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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】調光ユニット
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1345 20060101AFI20240109BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240109BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240109BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G02F1/1345
H05K1/14 C
H05K1/14 J
G02F1/13 505
G02F1/137
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020062758
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162673
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和樹
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特許第6439029(JP,B1)
【文献】特開2009-116088(JP,A)
【文献】特開2020-038264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135213(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0051515(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1345
H05K 1/14
G02F 1/13
G02F 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶組成物を含む調光層が、第1透明電極層を有する第1透明導電フィルムと第2透明電極層を有する第2透明導電フィルムに挟まれてなる調光シートと、
前記調光層に外部電源からの電圧を印加するため、該外部電源を前記第1および第2の透明電極層の夫々に接続するFPCを有する第1および第2の給電部と、
少なくとも一方の前記透明電極層における前記FPCおよび前記FPC近傍の少なくとも一方において、電圧印加時に発生する熱を外部に放出する放熱と、を有し、
前記放熱部は、前記FPCにおいて、接続端子となる導体パターンが並列した外部に延出した箇所に配置され、絶縁性の粘着剤により当該FPCが接続された透明電極層と接合されるように構成された放熱部を含むことを特徴とする調光ユニット。
【請求項2】
前記放熱は、前記FPCおよび前記FPCを前記外部電源に電気的に接続する引き出し配線部を介して前記熱を放出することを特徴とする請求項1に記載の調光ユニット。
【請求項3】
前記導体パターンは、前記透明電極層に電圧を印加する領域と、前記熱を伝達させる領域と、を有することを特徴とする請求項1または2に調光ユニット。
【請求項4】
前記第1および第2の給電部の前記FPCが形成される前記第1および第2の透明導電フィルムの端部は矩形状フィルムの同一辺であり、前記FPCは対向せずに同一辺内で離間して配置されている構成であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の調光ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶方式の調光シートと、その調光シートを電源に接続するための接続部とを備える調光ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備える。一対の透明電極層に駆動電圧が印加されると、調光層が含む液晶分子の配向状態が変わることにより、調光シートの光透過率が変わる。(特許文献1参照)こうした調光シートと、透明電極層を電源に接続するための接続部とから、調光ユニットが構成される。
【0003】
外部電源との調光シートの接続にあたり、従来は、透明導電層が露出した表面に少なくとも導電テープを貼着し、導電テープ上に形成したはんだを介してリード線に連結する構造が採用されていた。昨今では、低コストで簡便な構造として、FPC(フレキシブルプリント配線板)とACF(異方性導電フィルム)を用いて電気的に接続しつつ、機械的に接着することで配線を引き出す構造が採用されている(特許文献2参照)。FPCとACFを用いた接続では、導電テープ上のはんだによる点状の接合構造から、面状の接合構造となり、調光ユニットの運搬時や取り付け作業時の揺れや衝撃に対して、接合の耐久性が向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-187775号公報
【文献】特許第6439029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FPCとACFを用いた外部電源への調光シートの接続では、はんだを介してリード線に連結する構造に比べて、接続部の温度上昇が顕著であり高温になりやすいという実態が確認されている。
【0006】
建造物向けなどの用途での大面積の調光シートでは、FPCへの駆動電圧の印加による調光層への駆動範囲をシート内で均一に広げて、給電位置(FPC)からの距離に応じた電圧降下を回避するため、高電圧で印加する必要がある。そのため、調光シートにはFPC(ACF)から過大な電流が流れ込みやすく、接続部が発熱し易いという実態は大面積の調光シートにおいて一層顕著である。
【0007】
本発明は、大面積の調光シートの透明電極層の全面を一様に駆動する場合において、FPCでの不要な発熱を抑制する上で好適な放熱構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による調光ユニットは、
液晶組成物を含む調光層が、第1透明電極層を有する第1透明導電フィルムと第2透明電極層を有する第2透明導電フィルムに挟まれてなる調光シートと、
前記調光層に外部電源からの電圧を印加するため、該外部電源を前記第1および第2の透明電極層の夫々に接続するFPCを有する第1および第2の給電部と、
少なくとも一方の前記透明電極層における前記FPC近傍において、電圧印加時に発生する熱を外部に放出する放熱手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
前記放熱手段は、前記FPCおよび前記FPCを前記外部電源に電気的に接続する引き出し配線部を介して前記熱を放出する構成でも良い。
【0010】
前記FPCは導体パターンを有し、
前記導体パターンは、前記透明電極層に電圧を印加する領域と、前記熱を伝達させる領域と、を有する構成でも良い。
【0011】
前記第1および第2の給電部のFPCが形成される前記第1および第2の透明導電フィルムの端部は矩形状フィルムの同一辺であり、前記FPCは対向せずに同一辺内で離間して配置されている構成が好ましい。この場合、第1および第2の給電部が形成される領域(以下、給電領域と称する)が矩形状の調光シートの一辺に集約され、調光シートの表示領域を広く有効利用出来る。
【0012】
前記FPCの放熱部は、接続端子となる導体パターンが並列した外部に延出した箇所に配置され、絶縁性の粘着剤により前記第1および第2の透明電極層と接合されている構成でも良い。
【0013】
前記絶縁性の粘着剤は熱伝導性が高い特性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
大面積の調光シートの透明電極層の全面を一様に駆動する場合において、給電部におけるFPCでの不要な発熱を抑制する上で好適な放熱構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】調光ユニットの構成概略を示す説明図。
図2】FPC接合部での発熱状態を示す説明図。
図3】放熱テープの貼り合わせによる対処における給電部の部材構成。
図4】放熱テープを貼り合わせた状態の正面図。
図5図4のA-A線に沿った拡大断面図。
図6】FPC25の構造例を示す斜視図。
図7】FPC形態1における給電部の部材構成。
図8】形態1のFPC25を給電部に接合した状態の正面図。
図9図8のB-B線に沿った拡大断面図。
図10】FPC25の構造例(他例)を示す斜視図。
図11】FPC形態2における給電部の部材構成。
図12】形態2のFPC25を給電部に接合した状態の正面図。
図13図12のC-C線に沿った拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、図面は模式的なものであり、説明の便宜上、平面寸法との関係や各層の厚みの比率等は実際の縮尺とは異なるサイズで誇張して図示する場合もある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
[調光ユニット]
図1は、調光ユニットの構成概略を示す説明図である。
【0018】
調光シート10を含む調光ユニット100の各構成要素については、図1を用いて詳細を説明する。図1においては、給電部20,透明導電フィルム15については、互いに区別して説明が必要な場合には、便宜的に一方を第1,他方を第2と定義し、それぞれに符号a,bを添えて表示する。
【0019】
図1(a)の平面図に示すように、調光ユニット100は、調光シート10と給電部20(a,b)とを備える。調光シート10はフレキシブルで薄い材料が主体であり、可撓性に富む。例えば、大面積での使用形態にあたって、調光ユニット100は、2枚のガラスなどの透明板に挟み込まれるか、透明板に装着されるなどして利用される。支持基材となる透明板は、ガラスや樹脂等からなる透明な板状の部材であって平面状であってもよいし曲面状でもよい。透明板は、例えば、窓ガラスやパーテーションやガラス壁等の建材であってもよいし、自動車の窓ガラス等の車両用部材であってもよい。
【0020】
調光領域(表示領域)においては、第1透明電極層12を有する第1透明導電フィルム15aと第2透明電極層12を有する第2透明導電フィルム15bとの間に、調光層13が挟まれている。詳細には、向かい合う第1透明電極層12と第2透明電極層12との間に調光層13が位置する。
【0021】
調光シート10の表面と対向する方向から見て、調光シート10は略矩形形状を有しており、調光シート10の大半を占める調光領域(表示領域)と調光シートの端部の給電領域(非表示領域)とを含む。給電領域には給電部20(a,b)が形成され、給電部20(a,b)上にそれぞれ設けられた接合部21には、ACF22を介してFPC25が接続している。給電領域は、調光シート10の一辺に沿って、調光シート10の端部に位置する。給電領域が配置される上記一辺は矩形のいずれの辺であってもよく、透明板や駆動回路の配置等に応じて設定されればよい。また、給電部20(a,b)は、上記一辺の中央部を含む位置に配置されてもよいし、図1(a)に示す様に、上記一辺の端部を含む位置に配置されてもよい。FPC25を含む給電部20(a,b)の形成箇所が矩形の調光シート10の同一辺内で離間して配置されている構成では、給電領域が調光シート10の一辺に集約され、調光シート10の表示領域を広く有効利用出来る。
【0022】
図1(b)(c)は、それぞれ図1(a)におけるA-A線,B-B線に沿った断面図である。図1(b)(c)に示すように、調光シートは、調光層13と、第1透明導電フィルム15aと、第2透明導電フィルム15bとを備えている。第1透明導電フィルム15aは、第1透明電極層12と、第1透明電極層12を支持する第1透明フィルム11とから構成される。第2透明導電フィルム15bは、第2透明電極層12と、第2透明電極層12を支持する第2透明フィルム11とから構成される。
【0023】
調光層13は、液晶組成物を含む。調光層13は、例えば、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、カプセル型ネマティック液晶(NCAP:Nematic Curvilinear Aligned Phase)等から構成される。例えば、高分子ネットワーク型液晶は、3次元の網目状を有した高分子ネットワークを備え、高分子ネットワークが有する空隙に液晶分子を保持する。調光層13が含む液晶分子は、例えば、誘電率異方性が正であって、液晶分子の長軸方向の誘電率が液晶分子の短軸方向の誘電率よりも大きい。液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系の液晶分子である。
【0024】
第1透明電極層12および第2透明電極層12の各々は、導電性を有する透明な層であ
る。透明電極層12を構成する材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO),フッ素ドープ酸化スズ(FTO),酸化スズ,酸化亜鉛,カーボンナノチューブ(CNT),ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含むポリマー等が挙げられる。
【0025】
第1透明フィルム11および第2透明フィルム11の各々は、透明な基材である。透明フィルム11の材料としては、ポリエチレン,ポリスチレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリビニルアルコール,ポリカーボネート,ポリ塩化ビニル,ポリイミド,ポリサルホン,シクロオレフィンポリマー,トリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムが用いられる。
【0026】
ノーマルモードの調光シートでは、透明電極層12に駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層13に入射した光は散乱し、調光領域は白濁して見える。すなわち、調光層13に駆動電圧が印加されていないとき、調光領域は不透明である。一方、FPC25を通じて第1透明電極層12と第2透明電極層12との間に駆動電圧が印加されると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が透明電極層12,12間の電界方向に沿った向きとなる。その結果、調光層13を光が透過しやすくなり、調光領域は透明となる。
【0027】
給電部20a(20b)は、調光シートのなかで、該当する箇所の第2透明導電フィルム15b(第1透明導電フィルム15a)がカットされて除去されて、調光層13が拭き取りにより取り除かれた領域である。給電領域において、調光層13が存在しないことにより露出する第1透明電極層15a(第2透明導電フィルム15b)の表面に、電気的接続端子となる接合部21を形成し、その表面にFPC25に形成された接続端子(パッド部)となる導体パターンの端部が接合されて、外部電源からの駆動電力が供給される。FPC25の接合箇所にはACF22が配置され、第1透明電極層15a(第2透明電極層15b)の表面と熱圧着により接合している。
【0028】
給電領域に配置されるFPC25では、接続端子(パッド部)となる導体パターンがACF22を介して給電領域上の透明電極層12に形成した接合部(導電テープ)21と接合されている。そして、調光シート10の枠外に引き出す引き出し配線部を備えており、給電領域から調光シート10の外側に延び、駆動回路(不図示)に接続されている。
【0029】
FPC25は、ポリイミド等の絶縁性樹脂から構成された柔軟性を有する基材である絶縁性樹脂層の表面に、銅等の金属薄膜をパターニングして構成された配線層を備えており、外部電源からの調光シートへの給電を受け持つ。
【0030】
ACF22は、金やニッケルコーティングした微小樹脂や無機材料の表面導電ビーズを含有した熱硬化性又は熱可塑性の樹脂シート材料である。自身が接着性を持つ場合もあるこの樹脂シート材料をFPC25の端子部と給電領域の透明電極層12表面との間に設置して、加熱圧着しながら樹脂を硬化又は成形する。これにより加熱圧着箇所となるパターン状の厚さ方向では表面導電ビーズが接触して配置されることで導通をとることができる。一方、加熱圧着のないACF22の面内方向(前記の厚さ方向とは垂直な方向)では表面導電ビーズの接触に伴う導通は発生せず、ACF22は厚さ方向と面内方向とで導電性に異方性を持つ。
【0031】
本発明での解決課題と設定する「接続部での発熱」は、図2に示す様に、FPC25の接続端子(パッド部)が並列した斜め上(左右方向および上下方向での配列外にあたる箇所の発熱部30)に集中する傾向が高いことが確認されている。
【0032】
そのため、給電部20(a,b)に、FPC25,ACF22を覆う様に放熱性の高い材料(基材41と積層される粘着剤42の少なくとも何れかが)を用いてなる放熱テープ40を貼り合わせる手法による対処も考えられる。図3は、前記対処における給電部の部材構成であり、図4は、放熱テープ40を貼り合わせた状態の正面図である。
【0033】
図5は、図4のA-A線に沿った拡大断面図である。給電部20aでFPC25を覆って貼り合わせた放熱テープ40の分、調光シート10の厚み,表面の凹凸が大きくなり、その影響は不図示の給電部20bの放熱テープ40の分も増加することになる。
【0034】
調光シート10を2枚のガラスなどの透明板に挟み込む形態や透明板に装着する形態での調光ユニット100に適用する場合、厚みの局所的な増加,表面の凹凸の増加は不利であり、改善や修正が求められる。
【0035】
本実施形態においては、FPC25とは別体の放熱部材ではなく、FPC25に放熱部を具備する構成を提示する。
【0036】
<FPC形態1>
図6は、FPC25の構造例を示す斜視図である。ポリイミド等のベースフィルムに形成された銅箔等の導電性金属層をパターニングしてなる引き出し配線部の終端が接続端子(パッド部)53の並列箇所である。
【0037】
接続端子(パッド部)53の並列箇所の斜め上に発熱部30が集中する傾向が高いことから(図2参照)、接続端子(パッド部)53が並列した外部にアーム状に延出した箇所に放熱部54を形成している。
【0038】
同図では、左右方向に並列した接続端子(パッド部)53の両側にアーム55を形成して、放熱部54となる導電性金属層を被覆層から露出した構成であり、「T字状」のFPC25が「Y字状」に変形されているが、アーム55,放熱部54は少なくとも1箇所に有する形状で良い。
【0039】
図7は、形態1における給電部の部材構成であり、図8は、形態1のFPC25を給電部に接合した状態の正面図である。FPC25に形成された引き出し配線部の終端にある接続端子(パッド部)53はACF22を介して熱圧着により接合され、アーム55の先端部に形成された放熱部54は絶縁性の粘着剤23により接合される。粘着剤23は絶縁性に加えて放熱性も良好であることが好ましい。シロキサンフリーで接点障害の懸念がなく、熱伝導性の高い弾性接着剤や、非導電性無機フィラーを使用しているので電気絶縁性に優れている接着剤など各種製品のうち、EW2070(3M製熱伝導性エポキシ接着剤),TB2955(スリーボンド製),DM6030HK(ダイマット製),CF3350(エマーソン&カミング製),サーコン(R)GR(富士高分子工業製),AD-7002(利昌工業製),TC-50TXS(信越シリコーン製),DA6523(東レダウコーニング製)などが例示される。
【0040】
図9は、図8のB-B線に沿った拡大断面図である。給電部20aで接合したFPC25の引き出し配線の先端部に形成された放熱部54が発熱部30の熱を吸収して、粘着剤23→FPC25(引き出し配線の他端に形成されたはんだパッド部56)→はんだ26→リード線27の順に伝熱して、給電部20aで生じた熱が放熱される。
【0041】
<FPC形態2>
図10は、FPC25の構造例(他例)を示す斜視図である。ポリイミド等のベースフィルムに形成された銅箔等の導電性金属層をパターニングしてなる引き出し配線部の終端が接続端子(パッド部)53の並列箇所である。
【0042】
形態2では、形態1において、左右方向に並列した接続端子(パッド部)53の両側に形成したアーム55は接続端子(パッド部)53の先にまで回り込む様に延びて、放熱部54は接続端子(パッド部)53の接合部周囲を広く囲う様に形成された構造となっている。図示の通り、接続端子(パッド部)53,放熱部54を含めて矩形の領域内に存在しており、「アーム」として延びている形状ではないが、放熱部54の含まれる領域を便宜的にアーム55と称する。形態2では、FPC25の外形(アーム55)を断裁により規定する必要はなく、ベースフィルムに形成された銅箔等の導電性金属層のパターニングを変更することで作製される。放熱部54のサイズが大きくなることで、放熱機能は一層向上する。
【0043】
図11は、形態2における給電部の部材構成であり、図12は、形態1のFPC25を給電部に接合した状態の正面図である。FPC25に形成された引き出し配線部の終端にある接続端子(パッド部)53はACF22を介して熱圧着により接合され、アーム55の先端部に形成された放熱部54は絶縁性の粘着剤23により接合される。粘着剤23は形態1と共通する。
【0044】
図13は、図12のC-C線に沿った拡大断面図である。給電部20aで接合したFPC25の引き出し配線の先端部に形成された放熱部54が発熱部30の熱を吸収して、粘着剤23→FPC25(引き出し配線の他端に形成されたはんだパッド部56)→はんだ26→リード線27の順に伝熱して、給電部20aで生じた熱が放熱される。
【符号の説明】
【0045】
100…調光ユニット
10…調光シート
15(a,b)…透明導電フィルム(第1,第2)
11…透明フィルム(第1,第2)
12…透明電極層(第1,第2)
13…調光層
20(a,b)…給電部(第1,第2)
21…接合部(導電テープ)
22…ACF
25…FPC
53…接続端子(パッド部)
54…放熱部
55…アーム
56…はんだパッド部
26…はんだ
27…リード線
40…放熱テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13