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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20240109BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20240109BHJP
   B60K 31/00 20060101ALI20240109BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B60W30/14
B60W30/16
B60K31/00 Z
G08G1/16 E
G08G1/16 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020033738
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133889
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大下 ワサンタ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正一
(72)【発明者】
【氏名】深沢 慎一郎
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-182258(JP,A)
【文献】特開2007-186097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する運転支援方法であって、
先行車判定部が、自車が追従すべき先行車の有無を判定する、先行車判定ステップと、
車線幅検出部が、自車が走行している車線幅を検出する、車線幅検出ステップと、
目標制御値出力部が、自動走行を行うための自車の目標加減速度又は目標加速度を出力する、目標制御値出力ステップと、
を含み、
前記目標制御値出力ステップにおいて前記目標制御値出力部は、
(i)前記先行車判定ステップにおいて追従すべき先行車が有ることを示す判定結果が得られた場合、自車と先行車との相対速度及び車間距離に基づいて、自車を前記先行車に追従させるための目標加減速度を出力する一方、
(ii)前記先行車判定ステップにおいて追従すべき先行車が無いことを示す判定結果が得られた場合であって自車の速度が設定された速度よりも小さい場合、自車の速度を設定された一定速度にするための目標加速度を出力し、かつ、出力する前記目標加速度を前記車線幅検出ステップで得られた車線幅に応じて前記車線幅が狭いほど小さくするように減衰補正するとともに当該減衰補正する補正量を前記設定された一定車速と自車速との差が小さいほど小さくする、
運転支援方法。
【請求項2】
車両の運転を支援する運転支援装置であって、
自車が追従すべき先行車の有無を判定する先行車判定部と、
自車が走行している車線幅を検出する車線幅検出部と、
自動走行を行うための自車の目標加減速度又は目標加速度を出力する目標制御値出力部と、
を含み、
前記目標制御値出力部は、
(i)前記先行車判定部によって追従すべき先行車が有ることを示す判定結果が得られた場合、自車と先行車との相対速度及び車間距離に基づいて、自車を前記先行車に追従させるための目標加減速度を出力する一方、
(ii)前記先行車判定部によって追従すべき先行車が無いことを示す判定結果が得られた場合であって自車の速度が設定された速度よりも小さい場合、自車の速度を設定された一定速度にするための目標加速度を出力し、かつ、出力する前記目標加速度を前記車線幅検出部によって得られた車線幅に応じて前記車線幅が狭いほど小さくするように減衰補正するとともに当該減衰補正する補正量を前記設定された一定車速と自車速との差が小さいほど小さくする、
運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の運転を支援する運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転を支援する1つの技術として、アダプティブ・クルーズ・コントロール(Adaptive Cruise Control、以下「ACC」と表記する)が注目されている(例えば特許文献1参照)。ACCは、車両の車速、車両に対する先行車両の相対速度、及び先行車両との間の車間距離等を取得し、車速や先行車両との車間距離が一定に保たれるように、車両の駆動系統及び制動系統を制御する技術である。
【0003】
また、車両の運転を支援するもう1つの技術として、クルーズ・コントロール(Cruise Control、以下「CC」と表記する)がある(例えば特許文献2参照)。CCは、運転者の設定した車速と実際の車速(実車速)との差を検出し、この速度差に基づいてエンジン出力及び変速機の変速段(変速比)を制御して、実車速が設定された車速に収束するように制御する技術である。要するに、CCは、ドライバーがアクセルペダルを踏まなくても、自車の速度を設定した一定速度に維持する技術である。
【0004】
一般に、ACC機能が搭載された車両においては、ACC機能の1つとしてCC機能も搭載されている。CC機能は、例えば先行車が存在しない場合に実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-17295号公報
【文献】特開平1-202538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ACC機能とCC機能の両方を有する車両において、先行車への追従性を低下させることなく、加速によるドライバーの圧迫感を低減できる、運転支援方法及び運転支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の運転支援方法の一つの態様は、
車両の運転を支援する運転支援方法であって、
自車が追従すべき先行車の有無を判定する先行車判定ステップと、
自車が走行している車線幅を検出する車線幅検出ステップと、
自動走行を行うための自車の目標加減速度又は目標加速度を出力する目標制御値出力ステップと、
を含み、
前記目標制御値出力ステップでは、
前記先行車判定ステップにおいて追従すべき先行車が有ることを示す判定結果が得られた場合、自車と先行車との相対速度及び車間距離に基づいて、自車を前記先行車に追従させるための目標加減速度を出力する一方、
前記先行車判定ステップにおいて追従すべき先行車が無いことを示す判定結果が得られた場合であって自車の速度が設定された速度よりも小さい場合、自車の速度を設定された一定速度にするための目標加速度を出力し、さらに、前記車線幅検出ステップで得られた車線幅に応じて前記目標加速度を変更する。
【0008】
本開示の運転支援装置の一つの態様は、
車両の運転を支援する運転支援装置であって、
自車が追従すべき先行車の有無を判定する先行車判定部と、
自車が走行している車線幅を検出する車線幅検出部と、
自動走行を行うための自車の目標加減速度又は目標加速度を出力する目標制御値出力部と、
を含み、
前記目標制御値出力部は、
前記先行車判定部によって追従すべき先行車が有ることを示す判定結果が得られた場合、自車と先行車との相対速度及び車間距離に基づいて、自車を前記先行車に追従させるための目標加減速度を出力する一方、
前記先行車判定部によって追従すべき先行車が無いことを示す判定結果が得られた場合であって自車の速度が設定された速度よりも小さい場合、自車の速度を設定された一定速度にするための目標加速度を出力し、さらに、前記車線幅検出部によってで得られた車線幅に応じて前記目標加速度を変更する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、追従すべき先行車が存在しない場合に車線幅に応じて目標加速度を変更するので、ACC機能とCC機能の両方を有する車両において、先行車への追従性を低下させることなく、定速走行に移行する際の加速によるドライバーの圧迫感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る運転支援装置が適用される車両の例を示す外観図
図2】実施の形態の車両の構成を示すブロック図
図3】運転支援装置の構成を示すブロック図
図4】運転支援装置の走行制御動作の説明に供するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<1>車両の構成
まず、本開示の一実施の形態に係る運転支援装置を含む車両の構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る運転支援装置が適用される車両1の例を示す外観図である。また、図2は、車両1の構成を示すブロック図である。なお、ここでは、運転支援装置に関連する部分に着目して、図示及び説明を行う。
【0014】
図1に示すように、車両1は、トレーラー2を連結して牽引することが可能なトラクタヘッド(牽引車)である。車両1は、エンジン及び駆動輪等の動力系統や運転席を含む車両本体部3と、車両本体部3に連結されるトレーラー2と、を有する。
【0015】
図2に示すように、車両1は、車両1を走行させる駆動系統10、車両1を減速させる制動系統20、及び運転者による車両1の運転を支援する運転支援装置30等を有する。
【0016】
駆動系統10は、エンジン11、クラッチ12、変速機(トランスミッション)13、推進軸(プロペラシャフト)14、差動装置(デファレンシャルギヤ)15、駆動軸(ドライブシャフト)16、車輪17、エンジン用ECU18、及び動力伝達用ECU19を有する。
【0017】
エンジン用ECU18及び動力伝達用ECU19は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークによって運転支援装置30に接続され、必要なデータや制御信号を相互に送受信可能となっている。エンジン用ECU18は、運転支援装置30からの駆動指令に従って、エンジン11の出力を制御する。動力伝達用ECU19は、運転支援装置30からの駆動指令に従って、クラッチ12の断接及び変速機13の変速を制御する。
【0018】
エンジン11の動力は、クラッチ12を経由して変速機13に伝達される。変速機13に伝達された動力は、さらに、推進軸14、差動装置15、及び駆動軸16を介して車輪17に伝達される。これにより、エンジン11の動力が車輪17に伝達されて車両1が走行する。
【0019】
制動系統20は、常用ブレーキ21、補助ブレーキ22、23、駐車ブレーキ(図示略)、及びブレーキ用ECU24を有する。
【0020】
常用ブレーキ21は、一般に、主ブレーキ、摩擦ブレーキ、フットブレーキ、あるいはファウンデーションブレーキ等と呼ばれるブレーキである。常用ブレーキ21は、例えば、車輪17と一緒に回転するドラムの内側にブレーキライニングを押し付けることにより制動力を得るドラムブレーキである。
【0021】
補助ブレーキ22は、推進軸14の回転に直接負荷を与えることで制動力を得るリターダーであり(以下「リターダー22」と称する)、例えば、電磁式リターダーである。補助ブレーキ23は、エンジンの回転抵抗を利用してエンジンブレーキの効果を高める排気ブレーキである(以下「排気ブレーキ23」と称する)。リターダー22及び排気ブレーキ23を設けることにより、制動力を増大できるとともに、常用ブレーキ21の使用頻度が低減されるので、ブレーキライニング等の消耗を抑制することができる。
【0022】
ブレーキ用ECU24は、CAN等の車載ネットワークによって運転支援装置30に接続され、必要なデータや制御信号を相互に送受信可能となっている。ブレーキ用ECU24は、運転支援装置30からの制動指令に従って、常用ブレーキ21の制動力(車輪17のホイールシリンダーのブレーキ液圧)を制御する。
【0023】
常用ブレーキ21の制動動作は、運転支援装置30及びブレーキ用ECU24によって制御される。リターダー22及び排気ブレーキ23の制動動作は、運転支援装置30によってオン/オフで制御される。リターダー22及び排気ブレーキ23の制動力はほぼ固定であるため、所望の制動力を正確に発生させる場合には、制動力を細かく調整できる常用ブレーキ21が適している。
【0024】
運転支援装置30は、ミリ波レーダーやカメラからの情報を入力する。ミリ波レーダーやカメラからの情報は、車両前方の交通状況や道路状況を示す情報である。また、運転支援装置30は、ACC用操作部41、アクセル操作検出部43、ブレーキ操作検出部44などを有する。
【0025】
運転支援装置30は、駆動系統10及び制動系統20の動作を制御するための制御信号を形成する。特に、本実施の形態の運転支援装置30は、ACCを実現するための目標加減速度や、CCを実現するための目標加速度を求め、これらを適宜エンジン用ECU18、動力伝達用ECU19及びブレーキ用ECU24に出力する。
【0026】
なお、実際には、CCはACCの中の1つの機能として実現されるが、本実施の形態では、説明を分かり易くするために、CCの機能をACCの機能とは分けて説明する場合がある。
【0027】
なお、エンジン用ECU18、動力伝達用ECU19、ブレーキ用ECU24及び運転支援装置30は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、及び通信回路をそれぞれ有する。この場合、例えば、運転支援装置30を構成する後述の各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。なお、エンジン用ECU18、動力伝達用ECU19、ブレーキ用ECU24、及び運転支援装置30の全部又は一部は、一体的に構成されていてもよい。
【0028】
ACC用操作部41は、ACCの動作をオンオフ制御するためのACCオンオフスイッチを含む。また、ACC用操作部41は、ACC及びCCの各種設定を行うための設定スイッチを含む。ドライバーは、設定スイッチを操作することで、例えば目標車間距離及び目標自車速度を設定することができる。なお、これらのスイッチは、タッチパネル付きディスプレイに表示されたユーザインタフェースによって具現化されていてもよい。
【0029】
アクセル操作検出部43は、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、検出結果を運転支援装置30へ出力する。運転支援装置30は、アクセルペダルの踏み込み量に基づいて、エンジン用ECU18及び動力伝達用ECU19に駆動指令を送出する。
【0030】
ブレーキ操作検出部44は、常用ブレーキ21を動作させるためのブレーキペダルの踏み込み量を検出する。また、ブレーキ操作検出部44は、リターダー22又は排気ブレーキ23を動作させる補助ブレーキレバーが操作されたか否かを検出する。そして、ブレーキ操作検出部44は、ブレーキペダル及び補助ブレーキレバーに関する検出結果を、運転支援装置30へ出力する。運転支援装置30は、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、ブレーキ用ECU24に制動指令を送出する。また、運転支援装置30は、補助ブレーキレバーの操作に基づいて、リターダー22又は排気ブレーキ23のオン/オフ動作を制御する。
【0031】
また、運転支援装置30は、走行に関する各種情報を情報出力部50から出力する。
【0032】
<2>運転支援装置の構成
図3は、本実施の形態の運転支援装置30の構成を示すブロック図である。
【0033】
運転支援装置30は、目標制御値出力部31、車間距離検出部33、先行車判定部34及び車線幅検出部35を有する。
【0034】
目標制御値出力部31は、ACC部31a及びCC部31bを有する。なお、上述したように、実際には、CCはACCの中の1つの機能として実現されるが、本実施の形態では、説明を分かり易くするために、CCの機能をACCの機能とは分けて説明する。つまり、実際には、図3のようにACC部31aとCC部31bとに分かれておらず、CC部31bがACC部31aに含まれていてもよい。
【0035】
ACC部31a及びCC部31bは、それぞれ、基本的には既知のACC処理及びCC処理を実行する。つまり、ACC部31aは、自車と先行車との相対速度及び車間距離に基づいて、自車を先行車に追従させるための目標加減速度を出力する。これにより、自動追従制御が実現される。一方、CC部31bは、自車の速度を設定された一定速度にするための目標加速度を出力する。これにより、定速走行制御が実現される。
【0036】
自動追従走行制御とは、所定の範囲に先行車両が存在する場合に、車間距離が所定の目標範囲に収まるように、かつ、相対速度がゼロに近付くように、駆動系統10及び制動系統20を動作させる制御である。定速走行制御とは、所定の範囲に先行車両が存在しない場合に、車両1の走行速度が所定の目標値に近付くように、駆動系統10及び制動系統20を動作させる制御である。
【0037】
車間距離検出部33は、ミリ波レーダー、カメラなどにより得られた自車両1前方の情報に基づいて自車両1と先行車との間の車間距離を計測(検出)し、計測結果をACC部31に出力する。なお、車間距離検出部33は、レーザーレーダーなどの他のセンサーからの情報に基づいて車間距離を計測してもよい。
【0038】
先行車判定部34は、ミリ波レーダー、カメラなどにより得られた自車両1前方の交通状況の情報に基づいて、追従すべき先行車の有無を判定する。具体的には、自車両と同じ車線の前方に車両が存在する場合には、先行車有りと判定する。
【0039】
車線幅検出部35は、ミリ波レーダー、カメラなどにより得られた自車両1前方の道路状況の情報に基づいて、自車が走行中の走行車線の幅を検出する。具体的には、カメラにより得られた画像に基づいて縁石や車線を検知し、その間の長さを求めることで走行車線の幅を検出する。
【0040】
<3>運転支援装置の走行制御動作
次に、運転支援装置30の走行制御動作について説明する。図4は、運転支援装置30の走行制御動作の説明に供するフローチャートである。
【0041】
先ず、運転支援装置30は、ステップS11でドライバーによってACC及びCCの設定が行われると(例えばACC及びCCがオン操作されると)、ステップS12に進む。ステップS12では、先行車判定部34によって先行車の有無が判定され、先行車が有る場合にはステップS13に移り、先行車が無い場合にはステップS14に移る。
【0042】
ステップS13では、目標制御値出力部31のACC部31aによってACCが実行される。具体的には、ACC部31aは、ステップS13において、車間距離検出部33から入力した先行車との間の車間距離の情報と、ミリ波レーダーやカメラの情報から得た先行車との相対速度の情報と、を用いて、自車を先行車に追従させるための目標加減速度を出力する。目標加減速度は、適宜エンジン用ECU18、動力伝達用ECU19及びブレーキ用ECU24に送られる。
【0043】
ステップS14-S15-S16では、目標制御値出力部31のCCが実行される。具体的には、先ず、ステップS14において、CC部31bが現在の自車速度vが予め設定された設定速度(目標速度)よりも小さいか否か判断し、自車速度vが設定速度(目標速度)よりも小さい場合には(ステップS14;YES)ステップS15に進み、そうでない場合には(ステップS14;NO)ステップS12に戻る。
【0044】
ステップS15では、車線幅検出部35によって自車が走行している車線幅が検出される。勿論、車線幅検出部35による車線幅の検出は常時実行するようにしてもよい。
【0045】
続くステップS16では、CC部31bによって車線幅に応じた目標加速度が出力される。具体的には、先ず、CC部31bは、図示しない車速センサーからの自車速度の情報を入力し、自車速度とACC用操作部41によって設定された目標自車速度との差を算出し、この差に応じた目標加速度を求める。この目標加速度は、例えばテーブルを参照して求められる。
【0046】
さらに、本実施の形態のCC部31bは、求めた目標加速度を、車線幅検出部35によって検出された車線幅に応じて変更(補正)する。具体的には、CC部31bは、目標加速度を、車線幅が狭いほど小さくなるように変更(補正)する。変更(補正)された目標加速度は、エンジン用ECU18及び動力伝達用ECU19に送られる。
【0047】
<4>実施の形態の効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、追従すべき先行車が有る場合には、自車を先行車に追従させるための目標加減速度を出力する一方、追従すべき先行車が無い場合には、自車の速度を設定された一定速度にするための目標加速度を出力し、さらに、車線幅に応じて当該目標加速度を変更(補正)するようにした。
【0048】
これにより、追従すべき先行車が存在する場合には、先行車への追従の応答性を低下させない追従制御を維持しつつ、追従すべき先行車が存在しない場合には、車線幅に応じて加速度が制御されるので、ACC機能とCC機能の両方を有する車両において、様々な運転環境下において、ドライバーに負担や不安を感じさせることのない自動運転を実現できるようになる。
【0049】
本実施の形態の運転支援方法では、換言すれば、先行車への追従を行うための目標加減速は車線幅に依存させず、定速走行を行うための目標加速度は車線幅に依存させている、と言うことができる。
【0050】
ここで、ACCにおいては、先行車両がいなくなった場合には、車速を設定車速に近づけるような制御を行う(つまりCCを実行する)が、道幅が狭い道路環境下で急加速を行うと圧迫感を感じることがある。特に、トラックなどの大型車においては、狭い道路幅での急加速は、ドライバーが圧迫感を感じるだけでなく、歩行者などの周りの人間にも圧迫感を与える可能性が高い。
【0051】
本実施の形態では、道幅が狭い場合は、設定車速にするための加速度を基本の加速度よりも小さくするように補正するので、定速走行に移行する際の加速による、ドライバーや歩行者などの周りの人間への圧迫感を低減できる。かくして、ACC機能とCC機能の両方を有する車両において、先行車への追従性を低下させることなく、定速走行に移行する際の加速によるドライバーの圧迫感を低減できる自動運転を実現し得る。
【0052】
<5>他の実施の形態
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0053】
<5-1>上述の実施の形態では、目標加速度を車線幅が狭いほど小さくなるように変更する(つまり目標加速度を減衰補正する)場合について述べたが、設定車速と自車速の偏差に応じて目標加速度の補正量を変えるようにしてもよい。具体的には、設定車速と自車速との差が小さいほど、目標加速度の減衰量(補正量)を小さくする。このようにすることで、減衰補正を続けると、自車速が設定車速に近づいた場合に設定車速にならなくなるといった不都合を防止できる。
【0054】
<5-2>上述の実施の形態に加えて、車線幅に対する車幅の割合(車幅÷車線の幅)が大きいほど、加速度が低くなるように補正してもよい。このようにすれば、車幅をも考慮した、より圧迫感の少ない制御を実現できる。
【0055】
<5-3>上述の実施の形態に加えて、車線幅が検出できない場合は、目標加速度の減衰量を最大の減衰量としてもよい。
【0056】
<5-4>上述の実施の形態では、本発明の運転支援装置及び方法を適用する車両1がトレーラー2を連結して牽引することが可能なトラクタヘッドである場合について述べたが、本発明が適用可能な車両はこれに限らず、例えば乗用車などの車両であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の運転支援方法及び運転支援装置は、ACC機能とCC機能の両方を有する車両において、先行車への追従性を低下させることなく、加速によるドライバーの圧迫感を低減できる運転支援装置及び運転支援方法として有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 車両
2 トレーラー
3 車両本体部
10 駆動系統
11 エンジン
12 クラッチ
13 変速機
14 推進軸
15 差動装置
16 駆動軸
17 車輪
18 エンジン用ECU
19 動力伝達用ECU
20 制動系統
21 常用ブレーキ
22 リターダー
23 排気ブレーキ
24 ブレーキ用ECU
30 運転支援装置
31 目標制御値出力部
31a ACC部
31b CC部
33 車間距離検出部
34 先行車判定部
35 車線幅検出部
41 ACC用操作部
43 アクセル操作検出部
44 ブレーキ操作検出部
50 情報出力部
図1
図2
図3
図4