(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】収納ケース
(51)【国際特許分類】
E05B 65/52 20060101AFI20240109BHJP
A45C 13/10 20060101ALI20240109BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20240109BHJP
A45C 5/14 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E05B65/52 P
A45C13/10 N
A45C11/00 M
A45C5/14 A
(21)【出願番号】P 2020058061
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】塩坂 拓
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実公昭61-022786(JP,Y2)
【文献】米国特許第03078896(US,A)
【文献】特開平09-051174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/52
A45C 13/10
A45C 11/00
A45C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体にケースカバーが開閉可能に連結された収納ケースであって、
前記ケース本体に前記ケースカバーを固定するラッチ機構と、
前記ケース本体に揺動可能に連結されたハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、ケース幅方向に延びる揺動軸を支点に揺動する
一対の支持アームと、前記
一対の支持アームからケース幅方向の内側に延びるグリップと、を有し、
前記グリップが前記一対の支持アームを連ねて、前記ハンドルが平面視U字状に形成されており、
前記ケース本体又は前記ケースカバーのいずれか一方に、前記ラッチ機構の掛け具としてラッチアームが設けられ、
前記ケース本体又は前記ケースカバーのいずれか他方に、前記ラッチ機構の受け具としてアーム受け部が設けられ、
前記ラッチアームはケース幅方向に延びる前記ラッチ機構の揺動軸を支点に揺動し、前記ラッチアームの先端側に前記アーム受け部に掛け止めされるフックが形成され、前記ラッチアームの基端側に把持部が形成され、
前記ハンドルを倒したときに、
前記一対の支持アームの内側に前記把持部が位置することを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
前記ハンドルは前記ラッチ機構と同一面に揺動可能に連結されていることを特徴とする請求項
1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記ハンドルの揺動軸及び前記ラッチ機構の揺動軸が同じ揺動ピンによって形成されていることを特徴とする
請求項2に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記揺動ピンが回り止めされていることを特徴とする
請求項3に記載の収納ケース。
【請求項5】
平面視において前記ハンドルを倒したときに、前記把持部が前記ラッチ機構の揺動軸に対して前記グリップと同じ側に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
収納ケースとして、いわゆるドローラッチ機構(パッチン錠)によって閉状態を維持するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の収納ケースは、ケース本体に対してケースカバーが開閉可能に連結されており、ケース本体とケースカバーによって収納空間が形成されている。ケース本体の前面には一対の掛け金具が設けられ、ケースカバーの前面には一対の受け金具が設けられており、受け金具に掛け金具が引っ掛けられた状態で、掛け金具のロックレバーを押し下げることでケースカバーが閉じた状態でロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の収納ケースにはハンドルが設けられ、このハンドルを挟んでケース幅方向に離間した2カ所に一対の掛け金具と一対の受け金具が設けられている。このため、収納ケースにドローラッチ機構が2つ必要になって部品点数が増加すると共に、ドローラッチ機構及びハンドルの占有面積が大きくなって収納ケースが大型化する。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、部品点数の増加を抑えてケースの小型化を実現することができる収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の収納ケースは、ケース本体にケースカバーが開閉可能に連結された収納ケースであって、前記ケース本体に前記ケースカバーを固定するラッチ機構と、前記ケース本体に揺動可能に連結されたハンドルと、を備え、前記ハンドルは、ケース幅方向に延びる揺動軸を支点に揺動する一対の支持アームと、前記一対の支持アームからケース幅方向の内側に延びるグリップと、を有し、前記グリップが前記一対の支持アームを連ねて、前記ハンドルが平面視U字状に形成されており、前記ケース本体又は前記ケースカバーのいずれか一方に、前記ラッチ機構の掛け具としてラッチアームが設けられ、前記ケース本体又は前記ケースカバーのいずれか他方に、前記ラッチ機構の受け具としてアーム受け部が設けられ、前記ラッチアームはケース幅方向に延びる前記ラッチ機構の揺動軸を支点に揺動し、前記ラッチアームの先端側に前記アーム受け部に掛け止めされるフックが形成され、前記ラッチアームの基端側に把持部が形成され、前記ハンドルを倒したときに、前記一対の支持アームの内側に前記把持部が位置することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の収納ケースによれば、支持アームよりもケース幅方向の内側にラッチ機構の一部が位置するため、ハンドルを倒しても、ハンドルとラッチ機構が干渉することがなく、収納ケースの一面にハンドルとラッチ機構をコンパクトに設置することができる。よって、収納ケースの部品点数が低減されると共に、ハンドル及びラッチ機構の占有スペースを小さくして、収納ケースの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図8】本実施例の収納ケース上部のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の収納ケースは、ケース本体にケースカバーが開閉可能に連結されている。ケース本体にはケースカバーを固定するラッチ機構が設けられ、ケース本体には揺動可能にハンドルが連結されている。ハンドルは、ケース幅方向に延びる揺動軸を支点に揺動する支持アームと、支持アームからケース幅方向の内側に延びるグリップと、を有している。ハンドルを倒したときに、支持アームよりもケース幅方向の内側にラッチ機構の一部が位置するため、ハンドルとラッチ機構が干渉することがなく、収納ケースの一面にハンドルとラッチ機構をコンパクトに設置することができる。よって、収納ケースの部品点数が低減されると共に、ハンドル及びラッチ機構の占有スペースを小さくして、収納ケースの小型化を実現することができる。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例について詳細に説明する。以下の説明では、鞍乗型車両等の車両にサイドケースとして取り付けられる収納ケースについて説明する。ただし、本実施例の収納ケースは、荷台上のリアボックス、キャスター付きのトランクケースや手荷物バッグ等の他の収納ケースに適用することができる。また、以下の図では、矢印FRはケース前方、矢印REはケース後方、矢印Lはケース左方、矢印Rはケース右方をそれぞれ示している。
図1は本実施例の収納ケースの斜視図である。
【0011】
図1に示すように、収納ケース1は、車両側部のケースホルダ10に対して着脱可能に取り付けられる。収納ケース1のケース本体20の前面が開放されており、ケース本体20の下縁にはヒンジを介してケースカバー30が下開き可能に連結されている。ケース本体20とケースカバー30によって荷物の収納空間が形成され、ケース本体20には収納空間に収納された荷物を押さえる中バンド21がX字状に設けられている。収納ケース1の底面四隅には半球状の弾性脚部(不図示)が設けられ、収納ケース1が車両から外された状態でも、収納ケース1を安定した状態で自立させることができる。
【0012】
ケース本体20の上面中央には、収納ケース1を持ち運び可能にするハンドル40が揺動可能に連結されている。ハンドル40の内側には、ケースカバー30が閉まった状態で、ケース本体20にケースカバー30を固定するラッチ機構50が設置されている。また、ケース本体20の上面には、ハンドル40及びラッチ機構50を囲むように上部カバー29が取り付けられている。上部カバー29から施錠機構70(
図6参照)のキーシリンダ71が露出しており、キーシリンダ71の鍵穴に差し込まれたキーによって、ラッチ機構50及びハンドル40の施錠及び開錠が切り替えられる。
【0013】
このような収納ケース1にはコンパクトな構造が求められている。一般的な収納ケースはハンドルとラッチ機構のレイアウトについては十分に考慮されていない。ハンドルとラッチ機構が大きく離れて設置されていると、部品点数が増加すると共に収納ケースの構造が複雑になる場合があり、部品点数や構造の複雑化によって収納ケースの収納容積が圧迫されるおそれがある。そこで、本実施例の収納ケース1では、ハンドル40の内側にラッチアーム51の基端側を収めて、収納ケース1の上部にハンドル40とラッチ機構50をコンパクトに設置している。
【0014】
図2から
図7を参照して、収納ケースの上部構造について説明する。
図2は、本実施例の収納ケースの部分断面図である。
図3は、本実施例の収納ケースの平面図である。
図4は、本実施例の収納ケースの部分平面図である。
図5は、本実施例の収納ケースの部分平面図である。
図6は、本実施例の施錠機構の斜視図である。
図7は、本実施例の施錠状態を示す斜視図である。なお、
図4は収納ケースから上部カバー、ラッチアーム、ハンドルを外した状態を示し、
図5はさらに設置カバーを外した状態を示している。
【0015】
図2から
図4に示すように、ケース本体20のケース上部は、各種機構が設置される設置カバー22によって形成されている。設置カバー22の上部には、上面中央を露出させるように上部カバー29が取り付けられ、設置カバー22の露出部分にはラッチ機構50及びハンドル40が設置されている(特に
図3参照)。設置カバー22の上部にはラッチ機構50の掛け具としてラッチアーム51が設けられ、ケースカバー30の上部にはラッチ機構50の受け具として複数の板状突起から成るアーム受け部35が設けられている。ラッチアーム51は連結アーム61を介して設置カバー22に連結されている。
【0016】
連結アーム61は、左右一対のアーム部を連ねた平面視H状に形成されている(特に
図4参照)。連結アーム61の基端側は第1の揺動ピン63を介して設置カバー22に連結されており、連結アーム61の先端側は第2の揺動ピン64を介してラッチアーム51に連結されている。連結アーム61の基端側にはカム62(特に
図2参照)が形成されており、設置カバー22上には連結アーム61の揺動に反発する側面視アーチ状の反発バネ65が設置されている。連結アーム61が第1の揺動ピン63を支点に揺動して、カム62が反発バネ65に弾接することで、ラッチアーム51を押し上げる起立姿勢とラッチアーム51を引き下ろす倒伏姿勢に連結アーム61が保持される。
【0017】
ラッチアーム51は、連結アーム61の先端側からケースカバー30に向かって延びた幅広の板状に形成されている。ラッチアーム51の基端側には筒状の把持部52が形成されており、把持部52によってラッチアーム51が持ち上げられる。また、ラッチアーム51の基端側は、第2の揺動ピン64に装着されたトーションバネ66(特に
図4参照)によって押し上げ方向(開方向)に押されている。ラッチアーム51の先端側には、側面視C字状に屈曲したフック53が形成されている。フック53が複数のアーム受け部35の先端に掛け止めされることで、ケース本体20に対してケースカバー30が閉状態でロックされる。
【0018】
ケースカバー30の上部には、ラッチアーム51のフック53が入り込むように凹部31が形成されており、凹部31の底面は上下2段の段状に形成されている。凹部31の上段には、平面視櫛歯状の複数のアーム受け部35がケース幅方向(左右方向)に設けられている。各アーム受け部35の先端側には、凹部31の上段から前方に突出した係止爪36が形成されている。各アーム受け部35の上面には、ラッチアーム51のフック53を係止爪36の爪先に向けてガイドする斜面37(特に
図2参照)が形成されている。フック53が斜面37に当たることで、フック53が係止爪36に掛け止めされる係止位置までガイドされる。
【0019】
また、各アーム受け部35の斜面37は、係止爪36よりも基端側の所定位置から爪先までの範囲に亘って形成されている。本実施例では各アーム受け部35の基端から略中間位置までは略水平に形成され、この略中間位置から爪先に向かって各アーム受け部35の厚みが薄くなるように傾斜している。アーム受け部35は平面視細長に形成されており、樹脂成型がし易くなっている。なお、斜面37は、本実施例のように直線的に傾斜してもよいし、凸状に湾曲しながら傾斜してもよいし、凹状に湾曲しながら傾斜してもよい。
【0020】
ハンドル40は、第1の揺動ピン63を支点に揺動する一対の支持アーム41と、一対の支持アーム41を連ねるグリップ42と、によって平面視U字状に形成されている。ハンドル40はラッチアーム51と同一の設置カバー22に揺動可能に連結されており、ハンドル40を倒したときに平面視U字状のハンドル40の内側にラッチアーム51の基端側が収まっている。これにより、設置カバー22上の設置スペースにハンドル40とラッチアーム51がコンパクトに設置される。一対の支持アーム41の基端側は、第1の揺動ピン63に装着された一対のトーションバネ43(特に
図4参照)によって引き込み方向(閉方向)に押されている。
【0021】
第1の揺動ピン63はケース幅方向に延びており、第1の揺動ピン63のケース幅方向の内側には連結アーム61が支持され、第1の揺動ピン63のケース幅方向の外側にはハンドル40が支持されている。連結アーム61とハンドル40に第1の揺動ピン63が兼用されることで、部品点数及びコストが低減されると共に、ラッチ機構50とハンドル40がよりコンパクトに設置される。また、第1の揺動ピン63の一端はL字状に屈曲しており、屈曲部分の先端が設置カバー22上の保持部67に回り止めされている。保持部67によって第1の揺動ピン63の回転が抑えられて、ハンドル40とラッチアーム51の共回りが防止されている。
【0022】
図5から
図7に示すように、設置カバー22の下側のケース部23には、ラッチ機構50及びハンドル40を同時に施錠する施錠機構70が設けられている。施錠機構70は、ケース本体20(ケース部23)に固定されたプレート支持部77に対して、キーシリンダ71に連結されたロックプレート72をケース幅方向(左右方向)にスライドさせている。プレート支持部77は、ケース幅方向を長辺とした上面開放のボックス状に形成されている。プレート支持部77の側壁には、ロックプレート72に点接触又は線接触して、ロックプレート72に対する摺動抵抗を抑えるように凸状部78(特に
図6参照)が形成されている。
【0023】
ロックプレート72は、ケース幅方向に延びた帯状に形成されている。ロックプレート72には、ロックプレート72及びハンドル40を掛け止めする4つの係止片74a-74dが形成されている。一対の係止片74b、74cはケース幅方向の内側でラッチアーム51を掛け止めし、一対の係止片74a、74dはケース幅方向の外側でハンドル40を掛け止めする。ラッチアーム51には一対の係止片74b、74cに掛け止めされる一対のラッチ受け部54が形成され、ハンドル40には一対の係止片74a、74dに掛け止めされる一対のハンドル受け部44が形成されている。
【0024】
一対のラッチ受け部54には一対の係止片74b、74cが入り込む開口が形成されており、一対のハンドル受け部44には一対の係止片74a、74dが入り込む開口が形成されている。設置カバー22には、一対のラッチ受け部54及び一対のハンドル受け部44に対応して4つのスリット24a-24d(
図4参照)が形成されている。一対のラッチ受け部54はケース幅方向の内側のスリット24b、24cを通じて設置カバー22の下側に突出し、一対のハンドル受け部44はケース幅方向の外側のスリット24a、24dを通じて設置カバー22の下側に突出している。
【0025】
ロックプレート72は、キーシリンダ71(
図4参照)に差し込まれたキーの操作によってプレート支持部77上でスライドされる。ロックプレート72が左側にスライドされると、一対のラッチ受け部54及び一対のハンドル受け部44の開口に係止片74a-74dが入り込む。そして、4つの係止片74a-74dの先端は、スリット24a-24dを通り越して設置カバー22の内側面と対向する(不図示)。これにより、ラッチ機構50及びハンドル40が施錠される。ロックプレート72が右側にスライドされると、一対のラッチ受け部54及び一対のハンドル受け部44の開口から係止片74a-74dが抜け出してラッチ機構50及びハンドル40が解錠される。一方のハンドル受け部44の下部には、施錠状態でハンドル40が下りないように誤施錠防止用の突起部45が設けられている。
【0026】
このとき、ラッチ受け部54及びハンドル受け部44がケース幅方向に並んでいるため、ケース幅方向に長い単一のロックプレート72によってラッチ受け部54及びハンドル受け部44が同時に掛け止めされる。ロックプレート72がケース幅方向にスライドされることで、ロックプレート72によってラッチ機構50及びハンドル40が同時に施錠及び解錠される。よって、ラッチ機構50及びハンドル40に施錠機構70が兼用されて施錠機構70の部品点数が低減される。また、ラッチ受け部54とハンドル受け部44が近いため、ロックプレート72を短く形成して施錠機構70の耐久性が向上される。
【0027】
上記したように、収納ケース1は、ケースホルダ10を介して車両に取り付けられている。ケースホルダ10の前面から一対の係止部11(特に
図5参照)が突出しており、各係止部11にはそれぞれ係止穴12が形成されている。設置カバー22の後面から一対の固定フック25(
図4参照)が突出しており、各固定フック25の先端側が下方に向けて屈曲されている。設置カバー22の一対の固定フック25の先端側がケースホルダ10の一対の係止穴12に入り込むことで、ケース幅方向に離間した2カ所でケースホルダ10に対して収納ケース1が着脱可能に掛け止めされる。収納ケース1には庇部28(
図2参照)が形成され、庇部28によって係止部11に対する掛け止め箇所が覆われて意匠性が向上する。
【0028】
また、設置カバー22(
図4参照)の下側のケース部23には、ケースホルダ10に対する掛け止め状態を固定する固定機構80が設けられている。固定機構80は、ケース本体20の内側に収納されたスライダ81と、ケース本体20の外側でスライダ81と一体にスライドするスライドフック86と、を有している。スライダ81は、ケース幅方向を長辺とした角柱状に形成されており、ケース本体20の壁面によってケース幅方向にスライド可能に収納されている。スライダ81の上面には側面視凸状の摘み部88が設けられており、摘み部88は設置カバー22の上面から露出している(
図4参照)。
【0029】
摘み部88の操作によってスライダ81がスライドされ、ケース本体20の後面上のスライドフック86がスライドされる。スライダ81が左側にスライドされると、一対の係止部11からスライドフック86が離間する。スライドフック86による収納ケース1の掛け止め状態の固定が解除されて、収納ケース1がケースホルダ10に着脱可能に掛け止めされる。スライダ81が右側にスライドされると、一対の係止部11にスライドフック86が突き当たる。スライドフック86による収納ケース1の掛け止め状態が固定されて、収納ケース1がケースホルダ10に着脱不能に掛け止めされる。
【0030】
このように、スライダ81は、収納ケース1が着脱可能な着脱位置と収納ケース1が着脱不能な固定位置の間でスライドされている。ハンドル40(
図7参照)のグリップ42には、スライダ81を固定位置に位置決めするための窪み46が形成されている。この場合、ハンドル40を倒したときにグリップ42の真下に摘み部88が位置し、スライダ81が固定位置に位置付けられたときの摘み部88にグリップ42の窪み46が対応している。摘み部88の先端が窪み46に入り込むことで、スライダ81が固定位置に位置決めされて、ハンドル40によってスライダ81が固定位置に保持される。
【0031】
スライダ81が固定位置に位置していないと、グリップ42に摘み部88が干渉してハンドル40を完全に倒すことができない。一対のハンドル受け部44が設置カバー22のスリット24a、24d(
図4参照)に中途半端に入り込んで、一対のハンドル受け部44によって施錠機構70のロックプレート72のスライドが阻害される。このように、施錠機構70は、スライダ81が固定位置に位置付けられたときにのみ、ハンドル40とラッチ機構50が施錠可能になっている。よって、ケースホルダ10に対して収納ケース1が着脱可能な状態ではハンドル40とラッチ機構50が施錠されることがない。
【0032】
一方、スライダ81が固定位置に位置していると、ハンドル40の窪み46に摘み部88が入り込んでハンドル40が完全に倒される。このため、一対のハンドル受け部44によって施錠機構70のロックプレート72のスライドが阻害されることがない。施錠機構70によってラッチ機構50及びハンドル40が施錠されると、ハンドル40によってスライダ81が固定位置に固定されてケースホルダ10から収納ケース1が着脱不能になる。よって、ラッチ機構50及びハンドル40の施錠操作に伴って、施錠機構70によって施錠されたハンドル40によって固定機構80も施錠される。
【0033】
図8を参照して、収納ケース上部のレイアウトについて説明する。
図8は、本実施例の収納ケース上部のレイアウトを示す図である。なお、
図8は、収納ケースの上面から設置カバーを取り外した状態を示している。
【0034】
図8に示すように、ラッチアーム51の基端側は矩形状に形成されており、ラッチアーム51の先端側は基端側よりもケース幅方向に大きく形成されている。ハンドル40は、ラッチアーム51の基端側の外縁に沿った平面視U字状に形成されている。すなわち、ハンドル40の一対の支持アーム41の対向間隔はラッチアーム51の基端側の幅寸法よりも大きく、ハンドル40のグリップ42はラッチアーム51の基端側(把持部52)よりも第1の揺動ピン63から離れている。このように、ハンドル40の内側にラッチアーム51の基端側が収まるため、ハンドル40を倒してもラッチ機構50に干渉することがない。
【0035】
ハンドル40はラッチ機構50と同一面に揺動可能に連結されている。実施例ではさらに、ハンドル40とラッチ機構50の連結アーム61(
図4参照)は、同じ第1の揺動ピン63に支持されている。ハンドル40と連結アーム61に対して個別に揺動ピンを用意する必要がなく、ハンドル40とラッチ機構50をよりコンパクトに設置することができる。第1の揺動ピン63の一端はL字状に屈曲して保持部67(
図4参照)に回り止めされているが、第1の揺動ピン63の他端はストレートに形成されて、第1の揺動ピン63が施錠機構70のキーシリンダ71(
図4参照)に干渉することがない。このように、ケース幅方向においてキーシリンダ71とは逆側に、第1の揺動ピン63の回り止め用の保持部67が設けられている。
【0036】
施錠機構70のロックプレート72は、第1の揺動ピン63と平行に延びており、平面視にてハンドル40及びラッチ機構50に重なるように設置されている。より詳細には、ハンドル40を倒した状態では、ロックプレート72が一対の支持アーム41の揺動軸(第1の揺動ピン63のストレート部分)とグリップ42の間に位置付けられている。ロックプレート72の係止片74a、74d(
図5参照)に対応して一対の支持アーム41の下面に一対のハンドル受け部44が形成され、ロックプレート72の係止片74b、74c(
図5参照)に対応してラッチアーム51の下面に一対のラッチ受け部54が形成されている。
【0037】
ハンドル受け部44とラッチ受け部54の開口の中心が同じ高さに位置付けられるため、ロックプレート72の高さ寸法が抑えられている。また、ハンドル受け部44とラッチ受け部54の開口の中心が平面視にて同じ直線L上に位置付けられるため、この直線Lに直交するロックプレート72の幅寸法が抑えられている。ロックプレート72は平面視長尺状で高さ方向及び幅方向に小さく形成されており、ロックプレート72の占有スペースがケース幅方向に細長くなっている。ロックプレート72の占有スペースの一部はハンドル40及びラッチ機構50の占有スペースに重ねられている。
【0038】
固定機構80のスライダ81は、第1の揺動ピン63と平行に延びており、平面視にてハンドル40に重なるように設置されている。より詳細には、ハンドル40を倒した状態では、スライダ81がグリップ42の真下に位置付けられている。スライダ81は平面視長尺状に形成されており、スライダ81の占有スペースがケース幅方向に細長くなっている。スライダ81はロックプレート72に隣接しており、ハンドル40の下側にはロックプレート72のスライド領域とスライダ81のスライド領域が平行に並んでいる。スライダ81の占有スペースの一部はハンドル40の占有スペースに重ねられている。
【0039】
このように、ハンドル40の内側にラッチ機構50が部分的に収まり、施錠機構70のロックプレート72と固定機構80のスライダ81が平行に隣接している。また、ハンドル40及びラッチ機構50の下側にロックプレート72とスライダ81が位置付けられ、ハンドル40及びラッチ機構50の占有スペースと施錠機構70及び固定機構80の占有スペースが重ねられている。よって、ハンドル40、ラッチ機構50、施錠機構70、固定機構80が互いに干渉することなく、収納ケース1のケース上部にハンドル40、ラッチ機構50、施錠機構70、固定機構80がコンパクトに設置される。
【0040】
以上、本実施例によれば、ハンドル40の内側にラッチ機構50の基端側が収まるため、ハンドル40を倒しても、ハンドル40とラッチ機構50が干渉することがなく、収納ケース1の上面にハンドル40とラッチ機構50をコンパクトに設置することができる。よって、収納ケース1の部品点数が低減されると共に、ハンドル40及びラッチ機構50の占有スペースを小さくして、収納ケース1の小型化を実現することができる。
【0041】
なお、本実施例では、ラッチアームが連結アームを介してケース本体に連結されたが、ラッチアームは直にケース本体に連結されてもよいし、ラッチアームは他のリンク機構を介してケース本体に連結されてもよい。
【0042】
また、本実施例では、単一のラッチアームが複数の板状突起から成るアーム受け部に掛け止めされたが、ラッチアーム及びアーム受け部の数は特に限定されない。例えば、複数のラッチアームが複数のアーム受け部に掛け止めされてもよいし、単一のラッチアームが単一のアーム受け部に掛け止めされてもよい。
【0043】
また、本実施例では、ハンドルが平面視U字状に形成されたが、ハンドルの形状は適宜変更可能である。ハンドルは、ケース幅方向に延びる支持アームと、支持アームからケース幅方向の内側に延びるグリップと、を有し、ハンドルを倒したときに支持アームよりもケース幅方向の内側にラッチ機構の一部が位置するように形成されていればよい。例えば、ハンドルが1つの支持アームとグリップによって平面視L字状に形成されてもよい。
【0044】
また、本実施例では、ハンドルとラッチ機構(ラッチアーム)が第1の揺動ピンに支持されたが、ハンドルとラッチ機構は異なる揺動ピンに支持されてもよい。
【0045】
また、本実施例では、車両の左右に収納ケースが取り付けられたが、車両の前後に収納ケースが取り付けられてもよい。また、収納ケースのケース本体がケースホルダに取り付けられたが、収納ケースのケースカバーがケースホルダに取り付けられてもよい。
【0046】
以上の通り、本実施例の収納ケース(1)は、ケース本体(20)にケースカバー(30)が開閉可能に連結された収納ケースであって、ケース本体にケースカバーを固定するラッチ機構(50)と、ケース本体に揺動可能に連結されたハンドル(40)と、を備え、ハンドルは、ケース幅方向に延びる揺動軸を支点に揺動する支持アーム(41)と、支持アームからケース幅方向の内側に延びるグリップ(42)と、を有し、ハンドルを倒したときに、支持アームよりもケース幅方向の内側にラッチ機構の一部が位置する。この構成によれば、支持アームよりもケース幅方向の内側にラッチ機構の一部が位置するため、ハンドルを倒しても、ハンドルとラッチ機構が干渉することがなく、収納ケースの一面にハンドルとラッチ機構をコンパクトに設置することができる。よって、収納ケースの部品点数が低減されると共に、ハンドル及びラッチ機構の占有スペースを小さくして、収納ケースの小型化を実現することができる。
【0047】
本実施例の収納ケースにおいて、支持アームが一対の支持アームであり、グリップが一対の支持アームを連ねて、ハンドルが平面視U字状に形成されており、ハンドルを倒したときに、ハンドルの内側にラッチ機構の一部が収まる。この構成によれば、ハンドルにラッチ機構を近づけて、ハンドル及びラッチ機構の占有スペースをより小さくすることができる。
【0048】
本実施例の収納ケースにおいて、ハンドルは前記ラッチ機構と同一面に揺動可能に連結されている。この構成によれば、ハンドルを倒した場合にラッチ機構を近接させて、ハンドル及びラッチ機構の占有スペースをより小さくすることができる。
【0049】
本実施例の収納ケースにおいて、ハンドルの揺動軸及びラッチ機構の揺動軸が同じ揺動ピン(第1の揺動ピン63)によって形成されている。この構成によれば、ハンドルとラッチ機構の揺動ピンを共通にして、部品点数を低減することができる。また、ハンドル及びラッチ機構に個別に揺動ピンを設ける構成と比べて、ハンドルにラッチ機構を近接させて、ハンドル及びラッチ機構の占有スペースをより小さくすることができる。
【0050】
本実施例の収納ケースにおいて、揺動ピンが回り止めされている。この構成によれば、ハンドルとラッチ機構の共回りを防止することができる。
【0051】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0052】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0053】
1 :収納ケース
20:ケース本体
30:ケースカバー
40:ハンドル
41:支持アーム
42:グリップ
50:ラッチ機構
63:第1の揺動ピン(揺動ピン)