(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】超音波センサ、物体検知装置、および物体検知プログラム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/32 20060101AFI20240109BHJP
G01S 7/521 20060101ALI20240109BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
H04R1/32 330
G01S7/521 A
G01S15/931
(21)【出願番号】P 2020050359
(22)【出願日】2020-03-20
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 春香
(72)【発明者】
【氏名】深堀 兼史
(72)【発明者】
【氏名】上月 康平
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139871(JP,A)
【文献】国際公開第2013/047544(WO,A1)
【文献】特開2010-239346(JP,A)
【文献】特開2012-026878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
G01S 7/521
G01S 15/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサ(1)であって、
超音波トランスデューサ
(4)と、
制御回路素子(25)と、
を備え、
前記超音波トランスデューサは、
中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(51)と、超音波振動可能なダイアフラム(50)を構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(52)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)と、
前記側板部と前記底板部とで囲まれた内部空間(53)に面するように、前記底板部に固定的に支持された、電気信号と超音波振動とを変換する超音波素子(6)と、
を備え、
前記ダイアフラムには、第一指向特性を有する第一送信波と、前記第一指向特性とは異なる指向特性であって前記軸方向の音圧が低減された第二指向特性を有する第二送信波とを生成可能に、第一の前記超音波素子と第二の前記超音波素子とがそれぞれ1個ずつ設けられ、
前記第一の前記超音波素子は、前記軸方向と直交する面内方向における前記ダイアフラムの中心位置(PC)に配置され、
前記第二の前記超音波素子は、前記中心位置に対して前記面内方向にオフセットした位置に配置され、
前記中心位置は、前記第一指向特性に対応する前記ダイアフラムの第一振動モードにおける腹位置、且つ、前記第二指向特性に対応する前記ダイアフラムの第二振動モードにおける節位置であり、
前記制御回路素子は、
前記第一振動モードと前記第二振動モードとを切り換えるように前記超音波トランスデューサに電気接続されており、前記第一の前記超音波素子を駆動する一方で
前記第二の前記超音波素子を非駆動とすることで前記第一送信波を生成するとともに、
前記第一の前記超音波素子を非駆動とする一方で
前記第二の前記超音波素子を駆動することで前記第二送信波を生成する、
超音波センサ。
【請求項2】
前記第二の前記超音波素子は、前記第二振動モードにおける腹位置に配置された、
請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
超音波センサ(1)であって、
超音波トランスデューサ
(4)と、
制御回路素子(25)と、
を備え、
前記超音波トランスデューサは、
中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(51)と、超音波振動可能なダイアフラム(50)を構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(52)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)と、
前記側板部と前記底板部とで囲まれた内部空間(53)に面するように、前記底板部に固定的に支持された、電気信号と超音波振動とを変換する超音波素子(6)と、
を備え、
前記超音波素子は、第一指向特性を有する第一送信波と、前記第一指向特性とは異なる指向特性であって前記軸方向の音圧が低減された第二指向特性を有する第二送信波とを生成可能に、前記軸方向と直交する面内方向における前記ダイアフラムの中心位置(PC)を挟んで対称に一対設けられ、
前記中心位置は、前記第一指向特性に対応する前記ダイアフラムの第一振動モードにおける腹位置、且つ、前記第二指向特性に対応する前記ダイアフラムの第二振動モードにおける節位置であり、
前記制御回路素子は、一対の前記超音波素子の駆動タイミングを、同相と逆相とで切り換える、
超音波センサ。
【請求項4】
前記一対の前記超音波素子のうちの一方は、前記第二振動モードにおける腹位置に配置された、
請求項3に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記トランスデューサケースは、前記内部空間側に突出するように前記側板部または前記底板部に設けられた突起部(523)をさらに有する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1つに記載の前記
超音波センサを搭載した車両(V)の周囲に存在する物体を、前記
超音波センサを用いて検知するように構成された、物体検知装置(700)であって、
前記超音波トランスデューサから送信された送信波の前記物体による反射波の振幅に対応する振幅情報を取得する、振幅情報取得部(741)と、
前記反射波に基づいて、前記物体との距離に対応する測距情報を取得する、測距情報取得部(742)と、
前記車両の車高方向について前記中心軸を挟んで略対称な前記第二指向特性を有する前記送信波である前記第二送信波の前記反射波に基づいて取得された、前記測距情報および/または前記振幅情報に基づいて、前記車両の進行の障害となる前記物体である障害物の存在を判定する、判定部(706)と、
を備えた物体検知装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記測距情報に対応する前記距離の変化に伴う、前記振幅情報に対応する前記振幅の変化態様に基づいて、前記障害物の存在を判定する、
請求項
6に記載の物体検知装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記振幅または前記振幅の変化と、前記第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、前記障害物の存在を判定する、
請求項
6または7に記載の物体検知装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記測距情報と、前記第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、前記障害物の存在を判定する、
請求項
6に記載の物体検知装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記車両における前記超音波トランスデューサの搭載条件に応じて、前記判定閾値を変更する、
請求項
8または9に記載の物体検知装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記第一送信波の前記反射波に対応する前記振幅と、前記第二送信波の前記反射波に対応する前記振幅とに基づいて、前記障害物の存在を判定する、
請求項
6に記載の物体検知装置。
【請求項12】
前記判定部は、第一の前記超音波トランスデューサから送信された前記送信波に対応する前記反射波に基づく前記障害物の存在判定結果と、第二の前記超音波トランスデューサから送信された前記送信波に対応する前記反射波に基づく前記障害物の存在判定結果とに基づいて、前記障害物の存在を判定する、
請求項
6~11のいずれか1つに記載の物体検知装置。
【請求項13】
前記第一の前記超音波トランスデューサと、前記第二の前記超音波トランスデューサとは、前記車高方向における搭載位置が異なる、
請求項
12に記載の物体検知装置。
【請求項14】
請求項1~
5のいずれか1つに記載の前記
超音波センサを用いて当該
超音波センサを搭載した車両(V)の周囲に存在する物体を検知するように構成された物体検知装置(700)にて実行される、物体検知プログラムであって、
前記物体検知装置によって実行される処理は、
前記超音波トランスデューサから送信された送信波の前記物体による反射波の振幅に対応する振幅情報を取得する処理と、
前記反射波に基づいて、前記物体との距離に対応する測距情報を取得する処理と、
前記車両の車高方向について前記中心軸を挟んで略対称な前記第二指向特性を有する前記送信波である前記第二送信波の前記反射波に基づいて取得された、前記測距情報および/または前記振幅情報に基づいて、前記車両の進行の障害となる前記物体である障害物の存在を判定する処理と、
を含む物体検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波トランスデューサを備えた超音波センサに関する。また、本発明は、かかる超音波トランスデューサを用いて物体を検知する物体検知装置、および、かかる物体検知装置にて実行される物体検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の超音波送受波器は、大きさの異なる2つの有底筒状ケースを備えている。具体的には、かかる超音波送受波器は、形状の大きい一方の有底筒状ケースの底面と、他方の有底筒状ケースの開口部とを固着し、当該他方の有底筒状ケースの底面外部に圧電素子を貼り合せた構成を有している。
【0003】
かかる構成によれば、1つの超音波送受波器で異なる2つの共振周波数を発生させることができる。これにより、1つの超音波送受波器により近距離および遠距離の検知を行うことが可能となる。具体的には、例えば、遠距離を検知するためには、地面等による誤検知をなくすため、指向特性を鋭くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の超音波送受波器においては、異なる2つの共振周波数の各々における指向特性は、ともに、中心軸上で最大音圧となり、当該中心軸を中心とした軸対称の略紡錘形状となる。異なる2つの共振周波数同士の指向特性の違いは、主として、指向角すなわち音圧半減角の違いとして現れる。このため、例えば、近距離検知した物体が、地面から突出した輪留め等の低背突起物であるか超音波送受波器の正面に存在する壁等の高背構造物であるかの区別が困難であった。
【0006】
本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、従来技術よりも物体検知性能に優れた超音波トランスデューサを備えた超音波センサを提供する。あるいは、本発明は、例えば、かかる超音波センサを用いて物体を検知する、物体検知装置および物体検知プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の超音波センサ(1)は、
超音波トランスデューサ(4)と、
制御回路素子(25)と、
を備え、
前記超音波トランスデューサは、
中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(51)と、超音波振動可能なダイアフラム(50)を構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(52)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)と、
前記側板部と前記底板部とで囲まれた内部空間(53)に面するように、前記底板部に固定的に支持された、電気信号と超音波振動とを変換する超音波素子(6)と、
を備え、
前記ダイアフラムには、第一指向特性を有する第一送信波と、前記第一指向特性とは異なる指向特性であって前記軸方向の音圧が低減された第二指向特性を有する第二送信波とを生成可能に、第一の前記超音波素子と第二の前記超音波素子とがそれぞれ1個ずつ設けられ、
前記第一の前記超音波素子は、前記軸方向と直交する面内方向における前記ダイアフラムの中心位置(PC)に配置され、
前記第二の前記超音波素子は、前記中心位置に対して前記面内方向にオフセットした位置に配置され、
前記中心位置は、前記第一指向特性に対応する前記ダイアフラムの第一振動モードにおける腹位置、且つ、前記第二指向特性に対応する前記ダイアフラムの第二振動モードにおける節位置であり、
前記制御回路素子は、前記第一振動モードと前記第二振動モードとを切り換えるように前記超音波トランスデューサに電気接続されており、前記第一の前記超音波素子を駆動する一方で前記第二の前記超音波素子を非駆動とすることで前記第一送信波を生成するとともに、前記第一の前記超音波素子を非駆動とする一方で前記第二の前記超音波素子を駆動することで前記第二送信波を生成する。
請求項3に記載の超音波センサ(1)は、
超音波トランスデューサ(4)と、
制御回路素子(25)と、
を備え、
前記超音波トランスデューサは、
中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(51)と、超音波振動可能なダイアフラム(50)を構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(52)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)と、
前記側板部と前記底板部とで囲まれた内部空間(53)に面するように、前記底板部に固定的に支持された、電気信号と超音波振動とを変換する超音波素子(6)と、
を備え、
前記超音波素子は、第一指向特性を有する第一送信波と、前記第一指向特性とは異なる指向特性であって前記軸方向の音圧が低減された第二指向特性を有する第二送信波とを生成可能に、前記軸方向と直交する面内方向における前記ダイアフラムの中心位置(PC)を挟んで対称に一対設けられ、
前記中心位置は、前記第一指向特性に対応する前記ダイアフラムの第一振動モードにおける腹位置、且つ、前記第二指向特性に対応する前記ダイアフラムの第二振動モードにおける節位置であり、
前記制御回路素子は、一対の前記超音波素子の駆動タイミングを、同相と逆相とで切り換える。
請求項6に記載の物体検知装置(700)は、前記超音波センサを搭載した車両(V)の周囲に存在する物体を、前記超音波センサを用いて検知するように構成されている。
この物体検知装置は、
前記超音波トランスデューサから送信された送信波の前記物体による反射波の振幅に対応する振幅情報を取得する、振幅情報取得部(741)と、
前記反射波に基づいて、前記物体との距離に対応する測距情報を取得する、測距情報取得部(742)と、
前記車両の車高方向について前記中心軸を挟んで略対称な前記第二指向特性を有する前記送信波である前記第二送信波の前記反射波に基づいて取得された、前記測距情報および/または前記振幅情報に基づいて、前記車両の進行の障害となる前記物体である障害物の存在を判定する、判定部(706)と、
を備えている。
請求項14に記載の物体検知プログラムは、前記超音波センサを用いて当該超音波センサを搭載した車両(V)の周囲に存在する物体を検知するように構成された物体検知装置(700)にて実行されるプログラムであって、
前記物体検知装置によって実行される処理は、
前記超音波トランスデューサから送信された送信波の前記物体による反射波の振幅に対応する振幅情報を取得する処理と、
前記反射波に基づいて、前記物体との距離に対応する測距情報を取得する処理と、
前記車両の車高方向について前記中心軸を挟んで略対称な前記第二指向特性を有する前記送信波である前記第二送信波の前記反射波に基づいて取得された、前記測距情報および/または前記振幅情報に基づいて、前記車両の進行の障害となる前記物体である障害物の存在を判定する処理と、
を含む。
【0008】
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を、単に示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る超音波センサを搭載した車両の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された超音波センサの概略的な装置構成を示す断面図である。
【
図3】
図2に示された超音波トランスデューサの第一構成例を示す底面図である。
【
図4】
図2に示された超音波トランスデューサの第二構成例を示す斜視図である。
【
図5A】
図4に示されたトランスデューサケースに設けられたダイアフラムにおける第一振動モードを示す断面図である。
【
図5B】
図4に示されたトランスデューサケースに設けられたダイアフラムにおける第一振動モードを示す斜視図である。
【
図6A】
図4に示されたトランスデューサケースに設けられたダイアフラムにおける第二振動モードを示す断面図である。
【
図6B】
図4に示されたトランスデューサケースに設けられたダイアフラムにおける第二振動モードを示す斜視図である。
【
図7】
図3および
図4に示された超音波トランスデューサにおける指向特性を示す図である。
【
図8】
図2に示された超音波トランスデューサの第三構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図2に示された超音波トランスデューサの第四構成例を示す断面図である。
【
図10】
図9に示された超音波トランスデューサの底面図である。
【
図11】
図2に示された超音波トランスデューサの第五構成例を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示された超音波トランスデューサの断面図である。
【
図13】
図11および
図12に示された超音波トランスデューサに設けられた一対の超音波素子を同相駆動した場合の指向特性を示す図である。
【
図14】
図11および
図12に示された超音波トランスデューサに設けられた一対の超音波素子を逆相駆動した場合の指向特性を示す図である。
【
図15】
図2に示された超音波トランスデューサの第六構成例を示す斜視図である。
【
図16】
図15に示された超音波トランスデューサの断面図である。
【
図17】
図15および
図16に示された超音波トランスデューサにおける指向特性を示す図である。
【
図18】
図15および
図16に示された超音波トランスデューサにおける指向特性を示す図である。
【
図19】第二実施形態に係る物体検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図20】
図19に示された物体検知装置の動作概要を示す概念図である。
【
図21】
図19に示された物体検知装置の第一動作例を示すフローチャートである。
【
図22】
図19に示された物体検知装置の第二動作例を示すフローチャートである。
【
図23】
図19に示された物体検知装置の第三動作例の概要を示すグラフである。
【
図24】
図19に示された物体検知装置の第三動作例を示すフローチャートである。
【
図25】
図19に示された物体検知装置の第四動作例を示すフローチャートである。
【
図26】
図19に示された物体検知装置の第五動作例を示すフローチャートである。
【
図27】
図19に示された物体検知装置の第六動作例を示すフローチャートである。
【
図28】第三実施形態に係る物体検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図29】
図28に示された物体検知装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図30】第四実施形態に係る物体検知装置を搭載した車両の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中には挿入せず、その後にまとめて説明する。
【0011】
(第一実施形態:センサ構成)
図1を参照すると、車両Vは、いわゆる四輪自動車であって、箱状の車体V1を備えている。車体V1の前端部には、車体部品であるフロントバンパーV2が装着されている。車体V1の後端部には、車体部品であるリアバンパーV3が装着されている。
【0012】
超音波センサ1は、いわゆる車載のクリアランスソナーであって、フロントバンパーV2およびリアバンパーV3に装着されている。フロントバンパーV2およびリアバンパーV3には、超音波センサ1を装着するための貫通孔である装着孔V4が設けられている。フロントバンパーV2に設けられた装着孔V4は、バンパー外表面V5にてフロントバンパーV2の外部すなわち前方に向かって開口するように形成されている。以下、超音波センサ1が、車両Vに搭載された状態、すなわち、フロントバンパーV2またはリアバンパーV3に装着された状態を、「車載状態」と称する。また、超音波センサ1を搭載した車両Vを、「自車両」と称することがある。
【0013】
(超音波センサ)
図2は、超音波センサ1の全体構成を、フロントバンパーV2に装着された車載状態で示す。説明の便宜上、Y軸が中心軸DAと平行となり且つ車載状態にてZ軸が車高方向と平行となるように、図示の通りに右手系XYZ直交座標系を設定する。中心軸DAは、超音波センサ1における超音波の送受信方向に沿って延びる仮想直線である。中心軸DAと平行な方向を「軸方向」と称する。車高方向は、自車両を水平面上に安定的に載置した状態における重力作用方向と平行な方向である。また、
図2における上側、すなわち、Y軸正方向側を、軸方向における「先端側」と称することがある。同様に、
図2における下側、すなわち、Y軸負方向側を、軸方向における「基端側」と称することがある。さらに、軸方向と直交する任意の方向を「面内方向」と称することがある。すなわち、「面内方向」は、XZ平面と平行な方向である。
【0014】
図2を参照すると、本実施形態においては、超音波センサ1は、中心軸DAが略水平となるように、自車両に搭載されている。超音波センサ1は、センサケース2と、弾性保持部材3と、超音波トランスデューサ4とを備えている。超音波トランスデューサ4は、トランスデューサケース5と超音波素子6とを備えている。以下、超音波センサ1を構成する各部の構成について説明する。
【0015】
超音波センサ1の筐体を構成するセンサケース2は、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂によって一体に形成されている。センサケース2は、ケース本体部21と、コネクタ部22と、ケース筒部23とを有している。
【0016】
ケース本体部21は、軸方向における基端側が開口する箱状に形成されている。コネクタ部22は、超音波センサ1をECUと電気接続するために設けられている。ECUはElectronic Control Unitの略である。コネクタ部22は、ケース本体部21における側壁部から、中心軸DAから離隔する外側に向かって延設されている。
【0017】
センサケース2における、中心軸DAを囲む略円筒状の部分であるケース筒部23は、ケース本体部21から軸方向における先端側に向けて突設されている。ケース筒部23は、弾性保持部材3の軸方向における基端部を保持するように構成されている。ケース筒部23の内側のシリンダ状の空間は、ケース本体部21の内側の空間と連通するように設けられている。センサケース2内には、回路基板24と、制御回路素子25と、配線部26と、ダンパ部材27と、ケース充填材28とが配置されている。
【0018】
回路基板24は、ケース本体部21に収容されている。回路基板24には、超音波センサ1の動作を制御する制御回路素子25が実装されている。制御回路素子25は、いわゆる集積回路素子であって、超音波トランスデューサ4における送受信動作を制御するように構成されている。配線部26は、超音波トランスデューサ4と回路基板24とを電気接続するように設けられている。すなわち、制御回路素子25は、回路基板24に設けられた不図示の回路および配線部26を介して、超音波トランスデューサ4に電気接続されている。
【0019】
ダンパ部材27は、超音波トランスデューサ4からセンサケース2への振動伝達を抑制するよう設けられている。具体的には、ダンパ部材27は、絶縁性且つ弾性を有する発泡シリコーン等の発泡弾性体によって形成されている。ダンパ部材27は、弾性保持部材3の内径に対応する外径を有する円盤状に形成されている。ダンパ部材27は、軸方向における超音波トランスデューサ4よりも基端側にて、弾性保持部材3の内側のシリンダ状の空間内に嵌め込まれている。
【0020】
センサケース2の内側の空間には、ケース充填材28が充填されている。ケース充填材28は、シリコーンゴム等の絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成されている。
【0021】
弾性保持部材3は、中心軸DAを軸中心とする略円筒形状に形成されている。弾性保持部材3は、センサケース2に設けられたケース筒部23の軸方向における先端部にて保持されている。弾性保持部材3は、絶縁性且つ弾性を有するシリコーンゴム等の合成樹脂系弾性材料によって形成されている。
【0022】
弾性保持部材3は、超音波トランスデューサ4の軸方向における先端面を露出させつつ基端側を覆った状態で、超音波トランスデューサ4を支持するように構成されている。すなわち、超音波トランスデューサ4は、弾性保持部材3を介して、センサケース2により弾性的に支持されている。
【0023】
(超音波トランスデューサ)
超音波トランスデューサ4は、送受信一体型の超音波マイクロフォンとしての機能を有している。すなわち、超音波トランスデューサ4は、超音波を送受信可能に構成されている。具体的には、超音波トランスデューサ4は、超音波である送信波を送信するように構成されている。また、超音波トランスデューサ4は、自車両の周囲に存在する物体による送信波の反射波を受信して、受信した反射波の強度および周波数に対応する信号を発生するように構成されている。
【0024】
(第一構成例)
以下、
図2および
図3を参照しつつ、本実施形態に係る超音波トランスデューサ4の構成の詳細について説明する。なお、
図3に示された右手系XYZ直交座標系は、
図2に示された右手系XYZ直交座標系と同一である。
【0025】
トランスデューサケース5は、中心軸DAを囲む有底筒状に形成されている。本実施形態においては、トランスデューサケース5は、中心軸DAを軸中心とする円柱状の外形形状を有している。また、トランスデューサケース5は、アルミニウム等の金属によって、継ぎ目なく一体に形成されている。
【0026】
トランスデューサケース5は、超音波振動可能なダイアフラム50を有している。ダイアフラム50は、トランスデューサケース5における軸方向と平行な厚さ方向を有する薄板状の部分であって、外縁部を固定端すなわち節位置として撓み変形しつつ超音波帯域内の所定周波数で振動するように設けられている。
【0027】
本実施形態においては、ダイアフラム50は、厚さが一定の平板状に形成されている。また、
図3に示されているように、ダイアフラム50は、互いに直交する長手方向および短手方向を有するオーバル状に形成されている。具体的には、ダイアフラム50は、Z軸方向を長手方向
としX軸方向を短手方向とする角丸長方形状あるいは長円状に形成されている。これにより、超音波トランスデューサ4は、
Z軸方向にて
X軸方向よりも狭い指向角を有するように構成されている。以下、ダイアフラム50のオーバル形状における長手方向を、単に「長手方向」と称する。「短手方向」についても同様である。
【0028】
すなわち、ダイアフラム50は、一対の円弧部50aと一対の弦部50bとで囲まれた領域によって形成されている。円弧部50aは、中心軸DAに向かって開口するように、長手方向におけるダイアフラム50の両端部に設けられている。弦部50bは、一対の円弧部50aにおける互いに対向する端部同士を接続するように、短手方向におけるダイアフラム50の両端部にて長手方向に延設されている。
【0029】
トランスデューサケース5は、側板部51と底板部52とを有している。側板部51は、中心軸DAを囲む筒状に形成されている。ダイアフラム50を構成する底板部52は、側板部51の軸方向における一端側すなわち先端側を閉塞するように設けられている。底板部52は、側板部51の軸方向における先端部と継ぎ目なく一体的に結合されている。側板部51と底板部52とで囲まれた内部空間53は、軸方向における基端側に向けて開口するように設けられている。
【0030】
側板部51は、薄肉部511と厚肉部512とを有している。薄肉部511は、中心軸DAと直交する径方向について所定厚さを有する部分円筒状に形成されている。「径方向」は、中心軸DAから放射状に延びる方向である。すなわち、径方向は、中心軸DAを法線とする平面上にて、当該平面と中心軸DAとの交点を中心とする仮想円を描いた場合の、当該仮想円の半径方向である。
【0031】
薄肉部511は、オーバル形状のダイアフラム50の長手方向における両端部、すなわち、周方向について円弧部50aに対応する位置に設けられている。「周方向」は、上記の仮想円の円周方向である。一対の薄肉部511は、中心軸DAを挟んで互いに対向するように配置されている。
【0032】
厚肉部512は、径方向について薄肉部511よりも厚く形成されている。厚肉部512は、オーバル形状のダイアフラム50の短手方向における両端部、すなわち、周方向について弦部50bに対応する位置に設けられている。一対の厚肉部512は、中心軸DAを挟んで互いに対向するように配置されている。厚肉部512は、中心軸DAと直交する断面による断面視にて、略弓形に形成されている。
【0033】
底板部52における、内部空間53に面する表面である内面521は、ダイアフラム50の底面を構成する表面であって、ダイアフラム50と同一形状のオーバル状に形成されている。底板部52すなわちダイアフラム50における、内面521の裏面すなわち反対側の面である外面522は、露出方向DDに向けて露出するように設けられている。露出方向DDは、軸方向と平行であって、内面521から外面522に向かう方向である。外面522上には、バンパー外表面V5と略同色の塗装膜等の、不図示の保護膜が形成されている。かかる保護膜の、外面522との接合面とは反対側の外表面によって、超音波トランスデューサ4の軸方向における先端面が形成されている。
【0034】
トランスデューサケース5は、側板部51と底板部52とで囲まれた内部空間53に超音波素子6を保持するように構成されている。すなわち、超音波素子6は、内部空間53に面するように、底板部52に固定的に支持されている。具体的には、超音波素子6は、内面521側にてダイアフラム50に固定されている。
【0035】
超音波素子6は、電気信号と超音波振動とを変換するように構成されている。具体的には、超音波素子6は、圧電素子であって、軸方向に厚さ方向を有する薄膜状に形成されている。
【0036】
本実施形態においては、ダイアフラム50には、超音波素子6が1個のみ設けられている。また、超音波素子6は、面内方向におけるダイアフラム50の中心位置PCに対して面内方向すなわち径方向にオフセットした位置に配置されている。中心位置PCは、中心軸DAと内面521との交点の位置である。
【0037】
超音波素子6は、Y軸と平行な視線で見た平面形状が略円形状に形成されている。超音波素子6は、車載状態にて素子中心PPが中心位置PCから鉛直上方すなわちZ軸正方向側にシフトするように設けられている。素子中心PPは、面内方向における超音波素子6の外形形状の中心である。具体的には、超音波素子6の平面形状が略円形状あるいは略楕円形状である場合、素子中心PPは、略円形状あるいは略楕円形状における中心である。
【0038】
本実施形態に係る超音波トランスデューサ4は、上記のように超音波素子6を設けることで、第一指向特性を有する第一送信波と、第二指向特性を有する第二送信波とを生成可能に構成されている。第一指向特性は、中心軸DA上にて最大音圧となるような紡錘形状の指向特性(すなわち
図7における点線で示された指向特性)であって、通常の指向特性とも称され得る。第二指向特性は、第一指向特性とは異なる指向特性であって、軸方向の音圧が低減された指向特性(すなわち
図7における実線で示された指向特性)である。すなわち、第二指向特性は、Z軸方向についての中心軸DAを挟んだ略対称性を保持しつつ、第一指向特性のような紡錘形状の指向特性における中心軸DA上の音圧を著しく低減した、略「ハート」形の指向特性である。
【0039】
中心位置PCは、第一指向特性に対応するダイアフラム50の第一振動モードにおける腹位置、且つ、第二指向特性に対応するダイアフラム50の第二振動モードにおける節位置である。本実施形態においては、超音波素子6は、中心位置PCとは異なる位置に設けられている。すなわち、超音波素子6は、面内方向について中心位置PCとは重ならない位置に配置されている。換言すれば、Y軸と平行な視線で見た場合、すなわち、超音波素子6と中心位置PCとをXZ平面上に投影した場合、中心位置PCは、超音波素子6の外形形状の外側に設けられている。あるいは、超音波素子6は、鉛直線LZ上における中心位置PCと薄肉部511との間に配置されている。鉛直線LZは、中心軸DAを含みYZ平面と平行な平面と、内面521を含みXZ平面と平行な平面との交線である。これに対し、中心軸DAを含みXY平面と平行な平面と、内面521を含みXZ平面と平行な平面との交線を、水平線LXと称する。
【0040】
本実施形態においては、超音波素子6は、第二振動モードにおける腹位置に配置されている。具体的には、超音波素子6は、素子中心PPの面内方向位置が第二振動モードにおける腹位置と略一致するように設けられている。
【0041】
(第二構成例)
図4に示された超音波トランスデューサ4は、トランスデューサケース5の形状を上記構成から変更したものである。すなわち、
図4に示された超音波トランスデューサ4においては、トランスデューサケース5の側板部51は、均一な厚さを有し中心軸DAを囲む円筒状に形成されている。換言すれば、
図4に示された構成は、
図3に示された構成において厚肉部512を薄肉部511に変更したものに対応する。
【0042】
(効果)
以下、本実施形態の構成による動作の概要を、同構成により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。
【0043】
上記構成を有する超音波センサ1においては、有底筒状のトランスデューサケース5の内側に収容された超音波素子6が駆動されると、超音波素子6が超音波振動する。超音波素子6が超音波振動することで、トランスデューサケース5が励振される。すると、トランスデューサケース5と超音波素子6とによって構成される超音波トランスデューサ4が、所定の振動モードで振動する。これにより、送信波がダイアフラム50から露出方向DDに沿って発信される。
【0044】
以下、説明の単純化のために、
図4に示されたトランスデューサケース5における振動モードを用いて、超音波トランスデューサ4の指向特性について説明する。
図5Aおよび
図5Bは、共振周波数f1による第一振動モードを示す。
図6Aおよび
図6Bは、共振周波数f2による第二振動モードを示す。f1<f2である。
図5Aおよび
図6Aにおける二点鎖線は、ダイアフラム50の振動の様子を示す。
図5Bおよび
図6Bは、ダイアフラム50の振幅分布を、クロスハッチングの濃さで示す。
【0045】
図3および
図4に示されたトランスデューサケース5の構造は、第一振動モードと第二振動モードとを発生させることが可能である。共振周波数f1による第一振動モードと、共振周波数f2による第二振動モードとの間の切り換えは、制御回路素子25における超音波素子6の駆動周波数の切り換えによって実行される。「駆動周波数」とは、超音波素子6に印加される交流電圧である素子駆動電圧の周波数である。
【0046】
第一振動モードは、
図5Aおよび
図5Bに示されているように、ダイアフラム50の全体がY軸に沿って同一方向に撓み変形する振動モードである。第一振動モードにおいて、節位置はダイアフラム50の径方向外縁部であり、腹位置は中心位置PCである。
【0047】
第二振動モードは、
図6Aおよび
図6Bに示されているように、ダイアフラム50の水平線LXよりもZ軸方向における一方側がY軸正方向側に撓み変形する一方で、他方側がY軸負方向側に撓み変形する振動モードである。一方側と他方側とで、振幅の大きさは、水平線LXを挟んで略対称となる。第二振動モードにおいて、節位置は、中心位置PCを含む水平線LX上と、ダイアフラム50の径方向外縁部とに生じる。腹位置は、中心位置PCと側板部51との中間位置にて、鉛直線
LZ上に2か所生じる。
【0048】
ダイアフラム50は、超音波素子6を振動モードにおける腹位置あるいはその近傍に設けることで良好に励振される。一方、超音波素子6を振動モードにおける節位置あるいはその近傍に設けると、送信波が送信可能な程度にダイアフラム50を良好に励振することは困難である。
【0049】
この点、第一振動モードによる第一送信波を良好に発信可能な、ダイアフラム50における超音波素子6の面内位置は、腹位置である中心位置PCを中心とする広範囲にて存在する。具体的には、例えば、
図3および
図4に示されているように、超音波素子6の径方向寸法がダイアフラム50の径方向寸法の1/2~1/4程度である場合がある。この場合、第一振動モードは、超音波素子6を面内方向におけるダイアフラム50の範囲内に配置しさえすれば、超音波素子6の面内位置にかかわらず良好に発生可能となる。
【0050】
これに対し、第二振動モードは、節位置である中心位置PCに超音波素子6を設けたのでは、ほとんど発生させることができない。この点、超音波素子6における素子中心PPを中心位置PCからオフセットさせると、オフセット量に応じて、第二振動モードの発生度合が高まる。超音波素子6を、中心位置PCとは異なる位置、すなわち、面内方向について中心位置PCとは重ならない位置に設けることで、外部の物体からの反射波が受信できる程度の良好な強度で、第二送信波の送信波を送信することが可能となる。特に、超音波素子6を、素子中心PPの面内方向位置が第二振動モードの腹位置と略一致するように設けることで、第二振動モードの励振効率が高くなる。
【0051】
図7は、鉛直線LZに沿った指向特性を示す。
図7において、点線は第一送信波の指向特性を示し、実線は第二送信波の指向特性を示す。
図7に示されているように、第一送信波は、ダイアフラム50の中心から、所定の指向性すなわち指向角を有しつつ放射状に伝播する。このため、第一送信波は、Y軸正方向すなわち超音波トランスデューサ4の正面である露出方向DDにて、最大音圧となるような、紡錘形状の指向特性を有する。すなわち、第一送信波は、鉛直線LZに沿った指向特性としては、ほぼ無指向性であるということが可能である。
【0052】
よって、第一送信波の反射波は、高背構造物、低背突起物、および天井突出物のいずれからも受信され得る。高背構造物は、超音波トランスデューサ4の正面すなわち自車両の正面に存在する、壁等の比較的高背の構造物である。低背突起物は、地面から上方に向かって突出した輪留め等の、比較的低背の突起物である。天井突出物は、天井から下方に向かって突出した、梁あるいはシャッターゲート等である。
【0053】
これに対し、第二送信波における第二指向特性は、第一送信波における第一指向特性とは異なり、軸方向の音圧が低減されている。具体的には、第二送信波においては、露出方向DDの音圧が著しく低減されるとともに、露出方向DDに対して上下に仰角θをなす方向にて最大音圧となる。角度θは、ダイアフラム50における超音波素子6の面内位置および超音波素子6の面内形状等により決まるものであり、例えば5~15度程度に設定され得る。
【0054】
すなわち、第二送信波は、鉛直線LZに沿った指向特性としては、中心軸DAを挟んだ略対称性を保持しつつ中心軸DA上の音圧を著しく低減した、略「ハート」形となる。第二送信波は、第一送信波とは異なり、軸方向の音圧が、物体からの反射波を良好に受信可能な程度の所定音圧には達していない。換言すれば、第二送信波における第二指向特性は、第一送信波における第一指向特性よりも、軸方向の音圧が低減されている。このため、第二送信波の物体による反射波は、超音波トランスデューサ4の正面である露出方向DDからはほとんど受信されない一方、露出方向DDと角度θをなす方向からは良好に受信される。
【0055】
そこで、超音波センサ1すなわち超音波トランスデューサ4は、第二送信波の指向特性が車高方向について中心軸DAを挟んで略対称となるように、自車両に搭載される。すると、第二送信波の反射波は、高背構造物からは受信されず、低背突起物および天井突出物からは受信され得る。但し、天井突出物は、自車両の進行の障害になることは稀であり、障害になることがあっても目視から明らかである。
【0056】
このように、互いに指向特性が大きく異なる第一送信波と第二送信波とでは、検知エリア、すなわち、反射波を受信可能な物体における反射点の存在範囲が異なる。具体的には、本実施形態においては、第一送信波と第二送信波との間で、反射点の仰角範囲が異なる。よって、第一送信波と第二送信波とを駆動周波数変更によって切り換えることで、近距離検知した物体が低背突起物であるか高背構造物であるかの区別が容易となる。
【0057】
この点、本実施形態によれば、このように互いに指向特性が大きく異なる第一送信波と第二送信波との切り換えが、送信周波数すなわち駆動周波数の切り換えによって簡易に行われ得る。また、このような第一送信波と第二送信波との切り換えが可能な超音波トランスデューサ4を、超音波素子6を中心位置PCに対して面内方向にオフセット配置するという、従来構成からの最小限の仕様変更により実現可能となる。これにより、従来技術よりも物体検知性能に優れた超音波トランスデューサ4およびこれを備えた超音波センサ1を提供するにあたり、製造コスト上昇を可及的に抑制したり良好な耐久性を確保したりすることが可能となる。さらに、超音波素子6を面内方向について中心位置PCとは異なる位置に配置することで、第一送信波と第二送信波との間で顕著な指向特性の差(すなわち検知エリアの差)を設けることができる。
【0058】
本実施形態に係る超音波センサ1は、かかる超音波トランスデューサ4と、第一振動モードと第二振動モードとを切り換えるように超音波トランスデューサ4に電気接続された制御回路素子25とを備える。したがって、本実施形態によれば、従来よりもいっそう物体検知性能に優れた超音波トランスデューサ4およびこれを備えた超音波センサ1を提供することが可能となる。
【0059】
これに対し、特開2009-267472号公報および特開2010-278913号公報に記載の構成においては、互いに異なる2つの共振周波数にて送受信可能であるものの、互いの指向特性の差は小さい。したがって、これらの従来の構成によっては、互いに異なる2つの共振周波数の間に、本実施形態のような検知エリアについての大きな差を生じさせることはできない。
【0060】
(第三構成例)
図8は、
図3および
図4に示された超音波トランスデューサ4における、トランスデューサケース5の構成の一部を変更したものである。以下の構成例の説明においては、主として、上記の第一および第二の構成例とは異なる部分について説明する。また、上記の第一および第二の構成例と以下に説明する構成例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の構成例の説明において、上記の第一および第二の構成例と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記の第一および第二の構成例における説明が適宜援用され得る。
【0061】
図8に示されたトランスデューサケース5は、突起部523を有している。突起部523は、内部空間53側に突出するように、底板部52に設けられている。突起部523は、中心位置PCと素子中心PPとを結ぶ直線上に配置され得る。かかる構成によれば、第二振動モードの発生が、良好に促進され得る。突起部523の個数は、1個以上である。
【0062】
なお、突起部523の面内位置、形状、および個数は、共振周波数f2、および/または、共振周波数f1と共振周波数f2との差に応じて、適宜設定され得る。また、突起部523は、中心位置PCと素子中心PPとを通る直線上に配置されることが好適である。これにより、
図6Bに示されているような、第二振動モードにおける良好な振動状態が実現され得る。
【0063】
(第四構成例)
図9および
図10は、
図3および
図4に示された超音波トランスデューサ4における、トランスデューサケース5の構成の一部を変更したものである。
【0064】
図9および
図10に示されたトランスデューサケース5は、突起部523を有している。突起部523は、内部空間53側に突出するように、側板部51に設けられている。具体的には、
図9および
図10に示されたトランスデューサケース5には、一対の突起部523が、中心軸DAを挟んで対称に配置されている。かかる構成によれば、第二振動モードの発生が、良好に促進され得る。
【0065】
なお、突起部523の形状は、共振周波数f2、および/または、共振周波数f1と共振周波数f2との差に応じて、適宜設定され得る。また、突起部523は、中心位置PCと素子中心PPとを通る直線上、すなわち鉛直線LZ上に配置されることが好適である。これにより、
図6Bに示されているような、第二振動モードにおける良好な振動状態が実現され得る。また、本構成例による側板部51に設けた突起部523と、上記第三構成例による底板部52に設けた突起部523とは、併用され得る。
【0066】
(第五構成例)
図11および
図12は、
図3および
図4に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。
【0067】
図11および
図12に示された超音波トランスデューサ4において、ダイアフラム50には、一対の超音波素子6が、中心位置PCを挟んで対称に設けられている。すなわち、ダイアフラム50には、中心位置PCとは異なる位置にて、超音波素子6が2個のみ取り付けられている。一対の超音波素子6の各々は、第二振動モードにおける腹位置に配置されている。
【0068】
図11および
図12に示された超音波トランスデューサ4においては、一対の超音波素子6の駆動タイミングを、同相と逆相とで切り換えることが可能である。「同相」とは、一対の超音波素子6の一方に印加される所定周波数の交流電圧である第一素子駆動電圧と、他方に印加される交流電圧であって第一駆動電圧と同一周波数の第二素子駆動電圧との間の位相差が、実質的にゼロであることをいう。これに対し、「逆相」とは、上記の位相差が、上記の所定周波数に対応する周期の半周期分であることをいう。かかる切り換えは、
図2に示された制御回路素子25によって実行される。
【0069】
図13は、駆動周波数f1により一対の超音波素子6を駆動タイミング同相で駆動した場合の指向特性を示す。
図14は、駆動周波数f2により一対の超音波素子6を駆動タイミング逆相で駆動した場合の指向特性を示す。
図13および
図14において、点線は第一振動モードに対応する指向特性を示し、実線は第二振動モードに対応する指向特性を示す。
【0070】
図13に示されているように、同相駆動時には、第一振動モードによる振動が良好に励振される一方、第二振動モードによる振動はほとんど励振されない。これに対し、
図14に示されているように、逆相駆動時には、第二振動モードによる振動が良好に励振される一方、第一振動モードによる振動は非常に小さい。なお、一対の超音波素子6の各々を第二振動モードにおける腹位置に配置することで、第二振動モードによる振動強度すなわち第二送信波の送信音圧を向上することが可能となる。
【0071】
このように、本構成例の超音波トランスデューサ4、および、これを備えた超音波センサ1によれば、互いに指向特性が異なる第一送信波と第二送信波との切り換えが、良好に行われ得る。特に、
図13および
図14に示されているように、同一駆動条件下における第一振動モードと第二振動モードとの間の強度比、すなわちS/N比を、可及的に大きくすることが可能となる。なお、受信時においても、一対の超音波素子6の各々における受信信号を同相で合成した第一合成信号と、逆相で合成した第二合成信号とを用いることで、2つの周波数(すなわちf1およびf2)の間のアイソレーションを向上することが可能となる。
【0072】
なお、
図11および
図12においては、トランスデューサケース5は、突起部523を有している。具体的には、ダイアフラム50には、1個の突起部523が、中心位置PCにて設けられている。これにより、第二振動モードの励振が促進される。但し、上記のような、同相駆動と逆相駆動との切り換えによる効果を奏するという観点で、かかる突起部523は省略可能である。
【0073】
(第六構成例)
図15および
図16は、
図3および
図4に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。
図15および
図16に示された超音波トランスデューサ4において、ダイアフラム50には、中心位置PCにて、超音波素子6が1個のみ設けられている。かかる超音波素子6は、素子中心PPが中心位置PCと略一致するように配置されている。また、ダイアフラム50には、中心位置PCとは異なる位置にて、超音波素子6が1個のみ設けられている。
【0074】
図15および
図16に示された超音波トランスデューサ4においては、以下の2種類の駆動モードが可能である。
・第一駆動モード:一対の超音波素子6のうちの、中心位置PCに設けられた一方を駆動し、中心位置PCとは異なる位置に設けられた他方を非駆動とする。
・第二駆動モード:一対の超音波素子6のうちの、中心位置PCに設けられた一方を非駆動とし、中心位置PCとは異なる位置に設けられた他方を駆動する。
【0075】
第一駆動モードにより、第一送信波を生成することが可能である。一方、第二駆動モードにより、第二送信波を生成することが可能である。第一駆動モードと第二駆動モードとの間の切り換えは、
図2に示された制御回路素子25によって実行される。
【0076】
図17は、駆動周波数f1により第一駆動モードで超音波トランスデューサ4を駆動した場合の指向特性を示す。
図18は、駆動周波数f2により第二駆動モードで超音波トランスデューサ4を駆動した場合の指向特性を示す。
図17および
図18において、点線は第一振動モードに対応する指向特性を示し、実線は第二振動モードに対応する指向特性を示す。
図17および
図18に示されているように、本構成例においても、
図11および
図12に示された構成例と同様の効果が奏され得る。なお、本構成例においても、上記第三および/または第四構成例における突起部523が設けられ得る。
【0077】
(第二実施形態:物体検知装置)
図19は、上記第一実施形態に係る超音波トランスデューサ4を用いた物体検知装置700の全体構成を示す。
図20は、かかる物体検知装置700を搭載した車両Vすなわち自車両における物体検知動作中の様子を示す。かかる物体検知装置700は、超音波センサ1すなわち超音波トランスデューサ4を搭載した自車両の周囲に存在する物体Bを検知するように構成されている。以下、
図19等を参照しつつ、本実施形態に係る物体検知装置700の構成の詳細について説明する。
【0078】
物体検知装置700は、送信部701と、受信部702と、駆動信号生成部703と、受信信号処理部704と、送信制御部705と、判定部706と、メモリ707とを備えている。本実施形態においては、送信部701、受信部702、駆動信号生成部703、および受信信号処理部704は、超音波センサ1すなわち
図2に示された制御回路素子25に設けられている。一方、送信制御部705、判定部706、およびメモリ707は、物体検知ECU708に設けられている。
【0079】
送信部701は、送信波を外部に向けて送信可能に設けられている。受信部702は、送信部701から送信された送信波の物体Bによる反射波を含む受信波を受信可能に設けられている。
【0080】
本実施形態においては、超音波センサ1は、送受信一体型の構成を有している。すなわち、超音波センサ1は、1個の超音波トランスデューサ4を備えることで、当該超音波トランスデューサ4にて送受信機能を奏するように構成されている。
【0081】
すなわち、送信部701は、超音波トランスデューサ4と、送信回路711とを有している。送信回路711は、入力された駆動信号に基づいて超音波トランスデューサ4を駆動することで、超音波トランスデューサ4にて駆動信号の周波数に対応する周波数の送信波を発信させるように構成されている。具体的には、送信回路711は、デジタル/アナログ変換回路、昇圧回路、等を有している。
【0082】
また、受信部702は、送信部701と共用の超音波トランスデューサ4と、受信回路721とを有している。受信回路721は、超音波トランスデューサ4による受信波の受信結果に対応する受信信号を生成して受信信号処理部704に出力するように構成されている。具体的には、受信回路721は、増幅回路、フィルタ回路、およびアナログ/デジタル変換回路等を有している。
【0083】
駆動信号生成部703は、送信制御部705から受信した制御信号に基づいて、駆動信号を生成して送信部701すなわち送信回路711に向けて出力するように設けられている。駆動信号は、送信部701すなわち超音波トランスデューサ4を駆動して、超音波トランスデューサ4から送信波を送信させるための信号である。制御信号は、駆動信号生成部703から送信部701への駆動信号の出力を制御するための信号である。
【0084】
受信信号処理部704は、受信部702から出力された受信信号に対して各種の信号処理を施すことで判定部706における物体検知動作に必要な情報あるいは信号を生成して判定部706に出力するように設けられている。具体的には、受信信号処理部704は、振幅情報取得部741と、測距情報取得部742とを有している。
【0085】
振幅情報取得部741は、受信回路721から出力された受信信号における振幅に対応する振幅信号を生成および出力するように設けられている。すなわち、振幅情報取得部741は、超音波トランスデューサ4から送信された送信波の物体Bによる反射波の振幅に対応する振幅情報を取得するようになっている。「振幅情報」は、振幅信号に含まれる、受信波の振幅すなわち受信強度に対応する情報である。
【0086】
測距情報取得部742は、受信信号における振幅が所定値を超える場合に、当該受信信号に基づいて測距信号を生成および出力するように設けられている。すなわち、測距情報取得部742は、物体Bによる送信波の反射波を受信した際のTOFに基づいて、超音波トランスデューサ4と物体Bとの距離に対応する測距情報を取得するようになっている。TOFは、Time of Flightの略であり、送信波の送信から反射波の受信までの所要時間である。TOFは、伝播時間とも称され得る。「測距情報」は、測距信号に含まれる、超音波トランスデューサ4と物体Bとの間の距離に対応する情報である。
【0087】
送信制御部705は、駆動信号生成部703に制御信号を出力することで、送信部701からの送信波の発信状態を制御するように設けられている。具体的には、送信制御部705は、駆動信号生成部703にて生成および出力される駆動信号における駆動周波数および出力タイミングを、制御信号により設定するようになっている。すなわち、送信制御部705は、送信波の送信タイミングおよび送信波形を制御するようになっている。
【0088】
判定部706は、受信信号処理部704による、受信信号に対する各種信号処理結果に基づいて、障害物判定を行うように設けられている。「障害物判定」は、測距情報が取得されることで存在が検知された物体Bが、自車両の進行の障害となる障害物であることの判定である。すなわち、障害物判定は、自車両の周囲における障害物の存在を判定することをいう。
【0089】
判定部706は、第二送信波の反射波に基づいて取得された、測距情報および/または振幅情報に基づいて、障害物の存在を判定するように構成されている。上記の通り、第二送信波は、自車両の車高方向について超音波トランスデューサ4の中心軸DAを挟んで略対称で正面方向の音圧が低減された、第二指向特性を有する送信波である。
【0090】
本実施形態においては、判定部706は、振幅情報および/または測距情報と、第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、障害物判定を行うようになっている。具体的には、判定部706は、閾値設定部761を有している。閾値設定部761には、第二指向特性に基づいて設定された判定閾値が格納されている。そして、閾値設定部761は、判定部706における、障害物が存在するか否かの判定における判定閾値を設定するように設けられている。
【0091】
メモリ707は、受信信号処理部704による信号処理結果と、判定部706における判定結果とを、時系列で格納するように設けられている。すなわち、メモリ707には、振幅情報と、測距情報と、判定部706における判定結果とが、互いに対応付けられつつ時系列で格納されている。
【0092】
本実施形態においては、送信制御部705、判定部706、およびメモリ707は、物体検知ECU708にて実現された機能構成部として設けられている。すなわち、物体検知ECU708は、物体検知装置700の全体の動作を制御する、いわゆるソナーECUとしての構成を有している。物体検知ECU708は、所定の通信規格(例えばDSI3等)に準拠した車載LAN通信回線を介して、超音波センサ1と情報通信可能に接続されている。DSI3はDistributed System Interface 3の略である。
【0093】
物体検知ECU708は、車両Vに搭載されたマイクロコンピュータであって、不図示のCPU、ROM、RAM、不揮発性リライタブルメモリ、入出力インタフェース、等を備えている。CPUはCentral Processing Unitの略である。ROMはRead Only Memoryの略である。RAMはRandom access memoryの略である。不揮発性リライタブルメモリは、電源投入中は情報を書き換え可能である一方で電源遮断中は情報を書き換え不能に保持する記憶媒体であって、例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、等である。EPROMはErasable Programmable Read Only Memoryの略である。EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read Only Memoryの略である。ROM、不揮発性リライタブルメモリ、およびRAMは、非遷移的実体的記憶媒体である。ROMおよび/または不揮発性リライタブルメモリは、本実施形態に係る物体検知プログラムを記憶する、非遷移的実体的記憶媒体に相当するものである。物体検知ECU708のCPU、ROM、RAM、および不揮発性リライタブルメモリを、以下単に「CPU」、「ROM」、「RAM」、および「不揮発メモリ」と略称する。物体検知装置700は、物体検知ECU708にてROMまたは不揮発メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することで、自車両における物体検知動作およびこれに伴う報知等の各種動作を実行可能に構成されている。
【0094】
(動作概要)
以下、本実施形態に係る物体検知装置700による物体検知動作の概要、すなわち、かかる物体検知装置700により実行される物体検知方法あるいは物体検知プログラムの概要について説明する。
【0095】
図20に示されているように、超音波センサ1は、フロントバンパーV2に装着されている。また、本実施形態においては、超音波センサ1は、超音波トランスデューサ4の中心軸DAが車高中心Hcから下方に所定量ΔHオフセットするように、自車両に搭載されている。すなわち、超音波センサ1は、搭載高Hmが車高Hvの半分未満となるように配置されている。車高中心Hcは、車高方向における車両Vの中心位置である。搭載高Hmは、超音波トランスデューサ4の中心軸DAの、地面すなわち路面からの高さである。
【0096】
(第一動作例)
図19~
図21を参照しつつ、本実施形態に係る物体検知装置700の一動作例について説明する。
【0097】
図7、
図14、または
図18にて実線で示されているように、超音波センサ1は、中心軸DA上の音圧が低減され車高方向について中心軸DAを挟んで略対称な第二指向特性を有する、第二送信波を送信することが可能である。第二送信波は、中心軸DAからの仰角が±θとなる方向で最大音圧となる。このため、典型的には、
図20に示されているように、第二送信波により、中心軸DAからの仰角が±θとなる方向にて、物体Bが検知される。
【0098】
物体Bが低背突起物BLである場合、測距距離Dが下記式(1)にて示される下側判定閾値DL未満となった場合、かかる低背突起物BLは障害物として検知される。なお、測距距離Dは、測距情報を実距離に換算したものである。
【数1】
【0099】
一方、天井突出物BSについては、測距距離Dが下記式(2)にて示される上側判定閾値DH未満となった場合、障害物として検知される。あるいは、上側判定閾値DHに代えて、下記式(3)にて示される天井判定閾値DSが用いられ得る。式(3)において、設計天井高Hsは、車高Hvに所定の設計余裕値を加算したものである。
【数2】
【数3】
【0100】
但し、天井突出物BSは、自車両の進行の障害になることは稀であり、障害になることがあっても目視から明らかである。そこで、本動作例においては、物体検知ECU708すなわち判定部706は、測距距離Dが下側判定閾値DL未満となった場合、障害物判定を行う。すなわち、物体検知ECU708は、測距情報と、第二指向特性に基づいて設定された下側判定閾値DLとの比較結果に基づいて、障害物の存在を判定する。
【0101】
図21は、本動作例に対応するフローチャートを示す。かかるフローチャートにおいて、「S」は、ステップを略記したものである。物体検知ECU708のCPUが、
図21に示されたフローチャートに対応するルーチン(すなわち物体検知プログラム)をROMまたは不揮発メモリから読み出して実行することで、物体検知方法が実施される。
図22等の他の図面におけるフローチャートについても同様である。
【0102】
図21に示されたルーチンは、超音波センサ1における反射波の受信タイミングが到来すると、CPUにより起動される。受信タイミングは、送信波の送信終了タイミングから、残響時間を考慮した所定の待機時間経過したタイミングである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ2101にて、CPUは、測距距離Dを取得する。すなわち、CPUは、判定部706が測距情報取得部742から取得した、最新の測距情報に対応する測距距離Dを、RAMにおける所定領域に一時的に保持する。次に、ステップ2102にて、CPUは、測距距離Dが下側判定閾値DL未満であるか否かを判定する。
【0103】
測距距離Dが下側判定閾値DL未満である場合(すなわちステップ2102=YES)、CPUは、ステップ2103の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2103にて、CPUは、障害物判定する。すなわち、CPUは、自車両の進行の障害となる低背突起物BLの存在を判定する。
【0104】
測距距離Dが下側判定閾値DL以上である場合(すなわちステップ2102=NO)、CPUは、ステップ2104の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2104にて、CPUは、非障害物判定する。すなわち、CPUは、自車両の進行の障害となる低背突起物BLの不存在を判定する。
【0105】
(第二動作例)
図22は、上記の第一動作例の一部を変更した、第二動作例に対応するフローチャートである。本動作例も、上記の第一動作例と同様に、測距情報と、第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、障害物の存在を判定するものである。
【0106】
具体的には、本動作例においては、物体検知ECU708すなわち判定部706は、測距距離Dが下側判定閾値DL未満となった場合、路上障害物判定を行う。路上障害物判定は、自車両の進行先の路上に低背障害物が存在する旨の判定である。また、物体検知ECU708は、測距距離Dが下側判定閾値DL以上であり且つ上側判定閾値DH未満となった場合、頭上障害物判定を行う。頭上障害物判定は、自車両の進行先の頭上に存在する天井突出物BSが障害物である旨の判定である。
【0107】
すなわち、
図22におけるステップ2201の処理内容は、
図21におけるステップ2101の処理内容と同様である。また、
図22におけるステップ2202の判定内容は、
図21におけるステップ2102の判定内容と同様である。
【0108】
測距距離Dが下側判定閾値DL未満である場合(すなわちステップ2202=YES)、CPUは、ステップ2203の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2203にて、CPUは、路上障害物判定する。一方、測距距離Dが下側判定閾値DL以上である場合(すなわちステップ2202=NO)、CPUは、処理をステップ2204に進行させる。ステップ2104にて、CPUは、測距距離Dが上側判定閾値DH未満であるか否かを判定する。
【0109】
測距距離Dが上側判定閾値DH未満である場合(すなわちステップ2204=YES)、CPUは、ステップ2205の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2205にて、CPUは、頭上障害物判定する。
【0110】
測距距離Dが上側判定閾値DH以上である場合(すなわちステップ2204=NO)、CPUは、ステップ2206の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2206にて、CPUは、非障害物判定する。すなわち、CPUは、自車両の進行の障害となる低背突起物BLおよび天井突出物BSの不存在を判定する。
【0111】
(第三動作例)
図23は、第二送信波の低背突起物BLおよび天井突出物BSによる反射波に基づく受信信号の振幅Amの、測距距離Dの変化に伴う変化の様子を示す。図中、実線は低背突起物BLの場合を示し、点線は天井突出物BSの場合を示す。
【0112】
図20に示されているように、自車両が前方に走行することで、自車両がその前方に存在する物体Bに接近する場合を想定する。この場合、
図23に示されているように、距離すなわち測距距離Dが所定距離Dthよりも遠い段階では、低背突起物BLと天井突出物BSとの間で、振幅Amおよびその変化態様について有意な差を見いだすことは困難である。一方、距離が所定距離Dthまで近づくと、低背突起物BLと天井突出物BSとの間で、振幅Amおよびその変化の態様に、大きな差が生じる。すなわち、低背突起物BLについては、距離が変化しても、振幅Amはほとんど変化しない。これに対し、天井突出物BSについては、距離の接近による振幅Amの減衰勾配が大きい。また、低背突起物BLと天井突出物BSとの間で、振幅Amに大きな差が生じる。
【0113】
このように、上下に略対称で且つ正面方向の音圧が減衰された、略「ハート」形の指向特性を有する第二送信波を用いることで、低背突起物BLと天井突出物BSとの間で、振幅Amおよびその変化態様に、大きな差が生じる。そこで、物体検知ECU708すなわち判定部706は、測距情報に対応する測距距離Dの変化に伴う、振幅情報に対応する振幅Amの変化態様に基づいて、障害物の存在を判定する。
【0114】
具体的には、本動作例においては、物体検知ECU708は、振幅変化と、第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、障害物の存在を判定する。より詳細には、物体検知ECU708は、測距距離Dが所定距離Dth未満となった状態における、測距距離Dの変化による振幅Amの変化の勾配dAm/dDが、勾配判定閾値αを超える場合に、障害物判定する。
【0115】
図24は、本動作例に対応するフローチャートを示す。
図24に示されたルーチンは、超音波センサ1にて反射波の受信タイミングが到来すると、CPUにより起動される。なお、カウンタNは、本ルーチンの連続起動回数を計数するためのカウンタであって、1以上の整数である。カウンタNは、初回起動時に「1」にリセットされる。「初回起動時」とは、所定の物体検知条件が成立してから最初に本ルーチンが起動される時点である。物体検知条件が一旦成立した後に不成立となり、その後、自車両のイグニッションスイッチがオフされる前に物体検知条件が再成立した場合の、物体検知条件が再度立してから最初に本ルーチンが起動される時点も、「初回起動時」とされる。
【0116】
本ルーチンが起動されると、まず、CPUは、ステップ2401にて、CPUは、測距距離D(N)を取得する。測距距離D(N)は、本ルーチンがN回目に起動された際に取得された測距距離Dである。ステップ2402にて、CPUは、振幅Am(N)を取得する。振幅Am(N)は、本ルーチンがN回目に起動された際に取得された振幅Amである。続いて、ステップ2403にて、CPUは、ステップ2401およびステップ2402による取得結果を、RAMまたは不揮発メモリにおける所定領域に、時系列で(すなわちカウンタNに対応付けて)格納する。
【0117】
ステップ2401~ステップ2403の処理の後、CPUは、ステップ2404の処理を実行する。ステップ2404にて、CPUは、カウンタNが1を超えるか否かを判定する。
【0118】
カウンタNが1である場合(すなわちステップ2404=NO)、測距距離Dの変化に伴う振幅Amの変化は算出できない。そこで、この場合、CPUは、ステップ2405以下の処理をすべてスキップして、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、カウンタNが1を超える場合(すなわちステップ2404=YES)、CPUは、処理をステップ2405に進行させる。
【0119】
ステップ2405にて、CPUは、測距距離Dが所定距離Dth未満となったか否かを判定する。測距距離Dが所定距離Dth以上である場合(すなわちステップ2405=NO)、CPUは、ステップ2406以下の処理をすべてスキップして、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、測距距離Dが所定距離Dth未満となった場合(すなわちステップ2405=YES)、CPUは、処理をステップ2406に進行させる。ステップ2406にて、CPUは、勾配dAm/dDが勾配判定閾値αを超えるか否かを判定する。
【0120】
勾配dAm/dDが勾配判定閾値αを超える場合(すなわちステップ2406=YES)、CPUは、処理をステップ2407に進行させる。ステップ2407にて、CPUは、障害物判定する。すなわち、CPUは、自車両の進行の障害となる低背突起物BLの存在を判定する。
【0121】
勾配dAm/dDが勾配判定閾値α以下である場合(すなわちステップ2406=NO)、CPUは、処理をステップ2408に進行させる。ステップ2408にて、CPUは、非障害物判定する。すなわち、CPUは、自車両の進行の障害となる低背突起物BLの不存在を判定する。
【0122】
ステップ2407またはステップ2408の処理実行後、CPUは、ステップ2409の処理を実行して、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2409にて、CPUは、カウンタNの値をインクリメントする。すなわち、CPUは、カウンタNの値を1加算する。
【0123】
(第四動作例)
図25は、上記の第三動作例の一部を変更した、第四動作例に対応するフローチャートである。本動作例も、上記の第三動作例と同様に、物体検知ECU708すなわち判定部706は、
図23に示されているような、測距情報に対応する測距距離Dの変化に伴う、振幅情報に対応する振幅Amの変化態様に基づいて、障害物の存在を判定する。
【0124】
具体的には、本動作例においては、物体検知ECU708は、振幅Amと、第二指向特性に基づいて設定された振幅判定閾値βとの比較結果に基づいて、障害物の存在を判定する。より詳細には、物体検知ECU708は、測距距離Dが所定距離Dth未満となった状態にて、振幅Amが振幅判定閾値βを超える場合に、障害物判定する。
【0125】
すなわち、
図25におけるステップ2501~ステップ2505の処理内容は、それぞれ、
図24におけるステップ2401~ステップ2405の処理内容と同様である。ステップ2506にて、CPUは、振幅Amが振幅判定閾値βを超えるか否かを判定する。
【0126】
振幅Amが振幅判定閾値βを超える場合(すなわちステップ2506=YES)、CPUは、処理をステップ2507に進行させる。ステップ2507にて、CPUは、障害物判定する。
【0127】
振幅Amが振幅判定閾値β以下である場合(すなわちステップ2506=NO)、CPUは、処理をステップ2508に進行させる。ステップ2508にて、CPUは、非障害物判定する。
【0128】
ステップ2507またはステップ2508の処理実行後、CPUは、ステップ2509の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2509の処理内容は、
図24におけるステップ2409の処理内容と同様である。
【0129】
(第五動作例)
超音波センサ1あるいは物体検知装置700は、複数車種の車両Vに搭載可能である。この点、
図20および式(1)等から明らかなように、下側判定閾値DL等の判定閾値は、超音波センサ1すなわち超音波トランスデューサ4の、車載状態における搭載条件に応じて設定される。
【0130】
ところで、超音波センサ1あるいは物体検知装置700の製造者は、車両Vの製造者とは別である可能性がある。このため、超音波センサ1あるいは物体検知装置700は、いわゆる「後付け」、すなわち、車両Vの占有者が製造者から第三者(すなわち、販売者、整備工場、使用者、等)に変更になった後に、車両Vに取り付けられる場合があり得る。
【0131】
また、使用者が占有中の車両Vにおいて、搭載条件が変化することがあり得る。具体的には、例えば、車両Vが合法的に改造されることで、車高Hvが変化する場合があり得る。あるいは、例えば、車両Vが、いわゆる車高調整機構を備えている場合があり得る。
【0132】
そこで、本動作例においては、物体検知ECU708すなわち判定部706は、車両Vにおける超音波トランスデューサ4の搭載条件の変更に応じて、判定閾値を変更する。
図26は、判定閾値の設定あるいは変更の動作の概要を示すフローチャートである。
【0133】
図26に示された閾値設定ルーチンは、所定タイミングで実行される。「所定タイミング」は、例えば、車両Vの製造者、販売者、または整備工場における所定操作が実行された時点である。あるいは、「所定タイミング」は、例えば、車両Vのイグニッションスイッチがオンされた時点、あるいは、かかる時点から物体検知条件が最初に成立するまでの間の所定時点である。あるいは、「所定タイミング」は、例えば、車両Vに設けられた車高調整機構(例えばエアサスペンション機構)による車高調整動作が終了した時点である。
【0134】
図26に示された閾値設定ルーチンが起動されると、まず、ステップ2601にて、CPUは、現在の車高Hvを取得する。車高Hvは、例えば、作業者による入力、車高調整機構を制御するECUからの車高設定情報の受信、等により取得され得る。
【0135】
次に、ステップ2602にて、CPUは、現在の搭載高Hmを取得する。搭載高Hmは、例えば、作業者による入力により取得され得る。あるいは、搭載高Hmは、例えば、ステップ2601にて取得した車高Hvから算出され得る。
【0136】
続いて、ステップ2603にて、CPUは、取得された車高Hvおよび搭載高Hmに基づいて、判定閾値を設定する。判定閾値は、例えば、実験あるいは計算機シミュレーションによって作成された、車高Hvおよび/または搭載高Hmをパラメータとするテーブルあるいはマップを用いて設定され得る。ステップ2603の処理が終了すると、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
【0137】
(第六動作例)
本動作例は、第一送信波と第二送信波とを用いて、路上障害物の存在を判定する動作例である。この動作例は、例えば、駐車支援の場面で有効である。具体的には、例えば、自車両が駐車スペースに向かって進行する際に、駐車スペースにおける進行先側の端部に輪留めが存在するとともに、輪留めよりもさらに進行先側に壁が存在する場合がある。この場合、自車両の車輪が輪留めに当接して駐車が完了しても、この壁は自車両とは衝突しない。よって、この壁は、障害物ではない。
【0138】
正面方向を中心とした紡錘形状の指向特性を有する第一送信波によれば、輪留めと壁との双方からの反射波が受信される。このとき、輪留めの仰角位置は、最高音圧となる正面方向から大きくずれている。このため、輪留めからの反射波強度は低い。これに対し、上下に略対称で且つ正面方向の音圧が減衰された略「ハート」形の指向特性を有する第二送信波によれば、主として輪留めからの反射波が受信される。このとき、輪留めは、最高音圧となる、中心軸DAからの仰角θ方向近辺に位置している。このため、輪留めからの反射波強度は、第一送信波の場合よりも高くなる。
【0139】
そこで、本動作例においては、物体検知ECU708すなわち判定部706は、第一送信波の反射波に対応する振幅と、第二送信波の反射波に対応する振幅とに基づいて、障害物の存在を判定する。具体的には、物体検知ECU708は、測距距離Dが略同一となる、第一送信波の反射波に対応する振幅Am1と第二送信波の反射波に対応する振幅Am2とを比較する。そして、物体検知ECU708は、Am1<Am2である場合に、検知した物体Bが輪留め等の低背突起物BLであるものとして障害物判定する。
【0140】
図27は、本動作例に対応するフローチャートを示す。
図27に示されたルーチンは、物体検知条件の成立時点から、所定時間間隔で、CPUにより繰り返し起動される。
【0141】
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ2701にて、CPUは、送信周波数f1である第一送信波による物体検知結果を取得する。次に、ステップ2702にて、CPUは、送信周波数f2である第二送信波による物体検知結果を取得する。続いて、CPUは、処理をステップ2703に進行させる。
【0142】
ステップ2703にて、CPUは、第一送信波により物体Bが検知されたか否かを判定する。第一送信波による物体検知がなかった場合(すなわちステップ2703=NO)、CPUは、ステップ2704以下の処理をすべてスキップして、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、第一送信波により物体Bが検知された場合(すなわちステップ2703=YES)、CPUは、処理をステップ2704に進行させる。
【0143】
ステップ2704にて、CPUは、第二送信波により物体Bが検知されたか否かを判定する。第二送信波による物体検知がなかった場合(すなわちステップ2704=NO)、CPUは、ステップ2705以下の処理をすべてスキップして、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、第二送信波により物体Bが検知された場合(すなわちステップ2704=YES)、CPUは、処理をステップ2705に進行させる。
【0144】
ステップ2705にて、CPUは、測距距離Dが略同一となる、第一送信波の反射波に対応する振幅Am1と第二送信波の反射波に対応する振幅Am2とを比較する。Am1<Am2である場合(すなわちステップ2705=YES)、CPUは、ステップ2706の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2706にて、CPUは、路上障害物判定する。これに対し、Am1<Am2ではない場合(すなわちステップ2705=NO)、CPUは、ステップ2706の処理をスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
【0145】
(第三実施形態)
上記第二実施形態においては、1個の超音波センサ1による送受信結果を用いた物体検知動作について説明した。しかしながら、
図1に示されているように、車両Vには、複数の超音波センサ1が搭載され得る。具体的には、フロントバンパーV2には、複数(例えば3個あるいは4個)の超音波センサ1の各々が、車幅方向における互いに異なる位置にて装着され得る。リアバンパーV3についても同様である。
【0146】
図28は、フロントバンパーV2に装着された複数の超音波センサ1を備えることで自車両前方の物体Bを検知可能な物体検知装置700のシステム構成を示す。かかる構成を有する物体検知装置700においては、複数の超音波センサ1の各々における検知結果を統合することで、判定精度が向上する。そこで、本実施形態においては、物体検知ECU708すなわち判定部706は、以下のようにして、自車両前方の障害物の存在を判定する。
【0147】
すなわち、判定部706は、第一の超音波トランスデューサ4から送信された送信波に対応する反射波に基づく障害物の存在判定結果を取得する。また、判定部706は、第二の超音波トランスデューサ4から送信された送信波に対応する反射波に基づく障害物の存在判定結果を取得する。「第一の超音波トランスデューサ4」は、フロントバンパーV2に装着された複数の超音波センサ1のうちの1個である第一の超音波センサ1に設けられている。「第二の超音波トランスデューサ4」は、フロントバンパーV2に装着された複数の超音波センサ1のうちの他の1個である第二の超音波センサ1に設けられている。第一の超音波センサ1と第二の超音波センサ1とは、フロントバンパーV2に装着されつつ車幅方向に配列された複数の超音波センサ1のうちの、互いに隣接する2個である。そして、判定部706は、第一の超音波センサ1による検知結果と第二の超音波センサ1による検知結果とに基づいて、自車両前方の障害物の存在を判定する。
【0148】
図29は、本実施形態に対応するフローチャートを示す。
図29に示されたルーチンは、物体検知条件の成立時点から、所定時間間隔で、CPUにより繰り返し起動される。
【0149】
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ2901にて、CPUは、フロントバンパーV2に装着された複数の超音波センサ1の各々による物体検知結果を取得する。次に、ステップ2902にて、CPUは、これらの超音波センサ1のうちの少なくとも1個にて障害物が検知されたか否かを判定する。
【0150】
複数の超音波センサ1の各々にて障害物の検知がなかった場合(すなわちステップ2902=NO)、CPUは、ステップ2903以下の処理をすべてスキップして、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、複数の超音波センサ1のうちの少なくとも1個にて障害物が検知された場合(すなわちステップ2902=YES)、CPUは、処理をステップ2903に進行させる。ステップ2903にて、CPUは、隣接する2個の超音波センサ1により同一の障害物が検知されているか否かを判定する。
【0151】
隣接する2個の超音波センサ1により同一の障害物が検知されている場合(すなわちステップ2903=YES)、CPUは、ステップ2904の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2904にて、CPUは、障害物判定する。
【0152】
隣接する2個の超音波センサ1により同一の障害物が検知されてはいない場合(すなわちステップ2903=NO)、CPUは、ステップ2905の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ2905にて、CPUは、非障害物判定する。
【0153】
(第四実施形態)
第三実施形態においては、フロントバンパーV2に装着された複数の超音波センサ1の各々において、搭載高Hmは略同一である。この場合、複数の超音波センサ1の各々に対応する判定閾値は、同一のものが用いられる。リアバンパーV3に装着された複数の超音波センサ1についても同様である。しかしながら、
図30に示されているように、フロントバンパーV2に装着された複数の超音波センサ1の各々において、搭載高Hmが略同一ではない場合があり得る。
【0154】
具体的には、
図30に示された例においては、フロントバンパーV2に4個の超音波センサ1が装着されている。図中右端の超音波センサ1と、これに隣接する超音波センサ1とでは、超音波トランスデューサ4の車高方向における搭載位置が異なる。同様に、図中左端の超音波センサ1と、これに隣接する超音波センサ1とでは、超音波トランスデューサ4の車高方向における搭載位置が異なる。なお、図中右端の超音波センサ1と、図中左端の超音波センサ1とは、超音波トランスデューサ4の車高方向における搭載位置が同一であってもよい。図中右端から2番目の超音波センサ1と、図中左端から2番目の超音波センサ1とについても同様である。
【0155】
この場合、搭載条件すなわち搭載高Hmが互いに異なる超音波センサ1については、互いに異なる判定閾値が用いられる。搭載条件が異なることで判定閾値が異なる、複数の超音波センサ1における検知結果を統合することで、判定精度がよりいっそう向上する。
【0156】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0157】
超音波センサ1は、車載用に限定されない。すなわち、超音波センサ1は、車載のクリアランスソナーあるいはコーナーセンサ以外の、様々な用途に用いられ得る。
【0158】
超音波センサ1は、超音波を送受信可能な構成に限定されない。すなわち、例えば、超音波センサ1は、超音波の発信のみが可能な構成を有していてもよい。換言すれば、超音波トランスデューサ4は、送受信用であってもよいし、送信用であってもよい。
【0159】
超音波トランスデューサ4における各部の構成も、上記具体例に限定されない。具体的には、例えば、超音波トランスデューサ4すなわちトランスデューサケース5の外形形状は、略円柱状に限定されず、略正六角柱状、略正八角柱状、等であってもよい。また、トランスデューサケース5を形成する材料は、非金属であってもよいし、金属と非金属との複合材料であってもよい。
【0160】
ダイアフラム50の平面形状についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、ダイアフラム50をオーバル状に形成する場合、かかるオーバル形状は、角丸長方形状すなわち互いに長手方向に離隔した一対の半円とその間の矩形とを組み合わせた形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。また、ダイアフラム50の平面形状は、オーバル状に限定されない。具体的には、例えば、ダイアフラム50の平面形状は、円形状、正多角形状、亜鈴状、等であってもよい。
【0161】
側板部51と底板部52とは、継ぎ目なく一体に形成されていなくてもよい。すなわち、例えば、底板部52は、溶接、接着、等の各種接合技術によって、筒状の側板部51の一端と接合されていてもよい。この場合、側板部51は、底板部52とは異なる材料によって形成されていてもよい。
【0162】
超音波素子6は、圧電素子に限定されない。すなわち、例えば、超音波素子6として、いわゆる静電容量型素子が用いられ得る。超音波素子6の平面形状も、略円形状あるいは略楕円形状に限定されない。具体的には、例えば、超音波素子6は、ダイアフラム50の平面形状に類似した平面形状(例えば相似形)に形成されていてもよい。
【0163】
物体検知装置700において、送信用の超音波トランスデューサ4と受信用の超音波トランスデューサ4とが別個に設けられる場合があり得る。この場合、送信回路711には、送信用の超音波トランスデューサ4が電気接続される。一方、受信回路721には、受信用の超音波トランスデューサ4が電気接続される。この場合、少なくとも送信用の超音波トランスデューサ4が、上記第一実施形態に示された構成を有していればよい。すなわち、受信用の超音波トランスデューサ4は、従来の構成を有していてもよい。但し、検知精度の観点からは、送信用の超音波トランスデューサ4と受信用の超音波トランスデューサ4との双方が上記第一実施形態に示された構成を有していることが好適である。
【0164】
物体検知装置700を構成する各要素が、超音波センサ1と物体検知ECU708とのうちのいずれに設けられるかについても、上記具体例から適宜変更され得る。すなわち、例えば、駆動信号生成部703および/または受信信号処理部704は、物体検知ECU708に設けられ得る。あるいは、第三実施形態のように、複数の超音波センサ1と物体検知ECU708とを互いに情報通信可能に回線接続して、複数の超音波センサ1による検知結果を統合する場合がある。この場合、判定部706の機能のうち、複数の超音波センサ1による検知結果を統合する機能を物体検知ECU708に設け、他の機能のうちの少なくとも一部を超音波センサ1に設けてもよい。
【0165】
超音波センサ1と物体検知ECU708との間の回線接続に適用される車載LAN通信規格は、DSIに限定されない。例えば、Safe-by-Wire、PSI5、CAN(登録商標)、等であってもよい。PSI5は、Peripheral Sensor Interface 5の略である。CAN(登録商標)は、Controller Area Networkの略である。
【0166】
物体検知ECU708の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、物体検知ECU708において、マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。
【0167】
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、V2X通信を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、車両Vの製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末機器を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
【0168】
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
【0169】
上側判定閾値DHに代えて天井判定閾値DSを用いる場合、搭載高Hmの車高中心HcからのオフセットΔH=0であってもよい。
【0170】
超音波センサ1は、多くの場合、バンパーに装着される。バンパーは、多くの場合、車高中心Hcよりも下方に装着される。このため、搭載高Hmの車高中心Hcからのオフセット方向は、通常は下方である。
図20を用いて説明した上記の各具体例は、このような構造上の特徴を利用して、障害物検知の精度、特に、上下方向の区別を行うものであった。
【0171】
しかしながら、本発明は、最広義には、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、超音波センサ1は、車体V1を構成するボディパネルに装着される場合があり得る。この場合、搭載高Hmの車高中心Hcからのオフセット方向は、上方である可能性がある。あるいは、オフセット量ΔH=0である可能性もある。このような場合であっても、上記各実施形態は、技術的に矛盾しない限り適用され得る。
【0172】
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な動作例に限定されない。具体的には、例えば、上記各実施形態においては、説明の簡略化のため、主として、フロントバンパーV2に装着された超音波センサ1を用いた、自車両前方の障害物検知の例について説明した。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、リアバンパーV3に装着された超音波センサ1を用いた、自車両後方の障害物検知についても、上記各実施形態と同様に行うことが可能である。車体V1の側面に装着された超音波センサ1を用いた、自車両側方の障害物検知についても同様である。
【0173】
上記各動作例における各処理も、適宜変容され得る。すなわち、例えば、上記各具体例においては、測距距離Dを用いた判定が実行されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、測距情報を測距距離Dに換算しなくても、上記各動作例は実現され得る。具体的には、測距距離Dに代えて、測距情報に対応するK桁の16進数の値が用いられ得る。この場合、判定閾値(例えば下側判定閾値DL等)に代えて、判定閾値に対応するK桁の16進数の値が用いられ得る。Kは例えば2または4である。
【0174】
上記の各実施形態において、超音波トランスデューサ4の搭載仰角、すなわち、車載状態における中心軸DAと水平面とのなす角は、略0度であった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。搭載仰角が略0度ではない場合、車両Vにおける超音波トランスデューサ4の搭載条件に応じた判定閾値の設定あるいは変更に際して、搭載仰角が考慮されてもよい。この場合、
図26に示されたフローチャートにおいて、ステップ2603の処理の前に、搭載仰角を取得するステップが設けられていてもよい。
【0175】
各判定処理において、「閾値未満」と「閾値以下」とは互換可能である。同様に、「閾値以上」と「閾値を超える」とは互換可能である。すなわち、各判定ステップにおける不等号「<」は、技術的に矛盾しない限り、「≦」であってもよい。同様に、各判定ステップにおける不等号「>」は、技術的に矛盾しない限り、「≧」であってもよい。
【0176】
上記の説明において、互いに継ぎ目無く一体に形成されていた複数の構成要素は、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継ぎ目無く一体に形成されてもよい。
【0177】
上記の説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
【0178】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0179】
「取得」「算出」「推定」「検出」「検知」「決定」等の類似の表現は、技術的に矛盾しない範囲内において、相互に適宜置換可能である。「検出」あるいは「検知」と「抽出」とも、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。
【0180】
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の構成例あるいは実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。組み合わせる数についても特段の限定はない。同様に、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、複数の実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
【0181】
(方法・プログラム)
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、物体検知方法および物体検知プログラムに関する、以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
【0182】
物体検知方法は、超音波トランスデューサ(4)を搭載した車両(V)の周囲に存在する物体を、前記超音波トランスデューサを用いて検知する方法である。物体検知プログラムは、前記超音波トランスデューサを用いて当該超音波トランスデューサを搭載した前記車両の周囲に存在する物体を検知するように構成された物体検知装置(700)にて実行されるプログラムである。
前記超音波トランスデューサは、
中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(51)と、超音波振動可能なダイアフラム(50)を構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(52)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)と、
前記側板部と前記底板部とで囲まれた内部空間(53)に面するように、前記底板部に固定的に支持された、電気信号と超音波振動とを変換する超音波素子(6)と、
を備え、
前記超音波素子は、第一指向特性を有する第一送信波と、前記第一指向特性とは異なる指向特性であって前記軸方向の音圧が低減された第二指向特性を有する第二送信波とを生成可能に、前記軸方向と直交する面内方向における前記ダイアフラムの中心位置(PC)に対して前記面内方向にオフセットした位置に配置されている。
【0183】
第1の観点によれば、前記物体検知方法、および、前記物体検知装置により実行される処理は、
前記超音波トランスデューサから送信された送信波の前記物体による反射波の振幅に対応する振幅情報を取得する、振幅取得処理と、
前記反射波に基づいて、前記物体との距離に対応する測距情報を取得する、距離取得処理と、
前記車両の車高方向について前記中心軸を挟んで略対称な前記第二指向特性を有する前記送信波である前記第二送信波の前記反射波に基づいて取得された、前記測距情報および/または前記振幅情報に基づいて、前記車両の進行の障害となる前記物体である障害物の存在を判定する、判定処理と、
を含む。
【0184】
第2の観点によれば、前記判定処理は、前記測距情報に対応する前記距離の変化に伴う、前記振幅情報に対応する前記振幅の変化態様に基づいて、前記障害物の存在を判定する処理を含む。
【0185】
第3の観点によれば、前記判定処理は、前記振幅または前記振幅の変化と、前記第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、前記障害物の存在を判定する処理を含む。
【0186】
第4の観点によれば、前記判定処理は、前記測距情報と、前記第二指向特性に基づいて設定された判定閾値との比較結果に基づいて、前記障害物の存在を判定する処理を含む。
【0187】
第5の観点によれば、前記判定処理は、前記車両における前記超音波トランスデューサの搭載条件に応じて、前記判定閾値を変更する処理を含む。
【0188】
第6の観点によれば、前記判定処理は、前記第一送信波の前記反射波に対応する前記振幅と、前記第二送信波の前記反射波に対応する前記振幅とに基づいて、前記障害物の存在を判定する処理を含む。
【0189】
第7の観点によれば、前記判定処理は、第一の前記超音波トランスデューサから送信された前記送信波に対応する前記反射波に基づく前記障害物の存在判定結果と、第二の前記超音波トランスデューサから送信された前記送信波に対応する前記反射波に基づく前記障害物の存在判定結果とに基づいて、前記障害物の存在を判定する処理を含む。
【0190】
第8の観点によれば、前記第一の前記超音波トランスデューサと、前記第二の前記超音波トランスデューサとは、前記車高方向における搭載位置が異なる。
【符号の説明】
【0191】
1 超音波センサ
25 制御回路素子
4 超音波トランスデューサ
5 トランスデューサケース
50 ダイアフラム
51 側板部
52 底板部
6 超音波素子
700 物体検知装置
706 判定部