(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】粉体回収装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/10 20060101AFI20240109BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G21/16 104
(21)【出願番号】P 2020042556
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斎木 厚名
(72)【発明者】
【氏名】三浦 剛
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-119622(JP,A)
【文献】特開2014-115521(JP,A)
【文献】特開2006-258920(JP,A)
【文献】特開2008-225362(JP,A)
【文献】特開2003-066815(JP,A)
【文献】特開2012-203383(JP,A)
【文献】特開2005-049689(JP,A)
【文献】特開2009-163099(JP,A)
【文献】特開2010-078957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0161272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/10
G03G 21/16
G03G 21/00
G03G 21/12
G03G 15/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成手段から排出される粉体を受け入れて排出口へ搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って同一直線上に配置され前記搬送路を搬送される前記粉体を収容する複数の回収容器と、
前記搬送路内でスライド移動することで前記搬送路と前記回収容器とを順次繋げる複数の開口が形成された開閉体と、を備えた、
ことを特徴とする粉体回収装置。
【請求項2】
前記開口は、スライド移動方向に遠ざかるほど基端側の前記開口に対して遠くなるように設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項3】
前記排出口の開口面積は、前記開口の開口面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体回収装置。
【請求項4】
前記開閉体は、前記搬送路に沿って延びるように配置され、前記搬送路の内面の一部を形成している、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粉体回収装置。
【請求項5】
前記搬送路は、螺旋羽根を有し回転駆動されることで前記粉体を搬送する搬送手段を備え、前記開閉体は、前記搬送路の内面の一部を形成する面が前記搬送手段と間隙が略一定となるように形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の粉体回収装置。
【請求項6】
前記螺旋羽根は、前記排出口に対応する領域には形成されていない、
ことを特徴とする請求項5に記載の粉体回収装置。
【請求項7】
トナー像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段から回収される粉体を回収する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粉体回収装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体回収装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段から廃棄された廃棄粉体を収容する第1の収容部と、画像形成手段から廃棄された廃棄粉体を収容する第2の収容部と、廃棄粉体が搬送される搬送路と、搬送路に設けられ、当該搬送路を搬送されてきた廃棄粉体を第1の収容部へ排出する第1の排出部と、搬送路に設けられ、当該搬送路を搬送されてきた廃棄粉体を第2の収容部へ排出する第2の排出部と、搬送路に沿って第1の排出部から第2の排出部にかけて設けられ、第1の動作状態のときに当該搬送路内の廃棄粉体を当該第2の排出部に向けて搬送し、第2の動作状態のときに当該搬送路内の当該廃棄粉体を当該第1の排出部に向けて搬送する搬送手段と、第1の排出部と第2の排出部との間にて搬送路に画像形成手段からの廃棄粉体を供給する供給手段と、搬送手段を第1の動作状態および前記第2の動作状態で動作させるとともに、当該搬送手段を当該第1の動作状態から当該第2の動作状態に切り替え廃棄粉体の搬送方向を切り替える際、供給手段を停止させ又は当該供給手段の出力を低下させる制御手段と、を含む画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
電子写真画像形成プロセスで発生したトナー廃棄物を回収するための画像形成装置のトナー廃棄物回収機構において、一端側を上記電子写真画像形成プロセスのトナー廃棄物回収源に接続した搬送路と、上記搬送路の他端側に着脱自在に接続される複数のトナー廃棄物回収部と、を設けた電子写真式画像形成装置のトナー廃棄物回収機構も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-78957号公報
【文献】特開平11-119622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回収容器の交換作業の頻度を低減することができる粉体回収装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の粉体回収装置は、
画像形成手段から排出される粉体を受け入れて排出口へ搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って同一直線上に配置され前記搬送路を搬送される前記粉体を収容する複数の回収容器と、
前記搬送路内でスライド移動することで前記搬送路と前記回収容器とを順次繋げる複数の開口が形成された開閉体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の粉体回収装置において、
前記開口は、スライド移動方向に遠ざかるほど基端側の前記開口に対して遠くなるように設けられている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の粉体回収装置において、
前記排出口の開口面積は、前記開口の開口面積よりも大きい、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粉体回収装置において、
前記開閉体は、前記搬送路に沿って延びるように配置され、前記搬送路の内面の一部を形成している、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の粉体回収装置において、
前記搬送路は、螺旋羽根を有し回転駆動されることで前記粉体を搬送する搬送手段を備え、前記開閉体は、前記搬送路の内面の一部を形成する面が前記搬送手段と間隙が略一定となるように形成されている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の粉体回収装置において、
前記螺旋羽根は、前記排出口に対応する領域には形成されていない、
ことを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するために、請求項7に記載の画像形成装置は、
トナー像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段から回収される粉体を回収する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粉体回収装置と、を備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、7に記載の発明によれば、回収容器の交換作業の頻度を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、開閉体をスライド移動させることで、順次開口と搬入口を繋げることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、粉体を確実に回収容器へ落下させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、搬送路内で粉体を開閉体の開口に向かって搬送することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、搬送路内で粉体を開閉体の開口に向かって効率的に搬送することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、搬送路内を搬送される粉体を回収容器内に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】画像形成装置の概略構成の一例を示す断面模式図である。
【
図2】感光体ユニット及び現像装置の構成を説明する図である。
【
図3】ベルトクリーニング装置の構成を示す断面模式図である。
【
図5】搬送オーガの螺旋羽根の形成を説明する図である。
【
図7】搬送管の排出口と開閉体の開口の開口面積を説明する図である。
【
図8】回収容器における廃棄粉体の回収を説明する図である。
【
図9】開閉体が初期位置に位置して第1の回収容器に廃棄粉体を回収する状態を説明する図である。
【
図10】開閉体がスライド移動して第2の回収容器に廃棄粉体を回収する状態を説明する図である
【
図11】開閉体がスライド移動して第3の回収容器に廃棄粉体を回収する状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0021】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
(1.1)画像形成装置の全体構成
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成の一例を示す断面模式図である。
画像形成装置1は、画像形成部10と、画像形成部10の下方に装着された給紙装置20と、画像形成部10の一端に設けられ、印刷された用紙が排紙される排紙部30と、を備えて構成されている。
【0022】
画像形成部10は、システム制御装置11(不図示)、露光装置12、画像形成手段としての感光体ユニット13及び現像装置14、転写装置15、用紙搬送装置16a、16b、16c、定着装置17、を備えて構成され、給紙装置20から送り込まれた記録媒体上にトナー画像を形成する。
【0023】
給紙装置20は、画像形成部10に対する記録媒体の供給を行う。すなわち、種類(例えば、材質や厚さ、用紙サイズ、紙目)の異なる記録媒体を収容する複数の用紙積載部21、22を備えており、これら複数の用紙積載部21、22のいずれか一つから繰り出した記録媒体を画像形成部10に対して供給するように構成されている。
【0024】
排紙部30は、画像形成部10にて画像出力が行われた記録媒体の排出を行う。そのために、排紙部30は、画像出力後の記録媒体が排出される排紙収容部を備えている。なお、排紙部30は、画像形成部10から出力される用紙束に対して、裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を行う機能を有したものであってもよい。
【0025】
(1.2)画像形成部の構成及び動作
このような構成の画像形成装置1では、画像形成のタイミングに合わせて用紙積載部21、22のうち、印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定された用紙積載部21、22から繰り出された記録媒体が画像形成部10へ送り込まれる。
【0026】
感光体ユニット13(Y、M、C、K:以下、区別して記載する必要がない場合は、単に感光体ユニット13と記す)は、露光装置12の下方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する感光体ドラム31を備えている。感光体ドラム31の回転方向にそって、帯電器32、露光装置12、現像装置14、一次転写ローラ52、クリーニング装置33が配置されている。
【0027】
現像装置14は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング41を有する。現像ハウジング41内には、感光体ドラム31に対向して配置された現像ローラ42が配設されている。現像ローラ42には、層厚を規制された現像剤が供給されて感光体ドラム31上にトナー像が形成される。
それぞれの現像装置14(Y、M、C、K:以下、区別して記載する必要がない場合は、単に現像装置14と記す)は、現像ハウジング41に収容される現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0028】
現像装置14の上方には、現像剤(キャリアを含むトナー)を収容する交換可能なトナーカートリッジTが装着されている。それぞれのトナーカートリッジT(Y、M、C、K、)から現像装置14に現像剤を供給するトナーカートリッジガイド(不図示)が配置されている。
【0029】
回転する感光体ドラム31の表面は、帯電器32により帯電され、露光装置12から出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム31上に形成された静電潜像は現像ローラ42によりトナー像として現像される。
【0030】
転写装置15は、各感光体ユニット13の感光体ドラム31にて形成された各色トナー像が多重転写される像保持体としての中間転写ベルト51、各感光体ユニット13にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト51に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ52、中間転写ベルト51上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体に一括転写(二次転写)する二次転写ローラ53とから構成されている。
【0031】
各感光体ユニット13の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、システム制御装置により制御される電源装置等(不図示)から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ52により中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
【0032】
中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って、バックアップローラ65に中間転写ベルト51を介して二次転写ローラ53が圧接配置された二次転写部TRに搬送される。
重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせて給紙装置20から用紙が二次転写部TRに供給される。そして、中間転写ベルト51を介して二次転写ローラ53と対向するバックアップローラ65には、システム制御装置により制御される電源装置から予め定められた二次転写電圧が印加され、用紙に中間転写ベルト51上の多重トナー像が一括転写される。
【0033】
一次転写後の感光体ドラム31表面の残留トナーは、クリーニング装置33により廃トナーとして除去され、多重トナー像が転写された後の中間転写ベルト51上の残留トナーも廃トナーとしてベルトクリーニング装置70により除去される。クリーニング装置33及びベルトクリーニング装置70により除去された廃トナーは、装置本体に対して脱着可能に設けられた複数の回収容器110へ搬送される。なお、本実施形態においては、クリーニング装置33及びベルトクリーニング装置70により除去された廃トナー、現像装置14から排出される余剰現像剤等を粉体、特に廃棄粉体と称する。
【0034】
定着装置17は一方向へ回転する無端状の定着ベルト17aと、定着ベルト17aの周面に接し、一方向へ回転する加圧ローラ17bとを有し、定着ベルト17aと加圧ローラ17bの圧接によって定着領域が形成される。
転写装置15においてトナー像が転写された記録媒体は、トナー像が未定着の状態で用紙搬送装置16aを経由して定着装置17の定着領域に搬送される。定着装置17に搬送された記録媒体は、一対の定着ベルト17aと加圧ローラ17bにより、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0035】
定着の終了した記録媒体は、用紙搬送装置16bを経由して排紙部30に送り込まれる。
尚、記録媒体の両面に画像出力を行う場合には、用紙搬送装置16cにより当該記録媒体の表裏が反転され、再び画像形成部10における二次転写部TRへ送り込まれる。そして、トナー像の転写および転写像の定着が行われた後に、排紙部30に送り込まれることになる。排紙部30へ送り込まれた記録媒体は、必要に応じて裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を経た後に、排紙収容部へ排出される。
【0036】
(2)粉体回収装置
図2は感光体ユニット13及び現像装置14の構成を説明する図、
図3はベルトクリーニング装置の構成を示す断面模式図、
図4は粉体回収装置100の全体構成を示す図、
図5は搬送オーガ92の螺旋羽根92aの形成を説明する図、
図6は開閉体93を示す斜視図、
図7は搬送管91の排出口91bと開閉体93の開口93A、93B、93Cの開口面積を説明する図、
図8は回収容器110における廃棄粉体の回収を説明する図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1における粉体回収経路と粉体搬送装置100の構成について説明する。
【0037】
(2.1)廃トナー及び廃棄現像剤の排出
図2に示す感光体ユニット13のクリーニング装置33は、中間転写ベルト51にトナー像が一次転写された後の感光体ドラム31上の残留トナーを清掃する。残留トナーには、トナーと外添剤のほかに、記録媒体から感光体ドラム31に付着した紙粉などの異物などが含まれる。
【0038】
クリーニングブラシ33Aは、感光体ドラム31の表面に接した状態で、
図2に矢印Bで示すように反時計回りに回転(感光体ドラム31は
図2に矢印Aで示すように時計回りに回転する)し、感光体ドラム31上の残留トナーを除去しやすいように浮き上がらせる。
クリーニングブレード33Bは、クリーニングブラシ33Aで浮き上がらせた感光体ドラム31上の残留トナーを掻き落とすことにより除去する。
【0039】
そして、回収オーガ33Cは、クリーニング装置33の下方に設けられ、回転することによりクリーニングブレード33Bで除去された残留トナーやフリッカーバー33Aaでクリーニングブラシ33Aから除去されクリーニング装置33内に収容された残留トナーを回転軸に沿ってクリーニング装置33の外部(第1搬送部80
図4参照)に向けて搬送する。
【0040】
現像装置14では、現像ハウジング41内に供給された現像剤(キャリアを含むトナー)が、撹拌オーガ43によって現像ハウジング41内で撹拌されて、供給オーガ44によって現像ローラ42に搬送される。そして、現像剤の一部分が廃棄粉体(以下、単に現像剤と記す)として、最終的に現像装置14の外部(第1搬送部80
図4参照)に排出される。
このように、現像ハウジング41内に新しい現像剤を供給すると共に、余剰となった現像剤を排出することで、劣化したキャリアを含む現像剤を用い続けることなく、新たに供給された現像剤を用いて現像が行われるようになっている。
【0041】
(2.2)転写装置からの廃トナーの回収
転写装置15の中間転写ベルト51には、二次転写部TRの中間転写ベルト51の移動方向における下流側にベルトクリーニング装置70が設けられている。
ベルトクリーニング装置70は、
図3に示すように、ハウジング71、クリーニングブラシ72、クリーニングブレード73、搬送オーガ74から構成され、二次転写後に中間転写ベルト51上に残留する未転写トナーを中間転写ベルト51から回収する。
【0042】
クリーニングブラシ72は、中間転写ベルト51の表面に接した状態で、
図3に矢印Bで示すように時計回りに回転(中間転写ベルト51は
図3に矢印Aで示すように移動)し、中間転写ベルト51上の残留トナー(紙粉等を含む)を除去しやすいように浮き上がらせる。
【0043】
クリーニングブレード73は、クリーニングブラシ72で浮き上がらせた中間転写ベルト51上の残留トナーを掻き落とすことにより除去する。
【0044】
ハウジング71には、搬送路71aが形成されている。搬送路71aは、中間転写ベルト51の移動方向と交差する装置本体の前面側から裏面側に向かって(Y方向)延びるように形成され、内部に搬送オーガ74が配置されている。
搬送オーガ74は、クリーニングブラシ72及びクリーニングブレード73で中間転写ベルト51から除去された残留トナーを後述する落下路83に向けて搬送する。
【0045】
(2.3)粉体回収装置
画像形成装置1の裏面側には、感光体ユニット13、現像装置14及び転写装置15から回収される廃棄粉体を回収する粉体回収装置100が設けられている。粉体回収装置100は、感光体ユニット13、現像装置14及び転写装置15から回収される廃棄粉体を搬送する第1搬送部80、第1搬送部80で搬送させる廃棄粉体を搬送する第2搬送部90、第2搬送部90で搬送される廃棄粉体を回収物として収容する回収容器110から構成されている。
【0046】
第1搬送部80は、中間転写ベルト51に沿って配置された各感光体ユニット13(Y、M、C、K)及び各現像装置14(Y、M、C、K)に沿って水平(X方向)に延びるように配置されている。
第1搬送部80は、全体が中空で内部に廃棄粉体を収容する搬送管81と、廃棄粉体を搬送する搬送オーガ82と、から構成されている。
【0047】
搬送管81には、各感光体ユニット13(Y、M、C、K)の回収オーガ33C(Y、M、C、K)からそれぞれ排出される廃トナーを受け入れる受け入れ口81a、及び各現像装置14(Y、M、C、K)の現像剤を受け入れる受け入れ口81bが形成されている。
【0048】
搬送オーガ82は、回転軸の周りに螺旋羽根が形成され、駆動源(不図示)から回転力を受けて搬送管81内の内壁に沿って回転することで、受け入れ口81a及び81bから受け入れた廃棄粉体を搬送管81内で搬送する(
図4中 X方向:矢印R1参照)。
搬送管81内を搬送オーガ82で搬送される廃棄粉体は、排出口81cに到達すると落下路83に落下する。
【0049】
落下路83は、管状部材83aと、管状部材83aの内部空間において上下方向に振動するように進退して内壁に付着する廃棄粉体を取り崩すアジテータ83bと、アジテータ83bを進退させるための駆動力を伝達する駆動源(不図示)とで構成され、第1搬送部80の排出口81c及びベルトクリーニング装置70の排出口71Bに対して略鉛直方向に配置されている。
落下路83は、第1搬送部80及びベルトクリーニング装置70から受け入れた廃棄粉体を第2搬送部90に向けて、アジテータ83bで撹拌しながら落下させる(
図4中 矢印R2参照)。
【0050】
第2搬送部90は、全体が中空で内部に廃棄粉体を収容する搬送路としての搬送管91と、廃棄粉体を搬送する搬送オーガ92と、複数の開口93A、93B、93Cが形成された開閉体93から構成されている。
【0051】
搬送管91には、落下路83から廃棄粉体を受け入れる受入口91aと、搬送管91内の廃棄粉体を回収容器110の搬入口114(
図8 参照))へ向けて落下させる排出口91bが形成されている。
【0052】
搬送オーガ92は、回転軸の周りに螺旋羽根92aが形成され、駆動源M1から回転力を受けて搬送管91内の内壁に沿って回転することで、受入口91aから受け入れた廃棄粉体を搬送管91内で搬送する(
図4中 -X方向:矢印R3参照)。
搬送オーガ92は、
図5に示すように、搬送管91の排出口91bに対応する領域(
図5中 Wで表示)には螺旋羽根92aが形成されてない。これにより、搬送管91内を搬送オーガ92で搬送される廃棄粉体は、開閉体93の開口93A、93B、93Cに到達すると搬送管91に形成された排出口91bを介して複数の回収容器110のいずれかに落下するようになっている。
【0053】
開閉体93は、
図6に示すように、全体が板状で長手方向に沿って、複数(本実施形態においては3つ)の開口93A、93B、93Cが開閉体93の厚み方向に貫通するように形成されている。
それぞれの開口93B、93Cは、
図6中 矢印Rで示すスライド移動方向に遠ざかるほど基端側の開口93Aに対して遠くなるように設けられている(
図6中 B>A)。これにより、開閉体93をスライド移動させることで、開口93B、93Cと搬送管91の排出口91b及び複数の回収容器110の搬入口114を順次繋げることができる。
【0054】
また、
図7(a)に示すように、開閉体93の内面93aは、搬送管91の内面の一部を形成するように内面93aが搬送オーガ92と間隙Gが略一定となるように断面視でR形状に形成されている。これにより、搬送管91内で廃棄粉体を開口93B、93Cに向かって確実に搬送することができる。
【0055】
また、
図7(a)、(b)に示すように、搬送管91の排出口91bの開口面積S1は、開閉体93の開口93A、93B、93Cの開口面積S2よりも大きく形成されている。これにより、開閉体93がスライド移動して開口93B、93Cと搬送管91の排出口91bが繋がった場合に、廃棄粉体を確実に回収容器110に向かって落下させることができる。
【0056】
回収容器110は、
図4に示すように、搬送管91における廃棄粉体の搬送方向に沿って同一直線上に並ぶように複数配置されている。それぞれの回収容器110は、
図8に示すように、全体が箱型の容器であり、回収容器110の前面側(-Y方向)には、装置本体(
図1参照)に対して回収容器110を着脱する際に利用される把手111が突出形成されている。また、回収容器110の中央部上側には、回収容器110の持ち運びを容易とするために設けられた持ち手(凹み)112が形成されている。
【0057】
回収容器110の裏面側(Y方向)上部側面には、第2搬送部90の搬送管91の下方に設けられた搬送パイプ91Aを挿入可能な挿入口113が設けられている。搬送パイプ91A内には、回転可能な搬送オーガ91Aaが設けられ、搬送管91の排出口91bから落下する廃棄粉体を回収容器110に搬送する。搬送パイプ91Aの端部側下部には、搬送されてきた廃棄粉体を排出するための排出口91Abが設けられている。そして、回収容器110における挿入口113の内側下部には、上部に向かって開口し、搬送パイプ91Aの排出口91Abから排出されてくる廃棄粉体を受け入れる搬入口114が設けられている。
【0058】
回収容器110の裏面側(Y方向)略中央部側面には、回転自在に設けられたカップリング部材115が装着され、カップリング部材115には、回収容器110内に延びる搬送オーガ116が取り付けられている。搬送オーガ116は、装置本体の駆動系(不図示)で回転駆動されるカップリング部材115の回転に伴って回転し、回収された廃棄粉体を回収容器110の前面側(-Y方向)に向けて搬送し堆積させる。
【0059】
このように構成される粉体回収装置100を備えた画像形成装置1においては、開閉体93をスライド移動させて廃棄粉体を回収する複数の回収容器110を切り替えることで、画像形成動作を継続しながら満杯になった回収容器110の交換頻度を減らすことができる。
【0060】
(3)粉体回収装置の動作
図9は開閉体93が初期位置に位置して第1の回収容器110Aに廃棄粉体を回収する状態を説明する図、
図10は開閉体93がスライド移動して第2の回収容器110Bに廃棄粉体を回収する状態を説明する図、
図11は開閉体93がスライド移動して第3の回収容器110Cに廃棄粉体を回収する状態を説明する図である。
【0061】
図9に示すように、開閉体93は、駆動源M2が回転することで、搬送管91の長さ方向にスライド移動可能に搬送管91の内面に嵌め込まれている。そして、開閉体93が初期位置に位置した状態では、開閉体93のスライド移動方向における基端側の開口93Aと搬送管91の排出口91bが合わさって、搬送管91が複数の回収容器110のうち、装置右側(X方向)の第1の回収容器110Aと繋がる。これにより、廃棄粉体は第1の回収容器110Aに回収される(
図9中 矢印参照)。
【0062】
次に、第1の回収容器110A内の廃棄粉体が満杯になった場合、駆動源M2が回転することで、開閉体93は、
図10に示すように、開口93Bが搬送管91の排出口91bが合わさる位置までスライド移動する(
図10における矢印R参照)。開閉体93のそれぞれの開口93B、93Cは、スライド移動方向に遠ざかるほど基端側の開口93Aに対して遠くなるように設けられていることから、中央部の開口93Bが搬送管91の排出口91bが合わさる位置までスライド移動すると、開口93Aと開口93Cは搬送管91の排出口91bに合わさることがない。
これにより、搬送管91が複数の回収容器110のうち、第2の回収容器110Bと繋がり、廃棄粉体は第2の回収容器110Bに回収される(
図10中 矢印参照)。
【0063】
次に、第2の回収容器110B内の廃棄粉体が満杯になった場合、駆動源M2が回転することで、開閉体93は、
図11に示すように、開口93Cが搬送管91の排出口91bが合わさる位置までスライド移動する(
図11における矢印R参照)。これにより、開口93Aと開口93Bは搬送管91の排出口91bに合わさることがなく、搬送管91が複数の回収容器110のうち、第3の回収容器110Cと繋がり、廃棄粉体は第3の回収容器110Cに回収される(
図11中 矢印参照)。
【0064】
このように、本実施形態に係る粉体回収装置100は、同一直線上に配置された複数の回収容器110と、スライド移動することで搬送管91と回収容器110の搬入口114を順次繋げる複数の開口93A、93B、93Cが形成された開閉体93と、を備えている。これにより、ひとつの回収容器110が満杯になった場合、画像形成装置1の画像形成動作を継続しながら、開閉体93をスライド移動させることで、廃棄粉体の搬送先を他の回収容器110を切り替えて廃棄粉体の回収を継続することができる。回収容器110は、同一直線上に並んで配置されているために、画像形成装置1内における回収容器110の配置スペースを増加させることなく、複数の回収容器110を配置することができる。
【0065】
本実施形態においては、廃棄粉体の搬送方向に沿って3つの回収容器110A、110B、110Cが並んで配置されている態様について説明したが、画像形成装置1の内部スペースに応じて多数の回収容器110を同一直線上に並んで配置することができる。これにより、所定数の回収容器110が満杯になった後、一回の交換操作で複数の回収容器を交換することができ、回収容器110の交換頻度を減らすことができる。
【0066】
本実施形態においては、画像形成装置1のクリーニング装置33及びベルトクリーニング装置70により除去された廃トナー、現像装置14から排出される余剰現像剤等を廃棄粉体として回収する粉体回収装置100について説明したが、粉体回収装置100で回収する粉体としては、ファインセラミックス、金属材料、高分子材料、電池・電子材料、複合材料、医薬品材料、食品材料など、電子、エネルギ、医療、食品などの各種技術分野にて用いられる無機物および有機物の粉体を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・画像形成装置
10・・・画像形成部
11・・・システム制御装置
12・・・露光装置
13・・・感光体ユニット
14・・・現像装置
15・・・転写装置
17・・・定着装置
20・・・給紙装置
30・・・排紙部
70・・・ベルトクリーニング装置
100・・・粉体回収装置
80・・・第1搬送部
81・・・搬送管
82・・・搬送オーガ
90・・・第2搬送部
91・・・搬送管
92・・・搬送オーガ
93・・・開閉体
93A、93B、93C・・・開口
110・・・回収容器