(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ファイル管理装置およびファイル管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240109BHJP
G06F 40/186 20200101ALI20240109BHJP
G06F 16/16 20190101ALI20240109BHJP
H04L 51/00 20220101ALI20240109BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06F40/186
G06F16/16
H04L51/00
(21)【出願番号】P 2020058110
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 徹也
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-005753(JP,A)
【文献】特開2010-016884(JP,A)
【文献】特開2015-014850(JP,A)
【文献】特開2012-014612(JP,A)
【文献】特開2008-276575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 40/186
G06F 16/16
H04L 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務で用いる文書が記述された文書ファイルが、当該文書ファイルの分類種別と対応するディレクトリにそれぞれ保存されているファイル保存部と、
前記ディレクトリと、当該ディレクトリに保存する文書ファイルの分類種別との対応関係を示すディレクトリ情報を記憶する記憶部と、
前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手に電子メールを送付するためのメール情報が、当該文書の分類種別とともに複数登録されている相手先データベースと、
前記分類種別は、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先と当該文書の業務種別の組合せからなり、
前記業務種別ごとに、当該業務種別の文書を送付する際に用いる電子メールの定型文データが登録されている定型文データベースと、
利用者の情報処理端末からのアクセスに応じて、前記メール情報及び前記定型文データを前記情報処理端末へ提示する制御部と
を備え、
前記制御部は、
アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応付けられた対象分類種別を前記ディレクトリ情報から取得し、得られた対象分類種別に基づいて前記対象ディレクトリに関するメール情報を前記相手先データベースから検索し、前記対象分類種別の業務種別と対応する定型文データを前記定型文データベースから検索し、得られたメール情報及び定型文データ、若しくは、得られたメール情報及び定型文データを含む電子メールの少なくとも何れかを前記情報処理端末へ提示する
ファイル管理装置。
【請求項2】
業務で用いる文書が記述された文書ファイルが、当該文書ファイルの分類種別と対応するディレクトリにそれぞれ保存されているファイル保存部と、前記ディレクトリと、当該ディレクトリに保存する文書ファイルの分類種別との対応関係を示すディレクトリ情報を記憶する記憶部と、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先のメール情報が、当該文書の分類種別とともに複数登録されている相手先データベースと、前記分類種別は、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先と当該文書の業務種別の組合せからなり、前記業務種別ごとに、当該業務種別の文書を送付する際に用いる電子メールの定型文データが登録されている定型文データベースと、利用者からのアクセスに応じて、前記メール情報及び前記定型文データを提示する制御部とを備えるコンピュータで用いられるファイル管理プログラムであって、
前記制御部が、
アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応付けられた対象分類種別を前記ディレクトリ情報から取得するステップと、
得られた対象分類種別に基づいて前記対象ディレクトリに関するメール情報を前記相手先データベースから検索し、前記対象分類種別の業務種別と対応する定型文データを前記定型文データベースから検索し、得られたメール情報及び定型文データ、若しくは、得られたメール情報及び定型文データを含む電子メールの少なくとも何れかを提示するステップと
をコンピュータに実行させるファイル管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務で用いる文書が記述された文書ファイルや、文書の送付相手となる相手先に関する相手先情報を管理するファイル管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのオフィスでは、業務で用いる文書を保存する装置として、ファイル管理装置を用いている。ファイル管理装置は、全体としてサーバ装置からなり、通信回線を介したオフィス内の情報処理端末からのアクセスに応じて文書ファイルを情報処理端末へ提供する(例えば、特許文献1など参照)。また、ファイル管理装置に文書の送付相手となる相手先情報をデータベースで保管しておけば、作成した文書の送付相手となる相手先情報を容易に取得することもできる。近年、このようなファイル管理装置をクラウドサーバで実現したファイル管理システムも広く利用されている。
【0003】
利用者は、PCなどのオフィス内の情報処理端末からファイル管理装置を利用して新たな文書を作成し、作成した文書をメールやファクシミリで送付する業務を行う。この際、利用者は、情報処理端末で複数のアプリケーションを起動し、ファイル管理装置から提供された参考となる別の文書を作成中の文書と並べて画面上に表示したり、作成した文書ファイルをファイル管理装置に保存したりする。また、作成した文書をメールやファクシミリで相手先に送付するためのメールアドレスやFAX番号、さらには電話で相手先に伝えるための電話番号を、ファイル管理装置のデータベースから取得して、作成中の文書と並べて画面上に表示する。これにより、業務の作業負担が大幅に軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のファイル管理装置を利用すれば、情報処理端末で複数のアプリケーションを起動して、作成中の文書と並べて、ファイル管理装置から提供された参考文書や、送付相手となる相手先情報を画面上に表示できるものの、起動時に表示される文書や相手先情報は、互いに関連性のないそれぞれ独立した内容が表示されることなる。このため、利用者は、A社宛の文書を作成して電子メールで送付するというような、定型的な一連の業務手順であっても、それぞれのアプリケーションで個別に操作する必要がある。
【0006】
例えば、業務に必要な文書を画面表示するには、ファイル管理装置に設けられた複数のディレクトリから、当該文書の文書ファイルが格納されているディレクトリを探して画面表示する作業と、そのディレクトリに格納されている複数の文書ファイルから参照する文書ファイルを探して画面表示する作業とが必要となる。また、作成した文書を電子メールで送付するには、送付相手の会社名・部署名、担当者名などを入力操作して、ファイル管理装置のデータベースから送付相手のメールアドレスを探して画面表示する作業が必要となる。さらに、送付する文書が同様の内容であっても、文書に関する説明をメール本文に記載する必要がある。したがって、ファイル管理装置を利用しても、実際には、文書の作成や送付に要する利用者の作業負担が大きいという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、文書の作成や送付に要する利用者の作業負担を軽減できるファイル管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかるファイル管理装置は、業務で用いる文書が記述された文書ファイルが、当該文書ファイルの分類種別と対応するディレクトリにそれぞれ保存されているファイル保存部と、前記ディレクトリと、当該ディレクトリに保存する文書ファイルの分類種別との対応関係を示すディレクトリ情報を記憶する記憶部と、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手に電子メールを送付するためのメール情報が、当該文書の分類種別とともに複数登録されている相手先データベースと、前記分類種別は、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先と当該文書の業務種別の組合せからなり、前記業務種別ごとに、当該業務種別の文書を送付する際に用いる電子メールの定型文データが登録されている定型文データベースと、利用者の情報処理端末からのアクセスに応じて、前記メール情報及び前記定型文データを前記情報処理端末へ提示する制御部とを備え、前記制御部は、アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応付けられた対象分類種別を前記ディレクトリ情報から取得し、得られた対象分類種別に基づいて前記対象ディレクトリに関するメール情報を前記相手先データベースから検索し、前記対象分類種別の業務種別と対応する定型文データを前記定型文データベースから検索し、得られたメール情報及び定型文データ、若しくは、得られたメール情報及び定型文データを含む電子メールの少なくとも何れかを前記情報処理端末へ提示する。
【0009】
また、本発明にかかるファイル管理プログラムは、業務で用いる文書が記述された文書ファイルが、当該文書ファイルの分類種別と対応するディレクトリにそれぞれ保存されているファイル保存部と、前記ディレクトリと、当該ディレクトリに保存する文書ファイルの分類種別との対応関係を示すディレクトリ情報を記憶する記憶部と、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先のメール情報が、当該文書の分類種別とともに複数登録されている相手先データベースと、前記分類種別は、前記文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先と当該文書の業務種別の組合せからなり、前記業務種別ごとに、当該業務種別の文書を送付する際に用いる電子メールの定型文データが登録されている定型文データベースと、利用者からのアクセスに応じて、前記メール情報及び前記定型文データを提示する制御部とを備えるコンピュータで用いられるファイル管理プログラムであって、前記制御部が、アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応付けられた対象分類種別を前記ディレクトリ情報から取得するステップと、得られた対象分類種別に基づいて前記対象ディレクトリに関するメール情報を前記相手先データベースから検索し、前記対象分類種別の業務種別と対応する定型文データを前記定型文データベースから検索し、得られたメール情報及び定型文データ、若しくは、得られたメール情報及び定型文データを含む電子メールの少なくとも何れかを提示するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応する送付相手に電子メールを送付するためのメール情報と、現在行っている業務に関連する書類送付メールの定型文が、文書ファイルの保存先ディレクトリにアクセスするだけで、情報処理端末に自動的に提示されることになる。これにより、現在行っている業務の相手先に関するメール情報を探すための作業や、メール本文や件名を考えて操作入力する作業を減らすことができ、文書や送付に要する利用者の作業負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ファイル管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】ディレクトリ情報の構成例を示す説明図である。
【
図4】相手先データベースの構成例を示す説明図である。
【
図5】定型文データベースの構成例を示す説明図である。
【
図6】ファイル管理装置のアクセス処理を示すシーケンス図である。
【
図7】メール情報および定型文データの取得処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[ファイル管理装置]
まず、
図1を参照して、本実施の形態にかかるファイル管理装置10について説明する。
図1は、ファイル管理装置の構成を示すブロック図である。
このファイル管理装置10は、全体としてサーバ装置からなり、通信回線L1を介して利用者が利用する情報処理端末20からのアクセス要求に応じて、保存されている文書ファイルを情報処理端末20へ提示する装置である。
【0013】
以下では、ファイル管理装置10がオフィス内に設けられており、LANの通信回線L1を介して複数の情報処理端末20とデータ通信可能に接続されている場合を例として説明する。また、通信回線L1には、通信回線L2を介してインターネットなどの通信網NWと中継接続するためのゲートウェイやルーターなどの通信機器30が接続されているものとする。なお、ファイル管理装置10は、通信網NWに接続されたクラウドサーバで実現してもよい。
【0014】
ファイル管理装置10には、主な回路部として、通信I/F11、ファイル保存部12、記憶部13、相手先データベース(以下、相手先DBという)14、定型文データベース(以下、定型文DBという)15、および制御部16が設けられており、内部バスBを介して相互にデータやり取り可能に接続されている。これらのうち、ファイル保存部12、相手先DB14、定型文DB15については、例えばファイルサーバなどの独立した記憶装置で実現して、通信回線を介してファイル管理装置10に接続することも可能である。
【0015】
[網I/F]
網I/F11は、通信回線L2を介して通信網NWとデータ通信することにより、情報処理端末20のインターネット通信を中継接続する回路部である。
【0016】
[ファイル保存部]
ファイル保存部12は、全体としてハードディスクなどの記憶装置からなり、利用者が業務に用いる各種の文書ファイルが、当該文書ファイルの分類種別と対応するディレクトリにそれぞれ保存されている装置である。ファイル保存部12には、文書ファイルを分類するために予め設定した分類種別に基づいて、ツリー構造(階層構造)を持つ複数のディレクトリ(フォルダ)が設けられている。ディレクトリは、文書ファイルを分類して格納するための仮想的な格納場所であり、階層的に設けることができる。これらディレクトリは、情報処理端末20からの指示や、ファイル管理装置10に設けられているコンソール(図示せず)からのオペレータ操作により設定される。
【0017】
図2は、ディレクトリの構成例を示す説明図である。
図2に示す構成例によれば、ファイル保存部12には、業務で用いる文書ファイルを格納するディレクトリとして、業務ディレクトリが設けられている。また、業務ディレクトリの中には、サブディレクトリとして、業務種別ごとに、見積ディレクトリ、発注ディレクトリ、および請求ディレクトリが設けられている。見積ディレクトリには、見積書の作成送付業務に用いる文書ファイルが格納される。また、発注ディレクトリには、発注書の作成送付業務に用いる文書ファイルが格納され、請求ディレクトリには、請求書の作成送付業務に用いる文書ファイルが格納される。
【0018】
これら、見積ディレクトリ、発注ディレクトリ、および請求ディレクトリのそれぞれには、文書の送付相手となる相手先(会社や個人)ごとに、複数のサブディレクトリが設けられている。
図2に示す構成例によれば、例えば、見積ディレクトリには、サブディレクトリとして、A社ディレクトリ、B社ディレクトリ、C社ディレクトリ、…が設けられている。したがって、見積ディレクトリのA社ディレクトリには、A社に送付する文書のうち見積書の作成送付業務に用いる文書ファイルがまとめて保存されていることになる。
【0019】
以下では、分類種別として、業務種別と相手先の二つの分類種別を組み合わせて用いる場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、業務種別と相手先のいずれか一方のみを分類種別として用いてもよい。また、業務種別や相手先のほか、地域、年月、利用者部署、利用者個人、相手先部署、プロジェクト名など、相手先を複数に分類可能な分類種別を1つまたは複数組み合わせて用いてもよい。
【0020】
また、以下では、
図2に示すように、業務種別を上位階層として相手先をその下位階層とした場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、相手先を上位階層として業務種別を上位階層としてもよい。なお、同一ディレクトリに保存される文書ファイルがとりうる相手先の数は、最下位階層の分類種別に左右される。このため、複数の分類種別を階層的に組み合わせて用いる場合、最下位階層の分類種別に含まれる相手先の数が、利用者にとって扱いやすい数となるよう考慮して、最下位階層の分類種別を決定すればよい。
【0021】
[記憶部]
記憶部13は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部16で用いる各種の処理データやプログラムを記憶する回路部である。
プログラム(図示せず)は、制御部16のCPUと協働することにより、制御部16でのアクセス処理を実行する処理部を実現するプログラムである。このプログラムは、ファイル管理装置10に接続された外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から、予め読み込まれた記憶部13に格納される。
【0022】
記憶部13で記憶する主な処理部としてディレクトリ情報13Aがある。ディレクトリ情報13Aは、ファイル保存部12に設けたディレクトリの構造を示すデータである。
図3は、ディレクトリ情報の構成例を示す説明図である。
図3に示すように、ディレクトリ情報13Aは、ディレクトリごとに、当該ディレクトリにアクセスする際に指定するためのディレクトリ名(パス名/URL)、当該ディレクトリに保存する文書ファイルに関する業務種別、および当該ディレクトリに保存する文書ファイルの文書の送付相手となる相手先(相手先名)が組として登録されている。
【0023】
一般に、ファイルを保存するハードディスクなどの記憶装置には、各ディレクトリやディレクトリ内に保存されているファイルを管理するために用いる情報として、例えばFAT(File Allocation Table)と呼ばれるファイル管理情報が保存されており、ファイル保存部12も同様である。このようなファイル管理情報には、ディレクトリ名やファイル名が記録されている。この際、前述した
図2のように、分類種別に基づいて階層的にディレクトリを構成した場合、ディレクトリ名に分類種別を示す情報が含まれることになる。すなわち、ディレクトリ名を参照すれば、当該ディレクトリと関連する分類種別を特定することができる。
【0024】
以下では、理解を容易とするため、ディレクトリと分類種別との対応関係を示す情報としてディレクトリ情報13Aを用いる場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、ディレクトリ情報13Aとして、ファイル保存部12のファイル管理情報、より具体的にはディレクトリ名を用いることも可能である。
【0025】
[相手先DB]
相手先DB14は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、文書ファイルに記述されている文書の送付相手となる相手先または相手先担当者に関するメール情報が、当該文書の分類種別とともに複数登録されているデータベースである。
図4は、相手先データベースの構成例を示す説明図である。
図4に示すように、相手先DB14には、分類種別ごと、ここでは相手先と業務種別の組合せごとに、相手先担当者(相手先担当者名)、文書の送付先となるメールアドレス、および文書送付に用いる電子メールの定型文データを識別するための定型文IDが組として登録されている。
【0026】
[定型文DB]
定型文DB15は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、定型文IDごとに、文書送付に用いる電子メールの定型文データが登録されているデータベースである。
図5は、定型文データベースの構成例を示す説明図である。
図5に示すように、定型文DB15には、定型文IDごとに定型文のテキストデータが登録されている。定型文の用例については後述する。
【0027】
[制御部]
制御部16は、CPUとその周辺回路を有し、記憶部13のプログラムと協働することにより、アクセス処理を実行する処理部を実現する回路部である。
制御部16は、通信I/F11で受信された情報処理端末20からのアクセス要求に応じて、指定されたディレクトリの配下にあるサブディレクトリや文書ファイルのリストであるディレクトリリストを情報処理端末20へ提示する機能と、指定された文書ファイル(文書データ)を情報処理端末20へ提示する機能とを有している。
【0028】
また、制御部16は、情報処理端末20からのアクセスに応じて、アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応付けられた対象分類種別をディレクトリ情報13Aから取得する機能と、得られた対象分類種別に基づいて対象ディレクトリに関するメール情報を相手先DB14から検索する機能と、得られたメール情報を情報処理端末20へ提示する機能とを有している。対象分類種別の業務種別と対応する定型文データを定型文DB15から検索する機能と、得られた定型文データを情報処理端末20へ提示する機能とを有している。これらメール情報と定型文データは、情報処理端末20において、一般的にはメーラーと呼ばれる電子メール用のアプリケーションで、電子メールの作成に用いられる。
【0029】
[本実施の形態の動作]
次に、
図6を参照して、本実施の形態にかかるファイル管理装置10におけるファイル管理方法及びそれを実現するためのファイル管理プログラムの動作について説明する。
図6は、ファイル管理装置のアクセス処理を示すシーケンス図である。
【0030】
ファイル管理装置10の制御部16は、通信I/F11で受信した情報処理端末20からのアクセス要求に応じて(ステップS100)、記憶部13のディレクトリ情報13Aを参照して、アクセス要求で指定された対象ディレクトリに関する対象分類種別を取得する(ステップS101)。
【0031】
続いて、制御部16は、得られた対象分類種別の相手先と業務種別に基づいて対象ディレクトリに関する相手先のメール情報を相手先DB14から検索して取得するとともに(ステップS102)、得られた対象分類種別の業務種別に基づいて、その業務種別と対応する定型文データを検索して取得し(ステップS103)、得られた定型文データをメール情報に付与して情報処理端末20に提供する(ステップS104)。これにより、メール情報と定型文データを用いた電子メールが、情報処理端末20のメーラーで作成されて画面表示される(ステップS105)。
【0032】
図7は、メール情報および定型文データの取得処理を示す説明図である。
図7に示すように、例えば、アクセス要求でアクセス先として指定された対象ディレクトリが「業務/請求/A社」である場合、ディレクトリ情報13Aから「業務/請求/A社ディレクトリ」と関連する分類種別として、相手先「A社」と業務種別「請求」が取得される。続いて、相手先DB14から相手先「A社」と業務種別「請求」の組合せに関するメール情報が検索されて取得される。
【0033】
また、ディレクトリ情報13Aから「業務/請求/A社ディレクトリ」と関連する定型文ID「#3」が取得され、この定型文ID「#3」と対応する定型文データ「…請求書を送付します。…」が定型文DB15から検索されて取得される。この後、得られた定型文データがメール情報に付与されて情報処理端末20に提供される。
【0034】
図8は、電子メールの作成例を示す説明図である。
図8では、
図7で得られた「業務/請求/A社ディレクトリ」に関するメール情報および定型文データと、情報処理端末20のメーラーに予め登録されている利用者の差出人情報とに基づいて、情報処理端末20のメーラーを用いて電子メールを作成した例が示されている。多くの場合、メーラーには、外部からメール情報や定型文データを取り込んで、電子メールを作成する機能を有しており、これを利用すればよい。なお、このようなメーラーの機能を利用せず、提供したメール情報と定型文データを情報処理端末20で画面表示し、この画面から利用者がコピーアンドペースト操作して、メーラーの電子メールに張り付けることも可能である。また、得られたメール情報および定型文データに基づいて作成された電子メールを情報処理端末20に提供してもよいし、得られたメール情報および定型文データと、得られたメール情報および定型文データに基づいて作成された電子メールの両方を提供するようにしてもよい。
【0035】
この例では、
図8に示すように、メール情報に「相手先:A社」、「相手担当者:azzz」、「業務種別:請求」、「相手先メールアドレス:azzz@a.com」という、項目名と項目データとの組が含まれており、差出人情報に「差出人名:ssss」、「所属:サクサ」、「差出人メールアドレス:ssss@saxa.com」という、項目名と項目データとの組が含まれているものとする。
【0036】
このうち、相手先メールアドレスは、電子メールの宛先メールアドレスとして用いられ、差出人メールアドレスは、電子メールの差出人メールアドレスとして用いられる。件名は、定型文データの件名がそのまま用いられる。
また、定型文データには、これらメール情報や差出人情報に含まれる各項目名と対応する項目変数が埋め込まれており、各項目変数が対応する項目名の項目データで置換される。例えば、項目変数「※相手先」は、項目名「相手先」の項目データ「A社」で置換され、項目変数「※相手担当者」は、項目名「相手担当者」の項目データ「azzz」で置換される。
【0037】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、制御部16が、利用者の情報処理端末20からのアクセスに応じて、アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応付けられた対象分類種別をディレクトリ情報13Aから取得し、得られた対象分類種別に基づいて対象ディレクトリに関するメール情報を相手先DB14から検索し、得られたメール情報を情報処理端末20へ提示するようにしたものである。
【0038】
これにより、アクセス先として指定された対象ディレクトリと対応する送付相手に電子メールを送付するためのメール情報が、情報処理端末20に提示される。通常は、相手先のメールアドレスなどのメール情報を、利用者が探して操作入力する必要があるが、現在行っている業務に関連するメール情報が、文書ファイルの保存先ディレクトリにアクセスするだけで、情報処理端末20に自動的に提示されることになる。したがって、現在行っている業務の相手先に関するメール情報を探すための操作や時間を減らすことができ、文書や送付に要する利用者の作業負担を軽減することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態において、制御部16が、対象分類種別の業務種別と対応する定型文データを定型文DB15から検索し、得られた定型文データを情報処理端末20へ提示する。
これにより、相手先のメール情報に加えて、現在行っている業務に関連する書類送付メールの定型文が、文書ファイルの保存先ディレクトリにアクセスするだけで、情報処理端末20に自動的に提示されることになる。したがって、現在行っている業務の相手先に関するメール本文や件名を考えて操作入力する作業や時間を減らすことができ、文書や送付に要する利用者の作業負担を軽減することが可能となる。
【0040】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。例えば、ファイル管理装置の機能を情報処理端末で実現するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0041】
10…ファイル管理装置、11…通信I/F、12…ファイル保存部、13…記憶部、13A…ディレクトリ情報、14…相手先DB、15…定型文DB、16…制御部、20…情報処理端末、30…通信機器、L1,L2…通信回線、NW…通信網。