【0020】
ベッド10は、ほぼ矩形状に形成されており、床上に配置される。ベッド10の上面には、コラム20をX軸線に平行な方向に駆動するための、図示省略のX軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、X軸ボールねじを回転駆動するX軸モータ11cが配置される。
【0021】
コラム20のY軸線に平行な側面(摺動面)20aには、サドル30をY軸線に平行な方向に駆動するための、図示省略のY軸ボールねじが配置される。そして、コラム20には、Y軸ボールねじを回転駆動するY軸モータ23cが配置される。
【0022】
回転主軸40は、加工用工具42を支持し、サドル30内に回転可能に支持され、サドル30内に収容された主軸モータ41により回転される。加工用工具42は、工具ホルダ43に保持されて回転主軸40の先端に固定され、回転主軸40の回転に伴って回転する。又、加工用工具42は、コラム20及びサドル30の移動に伴ってベッド10に対してX軸線に平行な方向及びY軸線に平行な方向に移動する。尚、加工用工具42の詳細については後述する。
【0023】
更に、ベッド10の上面には、テーブル50をZ軸線に平行な方向に駆動するための、図示省略のZ軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、Z軸ボールねじを回転駆動するZ軸モータ12cが配置される。
【0024】
テーブル50の上面には、チルトテーブル60を支持するチルトテーブル支持部63が設けられる。そして、チルトテーブル支持部63には、チルトテーブル60がA軸線に平行な軸線回りで回転(揺動)可能に設けられる。チルトテーブル60は、テーブル50内に収容されたA軸モータ61により回転(揺動)される。
【0025】
チルトテーブル60には、工作物回転駆動装置としてのターンテーブル70がC軸線に平行な軸線回りで回転可能に設けられる。ターンテーブル70には、工作物であるスリーブ115を保持する工作物主軸を構成する工作物保持装置80が装着される。ターンテーブル70は、スリーブ115及び工作物保持装置80と共にC軸モータ62により回転される。ここで、ターンテーブル70は、C軸線回りの回転角度を検出するエンコーダ71が設けられている。そして、ターンテーブル70の基準状態としては、例えば、エンコーダ71によって検出される回転角度が0度の状態に設定される。
【0026】
次に、図2に具体的に示すように、工具交換装置90を説明する。工具交換装置90は、回転主軸40に装着された加工用工具42と、工具マガジンMに収容された他の加工用工具42との交換を行う。ここで、工具マガジンMは、複数の加工用工具42を収容するものである。尚、図2においては、図面を簡素化するため、3つの加工用工具42(後述する加工用工具42A,42B,42C)のみを図示する。ベッド10の上面には、板状の支持板13が固定され、支持板13に工具マガジンMが回転可能に設けられる。
【0027】
工具交換装置90は、装置本体91と、交換アーム92と、アーム用モータ93と、枠部94と、扉95と、移動体96と、工具保持部97と、検出部98と、工具交換制御部99とを主に備える。ここで、工具交換制御部99は、後述する制御装置100と接続し、データを共有する。尚、装置本体91、交換アーム92、アーム用モータ93、枠部94、扉95、移動体96、工具保持部97については、周知であり、例えば、特開2018-103330号公報等を参照することができるため、その説明を省略する。
【0028】
検出部98は、回転主軸40に装着された加工用工具42の回転位置を検出する。検出部98は、例えば、加工用工具42又は工具ホルダ43に設けられた被検出部を検出することにより、加工用工具42の回転位置を検出する。ここで、検出部98としては、非接触型渦電流センサや、接触式タッチプローブセンサ等を用いることができる。そして、検出部98は、図2に示すように、検出部用アームに保持されており、検出用アームが伸張することによって被検出部に対して接近し、回転主軸40に装着された加工用工具42の回転位置を検出する。ここで、検出部98が検出した回転位置は、後述する制御装置100の記憶部104等に記憶される。尚、加工用工具42の回転位置の検出については、例えば、特開2013-129000号公報等を参照することができる。
【0029】
制御装置100は、図1に示すように、加工制御部101と、基準回転角決定部102と、加工位置算出部103と、記憶部104を主に備える。ここで、加工制御部101、基準回転角決定部102、加工位置算出部103及び記憶部104は、それぞれ個別のコンピュータハードウェア(CPU、メモリ、ストレージ等)により構成しても良いし、コンピュータソフトウェア(データ、プログラム等)によりそれぞれ実現する構成としても良い。
【0030】
加工制御部101は、主軸モータ41を制御して加工用工具42を回転させる。又、加工制御部101は、X軸モータ11c、Z軸モータ12c、Y軸モータ23c、A軸モータ61及びC軸モータ62を制御する。これにより、加工制御部101は、工作物であるスリーブ115と加工用工具42とをX軸線に平行な方向、Z軸線に平行な方向、Y軸線に平行な方向、A軸線に平行は軸線回り及びC軸線に平行な軸線回りに相対移動させることにより、スリーブ115の切削加工を行う。
【0031】
基準回転角決定部102は、ターンテーブル70のエンコーダ71からターンテーブル70即ちスリーブ115の回転角を取得し、記憶部104等に記憶する。又、基準回転角決定部102は、工具交換装置90の検出部98から加工用工具42の工具刃42aの回転位置を取得し、記憶部104等に記憶する。基準回転角決定部102は、加工用工具42がスリーブ115に対してC軸線(回転軸線)の方向に離間した位置(以下、アプローチ位置U1と称呼する。)と、アプローチ位置U1に配置されて検出部98から取得された工具刃42aの回転位置である所定回転位置とに基づいて、ターンテーブル70の基準状態におけるスリーブ115の歯溝115gの角度位置をスリーブ115の基準回転角Pとして算出(決定)する(図8を参照)。
【0032】
具体的に、図5Aに示すように、歯溝115gの角度位置は、例えば、スリーブ115をC軸線の方向から見て、ターンテーブル70の基準状態における鉛直線(90度線)に最も近い歯溝115gの中央とスリーブ115の中心とを結ぶ仮想直線と鉛直線との間のずれを表す角度である。従って、基準回転角Pは、仮想直線を鉛直線に一致させるようにターンテーブル70を回転させたときにエンコーダ71が検出する角度になる。
【0033】
ここで、基準回転角Pの算出(決定)に際しては、アプローチ位置U1即ち加工用工具42とスリーブ115との間のC軸線の方向の距離(後述するアプローチ距離M1)と加工用工具42の工具刃42aの回転位置に加え、加工用工具42をC軸線の方向にてスリーブ115に向けて送る送り速度、加工用工具42及びスリーブ115の各々の回転速度等を考慮することができる。
【0034】
基準回転角Pは、同期回転時において、例えば、加工用工具42とスリーブ115の回転位相が0度となるように決定されるものである。例えば、基準回転角Pは、スリーブ115の内歯115aを創成するように切削加工により形成された歯溝115gの中央の角度位置に決定される(図6Aを参照)。
【0035】
加工位置算出部103は、スリーブ115の内歯115aの歯面115b、115cにねじれ角を有する歯面を切削加工する場合において、基準回転角Pに基づいて切削加工を開始する位置(以下、切削開始位置U2と称呼する。(図8を参照))を算出する。即ち、加工位置算出部103は、下記式1に従って、基準回転角Pを基準とした場合の切削開始位置U2を表す補正角σを算出する。
【数1】
【0036】
但し、前記式1中のM1は、アプローチ位置U1に配置した加工用工具42がC軸線(回転軸線)の方向にてスリーブ115に当接まで移動するアプローチ距離を表す。又、前記式1中のθは、スリーブ115の内歯115aの歯面115b、115cを切削加工により形成する歯面のねじれ角を表す。又、前記式1中のmは、スリーブ115のモジュールを表し、Zはスリーブ115の歯数を表す。
【0037】
又、加工位置算出部103は、歯面を加工する場合に、基準回転角Pを基準として算出した仮の切削開始位置U2dと、実際に歯面を切削加工する際の実切削開始位置U2jとの差に基づいて、基準回転角Pを補正する補正量σdを算出する(図6B及び図6Cを参照)。
【0038】
尚、本例においては、スリーブ115の内歯115aの歯面115b,115c(歯溝115g)に、ギヤ抜け防止部120のチャンファ歯面131,132(チャンファ歯溝131g,132g)、ギヤ抜け防止部120のテーパ歯面121,122(テーパ歯溝121g,122g)を切削加工する。この場合、加工位置算出部103は、前記式1に従って切削開始位置U2を決定する補正角σ(補正角σf,σr,σL,σR)を算出すると共に、基準回転角Pを補正する補正量σdを算出する(図6B図6C及び図7を参照)。
【0039】
記憶部104には、加工用工具42に関する工具諸元データとして工具刃42aの刃数(偶数又は奇数)等を記憶する。又、記憶部104は、スリーブ115の切削加工を行うための加工条件データ(図7を参照)を記憶すると共に、スリーブ115に創成する内歯115aの数(偶数又は奇数)を予め記憶する。
【0040】
(2.加工用工具)
加工用工具42は、スカイビングカッタであり、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cの形状に基づいて設計されて作製される。図3に示すように、加工用工具42の工具刃42aの形状は、本例ではインボリュート曲線形状と同一形状に形成される。
【0041】
そして、加工用工具42の工具刃42aには、刃先42bに回転軸線Lと直角な平面に対し、角度γだけ傾斜したすくい角が設けられる。又、工具刃42aには、工具周面側に回転軸線Lと平行な直線に対し、角度δだけ傾斜した前逃げ角が設けられる。更に、工具刃42aの刃溝42cは、回転軸線Lと平行な直線に対し、角度βだけ傾斜したねじれ角を有する。尚、加工用工具42としては、ねじれ角βを有しておらず、回転軸線Lに平行なストレートの工具刃42aを備えることもできる。
【0042】
(3.加工用工具42の所定回転位置について)
工作物であるスリーブ115を切削加工する場合、加工用工具42は、図4に示す関係に基づいて、刃先42b又は刃溝42cが所定回転位置になるように回転される。そして、本例においては、制御装置100の加工制御部101は、加工開始時、即ち、加工用工具42がアプローチ位置U1に配置されている状態で、加工用工具42の刃先42b又は刃溝42cを所定回転位置に回転する。
【0043】
所定回転位置は、図4に示すように、工作物(本例ではスリーブ115)の加工条件と加工用工具42の工具諸元とに基づいて決定される。加工条件としては、工作物に創成される歯が内歯であるか外歯であるか、及び、創成される歯の数が偶数であるか奇数であるかを挙げることができる。本例の加工条件としては、スリーブ115の内歯115aの数(偶数又は奇数)である。又、工具諸元としては、加工用工具42の工具刃42aの数(偶数又は奇数)を挙げることができる。
【0044】
以下の説明においては、図5Aに示すように、スリーブ115の歯溝115gが第一方向であるY軸線の方向における最上部(以下、この位置を「トップ位置」と称呼する。)にある場合を例示する。又、以下の説明においては、図5Bに示すように、加工用工具42の刃先42b(又は刃溝42c)が「トップ位置」に対応してY軸線の方向における最上部にあることを「工具トップ形状」と称呼し、工具トップ形状が所定回転位置に配置される場合を例示する。
【0045】
図4に示すように、「加工点位置」が「上」即ち第一方向でありスリーブ115におけるY軸線の方向のトップ位置に歯溝115gを形成する場合から説明する。この場合、トップ位置に歯溝115gを形成するためには、加工用工具42の工具刃42aの刃先42bがスリーブ115に当接する必要がある。このため、図5Aに示すように、トップ位置に歯溝115gを形成する場合において、スリーブ115の内歯115aの数が偶数又は奇数であり、且つ、加工用工具42の工具刃42aの数が偶数又は奇数である場合には、図5Bに示すように、加工用工具42の工具刃42aの刃先42bをトップ形状として所定回転位置に配置される。
【0046】
次に、図4に示すように、トップ位置に歯溝115gが形成された場合において、「加工点位置」が「下」即ち第一方向と反対の第二方向でありスリーブ115においてY軸線の方向の最下部を加工する場合を説明する。この場合は、スリーブ115の内歯115aの数が偶数又は奇数によって加工用工具42の工具刃42aの工具トップ形状が変化すると共に、加工用工具42の工具刃42aの数が偶数又は奇数によっても工具トップ形状が変化する。
【0047】
具体的に、スリーブ115の内歯115aの数が奇数である場合、トップ位置に歯溝115gが形成された場合には、スリーブ115の最下部には内歯115aが存在する。この場合、加工用工具42の工具刃42aの刃溝42cがスリーブ115の最下部に位置する必要がある。このため、加工用工具42の工具刃42aの数が奇数の場合、工具トップ形状は刃先42bとなるため、所定回転位置に刃先42bが配置される。又、この場合、加工用工具42の工具刃42aの数が偶数の場合、工具トップ形状は刃溝42cとなるため、所定回転位置に刃溝42cが配置される。
【0048】
又、スリーブ115の内歯115aの数が偶数である場合、トップ位置に歯溝115gが形成された場合には、スリーブ115の最下部には歯溝115gが存在する。この場合、加工用工具42の工具刃42aの刃先42bがスリーブ115の最下部に位置する必要がある。このため、加工用工具42の工具刃42aの数が奇数の場合、工具トップ形状は刃溝42cとなるため、所定回転位置に刃溝42cが配置される。又、この場合、加工用工具42の工具刃42aの数が偶数の場合、工具トップ形状は刃先42bとなるため、所定回転位置に刃先42bが配置される。
【0049】
ここで、工作物に外歯が形成される場合についても図4を用いて説明しておく。工作物に外歯を創成する場合も、上述した内歯の場合と同様に工具トップ形状が所定回転位置に配置される。具体的に、「加工点位置」が「上」即ち環状の工作物におけるY軸線の方向のトップ位置に歯溝を形成する場合から説明する。この場合、トップ位置に歯溝を形成するためには、加工用工具の工具刃の刃先が工作物に当接する必要がある。
【0050】
このため、トップ位置に歯溝を形成する場合においては、工作物の外歯の数が偶数又は奇数に拘わらず、加工用工具の工具刃の数が奇数の場合には刃溝がトップ形状として所定回転位置に配置される。又、加工用工具の工具刃の数が偶数の場合には刃先がトップ形状として所定回転位置に配置される。
【0051】
次に、図4に示すように、工作物のトップ位置に歯溝が形成された場合において、「加工点位置」が「下」即ち工作物においてY軸線の方向の最下部を加工する場合を説明する。この場合は、工作物の外歯の数が偶数又は奇数によって加工用工具の工具刃の工具トップ形状が変化する。
【0052】
具体的に、工作物の外歯の数が奇数である場合において、トップ位置に歯溝が形成された場合には、工作物の最下部には外歯が存在する。この場合には、加工用工具の工具刃の刃溝が工作物の最下部に当接する必要がある。このため、加工用工具の工具刃の数が奇数又は偶数に拘わらず、工具トップ形状は刃溝となるため、所定回転位置に刃溝が配置される。
【0053】
又、工作物の外歯の数が偶数である場合、トップ位置に歯溝が形成された場合には、工作物の最下部には歯溝が存在する。この場合には、加工用工具の工具刃の刃先が工作物の最下部に当接する必要がある。このため、加工用工具の工具刃の数が奇数又は偶数に拘わらず、工具トップ形状は刃先となるため、所定回転位置に刃先が配置される。
【0054】
そして、アプローチ位置U1においては、加工用工具42が回転制御され、スリーブ115の加工条件及び加工用工具42の工具諸元に応じて所定回転位置に刃先42b又は刃溝42cが配置される。尚、アプローチ位置U1は切削開始位置U2から加工用工具42側に位置し、スリーブ115の一端面からのアプローチ距離M1は、例えば、5mm程度離れた位置である。このアプローチ位置U1から加工用工具42がスリーブ115と回転同期されると共に切削開始位置U2から加工用工具42をスリーブ115に向けて相対的に送り操作することにより、スリーブ115のトップ位置及び加工点位置において歯溝115gが形成される。
【0055】
そして、スリーブ115に歯溝115gが形成される、即ち、2つの歯溝115gによって内歯115aが形成されると、形成された歯溝115gのうちの一つの歯溝115gについて、ターンテーブル70の基準状態における角度位置に基づいて基準回転角Pが決定される。例えば、図6Aに示すように、歯溝115gの幅の中央を通る基準回転角Pが決定される。
【0056】
(4.切削開始位置U2(補正角σ)及び補正量σdについて)
歯車加工装置1では、図6Aに示すように、基準回転角Pが決定される。この基準回転角Pは、例えば、スリーブ115に創成された内歯115aを削り落とす欠歯加工等において、加工時の基準とすることができる。即ち、基準回転角Pに基づくことにより創成された内歯115aの位置を正確に決定することができるため、内歯115aに対してねじれ角を有しない欠歯加工等の切削開始位置U2を基準回転角Pに基づいて決定することができる。
【0057】
ここで、内歯115aにギヤ抜け防止部120のチャンファ歯面131,132を切削加工するチャンファ切削加工やテーパ歯面121,122を切削加工するテーパ切削加工は、アプローチ距離M1とねじれ角θとを用いた前記式1に従うことにより幾何学的に切削開始位置U2を算出することができる。ところが、基準回転角Pを基準として算出した場合には、本来の切削開始位置U2とずれが生じる場合がある。
【0058】
そこで、前記式1に従って、基準回転角Pを基準とした場合の仮の切削開始位置U2dを算出すると共に、実際にテーパ等を切削加工する場合に必要な実切削開始位置U2jを算出することにより、基準回転角Pを補正する。具体的には、図6B及び図6Cに示すように、破線により示す仮の切削開始位置U2dと実線により示す実切削開始位置U2jとの間のスリーブ115の回転方向における距離を補正量σd(角度)として算出する。そして、本例においては、補正量σdだけスリーブ115を回転させることにより、基準回転角Pを補正する。
【0059】
従って、本例におけるチャンファ加工及びテーパ加工においては、スリーブ115を補正量σd分だけ回転させることにより、補正された新たな基準回転角Pに基づいて、切削加工を行う。尚、スリーブ115を補正量σdだけ回転させることに限らず、加工用工具42を補正量σdだけ回転させたり、スリーブ115及び加工用工具42の両方を回転させた合計が補正量σdとなるようにしても良い。
【0060】
(5.制御装置100による処理)
次に、制御装置100による処理(歯車加工方法)について、図7及び図8を用いて説明する。ここで、歯溝115gを加工する(又は、内歯115aを削り落とす欠歯加工する)加工用工具42Aは、歯車加工装置1の回転主軸40に装着され、スリーブ115は、歯車加工装置1の工作物保持装置80に装着された状態でターンテーブル70によって回転駆動されるものとする。尚、テーパ歯面121,122を加工する加工用工具42B及びチャンファ歯面131,132を加工する加工用工具42Cは、工具交換装置90の工具マガジンMに予め収納されているものとする。
【0061】
又、スリーブ115に加工された内歯115aの歯数(偶数又は奇数)、加工用工具42B,42Cの工具刃42aの刃数(偶数又は奇数)、各テーパ歯面121,122のねじれ角θf,θr、各チャンファ歯面131,132のねじれ角θL,θR、アプローチ距離M1及び切削加工移動距離M2は、記憶部104に予め記憶されているものとする。又、以下の説明においては、各歯溝115g,121g,122g,131g,132gの標記は省略し、各歯面115b,115c,121,122,131,132の標記のみとする。
【0062】
制御装置100の加工制御部101は、図8に示すように、スカイビング加工における交差角φを設定値に設定し、加工用工具42Aをアプローチ位置U1に配置する。そして、加工制御部101は、図10に示すように、加工用工具42Aをスリーブ115と同期回転させながら加工用工具42Aをスリーブ115の回転軸線Lwの方向に1回若しくは複数回送り操作することにより、初期加工を行う(S1:第一工程)。
【0063】
ここで、加工用工具42A(42B,42C)とスリーブ115との同期回転については、図9に示すように、加工用工具42A(42B,42C)の回転速度とスリーブ115の回転速度との速度比が一定となるように同期回転が行われる。そして、加工用工具42A(42B,42C)がアプローチ位置U1から切削開始位置U2に移動するタイミングは、時刻t1にて同期回転が開始され、加工用工具42A(42B,42C)及びスリーブ115が各々加速状態にあるとき、或いは、時刻t2にて同期回転が安定した状態であるときとすることができる。
【0064】
これにより、加工用工具42Aは、スリーブ115の内周を荒切削加工して内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを形成し、更に形成した内歯115aの左歯面115b及び右歯面115c中仕上げ切削加工する。中仕上げ切削加工は、荒切削加工時の工具送り速度よりも小さい工具送り速度にすることで行われる。
【0065】
そして、加工制御部101は、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cの切削加工が完了すると、形成した内歯115aの数(偶数又は奇数)を記憶部104に記憶する。その後、加工制御部101は、交差角φを維持した状態で、加工用工具42Aをアプローチ位置U1に戻す。
【0066】
続いて、加工制御部101は、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132をチャンファ切削加工する(チャンファ歯面加工工程)。このため、加工制御部101は、工具交換装置90を作動させ、現在、回転主軸40に装着されている加工用工具42Aと工具マガジンMに収納されている加工用工具42Cとを自動的に交換する。このとき、工具交換装置90においては、検出部98が加工用工具42Cの工具刃42aの回転位置、具体的には、鉛直方向にて最上位の所定回転位置に刃先が位置しているか刃溝が位置しているかを表す刃位置情報を基準回転角決定部102に出力する。
【0067】
基準回転角決定部102は、工具交換装置90の検出部98から取得した刃位置情報、記憶部104に記憶されている加工用工具42Cの刃数(偶数又は奇数)及び上述したように記憶した内歯115aの歯数(偶数又は奇数)を取得する。そして、基準回転角決定部102は、図4に示す表の関係に基づき、図10に示すように、内歯115aの歯溝を鉛直方向にて最上部に位置した時に対応する加工用工具42Cの最上部に位置させる工具トップ形状を決定する(S2:第二工程)。
【0068】
そして、加工制御部101は、図9に示す時刻t1までに、即ち、加工用工具42Cがアプローチ位置U1に配置されているときに、回転主軸40に加工用工具42Cが装着された状態で回転主軸40を回転させて最上位に刃先を位置させる。又、基準回転角決定部102は、アプローチ位置U1(アプローチ距離M1)と工具刃42aの回転位置即ち所定回転位置とに基づき、図10に示すように、ターンテーブル70の基準状態における内歯115aの角度位置を基準回転角Pを算出することにより決定する(S2:第二工程)。この場合、基準回転角決定部102は、アプローチ位置U1(アプローチ距離M1)及び所定回転位置に加えて、送り速度やスリーブ115及び加工用工具42の各々の回転速度を考慮して、基準回転角Pを算出することができる。
【0069】
加工位置算出部103は、上記のように決定された基準回転角P及び前記式1に従って左チャンファ歯面131の切削開始位置U2を決定する補正角σLを算出する。そして、加工制御部101は、図10に示すように、補正角σLに基づいて、加工用工具42Cとスリーブ115とを同期回転させる(S3:第三工程)。このとき、本例においては、加工位置算出部103は、補正量σdを算出し、加工制御部101は、加工用工具42Cがアプローチ位置U1に配置されている状態で、スリーブ115を補正量σdだけ回転させる。即ち、加工制御部101は、図10に示すように、基準回転角Pを補正量σdで補正する(S3:第三工程)。
【0070】
そして、加工制御部101は、スリーブ115が補正角σLを維持するように、加工用工具42Cとスリーブ115とを同期回転させる。そして、加工制御部101は、図9に示す時刻t2において加工用工具42C及びスリーブ115の各々が予め設定された回転数で同期回転するまでに、加工用工具42Cをアプローチ位置U1からスリーブ115の回転軸線Lwの方向にて切削開始位置U2まで移動させる。
【0071】
その後、加工制御部101は、加工用工具42Cを1回若しくは複数回送り操作する。これにより、加工用工具42Cは、図10に示すように、内歯115aを切削加工して内歯115aの左歯面115bに左チャンファ歯面131を形成する(S4:第四工程)。そして、加工制御部101は、左チャンファ歯面131の切削加工が完了すると、交差角φを維持した状態で、加工用工具42Cをアプローチ位置U1に配置する。
【0072】
続いて、加工制御部101は、基準回転角P及び加工位置算出部103が前記式1に従って算出した右チャンファ歯面132の補正角σRに基づいて、図10に示すように、加工用工具42Cとスリーブ115とを同期回転させる(S3:第三工程)。このとき、本例においては、加工制御部101は、加工位置算出部103によって算出された補正量σdだけスリーブ115を回転させて基準回転角Pを補正し、スリーブ115が補正角σRを維持するように加工用工具42Cとスリーブ115とを同期回転させる。そして、加工制御部101は、図9に示す時刻t2において加工用工具42C及びスリーブ115の各々が予め設定された回転数で同期回転するまでに、加工用工具42Cをアプローチ位置U1からスリーブ115の回転軸線Lwの方向にて切削開始位置U2まで移動させる。
【0073】
その後、加工制御部101は、加工用工具42Cを1回若しくは複数回送り操作する。これにより、加工用工具42Cは、図10に示すように、内歯115aを切削加工して内歯115aの右歯面115cに右チャンファ歯面132を形成する(S4:第四工程)。そして、加工制御部101は、右チャンファ歯面132の切削加工が完了すると、交差角φを維持した状態で、加工用工具42Cをアプローチ位置U1に配置する。
【0074】
続いて、加工制御部101は、左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122をテーパ切削加工する(テーパ歯面加工工程)。このため、加工制御部101は、工具交換装置90を作動させ、現在、回転主軸40に装着されている加工用工具42Cと工具マガジンMに収納されている加工用工具42Bとを自動的に交換する。このとき、工具交換装置90においては、検出部98が加工用工具42Bの工具刃42aの回転位置、具体的には、鉛直方向にて最上位の所定回転位置に刃先が位置しているか刃溝が位置しているかを表す刃位置情報を基準回転角決定部102に出力する。
【0075】
基準回転角決定部102は、工具交換装置90の検出部98から取得した刃位置情報、記憶部104に記憶されている加工用工具42Bの刃数(偶数又は奇数)及び内歯115aの歯数(偶数又は奇数)を取得する。そして、基準回転角決定部102は、図4に示す表の関係に基づき、図10に示すように、内歯115aの歯溝を鉛直方向にて最上部に位置した時に対応する加工用工具42Bの工具トップ形状を決定する(S2:第二工程)。
【0076】
そして、加工制御部101は、図9に示す時刻t1までに、即ち、加工用工具42Bがアプローチ位置U1に配置されているときに、回転主軸40に加工用工具42Bが装着された状態で回転主軸40を回転させて最上位即ち所定回転位置に刃先を位置させる。このように、内歯115aの刃溝と加工用工具42Bの刃先を合わせることにより、加工制御部101は、同期回転時における加工用工具42Bとスリーブ115とを基準回転角Pに一致させることができる。
【0077】
加工位置算出部103は、上記のように決定された基準回転角P及び加工位置算出部103が前記式1に従って算出した左テーパ歯面121の切削開始位置U2を決定する補正角σfに基づいて、図10に示すように、加工用工具42Bとスリーブ115とを同期回転させる(S3:第三工程)。このとき、本例においては、加工制御部101は、加工位置算出部103によって算出された補正量σdだけスリーブ115を回転させて基準回転角Pを補正し、スリーブ115が補正角σfを維持するように加工用工具42Bとスリーブ115とを同期回転させる。そして、加工制御部101は、図9に示す時刻t2において加工用工具42B及びスリーブ115の各々が予め設定された回転数で同期回転するまでに、加工用工具42Bをアプローチ位置U1からスリーブ115の回転軸線Lwの方向にて切削開始位置U2まで移動させる。
【0078】
その後、加工制御部101は、加工用工具42Bを1回若しくは複数回送り操作する。これにより、加工用工具42Bは、図10に示すように、内歯115aを切削加工して左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する(S4:第四工程)。ここで、左テーパ歯面121を形成するに当たり、加工用工具42Bは、送り動作及び送り動作と反対方向の戻し動作を行う必要がある。この場合、加工制御部101は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する左テーパ歯面121の歯すじ長よりも短い位置において送り動作を終了し、加工用工具42Bを戻し動作に移行させる。そして、加工制御部101は、左テーパ歯面121の切削加工が完了すると、交差角φを維持した状態で、加工用工具42Bをアプローチ位置U1に配置する。
【0079】
続いて、加工制御部101は、基準回転角P及び加工位置算出部103が前記式1に従って算出した右チャンファ歯面132の補正角σrに基づいて、図10に示すように、加工用工具42Bとスリーブ115とを同期回転させる(S3:第三工程)。このとき、本例においては、加工制御部101は、加工位置算出部103によって算出された補正量σdだけスリーブ115を回転させて基準回転角Pを補正し、スリーブ115が補正角σrを維持するように加工用工具42Bとスリーブ115とを同期回転させる(第三工程)。そして、加工制御部101は、図9に示す時刻t2において加工用工具42B及びスリーブ115の各々が予め設定された回転数で同期回転するまでに、加工用工具42Bをアプローチ位置U1からスリーブ115の回転軸線Lwの方向にて切削開始位置U2まで移動させる。
【0080】
その後、加工制御部101は、加工用工具42Bを1回若しくは複数回送り操作する。これにより、加工用工具42Bは、図10に示すように、内歯115aを切削加工して右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を形成する(S4:第四工程)。そして、加工制御部101は、右テーパ歯面122の切削加工が完了すると、交差角φを維持した状態で、加工用工具42Cをアプローチ位置U1に配置する。
【0081】
続いて、加工制御部101は、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを仕上げ切削加工する。このため、加工制御部101は、工具交換装置90を作動させ、現在、回転主軸40に装着されている加工用工具42Bと工具マガジンMに収納されている加工用工具42Aとを自動的に交換する。そして、加工制御部101は、基準回転角Pを基準として、加工用工具42Aとスリーブ115とを同期回転させながら、加工用工具42Aをスリーブ115の回転軸線Lwの方向に1回送り操作する。これにより、加工用工具42Aは、図10に示すように、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを仕上げ切削加工する(S5:第五工程)。尚、仕上げ切削加工は、中仕上げ切削加工時の工具送り速度よりも小さい工具送り速度にすることで行われる。又、この切削加工において、必要があれば、内歯115aを削り取る欠歯加工が行われる。
【0082】
そして、加工制御部101は、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cの仕上げ切削加工が完了すると、全ての処理を終了する。ここで、この仕上げ切削加工により、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cに発生したバリと、左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122に発生したバリと、を除去することができる。尚、仕上げ切削加工後においてもバリは発生するが、非常に小さいため、後処理(例えば、ブラッシング)により除去可能である。
【0083】
以上の説明からも理解できるように、歯車加工装置1によれば、複数の加工用工具42A,42B,42Cを用いる場合であっても、切削加工されるスリーブ115の歯位相を都度測定する必要がなく、速やかに基準回転角Pを決定して次加工を行うことができる。従って、位相を測定するための測定機器が不要であり、又、加工に要するサイクルタイムを短縮することが可能となる。
【0084】
特に、スカイビング加工(ギヤ)では、加工用工具42の工具刃42aが、例えば、ホブ加工の場合に比べて高速で回転しながら、且つ、回転方向の順に従ってスリーブ115(工作物)に接触しながら、回転軸線の方向に相対的に送られて加工する。従って、特に、スカイビング加工(ギヤ)では、加工効率が良い。
【0085】
又、歯車加工装置1によれば、スリーブ115(工作物)の内歯115aの歯面115b,115c及び歯溝115gをタッチセンサ等により測定してスリーブ115の歯位相等を把握する必要がない。そして、歯車加工装置1においては、加工用工具42の工具刃42aの状態(奇数刃、偶数刃、刃先42b、刃溝42c)を把握することにより、内歯115aの左右の歯面115b,115c、左右のテーパ歯面121,122、左右のチャンファ歯面131,132を高効率、且つ、高精度に加工することができる。
【0086】
更に、歯車加工装置1によれば、加工工程に応じて、最適な加工用工具42を使用することにより、加工効率が更に良い。そして、歯車加工装置1においては、工具交換することにより、異なる加工や複数の加工を行うことができるため、1台の機械で複数の加工を行うことができる。従って、複数の機械が必要ではなく、低コスト、且つ、高効率で加工を行うことができる。
【0087】
(6.その他)
上述した歯車加工装置1を用いたスカイビング加工においては、加工用工具42の工具端面と回転軸線Lとの交点をスリーブ115の回転軸線Lw上に位置させたり(オフセット量「0」)、交点を加工用工具42の回転軸線Lの方向に所定距離だけオフセットさせたりすることができる。この場合においても、上述した本例と同様に、アプローチ位置U1において基準回転角Pを決定することが可能であると共に補正量σdを算出することが可能である。従って、上述した本例と同様の効果が期待できる。
【0088】
又、上述した本例においては、前記式1で示したように、スリーブ115のモジュールm及び歯数Zを用いて切削開始位置U2即ち補正角σを算出するようにした。これに代えて、前記式1におけるモジュール及び歯数を加工用工具42のモジュール及び歯数を用いて補正角σを算出することの可能である。
【0089】
具体的に、前記式1におけるモジュールを算出する際には、ピッチ円直径として工作物のピッチ円直径を用いることができ、又、ピッチ円直径として加工用工具のピッチ円直径を用いることができる。この場合においても、上述した本例を同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0090】
1…歯車加工装置、10…ベッド、20…コラム、30…サドル、40…回転主軸、41…主軸モータ、42(42A,42B,42C)…加工用工具、42a…工具刃、42b…刃先、42c…刃溝、43…工具ホルダ、50…テーブル、60…チルトテーブル、70…ターンテーブル(工作物回転駆動装置)、71…エンコーダ、80…工作物保持装置、90…工具交換装置、98…検出部、100…制御装置、101…加工制御部、102…基準回転角決定部、103…加工位置算出部、104…記憶部、110…シンクロメッシュ機構、115…スリーブ(工作物)、115a…内歯、115g…歯溝、120…ギヤ抜け防止部、121,122…テーパ歯面、131,132…チャンファ歯面、L…回転軸線、Lw…回転軸線、M…工具マガジン、M1…アプローチ距離、M2…切削加工移動距離、P…基準回転角、U1…アプローチ位置、U2…切削開始位置、U2j…実切削開始位置、σ…補正角(切削開始位置)、σd…補正量
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14