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特許7413838画像形成装置、画像形成装置の給紙方法、画像形成装置の給紙制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の給紙方法、画像形成装置の給紙制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/44 20060101AFI20240109BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240109BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240109BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240109BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H3/44 340A
G03G21/14
G03G21/00 370
B41J29/38 202
G03G15/00 403
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020033501
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134077
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 泰弘
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036408(JP,A)
【文献】特開2014-034432(JP,A)
【文献】米国特許第09045294(US,B2)
【文献】特開2003-072968(JP,A)
【文献】特開平02-221970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/44
G03G 21/14
G03G 21/00
B41J 29/38
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷画像を形成可能に構成された画像形成部と、
第1媒体を収容可能に構成された第1給紙トレイと、
前記第1給紙トレイよりも前記画像形成部から遠い位置に設けられ、第2媒体を収容可能に構成された第2給紙トレイと、
前記第1給紙トレイから前記画像形成部へ、第1搬送路を介して前記第1媒体を搬送可能に構成された第1搬送機構と、
前記第2給紙トレイから前記画像形成部へ、前記第1搬送路よりも長い第2搬送路を介して前記第2媒体を搬送可能に構成された第2搬送機構と、
前記第1搬送機構および前記第2搬送機構による前記媒体の搬送を制御可能に構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記画像形成部に対し、前記第1給紙トレイから搬送される前記第1媒体を先に、前記第1給紙トレイよりも前記画像形成部までの距離が長い前記第2給紙トレイから搬送される前記第2媒体を後に供給して、前記第1および第2媒体に画像を続けて形成する印刷モードにおいて、
前記第2給紙トレイからの前記第2媒体の搬送を開始し、
前記第1給紙トレイからの前記第1媒体の搬送を開始する第1給紙タイミングとして、前記第2媒体の搬送に係るタイミングに基づき、前記第2媒体の搬送を開始する第2給紙タイミングよりも遅い時期を設定し、
設定された前記第1給紙タイミングに、前記第1媒体の搬送を開始する、
画像形成装置。
【請求項2】
画像形成部からの距離が互いに異なる複数の給紙トレイを備える画像形成装置の給紙方法であって、
前記画像形成部に対し、前記複数の給紙トレイのうち、第1給紙トレイから搬送される第1媒体を先に、前記第1給紙トレイよりも前記画像形成部までの距離が長い第2給紙トレイから搬送される第2媒体を後に供給して、前記第1および第2媒体に画像を続けて形成する場合に、
前記第2給紙トレイからの前記第2媒体の搬送を開始し、
前記第1給紙トレイからの前記第1媒体の搬送を開始する第1給紙タイミングとして、前記第2媒体の搬送に係るタイミングに基づき、前記第2媒体の搬送を開始する第2給紙タイミングよりも遅い時期を設定し、
設定された前記第1給紙タイミングに、前記第1媒体の搬送を開始する、
画像形成装置の給紙方法。
【請求項3】
画像形成部からの距離が互いに異なる複数の給紙トレイを備える画像形成装置の前記画像形成部に対し、前記複数の給紙トレイのうち、第1給紙トレイから搬送される第1媒体を先に、前記第1給紙トレイよりも前記画像形成部までの距離が長い第2給紙トレイから搬送される第2媒体を後に供給して、前記第1および第2媒体に画像を続けて形成する場合に、
前記第2給紙トレイからの前記第2媒体の搬送を開始することと、
前記第1給紙トレイからの前記第1媒体の搬送を開始する第1給紙タイミングとして、前記第2媒体の搬送に係るタイミングに基づき、前記第2媒体の搬送を開始する第2給紙タイミングよりも遅い時期を設定することと、
設定された前記第1給紙タイミングに、前記第1媒体の搬送を開始することと
を、前記画像形成装置に備わるコンピュータに行わせる、
画像形成装置の給紙制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の給紙トレイを備える画像形成装置、画像形成装置の給紙方法および画像形成装置の給紙制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の給紙トレイを備える多段トレイ式の画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-247400号公報(段落0014および0015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多段トレイ式の画像形成装置により複数の用紙に続けて印刷を行う場合に、用紙搬送路の長さ(例えば、給紙トレイに備わる給紙ローラから画像形成装置本体のレジストローラまでの距離)が給紙トレイ毎に異なることに起因して、装置本体の画像形成部に対する用紙の供給タイミングに開きが生じることが問題となり得る。
【0005】
本開示は、このような問題を考慮し、用紙搬送路の長さの違いによらず、複数の給紙トレイから適切に用紙を供給可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態では、媒体に印刷画像を形成可能に構成された画像形成部と、第1媒体を収容可能に構成された第1給紙トレイと、第1給紙トレイよりも画像形成部から遠い位置に設けられ、第2媒体を収容可能に構成された第2給紙トレイと、第1給紙トレイから画像形成部へ、第1搬送路を介して第1媒体を搬送可能に構成された第1搬送機構と、第2給紙トレイから画像形成部へ、第1搬送路よりも長い第2搬送路を介して第2媒体を搬送可能に構成された第2搬送機構と、第1搬送機構および第2搬送機構による媒体の搬送を制御可能に構成された制御部と、を備える画像形成装置が提供される。本形態では、制御部は、画像形成部に対し、第1給紙トレイから搬送される第1媒体を先に、第1給紙トレイよりも画像形成部までの距離が長い第2給紙トレイから搬送される第2媒体を後に供給して、第1および第2媒体に画像を続けて形成する印刷モードにおいて、第2給紙トレイからの第2媒体の搬送を開始し、第1給紙トレイからの第1媒体の搬送を開始する第1給紙タイミングとして、第2媒体の搬送に係るタイミングに基づき、第2媒体の搬送を開始する第2給紙タイミングよりも遅い時期を設定し、設定された第1給紙タイミングに、第1媒体の搬送を開始する。
【0007】
本開示の他の形態では、画像形成部からの距離が互いに異なる複数の給紙トレイを備える画像形成装置の給紙方法であって、画像形成部に対し、複数の給紙トレイのうち、第1給紙トレイから搬送される第1媒体を先に、第1給紙トレイよりも画像形成部までの距離が長い第2給紙トレイから搬送される第2用紙を後に供給して、第1および第2媒体に続けて画像を形成する場合に、第2給紙トレイからの第2媒体の搬送を開始し、第1給紙トレイからの第1媒体の搬送を開始する第1給紙タイミングとして、第2媒体の搬送に係るタイミングに基づき、第2媒体の搬送を開始する第2給紙タイミングよりも遅い時期を設定し、設定された第1給紙タイミングに、第1媒体の搬送を開始する、画像形成装置の給紙方法が提供される。
【0008】
本開示の更に別の形態では、画像形成部からの距離が互いに異なる複数の給紙トレイを備える画像形成装置の画像形成部に対し、複数の給紙トレイのうち、第1給紙トレイから搬送される第1媒体を先に、第1給紙トレイよりも画像形成部までの距離が長い第2給紙トレイから搬送される第2媒体を後に供給して、第1および第2媒体に画像を続けて形成する場合に、第2給紙トレイからの第2媒体の搬送を開始することと、第1給紙トレイからの第1媒体の搬送を開始する第1給紙タイミングとして、第2媒体の搬送に係るタイミングに基づき、第2媒体の搬送を開始する第2給紙タイミングよりも遅い時期を設定することと、設定された第1給紙タイミングに、第1媒体の搬送を開始することとを、画像形成装置に備わるコンピュータに行わせる、画像形成装置の給紙制御プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、画像形成部に対し、第1媒体および第2媒体を、適切な間隔で供給することが可能となる。よって、用紙搬送路の長さの違いによらず、効率よく用紙を供給し、ローラ等の部材および部品の耐用寿命が不要に消費されるのを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す概略図である。
図2図2は、同上画像形成装置の画像形成部(現像装置)の構成を模式的に示す概略図である。
図3図3は、同上画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
図4図4は、同上制御システムにより実行される給紙制御の内容を示すフローチャートである。
図5図5は、同上制御システムにより実行される給紙制御の内容を示すフローチャートである。
図6図6は、同上制御システムにより実行される給紙制御の内容を示すフローチャートである。
図7図7は、同上給紙制御に用いられるページ情報の一例を示す説明図である。
図8図8は、同上給紙制御に用いられる給紙タイミング設定情報の一例を示す説明図である。
図9図9は、同上給紙制御に係る各部の動作を概略的に示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(画像形成装置の構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る画像形成装置である、印刷装置101の内部構成を模式的に示す概略図である。本実施形態に係る印刷装置101は、特定の種類のものに限定されず、電子写真プリンタ等のプリンタのほか、複写機、複合機(MFP)またはファクシミリ等、画像形成部からの距離が互いに異なる複数の給紙トレイを備える、いかなる種類のものであってもよい。さらに、本実施形態では、印刷装置101によりカラー画像を形成する場合を例に説明するが、印刷装置101は、画像形成部の構成に変更を加えることにより、単色の画像を形成することも可能である。
【0013】
本実施形態では、印刷装置101により画像が形成される被記録媒体として、紙(以下「記録紙」という)Mを採用する。記録紙Mは、印刷装置101の本体に設けられた媒体貯蔵部111に保持される。媒体保持部111は、複数(本実施形態では、4つ)の給紙トレイ112a~112dを備え、給紙トレイ112a~112dは、上下に併設され、いずれも装置本体に対して水平方向に抜差可能である。記録紙Mに代え、フィルムを採用することも可能である。本実施形態では、最上段の給紙トレイ112aを除く3つの給紙トレイ112c~112dを、オプション給紙装置として構成する。
【0014】
記録紙Mは、使用者からの印刷指示等に基づき、指示に応じた給紙トレイ112a~112d(以下、特に給紙トレイの区別を目的としない限り、便宜的に符号112により示す)から1枚ずつ分離される。給紙トレイ112は、給紙ローラ113を備え、記録紙Mは、給紙ローラ113により分離される。記録紙Mは、分離後、印刷装置101の本体内部に設けられた用紙搬送路Pfに、搬送ローラ114を介して送り出される。送り出された記録紙Mは、用紙搬送路Pfに沿って搬送され、用紙搬送路Pfの終端に設けられたレジストローラ115を介してスキュー(つまり、傾斜または歪み)が矯正された状態で画像形成部121へ供給される。このように、本実施形態では、給紙ローラ113および搬送ローラ114は、給紙トレイ112毎に設けられる。
【0015】
画像形成部121は、現像装置122(122a~122d)と、転写装置123と、を備える。
【0016】
本実施形態では、現像装置122は、原色の種類に応じた複数の単色の現像装置122a~122dからなる。現像装置122aは、第1の色(例えば、シアン)の現像を行い、現像装置122bは、第2の色(例えば、マゼンタ)の現像を行い、現像装置122cは、第3の色(例えば、黄)の現像を行い、現像装置122dは、第4の色(例えば、黒)の現像を行う。第1から第4の各色の現像装置122a~122dは、現像する色の違いを除いていずれも同様の構成であり、以下の説明では、シアンの現像装置122a(便宜上、符号は、122とする)に代表させて説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る現像装置(「イメージドラムユニット」と呼ばれる場合がある)122の構成を模式的に示す概略図である。
【0018】
現像装置122は、静電潜像担持体である感光ドラム1221を備えるとともに、帯電ローラ1222および現像ローラ1223を備える。帯電ローラ1222は、感光ドラム1221に対して互いの外周面を接触させた状態で配置され、感光ドラム1221に追従して回転して、感光ドラム1221の外周面を一様に帯電させる。現像ローラ1223は、感光ドラム1221に対し、互いの外周面を接触させた状態で配置され、露光装置124からの光の照射により感光ドラム1221の外周面に形成された静電潜像を、現像剤であるトナーにより現像し、現像剤像(「トナー画像」という場合がある)を形成する。トナーは、トナー容器1224に収容され、現像に際して現像ローラ1223に供給される。静電潜像の形成に採用可能な光源として、発光ダイオード(LED)またはレーザ素子を例示することができる。
【0019】
転写装置123は、現像装置122の感光ドラム1221と対向して配置された転写ローラ1231を備え、記録紙Mに対して定められる転写領域において、現像装置122により形成された現像剤像を、記録紙Mに転写する。転写装置123は、転写ローラ1231に加え、一対の案内ローラ(駆動ローラおよび従動ローラ)を備えるとともに、これら一対の案内ローラの間に張力をかけた状態で掛け渡された、無端の転写ベルト1232を備える。ここで、感光ドラム1221と転写ベルト1232とが互いに向かい合う範囲が、転写領域となる。転写に際し、感光ドラム1221と転写ローラ1231との間に、転写ベルト1232および記録紙Mが挟持される。
【0020】
以上の工程がシアン以外の色、つまり、マゼンタ、黄および黒のそれぞれについて行われ、目的とする画像の形成に必要な全ての現像剤像の形成および転写が完了した後、記録紙Mは、画像形成部121を出て、画像定着部131へ搬送される。
【0021】
画像定着部131は、定着装置1311を備え、記録紙Mに転写された現像剤像の、高温高圧定着処理による定着を行う。定着装置1311は、加熱ローラと、加熱ロータに対して記録紙Mを挟んで配置された加圧ローラと、を備え、加熱ローラは、加熱用のヒータを内蔵する。加圧ローラは、定着に際して加熱ローラとの間にニップを形成し、加熱ローラに対して記録紙Mを圧迫する。
【0022】
定着後の記録紙Mは、用紙排出路Pdに送り出されるとともに、排出ローラ116、117を介してさらに搬送され、図示しない排出口から上部カバーに形成された排紙積載部141へ排出される。排紙積載部141は、目的とする画像が形成された記録紙Mを一時的に積載させる箇所である。
【0023】
ここで、画像形成部121は、本実施形態に係る「画像形成部」に相当し、第1給紙トレイ112aは、本実施形態に係る「第1給紙トレイ」に相当し、第4給紙トレイ112dは、本実施形態に係る「第2給紙トレイ」に相当する。さらに、用紙搬送路Pfのうち、第1給紙トレイ112aの給紙ローラ113からレジストローラ115までの部分が、本実施形態に係る「第1搬送路」に相当し、第4給紙トレイ112dの給紙ローラ113からレジストローラ115までの部分が、本実施形態に係る「第2搬送路」に相当する。第1給紙トレイ112aに備わる給紙ローラ113、搬送ローラ114およびレジストローラ115により、本実施形態に係る「第1搬送機構」が構成され、第4給紙トレイ112dに備わる給紙ローラ113、搬送ローラ114およびレジストローラ115により、本実施形態に係る「第2搬送機構」が構成される。「第1給紙トレイ」および「第2給紙トレイ」には、第1給紙トレイ112aおよび第4給紙トレイ112dの組み合わせに限らず、画像形成部121までの距離、つまり、画像形成部121へ至る用紙搬送路の長さが異なる他のいかなる組み合わせを採用することも可能である。例えば、「第1給紙トレイ」として第1給紙トレイ112aを採用する一方、「第2給紙トレイ」として第3給紙トレイ112cを採用することも可能であるし、「第1給紙トレイ」として第2給紙トレイ112bを採用する一方、「第2給紙トレイ」として第4給紙トレイ112dを採用することも可能である。次に述べる制御システム201は、本実施形態に係る「制御部」に相当する。
【0024】
図3は、印刷装置1に備わる制御システム201の構成を示すブロック図である。
【0025】
制御システム201は、コントローラユニット(以下「CU」と略す)211およびプリントエンジンユニット(以下「PU」と略す)221を備える。CU211とPU221とは、ビデオインタフェース(ビデオI/F)および通信インタフェース(通信I/F)を介して互いに接続されている。CU211およびPU221は、通信I/Fを介してコマンドおよび各種情報を相互に送受信する。
【0026】
CU211は、上位装置であるホストコンピュータ231から取得した印刷データを画像データに変換し、変換後の画像データを、ビデオI/Fを介してPU221に転送(例えば、DMA転送)する。CU211は、CPU212、ROM213、RAM214、EEPROM215およびホストインタフェース(ホストI/F)216を備える。CPU212は、ROM213に格納されている処理プログラムを読み出し、RAM214をワーク領域として、必要な情報を用いて処理プログラムを実行する。CPU212は、ホストコンピュータ231からホストI/F216を介して取得した印刷データをビットマップに展開された画像データに変換し、変換後の画像データを、コマンドとしてPU221に転送し、PU221に印刷指令を行う。EEPROM215は、各種機能の処理に用いられる調整値等を記憶する。
【0027】
PU221は、印刷装置1の画像形成処理に係る動作を行う。具体的には、PU221は、CU211からのコマンドに基づき、印刷に係るページ情報を、ページ毎に作成する。PU221は、CPU222、ROM223、RAM224、EEPROM225、画像処理部226およびUART227を備える。CPU222は、ROM223に格納されている処理プログラムを読み出し、RAM224をワーク領域として、必要な情報を用いて画像形成に係る処理プログラムを実行する。本実施形態では、CPU222は、マルチタスクにより、複数のページの給紙開始処理を同時並列に実行する。
【0028】
図7は、本実施形態に係るページ情報の一例を示す説明図である。
【0029】
ページ情報は、「ページID」、「パラメータ」および「制御情報」に大別される。「ページID」は、印刷対象であるページの識別に用いられる情報である。「パラメータ」は、印刷設定に係る調整値を示す情報である。これに限定されるものではないが、本実施形態では、「パラメータ」として、用紙サイズ、給紙トレイ、印刷DPI、メディアタイプ、カラー/モノクロ、両面/片面、用紙サイズチェック、ダークネス、用紙長、用紙幅、用紙厚、スタッカ、ソフト4階調、左余白長、右余白長、上余白長および下余白長等の調整値を採用する。「制御情報」は、印刷制御に係る調整値を示す情報である。これに限定されるものではないが、本実施形態では、「制御情報」として、印刷速度、ヒータ温度、書き出しセンサON時間および給紙開始時間等の調整値を採用する。ここで、「給紙開始時間」は、本実施形態に係る「(被記録媒体の)搬送に係るタイミング」および「(被記録媒体の)給紙タイミング」に相当する。本実施形態では、給紙タイミングは、被記録媒体である記録紙Mの、対象とする給紙トレイ112a~112dからの搬送を開始するタイミングであり、具体的には、給紙ローラ113により記録紙Mを給紙トレイ112a~112dから分離するタイミングである。
【0030】
CPU222は、後に述べるように、異なる給紙トレイ(例えば、第1トレイ112aおよび第4トレイ112d)から搬送された記録紙Mに続けて印刷を行う場合に、先行の記録紙Mの給紙タイミング(第1トレイ112aからの給紙タイミング)をもとに、後続の記録紙Mの搬送を制御する。他方で、CPU222は、後続の記録紙Mの給紙タイミング(第4トレイ112dからの給紙タイミング)をもとに、先行の記録紙Mの搬送を制御する。CPU222は、ページ毎に給紙タイミングを計算し、算出された給紙タイミングを、「制御情報」の「給紙開始時間」に記録する。EEPROM225は、画像形成処理に用いられる調整値等を記憶し、本実施形態では、給紙タイミング設定情報を記憶する。
【0031】
CPU222は、CU211からのコマンドに従って給紙センサ301、書き出しセンサ302および排出センサ303を含む各種センサを作動させるとともに、第1給紙トレイ112aに備わる給紙モータおよび給紙ローラクラッチ、レジストローラクラッチ、定着ヒータ等に対する通電を制御する。画像処理部226は、CU211から取得した画像データを露光装置124のインターフェースに合わせて加工し、加工後の画像データを露光装置124に転送する。UART227は、CPU222による制御のもとで、第2~第4給紙トレイ(オプション給紙装置)112b~112dに対し、非同期シリアル通信によりコマンドを送信したり、それらの給紙トレイのステータス情報を取得したりする。
【0032】
給紙センサ301は、用紙搬送路Pfにおいて、媒体保持部111と画像形成部121との間、本実施形態では、レジストローラ115の上流側に設置され、媒体保持部111を出た記録紙Mの到達を検知する。
【0033】
書き出しセンサ302は、用紙搬送路Pfにおいて、画像形成部121、本実施形態では、レジストローラ115と最も上流側の現像装置121aとの間に設置され、レジストローラ115を通過した記録紙Mの前端位置を検出する。書き出しセンサ222の検出信号をもとに、画像形成部121に対する記録紙Mの供給と、画像形成部121の動作(トナー画像の形成および記録)と、の同期を図ることが可能である。
【0034】
排出センサ303は、用紙排出路Pdにおいて、画像定着部131と排紙積載部141との間、本実施形態では、排出ローラ116の上流側に設置され、画像定着部131における記録紙Mの紙詰まりまたは巻き込み等を検知する。
【0035】
操作表示部231は、使用者による操作に応じた入力信号を生じさせるとともに、印刷装置101の動作状態を表示可能に構成され、例えば、タッチパネルディスプレイにより具現可能である。
【0036】
複数の給紙トレイから連続的に給紙を行う場合に、用紙搬送路の長さ(例えば、給紙トレイに備わる給紙ローラから画像形成装置本体のレジストローラまでの距離)が給紙トレイ毎に異なることに起因して、装置本体の画像形成部に対する用紙の供給タイミングに開きが生じることがある。具体的には、画像形成部に近い位置にある給紙トレイ(本実施形態では、第1給紙トレイ112a)からの給紙を初めに行い、遠い位置にある給紙トレイ(第4給紙トレイ112d)からの給紙がこれに続く場合に、近い方の給紙トレイからの用紙が画像形成部に到達した後、遠い方の給紙トレイからの給紙が到達するまでに時間が空き、その間、ローラ等の部材および部品を回させながら待機する必要がある。これにより、電力を浪費するだけでなく、部材等の耐用寿命を不要に消費してしまう。例えば、感光ローラは、消耗品であり、耐用寿命は、他の部材等と比べて比較的に短い。他方で、待機中に作動を止めることは、効率が悪いうえ、作動の停止および再開が繰り返されることに伴う負担がある。本実施形態では、このような問題に対処する。
【0037】
(給紙開始処理の内容)
図4~6を参照して、制御システム201が行う動作、つまり、本実施形態に係る給紙開始処理の内容について、以下に説明する。本実施形態では、給紙開始処理は、PU(プリントエンジンユニット)221のCPU222により、所定周期で実行される。図4~6は、本実施形態に係る給紙開始処理の内容を示すフローチャートであり、図9は、この給紙開始処理に際して印刷装置101の各部が行う動作を概略的に示すタイミングチャートである。図9を適宜に参照しながら、図4~6に基づき、本実施形態に係る給紙開始処理について説明する。
【0038】
本実施形態では、印刷装置1により、合計4ページの連続印刷を行う。この場合に、4つの給紙トレイ112a~112dのうち、最上段に位置する1つ目の給紙トレイ(以下「第1給紙トレイ」という)112aと、最下段に位置する2つ目の給紙トレイ(3段目のオプション給紙装置であり、以下「第4給紙トレイ」という)112dと、から交互に用紙を搬送する。つまり、本実施形態では、1ページ目の給紙を第1トレイ112aから行い、2ページ目の給紙を第4トレイ112dから行い、さらに、3ページ目および4ページ目の給紙を、夫々第1トレイ112a、第4トレイ112dから行う。
【0039】
ここで、図4~6において、1ページ目の給紙に際して行う処理の流れを太い実線により、2ページ目の給紙に際して行う処理の流れを二点鎖線により、3ページ目の給紙に際して行う処理の流れを点線により、4ページ目の給紙に際して行う処理の流れを細い実線により、夫々示す。
【0040】
(1ページ目)
図4~6に太い実線で示すように、制御システム201が1ページ目の給紙に際して行う処理は、S101、S102、S118~123、S113~115、S117と進む。
【0041】
S101では、1ページ目のページ情報を取得する。
【0042】
S102では、1ページ目のページ情報に基づき、先行のページがあるか否かを判定する。先行のページがある場合は、S113へ進み、先行のページがない場合は、S118へ進む。現在のページは、1ページ目であり、先行のページはないことから、S118へ進む。
【0043】
S118では、現在の時刻を、1ページ目のページ情報の「給紙開始時間」に記録する。
【0044】
S119では、1ページ目のページ情報に基づき、後続のページがあるか否かを判定する。後続のページがある場合は、S120へ進み、後続のページがない場合は、S117へ進む。現在のページは、1ページ目であり、後続のページがあることから、S120へ進む。
【0045】
S120では、給紙タイミング設定情報に基づき、下式(1)により、1ページ目の給紙に係る給紙開始間隔Δt1を計算する。給紙開始間隔Δt1は、1ページ目の給紙タイミングt1を基準とする、後続の2ページ目の給紙タイミングt2との間の時間である。
Δt1=(用紙長+δ2+L3a-L3d)/V …(1)
【0046】
図8は、給紙タイミング設定情報の一例を示す説明図である。給紙タイミング設定情報は、第1~第4の各給紙トレイ112a~112dの給紙タイミングを計算するのに用いられる設定情報である。具体的には、給紙タイミング設定情報は、(A)装置設計情報と、(B)給紙トレイ設計情報と、を含み、装置設計情報は、図8(A)に示すように、印刷装置1の印刷速度V、用紙セット時の記録紙Mの先端から給紙ローラ113までの距離L1、レジストローラ115から書き出しセンサ302がONする位置までの距離L7on、レジスト突当量δ1、連続印刷時に先後の記録紙M同士の間に確保される間隔(紙間距離)δ2を含む。給紙トレイ設計情報は、同図(B)に示すように、第1~第4の各給紙トレイ112a~112dの給紙ローラ113からレジストローラ115までの距離L3(L3a~L3d)を含む。
【0047】
本実施形態では、1ページ目の給紙タイミングt1の設定を、上式(1)に示す演算によることとしたが、先行のページの給紙タイミングの設定は、これに限定されるものではなく、後続のページと先行のページとの給紙タイミングの間隔を算出可能な、いかなる演算によることも可能である。例えば、給紙タイミング設定情報において、1ページ目および2ページ目の各用紙が基準となる時刻までに夫々移動すべき距離として、「用紙長+δ2+L3a」の値と「L3d」の値とを設定することとしてもよいし、給紙タイミング設定情報によらず、給紙タイミングの間隔自体を、供給元となる給紙トレイの組み合わせ(例えば、第1給紙トレイ112aおよび第4給紙トレイ112d)に対し、印刷速度V毎に関連付けて設定しておくようにしてもよい。
【0048】
上式(1)に、給紙タイミング設定情報にある設定値を代入することにより、次式(2)を得る。ここで、印刷対象である記録紙Mの用紙サイズは、A4であるものとする。
Δt1=(297+60+117.1-537.1)/228≒-0.276[s]=-276[ms] …(2)
【0049】
S121では、上式(2)の計算結果をもとに、後続の2ページ目の給紙を開始した後に先行の1ページ目の給紙を開始すべきか否かを判定する。2ページ目の後に1ページ目の給紙を開始すべきである場合は、S122へ進み、2ページ目の後に開始すべきでない、つまり、2ページ目の前に1ページ目の給紙を開始すべきである場合は、S117へ進む。
【0050】
上式(2)に示すように、計算結果である給紙開始間隔Δt1は、負の値を有する。これは、2ページ目の前に1ページ目の給紙を開始したのでは、2ページ目の給紙が画像形成タイミング(記録紙Mを画像形成部121に到達させるべきタイミング)に間に合わないことを意味し、後続の2ページ目の給紙を開始した後に先行の1ページ目の給紙を開始すべきであることを示す。
【0051】
S122では、後続の2ページ目のページ情報に基づき、2ページ目の給紙開始時間が決定されたか否かを判定する。決定された場合は、S123へ進み、決定されていない場合は、S122の処理を繰り返し、2ページ目の給紙開始時間が決定されるまで待機する。現時点では、2ページ目の給紙開始時間は決定されていないことから、S122へ戻る。
【0052】
S123では、後続の2ページ目のページ情報に基づき、制御情報(図7)の「給紙開始時間」を基準として、1ページ目の給紙タイミングt1を計算する。具体的には、次式(3)により、2ページ目の給紙タイミングt2に、上式(2)で算出された給紙開始間隔Δt1を減算する。
t1=t2Δt1 …(3)
【0053】
S113では、上式(3)により算出された1ページ目の給紙タイミングt1が経過したか否かを判定する。経過した場合は、S116へ進み、経過していない場合は、S114へ進む。現時点では、1ページ目の給紙タイミングt1が経過していないので、S114へ進む。
【0054】
S114では、1ページ目のページ情報の「給紙開始時間」に、上式(3)により算出された給紙タイミングt1を記録する。
【0055】
S115では、1ページ目の給紙タイミングt1が経過したか否かを判定する。経過した場合は、S117へ進み、経過していない場合は、S115の処理を繰り返し、1ページ目の給紙タイミングt1が経過するまで待機する。
【0056】
S117では、1ページ目のページ情報に基づき、パラメータ(図7)の「給紙トレイ」に設定されている給紙トレイ(1ページ目の印刷では、第1給紙トレイ112a)に対し、「給紙開始時間」の設定値が示す時間に給紙開始指令を発生する。これにより、指令を受けた給紙トレイ(つまり、第1給紙トレイ112a)が記録紙Mの給紙を開始し、記録紙Mが用紙搬送路Pfへ送り出される。
【0057】
これにより、図9に示すタイムチャートにおいて、2ページ目の給紙を開始した後の時刻t1に第1給紙トレイ112aに備わる給紙ローラ113が作動し、1ページ目の給紙が開始される。
【0058】
(2ページ目)
図4および6に二点鎖線で示すように、制御システム201が2ページ目の印刷に際して行う処理は、S101~108、S113、S116、S117と進む。
【0059】
S101では、2ページ目のページ情報を取得する。
【0060】
S102では、2ページ目のページ情報に基づき、先行のページがあるか否かを判定する。現在のページは、2ページ目であり、先行のページがあることから、S103へ進む。
【0061】
S103では、先行の1ページ目のページ情報の「書き出しセンサON時間」を基準として、2ページ目の給紙タイミングt2を計算する。
【0062】
ここで、先行のページの「書き出しセンサON時間」を基準として、後続のページの給紙タイミングを計算する方法について説明する。
【0063】
図8に示す給紙タイミング設定情報をもとに、下式(4)により、先行の1ページ目の書き出しセンサON時間を基準とする、後続の2ページ目の給紙を開始するまでの時間Δt2´を計算する。
Δt2´={用紙長+δ2-(L1+L3d)-L7on-δ1}/V …(4)
【0064】
上式(4)に、給紙タイミング設定情報にある設定値を代入することにより、次式(5)を得る。ここで、印刷対象である記録紙Mの用紙サイズは、1ページ目と同じくA4であるものとする。
Δt2´={297+60-(15.3+537.1)-9.3-5}/228≒-0.920[s]=-920[ms] …(5)
【0065】
t1=t2-Δt1 …(3)
S104では、上式(5)の計算結果をもとに、2ページ目の給紙が、印刷装置1に設定されている印刷速度で行う印刷に間に合うか否かを判定する。間に合う場合は、S109へ進み、間に合わない場合は、S105へ進む。上式(5)に示すように、計算結果である時間Δt2´は、負の値を有する。これは、2ページ目の給紙が、印刷装置1に設定されている印刷速度で行う印刷に間に合わないことを意味し、先行の1ページ目の書き出しセンサON時間よりも前に後続の2ページ目の給紙を開始すべきであることを示す。
【0066】
S105では、先行の1ページ目のページ情報の「給紙開始時間」を基準として、2ページ目の給紙タイミングt2を計算する。
【0067】
ここで、先行のページの「給紙開始時間」を基準として、後続のページの給紙タイミングを計算する方法について説明する。
【0068】
図8に示す給紙タイミング設定情報に基づき、下式(6)により、後続のページの給紙に係る給紙開始間隔Δt2を計算する。給紙開始間隔Δt2は、後続のページの給紙タイミングを基準とする、先行のページの給紙タイミングとの間の時間である。
Δt2={L3d-(用紙長+δ2+L3a)}/V …(6)
【0069】
上式(6)に、給紙タイミング設定情報にある設定値を代入することにより、次式(7)を得る。ここで、印刷対象である記録紙Mの用紙サイズは、先に述べたようにA4である。
Δt2={537.1-(297+60+117.1)/228≒0.276[s]=276[ms] …(7)
【0070】
S106では、上式(7)の計算結果をもとに、先行の1ページ目の給紙を開始する前に後続の2ページ目の給紙を開始すべきか否かを判定する。1ページ目の前に2ページ目の給紙を開始すべきである場合は、S107へ進み、1ページ目の前に開始すべきでない、つまり、1ページ目の後に2ページ目の給紙を開始すべきである場合は、S111へ進む。
【0071】
上式(7)に示すように、計算結果である給紙開始間隔Δt2は、正の値を有する。これは、1ページ目の後に2ページ目の搬送を開始したのでは、2ページ目の給紙が画像形成タイミングに間に合わないことを意味し、先行の1ページ目の給紙を開始する前に後続の2ページ目の給紙を開始すべきであることを示す。
【0072】
S107では、先行の1ページ目のページ情報に基づき、1ページ目の給紙開始時間が決定されたか否かを判定する。決定された場合は、S108へ進み、決定されていない場合は、S107の処理を繰り返し、1ページ目の給紙開始時間が決定されるまで待機する。現時点では、1ページ目の給紙開始時間が既に決定されていることから、S108へ進む。
【0073】
S108では、先行の1ページ目のページ情報に基づき、制御情報(図7)の「給紙開始時間」を基準として、2ページ目の給紙タイミングt2を計算する。具体的には、次式(8)により、1ページ目の給紙タイミングt1に、上式(7)で算出された給紙開始間隔Δt2を加算する。
t2=t1+Δt2 …(8)
【0074】
S113では、上式(8)により算出された2ページ目の給紙タイミングt2が経過したか否かを判定する。経過した場合は、S116へ進み、経過していない場合は、S114へ進む。現時点では、2ページ目の給紙タイミングt2が既に経過しているので、S116へ進む。
【0075】
S116では、現在の時刻を、2ページ目のページ情報の「給紙開始時間」に記録する。
【0076】
S117では、2ページ目のページ情報に基づき、パラメータ(図7)の「給紙トレイ」に設定されている給紙トレイ(2ページ目の印刷では、第4給紙トレイ112d)に対し、「給紙開始時間」の設定値が示す時間に給紙開始指令を発生する。これにより、指令を受けた給紙トレイ(つまり、第4給紙トレイ112d)が記録紙Mの搬送を開始し、記録紙Mが用紙搬送路Pfへ送り出される。
【0077】
これにより、図9に示すタイムチャートにおいて、時刻t1に第4給紙トレイ112dに備わる給紙ローラ113が作動し、2ページ目の給紙が開始される。ここで、第4給紙トレイ112dからの2ページ目の給紙は、第1給紙トレイ112aからの1ページ目の給紙よりも前に開始される。
【0078】
(3ページ目)
図4および6に点線で示すように、制御システム201が3ページ目の印刷に際して行う処理は、S101~104、S109、S110、S113~115、S117と進む。
【0079】
S101では、3ページ目のページ情報を取得する。
【0080】
S102では、3ページ目のページ情報に基づき、先行のページがあるか否かを判定する。現在のページは、3ページ目であり、先行のページがあることから、S103へ進む。
【0081】
S103では、先行の2ページ目のページ情報の「書き出しセンサON時間」を基準として、3ページ目の給紙タイミングt3を計算する。具体的には、図8に示す給紙タイミング設定情報をもとに、下式(9)により、先行の2ページ目の書き出しセンサON時間を基準とする、後続の3ページ目の給紙を開始するまでの時間Δt3を計算する。
Δt3={用紙長+δ2-(L1+L3a)-L7on-δ1}/V …(9)
【0082】
上式(9)に、給紙タイミング設定情報にある設定値を代入することにより、次式(10)を得る。
t5a={297+60-(15.3+117.1)-9.3-5}/228≒0.922[s]=922[ms] …(10)
【0083】
S104では、上式(10)の計算結果をもとに、3ページ目の給紙が、印刷装置1に設定されている印刷速度で行う印刷に間に合うか否かを判定する。間に合う場合は、S109へ進み、間に合わない場合は、S105へ進む。上式(10)に示すように、計算結果である時間t5aは、正の値を有することから、印刷に間に合うとして、S109へ進む。
【0084】
S109では、先行の2ページ目のページ情報の「書き出しセンサON時間」に基づき、先行のページが書き出しセンサ302の位置を通過したか否かを判定する。通過した場合は、S110へ進み、通過していない場合は、S110の処理を繰り返し、先行のページが書き出しセンサ302の位置を通過するまで待機する。
【0085】
S110では、先行の2ページ目の書き出しセンサ位置到達時間を基準として、次式(11)により、3ページ目の給紙タイミングt3を計算する。
t3=2ページ目の書き出しセンサ位置到達時間+Δt3 …(11)
【0086】
S113以降では、1ページ目の給紙に際してS113~117で行ったのと同様の処理を実行する。つまり、S113では、3ページ目の給紙タイミングが経過していないと判定し、S114では、3ページ目のページ情報の「給紙開始時間」に、上式(11)により算出された給紙タイミングt3を記録する。そして、S115では、3ページ目の給紙タイミングt3が経過するまで待機し、3ページ目の給紙タイミングt3が経過した場合に、S117へ進み、第1給紙トレイ112aからの3ページ目の給紙を開始する。
【0087】
これにより、図9に示すタイムチャートにおいて、時刻t5に第1給紙トレイ112aに備わる給紙ローラ113が再度作動し、3ページ目の給紙が開始される。
【0088】
(4ページ目)
図4および6に細い実線で示すように、制御システム201が4ページ目の印刷に際して行う処理は、S101~108、S113~115、S117と進む。
【0089】
S101からS108までは、2ページ目の給紙に際してS101~108で行ったのと同様の処理を実行する。つまり、S101では、4ページ目のページ情報を取得し、S102では、先行のページがあると判定する。S103では、先行の3ページ目のページ情報の「書き出しセンサON時間」を基準として、上式(4)により、4ページ目の給紙タイミングを計算する。S104では、4ページ目の給紙が、印刷装置1に設定されている印刷速度で行う印刷に間に合わないと判定し、S105では、先行の3ページ目のページ情報の「給紙開始時間」を基準として、上式(6)および(8)により、4ページ目の給紙タイミングt4を計算する。S106では、先行の3ページ目よりも前に後続の4ページ目の給紙を開始すべきであると判定し、S107では、先行の3ページ目の給紙タイミングが決定されたと判定し、S108では、3ページ目のページ情報の「給紙開始時間」を基準として、4ページ目の給紙タイミングを計算する。
【0090】
S113以降では、1ページ目の給紙に際してS113~117で行ったのと同様の処理を実行する。つまり、S113では、4ページ目の給紙タイミングが経過していないと判定し、S114では、4ページ目のページ情報の「給紙開始時間」に、上式(8)により算出された給紙タイミングt4を記録する。そして、S115では、4ページ目の給紙タイミングt4を経過するまで待機し、4ページ目の給紙タイミングt4を経過した場合に、S117へ進み、第4給紙トレイ112dからの4ページ目の給紙を開始する。
【0091】
これにより、図9に示すタイムチャートにおいて、時刻t4に第4給紙トレイ112dに備わる給紙ローラ113が再度作動し、4ページ目の給紙が開始される。
【0092】
このように、本実施形態によれば、画像形成部に至る用紙搬送路の長さが互いに異なる複数の給紙トレイから、第1媒体および第2媒体を交互に搬送する場合に、第2媒体の搬送に係るタイミング(本実施形態では、第4給紙トレイ112dからの給紙タイミング)に基づき、第1媒体の搬送(本実施形態では、第1給紙トレイ112aからの給紙)を制御することで、画像形成部に対し、第1媒体および第2媒体を、紙間距離を過度に開けることなく、適切な間隔で続けて供給することが可能となる。これにより、用紙搬送路の長さの違いによらず、効率よく用紙を供給し、ローラ等の部材および部品を不要に回し続けることを回避し、耐用寿命を不要に消費することを回避することが可能となる。
【0093】
以上の説明では、給紙トレイ112a~112dの数を4つとしたが、給紙トレイの数は、これに限定されるものではなく、2つまたは3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0094】
さらに、以上の説明では、給紙トレイ112a~112dとして、印刷装置101の本体に対して抜差可能に構成されたもののみを採用したが、本実施形態に適用可能な給紙トレイは、このようなカセット式の給紙トレイに限定されず、カセット式のものに代えるかまたはこれに加え、装置本体の前面、背面または側面に対して開閉可能に、つまり、軸周りに回転可能に取り付けられた、フラップ式の給紙トレイを採用することも可能である。
【0095】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、これらの実施形態は、本開示が適用される例の一部を示したものに過ぎず、本開示の技術的範囲を、具体例として示した構成に限定する趣旨ではない。開示された実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で、様々な変更および修正を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0096】
101…印刷装置、111…媒体貯蔵部、112a~112d…給紙トレイ、113…給紙ローラ、114…搬送ローラ、115…レジストローラ、121…画像形成部、122…現像装置、1221…感光ドラム、1222…帯電ローラ、1223…現像ローラ、124…露光装置、123…転写装置、1231…転写ローラ、1232…転写ベルト、131…画像定着部、141…排紙積載部、301…給紙センサ、302…書き出しセンサ、303…排出センサ、Pf…用紙搬送路、Pd…用紙排出路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9