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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/03 20060101AFI20240109BHJP
   F25B 40/00 20060101ALI20240109BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240109BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20240109BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F28D1/03
F25B40/00 V
F25B1/00 331Z
F28F3/08 311
B60H1/00 102C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020054811
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021018052
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2019135404
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川野 茂
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康太
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 功
(72)【発明者】
【氏名】小原 公和
(72)【発明者】
【氏名】細野 剛史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達博
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-59154(JP,U)
【文献】実開昭54-092648(JP,U)
【文献】特開2000-337728(JP,A)
【文献】実公昭43-000948(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/03
F25B 40/00
F25B 39/00
F25B 1/00
F28F 3/08
F28F 9/26
F28F 25/00
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
第1空気流および高圧冷媒の間の熱交換によって前記高圧冷媒から前記第1空気流に放熱させる熱交換コア(230)を備える放熱部(20)と、
前記放熱部に対して上側に配置され、第2空気流および低圧冷媒の間の熱交換によって前記低圧冷媒を前記第2空気流から吸熱させて蒸発させる蒸発部(22)と、
前記蒸発部および前記放熱部の間に配置され、前記蒸発部から生じる凝縮水を前記放熱部の前記熱交換コアのうち前記第1空気流の風上側に導くための導水部(283)と、を備え、
前記熱交換器は、前記蒸発部の熱交換によって前記蒸発部から生じる凝縮水を前記放熱部における前記熱交換コアのうち前記第1空気流の風上側に導いて、この導かれる凝縮水を前記熱交換コアに掛けて前記高圧冷媒から前記凝縮水に放熱させて前記凝縮水を気化させ
前記放熱部および前記蒸発部が並ぶ方向に交差する方向を交差方向としたとき、前記導水部は、前記放熱部および前記蒸発部の間に配置されて、前記交差方向に拡がるように形成されており、
前記放熱部は、前記高圧冷媒を流通させる高圧冷媒流路(201c)を備え、
前記蒸発部は、前記低圧冷媒を流通させる低圧冷媒流路(221c)を備え、
前記放熱部および前記蒸発部は、第1熱交換プレート(381A)、第2熱交換プレート(382A)、第3熱交換プレート(381B)、および第4熱交換プレート(382B)を有して構成されており、
前記第1熱交換プレートは、前記第2熱交換プレートに対して所定方向(Ds)一方側に配置されており、
前記第2熱交換プレートは、前記第3熱交換プレートに対して前記所定方向一方側に配置されており、
前記第3熱交換プレートは、前記第4熱交換プレートに対して前記所定方向一方側に配置されており、
前記第1熱交換プレートおよび前記第2熱交換プレートは、互いに合わさるように配置されて、前記第1熱交換プレートおよび前記第2熱交換プレートの間には、前記高圧冷媒流路および前記低圧冷媒流路が形成されており、
前記第2熱交換プレートおよび前記第3熱交換プレートの間には、前記第1空気流が流れる第1空気流路(20a)と前記第2空気流が流れる第2空気流路(22a)とが形成されており、
前記第3熱交換プレートおよび前記第4熱交換プレートは、互いに合わさるように配置されて、前記第3熱交換プレートおよび前記第4熱交換プレートの間には、前記高圧冷媒流路および前記低圧冷媒流路が形成されており、
前記第1熱交換プレート、前記第2熱交換プレート、前記第3熱交換プレート、および前記第4熱交換プレートは、それぞれ、前記低圧冷媒流路および前記高圧冷媒流路の間に配置されて前記低圧冷媒流路を通過した前記低圧冷媒と前記高圧冷媒流路を通過した前記高圧冷媒との間で熱交換する内部熱交換部(28)を構成し、
前記内部熱交換部は、前記第2空気流路で発生した前記凝縮水を前記熱交換コアのうち前記第1空気流の風上側に導くための前記導水部(283)を構成する、熱交換器。
【請求項2】
前記内部熱交換部は、
所定方向に延びる筒状に形成されて前記低圧冷媒流路を通過した前記低圧冷媒を流通させる外側筒部(281)と、
前記外側筒部の内側において前記所定方向に延びる筒状に形成されて前記高圧冷媒流路を通過した前記高圧冷媒を流通させる内側筒部(282)と、を備え、前記外側筒部内の前記低圧冷媒と前記内側筒部内の前記高圧冷媒との間で熱交換させ、
前記外側筒部のうち前記第2空気流路に向けて形成されている上側部位は、前記導水部(283)を構成する請求項に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記導水部を第1導水部としたとき、前記第2空気流路に対して下側に配置されて前記外側筒部に対して前記第1空気流の風下側に設けられて、前記第2空気流路で発生した前記凝縮水を前記第1導水部に導くための第2導水部(50)を備える請求項に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第2導水部は、前記凝縮水を前記第1導水部に導くために、前記第1空気流の風下側に進むほど上側に向かう傾斜状に形成されている請求項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記蒸発部および前記放熱部は、減圧部(321e)、圧縮機(14)とともに、冷凍サイクルを構成し、
前記圧縮機は、前記蒸発部から流れる前記低圧冷媒を吸入し圧縮して前記高圧冷媒を吐出し、
前記放熱部は、前記圧縮機から吐出される前記高圧冷媒および前記第1空気流の間で熱交換させ、
前記減圧部は、前記放熱部から流れる前記高圧冷媒を減圧して前記低圧冷媒を排出し、
前記蒸発部は、前記減圧部から流れる前記低圧冷媒および前記第2空気流の間で熱交換させる請求項1ないしのいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項6】
前記放熱部に流れる前記第1空気流の主流と、前記蒸発部に流れる前記第2空気流の主流とが、同一向きに流れ、
前記蒸発部のうち前記第2空気流の風上側が前記蒸発部のうち前記第2空気流の風下側よりも下側に配置されるように前記蒸発部が傾斜して配置されることにより、前記蒸発部が前記凝縮水を重力によって前記放熱部における前記熱交換コアのうち前記第1空気流の風上側に導くようになっている請求項1ないしのいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記放熱部に流れる前記第1空気流の主流と、前記蒸発部に流れる前記第2空気流の主流とが、互いに逆向きに流れ、
前記蒸発部のうち前記第2空気流の風下側が前記蒸発部のうち前記第2空気流の風上側よりも下側に配置されるように前記蒸発部が傾斜して配置されることにより、前記蒸発部が前記凝縮水を重力によって前記放熱部における前記熱交換コアのうち前記第1空気流の風上側に導くようになっている請求項1ないしのいずれか1つに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置では、蒸発部が放熱部の上側に配置され、蒸発部に生じる凝縮水を放熱部に導く導水流路を設けるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいては、放熱部に凝縮水を掛けて凝縮水を放熱部で気化されて冷媒から気化熱を奪うことにより、放熱部における冷媒を冷却する冷却効率を上げることを狙いとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2018/235765号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、空調装置では、蒸発部に生じる凝縮水を放熱部にどうように掛けるについて記載されていない。
【0006】
例えば、凝縮水を放熱部のうち上側タンクに流下させると、凝縮水が放熱部の上側タンクに沿って風下側に流れるおそれがある。
【0007】
したがって、凝縮水が放熱部で気化されずに、そのまま、放熱部の風下側に流れてしまう。よって、放熱部において冷媒の十分な冷却効果を得られない可能性が高い。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、蒸発部および放熱部を備える熱交換器において、蒸発部に生じる凝縮水を用いて放熱部における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、熱交換器は、
第1空気流および高圧冷媒の間の熱交換によって高圧冷媒から第1空気流に放熱させる熱交換コア(230)を備える放熱部(20)と、
放熱部に対して上側に配置され、第2空気流および低圧冷媒の間の熱交換によって低圧冷媒を第2空気流から吸熱させて蒸発させる蒸発部(22)と、
蒸発部および放熱部の間に配置され、蒸発部から生じる凝縮水を放熱部の熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くための導水部(283)と、を備え、
熱交換器は、蒸発部の熱交換によって蒸発部から生じる凝縮水を放熱部における熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導いて、この導かれる凝縮水を熱交換コアに掛けて高圧冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させ
放熱部および蒸発部が並ぶ方向に交差する方向を交差方向としたとき、導水部は、放熱部および蒸発部の間に配置されて、交差方向に拡がるように形成されており、
放熱部は、高圧冷媒を流通させる高圧冷媒流路(201c)を備え、
蒸発部は、低圧冷媒を流通させる低圧冷媒流路(221c)を備え、
放熱部および蒸発部は、第1熱交換プレート(381A)、第2熱交換プレート(382A)、第3熱交換プレート(381B)、および第4熱交換プレート(382B)を有して構成されており、
第1熱交換プレートは、第2熱交換プレートに対して所定方向(Ds)一方側に配置されており、
第2熱交換プレートは、第3熱交換プレートに対して所定方向一方側に配置されており、
第3熱交換プレートは、第4熱交換プレートに対して所定方向一方側に配置されており、
第1熱交換プレートおよび第2熱交換プレートは、互いに合わさるように配置されて、第1熱交換プレートおよび第2熱交換プレートの間には、高圧冷媒流路および低圧冷媒流路が形成されており、
第2熱交換プレートおよび第3熱交換プレートの間には、第1空気流が流れる第1空気流路(20a)と第2空気流が流れる第2空気流路(22a)とが形成されており、
第3熱交換プレートおよび第4熱交換プレートは、互いに合わさるように配置されて、第3熱交換プレートおよび第4熱交換プレートの間には、高圧冷媒流路および低圧冷媒流路が形成されており、
第1熱交換プレート、第2熱交換プレート、第3熱交換プレート、および第4熱交換プレートは、それぞれ、低圧冷媒流路および高圧冷媒流路の間に配置されて低圧冷媒流路を通過した低圧冷媒と高圧冷媒流路を通過した高圧冷媒との間で熱交換する内部熱交換部(28)を構成し、
内部熱交換部は、第2空気流路で発生した凝縮水を熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くための導水部(283)を構成する。
【0010】
これによれば、高圧冷媒から気化熱を凝縮水に移動させることができるので、凝縮水を用いて高圧冷媒を冷却することができる。これにより、蒸発部に生じる凝縮水を用いて放熱部における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器を提供することができる。
【0011】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の熱交換器を有する冷凍サイクル回路を示した冷媒回路図である。
図2】第1実施形態において熱交換器の概略構成を模式的に示した断面図である。
図3】第1実施形態において図2のIII-III断面を示した断面図であって、一方側サイドプレート部の一方側第3板を抜粋して示した図である。
図4】第1実施形態における図2のIV方向の矢視図であって、他方側サイドプレート部の他方側第2板を二点鎖線で示した図である。
図5】第1実施形態において、凝縮構成部および蒸発構成部を構成する一対の板部材のうち積層方向の他方側に配置される第2板部材を、図2の矢印Vで示す方向視で見た矢視図である。
図6】第1実施形態において、凝縮構成部および蒸発構成部を構成する一対の板部材のうち積層方向の一方側に配置される第1板部材を、図2の矢印IVで示す方向視で見た矢視図である。
図7】第1実施形態において図2のVII-VII断面を示した断面図であって、凝縮部内の冷媒流れを矢印で模式的に示した図である。
図8】第1実施形態において図2のVIII-VIII断面を示した断面図であって、蒸発部内の冷媒流れを矢印で模式的に示した図である。
図9】第1実施形態において図4のIXV-IXV断面を示した断面図であって、内部熱交換部の構造を模式的に示した図である。
図10】第1実施形態において、一方側サイドプレート部の一方側第2板を、図2の矢印Vで示す方向視で見た矢視図である。
図11】第1実施形態において、一方側サイドプレート部の一方側第1板を、図2の矢印Vで示す方向視で見た矢視図である。
図12図5に相当する図であって、図5の第2板部材のうち他方側凝縮板部の第1連通孔が設けられていない構成を示した図である。
図13図6に相当する図であって、図6の第1板部材のうち一方側蒸発板部の第1連通孔が設けられていない構成を示した図である。
図14】第1実施形態において図4のXIV-XIV断面を示した断面図であって、内部熱交換部および導水板を模式的に示した図である。
図15】対比例において熱交換器の概略構成を模式的に示した断面図である。
図16図15中のXVI部分を拡大した図であって、貯水部、ドレイン配管、およ凝縮部の構成を示した図である。
図17】第2実施形態の熱交換器を有する冷凍サイクル回路を示した冷媒回路図であって、図1に相当する図である。
図18】第2実施形態において熱交換器の概略構成を模式的に示した断面図であって、図2に相当する図である。
図19図18のXIX方向の矢視図であって、第2実施形態の一方側サイドプレート部を示した図である。
図20】第2実施形態において図18のXX-XX断面を示した断面図であって、第2実施形態の他方側サイドプレート部を示した図である。
図21】第2実施形態において図18のXXI-XXI断面を示した断面図であって、一方側凝縮板部と一方側蒸発板部とを抜粋して示した図である。
図22】第2実施形態において図18のXXII-XXII断面を示した断面図であって、一方側凝縮板部と一方側蒸発板部とを抜粋して示した図である。
図23図18のXXIII-XXIII断面を示し図22に相当する断面図であって、図22の第2板部材のうち他方側凝縮板部の第1連通孔と他方側蒸発板部の第2連通孔とが設けられていない構成を示した図である。
図24図18のXXIV-XXIV断面を示し図22に相当する断面図であって、図22の第2板部材のうち他方側凝縮板部の第2連通孔と他方側蒸発板部の第1連通孔とが設けられていない構成を示した図である。
図25】第3実施形態において熱交換器において、蒸発部、貯水部、ドレイン配管、凝縮部、およびディストリビュータを模式的に示した模式図である。
図26】第3実施形態において図25のXXVI方向の矢視図であって、ドレイン配管、凝縮部、およびディストリビュータを模式的に示した模式図である。
図27】第3実施形態において凝縮部、およびディストリビュータを分解した状態を模式的に示した斜視図である。
図28】第4実施形態において図21に相当する図であって、一方側凝縮板部と一方側蒸発板部とを抜粋して示した図である。
図29】第5実施形態の熱交換器、ダクト、および送風ユニットを備える空調装置の全体を鉛直方向Dgの上側から視た全体構成図である。
図30】第5実施形態の送風ユニットの構成を示した図である。
図31】第5実施形態の熱交換器、およびダクトの配置関係を示した全体構成図である。
図32】第6実施形態の熱交換器、ダクト、および送風ユニットを備える空調装置の全体を鉛直方向Dgの上側から視た全体構成図である。
図33】第6実施形態の送風ユニットの構成を示した図である。
図34】第7実施形態の熱交換器、ダクト、および送風ユニットを備える空調装置の全体を鉛直方向Dgの上側から視た全体構成図である。
図35】第8実施形態の熱交換器、およびダクトの配置関係を示した全体構成図である。
図36】第9実施形態の熱交換器、およびダクトの配置関係を示した全体構成図である。
図37】第10実施形態の熱交換器、およびダクトの配置関係を示した全体構成図である。
図38】第11実施形態の熱交換器、およびダクトの配置関係を示した全体構成図である。
図39】第1実施形態の変形例において、熱交換器を有する冷凍サイクル回路を示した冷媒回路図である。
図40】第1実施形態の変形例において、図2のVIII-VIII断面に相当する断面を示した断面図であって、図8に相当する図である。
図41】第2実施形態の変形例において、冷凍サイクル回路を示した冷媒回路図であって、図14に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の熱交換器10は、冷媒が循環する冷凍サイクル回路12の一部を構成する。すなわち、冷凍サイクル回路12では、その冷凍サイクル回路12に含まれる圧縮機14が圧縮した冷媒が熱交換器10に流入し、その熱交換器10に流入した冷媒は、熱交換器10内を流通してから圧縮機14に吸い込まれる。
【0015】
この熱交換器10は、冷房または暖房が行われる空調対象空間へ流れる空気と冷媒との熱交換を行う。例えば、その空調対象空間が冷房される場合には、熱交換器10は、その空調対象空間へ流れる空気を冷媒で冷却する。また、その空調対象空間が暖房される場合には、熱交換器10は、その空調対象空間へ流れる空気を冷媒で加熱する。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態の熱交換器10は、例えば、アルミニウム合金などの金属からなる複数の構成部材が互いにロウ付け接合されることにより構成されている。
【0017】
本実施形態の熱交換器10は、放熱部としての凝縮部20と、蒸発部22と、内部熱交換部28と、一方側サイドプレート部30と、他方側サイドプレート部32と、管状の入口管34と、管状の出口管36とを備えている。熱交換器10は、凝縮水を外側筒部281の上側に導くための第2導水部としての導水板50を備える。
【0018】
図2図4に示すように、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32は、所定の積層方向Dsを厚み方向とし且つ鉛直方向Dgを長手方向とした略板状を成している。
【0019】
その積層方向Dsは鉛直方向Dgに対して交差する方向、厳密に言えば鉛直方向Dgに対して直交する方向である。なお、図2は、図4のII-II断面を示している。また、本実施形態では、積層方向Dsと鉛直方向Dgとの両方に直交する方向を熱交換器幅方向Dwと呼ぶものとする。
【0020】
一方側サイドプレート部30は、熱交換器10のうち積層方向Dsの一方側の端に配置され、他方側サイドプレート部32は、熱交換器10のうち積層方向Dsの他方側の端に配置されている。凝縮部20と蒸発部22と内部熱交換部28は、積層方向Dsにおいて、その一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との間に配置されている。 すなわち、一方側サイドプレート部30は、凝縮部20と蒸発部22と内部熱交換部28とに対し積層方向Dsの一方側に配置され、他方側サイドプレート部32は、凝縮部20と蒸発部22と内部熱交換部28とに対し積層方向Dsの他方側に配置されている。
そして、一方側サイドプレート部30および他方側サイドプレート部32は、その一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との間に、凝縮部20と蒸発部22と内部熱交換部28と導水板50を挟んでいる。
【0021】
凝縮部20は、積層方向Dsを厚み方向とし且つ鉛直方向Dgを長手方向とした凝縮構成部201が積層方向Dsに複数積層された積層構造を備えている。すなわち、凝縮部20は複数の凝縮構成部201を有しており、その複数の凝縮構成部201は積層方向Dsに積層されると共に、互いに接合されている。
【0022】
そして、図2図5図6に示すように、複数の凝縮構成部201の内部にはそれぞれ、一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bと凝縮流路201c(すなわち、高圧冷媒流路)とからなる内部空間が形成されている。一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bと凝縮流路201cは、冷媒が流通する空間である。
【0023】
一方側凝縮タンク空間201aは凝縮流路201cの一端に接続され、他方側凝縮タンク空間201bは凝縮流路201cの他端に接続されている。凝縮流路201cは、例えば、鉛直方向Dgに複数回往復する波形の経路に沿って延びている。本実施形態では、凝縮流路201cは、鉛直方向Dgに3往復する波形の経路に沿って延びている。
【0024】
凝縮流路201cは、一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bとに対し鉛直方向Dgの上側に配置されている。また、一方側凝縮タンク空間201aは、他方側凝縮タンク空間201bに対し熱交換器幅方向Dwの一方側に配置されている。
【0025】
また、図2および図7に示すように、互いに隣接した凝縮構成部201の相互間では、少なくとも、一方側凝縮タンク空間201a同士または他方側凝縮タンク空間201b同士が互いに連通している。
【0026】
凝縮部20内には、圧縮機14(図1参照)が圧縮し吐出した冷媒が矢印Fi、F1aのように入口管34を介して流入し、その冷媒は各凝縮構成部201の凝縮流路201cへと流れる。そして、凝縮部20は、凝縮部20周りの空気と凝縮流路201cに流れる冷媒とを熱交換させ、それによって、その冷媒から放熱させると共にその冷媒を凝縮させる。
【0027】
なお、図7の矢印F2a、F2b、F2cはそれぞれ、積層方向Dsに隣接して互いに接続された複数の一方側凝縮タンク空間201aにおける冷媒流れを示している。また、矢印F3a、F3bはそれぞれ、積層方向Dsに隣接して互いに接続された複数の他方側凝縮タンク空間201bにおける冷媒流れを示している。また、矢印F4a~F4hはそれぞれ、凝縮流路201cの冷媒流れを示している。
【0028】
蒸発部22は、積層方向Dsを厚み方向とし且つ鉛直方向Dgを長手方向とした蒸発構成部221が積層方向Dsに複数積層された積層構造を備えている。すなわち、蒸発部22は複数の蒸発構成部221を有しており、その複数の蒸発構成部221は積層方向Dsに積層されると共に、互いに接合されている。
【0029】
そして、図2図5図6に示すように、複数の蒸発構成部221の内部にはそれぞれ、一方側蒸発タンク空間221aと他方側蒸発タンク空間221bと蒸発流路221c(すなわち、低圧冷媒流路)とからなる内部空間が形成されている。一方側蒸発タンク空間221aと他方側蒸発タンク空間221bと蒸発流路221cは、冷媒が流通する空間である。
【0030】
一方側蒸発タンク空間221aは蒸発流路221cの一端に接続され、他方側蒸発タンク空間221bは蒸発流路221cの他端に接続されている。蒸発流路221cは、例えば、鉛直方向Dgに複数回往復する波形の経路に沿って延びている。本実施形態では、蒸発流路221cは、鉛直方向Dgに2往復する波形の経路に沿って延びている。そして、蒸発流路221cは、凝縮流路201cに比して流路断面積が大きくなるように形成されている。
【0031】
蒸発流路221cは、一方側蒸発タンク空間221aと他方側蒸発タンク空間221bとに対し鉛直方向Dgの下側に配置されている。また、一方側蒸発タンク空間221aは、他方側蒸発タンク空間221bに対し熱交換器幅方向Dwの一方側に配置されている。
【0032】
また、図2および図8に示すように、互いに隣接した蒸発構成部221の相互間では、少なくとも、一方側蒸発タンク空間221a同士または他方側蒸発タンク空間221b同士が互いに連通している。
【0033】
蒸発部22と内部熱交換部28と凝縮部20は、鉛直方向Dgにおいて、蒸発部22、内部熱交換部28、凝縮部20の順に並んで配置されている。詳しくは、蒸発部22と内部熱交換部28と凝縮部20は、その記載順で上側から鉛直方向Dgに並んで配置されている。すなわち、内部熱交換部28は蒸発部22に対し下側に重なるように配置されている。そして、凝縮部20は、蒸発部22と内部熱交換部28との両方に対し下側に重なるように配置されている。
【0034】
凝縮部20から流出した冷媒は、内部熱交換部28と、他方側サイドプレート部32に含まれる後述の絞り部321eとをその記載順に経て、絞り部321e(すなわち、減圧部)で減圧されてから蒸発部22内に流入する。その凝縮部20から蒸発部22に至る冷媒流れは、例えば図2の矢印F1b~F1fで表されている。
【0035】
絞り部321eから蒸発部22内に流入した冷媒は各蒸発構成部221の蒸発流路221cへと流れる。そして、蒸発部22は、蒸発部22周りの空気と蒸発流路221cに流れる冷媒とを熱交換させ、それによって、その冷媒に吸熱させると共にその冷媒を蒸発させる。
【0036】
なお、図8の矢印F5a、F5bはそれぞれ、積層方向Dsに隣接して互いに接続された複数の一方側蒸発タンク空間221aにおける冷媒流れを示している。また、矢印F6a、F6bはそれぞれ、積層方向Dsに隣接して互いに接続された複数の他方側蒸発タンク空間221bにおける冷媒流れを示している。また、矢印F7a~F7gはそれぞれ、蒸発流路221cの冷媒流れを示している。
【0037】
図2に示すように、一方側サイドプレート部30は、板状の部材である一方側第1板301と一方側第2板302と一方側第3板303とを有している。一方側サイドプレート部30は、それらの一方側第1板301と一方側第2板302と一方側第3板303とが積層され互いに接合されることで構成されている。その一方側第1板301と一方側第2板302と一方側第3板303は、一方側第1板301、一方側第2板302、一方側第3板303の順に積層方向Dsの他方側から一方側へ積層されている。
【0038】
一方側サイドプレート部30には、凝縮部20と蒸発部22とがそれぞれ固定されている。詳細には、積層方向Dsにおける一方側第1板301の他方側に、凝縮部20と蒸発部22とが並列に接合されている。すなわち、複数の凝縮構成部201と複数の蒸発構成部221はそれぞれ、一方側サイドプレート部30に対し積層方向Dsの他方側に積層されている。
【0039】
他方側サイドプレート部32は、板状の部材である他方側第1板321と他方側第2板322とを有し、それらの他方側第1板321と他方側第2板322とが積層され互いに接合されることで構成されている。その他方側第1板321と他方側第2板322は、他方側第1板321、他方側第2板322の順に積層方向Dsの一方側から他方側へ積層されている。
【0040】
他方側サイドプレート部32には、凝縮部20と蒸発部22とがそれぞれ固定されている。詳細には、積層方向Dsにおける他方側第1板321の一方側に、凝縮部20と蒸発部22とが並列に接合されている。すなわち、複数の凝縮構成部201と複数の蒸発構成部221はそれぞれ、他方側サイドプレート部32に対し積層方向Dsの一方側に積層されている。
【0041】
図2図4図9に示すように、内部熱交換部28は、凝縮部20(すなわち、凝縮流路201c)から流出した冷媒と蒸発部22の(すなわち、蒸発流路221c)から流出した冷媒とを熱交換させる。すなわち、内部熱交換部28は、凝縮部20を通過した高圧冷媒から蒸発部22を通過した低圧冷媒に熱を移動させる。
【0042】
そのために、内部熱交換部28は、積層方向Dsに延伸した二重管構造になっており、筒状の外側筒部281と、その外側筒部281の中に挿通された筒状の内側筒部282とを有している。内部熱交換部28は、一方側第1板301と他方側第1板321との間で凝縮部20および蒸発部22と並んで配置され、その一方側第1板301と他方側第1板321とにそれぞれ接合されている。
【0043】
外側筒部281は複数の外側筒構成部281a、281bを有している。外側筒部281は、その複数の外側筒構成部281a、281bが積層方向Dsに直列に連結し互いに接合されることにより、積層方向Dsに延びるように形成されている筒形状になっている。 詳細には、外側筒部281は、複数の第1外側筒構成部281aと、その第1外側筒構成部281aとは形状が異なる複数の第2外側筒構成部281bとを、その複数の外側筒構成部281a、281bとして有している。
【0044】
例えば、その第1外側筒構成部281a(すなわち、第1、第2内部熱交換部形成部)と第2外側筒構成部281b(すなわち、第2、第4内部熱交換部形成部)は何れも積層方向Dsに延伸した筒形状を有している。
【0045】
第2外側筒構成部281bは、第1外側筒構成部281aに対し積層方向Dsに対称な形状とされている。そして、その複数の第1外側筒構成部281aと複数の第2外側筒構成部281bは、積層方向Dsに交互に直列に連結されると共に、互いにロウ付け接合されている。このようにして、外側筒部281は構成されている。
【0046】
本実施形態では、外側筒部281は、図2および図4に示すように、その外表面のうち鉛直方向Dg上側(すなわち、通風流路22a)に向けて形成されている上側外表面283を備えている。外側筒部281は、上側外表面283のうち上側部位であって、導水板50に沿って流れる凝縮水や通風流路22a(すなわち、第2空気流路)から滴下した凝縮水を熱交換器幅方向Dw一方側に導く第1導水部の役割を果たす。
【0047】
内側筒部282は、積層方向Dsに延びるように形成されている管部材で構成されている。その内側筒部282の一端は、図2および図10に示すように、一方側第2板302に形成された一端用貫通孔302aに挿入され、その一端用貫通孔302aにて一方側第2板302に対しロウ付け接合されている。また、内側筒部282の他端は、図2および図9に示すように、他方側第1板321に形成された他端用貫通孔321aに挿入され、その他端用貫通孔321aにて他方側第1板321に対しロウ付け接合されている。
【0048】
このような構成により、内部熱交換部28には、積層方向Dsに延伸した2本の流路、具体的には、蒸発部22から流出した冷媒が流通する外側流路28aと、凝縮部20から流出した冷媒が流通する内側流路28bとが形成されている。
【0049】
そして、外側流路28aは外側筒部281の内側に配置され、内側流路28bは、外側流路28aに対しその外側流路28aの内側に内側筒部282の筒壁を挟んで配置されている。従って、内部熱交換部28では、外側流路28aに流れる冷媒と内側流路28bに流れる冷媒とが内側筒部282の筒壁を介して互いに熱交換する。
【0050】
本実施形態では、導水板50は、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32の間に亘って配置されている第2導水部である。導水板50は、複数の通風流路22aに対して下側に配置されている。導水板50は、内部熱交換部28の外側筒部281に対して熱交換器幅方向Dw他方側(すなわち、通風流路22a内の空気流の風下側)に配置されている。
【0051】
導水板50は、その厚み方向が鉛直方向Dgに交差するように配置されている。導水板50は、その上面が通風流路22aに向けて配置されている。導水板50の上面のうち熱交換器幅方向Dw一方側は、外側筒部281の上側外表面283のうち熱交換器幅方向Dw他方側と、鉛直方向Dgにおいて同一部位に位置する。
【0052】
導水板50は、その上面が熱交換器幅方向Dw他方側に向かうほど鉛直方向Dgに進むように傾斜状に形成されている。本実施形態の導水板50は、複数の通風流路22aから滴下した凝縮水を上側外表面283に導く役割を果たす。
【0053】
図4図7図9に示すように、他方側第1板321には、上記の他端用貫通孔321aの他に、入口用貫通孔321bと出口用貫通孔321cとが形成されている。そして、他方側第1板321には、オリフィス孔として機能する絞り孔321dも形成されている。すなわち、他方側サイドプレート部32は、他方側第1板321のうちその絞り孔321dが形成された部分を絞り部321eとして有している。この絞り孔321dはオリフィスである。
【0054】
入口用貫通孔321bには入口管34が挿入され、その入口管34は、その入口用貫通孔321bにて他方側第1板321に対しロウ付け接合されている。これにより、入口管34は凝縮部20内に連通するようにその凝縮部20に対して接続される。
【0055】
出口用貫通孔321cには出口管36が挿入され、その出口管36は、その出口用貫通孔321cにて他方側第1板321に対しロウ付け接合されている。これにより、出口管36は内部熱交換部28の外側流路28aに連通するようにその内部熱交換部28に対して接続される。
【0056】
図2図4図9に示すように、他方側サイドプレート部32において他方側第2板322は、他方側第1板321に対し積層方向Dsの他方側にロウ付け接合されており、これによって、他方側第1板321との間に他方側中継流路32aを形成している。
【0057】
この他方側中継流路32aは鉛直方向Dgに延びており、冷媒流れにおいて内部熱交換部28の内側流路28bと絞り孔321dとの間に設けられている。すなわち、他方側中継流路32aは、内側流路28bの冷媒出口側と絞り孔321dの冷媒入口側とをつなぐ流路となっている。
【0058】
図2および図8に示すように、複数の蒸発構成部221のうち積層方向Dsの他方側の端に位置する入口位置蒸発構成部222には、絞り流路としての絞り孔321dから蒸発部22内へ冷媒を流入させる蒸発部入口222aが設けられている。この蒸発部入口222aは、入口位置蒸発構成部222の一方側蒸発タンク空間221aに含まれている。そして、他方側サイドプレート部32の絞り孔321dは蒸発部入口222aに接続している。
【0059】
また、他方側サイドプレート部32の絞り部321eの孔径は、その絞り孔321dを通過する冷媒に対し所定の減圧作用を生じるように設定されている。すなわち、絞り孔321dは、冷媒流れを絞る固定絞りであり、凝縮部20から流出した冷媒を減圧してから蒸発部22へ流す減圧部として機能する。本実施形態では内部熱交換部28が設けられているので、詳細に言うと、絞り部321eの絞り孔321dには、凝縮部20から流出して内部熱交換部28の内側流路28bと他方側中継流路32aとを通過した冷媒が流入する。
【0060】
図11に示すように、一方側サイドプレート部30の一方側第1板301には、凝縮部用貫通孔301bと気液分離用貫通孔301cとが形成されている。この凝縮部用貫通孔301bは、気液分離用貫通孔301cよりも下側に位置している。
【0061】
また、図10に示すように、一方側第2板302には、上記の一端用貫通孔302aの他に、凝縮部用貫通孔302bと気液分離用貫通孔302cとが形成されている。この凝縮部用貫通孔302bは、一端用貫通孔302aおよび気液分離用貫通孔302cよりも下側に位置し、一方側第1板301の凝縮部用貫通孔301bと同心になるように配置されている。
【0062】
また、図2および図3に示すように、一方側第3板303は、流路カバー部303aと、その流路カバー部303aに対し上側に配置された気液分離カバー部303cとを有している。
【0063】
図2および図7に示すように、複数の凝縮構成部201のうち積層方向Dsの一方側の端に位置する出口位置凝縮構成部202には、凝縮部20内から冷媒を流出させる凝縮部出口202aが設けられている。この凝縮部出口202aは、出口位置凝縮構成部202の一方側凝縮タンク空間201aに含まれている。そして、一方側第1板301の凝縮部用貫通孔301bと一方側第2板302の凝縮部用貫通孔302bは凝縮部出口202aに接続している。
【0064】
また、一方側第3板303は一方側第2板302に対し積層方向Dsの一方側にロウ付け接合されており、これによって、一方側第3板303の流路カバー部303aは一方側第2板302との間に一方側中継流路30aを形成している。
【0065】
この一方側中継流路30aは鉛直方向Dgに延びており、冷媒流れにおいて一方側第2板302の凝縮部用貫通孔302bと内部熱交換部28の内側流路28bとの間に設けられている。すなわち、一方側中継流路30aは、凝縮部20の凝縮部出口202aと内側流路28bの冷媒入口側とをつなぐ流路となっている。このような冷媒の流路構成により、他方側サイドプレート部32の絞り孔321dは、冷媒流れにおいて凝縮部出口202aと蒸発部入口222aとの間に設けられていることになる。
【0066】
図11に示すように、一方側第1板301の気液分離用貫通孔301cは、一方側貫通部301dと他方側貫通部301eと連結部301fとから構成されている。その一方側貫通部301dと他方側貫通部301eは鉛直方向Dgに延びるように形成されている。 他方側貫通部301eは、一方側貫通部301dに対し一方側貫通部301dから少し離れて、熱交換器幅方向Dwの一方側とは反対側の他方側に配置されている。そして、連結部301fは、一方側貫通部301dと他方側貫通部301eとの間に配置され、その一方側貫通部301dの上端部分と他方側貫通部301eの上端部分とを連結している。 また、図8および図11に示すように、蒸発部22には、蒸発部22内から冷媒を流出させる蒸発部出口22bが設けられている。この蒸発部出口22bは積層方向Dsを向いて開口した開口孔である。気液分離用貫通孔301cは、その気液分離用貫通孔301cのうち専ら他方側貫通部301eがその蒸発部出口22bに対し積層方向Dsの一方側に重なるように形成されている。
【0067】
図10に示すように、一方側第2板302の気液分離用貫通孔302cは鉛直方向Dgに延びるように形成されている。そして、この気液分離用貫通孔302cは、一方側第1板301の他方側貫通部301eに対し重なるように配置されている。その一方で、一方側第2板302の気液分離用貫通孔302cは、一方側第1板301の一方側貫通部301dに対しては、熱交換器幅方向Dwの他方側へ離れて配置されている。
【0068】
図2および図3に示すように、一方側第3板303の気液分離カバー部303cは積層方向Dsの一方側へ凹んだ形状を有し、一方側第2板302との間にカバー内空間303dを形成している。このカバー内空間303dは一方側第2板302の気液分離用貫通孔302cに連結した空間となっている。
【0069】
この気液分離カバー部303cと、一方側第1板301のうち気液分離用貫通孔301cが形成された第1気液分離構成部301gと、一方側第2板302のうち気液分離用貫通孔302cが形成された第2気液分離構成部302dは気液分離部26を構成している。 すなわち、一方側サイドプレート部30は気液分離部26を有している。この気液分離部26には蒸発部22から冷媒が矢印F8(図2図8参照)のように流入する。そして、気液分離部26は、蒸発部22から流入した冷媒の気液を分離するアキュムレータとして機能する。気液分離部26は、気液分離された冷媒のうち気相の冷媒を気液分離部26から内部熱交換部28の外側流路28aへ流出させると共に、気液分離部26に形成された液貯留空間26aに液相の冷媒を溜める。
【0070】
その液貯留空間26aは、図3図10図11に示すように、一方側第1板301の他方側貫通部301eと一方側第2板302の気液分離用貫通孔302cとカバー内空間303dとから構成されている。図2図3図10図11では、液貯留空間26aの下部に液相の冷媒が溜まっている様子がハッチングで示されている。
【0071】
内部熱交換部28の内側筒部282は、一方側第1板301の一方側貫通部301dに挿通された上で一方側第2板302の一端用貫通孔302aにまで到達している。そして、一方側第1板301の一方側貫通部301dはその下部にて内部熱交換部28の外側流路28aに連通している。そのため、一方側第1板301の一方側貫通部301dと連結部301fは、気相の冷媒を矢印F9a、F9bのように液貯留空間26aから外側流路28aへ導く冷媒導出流路として機能する。
【0072】
凝縮部20の構成について詳述すると、図2および図7に示すように、複数の凝縮構成部201はそれぞれ、板状の一対の凝縮板部201d、201hを有している。複数の凝縮構成部201のそれぞれでは、その一対の凝縮板部201d、201hが積層方向Dsに積層されている。そして、複数の凝縮構成部201はそれぞれ、一対の凝縮板部201d、201hが凝縮流路201cと凝縮タンク空間201a、201bとを一対の凝縮板部201d、201hの相互間に形成するように互いに接合されることによって構成されている。
【0073】
具体的には、一対の凝縮板部201d、201hとは、一方側凝縮板部201dと、その一方側凝縮板部201dに対し積層方向Dsの他方側に配置された他方側凝縮板部201hとである。
【0074】
図2図5図6に示すように、一対の凝縮板部201d、201hのうちの一方である一方側凝縮板部201dは、積層方向Dsの一方側へ窪んだ第1凝縮タンク形成部201eと第2凝縮タンク形成部201fと凝縮流路形成部201gとを有している。
【0075】
また、一対の凝縮板部201d、201hのうちの他方である他方側凝縮板部201hは、積層方向Dsの他方側へ窪んだ第1凝縮タンク形成部201iと第2凝縮タンク形成部201jと凝縮流路形成部201kとを有している。
【0076】
一方側凝縮タンク空間201aは、この両方の第1凝縮タンク形成部201e、201iの間に形成され、他方側凝縮タンク空間201bは、両方の第2凝縮タンク形成部201f、201jの間に形成されている。また、凝縮流路201cは、両方の凝縮流路形成部201g、201kの間に形成されている。
【0077】
また、一方側凝縮板部201dでは、積層方向Dsにおいて第1凝縮タンク形成部201eの幅と第2凝縮タンク形成部201fの幅は互いに同じになっており、凝縮流路形成部201gの幅よりも大きくなっている。これと同様に、他方側凝縮板部201hでは、積層方向Dsにおいて第1凝縮タンク形成部201iの幅と第2凝縮タンク形成部201jの幅は互いに同じになっており、凝縮流路形成部201kの幅よりも大きくなっている。 そのため、凝縮部20において互いに隣接する凝縮構成部201同士の間では、第1凝縮タンク形成部201e、201i同士が互いに接合されると共に、第2凝縮タンク形成部201f、201j同士も互いに接合されている。
【0078】
その一方で、互いに隣接する凝縮構成部201同士の間のうち凝縮流路形成部201g、201k同士の間には空気流(すなわち、第1空気流)が通過する通風流路20a(すなわち、第1空気流路)が形成されている。
【0079】
このことにより、凝縮部20には、複数の通風流路20aが設けられていることになる。このため、凝縮部20には、複数対の凝縮流路形成部201g、201kが設けられていることになる。
【0080】
複数対の凝縮流路形成部201g、201k、および複数の凝縮部フィン203は、凝縮部20において空気流と冷媒との間で熱交換させる凝縮部熱交換コア230を構成する。 この通風流路20aは積層方向Dsに並んで複数形成されており、その複数の通風流路20aにはそれぞれ、凝縮流路形成部201g、201kの外側にロウ付け接合されたコルゲートフィンである凝縮部フィン203が配置されている。そして、その凝縮部フィン203は、通風流路20aを通る空気と凝縮部20内の冷媒との熱交換を促進する。
【0081】
なお、図2および図7に示すように、複数の凝縮構成部201のうち積層方向Dsの一方側の端と他方側の端とのそれぞれに位置する凝縮構成部201は、それらの間に位置する凝縮構成部201とは形状が異なる。例えば、その一方側の端に位置する凝縮構成部201は、他方側凝縮板部201hと、一方側第1板301のうちその他方側凝縮板部201hに対し対向する部分301hとから構成されている。また、その他方側の端に位置する凝縮構成部201は、一方側凝縮板部201dと、他方側第1板321のうちその一方側凝縮板部201dに対し対向する部分321fとから構成されている。
【0082】
また、図5図7に示すように、一方側凝縮板部201dにおいて第1凝縮タンク形成部201eには、積層方向Dsに貫通した第1連通孔201mが形成され、第2凝縮タンク形成部201fには、積層方向Dsに貫通した第2連通孔201nが形成されている。これと同様に、他方側凝縮板部201hにおいて第1凝縮タンク形成部201iには、積層方向Dsに貫通した第1連通孔201oが形成され、第2凝縮タンク形成部201jには、積層方向Dsに貫通した第2連通孔201pが形成されている。
【0083】
互いに隣接する凝縮構成部201のそれぞれの一方側凝縮タンク空間201aは、第1連通孔201m、201o同士が重なって配置されることで互いに連通している。また、互いに隣接する凝縮構成部201のそれぞれの他方側凝縮タンク空間201bは、第2連通孔201n、201p同士が重なって配置されることで互いに連通している。
【0084】
但し、複数の凝縮構成部201の中には、第1連通孔201m、201o、第2連通孔201n、201pのうちの何れかが設けられていないものもある。これにより、1または2以上の凝縮構成部201を有する凝縮構成部群204a~204dが複数構成されている。本実施形態では、その複数の凝縮構成部群204a~204dとして、第1凝縮構成部群204a、第2凝縮構成部群204b、第3凝縮構成部群204c、および第4凝縮構成部群204dが構成されている。
【0085】
凝縮部20では、第1凝縮構成部群204aと第2凝縮構成部群204bと第3凝縮構成部群204cと第4凝縮構成部群204dは、その記載順で積層方向Dsの他方側から一方側へ並んで配置されている。そして、凝縮部20の冷媒流れにおいて、第1凝縮構成部群204aと第2凝縮構成部群204bと第3凝縮構成部群204cと第4凝縮構成部群204dは、その記載順で、上流側から下流側へ直列に連結されている。
【0086】
また、複数の凝縮構成部群204a~204dのうち複数の凝縮構成部201を有する凝縮構成部群では、複数の凝縮流路201cが冷媒流れにおいて並列接続されている。
【0087】
このような冷媒の流通経路を実現するために、図7のC1部に示すように、第2凝縮構成部群204bのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第1連通孔201oが設けられていない。また、C2部に示すように、第2凝縮構成部群204bのうち積層方向Dsの一方側の端に位置する一方側凝縮板部201dには、第2連通孔201nが設けられていない。また、C3部に示すように、第4凝縮構成部群204dのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第1連通孔201oが設けられていない。例えば、第2連通孔201pは設けられているが第1連通孔201oが設けられていない他方側凝縮板部201hは、図12に示されている。
【0088】
蒸発部22の構成も基本的には上述した凝縮部20の構成と同様である。すなわち、図2および図8に示すように、複数の蒸発構成部221はそれぞれ、板状の一対の蒸発板部221d、221hを有している。複数の蒸発構成部221のそれぞれでは、その一対の蒸発板部221d、221hが積層方向Dsに積層されている。そして、複数の蒸発構成部221はそれぞれ、一対の蒸発板部221d、221hが蒸発流路221cと蒸発タンク空間221a、221bとを一対の蒸発板部221d、221hの相互間に形成するように互いに接合されることによって構成されている。
【0089】
具体的には、一対の蒸発板部221d、221hとは、一方側蒸発板部221dと、その一方側蒸発板部221dに対し積層方向Dsの他方側に配置された他方側蒸発板部221hとである。
【0090】
図2図5図6に示すように、一対の蒸発板部221d、221hのうちの一方である一方側蒸発板部221dは、積層方向Dsの一方側へ窪んだ第1蒸発タンク形成部221eと第2蒸発タンク形成部221fと蒸発流路形成部221gとを有している。
【0091】
また、一対の蒸発板部221d、221hのうちの他方である他方側蒸発板部221hは、積層方向Dsの他方側へ窪んだ第1蒸発タンク形成部221iと第2蒸発タンク形成部221jと蒸発流路形成部221kとを有している。
【0092】
一方側蒸発タンク空間221aは、この両方の第1蒸発タンク形成部221e、221iの間に形成され、他方側蒸発タンク空間221bは、両方の第2蒸発タンク形成部221f、221jの間に形成されている。また、蒸発流路221cは、両方の蒸発流路形成部221g、221kの間に形成されている。
【0093】
また、一方側蒸発板部221dでは、積層方向Dsにおいて第1蒸発タンク形成部221eの幅と第2蒸発タンク形成部221fの幅は互いに同じになっており、蒸発流路形成部221g(すなわち、第1、第3低圧冷媒流路形成部)の幅よりも大きくなっている。また、積層方向Dsにおいて蒸発タンク形成部221e、221fの幅は、一方側凝縮板部201dの凝縮タンク形成部201e、201fの幅と同じになっている。
【0094】
これと同様に、他方側蒸発板部221hでは、積層方向Dsにおいて第1蒸発タンク形成部221iの幅と第2蒸発タンク形成部221jの幅は互いに同じになっておいる。蒸発流路形成部221k(すなわち、第2、第4低圧冷媒流路形成部)の幅よりも大きくなっている。また、積層方向Dsにおいて蒸発タンク形成部221i、221jの幅は、他方側凝縮板部201hの凝縮タンク形成部201i、201jの幅と同じになっている。
【0095】
そのため、蒸発部22において互いに隣接する蒸発構成部221同士の間では、第1蒸発タンク形成部221e、221i同士が互いに接合されると共に、第2蒸発タンク形成部221f、221j同士も互いに接合されている。
【0096】
その一方で、互いに隣接する蒸発構成部221同士の間のうち蒸発流路形成部221g、221k同士の間には空気が通過する通風流路22aが形成されている。このことにより、蒸発部22には、複数の通風流路22aが設けられていることになる。
【0097】
この通風流路22aは積層方向Dsに並んで複数形成されており、その複数の通風流路22a(すなわち、第2空気流路)にはそれぞれ、蒸発流路形成部221g、221kの外側にロウ付け接合されたコルゲートフィンである蒸発部フィン223が配置されている。そして、その蒸発部フィン223は、通風流路22aを通る空気流(すなわち、第2空気流)と蒸発部22内の冷媒との熱交換を促進する。
【0098】
なお、図2および図8に示すように、複数の蒸発構成部221のうち積層方向Dsの他方側の端に位置する蒸発構成部221は、それ以外の蒸発構成部221とは形状が異なる。例えば、その他方側の端に位置する蒸発構成部221は、一方側蒸発板部221dと、他方側第1板321のうちその一方側蒸発板部221dに対し対向する部分321gとから構成されている。
【0099】
図5図6図8に示すように、一方側蒸発板部221dにおいて第1蒸発タンク形成部221eには、積層方向Dsに貫通した第1連通孔221mが形成され、第2蒸発タンク形成部221fには、積層方向Dsに貫通した第2連通孔221nが形成されている。これと同様に、他方側蒸発板部221hにおいて第1蒸発タンク形成部221iには、積層方向Dsに貫通した第1連通孔221oが形成され、第2蒸発タンク形成部221jには、積層方向Dsに貫通した第2連通孔221pが形成されている。
【0100】
互いに隣接する蒸発構成部221のそれぞれの一方側蒸発タンク空間221aは、第1連通孔221m、221o同士が重なって配置されることで互いに連通している。また、互いに隣接する蒸発構成部221のそれぞれの他方側蒸発タンク空間221bは、第2連通孔221n、221p同士が重なって配置されることで互いに連通している。
【0101】
但し、複数の蒸発構成部221の中には、第1連通孔221m、221o、第2連通孔221n、221pのうちの何れかが設けられていないものもある。これにより、1または2以上の蒸発構成部221を有する蒸発構成部群224a~224cが複数構成されている。本実施形態では、その複数の蒸発構成部群224a~224cとして、第1蒸発構成部群224a、第2蒸発構成部群224b、および第3蒸発構成部群224cが構成されている。
【0102】
蒸発部22では、第1蒸発構成部群224aと第2蒸発構成部群224bと第3蒸発構成部群224cは、その記載順で積層方向Dsの他方側から一方側へ並んで配置されている。そして、蒸発部22の冷媒流れにおいて、第1蒸発構成部群224aと第2蒸発構成部群224bと第3蒸発構成部群224cは、その記載順で、上流側から下流側へ直列に連結されている。
【0103】
また、複数の蒸発構成部群224a~224cのうち複数の蒸発構成部221を有する蒸発構成部群では、複数の蒸発流路221cが冷媒流れにおいて並列接続されている。
【0104】
このような冷媒の流通経路を実現するために、図8のE1部に示すように、第1蒸発構成部群224aのうち積層方向Dsの一方側の端に位置する一方側蒸発板部221dには、第1連通孔221mが設けられていない。また、E2部に示すように、第3蒸発構成部群224cのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第2連通孔221pが設けられていない。また、E3部に示すように、第3蒸発構成部群224cのうち積層方向Dsの一方側の端に位置する一方側蒸発板部221dには、第1連通孔221mが設けられていない。例えば、第2連通孔221nは設けられているが第1連通孔221mが設けられていない一方側蒸発板部221dは、図13に示されている。
【0105】
図2図5図6に示すように、1つの一方側凝縮板部201dと1つの一方側蒸発板部221dと1つの第1外側筒構成部281aは単一の部品として構成されている。すなわち、その一方側凝縮板部201dと一方側蒸発板部221dと第1外側筒構成部281aは1枚の第1板部材381(すなわち、第1、第3熱交換プレート)を構成している。その第1板部材381のうちでは、一方側凝縮板部201dと第1外側筒構成部281aと一方側蒸発板部221dとがその記載順で、鉛直方向Dgの下側から上側へ順番に並んで配置されている。
【0106】
従って、第1板部材381は、内部熱交換部28の一部を構成する部分である第1外側筒構成部281aを、一方側凝縮板部201dと一方側蒸発板部221dとの間に有している。要するに、第1板部材381は、内部熱交換部28の一部を構成している。
【0107】
これと同様に、1つの他方側凝縮板部201hと1つの他方側蒸発板部221hと1つの第2外側筒構成部281bは単一の部品として構成されている。すなわち、その他方側凝縮板部201hと他方側蒸発板部221hと第2外側筒構成部281bは1枚の第2板部材382(すなわち、第2、第4熱交換プレート)を構成している。その第2板部材382のうちでは、他方側凝縮板部201hと第2外側筒構成部281bと他方側蒸発板部221hとがその記載順で、鉛直方向Dgの下側から上側へ順番に並んで配置されている。 従って、第2板部材382は、内部熱交換部28の一部を構成する部分である第2外側筒構成部281bを、他方側凝縮板部201hと他方側蒸発板部221hとの間に有している。要するに、第2板部材382は、内部熱交換部28の一部を構成している。
【0108】
本実施形態では、第1板部材381は、蒸発流路形成部221gよりも外側筒構成部281aが積層方向Ds一方側(すなわち、所定方向一方側)に凸なるように形成されている。第2板部材382は、蒸発流路形成部221kよりも外側筒構成部281bが積層方向Ds他方側(すなわち、所定方向他方側)に凸なるように形成されている。
【0109】
第1板部材381も第2板部材382も、例えばアルミニウム合金など熱伝導性の良好な金属で構成されている。また、複数の第1板部材381と複数の第2板部材382は積層方向Dsに交互に積層配置されると共に、互いにロウ付け接合されている。なお、本実施形態では、その第1板部材381と第2板部材382とによる積層構造のうち積層方向Dsの一方側の端に位置する板部材、すなわち一方側第1板301に接合される板部材は、第2板部材382とされている。そして、その積層構造のうち積層方向Dsの他方側の端に位置する板部材、すなわち他方側第1板321に接合される板部材は、第1板部材381とされている。
【0110】
また、本実施形態では、第2板部材382は、連通孔201m、201n、201o、201p、221m、221n、221o、221pの有無を除けば、第1板部材381に対し、積層方向Dsの表裏を反転させた形状とされている。そして、第1板部材381も第2板部材382も、熱交換器幅方向Dwに対称な形状とされている。従って、複数の第1板部材381のうちの少なくとも一部と複数の第2板部材382のうちの少なくとも一部との間では、部品共通化が図られている。
【0111】
また、一対を成す第1板部材381と第2板部材382との中では、凝縮構成部201の内部空間と蒸発構成部221の内部空間と内部熱交換部28の外側流路28aとが互いに独立した空間になっている。すなわち、第1板部材381は、その第1板部材381により形成された凝縮流路201cと外側流路28aと蒸発流路221cとを互いに隔てるように形成されている。そして、これと同様に、第2板部材382も、その第2板部材382により形成された凝縮流路201cと外側流路28aと蒸発流路221cとを互いに隔てるように形成されている。
【0112】
上述のように構成された熱交換器10、および、その熱交換器10を含む冷凍サイクル回路12では、次のように冷媒が流れる。先ず、図1図2図7に示すように、圧縮機14から吐出された冷媒は、矢印Fi、F1aのように入口管34を介して、凝縮部20の第1凝縮構成部群204aのうち複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった上流側空間に流入する。
【0113】
その第1凝縮構成部群204aの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、矢印F2aのように積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。
【0114】
ここで、熱交換器幅方向Dw一方側から空気流が図4の矢印FB2の如く凝縮構成部201周り(すなわち、複数の通風流路22a)を通して熱交換器幅方向Dw他方側に流れる。
【0115】
その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒(すなわち、高圧冷媒)は、矢印F4a、F4b、F4cのように互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気流へ放熱する。
【0116】
そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第1凝縮構成部群204aの下流側空間から、矢印F3aのように、第2凝縮構成部群204bのうち複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった上流側空間に流入する。その第2凝縮構成部群204bの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒は、矢印F4d、F4eのように互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気流へ放熱する。
【0117】
そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第2凝縮構成部群204bの下流側空間から、矢印F2bのように、第3凝縮構成部群204cのうち上流側空間としての一方側凝縮タンク空間201aに流入する。その第3凝縮構成部群204cの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間から凝縮流路201cへ流れる。その凝縮流路201cに流れる冷媒は、矢印F4fのように流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気へ放熱する。
【0118】
そして、その冷媒は、その凝縮流路201cから、下流側空間としての他方側凝縮タンク空間201bへ流入する。更に、その冷媒は、その第3凝縮構成部群204cの下流側空間から、矢印F3bのように、第4凝縮構成部群204dのうち複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった上流側空間に流入する。
【0119】
その第4凝縮構成部群204dの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒は、矢印F4g、F4hのように互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気流へ放熱する。
【0120】
そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった下流側空間へ流入する。その第4凝縮構成部群204dの下流側空間に流入した冷媒は、矢印F1b、F2cのように、凝縮部出口202aから、一方側第1板301の凝縮部用貫通孔301bと一方側第2板302の凝縮部用貫通孔302bとを経て、一方側中継流路30aに流入する。
【0121】
その一方側中継流路30aでは冷媒は、図2の矢印F1cのように鉛直方向Dgの下側から上側へ流れ、その冷媒は、矢印F1dのように一方側中継流路30aから内部熱交換部28の内側流路28bへと流れる。その内側流路28bでは冷媒は積層方向Dsの一方側から他方側へ流れ、その冷媒は、矢印F1eのように内側流路28bから他方側中継流路32aへと流れる。
【0122】
その他方側中継流路32aでは冷媒は、鉛直方向Dgの下側から上側へ流れ、その冷媒は、他方側中継流路32aから他方側第1板321の絞り孔321dを介して蒸発部22内へ流入する。このとき、絞り孔321dでは冷媒流れが絞られ、それにより、絞り孔321dを通過した後の冷媒圧力は、その絞り孔321dの通過前の冷媒圧力よりも低下する。
【0123】
図2および図8に示すように、絞り部321eの絞り孔321dを通った冷媒は蒸発部入口222aから蒸発部22内へ流入する。従って、凝縮部20に形成された複数の凝縮流路201cは全て、凝縮部出口202a(図7参照)と絞り孔321dと蒸発部入口222aとを、その記載順に介して、蒸発部22の蒸発流路221cに接続されている。
【0124】
蒸発部入口222aから蒸発部22内へ流入する冷媒は、先ず、第1蒸発構成部群224aのうち複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった上流側空間に流入する。その第1蒸発構成部群224aの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、矢印F5aのように積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。 ここで、熱交換器幅方向Dw一方側から空気流が図4の矢印FB1の如く蒸発構成部221周り(すなわち、複数の通風流路22a)を通して熱交換器幅方向Dw他方側に流れる。
【0125】
その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は、矢印F7a、F7bのように互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)と熱交換させられその空気流から吸熱する。
【0126】
そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第1蒸発構成部群224aの下流側空間から、矢印F6aのように、第2蒸発構成部群224bのうち複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった上流側空間に流入する。
【0127】
その第2蒸発構成部群224bの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は、矢印F7c、F7dのように互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)と熱交換させられその空気流から吸熱する。
【0128】
そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第2蒸発構成部群224bの下流側空間から、矢印F5bのように、第3蒸発構成部群224cのうち複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった上流側空間に流入する。
【0129】
その第3蒸発構成部群224cの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は、矢印F7e、F7f、F7gのように互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流と熱交換させられその空気流から吸熱する。
【0130】
そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった下流側空間へ流入する。その第3蒸発構成部群224cの下流側空間に流入した冷媒は、矢印F6b、F8のように、蒸発部出口22bから、一方側サイドプレート部30が有する気液分離部26の液貯留空間26aへと流れる。
【0131】
その気液分離部26では冷媒は気液分離され、その気液分離された冷媒のうち気相の冷媒は、矢印F9a、F9bのように内部熱交換部28の外側流路28aへ流れる。その一方で、その気液分離された冷媒のうち液相の冷媒は、液貯留空間26aに溜まる。
【0132】
内部熱交換部28の外側流路28a内を流れる冷媒は、図2の矢印FA1、FA2のように積層方向Dsの一方側から他方側へ流れながら、内側流路28b内を流れる冷媒と熱交換させられる。そして、その外側流路28aを流れた冷媒は、矢印Foのように出口管36から熱交換器10の外部へ流出する。その出口管36から流出した冷媒は、図1に示すように圧縮機14に吸い込まれる。以上のようにして、熱交換器10および冷凍サイクル回路12では冷媒が流れる。
【0133】
本実施形態では、蒸発部22では、上述の如く、複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)から吸熱する。このため、複数の通風流路22aにおいて、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223には、凝縮水が発生する。
【0134】
このように発生される凝縮水は、図4矢印W1、W3の如く、導水板50や外側筒部281の上側外表面283に滴下する。この導水板50に滴下した凝縮水は、図4中矢印W3の如く、導水板50に沿って外側筒部281の上側外表面283に流れる。
【0135】
ここで、外側筒部281の上側外表面283では、導水板50から流れてきた凝縮水は、複数の通風流路22aの表面や蒸発部フィン223から滴下した凝縮水と合流する。この合流した凝縮水は、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との間において、図4中矢印W3の如く、上側外表面283に沿って外側筒部281に対して熱交換器幅方向Dw一方側に流れる。
【0136】
その後、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との間において凝縮水は、外側筒部281に対して熱交換器幅方向Dw一方側を通して、凝縮部20の複数の通風流路20aに滴下する。
【0137】
すなわち、凝縮水は、導水板50や外側筒部281の上側外表面283によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。
【0138】
複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、凝縮水から複数の凝縮流路201cに流れる冷媒へ気化熱が移動されることになる。
【0139】
以上説明した本実施形態によれば、熱交換器10は、冷媒から複数の通風流路20a内の空気流に放熱させる熱交換コア230を備える凝縮部20と蒸発部22と内部熱交換部28とを備える。
【0140】
蒸発部22は、凝縮部20に対して鉛直方向Dg上側に配置され、複数の通風流路22a内の空気流および蒸発流路221c内の冷媒(すなわち、低圧冷媒)の間の熱交換によって冷媒を複数の通風流路22a内の空気流から吸熱させて蒸発させる。
【0141】
内部熱交換部28は、凝縮部20と蒸発部22との間に配置されている。内部熱交換部28は、外側筒部281の上側外表面283を備えている。
【0142】
上記特許文献1では、蒸発部で発生した凝縮水を貯める貯水部をケーースに設け、この貯水部内の凝縮水を蒸発部に対して掛ける旨が記載されている。
【0143】
例えば、図15図16に示すように、凝縮水を蒸発部に対して上側から掛けると、上側タンクに沿って凝縮水が熱交換部に掛かることなく、そのまま風下側に流れてしまう。このため、凝縮水が熱交換部内の高圧冷媒の冷却に役立たない恐れがある。
【0144】
これに対して、本実施形態の内部熱交換部28は、上述の如く、外側筒部281の上側外表面283を備えている。上側外表面283は、蒸発部22の熱交換によって蒸発部22から生じる凝縮水を凝縮部20における熱交換コア230のうち複数の通風流路22a内の空気流の風上側に導いて、この導かれる凝縮水を熱交換コア230に掛ける。このため、凝縮流路201c内の冷媒(すなわち、高圧冷媒)から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。
【0145】
これによれば、凝縮流路201c内の冷媒から凝縮水に気化熱を移動させることができる。このため、凝縮流路201c内の冷媒を凝縮水によって冷却することができる。したがって、蒸発部22および凝縮部20を備える熱交換器10において、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0146】
具体的には、凝縮部20および蒸発部22は、複数対の第1板部材381、第2板部材382を有して構成されている。以下、説明の便宜上、図14に示すように、積層方向Dsに並べられている第1板部材381、第2板部材382、第1板部材381、第2板部材382を第1板部材381A、第2板部材382A、第1板部材381B、第2板部材382Bとする。
【0147】
第1板部材381Aは、第2板部材382Aに対して積層方向Ds一方側に配置されている第1熱交換プレートである。第1板部材381Bは、第2板部材382Bに対して積層方向Ds一方側に配置されている第3熱交換プレートである。第2板部材382Aは、第1板部材381B(すなわち、第4熱交換プレート)に対して所定方向一方側に配置されている第2熱交換プレートである。
【0148】
第1板部材381および第2板部材382は、対を成して互いに合わさるように配置されて、第1板部材381および第2板部材382の間には、蒸発流路221cおよび凝縮流路201cが形成されている。第2板部材382Aおよび第1板部材381Bの間には、通風流路20a、22aが形成されている。
【0149】
第1板部材381Bおよび第2板部材382Bは、対を成して互いに合わさるように配置されて、第1板部材381Bおよび第2板部材382Bの間には、通風流路20a、22aが形成されている。第1板部材381A、381B、第2板部材382A、382Bは、それぞれ、内部熱交換部28を構成する。
【0150】
内部熱交換部28は、蒸発流路221cおよび凝縮流路201cの間に配置されて凝縮部20を通過した冷媒と蒸発部22を通過した冷媒との間で熱交換する。内部熱交換部28のうち上側外表面283は、凝縮水を熱交換コア230のうち空気流の風上側に導く導水部の役割を果たす。
【0151】
本実施形態では、第1板部材381A、381Bは、それぞれ、蒸発流路形成部221gよりも外側筒構成部281aが積層方向Ds一方側に凸なるように形成されている。第2板部材382A、382Bは、それぞれ、蒸発流路形成部221kよりも外側筒構成部281bが積層方向Ds他方側に凸なるように形成されている。このため、蒸発流路形成部221g、221kの外表面で発生した凝縮水を外側筒構成部281a、281bで良好に受け止めることができる。
【0152】
本実施形態では、導水板50は、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32の間に亘って配置されている、導水板50は、内部熱交換部28に対して熱交換器幅方向Dw他方側に配置されている。導水板50は、通風流路22aから滴下した凝縮水を内部熱交換部28の外側筒部281の上側外表面283に導く。
【0153】
このため、多くの凝縮水を集めて凝縮部20における熱交換コア230のうち複数の通風流路22a内の空気流の風上側に導くことができる。本実施形態では、導水板50は、その上面が熱交換器幅方向Dw他方側に向かうほど鉛直方向Dgに進むように傾斜状に形成されている。
このため、導水板50は、複数の通風流路22aから滴下した凝縮水を複数の通風流路20a内の空気流の風下側に流れることを抑制して、凝縮水を内部熱交換部28の外側筒部281の上側外表面283に良好に導くことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0154】
図17および図18に示すように、本実施形態の熱交換器10は、第1実施形態と同様に、凝縮部20と、蒸発部22と、絞り部321eとを備えている。しかし、本実施形態の熱交換器10は、第1実施形態とは異なり、気液分離部26(図2参照)と内部熱交換部28とを備えていない。
【0155】
なお、図18では、第1板部材381、第2板部材382、凝縮部フィン203、および蒸発部フィン223のそれぞれの断面がハッチングではなく太線で表示されている。また、見やすい図示とするために、図18は、第1板部材381と第2板部材382と一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との相互間に敢えて間隔(すなわち、実際には無い間隔)を空けた表示とされている。
【0156】
本実施形態の冷凍サイクル回路12は、第1実施形態の気液分離部26に相当する気液分離器40を、熱交換器10とは別の機器として備えている。その気液分離器40は、気液分離部26と同じ機能を有するアキュムレータであり、熱交換器10の出口管36に対する冷媒流れ下流側で且つ圧縮機14に対する冷媒流れ上流側に設けられている。
【0157】
図18および図19に示すように、本実施形態では、一方側サイドプレート部30は、複数の板が積層された積層構造ではなく、単層構造である。すなわち、本実施形態の一方側サイドプレート部30は一方側第1板301で構成され、第1実施形態の一方側第2板302および一方側第3板303(図2参照)に相当する部位を有していない。
【0158】
入口管34は、一方側サイドプレート部30のうちの下部に形成された下部貫通孔30bに挿入され、その下部貫通孔30bにて一方側サイドプレート部30に対しロウ付け接合されている。これにより、入口管34は凝縮部20内に連通するようにその凝縮部20に対して接続される。
【0159】
また、出口管36は、一方側サイドプレート部30のうちの上部に形成された上部貫通孔30cに挿入され、その上部貫通孔30cにて一方側サイドプレート部30に対しロウ付け接合されている。これにより、出口管36は蒸発部22内に連通するようにその蒸発部22に対して接続される。
【0160】
図18および図20に示すように、他方側サイドプレート部32は、他方側第1板321と他方側第2板322とを有し、それらの他方側第1板321と他方側第2板322とが積層され互いに接合されることで構成されている。
【0161】
他方側第1板321は、第1実施形態と同様に絞り部321eを有している。それに加え、他方側第1板321には、その他方側第1板321のうちの下部に設けられた貫通孔である凝縮部出口孔321hが形成されている。この凝縮部出口孔321hは、凝縮部出口202aに連通している。
【0162】
他方側第2板322は、積層方向Dsの一方側から他方側へ凹んで鉛直方向Dgに延伸した溝部322aを有している。他方側第2板322は、他方側第1板321に対し積層方向Dsの他方側にロウ付け接合されており、これによって、他方側第2板322の溝部322aは他方側第1板321との間に側部中継流路322bを形成している。
【0163】
この側部中継流路322bは鉛直方向Dgに延びており、冷媒流れにおいて他方側第1板321の凝縮部出口孔321hと絞り部321eとの間に設けられている。すなわち、側部中継流路322bは、凝縮部20の凝縮部出口202aと絞り孔321dとをつなぐ流路となっている。このような冷媒の流路構成により、他方側サイドプレート部32の絞り孔321dは、冷媒流れにおいて凝縮部出口202aと蒸発部入口222aとの間に設けられていることになる。
【0164】
図18に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、鉛直方向Dgに並んだ1つの凝縮構成部201と1つの蒸発構成部221は、一対の板部材381、382が積層方向Dsに積層され互いに接合されることで構成されている。そして、その一対の板部材381、382のうち、第1板部材381は、第2板部材382に対し積層方向Dsの一方側に配置されている。
【0165】
但し、本実施形態では図18および図21に示すように、一方側凝縮タンク空間201aは凝縮流路201cに対し鉛直方向Dgの下側に配置され、他方側凝縮タンク空間201bは凝縮流路201cに対し鉛直方向Dgの上側に配置されている。また、一方側蒸発タンク空間221aは蒸発流路221cに対し鉛直方向Dgの下側に配置され、他方側蒸発タンク空間221bは蒸発流路221cに対し鉛直方向Dgの上側に配置されている。 図18に示すように、本実施形態の凝縮部20は、第1凝縮構成部群204aと第2凝縮構成部群204bと第3凝縮構成部群204cと第4凝縮構成部群204dとを有している。その第1凝縮構成部群204aと第2凝縮構成部群204bと第3凝縮構成部群204cと第4凝縮構成部群204dは、その記載順で積層方向Dsの一方側から他方側へ並んで配置されている。
【0166】
そして、凝縮部20の冷媒流れにおいて、第1凝縮構成部群204aと第2凝縮構成部群204bと第3凝縮構成部群204cと第4凝縮構成部群204dは、その記載順で、上流側から下流側へ直列に連結されている。
【0167】
また、複数の凝縮構成部群204a~204dのそれぞれでは、複数の凝縮流路201cが冷媒流れにおいて並列接続されている。
【0168】
このような冷媒の流通経路を実現するために、図18のC4部に示すように、第1凝縮構成部群204aのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第1連通孔201oが設けられていない。また、C5部に示すように、第2凝縮構成部群204bのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第2連通孔201pが設けられていない。また、C6部に示すように、第3凝縮構成部群204cのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第1連通孔201oが設けられていない。
【0169】
例えば、第2連通孔201pは設けられているが第1連通孔201oが設けられていない他方側凝縮板部201hは、図23に示されている。また、第1連通孔201oは設けられているが第2連通孔201pが設けられていない他方側凝縮板部201hは、図24に示されている。
【0170】
図18に示すように、本実施形態では、蒸発部22に含まれる複数の蒸発構成部群224a~224dとして、第1蒸発構成部群224a、第2蒸発構成部群224b、第3蒸発構成部群224c、および第4蒸発構成部群224dが構成されている。
【0171】
本実施形態の蒸発部22では、第1蒸発構成部群224aと第2蒸発構成部群224bと第3蒸発構成部群224cと第4蒸発構成部群224dは、その記載順で積層方向Dsの他方側から一方側へ並んで配置されている。そして、蒸発部22の冷媒流れにおいて、第1蒸発構成部群224aと第2蒸発構成部群224bと第3蒸発構成部群224cと第4蒸発構成部群224dは、その記載順で、上流側から下流側へ直列に連結されている。 また、複数の蒸発構成部群224a~224dのそれぞれでは、複数の蒸発流路221cが冷媒流れにおいて並列接続されている。
【0172】
このような冷媒の流通経路を実現するために、図18のE4部に示すように、第2蒸発構成部群224bのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第2連通孔221pが設けられていない。また、E5部に示すように、第3蒸発構成部群224cのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第1連通孔221oが設けられていない。また、E6部に示すように、第4蒸発構成部群224dのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第2連通孔221pが設けられていない。
【0173】
例えば、第1連通孔221oは設けられているが第2連通孔221pが設けられていない他方側蒸発板部221hは、図23に示されている。また、第2連通孔221pは設けられているが第1連通孔221oが設けられていない他方側蒸発板部221hは、図21に示されている。
【0174】
本実施形態では、図23図24に示すように、1つの一方側凝縮板部201dと1つの一方側蒸発板部221dは単一の部品として構成されておらず、別々の部品として構成されている。そして、1つの他方側凝縮板部201hと1つの他方側蒸発板部221hも単一の部品として構成されておらず、別々の部品として構成されている。従って、本実施形態では、第1板部材381(図15参照)は構成されておらず、第2板部材382も構成されていない。このような点において、本実施形態は第2実施形態と異っている。
【0175】
上記のように、一方側凝縮板部201dと一方側蒸発板部221dは別々の部品として構成され、且つ、他方側凝縮板部201hと他方側蒸発板部221hも別々の部品として構成されている。そのため、凝縮部20と蒸発部22は、その凝縮部20と蒸発部22の両側に一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32とが接合されることで一体構成になっている。
【0176】
但し、図18に示すように、図18のC4部において、第1凝縮構成部群204aのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第1連通孔201oが設けられていない。また、図23および図27に示すように、図23のC5部において、第2凝縮構成部群204bのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第2連通孔201pが設けられていない。また、図23および図26に示すように、図23のC6部において、第3凝縮構成部群204cのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側凝縮板部201hには、第1連通孔201oが設けられていない。
【0177】
また、図18に示すように、図18のE4部において、第2蒸発構成部群224bのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第2連通孔221pが設けられていない。また、図18に示すように、図18のE5部において、第3蒸発構成部群224cのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第1連通孔221oが設けられていない。また、図18に示すように、図18のE6部において、第4蒸発構成部群224dのうち積層方向Dsの他方側の端に位置する他方側蒸発板部221hには、第2連通孔221pが設けられていない。
【0178】
また、図21図24から判るように、複数の一方側凝縮板部201dの相互間および複数の一方側蒸発板部221dの相互間だけでなく、一方側凝縮板部201dと一方側蒸発板部221dとの相互間でも部品共通化が図られている。これと同様に、複数の他方側凝縮板部201hの相互間および複数の他方側蒸発板部221hの相互間だけでなく、他方側凝縮板部201hと他方側蒸発板部221hとの相互間でも部品共通化が図られている。
【0179】
本実施形態では、1つの凝縮構成部201と1つの蒸発構成部221との間には、導水部50Aが設けられている。
【0180】
導水部50Aは、仕切板51、および閉塞板52を備える。仕切板51は、蒸発部22の蒸発構成部221と凝縮部20の凝縮構成部201との間に配置されている。仕切板51は、蒸発部22と凝縮部20とが並ぶ方向に交差する交差方向に拡がる板状に形成されている。
【0181】
仕切板51は、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との間にて配置されている。仕切板51は、積層方向Dsに亘って板状に形成されている。すなわち、仕切板51は、積層方向Dsおよび熱交換器幅方向Dw(すなわち、蒸発部22と凝縮部20が並ぶ向に交差する交差方向)に拡がる板状に形成されている。
【0182】
仕切板51は、蒸発部22に対してその熱交換器幅方向Dwの一方側および中央側を覆うように形成されている。このため、仕切板51は、蒸発部22に対してその熱交換器幅方向Dwの他方側からずれて配置されている。
【0183】
閉塞板52は、仕切板51のうち熱交換器幅方向Dw一方側(すなわち、通風流路20a内の空気流の風下側)に接続されて鉛直方向Dgに延びる板状に形成されている。閉塞板52は、1つの凝縮構成部201と1つの蒸発構成部221との間の隙間を塞ぐように形成されている。
【0184】
閉塞板52は、仕切板51に滴下した凝縮水が熱交換器幅方向Dwの一方側に流れることを防ぐように形成されている導水板である。すなわち、閉塞板52は、仕切板51から凝縮水が通風流路20a内の空気流の風下側に流れることを抑制する堰部を構成する。
【0185】
本実施形態の熱交換器10および冷凍サイクル回路12では、次のように冷媒が流れる。なお、図18に示された破線矢印は、熱交換器10における冷媒流れを示している。
【0186】
先ず、図18に示すように、圧縮機14から吐出された冷媒は、入口管34を介して、凝縮部20の第1凝縮構成部群204aのうち複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった上流側空間に流入する。その第1凝縮構成部群204aの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの他方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。
【0187】
ここで、熱交換器幅方向Dw他方側から空気流が図4の矢印FB2の如く凝縮構成部201周り(すなわち、複数の通風流路20a)を通して熱交換器幅方向Dw一方側に流れる。
【0188】
その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒(すなわち、高圧冷媒)は互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気流へ放熱する。
【0189】
そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第1凝縮構成部群204aの下流側空間から、第2凝縮構成部群204bのうち複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった上流側空間に流入する。
【0190】
その第2凝縮構成部群204bの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの他方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気流へ放熱する。 そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第2凝縮構成部群204bの下流側空間から、第3凝縮構成部群204cのうち複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった上流側空間に流入する。
【0191】
その第3凝縮構成部群204cの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの他方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a内の空気流)と熱交換させられその空気流へ放熱する。 そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第3凝縮構成部群204cの下流側空間から、第4凝縮構成部群204dのうち複数の他方側凝縮タンク空間201bが連なった上流側空間に流入する。
【0192】
その第4凝縮構成部群204dの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの他方側へ流れながら複数の凝縮流路201cへ分配される。その複数の凝縮流路201cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、凝縮構成部201周りの空気流(すなわち、複数の通風流路20a)と熱交換させられその空気流へ放熱する。
【0193】
そして、その冷媒は、複数の凝縮流路201cから、複数の一方側凝縮タンク空間201aが連なった下流側空間へ流入する。その第4凝縮構成部群204dの下流側空間に流入した冷媒は、凝縮部出口202aから、他方側サイドプレート部32の凝縮部出口孔321hを経て側部中継流路322bに流入する。
【0194】
その側部中継流路322bでは冷媒は鉛直方向Dgの下側から上側へ流れ、その冷媒は、側部中継流路322bから絞り部321eの絞り孔321dを介して蒸発部22内へ流入する。このとき、冷媒は、その絞り孔321dを通ることによって減圧させられる。
【0195】
絞り部321eの絞り孔321dを通った冷媒は蒸発部入口222aから蒸発部22内へ流入する。蒸発部入口222aから蒸発部22内へ流入する冷媒は、先ず、第1蒸発構成部群224aのうち複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった上流側空間に流入する。
【0196】
その第1蒸発構成部群224aの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。
【0197】
ここで、熱交換器幅方向Dw他方側から空気流が図21の矢印FB1の如く蒸発構成部221周り(すなわち、複数の通風流路22a)を通して熱交換器幅方向Dw一方側に流れる。
【0198】
このため、その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)と熱交換させられその空気流から吸熱する。
【0199】
そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第1蒸発構成部群224aの下流側空間から、第2蒸発構成部群224bのうち複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった上流側空間に流入する。その第2蒸発構成部群224bの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)と熱交換させられその空気から吸熱する。
【0200】
そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第2蒸発構成部群224bの下流側空間から、第3蒸発構成部群224cのうち複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった上流側空間に流入する。
【0201】
その第3蒸発構成部群224cの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)と熱交換させられその空気流から吸熱する。
【0202】
そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった下流側空間へ流入する。更に、その冷媒は、その第3蒸発構成部群224cの下流側空間から、第4蒸発構成部群224dのうち複数の一方側蒸発タンク空間221aが連なった上流側空間に流入する。
【0203】
その第4蒸発構成部群224dの上流側空間に流入した冷媒は、その上流側空間にて、積層方向Dsの一方側へ流れながら複数の蒸発流路221cへ分配される。その複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は互いに並列に流れながら、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)と熱交換させられその空気から吸熱する。 そして、その冷媒は、複数の蒸発流路221cから、複数の他方側蒸発タンク空間221bが連なった下流側空間へ流入する。その第4蒸発構成部群224dの下流側空間に流入した冷媒は、出口管36から熱交換器10の外部へ流出する。その出口管36から流出した冷媒は、図14に示すように気液分離器40へ流れ、その気液分離器40から圧縮機14に吸い込まれる。以上のようにして、本実施形態の熱交換器10および冷凍サイクル回路12では冷媒が流れる。
【0204】
本実施形態では、蒸発部22では、上述の如く、複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)から吸熱する。このため、複数の通風流路22aにおいて、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223には、凝縮水が発生する。
【0205】
このように発生される凝縮水は、図21矢印W4の如く、仕切板51に滴下する。この仕切板51に滴下した凝縮水は、図21中矢印W4の如く、仕切板51に沿って熱交換器幅方向Dw他方側に流れる。
【0206】
その後、一方側サイドプレート部30と他方側サイドプレート部32との間において凝縮水は、仕切板51に対して熱交換器幅方向Dw他方側を通して、凝縮部20の複数の通風流路20aに滴下する。
【0207】
すなわち、凝縮水は、仕切板51によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。
【0208】
複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、凝縮水から複数の凝縮流路201cに流れる冷媒へ気化熱が移動されることになる。
【0209】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0210】
(第3実施形態)
上記第1、第2実施形態では、熱交換器において、蒸発部で発生した凝縮水を放熱部の熱交換部のうち風上側に導くための導水部を設けた例について説明した。しかし、これに加えて、放熱部に対して、その幅方向に亘って凝縮水を分配して掛けるディストリビュータを追加した本第3実施形態について図25図26を参照して説明する。
【0211】
本実施形態の熱交換器は、蒸発部22、凝縮部20とともに、上側空調ケーシング60、下側空調ケーシング61、ドレイン配管62、およびディストリビュータ63を備える。上側空調ケーシング60は、蒸発部22を収納して蒸発部22を通過する空気流を流通させる空気流路60aと、蒸発部22で発生した凝縮水を一時的に貯める貯水部60bを備える。
【0212】
下側空調ケーシング61は、上側空調ケーシング60に対して天地方向下側に配置されている。下側空調ケーシング61は、凝縮部20を収納して凝縮部20を通過する空気流を流通させる空気流路61aを備える。ドレイン配管62は、上側空調ケーシング60の貯水部60b内の凝縮水を下側空調ケーシング61内のディストリビュータ63に導くための配管である。
【0213】
ディストリビュータ63は、導水部64、分配部65、および支持材66を備える。導水部は、繊維材から構成されて、熱交換コア230の幅方向に拡がるように形成されている。導水部64は、凝縮部20の熱交換コア230のうち天地方向上側で、かつ凝縮部20に対して風上側に配置されている。
【0214】
導水部64は、ドレイン配管62からの凝縮水を分配部65に流通させるために用いられる。本実施形態の導水部64は、凝縮部20のサイドプレート236、237の間に嵌め込まれている。
【0215】
分配部65は、導水部64に接続されている。分配部65は、微細遷移材によって構成されて、導水部64からの凝縮水を毛細管現象によって複数のチューブ231や熱交換フィン233に導く。分配部65は、導水部64のうち天地方向上側から風下側に突起する複数の突起部65aを備える。
【0216】
複数の突起部65aは、それぞれ、熱交換コア230の幅方向に並べられている。複数の突起部65aは、それぞれ、熱交換コア230のうち複数のチューブ231のうち隣り合う2つのチューブ231の間に配置されている。複数の突起部65aは、それぞれ、熱交換フィン233のうち対応する熱交換フィン233の上側に配置されている。
【0217】
このことにより、複数の突起部65aは、それぞれ、熱交換コア230のうち熱交換フィン233や複数のチューブ231のうち上側に接触することになる。
【0218】
凝縮部20は、上側タンク234、熱交換コア230、および下側タンク235を備える。上側タンク234は、圧縮機14からの高圧冷媒を熱交換コア230の複数のチューブ231に分配する。複数のチューブ231は、それぞれ、天地方向に延びるように形成されている。複数のチューブ231は、それぞれ、間隔を開けて幅方向に並べられている。複数のチューブ231は、それぞれ、上側タンク234からの高圧冷媒を下側タンク235に導くための冷媒配管である。
【0219】
複数のチューブ231は、それぞれ、高圧冷媒を流通させて高圧冷媒から空気流路61aを通過する空気流に放熱させる。下側タンク235は、複数のチューブ231を通過した高圧冷媒を集合させて減圧部に導く。
【0220】
複数のチューブ231のうち隣り合う2つのチューブ231の間には、空気流を流通させる通風流路20aが設けられている。複数の通風流路20aのそれぞれには、熱交換フィン233が配置されている。熱交換フィン233は、複数のチューブ231とともに、複数の通風流路20a内の空気流と高圧冷媒との間で熱交換する。
【0221】
このように構成されるディストリビュータ63は、凝縮部20のうち上側タンク234に対して天地方向下側において、熱交換コア230のうち天地方向上側で、かつ熱交換コア230のうち風上側に配置されている。
【0222】
次に、本実施形態の熱交換器10の作動について説明する。
【0223】
まず、圧縮機14から吐出される冷媒(すなわち、高圧冷媒)が凝縮部20の熱交換コア230の複数のチューブ231に流れる。この際に、熱交換コア230の複数の通風流路20aには、図25中矢印FB2の如く、空気流が流れる。
【0224】
複数の通風流路20a内の空気流と複数のチューブ231内の冷媒との間で熱交換される。このことにより、冷媒が空気流に放熱するため、冷媒が冷却される。
【0225】
一方、蒸発部22に減圧弁を通過した冷媒(すなわち、低圧冷媒)が流れる。これに伴い、蒸発部22内を流れる低圧冷媒と蒸発部22を通過する空気流との間で熱交換されて冷媒が空気流から吸熱する。この際に、蒸発部22において凝縮水が発生する。
【0226】
この凝縮水は、蒸発部22から凝縮水が滴下する。このため、凝縮水は、一時的に上側空調ケーシング60の貯水部60bに貯まる。この貯水部60b内の凝縮水は、ドレイン配管62を通してディストリビュータ63の導水部64に導かれる。この導水部64に導かれる凝縮水は毛細管現象により分配部65を通して熱交換コア230のうち空気流れ方向風上側に導かれる。
【0227】
このことにより、凝縮水は、ディストリビュータ63によって熱交換コア230に対してその幅方向に分配されることになる。このため、熱交換コア230においては、複数のチューブ231を流れる冷媒が凝縮水に放熱して凝縮水を気化させる。このことにより、凝縮水は、空気流とともに、複数のチューブ231内の冷媒を冷却させることになる。 以上説明した本実施形態によれば、蒸発部22および凝縮部20を備える熱交換器10において、凝縮部20の複数のチューブ231に流れる冷媒は、空気流に放熱して冷却される。ドレイン配管62は、上側空調ケーシング60の貯水部60b内の凝縮水を下側空調ケーシング61内のディストリビュータ63に導く。
【0228】
このため、ディストリビュータ63は、凝縮部20のうち上側タンク234に対して天地方向下側において、熱交換コア230のうち天地方向上側で、かつ熱交換コア230のうち風上側に導くことになる。ディストリビュータ63は、凝縮水を熱交換コア230に対してその幅方向に分配する。
【0229】
熱交換コア230においては、複数のチューブ231を流れる冷媒が凝縮水に放熱して凝縮水を気化させる。このことにより、凝縮水は、空気流とともに、複数のチューブ231内の冷媒を冷却させることになる。
【0230】
以上により、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0231】
(第4実施形態)
上記第1、第2実施形態では、熱交換器10において、蒸発部22で発生した凝縮水を凝縮部20の熱交換コア230のうち風上側に導くための導水部50Aを設けた例について説明した。
【0232】
しかし、導水部50Aを設けることなく、蒸発部22に流れる空気流に対して凝縮部20に流れる空気流を逆向きに流すことにより、凝縮水を凝縮部20の熱交換コア230のうち風上側に導くようにした本第4実施形態について図28を参照して説明する。
【0233】
本実施形態では、図28中矢印FB1、矢印FB2に示すように、蒸発部22に流れる空気流と凝縮部20に流れる空気流とが逆向きに流れる。
【0234】
本実施形態では、蒸発部22では、上述の如く、複数の蒸発流路221cに流れる冷媒は、蒸発構成部221周りの空気流(すなわち、複数の通風流路22a内の空気流)から吸熱する。このため、複数の通風流路22aにおいて、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて凝縮水が発生する。
【0235】
このように発生される凝縮水は、重力によって複数の蒸発構成部221に沿って鉛直方向Dg下側に流れる。この際に、凝縮水は、蒸発部22を通過する空気流によって複数の蒸発構成部221に沿って風下側に流れる。
【0236】
蒸発部22のうち熱交換器幅方向Dw一方側から凝縮水が凝縮部20の熱交換コア230のうち熱交換器幅方向Dw一方側に滴下する。すなわち、蒸発部22を通過する空気流によって、蒸発部22の凝縮水が凝縮部20の熱交換コア230のうち風上側に導かれることになる。
【0237】
このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。
【0238】
複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、凝縮水から複数の凝縮流路201cに流れる冷媒へ気化熱が移動されることになる。このことにより、凝縮水は、空気流とともに、複数のチューブ231内の冷媒を冷却させることになる。
【0239】
以上により、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0240】
(第5実施形態)
本第5実施形態では、上記第1実施形態において、熱交換器10を傾けて配置することにより蒸発部22から生じる凝縮水を凝縮部20の熱交換コア230のうち空気流(すなわち、第1空気流)の風上側に導く例について説明する。
【0241】
図29に本実施形態の熱交換器10が適用されている車両用空調装置70の全体構成を示す。
【0242】
本実施形態の車両用空調装置70は、図29図30、および図31に示すように、熱交換器10、送風ユニット80、および送風ダクト90を備える。送風ユニット80は、遠心ファン81A、81B、および送風ケース82を備える空気流発生部である。
【0243】
遠心ファン81Aは、電動モータ83の回転軸83aから出力される回転力によって軸線Sを中心として回転される。遠心ファン81Aは、その回転によって軸線方向一方側から空気流を吸い込んで径方向外側に吹き出すシロッコファンである。
【0244】
遠心ファン81Bは、電動モータ83の回転軸83aから出力される回転力によって軸線Sを中心として回転される。遠心ファン81Bは、その回転によって軸線方向一方側から空気流を吸い込んで径方向外側に吹き出すシロッコファンである。
【0245】
送風ケース82は、遠心ファン81Aから吹き出される空気流を集めてダクト90の上側空気流路91に導くとともに、遠心ファン81Bから吹き出される空気流を集めてダクト90の下側空気流路92に導く。
【0246】
送風ダクト90は、上側空気流路91および下側空気流路92を形成する。上側空気流路91および下側空気流路92は、送風ダクト90によって、区分けされるように形成されている。熱交換器10は、上側空気流路91および下側空気流路92を跨ぐように配置されている。
【0247】
蒸発部22は、上側空気流路91内に配置されている。凝縮部20は、下側空気流路92内に配置されている。
【0248】
本実施形態では、蒸発部22に流れる空気流(すなわち、第2空気流)の主流と、凝縮部20に流れる空気流(すなわち、第1空気流)の主流とは、平行で、かつ互いに同一の向きに流れる。
【0249】
ここで、蒸発部22に流れる空気流の主流とは、蒸発部22に流れる複数の空気流のうち最も風量の多い空気流である。凝縮部20に流れる空気流の主流とは、凝縮部20に流れる複数の空気流のうち最も風量の多い空気流である。
【0250】
本実施形態では、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。
【0251】
このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。
【0252】
したがって、蒸発部22で生じる凝縮水は、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223に沿って蒸発部22のうち空気流の風上側に導かれる。
【0253】
この導かれる凝縮水は、熱交換器10のうち断熱用孔381aよりも熱交換器幅方向Dw一方側の領域400を通して、凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。
【0254】
断熱用孔381aは、凝縮部20と蒸発部22との間において、内部熱交換部28に代えて設けられたものである。断熱用孔381aは、凝縮構成部201内の冷媒と蒸発構成部221内の冷媒との間の伝熱を妨げるために設けられている。断熱用孔381aは、第1板部材381の貫通孔と第2板部材382の貫通孔とが連通して構成されている。
【0255】
すなわち、本実施形態では、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向で上側に配置されることにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。
【0256】
このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。これにより、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水へ気化熱が移動されることになる。
【0257】
これにより、凝縮流路201c内の冷媒を凝縮水によって冷却することができる。したがって、蒸発部22および凝縮部20を備える熱交換器10において、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0258】
本実施形態では、内部熱交換部28に代えて断熱用孔381aが形成されている。断熱用孔381aは、凝縮構成部201内の冷媒と蒸発構成部221内の冷媒との間の伝熱を妨げる役割を果たす。
【0259】
なお、本実施形態では、一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bとの両方が凝縮流路201cに対して鉛直方向Dgの下側に配置されている。一方側蒸発タンク空間221aと他方側蒸発タンク空間221bとの両方が蒸発流路221cに対し鉛直方向Dgの上側に配置されている。
【0260】
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、蒸発部22に流れる空気流の主流と凝縮部20に流れる空気流の主流とが、平行で、かつ互いに同一の向きに流れる例について説明した。
【0261】
しかし、これに代えて、蒸発部22に流れる空気流(すなわち、第2空気流)の主流と凝縮部20に流れる空気流(すなわち、第1空気流)の主流とが、平行で、かつ互いに逆向きに流れる本第6実施形態について図32図33を参照して説明する。
【0262】
本実施形態の車両用空調装置70は、図32および図33に示すように、熱交換器10、送風ユニット80、および送風ダクト90を備える。送風ユニット80は、遠心ファン81C、および送風ケース82Aを備える空気流発生部である。
【0263】
遠心ファン81Cは、電動モータの回転軸から出力される回転力によって軸線を中心として回転される。遠心ファン81Cは、その回転によって軸線方向一方側から空気流を吸い込んで径方向外側に吹き出すプラグファンである。
【0264】
送風ケース82Aは、遠心ファン81Cから吹き出される空気流をダクト90の上側空気流路91と下側空気流路92に導く。
【0265】
送風ダクト90は、上側空気流路91および下側空気流路92を形成する。上側空気流路91および下側空気流路92は、送風ダクト90によって、区分けされるように形成されている。熱交換器10は、上側空気流路91および下側空気流路92を跨ぐように配置されている。
【0266】
本実施形態では、蒸発部22に流れる空気流(すなわち、第2空気流)の主流と凝縮部20に流れる空気流(すなわち、第1空気流)の主流とは、平行で、かつ互いに逆向きに流れる。
【0267】
本実施形態では、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。
【0268】
すなわち、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向で下側に配置されることにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。
【0269】
このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。したがって、蒸発部22で生じる凝縮水は、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223に沿って凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。
【0270】
このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。これにより、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水へ気化熱が移動されることになる。
【0271】
以上により、上記第5実施形態と同様に、凝縮流路201c内の冷媒を凝縮水によって冷却することができる。したがって、蒸発部22および凝縮部20を備える熱交換器10において、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0272】
(第7実施形態)
上記第6実施形態では、1つの遠心ファンからの送風される空気流を分流して蒸発部22と凝縮部20とに流した例について説明した。しかし、これに代えて、2つの遠心ファン81A、81Bから蒸発部22と凝縮部20とに空気流を流通させる本第7実施形態について図34を参照して説明する。
【0273】
図34に本実施形態の熱交換器10が適用されている車両用空調装置70の全体構成を示す。
【0274】
本実施形態の車両用空調装置70は、図34に示すように、熱交換器10、送風ユニット80A、80B、および送風ダクト90を備える。
【0275】
送風ユニット80Aは、遠心ファン81A、および送風ケース82Aを備える。遠心ファン81Aは、電動モータの回転軸から出力される回転力によって軸線Sを中心として回転される。遠心ファン81Aは、その回転によって軸線方向一方側から空気流を吸い込んで径方向外側に吹き出すシロッコファンである。送風ケース82Aは、遠心ファン81Aから発生される空気流を集めてダクト90の上側空気流路91に導く。
【0276】
送風ユニット80Bは、遠心ファン81B、および送風ケース82Bを備える。遠心ファン81Bは、電動モータの回転軸から出力される回転力によって軸線Sを中心として回転される。遠心ファン81Bは、その回転によって軸線方向一方側から空気流を吸い込んで径方向外側に吹き出すシロッコファンである。送風ケース82Bは、遠心ファン81Bから発生される空気流を集めてダクト90の下側空気流路92に導く。
【0277】
本実施形態の送風ユニット80Aおよび送風ユニット80Bは、ダクト90の上側空気流路91、下側空気流路92のそれぞれに流通させる空気流を発生させる空気流発生部を構成する。
【0278】
送風ダクト90は、送風ユニット80Aから吹き出される空気流を流通させる上側空気流路91と、送風ユニット80Bから吹き出される空気流を流通させる下側空気流路92とを構成する。上側空気流路91と下側空気流路92とは、送風ダクト90によって区分けされている。熱交換器10は、上側空気流路91および下側空気流路92を跨ぐように配置されている。
【0279】
本実施形態では、上記第6実施形態と同様に、蒸発部22に流れる空気流(すなわち、第2空気流)の主流と凝縮部20に流れる空気流(すなわち、第1空気流)の主流とは、平行で、かつ互いに逆向きに流れる。
【0280】
本実施形態では、上記第6実施形態と同様に、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。
【0281】
このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で下側に配置されている。このことにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。
【0282】
したがって、蒸発部22で生じる凝縮水は、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223に沿って凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。
【0283】
このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。これにより、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水へ気化熱が移動されることになる。
【0284】
これにより、凝縮流路201c内の冷媒を凝縮水によって冷却することができる。したがって、蒸発部22および凝縮部20を備える熱交換器10において、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0285】
(第8実施形態)
上記第6、7実施形態では、断熱用孔381aを設けた熱交換器10を傾斜させて配置した例について説明した。しかし、これに代えて、断熱用孔381aに代わる内部熱交換部28を設けた熱交換器10を傾斜させて配置した本第8実施形態について図35を参照して説明する。
【0286】
本実施形態の熱交換器10は、上記第1実施形態の熱交換器10と同様に、蒸発部22に流れる空気流(すなわち、第2空気流)の主流と凝縮部20に流れる空気流(すなわち、第1空気流)の主流とが平行で、かつ同一向きに流れる。
【0287】
本実施形態では、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。
【0288】
このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。このことにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。
【0289】
したがって、蒸発部22で生じる凝縮水は、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223に沿って凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。
【0290】
さらに、蒸発部22で生じる凝縮水の一部は、導水板50や外側筒部281の上側外表面283に滴下する。この滴下した凝縮水は、導水板50や外側筒部281の上側外表面283によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。このため、複数の凝縮構成部201において複数の通風流路20aに露出する表面や凝縮部フィン203に凝縮水が掛かることになる。
【0291】
以上により、上記第6実施形態と同様に、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。このため、複数の凝縮流路201cに流れる冷媒から凝縮水へ気化熱が移動されることになる。
【0292】
これにより、凝縮流路201c内の冷媒を凝縮水によって冷却することができる。したがって、蒸発部22および凝縮部20を備える熱交換器10において、蒸発部22に生じる凝縮水を用いて凝縮部20における冷媒の冷却効果を向上するようにした熱交換器10を提供することができる。
【0293】
(第9実施形態)
上記第8実施形態では、蒸発部22に流れる空気流の主流と凝縮部20に流れる空気流の主流とを平行で、かつ同一向きに流通させる例について説明した。しかし、これに代えて、本第9実施形態では、図36のように、蒸発部22に流れる空気流の主流と凝縮部20に流れる空気流の主流とを平行で、かつ互いに逆向きに流通させてもよい。
【0294】
本実施形態では、上記第8実施形態と同様に、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で下側に配置されている。
【0295】
このことにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。以上により、上記第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0296】
(第10実施形態)
上記第9実施形態では、上記第1実施形態の熱交換器10を傾斜して配置した例について説明したが、これに代えて、上記第2実施形態の熱交換器10を傾斜して配置した本第10実施形態について図37を参照して説明する。
【0297】
本実施形態の熱交換器10では、蒸発部22に流れる空気流の主流と凝縮部20に流れる空気流の主流とを平行で、かつ互いに逆向きに流通させる。
【0298】
本実施形態の熱交換器10では、上記第6実施形態と同様に、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で下側に配置されている。
【0299】
このことにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。したがって、蒸発部22で生じる凝縮水は、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223に沿って凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。
【0300】
以上により、上記第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0301】
(第11実施形態)
上記第10実施形態では、蒸発部22に流れる空気流と凝縮部20に流れる空気流とを同一向きに流通させる例について説明した。しかし、これに代えて、本第11実施形態では、図38のように、蒸発部22に流れる空気流の主流と凝縮部20に流れる空気流の主流とを、平行で、かつ互いに同一向きに流通させてもよい。
【0302】
本実施形態では、上記第10実施形態と同様に、熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw他方側が熱交換器10のうち熱交換器幅方向Dw一方側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。このため、蒸発部22のうち空気流の風下側が蒸発部22のうち空気流の風上側よりも天地方向(すなわち、鉛直方向Dg)で上側に配置されている。
【0303】
このことにより、蒸発部22が凝縮水を重力によって凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導くことになる。したがって、蒸発部22で生じる凝縮水は、複数の蒸発構成部221のそれぞれにおいて通風流路22a側に露出する表面や蒸発部フィン223に沿って凝縮部20の凝縮部熱交換コア230のうち空気流上流側に導かれることになる。
【0304】
以上により、上記第10実施形態と同様の効果が得られる。
【0305】
(他の実施形態)
(1)上述の第1実施形態では、熱交換器10は、アキュムレータとしての気液分離部26を備えているが、これは一例である。例えば、図39に示すように、熱交換器10は、その気液分離部26に替えて、気液分離器として機能するレシーバ42を備えていてもよい。
【0306】
レシーバ42は、冷媒流れにおいて凝縮部出口202aと内部熱交換部28の内側流路28bとの間に配置される。
そして、レシーバ42は、凝縮部20からレシーバ42に流入した冷媒(具体的には、気液ニ相の冷媒もしくは液単相の冷媒)を貯留すると共に気液分離し、その気液分離された液冷媒を内部熱交換部28の内側流路28bへ流す。
【0307】
例えば、レシーバ42は、気液分離部26と同様に複数の板を積層させることで一方側サイドプレート部30に設けられてもよいし、一方側サイドプレート部30に対する積層方向Dsの一方側に固定するようにして設けられてもよい。
【0308】
(2)上述の第1実施形態では、凝縮部出口202aが設けられた出口位置凝縮構成部202は、複数の凝縮構成部201のうち積層方向Dsの一方側の端に位置するが、これは一例である。
【0309】
熱交換器10における冷媒流れの構成によっては、その出口位置凝縮構成部202は、複数の凝縮構成部201のうち積層方向Dsの他方側の端に位置することもある。
【0310】
(3)上述の第1実施形態では、蒸発部入口222aが設けられた入口位置蒸発構成部222は、複数の蒸発構成部221のうち積層方向Dsの他方側の端に位置するが、これは一例である。
【0311】
熱交換器10における冷媒流れの構成によっては、その入口位置蒸発構成部222は、複数の蒸発構成部221のうち積層方向Dsの一方側の端に位置することもある。
【0312】
(4)上述の第1実施形態では、一方側凝縮板部201dと一方側蒸発板部221dと第1外側筒構成部281aは1枚の第1板部材381を構成している。
それと共に、他方側凝縮板部201hと他方側蒸発板部221hと第2外側筒構成部281bは1枚の第2板部材382を構成している。
【0313】
しかしながら、これは一例である。一方側凝縮板部201dと一方側蒸発板部221dと第1外側筒構成部281aとの組合せと、他方側凝縮板部201hと他方側蒸発板部221hと第2外側筒構成部281bとの組合せとの一方は、別々に構成された複数の部品の組合せになっていてもよい。
【0314】
(5)上述の第1実施形態では、複数の凝縮構成部201の何れでも、一対の凝縮板部201d、201hが積層方向Dsに積層されているが、これは一例である。
【0315】
例えば、凝縮部20に含まれる複数の凝縮構成部201のうちの一部では、一対の凝縮板部201d、201hが積層方向Dsに積層された構成になっていなくても差し支えない。要するに、凝縮部20に含まれる複数の凝縮構成部201のうちの少なくとも何れかが一対の凝縮板部201d、201hを有していればよい。
【0316】
(6)上述の第1実施形態では、複数の蒸発構成部221はそれぞれ、一対の蒸発板部221d、221hを有しているが、これは一例である。例えば、蒸発部22に含まれる複数の蒸発構成部221のうちの一部では、一対の蒸発板部221d、221hが積層方向Dsに積層された構成になっていなくても差し支えない。要するに、蒸発部22に含まれる複数の蒸発構成部221のうちの少なくとも何れかが一対の蒸発板部221d、221hを有していればよい。
【0317】
(7)上述の第1実施形態では、凝縮構成部201の内部空間は、積層方向Dsの一方側へ一方側凝縮板部201dが窪んだ形状と積層方向Dsの他方側へ他方側凝縮板部201hが窪んだ形状とによって形成されている。
【0318】
しかしながら、これは一例である。例えば、一方側凝縮板部201dと他方側凝縮板部201hとの一方は、積層方向Dsに窪んだ形状を有さずに平板状であっても差し支えない。このことは、一方側蒸発板部221dと他方側蒸発板部221hとの形状に関しても同様である。
【0319】
(8)上述の第1実施形態では、他方側サイドプレート部32に設けられた絞り孔321dはオリフィスであるが、これは一例である。絞り孔321dは、キャピラリであってもよいし、キャピラリとオリフィスとを連結したものであってもよいし、図40図41に示すように絞り孔321dが形成されたブロックであってもよい。
【0320】
図40図41の例では、絞り孔321dがブロック状の部材として構成され、他方側第1板321に形成された孔に嵌め込まれその他方側第1板321に固定されている。
【0321】
(9)上述の第2実施形態では、他方側第2板322の溝部322aは、冷媒流れを絞って冷媒を減圧させる機能を備えていないが、これは一例である。例えば、その溝部322aは、冷媒流れを絞るキャピラリとして構成され、冷媒を減圧させる機能を備えていても差し支えない。
【0322】
(10)上述の第1実施形態では、蒸発部22と内部熱交換部28と凝縮部20は、その記載順で上側から鉛直方向Dgに並んで配置されているが、それらの並び順および並び方向に限定はない。例えば、蒸発部22と内部熱交換部28と凝縮部20は水平方向に並んで配置されてもよいし、凝縮部20が蒸発部22に対し鉛直方向Dgの上側に配置されていてもよい。
【0323】
(11)上述の第1実施形態では、熱交換器10は、蒸発部22と凝縮部20とに加え、気液分離部26と内部熱交換部28と絞り孔321dとを備えているが、これは一例である。例えば、熱交換器10が気液分離部26と内部熱交換部28と絞り孔321dとのうちの全部または何れかを備えていないことも考え得る。
【0324】
(12)上述の第2実施形態では、凝縮流路201cと蒸発流路221cは互いに同一の形状とされているが、これは一例である。例えば、凝縮流路201cと蒸発流路221cは互いに異なる形状とされていても差し支えない。
【0325】
(13)上述の第2実施形態では、一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bとの一方は、凝縮流路201cに対し鉛直方向Dgの上側に配置されている。そして、その一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bとの他方は、凝縮流路201cに対し鉛直方向Dgの下側に配置されている。
【0326】
しかしながら、これは一例である。例えば、一方側凝縮タンク空間201aと他方側凝縮タンク空間201bとの両方が、凝縮流路201cに対し鉛直方向Dgの上側と下側との一方に偏って配置されていても差し支えない。
【0327】
このことは、蒸発部22の構成に関しても同様である。すなわち、一方側蒸発タンク空間221aと他方側蒸発タンク空間221bとの両方が、蒸発流路221cに対し鉛直方向Dgの上側と下側との一方に偏って配置されていても差し支えない。
【0328】
(14)上記第1~第11実施形態では、熱交換器を車両用空調装置に適用した例について説明したが、これに限らず、熱交換器を車両用空調装置以外の各種機器(例えば、設置型の空調装置、冷凍機)に適用してもよい。
【0329】
(15)上記第1~第11実施形態では、冷凍サイクルにおいて、放熱部が冷媒を凝縮させる凝縮部20を構成する例について説明した。しかし、これに代えて、冷媒として二酸化炭素を用いて高圧冷媒の圧力が臨界点よりも高く、放熱部が冷媒を凝縮させない、超臨界サイクルを冷凍サイクルが構成するようにしてもよい。
【0330】
(16)上述の第2実施形態では、アキュムレータとしての気液分離器40は、熱交換器10とは別の機器として設けられているが、これは一例である。例えば図31に示すように、気液分離器40は熱交換器10の一部として構成され、凝縮部20、蒸発部22、および絞り部321eと一体化されていても差し支えない。
【0331】
(17)上記第5~第11実施形態では、凝縮部20に流れる空気流の主流と蒸発部22に流れる空気流の主流とが、平行で、かつ同一向きに流れるようにした例について説明した。
【0332】
しかし、これに限らず、上記第5~第11実施形態では、凝縮部20に流れる空気流の主流と蒸発部22に流れる空気流の主流とが、ほぼ同一向きに流れるようにすればよい。
【0333】
例えば、熱交換器10の製造誤差が起因して生じる誤差範囲おいて、凝縮部20に流れる空気流の主流と蒸発部22に流れる空気流の主流との関係が、平行である関係からずれていてもよい。
【0334】
つまり、上記第5~第11実施形態では、凝縮部20に流れる空気流の主流と蒸発部22に流れる空気流の主流とが、必ずしも平行に流れることを必要としない。
【0335】
(18)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0336】
(まとめ)
上記第1~11実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、熱交換器は、第1空気流および高圧冷媒の間の熱交換によって高圧冷媒から第1空気流に放熱させる熱交換コアを備える放熱部を備える。
【0337】
熱交換器は、放熱部に対して上側に配置され、第2空気流および低圧冷媒の間の熱交換によって低圧冷媒を第2空気流から吸熱させて蒸発させる蒸発部を備える。
【0338】
熱交換器は、蒸発部の熱交換によって蒸発部から生じる凝縮水を放熱部における熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導いて、この導かれる凝縮水を熱交換コアに掛けて高圧冷媒から凝縮水に放熱させて凝縮水を気化させる。
【0339】
第2の観点によれば、熱交換器は、蒸発部および放熱部の間に配置され、蒸発部から生じる凝縮水を放熱部の熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くための導水部を備える。
【0340】
これによって、凝縮水を熱交換コアのうち第1空気流の風上側に良好に掛けることができる。
【0341】
第3の観点によれば、放熱部および蒸発部が並ぶ方向に交差する方向を交差方向としたとき、導水部は、放熱部および蒸発部の間に配置されて、交差方向に拡がるように形成されている。
【0342】
これによって、導水部が、第1空気流通路内の第1空気流と第2空気流通路内の第2空気流とが混ざることを未然に抑える仕切部としての役割をも果たすことになる。このため、導水部および仕切部をそれぞれ用いる場合に比べて、体格を小さくすることができる。
【0343】
第4の観点によれば、導水部のうち第1空気流の風下側には、導水部から凝縮水が第1空気流の風下側に流れることを抑制する堰部が設けられている。
【0344】
これにより、導水部から凝縮水を熱交換コアのうち第1空気流の風上側に良好に導くことができる。
【0345】
第5の観点によれば、熱交換器は、放熱部は、高圧冷媒を流通させる高圧冷媒流路を備え、蒸発部は、低圧冷媒を流通させる低圧冷媒流路を備える。
【0346】
放熱部および蒸発部は、第1熱交換プレート、第2熱交換プレート、第3熱交換プレート、および第4熱交換プレートを有して構成されている。
【0347】
第1熱交換プレートは、第2熱交換プレートに対して所定方向一方側に配置されており、第2熱交換プレートは、第3熱交換プレートに対して所定方向一方側に配置されている。 第3熱交換プレートは、第4熱交換プレートに対して所定方向一方側に配置されている。 第1熱交換プレートおよび第2熱交換プレートは、互いに合わさるように配置されて、第1熱交換プレートおよび第2熱交換プレートの間には、高圧冷媒流路および低圧冷媒流路が形成されている。
【0348】
第2熱交換プレートおよび第3熱交換プレートの間には、第1空気流が流れる第1空気流路と第2空気流が流れる第2空気流路とが形成されている。
【0349】
第3熱交換プレートおよび第4熱交換プレートは、互いに合わさるように配置されて、第3熱交換プレートおよび第4熱交換プレートの間には、高圧冷媒流路および低圧冷媒流路が形成されている。
【0350】
第6の観点によれば、第1熱交換プレート、第2熱交換プレート、第3熱交換プレート、および第4熱交換プレートは、それぞれ、低圧冷媒流路および高圧冷媒流路の間に配置されている内部熱交換部を構成する。内部熱交換部は、低圧冷媒流路を通過した低圧冷媒と高圧冷媒流路を通過した高圧冷媒との間で熱交換する。
【0351】
内部熱交換部は、第2空気流路で発生した凝縮水を熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くための導水部を構成する。
【0352】
これによって、内部熱交換部よって良好に導水部を構成することができる。
【0353】
第7の観点によれば、内部熱交換部は、所定方向に延びる筒状に形成されて低圧冷媒流路を通過した低圧冷媒を流通させる外側筒部を備える。内部熱交換部は、外側筒部の内側において所定方向に延びる筒状に形成されて高圧冷媒流路を通過した高圧冷媒を流通させる内側筒部を備え、外側筒部内の低圧冷媒と内側筒部内の高圧冷媒との間で熱交換させる。外側筒部のうち第2空気流路に向けて形成されている上側部位は、導水部を構成する。
【0354】
これによって、外側筒部を用いて導水部を良好に構成することができる。
【0355】
第8の観点によれば、導水部を第1導水部としたとき、第2空気流路に対して下側に配置されて外側筒部に対して第1空気流の風下側に設けられて、第2空気流路で発生した凝縮水を第1導水部に導くための第2導水部を備える。
【0356】
これによって、第2空気流路で発生した凝縮水を第1導水部に良好に集めることができる。
【0357】
第9の観点によれば、第2導水部は、凝縮水を第1導水部に導くために、第1空気流の風下側に進むほど上側に向かう傾斜状に形成されている。
【0358】
第10の観点によれば、蒸発部および放熱部は、減圧弁、圧縮機とともに、冷凍サイクルを構成する。圧縮機は、蒸発部から流れる低圧冷媒を吸入し圧縮して高圧冷媒を吐出する。放熱部は、圧縮機から吐出される高圧冷媒および第1空気流の間で熱交換させる。減圧弁は、放熱部から流れる高圧冷媒を減圧して低圧冷媒を排出し、蒸発部は、減圧弁から流れる低圧冷媒および第2空気流の間で熱交換させる。
【0359】
第11の観点によれば、熱交換器において、放熱部に流れる第1空気流の主流と、蒸発部に流れる第2空気流の主流とが、同一向きに流れる。
【0360】
蒸発部のうち第2空気流の風上側が蒸発部のうち第2空気流の風下側よりも下側に配置されるように蒸発部が傾斜して配置されることにより、蒸発部が凝縮水を重力によって放熱部における熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くようになっている。
【0361】
第12の観点によれば、熱交換器において、放熱部に流れる第1空気流の主流と、蒸発部に流れる第2空気流の主流とが、互いに逆向きに流れる。
【0362】
蒸発部のうち第2空気流の風下側が蒸発部のうち第2空気流の風上側よりも下側に配置されるように蒸発部が傾斜して配置されることにより、蒸発部が凝縮水を重力によって放熱部における熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くようになっている。
【0363】
第13の観点によれば、空調装置は、第1空気流および高圧冷媒の間の熱交換によって高圧冷媒から第1空気流に放熱させる熱交換コアを備える放熱部を備える。空調装置は、放熱部に対して上側に配置され、第2空気流および低圧冷媒の間の熱交換によって低圧冷媒を第2空気流から吸熱させて蒸発させる蒸発部を備える。
【0364】
空調装置は、第1空気流を流通させる第1空気流路と、第1空気流路に対して区分けして形成されて第2空気流を流通させる第2空気流路とを有するダクトとを備える。放熱部に流れる第1空気流の主流と、蒸発部に流れる第2空気流の主流とが、同一向きに流れる。
【0365】
蒸発部のうち第2空気流の風上側が蒸発部のうち第2空気流の風下側よりも下側に配置されるように蒸発部が傾斜して配置されることにより、蒸発部から生じる凝縮水を蒸発部が重力によって放熱部における熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くようになっている。
【0366】
第14の観点によれば、空調装置は、第1空気流および高圧冷媒の間の熱交換によって高圧冷媒から第1空気流に放熱させる熱交換コアを備える放熱部を備える。
【0367】
空調装置は、放熱部に対して上側に配置され、第2空気流および低圧冷媒の間の熱交換によって低圧冷媒を第2空気流から吸熱させて蒸発させる蒸発部を備える。
【0368】
空調装置は、第1空気流を流通させる第1空気流路と、第1空気流路に対して区分けして形成されて第2空気流を流通させる第2空気流路とを有するダクトを備える。
【0369】
放熱部に流れる第1空気流の主流と、蒸発部に流れる第2空気流の主流とが、互いに逆向きに流れる。
【0370】
蒸発部のうち第2空気流の風下側が蒸発部のうち第2空気流の風上側よりも下側に配置されるように蒸発部が傾斜して配置されることにより、蒸発部から生じる凝縮水を蒸発部が重力によって放熱部における熱交換コアのうち第1空気流の風上側に導くようになっている。
【0371】
第15の観点によれば、第1空気流、および第2空気流を発生させる空気流発生部を備える。
【符号の説明】
【0372】
10 熱交換器
20 凝縮部
22 蒸発部
230 熱交換コア
28 内部熱交換部
281 外側筒部
283 上側外表面
50 導水板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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