(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】服薬管理システム
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A61J7/04 B
(21)【出願番号】P 2020023524
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩飽 勝美
(72)【発明者】
【氏名】河合 健太郎
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504951(JP,A)
【文献】特開2019-013518(JP,A)
【文献】特開2017-148416(JP,A)
【文献】特開2019-076119(JP,A)
【文献】特開2014-117403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0106627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬を服薬する服薬者に、一回服用分毎の薬を提供する服薬管理装置と、
前記服薬管理装置を通信ネットワークに接続する通信装置とを備え、
前記通信装置は、前記服薬者とは異なる管理者が前記服薬者と通話可能となるように前記通信ネットワークと接続されており、
前記通信装置に接続された通話履歴に関連付けて、前記管理者が作成した服薬指導記録が記録さ
れ、
前記通信装置は、自動着信機能を有している、服薬管理システム。
【請求項2】
前記通話履歴には、通話開始日時および通話時間が含まれている、請求項1に記載の服薬管理システム。
【請求項3】
前記通話履歴には、通話録音および前記服薬者の認証記録がさらに含まれている、請求項2に記載の服薬管理システム。
【請求項4】
薬を服薬する服薬者に、一回服用分毎の薬を提供する服薬管理装置と、
前記服薬管理装置を通信ネットワークに接続する通信装置とを備え、
前記通信装置は、前記服薬者とは異なる管理者が前記服薬者と通話可能となるように前記通信ネットワークと接続されており、
前記通信装置に接続された通話履歴に関連付けて、前記管理者が作成した服薬指導記録が記録され、
前記通話履歴には、通話開始日時および通話時間が含まれており、
前記通話履歴には、通話録音および前記服薬者の認証記録がさらに含まれている、服薬管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、服薬管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
登録実用新案第3171265公報(特許文献1)には、服薬設定時刻になると、服薬を促すための音声報知および服薬対象となる薬箱に対応して設けられた表示灯が点滅し、患者に薬を服用するという動機付けを行い、薬の飲み忘れを防止するようにした、服薬管理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載の装置では、服薬者は、薬箱を容器本体から取り外すことで薬箱に収納されている薬を自在に取り出すことが可能である。このような装置を用いて適切に服薬するためには、簡易に確実に在宅服薬指導が行なわれることが望ましい。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、簡易に確実な在宅服薬指導が行なえるとともに、当該服薬指導にしたがって適切に服薬することが可能となる、服薬管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく服薬管理システムは、服薬管理装置と、通信装置とを備える。服薬管理装置は、薬を服薬する服薬者に、一回服用分毎の薬を提供する。通信装置は、服薬管理装置を通信ネットワークに接続する。通信装置は、上記服薬者とは異なる管理者が上記服薬者と通話可能となるように通信ネットワークと接続されている。通信装置に接続された通話履歴に関連付けて、上記管理者が作成した服薬指導記録が記録される。
【0007】
本発明の一形態においては、通話履歴には、通話開始日時および通話時間が含まれている。
【0008】
本発明の一形態においては、通話履歴には、通話録音および服薬者の認証記録がさらに含まれている。
【0009】
本発明の一形態においては、通信装置は、自動着信機能を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易に確実な在宅服薬指導が行なえるとともに、当該服薬指導にしたがって適切に服薬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る服薬管理システムに備えられる服薬管理装置の正面図である。
【
図2】
図1に示される複数の薬収容部のうちの1つを拡大して示す正面図である。
【
図3】薬収容部の筐体の内部構成を側方から見た図である。
【
図4】薬収容部の筐体の内部構成を上方から見た図である。
【
図5】薬収容部に収容されるカプセルの斜視図である。
【
図6】カプセルの一部が筐体の外部へ移動した状態を示す図である。
【
図7】服薬管理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る服薬管理システムにおける服薬管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】服薬管理処理の結果を外部の独立端末と共有する流れを説明するための模式図である。
【
図10】服薬時刻を表示する表示部の一例を示す模式図である。
【
図11】複数の服薬時刻から特定の服薬時刻を選択する処理を説明するための模式図である。
【
図12】選択された服薬時刻に撮影された動画を表示する表示部の一例を示す模式図である。
【
図13】選択画面を表示する表示部の一例を示す模式図である。
【
図14】動画を表示する表示部の他の例を示す模式図である。
【
図15】修正された服薬時刻を表示する表示部の一例を示す模式図である。
【
図16】本実施形態に係る服薬管理システムにおける在宅服薬指導時の処理フローを示すフローチャートである。
【
図17】通話履歴および服薬指導記録を表示する表示部の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る服薬管理システムについて図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る服薬管理システムに備えられる服薬管理装置の正面図である。
図1に示されるように、前方から見た服薬管理装置1は縦長の矩形形状を有している。服薬管理装置1は、複数の薬収容部10を備えている。本実施形態に係る服薬管理装置1は、横に4個、縦に8個の薬収容部10が並べられた、合計32個の薬収容部10を備えている。
【0014】
薬収容部10の個数を32個と8の倍数にすることで、たとえば、これら32個の薬収容部10に、7日+予備1日分の朝、昼、晩および就寝前に服用する薬を格納することができる。または、30個の薬収容部10に、14日+予備1日分の朝、晩に服用する薬を格納し、2個の薬収容部10を空きとする使用方法も可能である。薬収容部10の個数は、
図1に示される32個に限られるものではなく、任意に変更されてもよい。複数の薬収容部10に何日分の薬を格納する、という使用方法も任意に変更されてもよい。
【0015】
服薬管理装置1の前面の、各薬収容部10の上方には、撮像装置4が設けられている。撮像装置4は、服薬管理装置1の前方を撮影可能である。撮像装置4は、薬収容部10の前方を撮影可能である。撮像装置4は、服薬管理装置1の複数の薬収容部10のうちの1つの薬収容部10から取り出した薬を服薬者が服用する様子を、撮影可能である。なお、撮像装置4が複数設けられていてもよい。この場合、たとえば、服薬管理装置1の前方を撮影する撮像装置4とは別に、服薬者のいる部屋を俯瞰可能な撮像装置4が設けられる。
【0016】
服薬管理装置1の前面の、各薬収容部10の下方には、操作用パネル6が設けられている。操作用パネル6の操作には、パスワードの入力が求められる。操作用パネル6は、服薬者と異なる管理者、たとえば薬剤師によって操作される。薬剤師が操作用パネル6にパスワードを入力することで、複数の薬収容部10の各々の扉が自動で開閉される。薬剤師は、薬局で予め薬を格納した薬剤ケースを準備し、その薬剤ケースを服薬管理装置1の設置場所、たとえば服薬者の自宅に持参し、開いた扉から薬収容部10内に該当の薬剤ケースを収容できる。これにより、薬収容部10内に薬を収容する作業時間が短縮されている。
【0017】
図2は、
図1に示される複数の薬収容部のうちの1つを拡大して示す正面図である。
図2に示されるように、薬収容部10は、筐体11を有している。筐体11は横長の直方体状の外形を有している。筐体11の前面12には、開口14が形成されている。開口14は、筐体11の内部と外部とを連通している。開口14の略上半分は、扉20によって覆われている。筐体11の前面12の、開口14の上縁部分に、蝶番22,24が取り付けられている。蝶番22,24は、筐体11の前面と扉20とを連結している。扉20は、開口14の上縁にヒンジ結合されている。扉20は、開口14の上縁近傍を回転中心として、筐体11に対して相対回転可能である。
【0018】
筐体11の内部に、トレイ40が収容されている。トレイ40には、カプセル50が搭載されている。カプセル50は、筐体11の内部に収容されている。トレイ40およびカプセル50は、前後方向(
図2においては紙面垂直方向)に往復移動する。トレイ40の下方にガイド44が配置されており、トレイ40はこのガイド44によって導かれて前後方向に往復移動する。トレイ40は、壁部46を有している。壁部46は、トレイ40に搭載されたカプセル50の位置ずれを抑制している。
【0019】
図3は、薬収容部の筐体の内部構成を側方から見た図である。
図4は、薬収容部の筐体の内部構成を上方から見た図である。
図3に示されるように、トレイ40は、搭載面41を有している。トレイ40は、その前端に、搭載面41から上方に突出する凸部42を有している。カプセル50は、搭載面41上に搭載されている。搭載面41に接触するカプセル50の下端よりも、凸部42は上方にある。したがって
図2に示される前方視において、カプセル50の下端およびその近傍は、前方から凸部42に覆われている。
【0020】
扉20は、重力の作用によって、開口14の上縁の下方に位置し、開口14の一部を閉じている。扉20は、筐体11の前面と略同一平面上に位置している。扉20を閉じる方向に付勢する、バネなどの付勢部材が扉20に設けられてもよい。扉20は、蝶番22,24のみを介して筐体11に取り付けられており、扉20を閉位置にロックする機構は設けられていない。
【0021】
凸部42の上端と開口14の上縁との高さ方向(
図2,3中においては図中の上下方向)の距離が、カプセル50の高さ方向寸法よりも、小さくなっている。
図2に示される薬収容部10の前方視において、指またはスクリュードライバーなどの器具を用いて扉20を開けたときに形成される開口の高さ方向寸法よりも、カプセル50の前面の高さ方向寸法が大きくなっている。カプセル50が筐体11の内部に位置するときには、服薬者が開口14をこじ開けてカプセル50を取り出すことができない構成とされている。これにより、服薬設定時刻以外の時刻に服薬者がカプセル50を取り出して服薬することができなくされている。
【0022】
カプセル50の下方のトレイ40が凸部42を有しており、扉20は開口14の上縁から吊り下げられる構成である。上方から開口14を覆う扉20が設けられていることで、トレイ40の凸部42と合わせて、筐体11の内部からカプセル50を取り出すことがより困難とされている。
【0023】
図2に示される凸部42は、カプセル50の幅方向(
図2においては図中の左右方向)の全体に亘って延在している。この構成に限られず、筐体11内からのカプセル50の取り出しを妨げることのできる形状であれば、他の形状の凸部42を形成してもよい。たとえば、カプセル50の幅方向に分割された複数の凸部42が設けられてもよく、カプセル50の幅よりも短くカプセル50の一部のみと重なる凸部42が設けられてもよい。
【0024】
筐体11の内部に、モータ60が収容されている。モータ60は、トレイ40を前後方向に往復移動させる駆動力を発生する駆動源である。モータ60には、減速機62が連結されている。減速機62は、モータ60の回転が伝達され、伝達された回転を減速して出力する。減速機62には、出力軸64が連結されている。出力軸64には、歯車66が連結されている。モータ60の発生した駆動力は、減速機62および出力軸64を介して、歯車66に伝達される。
【0025】
歯車66は、ラック68と噛み合っている。ラック68は前後方向に延在している。ラック68の前端が、固定部70によってトレイ40に固定されている。モータ60の発生する駆動力が歯車66に伝達されて歯車66が回転し、歯車66の回転がラック68に伝達されることにより、ラック68は前後方向に往復移動する。これによりトレイ40は、ラック68と一体として前後方向に往復移動する。
【0026】
トレイ40に搭載されたカプセル50は、トレイ40の移動に伴って、前後方向に移動する。筐体11は、移動するカプセル50の通路となる通路部30を有している。通路部30は、天井面32を有している。天井面32は、平坦な形状を有している。
【0027】
筐体11の底面には、出戻検知センサ86,88が取り付けられている。出戻検知センサ86,88は、ラック68の位置を検出する。ラック68と一体的にトレイ40が移動することにより、出戻検知センサ86,88の検出結果から、トレイ40が筐体11に対してどの位置にあるかを検知可能である。
【0028】
トレイ40と、トレイ40に搭載されたカプセル50とを前後方向に往復移動させるための構成は、上述した歯車66とラック68とを備えるものに限られない。たとえば、モータ60の回転軸の延びる方向を上下方向とし、歯車66およびラック68に替えて、モータ60の回転軸から偏心した位置とトレイ40とを連結するリンクを設ける構成としてもよい。歯車66とラック68とを備える構成の場合、モータ60を正逆両方向に回転させる必要があるが、上述したリンクを備える構成とすれば、モータ60の回転方向を一方向のみにすることができるので、コスト低減および制御の簡略化において有利である。
【0029】
筐体11の側面内側に、カプセル検知センサ80が取り付けられている。本実施形態に係るカプセル検知センサ80は、光電センサであり、光を発する投光部82と、光を受ける受光部84とを有している。カプセル検知センサ80は、トレイ40にカプセル50が搭載されているか否かを検出する。投光部82の発した光がカプセル50によって遮られて受光部84に届かず、受光部84が受光できないとき、トレイ40にカプセル50が搭載されていると判断される。投光部82の発した光を受光部84が受光するとき、光がカプセル50によって遮られておらず、カプセル50がトレイ40に搭載されていないと判断される。
【0030】
カプセル検知センサ80は、光電センサに限られず、たとえば重量センサなど他の任意の種類のセンサであってもよい。
【0031】
図5は、薬収容部に収容されるカプセルの斜視図である。
図5に示されるように、カプセル50は、ケース本体52と、蓋54とを有している。ケース本体52には、薬を格納する中空の格納空間53が形成されている。格納空間53には、一回服用分の薬が格納される。すなわち、カプセル50は、一回服用分の薬が格納される薬剤ケースである。
【0032】
図5に示される蓋54は、開いた状態である。閉じた状態の蓋54は、格納空間53を覆う。蓋54は、ケース本体52に非固定状態で取り付けられている。蓋54を閉じた状態でケース本体52にロックする機構は設けられていない。
図5に示される蓋54はケース本体52にヒンジ結合されて扉のように開閉する構成であるが、これに限られず、下向きに折れた縁を有する蓋54をケース本体52に上から被せて格納空間53を塞ぐ構成としてもよい。
【0033】
カプセル50に蓋54のロック機構がないことで、服薬者は、蓋54を指で持ち上げるだけの簡単な作業で格納空間53を開放でき、格納空間53に格納された薬を容易に取り出すことができる。
図3に示される通路部30の天井面32が平坦な形状であることにより、カプセル50に蓋54のロック機構がなくても、蓋54が薬収容部10の内部で開いて引っ掛かることが回避されており、したがってカプセル50をスムーズに移動可能である。
【0034】
図6は、カプセルの一部が筐体の外部へ移動した状態を示す図である。
図3,4を参照して説明したように、モータ60の発生する駆動力を受けて
図6に示されるラック68およびトレイ40は前方に移動しており、トレイ40の一部が筐体11の外部に移動している。トレイ40に搭載されたカプセル50は、トレイ40とともに筐体11の内部から外部へ向かって移動し、その一部が筐体11の開口14から前方に突出している。移動するカプセル50が扉20の内面に当たって扉20を押し開けている。扉20は、蝶番22,24のヒンジ軸を中心として自在に回転可能であり、カプセル50に押されて容易に開放される。そのため、扉20がカプセル50の移動の妨げとなることはない。
【0035】
図6に示すカプセル50を、幅方向の両側をつまんで引き上げることにより、カプセル50をトレイ40から取り出すことができる。このときトレイ40に形成された凸部42は、カプセル50とともに筐体11の外部に移動しているため、凸部42がカプセル50の取り出しの妨げとなることはない。
【0036】
上記の説明では、扉20を閉位置にロックする機構は設けられていない例について説明した。トレイ40が筐体11内に位置するときにトレイ40からのカプセル50の取り出しを不可能にするための構成として、トレイ40の凸部42に加えて、または凸部42に代替して、扉20を閉位置にロックする機構を設けてもよい。
【0037】
たとえば、扉20とは別に、扉20をロックするロック位置と扉20のロックを解除するロック解除位置との間を移動するロック部材を設けて、トレイ40が筐体11内に位置するときにはロック部材がロック位置にあるような構成としてもよい。またたとえば、扉20自体を開閉駆動するアクチュエータを設けて、トレイ40が筐体11内に位置するときにはアクチュエータが扉20を閉位置に保持する構成としてもよい。
【0038】
図7は、服薬管理装置の電気的構成を示すブロック図である。
図7に示されるように、服薬管理装置1は、服薬管理装置1の動作を制御するコントローラ100を備えている。
【0039】
コントローラ100は、時間を計測するためのタイマ101を有している。コントローラ100はまた、メモリ102を有している。メモリ102は、服薬管理装置1の各種の動作を制御するためのプログラムを記憶する。コントローラ100は、メモリ102に記憶されているプログラムに基づいて、服薬管理装置1の動作を制御するための各種処理を実行する。メモリ102は、不揮発性のメモリであり、必要なデータを記憶する領域として設けられている。
【0040】
コントローラ100は、カプセル検知センサ80から、トレイ40にカプセル50が搭載されているか否かを検出した信号を受ける。コントローラ100は、出戻検知センサ86,88から、トレイ40が筐体11に対してどの位置にあるかを検出した信号を受ける。
【0041】
コントローラ100は、撮像装置4に、撮影の開始または停止を指令する制御信号を出力する。コントローラ100は、モータ60に、トレイ40を前後方向に移動させる制御信号を出力する。より具体的には、コントローラ100は、モータ60に、起動または停止を指令し、起動時の回転数および回転方向を指令する制御信号を出力する。
【0042】
報知部110は、薬を服用すべき時刻として設定されている服薬設定時刻になったときに、服薬者に薬の服用を促す。報知部110は、スピーカ、ブザーなどの音声で服薬者に服薬を報知する聴覚化器具を有してもよく、ディスプレイ、ランプなどの視覚的に服薬者に服薬を報知する視覚化器具を有してもよい。コントローラ100は、報知部110に、報知の開始および停止を指令する制御信号を出力する。報知に用いられる音声、画像などは、予めメモリ102に記憶されている。
【0043】
図7に示される入出力インターフェース104は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)ポートなどであり、外部装置と接続するためのインターフェースである。通信装置106は、たとえば有線LAN(Local Area Network)モジュール、または無線LANモジュールなどを含み、通信ネットワークを介した通信を行なう。通信装置106は、服薬管理装置1を通信ネットワークに接続する。通信装置106は、通話機能、撮像機能、画像表示機能および自動着信機能も有している。具体的には、通信装置106は、たとえば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、または、ノート型パーソナルコンピュータなどの端末をさらに含む。
【0044】
以上の構成を備えている服薬管理装置1を用いた服薬管理処理について、以下説明する。
図8は、本実施形態に係る服薬管理システムにおける服薬管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0045】
図8に示されるように、まずステップS1において、薬収容部10を選択する。コントローラ100は、
図1に示される32個の薬収容部10から、特定の1つの薬収容部10を選択する。
【0046】
次にステップS2において、服薬設定時刻か否かを判断する。各薬収容部10に格納されている薬について、服薬設定時刻が定められており、該当の薬をどの日のどの時刻に服用するかが設定されている。たとえば、薬局で設定された服薬設定時刻が保存されているUSBメモリを、入出力インターフェース104に差し込むことで、コントローラ100はUSBメモリから服薬設定時刻を読み出してメモリ102に記憶する。服薬設定時刻は、通信装置106を介して、無線LANまたはインターネット経由でコントローラ100に伝送されてもよい。
【0047】
コントローラ100は、タイマ101で現在の時刻を確認する。コントローラ100は、ステップS1で選択した特定の薬収容部10に格納されている薬について、設定された服薬設定時刻が到来したか否かを判断する。
【0048】
服薬設定時刻であると判断されると(ステップS2においてYES)、ステップS3に進み、録画が開始される。コントローラ100は、撮像装置4の動作を制御する。コントローラ100は、撮像装置4に対し、撮影の開始を指令する制御信号を出力する。制御信号を受けた撮像装置4は、撮影を開始する。実施形態の撮像装置4は、動画を録画する。
【0049】
次にステップS4において、カプセル50を薬収容部10から吐き出す。コントローラ100は、モータ60の動作を制御する。コントローラ100は、モータ60に対し、トレイ40を前方に移動させるように駆動する制御信号を出力する。制御信号を受けたモータ60は、トレイ40を前方に移動させる。トレイ40に搭載されたカプセル50は、筐体11の開口14を通過して、筐体11の外部へ向かって移動する。これにより、
図6に示される、カプセル50の一部が開口14から前方に突出した配置が実現される。
【0050】
次にステップS5において、報知が行なわれる。コントローラ100は、報知部110の動作を制御する。コントローラ100は、報知部110に対し、報知を開始させる制御信号を出力する。制御信号を受けた報知部110は、画像および音声で、服薬者に服薬設定時刻になったことを報知する。音声は、カプセル50が取り出されるまで連続的に出力されてもよく、または、所定のインターバル時間を設けて断続的に出力されてもよい。
【0051】
次にステップS6において、カプセル50がトレイ40から取り出されたか否かの判断が行なわれる。コントローラ100は、カプセル検知センサ80から、カプセル50がトレイ40に搭載されているか否かの検出結果の入力を受ける。ステップS4のカプセル吐き出し処理の時点では、カプセル検知センサ80は、カプセル50がトレイ40に搭載されていると検出する。ステップS6の判断において、カプセル50がトレイ40に搭載されていないことが検出されると、カプセル50がトレイ40から取り出されたと判断される。
【0052】
カプセル50がトレイ40から取り出されたと判断されると(ステップS6においてYES)、ステップS7に進み、服薬時刻が記録される。コントローラ100は、カプセル50がトレイ40から取り外された、すなわちカプセル検知センサ80がトレイ40にカプセル50が搭載されていないことを初めて検出したときの時刻を、タイマ101から読み取る。コントローラ100は、当該時刻を、服薬時刻として、メモリ102に記録する。
【0053】
次にステップS8において、トレイ40が収容される。カプセル50がトレイ40から取り出されてから一定の待機時間、たとえば3秒後に、コントローラ100は、モータ60に対し、トレイ40を後方に移動させるように駆動する制御信号を出力する。制御信号を受けたモータ60は、ステップS4のカプセル吐き出し処理のときとは逆方向に回転して、トレイ40を後方に移動させ、トレイ40を筐体11内に収容する。
【0054】
次にステップS9において、第1設定時間が経過したか否かの判断が行なわれる。この設定時間は、予めメモリ102に記憶されている。第1設定時間は、たとえば、ステップS3において録画を開始してから10分間と設定されている。第1設定時間が経過していないと判断されると(ステップS9においてNO)、ステップS9の判断が繰り返される。
【0055】
第1設定時間が経過したと判断されると(ステップS9においてYES)、ステップS12に進み、録画を終了する。コントローラ100は、撮像装置4に対し、撮影の停止を指令する制御信号を出力する。制御信号を受けた撮像装置4は、動画の録画を停止する。
【0056】
服薬設定時刻に動画の録画を開始し(ステップS3)、カプセル50が取り出されてから第1設定時間経過後に動画の録画を停止する(ステップS12)ことにより、カプセル50を取り出した服薬者がその第1設定時間内にカプセル50に格納された薬を服用したのかどうかを、確実に撮影することができる。
【0057】
ステップS6の判断において、カプセル50がトレイ40から取り出されていないと判断されると(ステップS6においてNO)、ステップS10に進み、第2設定時間が経過したか否かの判断が行なわれる。第2設定時間は、予めメモリ102に記憶されている。第2設定時間は、たとえば、服薬設定時刻から15分間と設定されている。第2設定時間が未だ経過していないと判断されると(ステップS10においてNO)、ステップS5に戻り、ステップS5における報知と、ステップS6におけるカプセル50が取り出されたか否かの判断とが繰り返される。
【0058】
第2設定時間が経過したと判断されると(ステップS10においてYES)、ステップS11に進み、カプセル50が再収容される。コントローラ100は、モータ60に対し、トレイ40を後方に移動させるように駆動する制御信号を出力する。制御信号を受けたモータ60は、ステップS4のカプセル吐き出し処理のときとは逆方向に回転して、トレイ40を後方に移動させる。トレイ40に搭載されたカプセル50は、筐体11の開口14を通過して、筐体11の内部へ向かって移動する。これによりカプセル50は筐体11内に再収容され、
図3に示されるカプセル50が筐体11の内部にある配置とされる。
【0059】
このときコントローラ100は、服薬設定時刻にカプセル50が取り出されず、したがって服薬者が薬を服用しなかったことを、メモリ102に記録する。薬収容部10に再収容されたカプセル50は、その後取り出すことができなくなる。したがって、服薬管理装置1に薬が残っている状況を確認することにより、どの服薬設定時刻に薬が飲まれなかったのかを確認することができる。
【0060】
カプセル50が再収容された後、ステップS12に進み、撮像装置4による動画の録画を終了する。そして、服薬管理処理を終了する(エンド)。
【0061】
ステップS2の服薬設定時刻の判断において、服薬設定時刻でないと判断されると(ステップS2においてNO)、そのまま処理を終了する(エンド)。
【0062】
図9は、服薬管理処理の結果を外部の独立端末と共有する流れを説明するための模式図である。
図9に示されるように、通信装置106は、たとえばインターネット経由で、クラウドデータベース200との間で通信が可能とされている。コントローラ100(メモリ102)に記憶されている服薬管理処理の結果は、クラウドデータベース200に送信され、クラウドデータベース200にも記憶されている。
【0063】
クラウドデータベース200はまた、たとえばインターネット経由で、外部の独立端末300,400,500との間で通信が可能とされている。独立端末300,400,500は、服薬者とは異なる者が使用可能な端末である。独立端末300,400,500は、たとえば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータなどである。たとえば、独立端末300が薬局内に設置され、独立端末400が病院内に設置され、独立端末500は服薬者から離れた場所にいる服薬者の家族が所有するものであってもよい。薬剤師、医師、および服薬者の家族は、服薬管理処理の結果をクラウドデータベース200から独立端末300,400,500に読み出して、服薬者が服薬設定時刻に適切な薬を服用しているかを確認することができる。独立端末300,400,500は、通信ネットワークを介して通信装置106と接続されている。通信装置106は、服薬者とは異なる管理者である薬剤師が服薬者と通話可能となるように通信ネットワークと接続されている。
【0064】
図10は、服薬時刻を表示する表示部の一例を示す模式図である。
図10および以下の図の説明では、独立端末300を一例として説明するが、他の独立端末400,500においても独立端末300と同様の表示および操作が可能であることは勿論である。
【0065】
図10に示されるように、独立端末300は、情報を表示する表示部301を有している。表示部301は、たとえばタッチパネルであり、この場合、独立端末300を用いて服薬管理処理の結果を確認する確認者が表示部301の一部に触れることにより生成される信号が、クラウドデータベース200に送信され、さらにコントローラ100に送信される。
【0066】
図10に示される表示部301には、服薬時刻記録310の一例が示されている。服薬時刻記録310は、1以上の服薬時刻の記録を含んでいる。服薬管理装置1は、朝、昼、夕、および就寝前に服用すべき薬を、薬収容部10内に収容している。服薬管理装置1は、薬を服薬する服薬者に、一回服用分毎の薬を提供する。
図10に示される服薬時刻記録310は、月曜日の服薬時刻(すなわち、カプセル50がトレイ40から取り出された時刻)が、朝服用の薬について9時3分、昼服用の薬について12時5分、夕方服用の薬について18時10分、就寝前服用の薬について22時1分であることを示している。
【0067】
表示部301は、服薬時刻記録310などの服薬に関する情報に加えて、他の情報を表示してもよい。たとえば、服薬者がいる室内の温度、家電(たとえばエアコンディショナー)の稼働状況などを、表示部301に表示してもよい。
【0068】
図11は、複数の服薬時刻から特定の服薬時刻を選択する処理を説明するための模式図である。
図11には、
図10にも示される服薬時刻記録310に含まれる1以上の服薬時刻の記録から、特定の服薬時刻を選択する処理が模式的に図示されている。
図11にはポインタ320が図示されており、ポインタ320の先端は月曜日の昼の服薬時刻を指している。これにより、月曜日の昼服用の薬の服薬時刻が選択されている。表示部301がタッチパネルである場合、服薬時刻を選択するためにポインタ320は実際には表示部301に表示されることなく、確認者が服薬時刻を指でタップする操作によって服薬時刻の選択がなされる。
【0069】
図11に示される、服薬時刻を直接クリックまたはタップして選択する構成に替えて、服薬時刻に対応するラジオボタンが表示部301に表示され、そのラジオボタンを選択することで服薬時刻を選択する構成としてもよい。
【0070】
図12は、選択された服薬時刻に撮影された動画を表示する表示部の一例を示す模式図である。
図11に示される、表示部301上で特定の服薬時刻を選択する処理が行なわれると、表示部301には、選択された服薬時刻に撮像装置4により撮影された画像が表示される。
【0071】
図12に示されるように、テーブル332上にカプセル50が置かれ、カプセル50が開かれており、服薬者330はカプセル50から取り出した薬334を手に取って、薬334を服用しようとしている動画が表示される。服薬者とは異なる、表示部301を確認する確認者は、
図12に示される動画を見ることによって、選択された服薬時刻に服薬者が間違いなく薬334を服用していたことを確認することができる。
【0072】
図13は、選択画面を表示する表示部の一例を示す模式図である。
図12に示される動画が終了した後、表示部301には、選択画面340が表示される。選択画面340は、服薬者330が実際に服薬したか否かを確認者が選択するための画面である。
【0073】
図13に示される選択画面340は、「お薬を飲みましたか?」というメッセージを表示している。このメッセージを見た確認者は、動画を見た結果、服薬者330が服薬時刻に服薬していたことを確認できたのであれば、上記メッセージに対して「はい」と回答する選択部341をクリック、タップなどして選択する。一方、確認者が、服薬者330が服薬時刻に実際には服薬していなかったことを確認した場合には、上記メッセージに対して「いいえ」と回答する選択部342を選択する。
【0074】
図14は、動画を表示する表示部の他の例を示す模式図である。
図14には、服薬者330がカプセル50をトレイ40から取り出しており、したがって服薬時刻が記録されているが、取り出されたカプセル50は閉じられたままテーブル332上に放置されており、服薬者330は服薬しようとしていない動画が表示される。服薬者とは異なる、表示部301を確認する確認者は、
図14に示される動画を見ることによって、選択された服薬時刻に服薬者は実際には薬334を服用していなかったことを確認することができる。この場合確認者は、動画終了後に表示される選択画面340で、服薬していないと回答する選択部342を選択する。
【0075】
図15は、修正された服薬時刻を表示する表示部の一例を示す模式図である。確認者が、服薬者が実際には服薬していなかったことを選択すると、服薬時刻の修正が行なわれる。具体的には、
図15に示されるように、月曜日の昼の服薬時刻に実際には服薬していなかった場合、月曜日の昼の服薬時刻が削除される。服薬時刻記録310のうち、削除された服薬時刻を表示していたセルの色が変えられ、記録修正部311として表示される。この記録修正部311をクラウドデータベース200に送信することで、服薬者が服薬設定時刻に適切な薬を服用したか否かを、より正確に記録することができる。
【0076】
選択された服薬時刻に撮像された動画を表示部301に表示した後、選択画面340が表示され、確認者が選択部341,342のいずれかを選択することで、服薬時刻に服薬者が実際には服薬していなかった場合の記録の修正を、容易にかつより確実に行なうことができる。
【0077】
服薬設定時刻にカプセル50が取り出されなかった場合には、服薬時刻が記録されることがないため、服薬時刻記録310に服薬時刻が表示されることがない。この場合、セルの色替えはされず、単に該当のセルが空白のままとされる。これに対し、服薬設定時刻にカプセル50が取り出され、服薬時刻の記録が行なわれたが、実際には服薬していなかった場合には、セルの色替えが行なわれる。
【0078】
このようにすれば、独立端末300で動画を確認した確認者以外の者が、別の独立端末400,500で服薬時刻記録310を確認したときに、カプセル50が取り出されることすら行なわれなかったのか、カプセル50が取り出されたものの実際には服薬されなかったのかを、明確に区別して把握することができる。
【0079】
服薬者とは異なる、服薬時刻記録310を確認する確認者は、修正後の服薬時刻記録310を参照して、服薬者の薬の飲み忘れがより少なくなるように処方を改善することができる。たとえば、昼の服薬時刻に飲み忘れが多いことを認識した薬剤師が、朝晩の服薬に変更するように医師に提案することが可能である。
【0080】
管理者である薬剤師は、服薬者が適切に服薬できるようにするために、在宅服薬指導を行なう。
図16は、本実施形態に係る服薬管理システムにおける在宅服薬指導時の処理フローを示すフローチャートである。
【0081】
薬剤師の独立端末300が通信ネットワークを介して通信装置106に接続されることにより、
図16に示されるように、通話開始となる(S41)。本実施形態においては、通信装置106は、自動着信機能を有しているため、服薬者が通信装置106の着信時から一定時間経過するまでに応答しなければ、自動で応答して通話が開始される。独立端末300と通信装置106との接続開始時が、通話開始時刻となる。独立端末300と通信装置106との接続解除時が、通話終了時刻となる。
【0082】
通話が開始されると、通話記録が開始される(S42)。通話記録の対象には、通話開始日時および通話時間が含まれている。通話時間は、通話開始時刻から通話終了時刻までの時間である。通話開始日時および通話時間によって、独立端末300と通信装置106とが接続されていた日時を確認することができる。
【0083】
本実施形態においては、通話記録の対象に、通話録音および服薬者の認証記録がさらに含まれている。通話録音は、通話を録音した音声データである。服薬者の認証記録は、声認証または顔認証などによって本人であることを確認した認証記録である。声認証または顔認証は、公知のアプリケーションを用いて行なうことが可能である。通話録音および服薬者の認証記録によって、服薬者本人に在宅服薬指導が行なわれたことが確認できる。
【0084】
薬剤師による在宅服薬指導が終了すると、独立端末300と通信装置106との接続が解除されて通話終了となる(S43)。通話終了後、通話履歴が記録される(S44)。通話履歴には、上記通話記録が通話開始日時の昇順または降順に並んで記録されている。
【0085】
薬剤師は、服薬者に行なった在宅服薬指導を文字データにした服薬指導記録を作成する。服薬指導記録は、通話履歴に関連付けて記録される。通話履歴および服薬指導記録は、メモリ102、クラウドデータベース200および独立端末300の少なくとも1つに記録される。通話履歴および服薬指導記録がクラウドデータベース200に記録された場合には、薬剤師、医師、および服薬者の家族は、在宅服薬指導の実施記録をクラウドデータベース200から独立端末300,400,500に読み出して、服薬者が受けた在宅服薬指導の内容および実施日時を確認することができる。
【0086】
図17は、通話履歴および服薬指導記録を表示する表示部の一例を示す模式図である。
図17に示されるように、本実施形態に係る服薬管理システムにおいては、通信装置106に接続された通話履歴に関連付けて、管理者である薬剤師が作成した服薬指導記録が記録される。
【0087】
たとえば表示部301に、
図17に示されるように、通話履歴および服薬指導記録が一覧表410として表示される。具体的には、1回の通話毎に、通話開始日時を表示する第1領域411、通話時間を表示する第2領域412、服薬者の認証記録を開くためのアイコン416が表示される第3領域413、通話録音を聞くためのアイコン417が表示される第4領域414、および、服薬指導記録を開くためのアイコン418が表示される第5領域415が、一覧表410に表示される。
【0088】
アイコン416は、服薬者の認証記録が記録された場合のみ表示される。アイコン417は、通話録音が記録された場合のみ表示される。アイコン418は、服薬指導記録が記録された場合のみ表示される。
【0089】
図17に示される例の通話履歴のNo.1においては、通話開始日時が2019/3/15の10:05、通話時間が3:55、服薬者の認証記録が記録済、通話録音が記録済、および、通話指導記録が記録済、であることが表示されている。このように、通話履歴および服薬指導記録が一覧表410として表示されることにより、簡易に在宅服薬指導の実施態様を把握することができる。
【0090】
本発明の一実施形態に係る服薬管理システムは、服薬管理装置1と、通信装置106とを備える。服薬管理装置1は、薬を服薬する服薬者330に、一回服用分毎の薬334を提供する。通信装置106は、服薬管理装置1を通信ネットワークに接続する。通信装置106は、服薬者330とは異なる管理者が服薬者330と通話可能となるように通信ネットワークと接続されている。通信装置106に接続された通話履歴に関連付けて、管理者が作成した服薬指導記録が記録される。これにより、管理者によって服薬者330に対して簡易に確実な在宅服薬指導が行なえるとともに、服薬者330は服薬指導にしたがって適切に服薬することが可能となる。また、在宅服薬指導の記録を行政庁などに提出する際に、記録されている服薬指導記録を用いて簡易に手続きすることが可能となる。
【0091】
本実施形態においては、通話履歴には、通話開始日時および通話時間が含まれている。これにより、管理者によって服薬者330に対して行なわれた在宅服薬指導の日時を確認することが可能となる。
【0092】
本実施形態においては、通話履歴には、通話録音および服薬者330の認証記録がさらに含まれている。これにより、在宅服薬指導が服薬者330本人に確実に行なわれたことを確認することが可能となる。ただし、通話履歴に、必ずしも通話録音および服薬者330の認証記録が含まれていなくてもよい。
【0093】
本実施形態においては、通信装置106は、自動着信機能を有している。これにより、管理者は、通信装置106の操作が困難な服薬者330に対しても簡易に在宅服薬指導を行なうことが可能となる。ただし、通信装置106は、必ずしも自動着信機能を有していなくてもよい。
【0094】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1 服薬管理装置、4 撮像装置、6 操作用パネル、10 薬収容部、11 筐体、12 前面、14 開口、20 扉、22,24 蝶番、30 通路部、32 天井面、40 トレイ、41 搭載面、42 凸部、44 ガイド、46 壁部、50 カプセル、52 ケース本体、53 格納空間、54 蓋、60 モータ、62 減速機、64 出力軸、66 歯車、68 ラック、70 固定部、80 カプセル検知センサ、82 投光部、84 受光部、86,88 出戻検知センサ、100 コントローラ、101 タイマ、102 メモリ、104 入出力インターフェース、106 通信装置、110 報知部、200 クラウドデータベース、300,400,500 独立端末、301 表示部、310 服薬時刻記録、311 記録修正部、320 ポインタ、330 服薬者、332 テーブル、334 薬、340 選択画面、341,342 選択部、410 一覧表、411 第1領域、412 第2領域、413 第3領域、414 第4領域、415 第5領域、416,417,418 アイコン。