IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウシオ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-保管容器 図1
  • 特許-保管容器 図2
  • 特許-保管容器 図3
  • 特許-保管容器 図4
  • 特許-保管容器 図5
  • 特許-保管容器 図6
  • 特許-保管容器 図7
  • 特許-保管容器 図8
  • 特許-保管容器 図9
  • 特許-保管容器 図10
  • 特許-保管容器 図11
  • 特許-保管容器 図12
  • 特許-保管容器 図13
  • 特許-保管容器 図14
  • 特許-保管容器 図15
  • 特許-保管容器 図16
  • 特許-保管容器 図17
  • 特許-保管容器 図18
  • 特許-保管容器 図19
  • 特許-保管容器 図20
  • 特許-保管容器 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】保管容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/24 20060101AFI20240109BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20240109BHJP
   C01B 13/10 20060101ALI20240109BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65D81/24 Z
B65D85/50 120
C01B13/10 D
A61L2/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020029559
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021133941
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敬祐
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-260333(JP,A)
【文献】特開2019-170241(JP,A)
【文献】特開平08-203476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0337121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/24
B65D 85/50
C01B 13/10
A61L 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管対象物を保管するための保管容器であって、
底壁及び側壁と前記底壁に対向する側に形成された開口部とを有してなり、内側に前記保管対象物を収容するための収容空間を構成する本体部と、
前記開口部を閉塞する蓋部と、
主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線を発する紫外線照射装置と、
前記収容空間と前記紫外線照射装置からの前記紫外線の照射領域との間を、ガスの通流を可能にする複数の通流連絡孔とを有し、
前記通流連絡孔は、前記底壁に直交する深さ方向に見て複数の異なる位置に形成されると共に、前記深さ方向に関しても複数の異なる位置に形成され
前記紫外線の照射領域を通流するガスに前記紫外線が照射されることで生成されたオゾン含有ガスが、前記通流連絡孔を通じて前記収容空間内の3次元上の異なる位置に導入されることを特徴とする、保管容器。
【請求項2】
保管対象物を保管するための保管容器であって、
底壁及び側壁と前記底壁に対向する側に形成された開口部とを有してなり、内側に前記保管対象物を収容するための収容空間を構成する本体部と、
前記開口部を閉塞する蓋部と、
主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線を発する紫外線照射装置と、
前記収容空間と前記紫外線照射装置からの前記紫外線の照射領域との間を、ガスの通流を可能にする複数の通流連絡孔とを有し、
前記通流連絡孔は、前記底壁に直交する深さ方向に見て複数の異なる位置に形成されると共に、前記深さ方向に関しても複数の異なる位置に形成されており、
前記本体部は、外側容器と、前記底壁及び前記側壁を有すると共に前記外側容器内に収容されて前記底壁及び前記側壁によって囲まれた領域によって前記収容空間を形成する内側容器とを備え、
前記内側容器は、複数の位置において前記底壁からそれぞれ独立して前記開口部に向かって前記深さ方向に突出してなる複数の中空筒状体を有し、
複数の前記中空筒状体のそれぞれは、前記底壁側の面及び前記深さ方向に関して異なる側面の位置に形成された前記通流連絡孔を有し、
前記紫外線照射装置は、前記外側容器と前記内側容器との隙間領域に配置され、当該隙間領域内に位置する前記照射領域に対して前記紫外線を照射する構成であり、
前記収容空間は、前記内側容器の内側であって、前記中空筒状体の外側の領域に形成され、
一部の前記通流連絡孔は、前記収容空間内の雰囲気ガスを前記隙間領域内の前記照射領域に導入する吸気口であり、別の一部の前記通流連絡孔は、前記照射領域を通過した前記雰囲気ガスを前記収容空間内に排気する排気口であることを特徴とする、保管容器。
【請求項3】
保管対象物を保管するための保管容器であって、
底壁及び側壁と前記底壁に対向する側に形成された開口部とを有してなり、内側に前記保管対象物を収容するための収容空間を構成する本体部と、
前記開口部を閉塞する蓋部と、
主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線を発する紫外線照射装置と、
前記収容空間と前記紫外線照射装置からの前記紫外線の照射領域との間を、ガスの通流を可能にする複数の通流連絡孔とを有し、
前記通流連絡孔は、前記底壁に直交する深さ方向に見て複数の異なる位置に形成されると共に、前記深さ方向に関しても複数の異なる位置に形成されており、
前記本体部は、外側容器と、前記底壁及び前記側壁を有すると共に前記外側容器内に収容されて前記底壁及び前記側壁によって囲まれた領域によって前記収容空間を形成する内側容器とを備え、
前記内側容器は、複数の位置において前記開口部からそれぞれ独立して前記底壁に向かって前記深さ方向に前記側壁が延伸してなる複数の中空筒状体を有し、
複数の前記中空筒状体のそれぞれは、前記底壁及び前記側壁の前記深さ方向に係る異なる位置に形成された前記通流連絡孔を有し、
前記紫外線照射装置は、前記外側容器と前記内側容器との隙間領域に配置され、当該隙間領域内に位置する前記照射領域に対して前記紫外線を照射する構成であり、
前記収容空間は、複数の前記中空筒状体のそれぞれの内側の領域に形成され、
一部の前記通流連絡孔は、前記収容空間内の雰囲気ガスを前記隙間領域内の前記照射領域に導入する吸気口であり、別の一部の前記通流連絡孔は、前記照射領域を通過した前記雰囲気ガスを前記収容空間内に排気する排気口であることを特徴とする、保管容器。
【請求項4】
保管対象物を保管するための保管容器であって、
底壁及び側壁と前記底壁に対向する側に形成された開口部とを有してなり、内側に前記保管対象物を収容するための収容空間を構成する本体部と、
前記開口部を閉塞する蓋部と、
主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線を発する紫外線照射装置と、
前記収容空間と前記紫外線照射装置からの前記紫外線の照射領域との間を、ガスの通流を可能にする複数の通流連絡孔とを有し、
前記通流連絡孔は、前記底壁に直交する深さ方向に見て複数の異なる位置に形成されると共に、前記深さ方向に関しても複数の異なる位置に形成されており、
前記蓋部は、異なる複数の領域において、前記底壁に向かって前記深さ方向に延伸する中空筒状体を有し、
前記紫外線照射装置は、前記中空筒状体の内側に位置する前記照射領域に向かって前記紫外線を照射可能に配置され、
前記中空筒状体は、前記紫外線照射装置を挟んで前記蓋部側及び前記底壁側のそれぞれの壁面に、当該中空筒状体の内側と前記収容空間とを連絡する前記通流連絡孔を有し、
一部の前記通流連絡孔は、前記収容空間内の雰囲気ガスを前記中空筒状体内の前記照射領域に導入する吸気口であり、別の一部の前記通流連絡孔は、前記照射領域を通過した前記雰囲気ガスを前記収容空間内に排気する排気口であることを特徴とする、保管容器。
【請求項5】
前記紫外線照射装置は、前記紫外線を発する光源と、所定時間毎に前記光源の点灯と消灯を繰り返す制御を行う制御部とを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の保管容器。
【請求項6】
前記紫外線照射装置は、Xeを含む発光ガスが封入されたエキシマランプを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の保管容器。
【請求項7】
前記紫外線照射装置は、Kr及びClを含む発光ガスが封入されたエキシマランプを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管容器に関し、特に野菜や果物などの保管対象物を保管する保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜や果物などの生鮮品を収穫して加工工場へ輸送する際には、鮮度の低下を防ぐために専用の保管容器が利用されることが多い。野菜や果物などの生鮮品は、自ら発生させるエチレンによって鮮度を低下させ、腐敗を促進することが知られている。このため、従来、保管中の生鮮品自身から発生するエチレンをオゾンで分解する機能を有した、保管容器が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-246097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者の鋭意研究によれば、特許文献1の方法では保管対象物の鮮度を高いレベルで維持するには不充分であることを突き止めた。本発明は、上記の課題に鑑み、簡易な構造でありながらも、保管対象物の鮮度を従来よりも長く保持することのできる保管容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特許文献1の技術では鮮度維持の効果が低い理由について、以下のように考察している。
【0006】
特許文献1の技術では、蓋側に配置されたオゾン発生装置から発生されたオゾンを、保管対象物が収容される収容領域に向かって下方に流すことが想定されているに過ぎない。このため、保管対象物が複数詰め込まれた場合には、蓋側に近い位置に存在する保管対象物に対しては集中的にオゾンが照射される一方、底部側に近い位置に存在する保管対象物にはオゾンが行き渡らない可能性がある。
【0007】
また、保管対象物が複数個詰め込まれた場合、同一の保管対象物であっても、外側に露出されている面と、他の対象物と重なり合って内側に隠れている面を有することが想定される。かかる場合には、露出側の面でオゾンが消費されてしまい、隠れた内側にはオゾンが届かないことが想定される。
【0008】
従来、保管空間内に漂うエチレンをオゾンによって分解できれば、保管対象物の鮮度が確保できると考えられていた。このため、上記のように、仮に保管対象物が多く詰め込まれた場合であっても、保管空間内のエチレンを含む雰囲気ガスにオゾンが接触して当該エチレンが分解されれば、保管対象物の鮮度を維持できると考えられていた。
【0009】
しかし、生鮮品などの保管対象物の鮮度低下は、エチレンによる場合の他、保管対象物に付着した菌による場合が想定される。オゾンは殺菌作用を有するが、保管対象物に付着した菌をオゾンによって殺菌するためには、オゾンを保管対象物自体に接触させる必要がある。しかし、保管対象物が多く積み重ねられた場合、露出面に付着していた菌を殺菌するのにオゾンが消費されることで、露出していない面にはオゾンが充分に行き渡らない。この結果、保管対象物に菌が付着したままの状態で保管容器内に保管されることとなるため、鮮度が低下し、場合によっては腐敗することが考えられる。
【0010】
本発明は、保管対象物を保管するための保管容器であって、
底壁及び側壁と前記底壁に対向する側に形成された開口部とを有してなり、内側に前記保管対象物を収容するための収容空間を構成する本体部と、
前記開口部を閉塞する蓋部と、
主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線を発する紫外線照射装置と、
前記収容空間と前記紫外線照射装置からの前記紫外線の照射領域との間を、ガスの通流を可能にする複数の通流連絡孔とを有し、
前記通流連絡孔は、前記底壁に直交する深さ方向に見て複数の異なる位置に形成されると共に、前記深さ方向に関しても複数の異なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、保管対象物が収容される収容空間に向かって流れ込む雰囲気ガスに対して紫外線照射装置からの紫外線が照射されることで、オゾン含有ガスが生成される。このオゾン含有ガスは、複数の通流連絡孔を介して収容空間に戻される。
【0012】
ここで、通流連絡孔は、深さ方向に見て複数の異なる位置に形成されると共に、深さ方向に関しても複数の異なる位置に形成されている。このため、オゾン含有ガスは、収容空間内の3次元上の異なる位置に導入される。これにより、収容空間内に複数の保管対象物が積み重ねられた場合であっても、各保管対象物に対してオゾン含有ガスを接触させやすくなり、高い殺菌作用が得られる。また、オゾン含有ガスは、収容空間内に流れ込むため、従来と同様、エチレンを分解する機能も奏される。これにより、従来よりも高い鮮度維持効果が実現される。
【0013】
また、上記構成には、紫外線照射装置の他には、収容空間を構成する本体部の特定の箇所に複数の通流連絡孔を設けることで実現できるため、他に専用の装置を設ける必要がない。これにより、簡易な構造で従来よりも高い鮮度維持機能を奏する保管容器が実現される。
【0014】
本明細書において、「主たる発光波長」とは、ノイズレベルを超える極大値であるピーク値に対応した波長を指す。「主たる発光波長」は、好ましくは、ある波長λに対して±10nmの波長域Z(λ)を発光スペクトル上で規定した場合において、発光スペクトル内における全積分強度に対して30%以上の積分強度を示す波長域Z(λi)における、波長λiに対応するものとしても構わない。なお、所定の発光ガスが封入されているエキシマランプなどのように、半値幅が極めて狭く、且つ、特定の波長においてのみ光強度を示す光源においては、相対強度が最も高い波長(主ピーク波長)をもって、主たる発光波長として構わない。
【0015】
上記紫外線照射装置としては、例えば、発光ガスとして、Xe、KrCl、KrBr、及びArFからなる群に属する少なくとも一種の材料を含むガスを採用した、エキシマランプを光源として含むことができる。また、紫外線照射装置は、上記波長帯の紫外線を発するLEDやLDなどの固体光源を含むものとしても構わない。
【0016】
オゾンを発生する装置としては、無声放電によるオゾナイザが知られている。しかし、かかる方式による場合には、雰囲気ガスに含まれるN2の結合が切られ、NOxが生成されてしまう。野菜、果物、花などの生鮮品が保管対象物として保管される場合には、NOxによって傷みが生じる懸念があるため、かかるオゾナイザは採用することができない。
【0017】
しかし、上記構成のように、保管容器内に主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線を発する紫外線照射装置を備え、この紫外線照射装置からの紫外線を雰囲気ガスに照射した場合、雰囲気ガス内の窒素には吸収されない一方、酸素には紫外線が吸収されることで、例えば下記(1)式及び(2)式に従ってオゾン(O3)が得られる。なお、(1)式において、hv(λ)は、波長λの光が吸収されることを意味する。
2 + hν(λ) → O(1D) + O(3P) ‥‥(1)
O(3P) + O2 → O3 ‥‥(2)
【0018】
前記保管容器は、種々の具体的な構成が実現可能である。
【0019】
前記保管容器の第一の態様は、以下の通りである。すなわち、
前記本体部は、外側容器と、前記底壁及び前記側壁を有すると共に前記外側容器内に収容されて前記底壁及び前記側壁によって囲まれた領域によって前記収容空間を形成する内側容器とを備え、
前記内側容器は、複数の位置において前記底壁からそれぞれ独立して前記開口部に向かって前記深さ方向に突出してなる複数の中空筒状体を有し、
複数の前記中空筒状体のそれぞれは、前記底壁側の面及び前記深さ方向に関して異なる側面の位置に形成された前記通流連絡孔を有し、
前記紫外線照射装置は、前記外側容器と前記内側容器との隙間領域に配置され、当該隙間領域内に位置する前記照射領域に対して前記紫外線を照射する構成であり、
前記収容空間は、前記内側容器の内側であって、前記中空筒状体の外側の領域に形成され、
一部の前記通流連絡孔は、前記収容空間内の雰囲気ガスを前記隙間領域内の前記照射領域に導入する吸気口であり、別の一部の前記通流連絡孔は、前記照射領域を通過した前記雰囲気ガスを前記収容空間内に排気する排気口であるものとして構わない。
【0020】
前記保管容器の第二の態様は、以下の通りである。すなわち、
前記本体部は、外側容器と、前記底壁及び前記側壁を有すると共に前記外側容器内に収容されて前記底壁及び前記側壁によって囲まれた領域によって前記収容空間を形成する内側容器とを備え、
前記内側容器は、複数の位置において前記開口部からそれぞれ独立して前記底壁に向かって前記深さ方向に前記側壁が延伸してなる複数の中空筒状体を有し、
複数の前記中空筒状体のそれぞれは、前記底壁及び前記側壁の前記深さ方向に係る異なる位置に形成された前記通流連絡孔を有し、
前記紫外線照射装置は、前記外側容器と前記内側容器との隙間領域に配置され、当該隙間領域内に位置する前記照射領域に対して前記紫外線を照射する構成であり、
前記収容空間は、複数の前記中空筒状体のそれぞれの内側の領域に形成され、
一部の前記通流連絡孔は、前記収容空間内の雰囲気ガスを前記隙間領域内の前記照射領域に導入する吸気口であり、別の一部の前記通流連絡孔は、前記照射領域を通過した前記雰囲気ガスを前記収容空間内に排気する排気口であるものとしても構わない。
【0021】
上記第一の態様及び第二の態様では、本体部が外側容器と内側容器の二重構造となっており、これらの容器の間の領域である隙間領域内に紫外線照射装置が配置される。隙間領域内に取り込まれた雰囲気ガスに対して紫外線が照射されることで、オゾン含有ガスが生成され、この生成されたオゾン含有ガスが、底壁に沿った面方向及び深さ方向に移動しつつ収容空間内の3次元上の異なる位置に導入される。
【0022】
前記保管容器の第三の態様は、以下の通りである。すなわち、
前記蓋部は、異なる複数の領域において、前記底壁に向かって前記深さ方向に延伸する中空筒状体を有し、
前記紫外線照射装置は、前記中空筒状体の内側に位置する前記照射領域に向かって前記紫外線を照射可能に配置され、
前記中空筒状体は、前記紫外線照射装置を挟んで前記蓋部側及び前記底壁側のそれぞれの壁面に、当該中空筒状体の内側と前記収容空間とを連絡する前記通流連絡孔を有し、
一部の前記通流連絡孔は、前記収容空間内の雰囲気ガスを前記中空筒状体内の前記照射領域に導入する吸気口であり、別の一部の前記通流連絡孔は、前記照射領域を通過した前記雰囲気ガスを前記収容空間内に排気する排気口であるものとしても構わない。
【0023】
上記第三の態様では、蓋部の異なる領域に形成された複数の中空筒状体内に、紫外線照射装置が配置されている。これにより、面方向の異なる位置に形成されたそれぞれの中空筒状体内に取り込まれた雰囲気ガスに対して紫外線が照射されてオゾン含有ガスが生成される。生成されたオゾン含有ガスは、各中空筒状体から収容空間内の3次元上の異なる位置に排気される。
【0024】
前記紫外線照射装置は、前記紫外線を発する光源と、所定時間毎に前記光源の点灯と消灯を繰り返す制御を行う制御部とを備えるものとしても構わない。
【0025】
野菜、果物、花などの生鮮品が保管対象物として保管される場合には、収容空間内の雰囲気ガスに含まれるオゾン濃度が高くなりすぎると、このオゾンによって保管対象物が酸化して傷みを生じる可能性がある。保管対象物に付着している菌に対する殺菌の能力は、対象物に対して接触するオゾンの量と接触する時間の積によって決定される。上記の構成によれば、比較的低濃度のオゾンを保管期間にわたって繰り返し保管対象物に接触させることができるため、保管対象物に対してオゾンによる損傷を抑制しつつ、長時間にわたって鮮度を維持することができる。
【0026】
なお、上記の観点からは、前記紫外線照射装置は、収容空間内の雰囲気ガスに含まれるオゾン濃度を測定するセンサを有し、前記センサによる測定結果が閾値を下回ると制御部が一定時間にわたって光源を点灯させるものとしても構わない。
【発明の効果】
【0027】
本発明の保管容器によれば、簡易な構造でありながらも、保管対象物の鮮度を従来よりも長く保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】保管容器の第一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示す保管容器から蓋部と本体部とを分けて図示した分解斜視図である。
図3図2に示す本体部から内側容器と外側容器とを分けて図示した分解斜視図である。
図4】第一実施形態における内側容器及び紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図5】第一実施形態における内側容器及び紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図6】第一実施形態における内側容器及び紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図7】第一実施形態における保管容器の模式的な断面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
図8】第一実施形態における内側容器の模式的な平面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
図9】紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図10図9から、筐体の一部を切断したときの模式的な断面図である。
図11】発光ガスにKrClを含んでなるエキシマランプの発光スペクトルの一例を示す図面である。
図12】第二実施形態の保管容器から蓋部と本体部とを分けて図示した分解斜視図である。
図13図12に示す本体部から内側容器と外側容器とを分けて図示した分解斜視図である。
図14】第二実施形態における内側容器及び紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図15】第二実施形態における内側容器及び紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図16】第二実施形態における内側容器及び紫外線照射装置の模式的な斜視図である。
図17】第二実施形態における保管容器の模式的な断面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
図18】第三実施形態の保管容器から蓋部と本体部とを分けて図示した分解斜視図である。
図19図18から更に、蓋部と中空筒状体とを分けて図示した分解斜視図である。
図20】第三実施形態における中空筒状体の模式的な斜視図である。
図21】第三実施形態における保管容器の模式的な断面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る保管容器の各実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致していない。また、各図面間においても、寸法比は必ずしも一致していない。
【0030】
[第一実施形態]
保管容器の第一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の保管容器の構成を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、保管容器1は、蓋部2と本体部3とを有する。図2は、図1から蓋部2と本体部3とを分けて図示した分解斜視図である。
【0031】
保管容器1は、本体部3の内側の領域に、保管対象物を保管するための収容空間を形成する。図2に示すように、本体部3は蓋部2側の面が開口しており(開口部3a)、この開口部3aを通じて保管対象物の出し入れが可能に構成されている。蓋部2は、本体部3に取り付けられることで、開口部3aを閉塞可能に構成されている。
【0032】
以下の説明では、各図面に付されたX-Y-Z座標系を参照して説明される。また、以下の説明では、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0033】
本明細書内において、Z方向は「深さ方向」に対応する。
【0034】
図3は、本体部3の模式的な分解斜視図である。図3に示すように、本実施形態の本体部3は、内側容器10と外側容器20とを有する二重構造で構成されている。内側容器10は外側容器20の内側に収容され、この内側容器10の内側が、保管対象物を保管するための収容空間を構成する。
【0035】
そして、内側容器10と外側容器20の間の隙間領域内に、後述する紫外線照射装置30(図4参照)が配置される。
【0036】
図4図6は、内側容器10の模式的な斜視図であり、各図はそれぞれ見る角度を異ならせて図示されている。また、図4図6には、内側容器10と外側容器20の間に配置される、紫外線照射装置30及びファン40についても図示されている。ファン40は、保管容器1内に気流を循環させるために設けられている。
【0037】
内側容器10は、底壁3bと側壁3cとを有し、これら底壁3bと側壁3cとによって囲まれた領域によって、保管対象物を保管するための収容空間を形成する。底壁3b及び側壁3cには、それぞれ内側容器10の外側と内側(すなわち収容空間)とを連通する通流連絡孔11が複数箇所に配置されている。より詳細には、図5及び図6に示すように、底壁3bには、X方向及びY方向に関して異なる位置に複数の通流連絡孔11が形成されている。また、底壁3bを取り囲むように配置された側壁3cのうち、XZ平面に平行な側壁3cについては、X方向及びZ方向に関して異なる位置に複数の通流連絡孔11が形成され、YZ平面に平行な側壁3cについては、Y方向及びZ方向に関して異なる位置に複数の通流連絡孔11が形成されている。
【0038】
図4及び図5に示すように、本実施形態の保管容器1が備える内側容器10は、底壁3bから開口部3a(図2参照)に向かってZ方向に延伸する複数の中空筒状体12を備える。この中空筒状体12は、図6に示すように、底壁3b側に通流連絡孔11が形成されると共に、図4及び図5に示すように、側面にも複数の通流連絡孔11が形成されている。
【0039】
つまり、中空筒状体12は、底壁3b側に形成された通流連絡孔11を通じて、内側容器10と外側容器20との間の隙間領域内のガスを+Z方向に通流する。そして、中空筒状体12内に導入されたガスは、中空筒状体12の側面に形成された複数の通流連絡孔11を通じて、内側容器10内の異なる深さ位置から、XY平面に沿って広がるように内側容器10内に導入される。
【0040】
また、内側容器10と外側容器20との間の隙間領域内のガスは、XY平面に沿って広がりながら進行しつつ、底壁3bに形成された通流連絡孔11を通じて、直接+Z方向の向きに内側容器10内に導入される。更に、内側容器10と外側容器20との間の隙間領域内のガスは、XZ平面又はYZ平面に沿ってそれぞれ広がりながら進行しつつ、側壁3cに形成された複数の通流連絡孔11を通じて、内側容器10内に導入される。
【0041】
ファン40は、内側容器10内のガスを、通流連絡孔11を通じて、内側容器10と外側容器20との間の隙間領域内に配置された紫外線照射装置30側に導くために設けられている。つまり、ファン40が稼働することにより、図7に示すように、内側容器10内のガスG1(雰囲気ガス)が、通流連絡孔11を通じて紫外線照射装置30に導かれる。この通流連絡孔11は、内側容器10内のガスG1を紫外線照射装置30の照射領域に導入するための吸気口としての機能を奏する。そして、図7及び図8に示すように、紫外線照射装置30からの紫外線が照射された後のガスG2が、通流連絡孔11を通じて再び内側容器10内に循環導入される。この通流連絡孔11は、紫外線が照射された後のガスG2を内側容器10の内側、すなわち収容空間内に排気するための排気口としての機能を奏する。図7は、保管容器1を所定のX座標位置においてYZ平面で切断したときの模式的な断面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。また、図8は、本体部3を-Z方向に見たときの模式的な平面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
【0042】
次に、図9及び図10を参照して、紫外線照射装置30の構造の一例について説明する。図9は、紫外線照射装置30の模式的な斜視図である。図9に示すように、紫外線照射装置30は、筐体31とエキシマランプ32とを有する。図10は、図9から、筐体31の一部を切断したときの模式的な断面図である。
【0043】
図10に示すように、エキシマランプ32は、放電によってエキシマ分子を形成する発光ガスが封入された発光管33と、発光管33の管軸方向に離間して配置された、一対の電極(34a,34b)を備える。一対の電極(34a,34b)は、それぞれ発光管33の管軸方向に離間した位置において、発光管33の外壁面に形成されている。
【0044】
紫外線照射装置30は、これらの一対の電極(34a,34b)に対して電圧を印加するための、電装体35及び配線36を有する。電装体35は、電源部35a及び電源部35aに対する通電制御を行うための制御部35bを有する。制御部35bからの制御に基づき、電源部35aから、配線36を介して一対の電極(34a,34b)間に例えば50kHz~5MHz程度の高周波の交流電圧が印加されると、発光管33内に封入された発光ガスに対して発光管33を介して前記電圧が印加される。このとき、発光管33内で放電プラズマが生じ、発光ガスの原子が励起されてエキシマ状態となり、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。これにより、発光管33からは紫外線L1が出射される。
【0045】
紫外線L1の波長は、発光管33内に封入される発光ガスの種類によって決定される。ここで、本実施形態の保管容器1内に設置される紫外線照射装置30(エキシマランプ32)は、主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線L1を発するような、発光ガスが封入される。一例として、発光ガスにXe(キセノン)が含まれる場合には、エキシマランプ32からは、主たるピーク波長が172nm近傍の紫外線L1が出射される。図11は、発光ガスにXeを含んでなるエキシマランプ32の発光スペクトルの一例を示す図面である。
【0046】
なお、発光ガスにKrBrが含まれる場合には、エキシマランプ32からは、主たるピーク波長が207nm近傍の紫外線L1が出射される。発光ガスにArFが含まれる場合には、エキシマランプ32からは、主たるピーク波長が193nm近傍の紫外線L1が出射される。発光ガスにKrClが含まれる場合には、エキシマランプ32からは、主たるピーク波長が222nm近傍の紫外線L1が出射される。
【0047】
図10に示すように、筐体31は、一部に切り欠きが形成された形状、すなわちU字型の形状を呈しており、この切り欠きの箇所を、紙面奥行き方向にガスを通流させることができる。つまり、図10に示す紫外線照射装置30が、内側容器10と外側容器20との間の離間領域内に配置されると、上述したように、内側容器10内のガスG1が紫外線照射装置30に導かれ、この切り欠き箇所を通過する際に紫外線L1が照射される。
【0048】
内側容器10内のガスG1(雰囲気ガス)は空気を含み、この空気には酸素が存在する。よって、例えば波長172nmの紫外線L1がガスG1中の酸素に照射されると、酸素に紫外線L1が吸収されることで、下記(1)式及び(2)式に従ってオゾン(O3)が得られる。なお、(1)式において、hv(λ)は、波長λの光が吸収されることを意味する。
2 + hν(λ) → O(1D) + O(3P) ‥‥(1)
O(3P) + O2 → O3 ‥‥(2)
【0049】
つまり、紫外線照射装置30からの紫外線L1が照射された後のガスG2は、オゾンを含むものとなる(オゾン含有ガス)。そして、このガスG2は、上述したように、複数の箇所に形成された通流連絡孔11を通じて、XYZの各方向に広がりながら内側容器10内に再び導入される。
【0050】
内側容器10内に、野菜、果物、花などの生鮮品が保管対象物として保管されている場合、当該保管対象物からエチレンが発生することがある。しかし、オゾンを含むガスG2が内側容器10内に導入されることで、下記(3)式に従ってエチレンが分解され、内側容器10内のガスG1に含まれるエチレン濃度は低下する。この結果、鮮度を維持する効果が得られる。
3 + C24 → products ‥‥(3)
【0051】
更に、上述したように、オゾンを含むガスG2は、内側容器10内にXYZの各方向に広がりつつ導入される。特に、本実施形態では、底壁3bからも+Z方向に進行しながらガスG2が内側容器10内に導入される。この結果、内側容器10の内側に形成される収容空間内に、複数の保管対象物が積み重ねられた状態で収容されていたとしても、各保管対象物の多くの表面にガスG2を接触させやすくなる。これにより、保管対象物の表面に付着していた菌を、オゾンを含むガスG2によって殺菌できるため、鮮度を長時間にわたって維持する効果が得られる。
【0052】
なお、制御部35bは、所定時間毎にエキシマランプ32が点灯と消灯とを繰り返すよう、電源部35aを制御するものとしても構わない。エキシマランプ32が長時間にわたって点灯が継続すると、保管容器1内のガスG1に含まれるオゾン濃度が高くなりすぎて、保管対象物自体を酸化により傷める可能性が生じる。制御部35bによる制御によって、エキシマランプ32を間欠点灯させることで、保管容器1内のガスG1に含まれるオゾン濃度を低い範囲(例えば、0.02ppm以上、0.3ppm以下程度)に保持することができる。
【0053】
また、紫外線照射装置30が複数本のエキシマランプ32を備える場合には、制御部35bは、所定時間毎にエキシマランプ32の点灯本数を変更するように、電源部35aを制御するものとしても構わない。
【0054】
また、保管容器1は、当該保管容器1内のガスG1(雰囲気ガス)に含まれるオゾン濃度を検知するためのセンサ(不図示)を備えると共に、制御部35bが、同センサによる検知結果が所定の濃度範囲になるように、エキシマランプ32の点灯制御を行うものとしても構わない。一例として、制御部35bは、センサによる検知結果が所定の下限閾値を下回ったことを確認すると、エキシマランプ32を所定時間だけ点灯させる制御を行うものとしても構わない。
【0055】
[第二実施形態]
保管容器の第二実施形態について、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。なお、第一実施形態と共通の箇所については、同一の符号を付してその説明が適宜割愛される。第三実施形態以後についても同様である。
【0056】
本実施形態の保管容器1も、第一実施形態と同様に、蓋部2と本体部3とを備える。なお、全体の外観については図1と共通である。
【0057】
図12は、本実施形態の保管容器1の、蓋部2と本体部3とを分けて図示した分解斜視図である。本実施形態の保管容器1においても、第一実施形態と同様に、本体部3は蓋部2側の面が開口しており(開口部3a)、この開口部3aを通じて保管対象物の出し入れが可能に構成されている。ただし、本実施形態の保管容器1は、第一実施形態と比較して、相互に独立した複数の開口部3aが形成されている点が異なる。
【0058】
図13は、本体部3の模式的な分解斜視図である。図13に示すように、本体部3が内側容器10と外側容器20とを有する二重構造で構成されている点については、第一実施形態と共通である。また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、内側容器10と外側容器20の間の隙間領域内に、紫外線照射装置30が配置される。
【0059】
図14及び図15は、内側容器10の模式的な斜視図であり、各図はそれぞれ見る角度を異ならせて図示されている。また、図14及び図15には、内側容器10と外側容器20の間に配置される、紫外線照射装置30及びファン40についても図示されている。
【0060】
内側容器10は、XY平面に沿って独立して配置された、複数の中空筒状体12を備える。これらの中空筒状体12は、それぞれ開口部3a(図12参照)から独立して底壁3bに向かってZ方向に側壁3cが延伸してなる形状を呈している。言い換えれば、各中空筒状体12が、底壁3bと側壁3cとを有し、これら底壁3bと側壁3cとによって囲まれた領域によって、保管対象物を保管するための収容空間を形成する。
【0061】
底壁3b及び側壁3cには、それぞれ内側容器10の外側と内側(すなわち収容空間)とを連通する通流連絡孔11が複数箇所に配置されている。より詳細には、図14及び図15に示すように、各中空筒状体12の底壁3bには、X方向及びY方向に関して異なる位置に複数の通流連絡孔11が形成されている。また、各中空筒状体12の側壁3cのうち、XZ平面に平行な側壁3cについては、X方向及びZ方向に関して異なる位置に複数の通流連絡孔11が形成され、YZ平面に平行な側壁3cについては、Y方向及びZ方向に関して異なる位置に複数の通流連絡孔11が形成されている。
【0062】
図16は、本実施形態の保管容器1を、所定のX座標位置においてYZ平面で切断したときの模式的な断面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。また、図17は、本体部3を-Z方向に見たときの模式的な平面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
【0063】
本実施形態の保管容器1においても、内側容器10内のガスG1(雰囲気ガス)が、通流連絡孔11を通じて紫外線照射装置30に導かれて紫外線L1が照射される。そして、紫外線が照射された後のオゾンを含むガスG2(オゾン含有ガス)が、通流連絡孔11を通じて再び内側容器10内に循環導入される。オゾンを含むガスG2は、内側容器10内にXYZの各方向に広がりつつ導入されるため、各保管対象物の表面に付着していた菌を殺菌でき、鮮度を長時間にわたって維持する効果が得られる。
【0064】
[第三実施形態]
保管容器の第三実施形態について、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0065】
図18は、本実施形態の保管容器1の、蓋部2と本体部3とを分けて図示した分解斜視図である。本実施形態の保管容器1においても、第一実施形態と同様に、本体部3は蓋部2側の面が開口しており(開口部3a)、この開口部3aを通じて保管対象物の出し入れが可能に構成されている。
【0066】
図18に示すように、本実施形態では、中空筒状体15が蓋部2に取り付け可能に構成されている。また、第一実施形態及び第二実施形態と異なり、本体部3は二重構造ではない。ただし、本実施形態において、本体部3が二重構造で構成される場合を排除するものではない。
【0067】
図19は、図18から更に蓋部2と中空筒状体15とを分けて図示した分解斜視図である。また、図20は、本実施形態における中空筒状体15の模式的な斜視図である。
【0068】
本実施形態の保管容器1において、XY平面に沿って離間した位置に複数の中空筒状体15が配置される。図18及び図19には、保管容器1が2つの中空筒状体15を備える場合が図示されている。
【0069】
各中空筒状体15は、蓋部2側から、本体部3の底壁3bに向かってZ方向に延伸する形状を呈している。そして、中空筒状体15は、底壁3b側に通流連絡孔11を有すると共に、蓋部2側に近い位置における側面にも複数の通流連絡孔11を有する。つまり、中空筒状体15は、当該中空筒状体15内をZ方向にガスの通流が可能に構成されている。
【0070】
各中空筒状体15は、内部に紫外線照射装置30及びファン40を搭載する。より詳細には、紫外線照射装置30からの紫外線L1(図10参照)が、中空筒状体15の内側に照射されるように配置されている。
【0071】
図21は、本実施形態の保管容器1を所定のX座標位置においてYZ平面で切断したときの模式的な断面図に、風の流れを模式的に付加した図面である。
【0072】
本実施形態の保管容器1によれば、本体部3の内側に位置する収容空間内のガスG1(雰囲気ガス)が、通流連絡孔11を通じて中空筒状体15内に取り込まれる。そして、このガスG1は、中空筒状体15内を進行中に、紫外線照射装置30からの紫外線L1が照射された後、オゾンを含むガスG2(オゾン含有ガス)が通流連絡孔11を通じて中空筒状体15の外に放出されることで、再び収容空間内に循環導入される。
【0073】
中空筒状体15は、側面上の、X座標及びY座標が異なる位置に通流連絡孔11が形成されている。また、中空筒状体15は、異なるZ座標の位置に通流連絡孔11が形成されている。更に、本実施形態の保管容器1は、XY平面に沿って離間して配置された複数の中空筒状体15を有する。この結果、各中空筒状体15内で生成されたオゾンを含むガスG2は、内側容器10内にXYZの各方向に広がりつつ導入されるため、各保管対象物の表面に付着していた菌を殺菌でき、鮮度を長時間にわたって維持する効果が得られる。
【0074】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0075】
〈1〉各実施形態における保管容器1は、利用時の設置方向には限定されない。すなわち、各図において+Z方向が鉛直上向きである必要はない。
【0076】
〈2〉上記第一実施形態及び第二実施形態では、内側容器10が備える全ての側壁3cに通流連絡孔11が形成されている場合について図示されていた。しかし、本発明は、内側容器10が備える複数の側壁3cのうち、一部の側壁3cに通流連絡孔11が形成されていない態様を排除しない。
【0077】
〈3〉上記各実施形態では、複数の通流連絡孔11が、X,Y,Zの各座標の異なる位置に離散的に形成されている場合について説明した。しかし、一部の通流連絡孔11が、X,Y,Zのいずれかの方向に延伸することで、スリット形状を呈していても構わない。
【0078】
〈4〉上記各実施形態では、紫外線照射装置30がエキシマランプ32を備える場合について説明したが、主たる発光波長が150nm以上、260nm以下の紫外線L1を発する光源であれば、エキシマランプには限られない。例えば、LEDやLDなどの固体光源であっても構わない。
【符号の説明】
【0079】
1 :保管容器
2 :蓋部
3 :本体部
3a :開口部
3b :底壁
3c :側壁
10 :内側容器
11 :通流連絡孔
12 :中空筒状体
15 :中空筒状体
20 :外側容器
30 :紫外線照射装置
31 :筐体
32 :エキシマランプ
33 :発光管
35 :電装体
35a :電源部
35b :制御部
36 :配線
40 :ファン
G1 :ガス(雰囲気ガス)
G2 :ガス(オゾン含有ガス)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21