(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】光通信装置及び伝送路異常検出方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/075 20130101AFI20240109BHJP
【FI】
H04B10/075
(21)【出願番号】P 2020053285
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】土居 敬一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉山 友香
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-311523(JP,A)
【文献】特開2012-100398(JP,A)
【文献】特開平07-273692(JP,A)
【文献】特開2002-290348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149344(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ側の光通信装置との通信により電力変換装置にゲート信号を出力するスレーブ側の光通信装置であって、
前記マスタ側の光通信装置から光回線を介して受信したゲートイネーブル信号に基づき当該光回線の伝送路の異常を検出する信号判定部を備え、
前記異常が検出されると、前記ゲートイネーブル信号の伝送を停止させる制御情報を前記マスタ側の光通信装置に出力すると共に、前記ゲート信号として前記電力変換装置の出力を停止させる信号を出力すること
を特徴とする光通信装置。
【請求項2】
前記光回線は、複数の回線を有し、
前記信号判定部は、
前記
複数の回線に各々接続され、当該接続された回線から受けたゲートイネーブル信号の波形に基づき
、当該回線における異常を検出する
、複数の伝送路異常検出回路と、
この複数の伝送路異常検出回路
のいずれかから異常を示す信号を受けると、
前記伝送路の異常を示す信号を出力する論理和回路と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
【請求項3】
前記
複数の伝送路異常検出回路は、
前記伝送路の前記ゲートイネーブル信号のパルス信号が所定波形となる位相区間の連続数をカウントするカウンタと、
前記連続数が閾値を超えた場合に前記伝送路の異常を示す信号を出力する比較器と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記光回線は、複数の回線を有し、
前記信号判定部は、
前記複数の回線の所定波形の信号の
論理和である出力信号を発する第一論理和回路と、
前記所定波形の信号を反転する反転増幅回路と、
前記反転された信号の
論理和である出力信号を発する第二論理和回路と、
前記第一論理和回路及び
前記第二論理和回路の出力信号
の論理積であって、
前記伝送路が正常である
場合に正常を示す第一出力値
として「1」、または
前記伝送路が異常である
場合に異常を示す第二出力値
として「0」を出力する論理積回路と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
【請求項5】
マスタ側の光通信装置との通信により電力変換装置にゲート信号を出力するスレーブ側の光通信装置による伝送路異常検出方法であって、
前記マスタ側の光通信装置から光回線を介して受信したゲートイネーブル信号に基づき当該光回線の伝送路の異常を検出する過程と、
前記異常が検出されると前記ゲートイネーブル信号の伝送を停止させる制御情報を前記マスタ側の光通信装置に出力すると共に前記ゲート信号として前記電力変換装置の出力を停止させる信号を出力する過程と
を有することを特徴とする伝送路異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回線を利用した伝送システムの伝送路の異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光回線を利用したシリアルデータの伝送路に異常が生じた際の対応が可能な通信装置として、例えば特許文献1,2に開示の光通信装置があり、送信用、受信用の2回路が用いられている。伝送路の異常時の処理として受信信号が0の時にタイマカウンタをアップさせる。タイマが閾値以上となれば許可信号を落として通信が切れたことを判定して光送信を停止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-290348号公報
【文献】特開2004-336132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マスタ制御装置及びスレーブ制御装置により電力変換装置を制御する伝送システムにおいも、光回線が利用されることがある。そして、本伝送システムにおいて、特許文献1の検出方式が適用された場合、マスタ制御装置から光回線を介してスレーブ制御装置に電圧指令値やゲートイネーブル信号等の制御情報がシリアルデータで送信され、スレーブ制御装置において電力変換装置のユニットの電圧(出力)が制御される。ゲートイネーブル信号は、電力変換装置の出力状態を決める信号であり、故障発生時には電力変換装置が破損しないように迅速に停止する必要がある。
【0005】
また、上記の伝送システムは、マスタ制御装置で故障を検出してからユニットの出力を停止するまでシリアルデータで送信しているので送信データ量に比例して遅延が発生する。この影響でゲートイネーブル信号の送信が遅れ、電力変換装置が破損する場合がある。この対策としてゲートイネーブル信号の専用回路を1回路追加して1(出力),0(停止)の二値で電力変換装置の出力可否を高速に判定することが考えられる。
【0006】
しかしながら、前記電力変換装置の出力中に通信回路の異常でHighに固定された場合、伝送路異常を検出できないことに加え、伝送路異常中に故障が発生してもゲートイネーブル信号を停止できない。そして、このことにより、前記電力変換装置は、過大な出力を出し続け、破損を引き起こすおそれがある。
【0007】
本発明は、光回線を利用した伝送路の異常検出の高速化と伝送路異常が検出された際のゲートイネーブル信号の迅速な停止を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の一態様は、マスタ側の光通信装置との通信により電力変換装置にゲート信号を出力するスレーブ側の光通信装置であって、前記マスタ側の光通信装置から光回線を介して受信したゲートイネーブル信号に基づき当該光回線の伝送路の異常を検出する信号判定部を備え、前記異常が検出されると、前記ゲートイネーブル信号の伝送を停止させる制御情報を前記マスタ側の光通信装置に出力すると共に、前記ゲート信号として前記電力変換装置の出力を停止させる信号を出力する。
【0009】
本発明の一態様は、前記光通信装置において、前記光回線は、複数の回線を有し、前記信号判定部は、前記回線から受けた前記ゲートイネーブル信号の波形に基づき前記異常を検出する伝送路異常検出回路と、この伝送路異常検出回路から前記異常を示す信号を受けると前記異常を示す信号を出力する論理和回路とを備える。
【0010】
本発明の一態様は、前記光通信装置において、前記伝送路異常検出回路は、前記伝送路の前記ゲートイネーブル信号のパルス信号が所定波形となる位相区間の連続数をカウントするカウンタと、前記連続数が閾値を超えた場合に前記伝送路の異常を示す信号を出力する比較器とを備える。
【0011】
本発明の一態様は、前記光通信装置において、前記光回線は、複数の回線を有し、前記信号判定部は、前記マスタ側の光通信装置から受けた前記複数の回線の所定波形の信号のいずれかに基づく出力信号を発する第一論理和回路と、前記所定波形の信号を反転する反転増幅回路と、前記反転された信号のいずれかに基づく出力信号を発する第二論理和回路と、前記第一論理和回路及び前記第二論理和回路の出力信号に基づき、前記伝送路が正常であることを示す第一出力値または前記伝送路が異常であることを示す第二出力値を出力する論理積回路とを備える。
【0012】
本発明の一態様は、マスタ側の光通信装置との通信により電力変換装置にゲート信号を出力するスレーブ側の光通信装置による伝送路異常検出方法であって、前記マスタ側の光通信装置から光回線を介して受信したゲートイネーブル信号に基づき当該光回線の伝送路の異常を検出する過程と、前記異常が検出されると前記ゲートイネーブル信号の伝送を停止させる制御情報を前記マスタ側の光通信装置に出力すると共に前記ゲート信号として前記電力変換装置の出力を停止させる信号を出力する過程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、光回線を利用した伝送路の異常検出の高速化と伝送路異常が検出された際のゲートイネーブル信号の迅速な停止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一態様である実施形態1の伝送システムのブロック図。
【
図2】(a)実施形態1におけるスレーブ側の信号判定部のブロック図、(b)当該信号判定部の伝送異常検出回路のブロック図。
【
図4】信号nがlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号パターン。
【
図5】信号nがhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号パターン。
【
図6】本発明の一態様である実施形態2の伝送システムのブロック図。
【
図7】実施形態2におけるスレーブ側の信号判定部のブロック図。
【
図8】(a)実施形態2の信号1~3のパルスパターン、(b)伝送路が正常である場合の当該パルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例。
【
図9】(a)信号1がhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号1~3及び信号判定部における各論理回路の出力信号のパルスパターンの一例、(b)信号1がlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す当該パルスパターンの一例。
【
図10】
図9(a)(b)の信号1のパルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例。
【
図11】(a)信号2がhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号1~3及び信号判定部における各論理回路の出力信号のパルスパターンの一例、(b)信号2がlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す当該パルスパターンの一例。
【
図12】
図11(a)(b)の信号2のパルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例。
【
図13】(a)信号3がhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号1~3及び信号判定部における各論理回路の出力信号のパルスパターンの一例、(b)信号3がlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す当該パルスパターンの一例。
【
図14】
図13(a)(b)の信号3のパルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
[実施形態1]
図1に例示の伝送システム1は、互いに伝送可能なマスタ制御装置2及びスレーブ制御装置3を有する。マスタ制御装置2とスレーブ制御装置3とは、制御情報及びゲートイネーブル信号(以下、イネーブル信号)を伝送する光回線である光ファイバケーブル10を介して接続される。光ファイバケーブル10は複数の回線を有する。本発明の光回線は、2つ以上の複数の回線を有すればよく、図示の回線数に限定されるものではない。
【0017】
(マスタ制御装置2の態様例)
マスタ制御装置2は、伝送システム1のマスタ側の光通信装置であって、スレーブ制御装置3との間で制御情報及びイネーブル信号の送受信を行う。
【0018】
マスタ制御装置2は、通信制御部21、電圧レベル変換部220,221~224及びE/O変換部230,231~234を備える。
【0019】
通信制御部21は、スレーブ制御装置3に供する制御情報及びイネーブル信号(以下、信号1~4)を生成する。
【0020】
電圧レベル変換部220は、通信制御部21からの制御情報をE/O変換部230のICに適した所定の電圧レベルに変換する。
【0021】
電圧レベル変換部221~224は、通信制御部21からの信号1~4のパルスパターンをE/O変換部231~234のICに適した所定の電圧レベルに各々変換する。
【0022】
E/O変換部230は、電圧レベル変換部220から受けた制御情報の電圧レベルを示す電気信号を光信号に変換する。
【0023】
E/O変換部231~234は、電圧レベル変換部221~224から受けた信号1~4の電圧レベルを示す電気信号を光信号に各々変換する。
【0024】
(スレーブ制御装置3の態様例)
スレーブ制御装置3は、伝送システム1のスレーブ側の光通信装置であって、マスタ制御装置2との間で制御情報の送受信やイネーブル信号の受信を行うと共に、図示省略の電力制御装置にゲート信号を出力する。
【0025】
スレーブ制御装置3は、O/E変換部310~314、電圧レベル変換部320~324及び信号判定部33を備える。
【0026】
O/E変換部310は、マスタ制御装置2から光ファイバケーブル10を介して供された前記制御情報の光信号を電気信号に変換する。
【0027】
O/E変換部311~314は、マスタ制御装置2から光ファイバケーブル10の各回線を介して供された信号1~4の光信号を電気信号に各々変換する。
【0028】
電圧レベル変換部320は、O/E変換部310から受けた前記電気信号を信号判定部33のICに適した所定の電圧レベルに変換する。
【0029】
電圧レベル変換部321~324は、O/E変換部311~314から受けた信号1~4の電気信号を信号判定部33のICに適した所定の電圧レベルに各々変換する。
【0030】
信号判定部33は、電圧レベル変換部320から前記制御情報の電気信号を受けると共に、電圧レベル変換部321~324からの信号1~4の電圧レベルに基づき光ファイバケーブル10の伝送路が正常か否かを判定する。
【0031】
(信号判定部33の態様例)
信号判定部33は、
図2(a)に例示したように、光ファイバケーブル10の回線数に対応した複数の伝送路異常検出回路331~334と、論理和回路335とを備える。
【0032】
伝送路異常検出回路331~334は、電圧レベル変換部321~324から受けた信号1~4の波形に基づき前記伝送路の異常を各々検出する。
【0033】
論理和回路335は、伝送路異常検出回路331~334のいずれかから前記伝送路の異常を示す信号を受けると、前記伝送路の異常を示す信号を出力する。
【0034】
スレーブ制御装置3は、信号判定部33において前記異常が検出されると、信号1~4の伝送を停止させる制御情報をマスタ制御装置2に出力すると共に、前記電力変換装置の出力を停止させるゲート信号を当該電力変換装置に出力する。
【0035】
(伝送路異常検出回路331~334の態様例)
伝送路異常検出回路331~334は、同図(b)に例示したように、low連続検出回路41、high連続検出回路42及び論理和回路43を備える。
【0036】
low連続検出回路41は、カウンタ411、閾値設定部412、比較器413及び反転増幅回路414を備える。カウンタ411は、マスタ制御装置2からイネーブル信号として供された信号n(本態様の場合、n=1~4)のパルス信号が所定波形(low)となる位相区間の連続数をカウントする。閾値設定部412は、前記連続数の閾値を予め設定する。比較器413は、前記連続数が閾値設定部412での閾値を超えた場合に信号nの伝送路の異常を示す信号を出力する。反転増幅回路414は、信号nを反転してカウンタ411のカウントに供する。
【0037】
high連続検出回路42は、カウンタ421、閾値設定部422、比較器423及び反転増幅回路424を備える。カウンタ421は、マスタ制御装置2からイネーブル信号として供された信号n(本態様の場合、n=1~4)のパルス信号が所定波形(high)となる位相区間の連続数をカウントする。閾値設定部422は、前記連続数の閾値を予め設定する。比較器423は、前記連続数が閾値設定部422での閾値を超えた場合に前記いずれかの伝送路の異常を示す信号を出力する。反転増幅回路424は、信号nを反転してカウンタ421のクリアに供する。
【0038】
論理和回路43は、low連続検出回路41、high連続検出回路42のいずれかから異常を示す信号を受けると、信号nの回線の異常を示す信号を出力する。
【0039】
(本実施形態の動作例)
以下、
図1~5を参照して実施形態1の動作例について説明する。
【0040】
マスタ制御装置2の通信制御部21は、イネーブル信号をして
図3に例示のパルスパターンの信号1~3を生成する。
【0041】
信号1は360/4×0~360/4×1(360/n、nは使用回路数)の範囲で値をlow、highに信号を変化させる。信号2は360/4×1~360/4×2の範囲で信号を変化させ、信号3、信号4もそれぞれ指定の範囲内で信号を変化させる。
【0042】
マスタ制御装置2は信号1~4をスレーブ制御装置3に送信する。スレーブ制御装置3は信号1~4を受信し、光ファイバケーブル10の伝送路の異常を判定する。信号判定部33において、
図2(b)のhigh連続検出回路42は、信号1~4が0になったタイミングでカウンタ421をクリアし、カウンタ421がクリアされなかった場合に異常を判定するための閾値が閾値設定部422により設定される。一方、low連続検出回路41は、カウンタ411がクリアされるタイミングは、high連続検出回路42と逆であり、信号1~4が1となったタイミングでカウンタをクリアする。
【0043】
前記伝送路の異常で信号nがlow固定となった場合のlow連続検出回路41の信号パターンを
図4に示す。前記伝送路の異常で信号nがhigh固定となった場合のhigh連続検出回路42の信号パターンを
図5に示す。
【0044】
以上のように、スレーブ制御装置3は、光ファイバケーブル10の伝送路を介してマスタ制御装置2から供される「1」「0」の二値で示されるイネーブル信号に基づき当該伝送路の異常を判定する。
【0045】
したがって、本実施形態の伝送路異常の検出方式によれば、光回線を利用した伝送路の異常検出にあたり、シリアルデータ通信に比べて、伝送路の異常を高速に検出すると共にゲートイネーブル信号を迅速に停止できる。
【0046】
[実施形態2]
本実施形態は、スレーブ制御装置3の信号判定部33を論理回路のみで構成することで回路構成の簡素化と伝送路の異常検出の高速化を図る。
【0047】
図6に例示された伝送システムはイネーブル信号の光通信回線を3つ有する。
【0048】
本実施形態の伝送システム1は、スレーブ制御装置3の信号判定部33が
図7のように実施形態1のカウンタ411,421を備えることなく論理回路のみで構成されること以外は、実施形態1の伝送システム1と同様の態様となっている。
【0049】
信号判定部33は、第一論理和回路51、反転増幅回路521~523、第二論理和回路53、論理積回路54を備える。
【0050】
第一論理和回路51は、マスタ制御装置2の通信制御部21から受けた所定波形の信号1~3のいずれかに基づく信号ORを出力する。
【0051】
反転増幅回路521~523は、マスタ制御装置2から受けた信号1~3を反転した信号1*~3*を各々出力する。
【0052】
第二論理和回路53は、反転増幅回路521~523から受けた信号1*~3*のいずれかに基づく信号OR*を出力する。
【0053】
論理積回路54は、第一論理和回路51の出力信号OR及び第二論理和回路53の出力信号OR*に基づく信号ANDを出力する。例えば、前記伝送路が正常である場合、信号ANDは正常を示す第一出力値として「1」が出力される。一方、前記伝送路が異常である場合、信号ANDは異常を示す第二出力値として「0」が出力される。
【0054】
図8~14を参照して実施形態2の動作例について説明する。
【0055】
マスタ制御装置2は
図8(a)に例示したパルスパターンの信号1~3をスレーブ制御装置3に送信する。スレーブ制御装置3は
図7の信号判定部33により信号1~3に基づく伝送システム1の伝送路の異常を判定する。
【0056】
同図(b)は前記伝送路が正常である場合の信号1~3のパルスパターンにおける各位相区間の信号1~3、信号1*~3*、信号OR、信号OR*、信号ANDの出力値の一例を示す。前記伝送路が正常時は信号ANDが常に「1」として出力される。
【0057】
図9~14は前記伝送路が異常である場合の信号1~3のパルスパターンとその各位相区間の信号1~3、信号1*~3*、信号OR、信号OR*、信号ANDの出力値の一例を示す。
【0058】
図9(a)は、信号1がhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号1~3及び信号判定部における各論理回路の出力信号のパルスパターンの一例を示す。同図(b)は、信号1がlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す当該パルスパターンの一例を示す。
図10は、
図9(a)(b)の当該パルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例を示す。
【0059】
図11(a)は、信号2がhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号1~3及び信号判定部における各論理回路の出力信号のパルスパターンの一例を示す。同図(b)は、信号2がlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す当該パルスパターンの一例を示す。
図12は、
図11(a)(b)の当該パルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例を示す。
【0060】
図13(a)は、信号3がhigh固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す信号1~3及び信号判定部における各論理回路の出力信号のパルスパターンの一例を示す。同図(b)は、信号3がlow固定となった場合の伝送路異常(位相180°で異常)を示す当該パルスパターンの一例を示す。
図14は、
図13(a)(b)の当該パルスパターンにおける各位相区間の出力値の一例を示す。
【0061】
前記伝送路の異常により信号判定部33から出力された信号ANDの出力値「0」は、例えばスレーブ制御装置3に実装されたラッチ処理回路等の自己保持回路に保持される。
【0062】
したがって、実施形態2の伝送路異常の検出方式によれば、「1」「0」の二値で伝送路異常を判定することで、実施形態1と同様に、シリアルデータ通信に比べて伝送路異常を高速に検出し、かつゲートイネーブル信号を迅速に停止できる。特に、信号判定部33が論理回路のみで構成されたことで回路構成の簡素化が実現する。さらには、伝送路の異常検出の高速化が図られる。特に、実施形態1の検出方式に比べて伝送路の故障発生から180°以内にその異常を検出できる。
【符号の説明】
【0063】
1…伝送システム
2…マスタ制御装置、21…通信制御部、220~224…電圧レベル変換部、230~234…E/O変換部
3…スレーブ制御装置、310~314…O/E変換部、320~324…電圧レベル変換部、33…信号判定部
331~334…伝送路異常検出回路、335…論理和回路
41…low連続検出回路、42…high連続検出回路
411,421…カウンタ、412,422…閾値設定部、413,423…比較器
51…第一論理和回路、521~523…反転増幅回路、53…第二論理和回路、54…論理積回路
10…光ファイバケーブル