(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240109BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H05K5/02 H
B60R16/02 610J
(21)【出願番号】P 2020088934
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2022-05-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 和則
(72)【発明者】
【氏名】野場 悠佑
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-105383(JP,U)
【文献】実開昭60-45490(JP,U)
【文献】特開2019-182279(JP,A)
【文献】特開2020-121580(JP,A)
【文献】特開2020-128136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
スライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
前記操作部材を前記第1の位置に暫定的に保持するように構成された第1保持部(45,47,75,76)と、
前記第1の位置に保持された前記操作部材が前記第2の位置へ移動されることに応じて前記操作部材を前記第2の位置に保持するように構成された第2保持部(46,48,75,76)と、
を備え、
前記操作部材は、
前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から既定移動方向へ
スライドされることによって前記第2の位置へ到達するように構成されており、
前記既定移動方向は、前記装着部が前記ブラケットに装着された状態において前記取付面に非垂直な方向である、
車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記操作部材は、前記操作部材の位置に応じて前記スイッチに当接するように構成された当接部材(74)を備え、
前記当接部材は、前記操作部材が前記第1の位置にあるときは前記スイッチに当接せず、前記操作部材が前記第2の位置へ移動されることに応じて、前記スイッチに当接して前記スイッチに前記既定移動方向の荷重をかけるように構成されている、
車載装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車載装置であって、
前記第1保持部は、前記第1の位置に保持された前記操作部材が前記既定移動方向とは逆方向へ移動することを規制する、
車載装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記第2保持部は、前記第2の位置に保持された前記操作部材が前記既定移動方向とは逆方向へ移動することを規制する、
車載装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記ケースは、前記操作部材の前記既定移動方向への移動をガイドするガイド部材(61,62,63,64)を備える、
車載装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車載装置であって、
さらに、前記ケースに固定された状態で前記ケースに収容された固定収容部材(10,11,20)を備え、
前記スイッチは、前記固定収容部材に設けられている、
車載装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車載装置であって、
前記固定収容部材は回路基板(11)を備え、
前記スイッチは前記回路基板に設けられている、
車載装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載装置であって、
前記固定収容部材は、前記回路基板と前記操作部材との間に介在して前記回路基板を支持する基板支持部材(20)を備え、
前記基板支持部材は、前記スイッチを前記操作部材に露出させて前記操作部材による前記スイッチの操作を可能とするように構成された開口部(22)を備えている、
車載装置。
【請求項9】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
前記ケースに固定された状態で前記ケースに収容された固定収容部材(10,11,20)と、
を備え、
前記スイッチは、前記固定収容部材に設けられており、
前記固定収容部材は、前記装着部が前記ブラケットに装着されることに応じて前記ブラケットに設けられた第1被係合部に係合するように構成された第1係合部材(24,25)を備える、
車載装置。
【請求項10】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
を備え、
前記ケースは、前記スイッチ及び前記操作部材が収容される空間を形成する側壁(32,33)を備え、
前記側壁は、第2被係合部(52a,55a)を備え、
前記操作部材は、前記操作部材が前記第1の位置にあるときは前記第2被係合部に係合せず前記操作部材が前記第2の位置にあるときに前記第2被係合部に係合することにより前記側壁が前記空間とは逆方向へ変位することを規制するように構成された第2係合部材(80,81)を備える、
車載装置。
【請求項11】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
を備え、
前記操作部材は、前記第1の位置及び前記第2の位置のいずれにされていても、前記装着部が前記ブラケットに装着される過程において前記ブラケットへ接触しないように構成されている、
車載装置。
【請求項12】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
を備え、
前記操作部材は、前記第1の位置及び前記第2の位置のいずれにされていても、前記装着部が前記ブラケットに装着された状態において、前記ブラケットに接触せず且つ前記ブラケットを貫通しないように構成されている、
車載装置。
【請求項13】
車載装置であって、
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
を備え、
前記ブラケットは、
板状の部材と、
前記板状の部材に設けられた被嵌合部(211~214)と、
を備え、
前記ブラケットは、前記装着部がスライドされることによって、前記装着部が前記被嵌合部に嵌合し且つ前記車載装置が前記ブラケットを覆うように構成されている、
車載装置。
【請求項14】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
前記操作部材を前記第1の位置に暫定的に保持するように構成された第1保持部(45,47,75,76)と、
前記第1の位置に保持された前記操作部材が前記第2の位置へ移動されることに応じて前記操作部材を前記第2の位置に保持するように構成された第2保持部(46,48,75,76)と、
を備え、
前記操作部材の側面には、係合部(75,76)が設けられており、
前記ケースの内面には、第1被係合部(45,47)及び第2被係合部(46,48)が設けられており、
前記第1保持部は、前記係合部及び前記第1被係合部を含み、
前記第2保持部は、前記係合部及び前記第2被係合部を含み、
前記操作部材は、前記第1の位置においては前記係合部が前記第1被係合部に係合し、前記第2の位置においては前記係合部が前記第2被係合部に係合するように構成されている、
車載装置。
【請求項15】
ケース(30)と、
車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して前記取付面に非垂直な方向へスライドされることによって前記ブラケットに装着されるように構成された装着部(41、42,43,44)と、
前記ケースに収容されたスイッチ(16)と、
前記ケースに収容され
た操作部材であって、
第1の位置に保持され且つ前記装着部が前記ブラケットに装着されても前記第1の位置に維持されるように構成され、前記装着部が前記ブラケットに装着されている状態において前記第1の位置から
前記取付面に非垂直な方向へスライドされることにより第2の位置への移動が可能に構成され、
前記第1の位置及び前記第2の位置は前記ケースに対する相対的な位置であり、前記第1の位置においては前記スイッチを第1の操作状態にさせ
るように構成され、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動されることに応じて前記スイッチを第2の操作状態にさせるように構成された操作部材(70)と、
前記操作部材が前記第2の位置へ移動されたことによって前記スイッチが前記第1の操作状態から第2の操作状態にされた後に、前記スイッチが再び前記第1の操作状態にされることに応じて、保護機能を作動させるように構成された保護機能作動部と、
を備える車載装置。
【請求項16】
請求項15に記載の車載装置であって、
前記保護機能は、当該車載装置が有する機能の少なくとも一部を停止させることを含む、車載装置。
【請求項17】
請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記装着部は、前記ケースに設けられている、
車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばETC車載器に関し、車両に標準搭載された状態で一般顧客に販売することが検討され、すでに運用もされている。このようなETC車載器に対しては、盗難による不正使用を抑制するための保護機能を備えることが要求されることがある。この保護機能は、例えば、ETC車載器が車両から取り外されまたは分解された場合は少なくともETC車載器内に記録されている情報が盗まれないようにする機能を含む。
【0003】
特許文献1には、保護機能を備えたETC車載器が開示されている。特許文献1に開示されているETC車載器は、両面粘着テープによって車両のフロントガラスに貼り付けられる。このETC車載器は、当該ETC車載器における両面粘着テープが接着される面から突出するように設けられたスイッチ操作ボタンを備えている。このスイッチ操作ボタンは、弾性部材によりETC車載器の内部から外部へ付勢されており、この付勢力によりETC車載器から突出する。このETC車載器がフロントガラスに貼り付けられると、スイッチ操作ボタンがフロントガラスに当接し、フロントガラスからの荷重を受けてETC車載器の内部に押し込まれる。これにより保護機能が有効化される。保護機能が有効化されているETC車載器が車両から取り外されまたは分解されることにより、スイッチ操作ボタンが弾性部材の付勢力によってETC車載器から突出した状態になると、保護機能が作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、以下に述べる課題が見出された。即ち、特許文献1に開示されたETC車載器を車両に標準搭載させる場合、車両メーカにおいて、ETC車載器をフロントガラスに強く押しつけて両面粘着テープで貼り付ける必要がある。このとき、フロントガラスには、ガラス面に垂直な方向の大きな荷重がかかる。そのため、フロントガラスが例えばインストルメントパネルや車両のボデーなどの部品にすでに接着剤で取り付けられている場合、フロントガラスと部品との接着が剥がれる可能性がある。
【0006】
これを防ぐために、ETC車載器を例えば次のようにフロントガラスに取り付けることが考えられる。即ち、フロントガラスの表面に予めブラケットを設けておく。そして、ETC車載器をフロントガラスの表面に平行な方向へスライドさせることによりブラケットに装着させる。スイッチ操作ボタンは、フロントガラスまたはブラケットからの荷重によって、前述と同様にETC車載器の内部に押し込まれるようにする。
【0007】
しかし、このような装着方法は、フロントガラスへの荷重を弱めることは可能になるものの、その反面、別の課題が生じる。即ち、ETC車載器がフロントガラスの表面に平行な方向へスライドされるため、スイッチ操作ボタンに対し、当該スイッチ操作ボタンがETC車載器から突出または内部に押し込まれる方向と交差する方向の荷重(以下、スライド方向荷重)が、フロントガラスまたはブラケットからかかる。スイッチ操作ボタンにスライド方向荷重がかかると、スイッチ操作ボタンが傾き、ETC車載器がブラケットに取り付けられても保護機能が正常に有効化されなくなるおそれがある。
【0008】
このような課題は、ETC車載器に限らず、車両に正常に取り付けられている状態ではスイッチが操作され、車両から取り外されまたは分解等されると当該スイッチの操作が解除されるように構成された、各種の車載装置において同様に生じ得る課題である。
【0009】
本開示の1つの局面は、スイッチを備えた車載装置において、当該車載装置を車両の取付対象に取り付ける際に取付対象にかかる荷重を抑制しつつ、取付対象への取り付け後にスイッチを適正な操作状態にさせることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の1つの態様による車載装置は、ケース(30)と、装着部(41、42,43,44)と、スイッチ(16)と、操作部材(70)とを備える。ケースは、車両の取付面(200)に設けられたブラケット(210)に対して取付面に非垂直な方向へスライドされることによってブラケットに装着される。スイッチは、ケースに収容されている。操作部材は、ケースに収容されている。操作部材は、ケースに対して相対的に第1の位置から第2の位置への移動が可能に構成されている。操作部材は、第1の位置においてはスイッチを第1の操作状態にさせ、第1の位置から第2の位置へ移動されることに応じてスイッチを第2の操作状態にさせる。
【0011】
このような構成によれば、当該車載装置を車両の取付面に取り付ける際に、取付面にかかる荷重を抑制しつつ、取付面への取り付け後にスイッチを適正に第2の操作状態にさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の、アウターベースが仮固定された状態であって且つ付属のワイヤカバーが装着された車載装置の斜視図である。
【
図2】実施形態の、アウターベースが仮固定された状態の車載装置の斜視図である。
【
図3】実施形態の、アウターベースが仮固定された状態の車載装置の正面図である。
【
図4】実施形態の、アウターベースが仮固定された状態の車載装置の背面図である。
【
図5】実施形態の、アウターベースが取り外された状態の車載装置の背面図である。
【
図6】
図3におけるVI-VI断面を示す断面図である。
【
図7】実施形態の車載装置の分解斜視図、及びこの車載装置が取り付けられる車両のフロントガラス並びに取付ブラケットの斜視図である。
【
図11】実施形態の、第1基板、第2基板及びコネクタが収容されたインナーベースの斜視図である。
【
図12】実施形態の、第1基板、第2基板及びコネクタが収容されたインナーベースの側面図である。
【
図13】実施形態の、互いの相対的位置関係が第1の状態にされた車載装置及び取付ブラケットを示す側面図である。
【
図14】実施形態の、互いの相対的位置関係が第1の状態から第2の状態に変位された車載装置及び取付ブラケットを示す側面図である。
【
図15】第2の状態における車載装置及び取付ブラケットの正面図である。
【
図16】実施形態の、互いの相対的位置関係が第2の状態から第3の状態に変位された車載装置及び取付ブラケットを示す側面図である。
【
図17】第3の状態における車載装置及び取付ブラケットの正面図である。
【
図18】第3の状態からアウターベースが移動されてケースに本固定された状態を示す側面図である。
【
図19】アウターベースがケースに本固定された状態の車載装置の正面図である。を示す側面図である。
【
図21】
図17におけるXXI-XXI断面を示す断面図である。
【
図22】
図13におけるXXII-XXII断面を示す断面図である。
【
図23】
図18におけるXXIII-XXIII断面を示す断面図である。
【
図24】
図19におけるXXIV-XXIV断面を示す断面図である。
【
図25】
図8におけるXXV-XXV断面を示す断面図である。
【
図26】
図8におけるXXVI-XXVI断面を示す断面図である。
【
図27】
図10におけるXXVII-XXVII断面を示す断面図である。
【
図28】
図10におけるXXVIII-XXVIII断面を示す断面図である。
【
図29】
図3におけるXXIX-XXIX断面を示す断面図である。
【
図30】
図19におけるXXX-XXX断面を示す断面図である。
【
図31】
図3におけるXXXI-XXXI断面を示す断面図である。
【
図32】
図19におけるXXXII-XXXII断面を示す断面図である。
【
図33】
図3におけるXXXIII-XXXIII断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(1)車載装置の構成
図1に示す本実施形態の車載装置1は、車両に搭載される。具体的には、車載装置1は、例えば、
図7、
図13等に示すように、車両におけるフロントガラス200の内面、即ち車室内側の表面に設けられる。なお、本実施形態では、一例として、フロントガラス200は湾曲しておらず平面状に形成されているものとする。また、本実施形態では、説明の利便性を考慮して、車載装置1に対し、
図1~
図33にX,Y,Zで示すように3次元座標系を規定する。以下の説明では、必要に応じて3次元座標系を適宜援用しつつ説明する。
【0014】
図7に示すように、フロントガラス200の内面には、取付ブラケット210が設けられている。取付ブラケット210は、例えば接着剤205によってフロントガラスの内面に固着されている。取付ブラケット210は、略矩形状の板状の形状を有する。
【0015】
取付ブラケット210は、4つの被嵌合部211,212,213,214が設けられている。2つの被嵌合部211,212は、取付ブラケット210における第1の側辺に沿って設けられている。他の2つの被嵌合部213,214は、取付ブラケット210における、第1の側辺と対向する第2の側辺に沿って、2つの被嵌合部211,212と対向するように設けられている。
【0016】
被嵌合部211,212,213,214は、凹部211a,212a,213a,214aを備える。これら凹部211a,212a,213a,214aには、後述するように、車載装置1における嵌合部41,42,43,44が嵌合される(
図4,9等参照)。
【0017】
取付ブラケット210は、さらに、2つのブラケット被係合部216,217が設けられている。ブラケット被係合部216,217は、被嵌合部212,214よりも若干Y軸正方向にずれた位置において、X軸に沿って互いに対向するように設けられている。ブラケット被係合部216,217には、後述するように、車載装置1におけるインナー係合部24,25(
図4,5等参照)が係合される。
【0018】
なお、フロントガラス200は、車両において、ガラス面が傾斜した状態で搭載される。具体的には、フロントガラス200は、例えば、X軸が水平面に平行となるように搭載される。また例えば、フロントガラス200は、Y軸が水平方向及び鉛直方向のいずれとも非平行となるよう、且つ、Y軸負方向が路面に向かう方向でY軸正方向が路面から離れる方向となるように搭載される。
【0019】
本実施形態の車載装置1は、例えば、ETC及びETC2.0を利用するためのいわゆるETC車載器である。車載装置1が車両の走行路の近傍に設けられた路側通信機と通信することにより、車両のユーザはETC及びETC2.0のサービスを享受することができる。
【0020】
図1~
図12を参照しながら、車載装置1の具体的構成を説明する。
図1,6,7に示すように、車載装置1は、ケース30と、アウターベース70とを備える。
図5~7に示すように、車載装置1は、さらに、取外検知スイッチ16を備える。
【0021】
ケース30は、Z軸負方向(以下、「下方」と称する)及びY軸正方向に開口し且つY軸負方向に部分的に開口した略直方体状の形状を備える。ケース30は、ケース底板31と、第1側板32と、第2側板33と、収容空間34とを備える。収容空間34は、ケース底板31、第1側板32及び第2側板33によって囲まれる空間である。収容空間34には、アウターベース70及び取外検知スイッチ16を含む、車載装置1を構成するほぼ全ての構成部品が収容される。
【0022】
ケース底板31には、ケース開口部35が設けられている。車載装置1は、
図1~3,6,7に示すように、通信スイッチ操作部5を備える。この通信スイッチ操作部5は、Z軸正方向(以下、「上方」と称する)側の面のほぼ全体がケース開口部35から露出し、且つケース開口部35を塞ぐように配置される。通信スイッチ操作部5は、車載装置1のユーザにより例えば押し操作される。
【0023】
ケース底板31には、さらに、2つのレンズ嵌入孔36,37が設けられている。レンズ嵌入孔36,37には、
図7に示すインジケータレンズ7が嵌入される。
本実施形態の車載装置1は、前述の保護機能と同様の保護機能を備える。即ち、車載装置1は、分解または破壊されると、少なくとも車載装置1内に記録されている情報が盗まれないように、車載装置1の機能の一部または全てが強制停止される。
【0024】
より具体的には、本実施形態では、取外検知スイッチ16が例えばオンされることによって保護機能が有効化される。そして、保護機能が有効化されている状態で取外検知スイッチ16が例えばオフされると、保護機能が作動し、車載装置1の機能の一部または全てが強制停止される。
【0025】
取外検知スイッチ16は、Y軸正方向の荷重を受けることにより可動片が変位することで、オンされる。具体的には、本実施形態の取外検知スイッチ16は、回動軸を中心に回動可能に構成された可動片を備える。可動片は、当該可動片に他の物体が接触していないときは、不図示の弾性部材による付勢力により開放状態となる。
図5~7,12は、可動片が開放状態にされている取外検知スイッチ16が示されている。可動片が開放状態のときは、取外検知スイッチ16はオフされる。
【0026】
可動片は、Y軸正方向の荷重を受けると、付勢力に抗して、第2基板11側へ(即ち上方へ)回動する。可動片が一定角度以上回動すると、取外検知スイッチ16がオンされる。後述する
図24は、可動片が開放状態から一定角度以上回動されて取外検知スイッチ16がオンされている状態を示している。
【0027】
図4,6~8を参照して、アウターベース70について説明する。アウターベース70は、上方に開口した略直方体の形状を備える。アウターベース70は、後述するインナーベース20を下方から覆うように配置される。
【0028】
本実施形態では、インナーベース20はケース30に固定されるのに対し、アウターベース70は、ケース30に対して仮固定または本固定される。具体的には、車載装置1が車両に取り付けられる前の段階では、アウターベース70はケース30に対して仮固定される。即ち、車載装置1は、アウターベース70が仮固定された状態で車両メーカに納入される。
図1~4,6は、アウターベース70がケース30に仮固定された状態を示している。アウターベース70は、仮固定された状態では、アウターベース70の一端がケース30から飛び出た状態となる。
【0029】
車両メーカにおける車両の製造工程の中で、車載装置1が車両に取り付けられると、アウターベース70は、ケース30に対して本固定される。仮固定から本固定への変位については後で詳述するが、簡単に言えば、本固定とは、仮固定の状態からアウターベース70をケース30に押し込んで(即ち、Y軸正方向へスライドさせて)、
図19に示すようにアウターベース70の全体がケース30内に収容された状態にすることであると言える。
【0030】
アウターベース70は、底面71を備える。底面71には、2つのアウター開口部72,73が設けられている。
図4に示すように、アウター開口部72は、インナーベース20における後述するインナー係合部24を下方へ露出させ、アウター開口部73は、インナーベース20における後述するインナー係合部25を下方へ露出させる。
【0031】
底面71には、さらに、
図6,8に示すように、スイッチ当接部74が設けられている。スイッチ当接部74は、底面71から上方へ立設された低背の凸状形状を備える。スイッチ当接部74は、後述するように、アウターベース70が仮固定状態から本固定状態に変位されることに応じて取外検知スイッチ16の可動片に当接し、可動片にY軸正方向の荷重を与える。これにより可動片が回動し、取外検知スイッチ16がオンされる。
【0032】
本固定により取外検知スイッチ16がオンされた後、車載装置1が例えば分解または破壊等されることにより、スイッチ当接部74が取外検知スイッチ16から離れて可動部が開放状態になると、取外検知スイッチ16がオフされ、保護機能が作動する。
【0033】
アウターベース70は、さらに、
図1,2,7,8に示すように、2つのアウター係合部75,76を備える。アウター係合部75,76は、アウターベース70におけるY軸負方向側の側壁から延びた板状部材であり、先端側に係合片が形成されている。アウター係合部75,76は、X軸方向へ弾性移動可能である。アウター係合部75,76は、
図22,23を用いて後述するように、アウターベース70をケース30に対して仮固定または本固定の状態に位置決めする。
【0034】
アウターベース70は、さらに、
図4,8に示すように、2つの第1ベースリブ77,78を備える。なお、
図8におけるXXV-XXV断面を示す
図25には、第1ベースリブ77と、前述のスイッチ当接部74とが示されている。
【0035】
アウターベース70は、さらに、
図1~3,7,8に示すように、第2ベースリブ79を備える。なお、
図8におけるXXVI-XXVI断面を示す
図26には、第2ベースリブ79が示されている。
【0036】
第1ベースリブ77,78及び第2ベースリブ79は、
図29~32を用いて後述するように、ケース30に対するアウターベース70の係合をより強めるために用いられる。
アウターベース70は、さらに、
図4,7,8に示すように、2つのフック80,81を備える。フック80は、アウターベース70におけるX軸正方向側の側面に設けられている。フック81は、アウターベース70におけるX軸負方向側の側面に設けられている。フック80,81は、
図22,23を用いて後述するように、ケース30の第1側板32及び第2側板33が外側へ開くことを抑制するために用いられる。
【0037】
図6,7に示すように、車載装置1は、さらに、第1基板10を備える。
図5~7に示すように、車載装置1は、さらに、第2基板11を備える。
図7,12に示すように、第1基板10及び第2基板11は、板面がXY平面と平行となるように、且つZ軸方向において互いに対向するように、設けられる。第1基板10の上面(即ち上方側の面)は、ケース底板31と対向する。
【0038】
第1基板10と第2基板11とは、電気的に接続されている。第1基板10及び第2基板11にはそれぞれ、各種の回路や部品が実装されており、これら各種回路及び部品によって、ETC車載器としての機能が実現される。
【0039】
各種回路及び部品には、前述の取外検知スイッチ16が含まれる。取外検知スイッチ16は、
図5~7,12に示すように、第2基板11の下面(即ち下方側の面)に設けられている。
【0040】
また、各種回路及び部品には、コネクタ12が含まれる。コネクタ12は、第1基板10及び第2基板11に電気的に接続されている。車載装置1は、コネクタ12を介して、車両と電気的に接続される。
【0041】
また、
図6,7,11,12等に示すように、各種回路及び部品には、通信スイッチ13と、2つのLED14,15とが含まれる。通信スイッチ13と2つのLED14,15とは、第1基板10の上面に実装されている。
【0042】
通信スイッチ13は、通信スイッチ操作部5を介してオンされる。本実施形態の車載装置1は、例えばBluetooth(Bluetoothは登録商標)の通信規格に基づく無線通信機能を備えている。通信スイッチ13は、例えば、ユーザによる、Bluetoothにおけるペアリングの実行の指示を受け付ける。通信スイッチ13がオンされると、車載装置1は、他の通信装置とのペアリングを実行する。
【0043】
車載装置1は、当該車載装置1の状態あるいは通信状況などに応じて、LED14,15を個別に発光させる。LED14,15から発光された光は、インジケータレンズ7に入射してインジケータレンズ7内を導光され、インジケータレンズ7の意匠面、即ちレンズ嵌入孔36,37に露出する面から、車載装置1の外部へ放射される。
【0044】
第1基板10には、
図6,7に示すように、切欠部17が設けられている。切欠部17には、
図6に示すように、ケース30におけるボス58が挿通される。第2基板11には、
図6,7に示すように、ネジ貫通孔18が設けられている。
【0045】
図5~7に示すように、車載装置1は、さらに、インナーベース20を備える。インナーベース20は、上方に開口した略直方体の形状を備える。インナーベース20は、アウターベース70にその上方から挿入されるように配置される。つまり、インナーベース20は部分的にアウターベース70に収容された状態となる。
【0046】
インナーベース20は、
図7に示すように、基板収容空間21を備える。第1基板10及び第2基板11は、
図11,12に示すように、基板収容空間21に収容される。
インナーベース20の底面には、
図5~
図7に示すように、第1インナー開口部22及び第2インナー開口部23が設けられている。取外検知スイッチ16は、第1インナー開口部22を介してインナーベース20の外部へ突出している。
【0047】
インナーベース20は、さらに、
図4~6に示すように、2つのインナー係合部24,25を備える。前述の通り、インナー係合部24,25は、アウターベース70におけるアウター開口部72,73から下方へ露出する(
図4参照)。
図20,21を用いて後述するように、車載装置1が取付ブラケット210に取り付けられると、インナー係合部24,25は、ブラケット被係合部216,217に係合される。
【0048】
取外検知スイッチ16が設けられた第2基板11は、インナーベース20に収容されているが、取外検知スイッチ16は、インナーベース20の第1インナー開口部22から突出している。しかし、取外検知スイッチ16を含め、インナーベース20は、アウターベース70によって下方から覆われており、取外検知スイッチ16はベース底面71によって覆い隠される。
【0049】
即ち、取外検知スイッチ16は、アウターベース70が仮固定状態および本固定状態のいずれにおいても、ベース底面71によって覆い隠され、車載装置1の外部へ露出しない。そのため、車載装置1が車両メーカへ輸送される際、あるいは車載装置1が車両メーカに納入されてから実際に車両に取り付けられるまでの間、意図しない干渉、接触、塵、埃等から取外検知スイッチ16が保護される。
【0050】
このように、アウターベース70は、取外検知スイッチ16をオンさせる機能を備えているのに加え、さらに、取外検知スイッチ16を外部干渉から保護する機能も兼ね備えている。そのため、取外検知スイッチ16が車載装置1の外部から干渉を受けて誤ってオンされることが抑制される。
【0051】
ケース30の細部について、主に
図9,10を参照しつつ、適宜
図4~7も参照して説明する。ケース30は、4つの嵌合部41~44を備える。嵌合部41~44は、取付ブラケット210における被嵌合部211~214と対応する位置関係となるように設けられている。嵌合部41~44は、ケース30を(ひいては車載装置1を)取付ブラケット210に装着させるために用いられる。
図13~19を用いて後述するように、車載装置1が取付ブラケット210に取り付けられると、嵌合部41~44は、取付ブラケット210における被嵌合部211~214に嵌合される。
【0052】
ケース30は、さらに、
図9,10に示すように、2つの第1ケースリブ52,55と、4つの第2ケースリブ51,53,54,56と、第3ケースリブ57とを備える。第2ケースリブ51、第1ケースリブ52及び第2ケースリブ53は、ケース底板31と第1側板32との接続部近傍において、この順でY軸正方向へ互いに離間して設けられている。第2ケースリブ54、第1ケースリブ55及び第2ケースリブ56は、ケース底板31と第2側板33との接続部近傍において、この順でY軸正方向へ互いに離間して設けられている。2つの第1ケースリブ52,55と4つの第2ケースリブ51,53,54,56とは、主に、後述するように、第1基板10をこれらに当接されることにより第1基板10をケース30に挟持するために用いられる。第3ケースリブ57は、主に、第2基板11をケース30に挟持するために用いられる。
【0053】
第1ケースリブ52は、挿入孔52aと支持部52bを備える。第1ケースリブ55は、挿入孔55aと支持部55bを備える。支持部52b、55bには、第1基板10の上面が当接する。挿入孔52a,55aは、
図22,23を用いて後述するように、アウターベース70における前述のフック80,81が挿入される。
【0054】
ケース30は、さらに、4つのスライドレール61,62,63,64を備える。スライドレール61,62,63,64は、ケース30に対するアウターベース70の平行移動、即ちY軸方向へのスライドを案内する。
【0055】
スライドレール61は、第1側板32の内壁におけるY軸負方向の端部近傍に設けられ、Z軸方向に互いに対向するように設けられた第1案内部材61aと第2案内部材61bとを備える。
【0056】
スライドレール62は、第1側板32の内壁におけるY軸正方向の端部近傍に設けられ、Z軸方向に互いに対向するように設けられた第1案内部材62aと第2案内部材62bとを備える。
【0057】
スライドレール63は、第2側板33の内壁におけるY軸負方向の端部近傍に設けられ、Z軸方向に互いに対向するように設けられた第1案内部材63aと第2案内部材63bとを備える。
【0058】
スライドレール64は、第2側板33の内壁におけるY軸正方向の端部近傍に設けられ、Z軸方向に互いに対向するように設けられた第1案内部材64aと第2案内部材64bとを備える。
【0059】
アウターベース70は、第1案内部材61aと第2案内部材61bとの間、第1案内部材62aと第2案内部材62bとの間、第1案内部材63aと第2案内部材63bとの間、及び第1案内部材64aと第2案内部材64bとの間に配置される。アウターベース70は、スライドレール61,62,63,64によって、Z軸方向への移動が規制されつつY軸方向へ案内される。
【0060】
ケース30は、さらに、2つの第1被係合部45,47と、2つの第2被係合部46,48とを備える。第1被係合部45及び第2被係合部46は、第1側板32の内壁におけるY軸負方向側の端部近傍における、スライドレール61の中(即ち第1案内部材61aと第2案内部材61bとの間)に設けられている。第1被係合部47及び第2被係合部48は、第2側板33の内壁におけるY軸負方向側の端部近傍における、スライドレール63の中に設けられている。
【0061】
アウターベース70が仮固定状態にされる際、第1被係合部45,47に、アウターベース70におけるアウター係合部75,76が係合される。アウターベース70が本固定状態にされる際、第2被係合部46,48にアウター係合部75,76が係合される。
【0062】
ケース30は、さらに、
図9,10に示すように、2つの第1ケーススリット39,40と、第2ケーススリット38aとを備える。第2ケーススリット38aは、ケース30におけるY軸負方向側の側面からZ軸負方向へ延びるように設けられたスリット基台38が開口されることにより形成されている。
【0063】
なお、
図10におけるXXVII-XXVII断面を示す
図27には、第1ケーススリット39が示されている。また、
図10におけるXXVIII-XXVIII断面を示す
図28には、第1ケーススリット40及び第2ケーススリット38aが示されている。後述するように、第1ケーススリット39,40には、アウターベース70における第1ベースリブ77,78が挿入され、第2ケーススリット38aには、アウターベース70における第2ベースリブ79が挿入される。
【0064】
ケース30は、さらに、ボス58が設けられている。ボス58は、例えば円柱状の形状を有し、ネジ穴が形成されている。ボス58のネジ穴には、ネジ90が螺入される。より具体的には、ネジ90は、
図5,6に示すように、インナーベース20の底面に設けられた不図示のネジ貫通孔及び第2基板11のネジ貫通孔18を貫通した状態で、ボス58に螺入される。ネジ90がボス58に螺入されると、インナーベース20の底面と第2基板11とが、ボス58とネジ90の頭部との間に挟み込まれる。即ち、インナーベース20、第1基板10及び第2基板11を含むアセンブリは、ネジ90によってケース30に固定される。
【0065】
このように構成された本実施形態の車載装置1では、ケース底板31、第1基板10、第2基板11、アウターベース70のベース底面71は、互いに平行であって、且つ、いずれも、車載装置1が取付ブラケット210に取り付けられた状態ではフロントガラス200と平行になる。そして、車載装置1が取付ブラケット210に取り付けられた状態でアウターベース70が仮固定状態から本固定状態にスライドされる際のスライド方向、即ちY軸正方向は、ケース底板31、第1基板10、第2基板11及びフロントガラス200と平行な方向である。
【0066】
(2)車載装置の取り付け手順
次に、車載装置1を取付ブラケット210に取り付ける手順について、
図13~
図24を参照して説明する。なお、
図13,14,16,18では、説明の便宜上、ケース30を破線で示し、本来はケース30によって視認できないケース30の内部を図示している。
【0067】
まず、仮固定状態の車載装置1、即ちアウターベース70がケース30に仮固定された状態の車載装置1を用意する。そして、車載装置1と取付ブラケット210との互いの相対的位置関係を、
図13に示す第1の状態にする。
【0068】
仮固定状態では、
図22に示すように、アウターベース70のアウター係合部75がケース30の第1被係合部45に係合され、アウターベース70のアウター係合部76がケース30の第1被係合部47に係合される。
【0069】
第1の状態から、車載装置1を下方へ移動させて取付ブラケット210に載置させる。これにより、車載装置1と取付ブラケット210とが、
図14、15に示す第2の状態に遷移する。第2の状態では、取付ブラケット210における被嵌合部211~214が、ケース30に覆われる。そして、ケース30の嵌合部41~44のそれぞれが、取付ブラケット210における被嵌合部211~214のうちの対応する1つにY軸負方向に隣接する。
【0070】
第2の状態では、
図20に示すように、インナーベース20のインナー係合部24は、取付ブラケット210のブラケット被係合部216にまだ係合されていない。
図20には示されていないが、インナー係合部25も同様に、ブラケット被係合部217にまだ係合されていない。また、
図20に示すように、アウターベース70のスイッチ当接部74は、取外検知スイッチ16に当接していない。そのため、取外検知スイッチ16はオフされている。
【0071】
第2の状態から、車載装置1をY軸正方向にスライドさせると、
図16、17に示すように、第3の状態に遷移する。第3の状態では、ケース30の嵌合部41~44のそれぞれが、取付ブラケット210における被嵌合部211~214のうちの対応する1つに嵌合する。即ち、嵌合部41が被嵌合部211の凹部211aに嵌合し、嵌合部42が被嵌合部212の凹部212aに嵌合し、嵌合部43が被嵌合部213の凹部213aに嵌合し、嵌合部44が被嵌合部214の凹部214aに嵌合する。
【0072】
さらに、
図21に示すように、インナーベース20のインナー係合部24が、取付ブラケット210のブラケット被係合部216に係合される。
図21には示されていないが、インナー係合部25も同様に、ブラケット被係合部217に係合される。なお、
図21に示すように、第3の状態においても、アウターベース70のスイッチ当接部74は、取外検知スイッチ16に当接していない。そのため、取外検知スイッチ16はオフされている。
【0073】
第3の状態から、アウターベース70をケース30に対して本固定にさせるべく、アウターベース70をY軸正方向へ押し込む。これにより、アウターベース70は、スライドレール61~64に沿ってケース30の内部へスライドされ、
図18、19に示す本固定の状態にされる。
【0074】
具体的には、第3の状態からアウターベース70をスライドさせていくと、アウター係合部75,76が、第2被係合部46,48に当接する。この状態では、アウターベース70はまだ仮固定状態であり、取外検知スイッチ16はオフに維持されている。この状態からさらにアウターベース70を押し込むと、アウター係合部75,76が第2被係合部46,48からの反力を受けてアウターベース70の内部へ弾性変形されつつ、アウターベース70がスライドしていく。そして、アウター係合部75,76が第2被係合部46,48を乗り越え、
図23に示すように、第2被係合部46,48に係合する。これにより、アウターベース70が本固定の状態にされる。
【0075】
また、アウターベース70が仮固定から本固定に遷移する過程で、アウターベース70のスイッチ当接部74が取外検知スイッチ16に当接する。そして、本固定状態になると、
図24に示すように、取外検知スイッチ16の可動片がスイッチ当接部74によって回動され、取外検知スイッチ16がオンされる。
【0076】
なお、取外検知スイッチ16は、仮固定の状態においてアウター係合部75,76が第2被係合部46,48に当接した後、どのタイミングでオンされてもよい。例えば、取外検知スイッチ16は、アウター係合部75,76が第2被係合部46,48を乗り越えることによってオンされてもよい。また例えば、アウター係合部75,76が第2被係合部46,48に当接してから第2被係合部46,48を乗り越えるまでの途中でオンされてもよい。
【0077】
また、アウターベース70が本固定にされると、
図23に示すように、アウターベース70のフック80,81が、ケース30の挿入孔52a,55aに挿入される。これにより、ケース30の第1側板32及び第2側板33が外側へ開くことが抑制される。
【0078】
このように、本実施形態では、車載装置1は、車両メーカへ納入される段階、即ち車両に搭載される前の段階では、アウターベース70が仮固定にされた状態、即ちアウター係合部75,76が第1被係合部45,47を乗り越えた状態(
図22参照)で納入される。そして、車載装置1が車両に搭載される段階で、アウターベース70がスライドされて、
図23に示す本固定の状態にされる。
【0079】
(3)ケースへのアウターベースの挟持について
前述の通り、アウターベース70には、2つの第1ベースリブ77,78及び第2ベースリブ79が設けられている(
図8,25,26等参照)。また、ケース30には、2つの第1ケーススリット39,40及び第2ケーススリット38aが設けられている(
図9,10,27,28等参照)。
【0080】
仮固定状態では、第1ベースリブ77,78は、
図29に示すように、第1ケーススリット39,40に嵌入されていない。また、仮固定状態では、第2ベースリブ79は、
図31に示すように、第2ケーススリット38aに嵌入されていない。
【0081】
一方、本固定状態にされると、第1ベースリブ77,78は、
図30に示すように、第1ケーススリット39、40に嵌入される。より詳しくは、第1ベースリブ77が第1ケーススリット39に嵌入され、第1ベースリブ78が第1ケーススリット40に嵌入される。また、本固定状態では、第2ベースリブ79は、
図32に示すように、第2ケーススリット38aに嵌入される。
【0082】
これにより、アウターベース70は、本固定状態において、ケース30に対してより適切に挟持される。特に、アウターベース70のY軸正方向への移動、X軸方向への移動、Z軸方向への移動がより適切に規制される。
【0083】
(4)ケースへの第1基板及び第2基板の位置決めについて
前述の通り、ケース30には、2つの第1ケースリブ52,55と、4つの第2ケースリブ51,53,54,56と,第3ケースリブ57とが設けられている(
図9,10,27,28等参照)。
【0084】
第3ケースリブ57には、
図29,30に示すように、第2基板11が当接する。2つの第1ケースリブ52,55及び4つの第2ケースリブ51,53,54,56には、
図24,33等に示すように、第1基板10が当接する。
【0085】
前述の通り、インナーベース20、第1基板10及び第2基板11は、ネジ90によりケース30に固定される。このとき、第2基板11が第3ケースリブ57に当接し、第1基板10が計6個のリブ51~56に当接する。そのため、ネジ90のみによる固定に比べ、インナーベース20、第1基板10及び第2基板11がケース30により適切に固定され且つ位置決めされる。
【0086】
(5)実施形態の効果
以上説明した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の車載装置1は、取付ブラケット210に対してケース30をスライドさせて装着させることができる。一方、取外検知スイッチ16は、車載装置1が取付ブラケット210に取り付けられることに応じてはオンされない。取外検知スイッチ16は、アウターベース70が仮固定の状態から本固定の状態に移動されることに応じてオンされる。
【0087】
そのため、車載装置1を取付ブラケット210に取り付ける際に、フロントガラス200にかかる荷重を抑制しつつ、取付ブラケット210への取り付け後に取外検知スイッチ16を適正にオンさせることが可能となる。
【0088】
アウターベース70は、アウター係合部75、76が、ケース30の第1被係合部45、47に係合されることにより、仮固定状態に暫定的に保持される。しかも、アウター係合部75、76とケース30の第1被係合部45、47との係合により、仮固定にされているアウターベース70が意図せずケース30から抜けることが抑制される。
【0089】
仮固定状態のアウターベース70は、スライドされてアウター係合部75,76が第2被係合部46,48に係合することにより、本固定状態に保持される。しかも、アウター係合部75、76とケース30の第2被係合部46、48との係合により、本固定状態にされているアウターベース70が意図せず仮固定の方向へ移動すること、ひいてはその移動により取外検知スイッチ16がオフされることが抑制される。
【0090】
アウターベース70が仮固定状態から本固定状態に移行する際、アウターベース70の移動方向は規制される。即ち、アウターベース70は、ケース30に設けられたスライドレール61~64に沿ってほぼ直線的にスライドする。そのため、アウターベース70をより適切に本固定状態にすることができると共に、アウターベース70のスイッチ当接部74によって取外検知スイッチ16を適切にオンさせることができる。
【0091】
アウターベース70は、スイッチ当接部74を備える。取外検知スイッチ16は、アウターベース70がスライドされる方向の荷重を受けることで、可動片が操作されてオンされる。そのため、取外検知スイッチ16を安定的にオンさせることが可能となる。
【0092】
ケース30を取付ブラケット210に装着するにあたり、例えば、ケース30の嵌合部41~44を取付ブラケット210における被嵌合部211~214に嵌合させるだけでは、通信装置1の自重によって通信装置1が取り付け方向とは逆方向に移動し、これにより被嵌合部211~214への嵌合部41~44の嵌合が外れてしまうおそれがある。
【0093】
これに対し、本実施形態では、ケース30を取付ブラケット210に装着すると、インナーベース20のインナー係合部24、25が、取付ブラケット210のブラケット被係合部216、217に係合される(
図21参照)。これにより、車載装置1が取付ブラケット210から外れることが抑制される。
【0094】
アウターベース70が本固定にされると、
図23に示すように、アウターベース70のフック80,81が、ケース30の挿入孔52a,55aに挿入される。これにより、ケース30の第1側板32及び第2側板33が外側へ開くことが抑制される。即ち、例えば第1側板32に対して外側へ開く方向の外力が加えられても、第1側板32がその外力の方向へ変形することが、フック80によって規制される。これにより、ケース30の嵌合部41~44と取付ブラケット210の被嵌合部211~214との嵌合が適切に維持される。
【0095】
なお、アウターベース70が仮固定にされる位置は本開示における第1の位置の一例に相当する。アウターベース70が本固定にされる位置は本開示における第2の位置の一例に相当する。取外検知スイッチ16がオンされている状態は本開示における第2の操作状態の一例に相当する。取外検知スイッチ16がオフされている状態は本開示における第1の操作状態の一例に相当する。アウターベース70がスライドレール61~64に沿って仮固定状態から本固定状態へ移動される方向、即ちY軸正方向は、本開示における既定移動方向の一例に相当する。
【0096】
(6)他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0097】
(6-1)車載装置1は、どのような方法で取付ブラケット210に嵌合されてもよい。即ち、4つの嵌合部41~44を介して嵌合されることは一例であり、他の方法で嵌合されてもよい。
【0098】
(6-2)アウターベース70は、ケース30に対してどのような方法で仮固定および本固定にされてもよい。仮固定または本固定にされたアウターベース70のケース30からの脱落を抑制する具体的方法も、上記実施形態とは異なるものであってもよい。
【0099】
(6-3)アウターベース70は、ケース30とは異なる部位に固定或いは係合されてもよい。例えば、アウターベース70は、インナーベース20または他の部材との機械的繋がりによって仮固定および本固定されてもよい。アウターベース70を仮固定の状態から本固定の状態へガイドするためのガイドレールについても、ケース30とは異なる部材に設けられていてもよい。
【0100】
(6-4)アウターベース70が仮固定状態から本固定状態へ移動される際にアウターベース70が移動される方向は、Y軸正方向に限定されない。Y軸正方向とは異なる方向にスライドされることによって仮固定状態から本固定状態へ移行されてもよい。
【0101】
(6-5)取外検知スイッチ16は、どのような形状、構成であってもよい。即ち、取外検知スイッチ16は、アウターベース70が当接することによってどのように作用してオンされてもよい。
【0102】
(6-6)上記実施形態の車載装置1は、2つの基板を備えているが、基板の数は1つでもよいし3つ以上でもよい。
(6-7)上記実施形態の車載装置1は、ETC及びETC2.0を利用するためのいわゆるETC車載器であるが、車載装置1の用途はこれに限定されるものではない。
【0103】
(6-8)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…車載装置、10…第1基板、11…第2基板、16…取外検知スイッチ、20…インナーベース、22…第1インナー開口部、23…第2インナー開口部、24,25…インナー係合部、30…ケース、41~44…嵌合部、45,47…第1被係合部、46,48…第2被係合部、61~64…スライドレール、70…アウターベース、74…スイッチ当接部、75…アウター係合部、76…アウター係合部、80,81…フック、200…フロントガラス、210…取付ブラケット、211~214…被嵌合部、216,217…ブラケット被係合部。