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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】エイペックスの貼付装置及び貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/48 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B29D30/48
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020023530
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021126843
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏樹
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118493(JP,A)
【文献】特開平6-297603(JP,A)
【文献】国際公開第2008/010293(WO,A1)
【文献】特開2018-24108(JP,A)
【文献】特開昭64-90736(JP,A)
【文献】特開2004-202960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのビードを構成する円環状のコアの外周面に、帯状のエイペックスを貼り付ける貼付装置であって、
前記コアを支持した状態で当該コアを周方向に回転させる回転機構と、
前記コアの周方向における所定の貼付位置に向けてエイペックスを供給する供給機構と、
前記貼付位置において前記コアに前記エイペックスを貼り付ける貼付部材と、
前記貼付部材を前記エイペックスの供給方向に沿って移動させる移動機構と、
前記回転機構及び前記移動機構の動作を制御する制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、前記移動機構により前記貼付部材と前記エイペックスの始端部とを前記貼付位置に向けて移動させ、前記貼付位置よりも手前の所定位置に前記貼付部材及び前記エイペックスの始端部が位置づけられたときに、前記回転機構により前記コアを回転させ、この回転に同調させて前記移動機構により前記貼付部材を前記貼付位置に移動させる、エイペックスの貼付装置。
【請求項2】
前記供給機構が、前記貼付位置へ供給される前記エイペックスを案内する供給ガイドを有し、
前記移動機構が、前記供給ガイドを前記エイペックスの供給方向に沿って移動可能であり、
前記制御装置は、前記エイペックスの始端部を前記コアに貼り付けた状態で前記回転機構により前記コアを回転させ、かつ、この回転に同調させて前記移動機構により前記供給ガイドを前記貼付位置に向けて移動させる、請求項1に記載のエイペックスの貼付装置。
【請求項3】
前記貼付部材が、一対の貼付ローラからなり、
前記一対の貼付ローラは、互いに対向する挟持面を有し、かつ、2つの前記挟持面の外周部において前記エイペックスを挟み込んだ状態で前記コアの外周面に前記エイペックスを貼り付け、
前記挟持面が、突出物のない構造に形成されている、請求項1に記載のエイペックスの貼付装置。
【請求項4】
前記エイペックスの高さが20mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のエイペックスの貼付装置。
【請求項5】
タイヤのビードを構成する円環状のコアの外周面に、貼付部材によって帯状のエイペックスを貼り付ける貼付方法であって、
前記コアの周方向における所定の貼付位置に向けて貼付部材及び前記エイペックスの始端を移動させ、前記貼付位置よりも手前の所定位置に前記貼付部材及び前記エイペックスの始端部を位置づける工程、
前記コアを回転させる工程、及び、
前記コアの回転に同調させて、前記貼付部材を前記貼付位置に移動させる工程、を含む、エイペックスの貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのビードを構成するコアにエイペックスを貼り付ける貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるタイヤは、地面に接地するトレッド、このトレッドの軸方向両側に連なり径方向内方へ延びるサイドウォール、及びサイドウォールの径方向内方の端部に配置されたビード等を備えている。ビードは、スチール等の金属により円環状に形成されたコアと、コアの外周に設けられ、断面形状が略三角形状のゴム部材であるエイペックスとによって構成されている。
【0003】
下記特許文献1には、コアの外周面にエイペックスを貼り付ける貼付装置が開示されている。この貼付装置は、例えば図16(a)に示すように、貼付ローラ40及びエイペックスAを矢印c方向に移動させることによって、貼付ローラ40及びエイペックスAの長手方向の一端部(始端部)を回転機構21によって支持されたコア4aの頂点(貼付位置)に位置づけ、当該エイペックスAの始端部をコア4aに貼り付ける。さらに、貼付装置は、回転機構21によってコア4aを周方向(矢印a方向)に回転させることで、コア4aの外周面に順次エイペックスAを貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-202960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの鋭意検討によると以下のような新たな知見が得られている。
すなわち、コア4aの頂点にエイペックスAの始端部を位置づけるとき、エイペックスの始端部はコア4aの頂点よりも少し手前でコア4aに接触し、コア4aに接触したままコア4aの頂点まで矢印c方向に押されるかたちとなる。そのため、図16(b)に示すようにエイペックスAの始端が潰れたり皺が生じたり、図16(c)に示すようにエイペックスAが好ましくない方向に倒れたりする恐れがある。これらの現象は、コア4aに対するエイペックスの貼付不良の原因となる。
【0006】
本発明は、コアの外周面に貼り付けられるエイペックスの始端部の潰れ等を抑制することができるエイペックスの貼付装置及び貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、
タイヤのビードを構成する円環状のコアの外周面に、帯状のエイペックスを貼り付ける貼付装置であって、
前記コアを支持した状態で当該コアを周方向に回転させる回転機構と、
前記コアの周方向における所定の貼付位置に向けてエイペックスを供給する供給機構と、
前記貼付位置において前記コアに前記エイペックスを貼り付ける貼付部材と、
前記貼付部材を前記エイペックスの供給方向に沿って移動させる移動機構と、
前記回転機構及び前記移動機構の動作を制御する制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、前記移動機構により前記貼付部材と前記エイペックスの始端部とを前記貼付位置に向けて移動させ、前記貼付位置よりも手前の所定位置に前記貼付部材及び前記エイペックスの始端部が位置づけられたときに、前記回転機構により前記コアを回転させ、この回転に同調させて前記移動機構により前記貼付部材を前記貼付位置に移動させる。
このような構成によって、エイペックスの始端部を貼付位置に位置づけたときの、エイペックスの始端の潰れやエイペックスの倒れ等を抑制することができる。
【0008】
(2)好ましくは、
前記供給機構が、前記貼付位置へ供給される前記エイペックスを案内する供給ガイドを有し、
前記移動機構が、前記供給ガイドを前記エイペックスの供給方向に沿って移動可能であり、
前記制御装置は、前記エイペックスの始端部を前記コアに貼り付けた状態で前記回転機構により前記コアを回転させ、かつ、この回転に同調させて前記移動機構により前記供給ガイドを前記貼付位置に向けて移動させる。
【0009】
帯状に形成されたエイペックスは、コアの外周面に貼り付けられることによって内周縁と外周縁との間に周長差が発生する。そのため、例えば図15(b)に示すように、エイペックスAは、外周縁が矢印a方向とは反対側に引っ張られ、始端面A1が倒れるように傾斜する。このような始端面A1の倒れは、エイペックスAが供給ガイドを通過する際の摩擦抵抗によって顕著となる。本発明では、エイペックスの始端部をコアに貼り付けた状態でコアが回転したときに、この回転に同調して供給ガイドが貼付位置に向けて移動するので、供給ガイドとエイペックスとの間の摩擦抵抗が低減され、エイペックスの始端面における倒れが抑制される。
【0010】
(3)好ましくは、
前記貼付部材が、一対の貼付ローラからなり、
前記一対の貼付ローラは、互いに対向する挟持面を有し、かつ、2つの前記挟持面の外周部において前記エイペックスを挟み込んだ状態で前記コアの外周面に前記エイペックスを貼り付け、
前記挟持面が、突出物のない構造に形成されている。
例えば、貼付ローラの回転軸や、回転軸が取り付けられるハブなどが挟持面の中心から突出していたとすると、当該突出物がエイペックスに接触しないように、突出物の周囲の挟持面の面積を広く確保する必要があり、貼付ローラの直径を大きくせざるを得ない。貼付ローラの直径が大きくなると、エイペックスを挟持面の外周部まで案内する供給ガイド等を挟持面の外周部に近づけることが困難となり、エイペックスの始端部を挟持面の外周部に位置づけるまでにエイペックスが不安定となり、一対の貼付ローラの間に適切にエイペックスを位置づけることが困難となる。本発明の場合、貼付ローラの挟持面が突出物のない構造に形成されているので、当該突出物がエイペックスに接触することがなく、貼付ローラの直径を可及的に小さくすることができる。そのため、供給ガイド等を挟持面の外周部に可及的に近づけることができ、エイペックスの始端を当該外周部に位置づけやすくすることができる。
【0011】
(4)好ましくは、前記エイペックスの高さが20mm以下である。
本発明の場合、高さが20mm以下の腰の弱いエイペックスを用いた場合であっても、コアに好適に貼り付けることができる。
【0012】
(5)本発明は、
タイヤのビードを構成する円環状のコアの外周面に、貼付部材によって帯状のエイペックスを貼り付ける貼付方法であって、
前記コアの周方向における所定の貼付位置に向けて貼付部材及び前記エイペックスの始端を移動させ、前記貼付位置よりも手前の所定位置に前記貼付部材及び前記エイペックスの始端部を位置づける工程、
前記コアを回転させる工程、及び、
前記コアの回転に同調させて、前記貼付部材を前記貼付位置に移動させる工程、を含む。
以上のような方法によって、エイペックスの始端部を貼付位置に位置づけたときの、エイペックスの始端の潰れやエイペックスの倒れ等を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コアの外周面に貼り付けられるエイペックスの始端部の潰れ等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるビード製造装置の概略的な側面図である。
図2】ビード製造装置における貼付装置を示す側面図である。
図3】貼付装置を示す平面図である。
図4】貼付装置の移動機構を示す正面説明図である。
図5】貼付装置の第2保持機構を示す側面図である。
図6】第2保持機構を示す正面図である。
図7】貼付装置の貼付機構を示す正面図である。
図8】貼付装置の第1保持機構を示す正面図である。
図9】貼付装置のジョイント機構を示す正面図である。
図10】ジョイント機構を示す平面図である。
図11】コアに対するエイペックスの貼付手順を説明する図である。
図12】コアに対するエイペックスの貼付手順を説明する図である。
図13】コアに対するエイペックスの貼付手順を説明する図である。
図14】タイヤの一例を示す断面図である。
図15】従来技術においてコアに対するエイペックスの貼付手順を説明する図である。
図16】従来技術においてエイペックスの始端を貼付位置に位置づけた状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[タイヤの構成]
図14は、タイヤの一例を示す断面図である。
図14において、タイヤ1は、トレッド2と、トレッド2の軸方向の両端からタイヤ半径方向内方に向かって延びるサイドウォール3と、各サイドウォール3のタイヤ半径方向の内方端に位置するビード4と、を備えている。各ビード4は、リング状のコア4aを備えている。
【0016】
軸方向両側のコア4a間にはカーカス5が架け渡され、カーカス5のタイヤ半径方向外側かつトレッド2の内方にはベルト層6が設けられている。カーカス5は、トレッド2からサイドウォール3をへてコア4aに至る本体部5aの両端に、該コア4aの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部5bを備えている。ビード4は、本体部5aと折返し部5bとの間においてコア4aからタイヤ半径方向外側に延びるエイペックス4bを備え、エイペックス4bは、ビード4からサイドウォール3にかけて補強しかつタイヤ横剛性を高めている。
【0017】
コア4aは、1本乃至複数本(例えば2本)のビードワイヤを多列多段に巻回することによって円環状に形成されている。コア4aの縦断面形状は、長方形又は正方形等の矩形状、六角形等の多角形状に形成される。ビードワイヤは、その周囲がゴム層で被覆されている。
【0018】
[ビードの製造装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態におけるビードの製造装置を示す概略的な構成図である。なお、以下の説明においては、矢印Xで示す方向を前後方向とし、この矢印Xに直交する水平方向を左右方向Y(図3参照)として説明する。また、図1の右側を前とし、図1の左側を後とする。
【0019】
図1に示すように、製造装置10は、押出装置11、搬送装置12、及び貼付装置13を備えている。押出装置11、搬送装置12、及び貼付装置13は、前後方向Xに並べて配置されている。押出装置11、搬送装置12、及び貼付装置13は、いずれも制御装置14によって動作制御される。押出装置11は、エイペックス4b(図14参照)を構成する帯状のゴム部材(以下、「帯状のエイペックスA」ともいう)を成形するものである。押出装置11は、ゴム材料を移送するスクリュー機構11aと、スクリュー機構11aによって移送されるゴム材料をエイペックス4bの断面形状に成形する押出ヘッド11bとを有する。図14に示すように、エイペックス4bの断面形状は略三角形状である。押出ヘッド11bから前方へ押し出される帯状のエイペックスAは、搬送装置12に送られる。
【0020】
搬送装置12は、押出装置11によって成形された帯状のエイペックスAを、貼付装置13に搬送する。搬送装置12は、エイペックスAを搬送するフィードロール12aを有している。押出装置11と搬送装置12との間、及び、搬送装置12と貼付装置13との間には、それぞれ帯状のエイペックスAを下方に弛ませた状態にするフェスツーン15が設けられている。このフェスツーン15によって、押出装置11による押出速度と搬送装置12による搬送速度との差、及び、搬送装置12による搬送速度と貼付装置13による貼付速度との差を吸収することができる。
【0021】
(貼付装置13の構成)
貼付装置13は、押出装置11によって成形され搬送装置12によって搬送された帯状のエイペックスAを円環状のコア4aの外周面に貼り付ける。貼付装置13は、回転機構21、供給機構22、貼付機構23、切断機構24、及びジョイント機構25を有している。これらの機構は、製造工場の床等に設置されたメインフレーム13A等に支持されている。
【0022】
図2は、ビード製造装置10における貼付装置13を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、回転機構21は、円環状のコア4aを支持するとともに、コア4aを周方向に回転させる。回転機構21は、コア4aを内周側から支持する複数の支持ローラ21aを有している。複数の支持ローラ21aのうちのいずれかは図示しない駆動装置によって回転駆動され、コア4aを周方向(矢印a方向)に回転させる。
【0023】
図3は、貼付装置13を示す平面図である。図4は、貼付装置13の供給機構22を示す正面図である。
図1図4に示すように、貼付装置13の供給機構22は、搬送装置12から搬送された帯状のエイペックスAを回転機構21へ供給する。供給機構22は、供給ガイド27と、移動機構28と、第2保持機構29とを有する。
【0024】
供給ガイド27は、直線状に細長く形成された鞘状の部材である。供給ガイド27は、長手方向を前後方向Xに沿わせた状態で配置されている。供給ガイド27は、図4に示すように、エイペックスAを下側から支持する底板27aと、エイペックスAを左右方向Yの側部から支持する側板27bとを有している。エイペックスAは、底板27aと側板27bとに囲まれた空間内に配置され、回転機構21への前後方向Xに沿った移動が供給ガイド27によって案内される。
【0025】
図2図4に示すように、移動機構28は、供給ガイド27を前後方向Xに移動させる。移動機構28は、第1アクチュエータ30と、第1アクチュエータ30に供給ガイド27を連結する連結部材31とを有する。本実施形態の第1アクチュエータ30は、電動シリンダにより構成されている。第1アクチュエータ30は、モータ30aにより駆動されるボールねじ機構30bによってスライダ30cを前後方向Xに移動させるものである。スライダ30cには連結部材31の上部が連結されている。連結部材31の下部には、供給ガイド27が連結されている。
【0026】
第1アクチュエータ30は、メインフレーム13Aに支持された可動フレーム33上に設けられている。可動フレーム33は、メインフレーム13A上に前後方向Xに移動自在に支持されている。可動フレーム33は、前後方向Xに長く形成された第1フレーム部材33aを有している。第1フレーム部材33aの下面には前後方向Xに延びるレール部材33a1が取り付けられている。メインフレーム13Aの上面には、レールに摺動可能に嵌合するガイドシュー13A1が取り付けられている。第1フレーム部材33aは、レール部材33a1がガイドシュー13A1内を摺動することによって前後方向Xに移動可能に構成されている。
【0027】
可動フレーム33は、第1フレーム部材33aから前方(図2及び図3の右側)へ延びる第2フレーム部材33bと、第1フレーム部材33aから側方(図3の下側)へ延びる第3フレーム部材33cとを有する。第2フレーム部材33bには、貼付機構23とジョイント機構25とが取り付けられている。第3フレーム部材33cには、切断機構24が取り付けられている。
【0028】
移動機構28は、図3及び図4に示すように、さらに第2アクチュエータ34を有している。第2アクチュエータ34は、メインフレーム13Aに取り付けられ、可動フレーム33を前後方向Xに沿って移動させる。第2アクチュエータ34は、電動シリンダにより構成されている。第2アクチュエータ34は、モータ34aによって駆動されるボールねじ機構34bにより前後方向Xに移動するピストンロッド34cを備える。ピストンロッド34cの先端は、可動フレーム33に連結されている。
【0029】
したがって、第2アクチュエータ34を伸縮させることによって可動フレーム33が前後方向Xに移動し、この可動フレーム33に第1アクチュエータ30等を介して支持されている供給ガイド27も前後方向Xに移動する。そのため、供給ガイド27は、第1アクチュエータ30だけでなく、第2アクチュエータ34によっても前後方向Xに移動する。また、第2アクチュエータ34を伸縮させると、可動フレーム33の第2フレーム部材33b及び第3フレーム部材33cに支持されている貼付機構23、ジョイント機構25、及び切断機構24も前後方向Xに移動する。したがって、供給機構22、貼付機構23、ジョイント機構25、及び切断機構24は、第2アクチュエータ34によって全体的に前後方向Xに移動する。
【0030】
図5は、貼付装置13の第2保持機構29を示す側面図である。図6は、第2保持機構29を示す正面図である。
第2保持機構29は、供給ガイド27の長手方向の中途部に設けられている。第2保持機構29は、供給ガイド27内のエイペックスAを左右両側から挟み込み、供給ガイド27に相対するエイペックスAの移動を規制する。第2保持機構29は、アクチュエータ36と、一対の保持爪37とを有する。アクチュエータ36は、左右方向Yに接近離反移動する一対のスライダ36aを有するエアシリンダにより構成されている。アクチュエータ36は、供給ガイド27の下側に配置されている。
【0031】
一対の保持爪37は、それぞれアクチュエータ36のスライダ36aに取り付けられている。一対の保持爪37は、スライダ36aに取り付けられ上下方向に沿って配置された取付部37aと、取付部37aの上端から供給ガイド27側へ屈曲し左右方向に沿って配置された爪部37bとを有する。供給ガイド27の側板27bには開口27cが形成され、この開口27cに爪部37bの先端が位置づけられている。一対の保持爪37は、アクチュエータ36の一対のスライダ36aを接近させることで、供給ガイド27の側板27bの内面(一対の側板27bが互いに対向する面)よりも左右方向Yの内側に入り込んだ保持位置に位置づけられ、供給ガイド27内に位置するエイペックスAを左右両側から挟み込んで保持する。また、一対の保持爪37は、アクチュエータ36の一対のスライダ36aを離反させることで、供給ガイド27の側板27bの内面よりも左右方向Yの外側へ退避した解除位置に位置づけられ、エイペックスAの保持を解除する。
【0032】
図7は、貼付装置13の貼付機構23を示す正面図である。
貼付機構23は、貼付部材40と、スライド機構43と、昇降機構41と、第1保持機構42とを有する。貼付部材40は、左右一対の貼付ローラにより構成される。以下の説明では、貼付ローラに対して貼付部材と同様の符号40を付す。一対の貼付ローラ40は、互いに対向して配置された挟持面40aを有する。一対の貼付ローラ40は、2つの挟持面40aの外周部の間に配置されたエイペックスAを、回転機構21(図2参照)で支持されたコア4aの外周面に押し付けて貼り付ける。一対の貼付ローラ40は、水平方向に対して傾斜した回転軸48の回りを回転する。具体的に、一対の貼付ローラ40は、挟持面40a同士の間隔が、上部側において広くなり下部側において狭くなるように傾斜して配置されている。エイペックスAは、一対の貼付ローラ40の挟持面40aによって左右両側から挟まれた状態でコア4aに押し付けられる。
【0033】
なお、以下の説明において、一対の貼付ローラ40の前後方向Xの位置をいうときは、図2に示すように、貼付ローラ40の最下端の位置(回転軸心48aを通る鉛直線上の位置)を基準とする。
【0034】
図7に示すように、スライド機構43は、一対の貼付ローラ40を支持する支持フレーム44を有する。支持フレーム44は、フレーム部材44aと、ガイドロッド44bと、支持ブラケット44cとを有する。フレーム部材44aは、上板44a1と一対の側板44a2とを有し、正面視において門型に形成されている。ガイドロッド44bは、フレーム部材44aの一対の側板44a2間に架け渡されている。本実施形態では、2本のガイドロッド44bが前後方向Xに並べて配置されている。支持ブラケット44cは、上下方向に長く形成され、その上端部が2本のガイドロッド44bに左右方向Yに摺動自在に取り付けられている。支持ブラケット44cの下端には、それぞれ貼付ローラ40が回転自在に支持されている。
【0035】
支持フレーム44のフレーム部材44aにおける一対の側板44a2には、それぞれアクチュエータ50が設けられている。このアクチュエータ50は、左右方向Yに伸縮するエアシリンダからなる。アクチュエータ50のシリンダ本体50aは側板44a2に取り付けられ、ピストンロッド50bは支持ブラケット44cに連結されている。アクチュエータ50が伸縮すると、ガイドロッド44bに沿って支持ブラケット44cが左右方向Yにスライド移動し、一対の貼付ローラ40の間隔が変動する。この間隔の変動によって、エイペックスAの左右方向Yの幅に応じて一対の貼付ローラ40の間隔を調整し、一対の貼付ローラ40によってエイペックスAを挟み込むことができる。
【0036】
昇降機構41は、アクチュエータ45と、昇降ガイド46とを有する。アクチュエータ45は、上下方向に伸縮するエアシリンダからなる。アクチュエータ45のシリンダ本体45aは、可動フレーム33の第2フレーム部材33bに取り付けられ、ピストンロッド45bが支持フレーム44に取り付けられている。アクチュエータ45を伸縮すると、支持フレーム44が上下に昇降する。
【0037】
昇降ガイド46は、第2フレーム部材33bに取付られた2本のガイド筒46aと、各ガイド筒46aに摺動自在に取り付けられたガイドロッド46bとを有している。ガイド筒46a及びガイドロッド46bは上下方向に沿って配置されている。ガイドロッド46bの下端部には、支持フレーム44が連結されている。したがって、ガイド筒46a及びガイドロッド46bは、アクチュエータ45による支持フレーム44の昇降を案内する。2本のガイドロッド46bの上端同士は連結板47で連結されている。
【0038】
図8は、貼付装置13の第1保持機構42を示す正面図である。
第1保持機構42は、図2に示すように、一対の貼付ローラ40の最下端よりも後側に配置されている。第1保持機構42は、図8に示すように、一対のアクチュエータ52と、一対の保持部材53を有する。一対のアクチュエータ52は、左右方向Yに伸縮するエアシリンダからなる。アクチュエータ52のシリンダ本体52aは、各支持ブラケット44cの下端に取り付けられている。保持部材53は、アクチュエータ52のピストンロッド52bの先端に取り付けられている。保持部材53は、先端が先細り状に形成されたピンにより構成されている。一対のアクチュエータ52を伸長すると、一対の保持部材53が互いに接近し、一対の貼付ローラ40の間に配置されたエイペックスAを挟み込んで保持する。
【0039】
切断機構24は、図3に示すように、可動フレーム33の第3フレーム部材33cに取り付けられている。切断機構24は、アクチュエータ55と、カッター56とを有する。アクチュエータ55は、エアシリンダからなり、アクチュエータ55のシリンダ本体55aが第3フレーム部材33cに取り付けられている。アクチュエータ55は、前後方向X及び左右方向Yに対して傾斜した方向に伸縮するように、第3フレーム部材33cに取り付けられている。カッター56は、アクチュエータ55のピストンロッド55bの先端に取り付けられている。
【0040】
カッター56は、アクチュエータ55が伸長することによって、供給ガイド27と貼付ローラ40との前後方向Xの間に進入し、当該間に配置されたエイペックスAを切断する。本実施形態の切断機構24は、1枚のカッター56を備え、このカッター56によってエイペックスAを1箇所で切断する。切断されることによって形成されたエイペックスAの前側の端部は、コア4aに貼り付けられているエイペックスAの終端となり、後側の端部は、次にコア4aに巻き付けられるエイペックスAの始端となる。
【0041】
図9は、貼付装置13のジョイント機構25を示す正面図である。図10は、ジョイント機構25を示す平面図である。
図2図9、及び図10に示すように、ジョイント機構25は、コア4aに巻き付けられているエイペックスAの終端付近(図13参照)を保持するとともに、当該終端を当該エイペックスAの始端に接続する。ジョイント機構25は、揺動フレーム58と、アクチュエータ59と、クランプ部60と、ジョイント部61とを有する。
【0042】
揺動フレーム58は、図2に示すように、前端部が可動フレーム33の第2フレーム部材33bに左右方向Yに配置された支軸66に揺動自在に支持されている。揺動フレーム58には、クランプ部60とジョイント部61とが設けられている。
【0043】
アクチュエータ59は、上下方向に伸縮するエアシリンダからなり、揺動フレーム58を上下に揺動させる。アクチュエータ59の上端は、可動フレーム33の第2フレーム部材33bに取り付けられ、アクチュエータ59の下端は、揺動フレーム58に取り付けられている。
【0044】
クランプ部60は、図9及び図10に示すように、一対のクランプ部材62と、アクチュエータ63とを有する。一対のクランプ部材62は、切断機構24によって切断されるエイペックスAを左右両側からクランプし、保持する。一対のクランプ部材62は、それぞれ一対のアクチュエータ63によって互いに接近離反運動する。一対のアクチュエータ63はエアシリンダからなり、それぞれのシリンダ本体63aが揺動フレーム58に取り付けられ、ピストンロッド63bの先端にクランプ部材62が取り付けられている。一対のクランプ部材62は、カッター56によって切断されたエイペックスAの終端部をクランプし、揺動フレーム58が下方に揺動することで、切断されたエイペックスAの終端部をコア4aの外周面に接近させる(図13(b)参照)。詳しくは、図11図13を参照して後に説明する。
【0045】
ジョイント部61は、カッター56によって切断された後のエイペックスAの終端部を、コア4aに貼り付けられているエイペックスAの始端部に接続するものである。ジョイント部61は、一対のジョイント部材64と、アクチュエータ65とを有する。一対のジョイント部材64は、一対のアクチュエータ65によって互いに接近離反する。アクチュエータ65はエアシリンダからなり、それぞれのシリンダ本体65aが揺動フレーム58に取り付けられ、ピストンロッド65bの先端にジョイント部材64が取り付けられている。一対のジョイント部材64は、コア4aに巻き付けられたエイペックスAの終端部と始端部とが接した状態で互いに接近し、エイペックスAの始端部と終端部とを押さえ付けて接続する(図13(b)参照)。詳しくは、図11図13を参照して後に説明する。
【0046】
図10に示すように、一方のジョイント部材64bは、他方のジョイント部材64aよりも面積の広い平板状に形成されている。そして、一方のジョイント部材64bは、カッター56によってエイペックスAを切断する際に、エイペックスAをカッター56とは反対側から支持する支持板としても機能している。
【0047】
以上、説明した各機構のアクチュエータは、制御装置14(図1参照)によって動作制御される。制御装置14は、例えばCPU等の演算部、RAM及びROM等の記憶部を備え、記憶部にインストールされたプログラムを演算部が実行することによって所定の機能を発揮する。制御装置14は、各種センサの信号やスイッチの信号が入力され、その入力信号等に基づいてアクチュエータの動作を制御する。
【0048】
(貼付装置13の動作)
図11図13は、コア4aに対する帯状のエイペックスAの貼付手順を説明する図である。
以下、供給機構22から供給された帯状のエイペックスAを回転機構21に保持されたコア4aに貼り付ける動作について詳細に説明する。
【0049】
(1)本実施形態では、図11(a)に示す状態が初期状態とされる。具体的に、回転機構21で支持されたコア4aに対して、貼付ローラ40が後方に離れた位置に配置され、さらに、供給ガイド27が貼付ローラ40よりも後方に離れた位置に配置される。エイペックスAは、供給ガイド27の前端から数十ミリ程度突出した状態とされる。貼付ローラ40は、移動機構28の第2アクチュエータ34(図3図4参照)によって前記位置に位置づけられ、供給ガイド27は、第1アクチュエータ30(図2図4参照)及び第2アクチュエータ34によって前記位置に位置づけられる。回転機構21で支持されたコア4aの頂点の前後方向Xの位置が、エイペックスAを貼り付ける貼付位置Paとなる。
【0050】
(2)次いで、図11(b)に示すように、第1アクチュエータ30が供給ガイド27を貼付ローラ40の近傍まで前進させる。この供給ガイド27の前進によって供給ガイド27内のエイペックスAも一緒に前進する。このとき、供給ガイド27から突出するエイペックスAの先端部(始端部)は、貼付ローラ40の最下端(回転軸48の軸心48aを通る鉛直線上)に位置づけられる。一対の貼付ローラ40は、エイペックスAの始端部が両者の間に挿入されるまでは、アクチュエータ50(図7参照)によって左右方向Yの間隔が拡げられ、エイペックスAの始端部が挿入されると、アクチュエータ50によって左右方向Yの間隔が狭められ、エイペックスAを左右両側から挟み込む。
【0051】
(3)次いで、図11(c)に示すように、第2アクチュエータ34が供給ガイド27及び貼付ローラ40を前進させ、貼付ローラ40の最下端及びエイペックスAの始端面A1を貼付位置Paよりも数ミリ手前の所定位置(動作開始位置)Pbに位置づける。エイペックスAは、始端部が貼付ローラ40よりも僅かに下方に突出し、コア4aに接触して貼り付けられた状態となる。このときの供給ガイド27の前後方向Xの位置(先端の位置)を第1位置P1ともいう。
【0052】
(4)次いで、図12(a)に示すように、第1保持機構42がエイペックスAを保持し、第1アクチュエータ30が供給ガイド27を後退させて所定の第2位置P2に位置づける。第2位置P2は、第1位置P1よりも所定距離(例えば50mm~100mm程度)後退した位置である。第1アクチュエータ30が供給ガイド27を後退させている間、第1保持機構42がエイペックスAを保持することで、供給ガイド27のみを単独で後退させることができる。その後、第1保持機構42がエイペックスAの保持を解除する。以上により、エイペックスAの貼付動作の準備が完了する。
【0053】
(5)次いで、図12(b)に示すように、回転機構21がコア4aを回転させ、この回転に同調させて第2アクチュエータ34が貼付ローラ40及び供給ガイド27を前進させる。貼付ローラ40の最下端が貼付位置Paに位置づけられると第2アクチュエータ34が停止し、続けてコア4aの回転に同調させて第1アクチュエータ30が供給ガイド27を第1位置P1に向けて前進させる。コア4aの回転によってエイペックスAは前方に引っ張られながら貼付ローラ40によりコア4aの外周面に貼り付けられる。ここで、「同調」とは、供給ガイド27の移動速度又は貼付ローラ40の移動速度を、コア4aの回転速度(エイペックスAの移動速度)と略一致させることをいう。図12(c)に示すように、供給ガイド27は、貼付ローラ40の近傍まで前進した後、ジョイント機構25よりも後方へ後退する。
【0054】
(6)次いで、図13(a)に示すように、コア4aの外周面の大部分にエイペックスAが貼り付けられると、回転機構21が停止し、ジョイント機構25のクランプ部60がエイペックスAを保持する。そして、所定位置Pcにおいて切断機構24のカッター56がエイペックスAを切断する。その後、図13(b)に示すように、第2保持機構29が供給ガイド27内のエイペックスAを保持し、第1アクチュエータ30が供給ガイド27を後退させる。これにより、切断されたエイペックスAが前後に離される。
【0055】
(7)次いで、クランプ部60がエイペックスAを保持したまま、ジョイント機構25のアクチュエータ59が揺動フレーム58(図2参照)を下方に揺動し、エイペックスAの終端部をコア4aの外周面に沿わせる。このとき、コア4aに貼り付けられているエイペックスAの始端部と、エイペックスAの終端部とは、始端面A1と終端面A2とを突き合わせた状態になるか、または、僅かに重ね合わされた状態となる。そして、ジョイント機構25のジョイント部61がエイペックスAの始端部と終端部とを左右両側から圧迫し、両者を接続する。
【0056】
(8)最後に、図13(c)に示すように、ジョイント機構25のクランプ部60及びジョイント部61がエイペックスAの保持及び接続を解除し、アクチュエータ59によって上方へ揺動する。そして、回転機構がコア4aを再び回転させることによって、貼付ローラ40によりエイペックスAの終端部がコア4aの外周面に貼り付けられる。その後、第2アクチュエータ34が供給ガイド27、貼付ローラ40、切断機構24、及びジョイント機構25の全体を後退させ、図11(a)の状態に戻す。その後、上述した作業が繰り返し行われる。
【0057】
[本実施形態の作用効果]
前述の(3)の工程において、例えば図16(a)に示すように、貼付ローラ40の最下端及びエイペックスAの始端部を貼付位置Paまで矢印c方向に移動させた場合(従来技術の場合)、図16(b)に示すように、エイペックスAの始端部がコア4aの外周面に接触したまま前方に押され、エイペックスAの始端部が潰れたり、皺が生じたり、図16(c)に示すように、エイペックスAが好ましくない方向へ倒れたりする恐れがある。このような現象は、エイペックスAの高さが小さく腰が弱くなるほど顕著となる。この点、本実施形態では、図11(c)に示すように、貼付ローラ40を貼付位置Paよりも手前の位置Pbで停止させ、その後、(5)の工程において、コア4aの回転に同調させて貼付ローラ40を貼付位置Paまで前進させているので、高さが小さく腰が弱いエイペックスAであっても、始端部が潰れたり、皺が生じたり、エイペックスAが倒れたりすることが抑制され、エイペックスAの貼付不良を低減させることができる。
【0058】
前述の(4)及び(5)の工程において、例えば供給ガイド27を第2位置P2から第1位置P1に向けて前進させることなくコア4aを回転させた場合(従来技術の場合)、次のようになる。すなわち、図15(a)に示すように、回転機構21によって支持されたコア4aの頂点に帯状のエイペックスAの長手方向の一端(始端)を位置づけた状態で、そのまま回転機構21によってコア4aを矢印a方向に回転させると、エイペックスAがコア4aに貼り付けられることによって生じるエイペックスAの内周縁と外周縁との周長差で、図15(b)に示すように、エイペックスAの始端面A1が倒れるように傾斜する。このような始端面A1の倒れは、エイペックスAが供給ガイド27を通過する際の摩擦抵抗によって顕著となる。また、エイペックスAの内外周差、又は、供給ガイド27の摩擦抵抗による始端面A1の倒れは、高さが小さく腰が弱いエイペックスAほど顕著となる。そして、この始端面A1の倒れは、エイペックスAの終端面A2との間に隙間を生じさせる原因となる。
【0059】
本実施形態では、図12(a)に示すように、前述の(4)の工程で供給ガイド27を第1位置P1から第2位置P2に後退させ、その後、図12(b)に示すように、(5)の工程で、コア4aの回転に同調させて供給ガイド27を前進させることで、供給ガイド27とエイペックスAとの間に生じる摩擦抵抗を少なくし、エイペックスAの始端面A1の倒れを抑制することができる。そのため、エイペックスAの始端面A1と終端面A2との間の隙間の発生を抑制することができる。
【0060】
また、エイペックスAの始端面A1が倒れた場合、図15(c)に示すように、終端面A2も同様に傾斜させた状態で切断する必要があり、さらに、供給ガイド27側に残った次のエイペックスAの始端面A1は、エイペックスAの長手方向に略垂直な面に切断する必要があるため、2枚のカッターを用いてエイペックスAを2か所で切断する必要が生じる。この2か所の切断によって三角形状のスクラップゴムGが発生し、その収集や廃棄などの煩雑な処理が必要になる。この点、本実施形態では、エイペックスAの始端面A1の倒れが抑制されるので、エイペックスAの終端面A2を1枚のカッター56で切断することが可能となり、スクラップゴムGの発生を防止することができる。
【0061】
本実施形態では、貼付機構23が、エイペックスAを保持する第1保持機構42を備えているので、図12(a)に示すように、供給ガイド27を第1位置P1から第2位置P2に後退させるときにエイペックスAを供給ガイド27とともに後退させてしまうことがなく、エイペックスAの始端面A1の位置を適切に維持することができる。
【0062】
本実施形態では、供給機構22が、エイペックスAを保持する第2保持機構29を備え、この第2保持機構29が、供給ガイド27の両側板27bの内面より内側の保持位置と、両側板27bの内面よりも外側の解除位置との間で左右方向に接近離反移動し、エイペックスAを左右両側から挟み込む一対の保持爪37を有しているので、エイペックスAの保持を解除したときには、保持爪37は供給ガイド27の側板27bの内面から後退し、供給ガイド27内のエイペックスAの移動を妨げることがない。また、仮に一方の側板27bと一方の保持爪37との間でエイペックスAを挟み込む形態を採用したとすると、エイペックスAの保持を解除したあとも一方の側板27bにエイペックスAが貼り付き、供給ガイド27内のエイペックスAの移動が妨げられる可能性があるが、本実施形態では、エイペックスAを一対の保持爪37で挟み込んでいるので、上記のような不都合が生じることもない。
【0063】
図7に示すように、貼付ローラ40の挟持面40aは、突出物のない構造に形成されている。仮に、回転軸48や回転軸48が取り付けられるハブ等が挟持面40aの中心から突出していたとすると、当該突出物がエイペックスに接触しないように、突出部の周囲の挟持面40aの面積を広く確保しなければならず、その分、貼付ローラ40の直径を大きくしなければならない。本実施形態では、貼付ローラ40の挟持面40aが突出物のない構造に形成されているので、貼付ローラ40の直径を可及的に小さくすることができる。貼付ローラ40の直径を小さくすると、図11(b)に示すように、供給ガイド27を貼付ローラ40に可及的に近づけることができ、その分、供給ガイド27からのエイペックスAの突出長さを短くすることができる。供給ガイド27からのエイペックスAの突出長さが長くなると、エイペックスAが自重で垂れ下がったり左右に折れ曲がったりして不安定となる。このような現象は、高さが小さく腰が弱いエイペックスAほど顕著となる。本実施形態では、供給ガイド27からのエイペックスAの突出長さを短くすることができるので、当該エイペックスAの垂れ下がりや折れ曲がりを抑制することができ、一対の貼付ローラ40の間に適切にエイペックスAを挿入することができる。
【0064】
なお、従来の貼付装置は、主に、高さが25mm~55mmのエイペックスAをコア4aに貼り付けるために用いられていたが、本実施形態の貼付装置13は、上記のように、例えば25mm以下さらには20mm以下といった高さが小さく腰の弱いエイペックスAを用いた場合の不都合を解消することができるので、例えば、高さが10mm~25mm、好ましくは15mm~25mm程度のエイペックスAであってもコア4aに好適に貼り付けることができる。
【0065】
本実施形態では、第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ34としてモータを有する電動シリンダが用いられているので、前述したような供給ガイド27の位置の制御や貼付ローラ40の位置の制御を正確に行うことができ、エイペックスAの始端面A1の倒れの抑制や、エイペックスAの始端部の潰れ等を適切に抑制することができる。第1及び第2アクチュエータ30,34のモータとしては、例えばサーボモータを適用することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
例えば、エイペックスAの貼付手順における(5)の工程では、第2アクチュエータ34を作動させてから第1アクチュエータ30を作動させていたが、逆の順で作動させてもよい。この場合、貼付ローラ40は、コア4aの回転から少し遅れて貼付位置Paの手前位置Pbから貼付位置Paまで移動することになる。
【0067】
上記実施形態では、各機構に用いられるアクチュエータとして、電動シリンダ、エアシリンダが用いられていたが、他の形態のアクチュエータが用いられていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 :タイヤ
4 :ビード
4a :コア
4b :エイペックス
13 :貼付装置
14 :制御装置
21 :回転機構
22 :供給機構
27 :供給ガイド
28 :移動機構
40 :貼付ローラ(貼付部材)
40a :挟持面
A :エイペックス
Pa :貼付位置
Pb :所定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16