(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】発光装置及び描画装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20240109BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20240109BHJP
B41J 2/455 20060101ALI20240109BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240109BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
B41J2/455
B41J2/447 101P
G03G15/04 111
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2020054927
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 洋介
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-239448(JP,A)
【文献】特開2009-113495(JP,A)
【文献】特開2004-098436(JP,A)
【文献】特開平11-119507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0279626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
B41J 2/455
G03G 15/04
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる基体と、
前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、
前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、
前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、
を有
し、
前記スペーサは、前記一方向に離れて少なくとも2つ配置されているとともに、前記スペーサは、前記支持体の前記一方向の両端部に配置されている発光装置。
【請求項2】
一方向に延びる基体と、
前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、
前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、
前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、
を有
し、
前記スペーサは、前記一方向に離れて少なくとも2つ配置されており、
複数の前記発光部が、前記スペーサを前記基体との間に挟んだ状態で、前記固定手段によって前記基体に固定されており、
複数の前記発光部は、前記一方向にずれて配置されている発光装置。
【請求項3】
一方向に延びる基体と、
前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、
前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、
前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、
を有
し、
前記固定手段は、前記スペーサを貫通する締結部材を備える発光装置。
【請求項4】
前記スペーサは、前記締結部材を緩めた状態で、前記基体と前記支持体との間に挿抜可能とされている請求項
3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記スペーサは、板状である請求項
4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記スペーサは、前記光軸方向から見てU字状とされている請求項
5に記載の発光装置。
【請求項7】
一方向に延びる基体と、
前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、
前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、
前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、
を有
し、
前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部の底面は切削面とされている発光装置。
【請求項8】
前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部は、前記基体の短手方向の少なくとも一方に壁がない請求項
4から請求項
6までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
一方向に延びる基体と、
前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、
前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、
前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、
を有
し、
前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部の底面は、前記基体の表面に対して傾斜する傾斜面である発光装置。
【請求項10】
複数の前記発光部が、前記基体の短手方向にずれて配置されており、前記短手方向の一方側に配置された前記発光部に対する前記傾斜面と、前記短手方向の他方側に配置された前記発光部に対する前記傾斜面と、が逆傾斜である請求項
9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記傾斜面に、前記凹部の深さ以上の厚みの前記スペーサが配置されている請求項
9又は請求項
10に記載の発光装置。
【請求項12】
一方向に延びる基体と、
前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、
前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、
前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、
を有
し、
前記基体の前記スペーサとは逆側の面に、前記スペーサの側に向かって切り欠いた凹状部を備え、
前記凹状部の内部から前記固定手段を構成する締結部材により前記発光部が前記基体に固定されている発光装置。
【請求項13】
前記スペーサは、前記支持体の前記一方向の両端部に配置されている請求項
2から請求項12までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記スペーサは、前記一方向に離れて少なくとも3つ配置されている請求項
1から請求項13までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項15】
複数の前記発光部が、前記スペーサを前記基体との間に挟んだ状態で、前記固定手段によって前記基体に固定されて
おり、
複数の前記発光部は、前記一方向にずれて配置されている請求項
1、及び請求項3から請求項12までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記固定手段は、前記スペーサを貫通する締結部材を備える請求項
1、請求項2、及び請求項7から請求項12までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項17】
前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部の底面は切削面とされている請求項
1から請求項6、及び請求項9から請求項12までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項18】
前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部の底面は、前記基体の表面に対して傾斜する傾斜面である請求項
1から請求項8、及び請求項12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項19】
前記基体の前記スペーサとは逆側の面に、前記スペーサの側に向かって切り欠いた凹状部を備え、
前記凹状部の内部から前記固定手段を構成する締結部材により前記発光部が前記基体に固定されている請求項
1から請求項8、及び請求項12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項20】
前記基体は、金属ブロックで構成されており、前記スペーサは、ポリアセタール樹脂よりも熱伝導率が高い材料で構成されている請求項1から請求項
19までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項21】
前記スペーサは、前記支持体から前記基体に向かう放熱経路を形成する請求項
20に記載の発光装置。
【請求項22】
請求項1から請求項
21までのいずれか1項の発光装置と、
前記発光装置に対して前記一方向と交差する方向に相対的に移動し、前記発光装置からの光が照射される感光材が配置される領域と、
を有する描画装置。
【請求項23】
前記領域は、周方向に回転する円筒状部材の表面に設けられている請求項
22に記載の描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、第1の方向に並んで第1の光を各々発する複数の第1の発光素子と、前記第1の方向と交差する第2の方向において前記複数の第1の発光素子と対向して配置され、前記複数の第1の発光素子から各々発せられた複数の前記第1の光を各々結像する第1の光学系と、第1の継手と、前記複数の第1の発光素子、前記第1の光学系および前記第1の継手を支持する第1の基体とを有する第1の露光ヘッドと、前記第1の方向に並んで第2の光を各々発する複数の第2の発光素子と、前記第2の方向において前記複数の第2の発光素子と対向して配置され、前記複数の第2の発光素子から各々発せられた複数の前記第2の光を各々結像する第2の光学系と、前記第1の継手と嵌合する第2の継手と、前記複数の第2の発光素子、前記第2の光学系および前記第2の継手を支持する第2の基体とを有する第2の露光ヘッドと、を備えた露光装置が開示されている。露光装置では、前記第1の継手は、前記第1の基体のうちの、前記第1の光学系の結像位置に応じた第1の位置に設けられ、前記第2の継手は、前記第2の基体のうちの、前記第2の光学系の結像位置に応じた第2の位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発光部が基体に直接接触する態様で発光部が基体に固定される場合と比較して、発光部の一方向の位置による焦点ばらつきを抑制する発光装置及び描画装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る発光装置は、一方向に延びる基体と、前記一方向に延びる金属ブロックより成る支持体に、前記一方向に沿って配置される複数の光源が支持された発光部と、前記基体と前記発光部との間に前記光源の光軸方向に挟まれるスペーサと、前記スペーサに圧縮荷重がかかる態様で前記発光部を前記基体に固定する固定手段と、を有する。
【0006】
第2態様に係る発光装置は、第1態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、前記一方向に離れて少なくとも2つ配置されている。
【0007】
第3態様に係る発光装置は、第2態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、前記支持体の前記一方向の両端部に配置されている。
【0008】
第4態様に係る発光装置は、第2態様又は第3態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、前記一方向に離れて少なくとも3つ配置されている。
【0009】
第5態様に係る発光装置は、第2態様から第4態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、複数の前記発光部が、前記スペーサを前記基体との間に挟んだ状態で、前記固定手段によって前記基体に固定されている。
【0010】
第6態様に係る発光装置は、第5態様に記載の発光装置において、複数の前記発光部は、前記一方向にずれて配置されている。
【0011】
第7態様に係る発光装置は、第1態様から第6態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記固定手段は、前記スペーサを貫通する締結部材を備える。
【0012】
第8態様に係る発光装置は、第7態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、前記締結部材を緩めた状態で、前記基体と前記支持体との間に挿抜可能とされている。
【0013】
第9態様に係る発光装置は、第8態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、板状である。
【0014】
第10態様に係る発光装置は、第9態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、前記光軸方向から見てU字状とされている。
【0015】
第11態様に係る発光装置は、第1態様から第10態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部の底面は切削面とされている。
【0016】
第12態様に係る発光装置は、第8態様から第10態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部は、前記基体の短手方向の少なくとも一方に壁がない。
【0017】
第13態様に係る発光装置は、第1態様から第12態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記基体には、前記スペーサが入る凹部が設けられ、前記凹部の底面は、前記基体の表面に対して傾斜する傾斜面である。
【0018】
第14態様に係る発光装置は、第13の態様に記載の発光装置において、複数の前記発光部が、前記基体の短手方向にずれて配置されており、前記短手方向の一方側に配置された前記発光部に対する前記傾斜面と、前記短手方向の他方側に配置された前記発光部に対する前記傾斜面と、が逆傾斜である。
【0019】
第15態様に係る発光装置は、第13態様又は第14態様に記載の発光装置において、前記傾斜面に、前記凹部の深さ以上の厚みの前記スペーサが配置されている。
【0020】
第16態様に係る発光装置は、第1態様から第15態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記基体は、金属ブロックで構成されており、前記スペーサは、ポリアセタール樹脂よりも熱伝導率が高い材料で構成されている。
【0021】
第17態様に係る発光装置は、第16態様に記載の発光装置において、前記スペーサは、前記支持体から前記基体に向かう放熱経路を形成する。
【0022】
第18態様に係る発光装置は、第1態様から第17態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記基体の前記スペーサとは逆側の面に、前記スペーサの側に向かって切り欠いた凹状部を備え、前記凹状部の内部から前記固定手段を構成する締結部材により前記発光部が前記基体に固定されている。
【0023】
第19態様に係る描画装置は、第1態様から第18態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置と、前記発光装置に対して前記一方向と交差する方向に相対的に移動し、前記発光装置からの光が照射される感光材が配置される領域と、を有する。
【0024】
第20態様に係る描画装置は、第19態様に記載の描画装置において、前記領域は、周方向に回転する円筒状部材の表面に設けられている。
【発明の効果】
【0025】
第1態様に係る発光装置によれば、発光部が基体に直接接触する態様で発光部が基体に固定される場合と比較して、発光部の一方向の位置による焦点ばらつきが抑制される。
【0026】
第2態様に係る発光装置によれば、発光部の1箇所にスペーサが配置されている場合と比較して、発光部の傾きを調整することが可能である。
【0027】
第3態様に係る発光装置によれば、スペーサが支持体の中央部側に配置されている場合と比較して、発光部の傾きの調整精度が高くなる。
【0028】
第4態様に係る発光装置によれば、スペーサが発光部の一方向に離れて2つ配置されている場合と比較して、発光部を湾曲状に調整することが可能となる。
【0029】
第5態様に係る発光装置によれば、基体上に複数の発光部が設けられた構成において、複数の発光部間の焦点ばらつきが抑制される。
【0030】
第6態様に係る発光装置によれば、基体上に複数の発光部を並列に配置した場合と比較して、一方向の長い範囲に光を照射することができる。
【0031】
第7態様に係る発光装置によれば、スペーサを締結部材とは別の位置に設ける場合と比較して、スペーサの取付部のコンパクト化が可能である。
【0032】
第8態様に係る発光装置によれば、スペーサを挿抜する際に発光部を基体から取り外す場合と比較して、焦点ばらつきの調整作業が容易である。
【0033】
第9態様に係る発光装置によれば、スペーサがコイルばねである場合と比較して、発光部から基体への放熱が容易となる。
【0034】
第10態様に係る発光装置によれば、スペーサが分割タイプの場合と比較して、スペーサの構成がシンプルとなる。
【0035】
第11態様に係る発光装置によれば、基体の外側の表面にスペーサを配置する場合と比較して、焦点ばらつきの調整精度が向上する。
【0036】
第12態様に係る発光装置によれば、凹部の周囲に壁がある場合と比較して、スペーサの挿抜が容易となる。
【0037】
第13態様に係る発光装置によれば、凹部の底面が基体の表面と平行である場合と比較して、照射した光が円形状の照射対象表面に垂直に当たるようになる。
【0038】
第14態様に係る発光装置によれば、複数の発光部に対して傾斜面の傾斜方向が同じ場合と比較して、照射した光が円形状の照射対象表面に垂直に当たるようになる。
【0039】
第15態様に係る発光装置によれば、凹部の深さよりも厚みが小さいスペーサを配置する場合と比較して、基体の表面と発光部との干渉が抑制される。
【0040】
第16態様に係る発光装置によれば、基体又はスペーサがポリアセタール樹脂で構成されている場合と比較して、発光部からの放熱が良好となる。
【0041】
第17態様に係る発光装置によれば、スペーサが断熱部により構成されている場合と比較して、発光部からの放熱が良好となる。
【0042】
第18態様に係る発光装置によれば、基体の板状部で締結部材により発光部を固定する場合と比較して、基体全体の厚みを薄くすることなく、短い長さの締結部材で固定できる。
【0043】
第19態様に係る描画装置によれば、発光部が基体に直接接触する態様で発光部が基体に固定される場合と比較して、描画の際の画質の低下が抑制される。
【0044】
第20態様に係る描画装置によれば、円筒状部材の表面の領域に光が照射される構成において、描画の際の画質の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】第1実施形態に係る露光装置を備えた画像形成装置を示す概略図である。
【
図2】画像形成装置に用いられる露光装置を示す斜視図である。
【
図3】露光装置を上下方向から見た状態で示す構成図である。
【
図6】露光装置のスペーサを示す拡大斜視図である。
【
図7】露光装置の一部を示す図であって、スペーサを示す断面図である。
【
図8】露光装置を長手方向に対して直交する方向に切断した状態で示す斜視図である。
【
図9】露光装置の基体におけるスペーサを配置する凹部を示す斜視図である。
【
図10】露光装置の基体の一部の凹部にスペーサを配置した状態を示す斜視図である。
【
図11】露光装置のスペーサに締結部材を挿通した状態を示す斜視図である。
【
図12】第2実施形態に係る発光装置を備えた描画装置を示す構成図である。
【
図13】第1比較例に係る発光装置の一部を示す側面図である。
【
図14】第2比較例に係る発光装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について説明する。
【0047】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置10>
図1は、第1実施形態に係る露光装置40を備えた画像形成装置10の構成を示す概略図である。まず、画像形成装置10の構成を説明する。次いで、画像形成装置10に用いられる露光装置40について説明する。ここで、画像形成装置10は、描画装置の一例であり、露光装置40は、発光装置の一例である。画像形成装置10は、一例として、複数色で画像を形成する画像形成装置であり、例えば、特に高画質が求められる商業印刷用のフルカラープリンタである。
【0048】
また、画像形成装置10は、B3縦送りの際の記録媒体Pの幅を超える幅(すなわち、364mmを超える幅)に対応した広幅用の画像形成装置である。一例として、A2縦送りである420mm以上、B0横送りである1456mm以下のサイズの記録媒体Pに対応している。例えば、画像形成装置10は、B2横送りである728mmに対応している。
【0049】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。トナーは、粉体の一例である。さらに具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、定着装置16と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14及び定着装置16)について説明する。
【0050】
<画像形成部14>
画像形成部14は、トナー画像を記録媒体Pに形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、転写装置17と、を有している。
【0051】
<トナー像形成部22>
図1に示されるトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。
図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0052】
なお、各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、
図1ではトナー像形成部22(K)の各部に符号を付している。
【0053】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば
図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32を有している。ここで、感光体ドラム32は、円筒状部材の一例であり、感光体ドラム32の表面の感光体は、感光材が配置される領域の一例である。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置40と、現像装置38と、を有している。
【0054】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置40が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置40によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0055】
感光体ドラム32は、前述のように形成された静電潜像を外周に保持して回転し、静電潜像が現像装置38へ搬送される。なお、露光装置40の具体的な構成については、後述する。
【0056】
<転写装置17>
図1に示される転写装置17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置17は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト24に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。具体的には、転写装置17は、
図1に示されるように、転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写ロール28と、を備えている。
【0057】
一次転写ロール26は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール26と感光体ドラム32との間に一次転写電界が印加されることで、感光体ドラム32に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写される。
【0058】
転写ベルト24は、各色の感光体ドラム32からトナー画像が外周面に転写される。具体的には、転写ベルト24は、以下のように構成されている。転写ベルト24は、
図1に示されるように、環状を成すと共に、複数のロール39に巻き掛けられて姿勢が決められている。
【0059】
転写ベルト24は、例えば、複数のロール39のうち、駆動ロール39Dが、駆動部(図示省略)によって回転駆動することで、矢印A方向へ周回する。なお、複数のロール39のうち、
図1に示すロール39Bは、二次転写ロール28に対向する対向ロール39Bである。
【0060】
二次転写ロール28は、転写ベルト24に転写されたトナー画像を、対向ロール39Bと二次転写ロール28との間の二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写するロールである。本実施形態では、対向ロール39Bと二次転写ロール28との間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト24に転写されたトナー画像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。
【0061】
<定着装置16>
図1に示される定着装置16は、二次転写ロール28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。具体的には、定着装置16は、
図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール16Aと、加圧部材としての加圧ロール16Bと、を有している。定着装置16では、加熱ロール16A及び加圧ロール16Bによって、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0062】
<露光装置40>
次に、本実施形態の主要部である露光装置40の構成を説明する。
図2は、露光装置40の構成を示す斜視図である。また、
図3は、露光装置40を上下方向から見た状態で示す平面図である。以下の説明では、図中に示す矢印X方向を露光装置40の幅方向として、矢印Y方向を露光装置40の高さ方向として説明する。また、装置幅方向及び装置高さ方向のそれぞれに直交する矢印Z方向を露光装置40の奥行き方向とする。なお、上記の幅方向及び高さ方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、露光装置40の構成が、これらの方向に限定されるものではない。
【0063】
(露光装置40の全体構成)
まず、露光装置40の全体構成について説明し、次に、露光装置40の各部材について説明する。
【0064】
露光装置40は、
図2及び
図3に示されるように、一方向(本実施形態では、矢印Z方向)に延びる基体42と、基体42の矢印Y方向の一方側(
図2及び
図3では、上下方向の上側)に設けられた複数の発光部44と、を備えている。本実施形態では、基体42の一方向に延びた3つの発光部44が設けられている。基体42は、
図3に示す平面視にて矩形状の長尺部材とされている。発光部44は、それぞれ同じ構成とされており、
図3に示す平面視にて矩形状の長尺部材とされている。発光部44の一方向(すなわち、長手方向)の長さは、基体42の一方向(すなわち、長手方向)の長さよりも短い。
【0065】
一例として、3つの発光部44は、基体42の一方向(矢印Z方向)にずれて配置されると共に、基体42の一方向と直交する幅方向、すなわち基体42の短手方向(矢印X方向)にずれて配置されている。露光装置40は、感光体ドラム32(
図1参照)の軸方向に沿って配置されており、露光装置40の一方向(矢印Z方向)の長さは、感光体ドラム32の軸方向の長さ以上とされている。3つの発光部44は、いずれか1つ以上が感光体ドラム32の表面の感光体が設けられた領域に対向している。これにより、露光装置40から出射された光が感光体ドラム32の表面に照射されるようになっている。
【0066】
図2及び
図3等に示す露光装置40では、基体42における発光部44が設けられた側が上下方向の上側となるように図示されており、発光部44から上側に向かって光が照射されるが、
図1に示す画像形成装置10では、露光装置40の上下方向が逆になる。すなわち、
図1では、露光装置40は、基体42における発光部44が設けられた側が上下方向の下側となるように配置されており、発光部44から下側の感光体ドラム32に向かって光が照射される。
【0067】
本実施形態では、3つの発光部44は、露光装置40の上下方向上側から見た状態で千鳥状に配置されている(
図3参照)。より具体的には、基体42の一方向(矢印Z方向)の両端部側には、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に2つの発光部44が配置されている。基体42の一方向(矢印Z方向)の中央部には、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に1つの発光部44が配置されている。基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に配置された2つの発光部44の端部と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に配置された1つの発光部44の端部とは、基体42の短手方向(矢印X方向)から見て互いに重なっている。すなわち、基体42の一方向(矢印Z方向)において、3つの発光部44からの光の照射範囲の一部が重なっている。
【0068】
また、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に配置された2つの発光部44と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に配置された1つの発光部44とは、基体42の一方向(矢印Z方向)から見て重ならない。
【0069】
また、
図2及び
図4に示されるように、露光装置40は、3つの発光部44にそれぞれ電気的に接続されるハーネス46と、ハーネス46を支持する複数のブラケット48と、ハーネス46及びブラケット48を外側から覆う下部カバー50と、を備えている。ブラケット48は、基体42に取り付けられており、基体42から矢印Y方向の他方側(
図2では、上下方向の下側)に延びている。下部カバー50は、基体42の矢印Y方向の他方側(
図2では、上下方向の下側)に取り付けられる。
【0070】
また、
図2及び
図3に示されるように、露光装置40は、3つの発光部44の側方を覆う側部カバー52を備えている。側部カバー52は、板状であり、下端部側が基体42の短手方向(矢印X方向)の両側に取り付けられる。また、露光装置40は、発光部44の後述するレンズ部68を清掃する清掃装置54を備えている。
【0071】
さらに、露光装置40は、
図5~
図8に示されるように、基体42と発光部44との間に挟まれる複数のスペーサ56と、複数のスペーサ56が介在された状態で発光部44を基体42に固定する固定手段の一例としての締結部材58と、を備えている。締結部材58は、例えば、らせん状の溝を有し、この溝によって締結する部材である。言い換えるとネジ機構を有する部材であり、例えば、ネジ、ボルト、ビスなどである。
【0072】
なお、図示を省略するが、基体42の一方向(矢印Z方向)の両端部には、上下方向上側に延びた位置決めシャフトが設けられている。位置決めシャフトは、感光体ドラム32の両端に設けられたベアリング部材に接触することで、感光体ドラム32に対して露光装置40を照射方向に位置決めする。
【0073】
(基体42)
図5~
図8に示されるように、基体42は、直方体状の細長い部材で構成されている。基体42は、感光体ドラム32(
図1)の軸方向の全長と対向する位置に配置されている。基体42の上下方向(矢印Y方向)上側の表面42Aには、スペーサ56が入る凹部80が設けられている。一例として、1つの発光部44に対し、一方向(矢印Z方向)に間隔をおいて3つのスペーサ56が配置されている。すなわち、3つの発光部44に対して、それぞれ3つのスペーサ56(全部で9つのスペーサ56)が配置されている。このため、基体42には、9つのスペーサ56が入る9つの凹部80が設けられている。
【0074】
本実施形態では、基体42の一方向(矢印Z方向)の両端部側であって、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側の2つの発光部44と対向する位置に、それぞれ3つの凹部80が配置されている。また、基体42の一方向(矢印Z方向)の中央部であって、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側の1つの発光部44と対向する位置に、3つの凹部80が配置されている。基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に配置された6つの凹部80と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に配置された3つの凹部80とは、基体42の短手方向(矢印X方向)において左右対称とされている。
【0075】
凹部80は、底面を構成すると共に基体42の表面42Aに対して傾斜する傾斜面80Aと、傾斜面80Aの下り方向の端部に配置された縦壁80Bと、傾斜面80Aに沿って形成されると共に対向配置される2つの縦壁80Cと、を備えている(
図9参照)。なお、
図9では、一方の縦壁80Cのみが見えている。傾斜面80Aは、基体42の短手方向(矢印X方向)に傾斜している。傾斜面80Aの下り方向の端部は、縦壁80Bと繋がっており、傾斜面80Aの上り方向の端部は、基体42の表面42Aに繋がっている。すなわち、凹部80は、基体42の短手方向の端部側に壁がない。
【0076】
一例として、基体42の短手方向の一方側に配置された2つの発光部44に対する傾斜面80Aと、基体42の短手方向の他方側に配置された1つの発光部44に対する傾斜面80Aとは、逆傾斜である。本実施形態では、傾斜面80Aは、基体42の短手方向(X方向)の端部側から中央部側に向かって下り勾配となるように傾斜している。また、基体42の短手方向の一方側の傾斜面80Aと、基体42の短手方向の他方側の傾斜面80Aとは、基体42の短手方向において左右対称、すなわち基体42の表面42Aに対して同等の角度とされている。露光装置40では、逆傾斜の傾斜面80Aにより、基体42の短手方向の一方側に配置された2つの発光部44と、基体42の短手方向の他方側に配置された1つの発光部44とから、感光体ドラム32(
図1参照)の中心部に向けて光を照射するように調整されている。言い換えると、露光装置40が感光体ドラム32に対して位置決めされた状態で、基体42の短手方向の一方側に配置された発光部44の光軸と、基体42の短手方向の他方側に配置された発光部44との光軸とが、感光体ドラム32の回転中心で交差するように傾斜面80Aが傾斜している。
【0077】
本実施形態では、基体42は、金属ブロックで構成されている。本実施形態における金属ブロックとは、曲げ加工により形状を構成する一般的な板金を含まず、露光装置40の基体として用いられる形状において曲げ加工が実質的にできない厚みを有する金属の塊をいう。一例として、基体42の幅に対する厚みが、10%以上の金属の塊である。さらに言えば、基体42の幅に対する基体42の厚みが20%以上、かつ100%以下の金属の塊で構成されていてもよい。
【0078】
従来の広幅用の画像形成装置は、商業印刷用のフルカラープリンタと比較して高画質が求められない白黒の図面出力用であり、基体として板金が使用されている。一方、本実施の形態の画像形成装置10は商業印刷用のフルカラープリンタであり、高画質であることが求められる。そこで、基体42の撓みによる画質への影響を抑制するために、板金よりも剛性の高い金属ブロックを使用している。
【0079】
また、基体42は、例えば、鉄鋼又はステンレス鋼で構成されている。ここで、基体42は、鉄鋼又はステンレス鋼以外の金属ブロックで構成してもよい。例えば、鉄鋼又はステンレス鋼よりも熱伝導率が高く、かつ軽量なアルミニウムを使用してもよい。ただし、本実施形態においては、光源64での発熱は主に支持体60によって放熱される。よって、基体42では、熱伝導率や重量よりも剛性を優先し、鉄鋼又はステンレス鋼を使用している。
【0080】
凹部80は、基体42を切削加工することによって形成されており、傾斜面80Aは切削面とされている。従来の板金による基体では曲げ加工により傾斜面を形成するが、本実施の形態の金属ブロックでは切削により傾斜面80Aを形成している。切削による傾斜面80Aであるため、板金の場合と比較し高い面精度が確保され、これにより板金の場合よりも高画質を達成しやすい構成となっている。また、傾斜面80Aの面精度は、基体42の表面42Aの面精度よりも高い。ここで、面精度とは、加工した面の理想面に対する形状誤差のことをいう。
【0081】
また、基体42の上下方向(矢印Y方向)の厚みは、発光部44を構成する支持体60の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、基体42の剛性(矢印Y方向の曲げ剛性)が発光部44の剛性よりも大きくなる。基体42の上下方向(矢印Y方向)の厚みは、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましい。
【0082】
図7及び
図8に示されるように、基体42の表面42Aと反対側の裏面42Bには、スペーサ56の側、すなわち凹部80の側に向かって切り欠かれた凹状部82が形成されている。ここで、基体42の裏面42Bは、スペーサ56とは逆側の面の一例である。凹状部82は、基体42の凹部80と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0083】
凹状部82は、基体42の裏面42Bから基体42の短手方向(X方向)の中央部側に向かって斜め方向に形成されている。一例として、凹状部82の底面82Aと、傾斜面80Aとは、基体42の表面42Aに対する傾斜角度が揃っている。すなわち、基体42の上下方向における底面82Aの厚みが同等とされている。例えば、凹状部82は、基体42の裏面42Bから見て円形状とされている。凹状部82の内径は、締結部材58の頭部58Aの外形よりも大きい。凹状部82の底面82Aには、締結部材58の軸部58Bが基体42を貫通する貫通孔84が設けられている。貫通孔84は、凹部80の傾斜面80Aに開口している。
【0084】
(発光部44)
3つの発光部44は、上記のように同じ構成とされている。一例として、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側の2つの発光部44と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側の1つの発光部44は、基体42の短手方向(矢印X方向)において、対称となるように配置されている。
【0085】
発光部44は、
図7及び
図8に示されるように、一方向(矢印Z方向)に延びる支持体60と、支持体60の上下方向(矢印Y方向)の基体42の逆側の面(本実施形態では、上下方向上側の面)に支持された発光素子基板62と、を備えている。発光素子基板62には、一方向に沿って配置される複数の光源64が設けられている。本実施形態では、光源64は、例えば、複数の発光素子を含んで構成されている。一例として、光源64は、半導体基板と、この半導体基板上に一方向に沿って形成された複数の発光素子を有する発光素子アレイである。本実施の形態では、光源64である発光素子アレイが発光素子基板62上に一方向に沿って千鳥状に配置されている。なお、光源64は発光素子アレイではなく、単一の発光素子であってもよい。また、個々の発光素子は、発光ダイオード、発光サイリスタ、およびレーザ素子などで構成され、一方向に沿って配置された状態で、一例として、2400dpiの解像度を有している。発光素子基板62は、複数の光源64のいずれか1つ以上を発光させるための基板である。
図7では、発光部44に設けられた1つの光源64のみが図示されており、他の光源の図示を省略している。
【0086】
また、発光部44は、発光素子基板62の支持体60とは逆側の面に設けられた一対の取付部66と、一対の取付部66の上端部の間に挟まれた状態で保持されるレンズ部68と、を備えている。
【0087】
一対の取付部66及びレンズ部68は、支持体60の一方向(矢印Z方向)に沿って延びている(
図4等参照)。レンズ部68は、複数の光源64と対向する位置に配置されており、レンズ部68と複数の光源64との間は、空間とされている。露光装置40では、複数の光源64から出射された光がレンズ部68を通過し、照射対象物である感光体ドラム32(
図1参照)の表面に照射される。
【0088】
また、発光部44は、取付具70を介して支持体60に取り付けられる駆動基板72を備えている。言い換えると、取付具70により、支持体60と駆動基板72との間には、隙間が形成されている。駆動基板72は、発光部44を駆動させるための基板であり、例えば、ASIC基板(特定用途向け集積回路、ASIC:application specific integrated circuit )などが用いられる。
【0089】
支持体60は、直方体状の部材で構成されている。本実施形態では、支持体60は、基体42と同様に、金属ブロックで構成されている。例えば、支持体60は、鉄鋼又はステンレス鋼で構成されている。ここで、基体42は、鉄鋼又はステンレス鋼以外の金属ブロックで構成してもよい。例えば、鉄鋼又はステンレス鋼よりも熱伝導率が高く、かつ軽量なアルミニウムの金属ブロックであってもよい。ただし、基体42と支持体60とで熱膨張係数が異なると、歪みや撓みが発生しうる。よって、歪みや撓みを抑制する観点からは、基体42と支持体60とは同じ材料で構成されていることが好ましい。
【0090】
支持体60の基体42側の面には、締結部材58の軸部58Bが締め付けられるねじ穴74が形成されている。ねじ穴74は、基体42の貫通孔84と対向する位置に設けられている。
【0091】
基体42の凹状部82の内部に締結部材58が挿入され、締結部材58の軸部58Bが基体42の貫通孔84を貫通した状態で、スペーサ56を介して締結部材58の軸部58Bが支持体60のねじ穴74に締結されている。これにより、発光部44は、基体42の凹状部82の内部から締結部材58により基体42に固定されている。発光部44が締結部材58により基体42に固定された状態で、基体42と支持体60との間には、スペーサ56が介在されている。
【0092】
ここで、締結部材58を用いて、支持体60の表側(出射面側)から基体42の表側に対して固定する方法が考えられる。しかしながら、本実施の形態の支持体60は、樹脂材料の支持体や板金構成された支持体と異なり、質量の重い金属ブロックで構成されている。よって、締結部材58の大きさも質量に見合った大きさの締結部材が必要となる。この場合、支持体60の表側に、サイズの大きい締結部材58用のスペースが必要となり、支持体60のサイズが大きくなってしまう。そこで、本実施の形態では、支持体60の裏面側から締結する構成となっている。
【0093】
また、締結部材58を支持体60の両端側だけでなく中央部側にも設ける構成では、中央部側には光源64が存在するため、支持体60の表側から締結する構成を取り難い。そこで、基体42の裏側から締結する構成とすることで、支持体60の両端側および中央部側を締結する構成において、基体42の裏側からのみの締結で済むようになっている。
【0094】
なお、ねじ穴74と基体42の凹状部82は、光源64の光軸方向から見た場合に、光源64と重なる位置に設けられている。この構成により、光源64と重ならない位置に設けられている場合と比較し、光源64による発熱が締結部材58を介して基体42側に逃げやすくなっている。
【0095】
(スペーサ56)
図5~
図8に示されるように、スペーサ56は、基体42と発光部44との間に光源64の光軸方向に挟まれている。一例として、スペーサ56は、板状であり、1つの部材(すなわち単一の部材)で構成されている。スペーサ56は、基体42の凹部80の傾斜面80Aに配置されている(
図10参照)。スペーサ56が傾斜面80Aに配置された位置において、スペーサ56の厚みは、凹部80の深さ以上の厚みとされている(
図7参照)。締結部材58は、スペーサ56に圧縮荷重がかかる態様で発光部44を基体42に固定している。
【0096】
スペーサ56は、ポリアセタール樹脂(POM)よりも熱伝導率が高い材料で構成されている。ポリアセタール樹脂よりも熱伝導率が高い材料として、例えば、金属又はセラミックなどが挙げられる。ポリアセタール樹脂の熱伝導率は、0.25W/m・Kである。セラミックの一例としての炭化ケイ素(SiC)の熱伝導率は、60W/m・Kであり、金属の一例としての炭素鋼の熱伝導率は、41W/m・Kである。ここで、熱伝導率は、JIS R1611-1997に基づいて測定された値である。本実施形態では、スペーサ56は、鉄鋼又はステンレス鋼で構成されている。これにより、スペーサ56は、発光部44の支持体60から基体42に向かう放熱経路を形成する。露光装置40では、発光部44の発光素子基板62や駆動基板72からの熱は、支持体60からスペーサ56を介して基体42に放熱される。このため、スペーサ56は、支持体60から熱がスペーサ56を介して基体42に放熱される際の放熱経路の一部となる。
【0097】
一例として、スペーサ56は、光源64の光軸方向から見てU字状とされている。本実施形態では、スペーサ56は、矩形状の板状部56Aと、板状部56Aの一辺側から切り欠かれた窪み部56Bと、を備えている。スペーサ56は、基体42の凹部80の傾斜面80Aに配置された状態で、窪み部56Bが貫通孔84の周囲の一部(例えば、貫通孔84の半円の部位)を囲んでいる(
図10参照)。一例として、スペーサ56は、窪み部56Bの開口側が傾斜面80Aの下り勾配を向く方向、すなわち基体42の短手方向(矢印X方向)の内側を向く方向に配置される。
【0098】
スペーサ56の窪み部56Bの内径は、締結部材58の軸部58Bの外径よりも大きい。これにより、締結部材58の軸部58Bは、スペーサ56の窪み部56Bを貫通する(
図11参照)。スペーサ56は、支持体60のねじ穴74(
図7参照)に対して締結部材58を緩めた状態で、基体42と支持体60との間に挿抜可能とされている。本実施形態では、スペーサ56の窪み部56Bが基体42の短手方向(矢印X方向)の内側に向けて開口しているため(
図6参照)、スペーサ56を基体42の短手方向(矢印X方向)の外側から挿抜することができる。
【0099】
例えば、スペーサ56は、初期の組付け時には、基体42の凹部80の上側から配置される。また、発光部44の光の結像位置を調整する際に、スペーサ56を取り替える場合は、支持体60のねじ穴74(
図7参照)に対して締結部材58を緩めた状態で、基体42と支持体60との間から傾斜面80Aの傾斜方向にスペーサ56が挿抜される。
【0100】
スペーサ56は、上記のように、1つの発光部44に対し、基体42の一方向(矢印Z方向)に離れて3つ配置されている。本実施形態では、1つの発光部44において、スペーサ56は、支持体60の一方向の両端部に配置されると共に、支持体60の一方向の中央部に配置されている(
図5参照)。ここで、支持体60の一方向の中央部は、支持体60の長さ方向の1/3の中央部分をいう。支持体60の一方向の両端部は、支持体60の長さ方向の1/3の両側部分をいう。1つの発光部44に対して配置される3つのスペーサ56は、基体42の一方向(矢印Z方向)の位置により厚みを調整してもよい。3つのスペーサ56の厚みを調整することで、基体42の一方向(矢印Z方向)の位置に応じて発光部44の光の結像位置を調整することができる。
【0101】
例えば、1つの発光部44に対し、基体42の一方向(矢印Z方向)に1つのスペーサ56を配置した構成では、一次元の上下方向(矢印Y方向)に発光部44からの光の結像位置が調整される。また、例えば、1つの発光部44に対し、基体42の一方向(矢印Z方向)に間隔をおいて2つのスペーサ56を配置した構成では、二次元のY-Z面の直線で発光部44からの光の結像位置が調整される。言い換えると、2つのスペーサ56の厚みの差を利用して、支持体60の傾きが調整されることで、光の結像位置が調整される。る。また、本実施形態の露光装置40のように、1つの発光部44に対し、基体42の一方向(矢印Z方向)に間隔をおいて3つのスペーサ56を配置した構成では、二次元のY-Z面の曲線で発光部44からの光の結像位置が調整される。言い換えると、3つのスペーサ56の厚みの差を利用して、支持体60の形状が曲線状に調整されることで、光の結像位置が調整される。
【0102】
ここで、支持体60が仮に樹脂材料で構成されている場合は、金属と比較し剛性が低いため、支持体60の形状を曲線状に調整しやすい。一方、本実施の形態のように、支持体60が金属ブロックの場合、樹脂材料と比較し非常に剛性が高いため、支持体60が撓みにくく、形状を曲線状に調整しにくい。しかしながら、商業印刷用のフルカラープリンタにおいては、わずかな結像位置の差が画質として問題となりうる。よって、形状を曲線状に調整しにくい金属ブロックであっても、3つのスペーサ56の厚みの差を利用して、調整することが好ましい。なお、スペーサ56の数は4つ以上であってもよい。
【0103】
また、スペーサ56は、光源64の光軸方向から見た場合に、光源64と重なる位置に設けられている。この構成により、光源64と重ならない位置に設けられている場合と比較し、光源64による発熱がスペーサ56を介して基体42側に逃げやすくなっている。なお、全てのスペーサ56が光源64と重なる位置に設けられている必要はないが、全てが重なる位置に設けられていれば、1つのスペーサ56のみが重なる位置に設けられている構成と比較し、より放熱効果が高まる。
【0104】
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0105】
露光装置40には、一方向(矢印Z方向)に延びる基体42と、一方向に延びる金属ブロックより成る支持体60に、一方向に沿って配置される複数の光源64(
図7参照)が支持された発光部44とが設けられている。また、露光装置40には、基体42と発光部44との間に光源64の光軸方向に挟まれるスペーサ56が設けられている(
図7参照)。さらに、露光装置40では、スペーサ56に圧縮荷重がかかる態様で締結部材58により発光部44が基体42に固定されている。
【0106】
上記の露光装置40では、基体42が感光体ドラム32の軸方向の全長に渡って配置されている。また、3つの発光部44は、基体42の一方向にずれて配置されており、3つの発光部44のいずれか1つ以上が感光体ドラム32の軸方向における感光体が設けられた領域に対向している。露光装置40では、発光部44からの光が感光体ドラム32に照射されることで、感光体ドラム32の感光体が設けられた領域に静電潜像が形成される。
【0107】
ここで、
図13を用いて、第1比較例の発光装置200について説明する。
【0108】
図13に示されるように、発光装置200では、基体202上に発光部204が直接接触した状態で、発光部204が基体202に固定されている。発光部204の基体202への固定は、接着により固定してもよいし、図示しない締結部材を用いて固定してもよい。
【0109】
発光装置200では、基体202上に発光部204が直接接触しているため、発光部204の駆動時に駆動基板(図示省略)などが発熱しても、発光部204から基体202への放熱は良好となる。しかし、発光装置200では、基体202上に発光部204が直接接触しているため、発光部204の底面または基体202の表面の面精度によっては、基体202の長手方向(矢印Z方向)の位置により、発光部204の焦点ばらつきが発生する場合がある。ここで、焦点ばらつきとは、発光装置の長手方向における発光部の焦点のばらつきをいい、基体などの機械部品のばらつき又はレンズ部などの機能部品のばらつきに起因した焦点のばらつき、並びに自重又は熱による変形に起因した経時的な焦点のばらつきなどをいう。
【0110】
これに対して、本実施形態の露光装置40では、基体42と発光部44との間に光源64の光軸方向に挟まれるスペーサ56が設けられており、スペーサ56に圧縮荷重がかかる態様で締結部材58により発光部44が基体42に固定されている。
【0111】
これにより、露光装置40では、スペーサ56により、基体42の一方向(Z方向)における発光部44(すなわち複数の光源64)の位置を調整でき、複数の光源64による結像位置を調整することができる。このため、露光装置40では、発光部が基体に直接接触する態様で発光部が基体に固定される場合と比較して、発光部44の一方向の位置による焦点ばらつきが抑制される。
【0112】
また、露光装置40では、スペーサ56は、発光部44の一方向に離れて3つ配置されている。露光装置40では、発光部の1箇所にスペーサが配置されている場合と比較して、基体42に対して発光部44の傾きを調整することが可能である。
【0113】
また、露光装置40では、スペーサが支持体の中央部側に配置されている場合と比較して、発光部44の傾きの調整精度が高くなる。
【0114】
また、露光装置40では、スペーサが発光部の一方向に離れて2つ配置されている場合と比較して、発光部44を湾曲状に調整、すなわち3次元で調整することが可能となる。
【0115】
また、露光装置40では、複数の発光部44が、スペーサ56を基体42との間に挟んだ状態で、締結部材58によって基体42に固定されている。このため、露光装置40では、基体上に複数の発光部が設けられた構成において、複数の発光部44間の焦点ばらつきが抑制される。
【0116】
また、露光装置40では、複数の発光部44は、基体42の一方向にずれて配置されている。このため、露光装置40では、基体上に複数の発光部を並列に配置した場合と比較して、基体42の一方向の長い範囲に光を照射することができる。
【0117】
ここで、
図14を用いて、第2比較例の発光装置210について説明する。
【0118】
図14に示されるように、発光装置210では、基体212の上下方向上側に発光部214が締結ボルト216により固定されており、基体212と発光部214との間には、締結ボルト216の軸部216Bの周囲に配置されたコイルばね218が介在されている。基体212は、ブロック状部材212Aで構成されており、ブロック状部材212Aには、上下方向(矢印Y方向)に沿って、締結ボルト216の軸部216Bが貫通する貫通孔212Bが形成されている。発光部214の底面214Aには、締結ボルト216の軸部216Bが締結されるねじ穴214Bが形成されている。
【0119】
発光装置210では、基体212の上下方向下側から締結ボルト216の軸部216Bが貫通孔212Bに挿通される。そして、基体212の上下方向上側に突出した軸部216Bの周囲に、軸部216Bの突出長さよりも軸方向の長さが長いコイルばね218が配置される。さらに、締結ボルト216の軸部216Bを発光部214のねじ穴214Bに締め付け、頭部216Bを基体212の下面に接触させる。このとき、コイルばね218は圧縮した状態となる。なお、発光装置210の構成は、請求項1に係る発明の範囲に含まれている。
【0120】
上記の発光装置210では、コイルばね218の圧縮力を調整することで、基体212の長手方向(Z方向)における発光部214の光の結像位置の調整が可能となる。しかし、発光装置210では、発光部214から基体212への放熱経路が締結ボルト216とコイルばね218だけであるため、発光部214から基体212への放熱効果が低くなる。
【0121】
これに対して、本実施形態の露光装置40では、基体42と発光部44との間に、板状のスペーサ56が挟まれている。板状のスペーサ56により、スペーサ56と基体42との接触面積、及びスペーサ56と発光部44との接触面積が大きくなる。このため、露光装置40では、スペーサがコイルばねである場合と比較して、発光部44から基体42への放熱が容易となる。
【0122】
また、露光装置40では、スペーサ56を貫通する締結部材58が設けられている。このため、露光装置40では、スペーサを締結部材とは別の位置に設ける場合と比較して、スペーサ56の取付部のコンパクト化が可能である。
【0123】
また、露光装置40では、スペーサ56は、締結部材58を緩めた状態で、基体42と支持体60との間に挿抜可能とされている。このため、露光装置40では、スペーサを挿抜する際に発光部を基体から取り外す場合と比較して、焦点ばらつきの調整作業が容易である。
【0124】
また、露光装置40では、スペーサ56は、光源64の光軸方向から見てU字状とされている。このため、露光装置40では、スペーサが分割タイプの場合と比較して、スペーサ56の構成がシンプルとなる。また、スペーサ56が1つの部材で構成されているため、スペーサが分割タイプの場合と比較して、取り扱いが容易となる。
【0125】
また、露光装置40では、基体42には、スペーサ56が入る凹部80が設けられ、凹部80の底面を構成する傾斜面80Aは切削面とされている。このため、露光装置40では、基体の外側の表面にスペーサを配置する場合と比較して、発光部44の焦点ばらつきの調整精度が向上する。また、露光装置40では、基体42の凹部を金型などによって形成する場合と比較して、基体42に凹部80を形成しやすい。
【0126】
また、露光装置40では、基体42には、スペーサ56が入る凹部80が設けられ、凹部80は、基体42の短手方向の少なくとも一方に壁がない。このため、露光装置40では、凹部の周囲に壁がある場合と比較して、スペーサ56の挿抜が容易となる。
【0127】
また、露光装置40では、基体42には、スペーサ56が入る凹部が設けられ、凹部80の底面は、基体42の表面42Aに対して傾斜する傾斜面80Aである。そして、傾斜面80Aの傾斜角度は、露光装置40が感光体ドラム32に対して位置決めされた状態で、光軸が感光体ドラム32の回転中心に向かう角度である。このため、凹部の底面が基体の表面と平行である場合と比較して、発光部44からの光が感光体ドラム32の表面に垂直に当たるようになる。これにより、例えば、感光体ドラム32の表面での光の照射形状に歪みが生じにくくなる。また、基体42が基体42の短手方向にずれた場合であっても、感光体ドラム32の表面までの距離の変動が抑制される。更に、光源64を千鳥状に配置された発光素子アレイで構成する場合では、発光部44の短手方向にずれて配置された発光素子アレイそれぞれから感光体ドラム32の表面までの距離に差が生じにくい。
【0128】
また、露光装置40では、複数の発光部44は、基体42の短手方向(X方向)にずれて配置されており、短手方向の一方側に配置された発光部44に対する傾斜面80Aと、短手方向の他方側に配置された発光部44に対する傾斜面80Aとが逆傾斜である。このため、露光装置40では、複数の発光部に対して傾斜面の傾斜方向が同じ場合と比較して、基体42の短手方向にずれて配置された場合であっても複数の発光部44からの光が感光体ドラム32の表面にそれぞれ垂直に当たるようになる。これにより、例えば、感光体ドラム32の表面での光の照射形状に歪みが生じにくくなる。また、基体42が基体42の短手方向にずれた場合であっても、感光体ドラム32の表面までの距離の変動が抑制される。更に、光源64を千鳥状に配置された発光素子アレイで構成する場合では、発光部44の短手方向にずれて配置された発光素子アレイそれぞれから感光体ドラム32の表面までの距離に差が生じにくい。
【0129】
また、露光装置40では、基体42の傾斜面80Aに、凹部80の深さ以上の厚みのスペーサ56が配置されている。このため、露光装置40では、凹部の深さよりも厚みが小さいスペーサを配置する場合と比較して、基体42の表面42Aと発光部44との干渉が抑制される。
【0130】
また、露光装置40では、基体42は、金属ブロックで構成されており、スペーサ56は、樹脂よりも熱伝導率が高い材料で構成されている。このため、露光装置40では、基体又はスペーサが樹脂で構成されている場合と比較して、発光部44からスペーサ56及び基体42への放熱が良好となる。
【0131】
また、露光装置40では、スペーサ56は、支持体60から基体42に向かう放熱経路を形成する。このため、露光装置40では、スペーサが断熱部により構成されている場合と比較して、発光部44からのスペーサ56及び基体42への放熱が良好となる。
【0132】
また、露光装置40では、基体42のスペーサ56とは逆側の裏面42Bに、スペーサ56の側に向かって切り欠いた凹状部82を備え、凹状部82の内部から締結部材58により発光部44が基体42に固定されている。このため、露光装置40では、基体の板状部で締結部材により発光部を固定する場合と比較して、基体42全体の厚みを薄くすることなく、短い長さの締結部材58で固定できる。
【0133】
また、露光装置40を備えた画像形成装置10では、露光装置40と、露光装置40に対して一方向(Z方向)と交差する方向に相対的に移動し、露光装置40からの光が照射される感光体ドラム32とが設けられている。感光体ドラム32の表面には、感光材が配置される領域が設けられている。このため、画像形成装置10では、発光部が基体に直接接触する態様で発光部が基体に固定される場合と比較して、感光体ドラム32に像光を照射する際の画質の低下が抑制される。
【0134】
また、露光装置40を備えた画像形成装置10では、感光材が配置される領域は、周方向に回転する円筒状部材である感光体ドラム32の表面に設けられている。このため、画像形成装置10では、円筒状部材の表面の領域に光が照射される構成において、像光を照射する際の画質の低下が抑制される。
【0135】
〔第2実施形態〕
図12には、第2実施形態に係る発光装置152を備えた描画装置150が示されている。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0136】
図12に示されるように、描画装置150は、発光装置152と、発光装置152の長手方向に沿って配置されると共に周方向に回転する円筒状部材154と、を備えている。
【0137】
発光装置152は、第1実施形態の露光装置40と同じ構成とされている。より具体的には、発光装置152は、一方向(矢印Z方向)に延びる基体42と、3つの発光部44と、基体42と発光部44との間に挟まれるスペーサ56と、を備えている。発光装置152には、第1実施形態の露光装置40と同様に、スペーサ56に圧縮荷重がかかる態様で発光部44を基体42に固定する締結部材(図示省略)などが設けられている。
【0138】
円筒状部材154は、円筒部154Aと、円筒部154Aの両側に延びた軸部154Bと、を備えている。軸部154Bは、図示しないフレームに回転可能に支持されており、軸部154Bの回転により、円筒部154Aが周方向に回転する。
【0139】
円筒部154Aの表面には、基板156が取り付けられている。基板156の表面には、感光材が配置された領域156Aが設けられている。基板156は、一例として、オフセット印刷の製版工程で使用されるコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)用のプレートである。また、感光材が配置された領域156Aは、一例として、フォトレジストなどの感光材が塗布された領域である。
【0140】
描画装置150では、円筒状部材154を回転させながら、発光装置152から、基板156の感光材が配置された領域156Aに予め定められたパターンの光が照射される。これにより、基板156の感光材が配置された領域156Aが定められたパターンに描画される。その後、基板156を現像することで、オフセット印刷装置で使用される刷版が作成される。なお、この場合の描画装置150の光源としては、一例として、レーザ素子を使用することができる。
【0141】
上記の発光装置152では、第1実施形態の露光装置40と同じ構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0142】
上記の発光装置152では、第1実施形態の露光装置40と同様に、基体42と、3つの発光部44と、基体42と発光部44との間に挟まれるスペーサ56と、発光部44を基体42に固定する締結部材(図示省略)とが設けられている。このため、発光装置152を備えた描画装置150では、発光部が基体に直接接触する態様で発光部が基体に固定される場合と比較して、描画の際の画質の低下が抑制される。
【0143】
上記の発光装置152を備えた描画装置150では、円筒状部材154の表面の基板156の感光材が配置された領域156Aに光が照射される構成において、描画の際の画質の低下が抑制される。
【0144】
〔補足説明〕
第1実施形態の露光装置40及び第2実施形態の発光装置152は、基体42に3つの発光部44が配置されていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、基体に1つの発光部が配置されるもの、基体に2つの発光部が配置されるもの、又は基体に4つ以上の発光部が配置されるものでもよい。また、基体に配置される複数の発光部の位置も適宜に設定可能である。
【0145】
また、第1実施形態の露光装置40及び第2実施形態の発光装置152において、基体42の形状は、変更可能である。また、発光部44の構成部品又は発光部44の構成部品の形状などは、変更可能である。
【0146】
また、第1実施形態の露光装置40及び第2実施形態の発光装置152において、スペーサ56の個数、形状などは、変更可能である。例えば、スペーサは、1つの発光部に対して、1つ配置する構成でもよいし、基体の一方向に離れて少なくとも2つ以上配置する構成でもよい。例えば、1つの発光部に対して、2つのスペーサを配置する場合は、発光部の支持体の一方向の両端部にスペーサを配置することが好ましい。また、スペーサは、板状に限定するものではなく、例えば、ブロック状でもよい。また、スペーサは、1部材でなくてもよく、2以上に分割されたものでもよい。
【0147】
また、第1実施形態の露光装置40及び第2実施形態の発光装置152において、基体42の凹部80を設けずに、基体の表面にスペーサを配置する構成でもよい。また、傾斜面を設けずに、凹部の平面状の底面にスペーサを配置する構成でもよい。また、凹部に傾斜面を設ける場合でも、基体の短手方向において両側の傾斜面を逆傾斜とせずに、同等の方向に傾斜する構成でもよい。また、凹部に傾斜面を設ける場合でも、傾斜面の周囲に壁がある構成でもよい。また、スペーサと、締結部材などの固定手段とを離れた位置に設けてもよい。
【0148】
第2実施形態の描画装置150では、円筒状部材154の円筒部154Aに取り付けられた基板156に、発光装置152から光を照射したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、基板を平板状のテーブルに配置し、発光装置152とテーブルを発光装置152の一方向と交差する方向に相対的に移動させて、発光装置152から基板に光を照射する構成でもよい。
【0149】
また、第2実施形態の描画装置150では、基板156は、オフセット印刷の製版工程で使用されるCTP用のプレートであり、発光装置152から基板156の感光材が配置された領域156Aに光を照射したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、上記の発光装置及び描画装置は、プリント配線基板(PWB:printed wiring board)を製造する際の露光に用いることができる。例えば、フォトレジストなどの感光材が塗布された基板に対し、フォトマスクを使用せずに直接描画することでプリント配線基板を製造してもよい。使用する基板としては、リジット基板であってもよいしフレキシブル基板であってもよい。フレキシブル基板の場合は、
図12の円筒状部材154に固定した状態で、回転させながら描画してもよい。
【0150】
さらに、上記の発光装置及び描画装置は、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)の製造工程におけるカラーフィルタの形成、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)の製造工程におけるドライフィルムレジスト(DFR)の露光、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)の製造工程におけるドライフィルムレジスト(DFR)の露光、半導体素子の製造工程におけるフォトレジストなどの感光材の露光、オフセット印刷以外のグラビア印刷などの他の印刷の製版工程におけるフォトレジストなどの感光材の露光、又は時計部品の製造工程における感光材の露光など、フォトリソグラフィーが適用される部材の用途に用いることができる。ここで、フォトリソグラフィーとは、感光材が配置された物質の表面を、パターン状に露光することで、露光された部分と露光されていない部分とからなるパターンを生成する技術をいう。
【0151】
また、上記の発光装置及び描画装置は、露光により直接情報が記録されるフォトンモード感光材、露光により発生した熱で情報が記録されるヒートモード感光材のいずれも使用することができる。また、描画装置150の光源としては、露光対象に応じて、LED素子やレーザ素子を使用することができる。
【0152】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0153】
10 画像形成装置(描画装置の一例)
32 感光体ドラム(円筒状部材の一例、感光材が配置される領域の一例)
40 露光装置(発光装置の一例)
42 基体
42A 表面
42B 裏面
44 発光部
56 スペーサ
58 締結部材(固定手段の一例)
60 支持体
64 光源
80 凹部
80A 傾斜面
82 凹状部
82A 底面
150 描画装置
152 発光装置
154 円筒状部材
156A 感光材が配置された領域