(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】超音波センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
G01S 7/521 20060101AFI20240109BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20240109BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01S7/521 B
G01S15/931
H04R1/02 330
(21)【出願番号】P 2020089803
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 春香
(72)【発明者】
【氏名】上月 康平
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-152387(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189812(WO,A1)
【文献】特開2019-087805(JP,A)
【文献】特開平07-318647(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141402(WO,A1)
【文献】特開2002-262383(JP,A)
【文献】国際公開第2013/047544(WO,A1)
【文献】特開平10-070784(JP,A)
【文献】特開昭49-071959(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012209238(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72 - 1/82
3/80 - 3/86
5/18 - 5/30
7/52 - 7/64
15/00 - 15/96
H04R 17/00
17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサ(1)を取付対象(V2)に取付けてなる、超音波センサ取付構造(S)であって、
前記超音波センサは、超音波振動可能な超音波素子(6)が固定され
た厚さが一定の平板状且つ薄板状のダイアフラム(50)における板厚方向が車高方向と交差するように、前記取付対象に取付けられ、
前記板厚方向に沿った厚さ方向を有し前記ダイアフラムと前記超音波素子とによって形成された振動体(70)は、前記車高方向における下方側に偏心した振動重心を有する、
超音波センサ取付構造。
【請求項2】
前記振動体は、前記ダイアフラムの前記車高方向における中心(PC)よりも下方の被付勢部(505)を前記板厚方向に沿った付勢方向(DF)に付勢する付勢部(701)を備えた、
請求項1に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項3】
前記振動体は、前記ダイアフラムの前記車高方向における中心(PC)よりも重心(PG)が下方となるように構成された、
請求項1に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項4】
前記ダイアフラムは、前記中心よりも重心(PG)が下方となる構成を有する、
請求項3に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項5】
前記ダイアフラムは、前記板厚方向と直交する面内にて、幾何中心(PQ)が下方側に偏心した形状を有する、
請求項4に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項6】
前記振動体は、前記中心よりも下方側または上方側にオフセット配置された荷重調整部を有する、
請求項3に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項7】
前記荷重調整部は、前記中心よりも下方側にオフセット配置された前記超音波素子である、
請求項6に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項8】
前記超音波センサは、中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(52)と、前記ダイアフラムを構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(51)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)を備え、
前記側板部は、前記中心軸よりも上方に配置された第一側板部(52a)と、前記中心軸よりも下方にて前記中心軸を挟んで前記第一側板部と対向配置された第二側板部(52b)とを有し、
前記第一側板部と前記第二側板部とは、前記中心軸を含み前記軸方向および前記車高方向と直交する水平方向と平行な対称面について対称に形成された、
請求項6または7に記載の超音波センサ取付構造。
【請求項9】
前記ダイアフラムは、前記車高方向に沿った長手方向を有する形状を有する、
請求項1~
8のいずれか1つに記載の超音波センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサを取付対象に取付けてなる、超音波センサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の超音波センサは、送受信部と、フィルタ部と、検出部とを備えている。送受信部は、超音波を外部に送信し、その反射波を受信する。フィルタ部は、送受信部が受信した反射波に対して周波数フィルタリングを施す。検出部は、フィルタ部によってフィルタリングされた後の反射波に基づいて物体を検出する。
【0003】
ここで、特許文献1に記載の超音波センサにおけるフィルタ部は、送受信部が送信した超音波の中心周波数よりも低い周波数のうち所定の周波数範囲において、以下の周波数特性を有している。すなわち、当該周波数範囲内のどの周波数fにおいても、当該周波数fと同じだけ当該中心周波数から高い方に離れた周波数と比較して、当該送受信部が受信した反射波の減衰度が高い。これにより、不要な路面からの反射波を効率的に除去すると共に、必要な後続車両からの反射波は適切に検出することができる。したがって、誤って路面を検出してしまう可能性を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の超音波センサにおいて、路面の誤検出を構造的に抑制することができれば、フィルタ部等の回路構成あるいは制御が簡略化され得るため、好適である。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、路面反射による誤検知を良好に抑制可能な超音波センサ取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の超音波センサ取付構造(S)は、超音波センサ(1)を取付対象(V2)に取付けてなる構造であって、
前記超音波センサは、超音波振動可能な超音波素子(6)が固定された厚さが一定の平板状且つ薄板状のダイアフラム(50)における板厚方向が車高方向と交差するように、前記取付対象に取付けられ、
前記板厚方向に沿った厚さ方向を有し前記ダイアフラムと前記超音波素子とによって形成された振動体(70)は、前記車高方向における下方側に偏心した振動重心を有する。
【0007】
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を、単に示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る超音波センサ取付構造を有する車両の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された超音波センサ取付構造の概略的な装置構成を示す断面図である。
【
図3】
図2に示された振動体の第一の構成例を示す背面図である。
【
図4】
図2および
図3に示された実施形態に係る超音波センサ取付構造による効果を説明するためのグラフである。
【
図5】
図2に示された振動体の第二の構成例を示す側断面図である。
【
図6】
図2に示された振動体の第三の構成例を示す側断面図である。
【
図7】
図2に示された振動体の第四の構成例を示す側断面図である。
【
図8】
図2に示された振動体の第五の構成例を示す正面図である。
【
図9】
図2に示された振動体の第六の構成例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中には挿入せず、その後にまとめて説明する。
【0010】
(車載構成)
図1を参照すると、車両Vは、いわゆる四輪自動車であって、箱状の車体V1を備えている。車体V1の前端部には、車体部品であるフロントバンパーV2が取付けられている。車体V1の後端部には、車体部品であるリアバンパーV3が取付けられている。
【0011】
超音波センサ1は、いわゆる車載型のクリアランスソナーであって、フロントバンパーV2およびリアバンパーV3に装着されている。本実施形態に係る超音波センサ取付構造S(以下「取付構造S」と略称する)は、超音波センサ1を取付対象であるフロントバンパーV2またはリアバンパーV3に取付けてなる構造である。以下、超音波センサ1が車両Vに搭載された状態、すなわち、車両Vに取付けられたフロントバンパーV2またはリアバンパーV3に超音波センサ1が取付けられた状態を、「車載状態」と称する。また、超音波センサ取付構造Sすなわち超音波センサ1を搭載した車両Vを、「自車両」と称することがある。
【0012】
フロントバンパーV2およびリアバンパーV3には、超音波センサ1を取付けるための貫通孔である取付孔V4が設けられている。フロントバンパーV2に設けられた取付孔V4は、バンパー外表面V5にてフロントバンパーV2の外部すなわち前方あるいは前側方に向かって開口するように形成されている。
【0013】
(超音波センサ)
図2は、超音波センサ1の全体構成を、フロントバンパーV2に取付けられた車載状態で示す。以下、第一実施形態における超音波センサ1の構成について、
図2および
図3を参照しつつ説明する。
【0014】
説明の便宜上、図示の通りに、車載状態における右手系XYZ直交座標系を設定する。かかるXYZ座標系において、X軸方向は、自車両が走行可能な姿勢で水平面上に安定的に載置された場合の水平方向と平行で、且つ、取付孔V4の中心位置におけるフロントバンパーV2の厚さ方向と直交する方向とする。X軸方向は「幅方向」とも称され得る。
【0015】
Y軸正方向は、中心軸DAと平行でバンパー内空間SNからバンパー外空間SGに向かう方向とする。中心軸DAは、超音波センサ1における超音波の送受信方向に沿って延びる仮想直線である。バンパー外空間SGは、バンパー外表面V5に面する、車載状態にて車両Vの外側となる空間である。バンパー内空間SNは、バンパー外表面V5の裏側の面であるバンパー裏面V6に面する、車載状態にて車両Vの内側となる空間である。
【0016】
Z軸正方向は、鉛直上方に沿った上方向とする。鉛直上方とは、自車両が走行可能な姿勢で水平面上に安定的に載置された場合における、重力作用方向とは反対の方向である。上方向とは、鉛直上方と同一方向または鉛直上方と所定の小さい鋭角αをなす方向である。αは例えば10度以下である。よって、Z軸正方向は、車高方向に沿った上方向となる。車高方向は、自車両が走行可能な姿勢で水平面上に安定的に載置された場合における重力作用方向と平行な方向である。Z軸方向は「高さ方向」とも称され得る。なお、超音波センサ1の搭載位置、フロントバンパーV2の形状、等によっては、Z軸正方向が、鉛直上方と同一方向となったり、鉛直上方と交差する方向となったりする場合がある。
【0017】
中心軸DAと平行な方向を「軸方向」と称する。以下、軸方向に延設された或る部材あるいは部分の、軸方向における両端部のうち、Y軸正方向側のものを「軸方向における先端部」と称し、Y軸負方向側のものを「軸方向における基端部」と称することがある。すなわち、Y軸正方向側を、軸方向における「先端側」と称することがある。同様に、
図2における下側、すなわち、Y軸負方向側を、軸方向における「基端側」と称することがある。
【0018】
また、軸方向と直交する任意の方向を「面内方向」と称することがある。すなわち、「面内方向」は、XZ平面と平行な方向である。さらに、XZ平面と平行な面内における形状を「面内形状」と称する。すなわち、「面内形状」は、或る部分あるいは部材をY軸と平行な視線で見た場合の、当該部分あるいは部材の形状である。
【0019】
図2を参照すると、本実施形態においては、超音波センサ1は、中心軸DAが略水平となるように、自車両に搭載されている。超音波センサ1は、センサケース2と、弾性保持部材3と、超音波トランスデューサ4とを備えている。超音波トランスデューサ4は、トランスデューサケース5と超音波素子6とを備えている。以下、超音波センサ1を構成する各部の構成について説明する。
【0020】
超音波センサ1の筐体を構成するセンサケース2は、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、等の硬質の合成樹脂によって、一体に形成されている。センサケース2は、ケース本体部21と、コネクタ部22と、ケース筒部23とを有している。
【0021】
ケース本体部21は、軸方向における基端側が開口する箱状に形成されている。超音波センサ1をECUと電気接続するためのコネクタ部22は、ケース本体部21における側壁部から、中心軸DAから離隔する外側に向かって延設されている。ECUはElectronic Control Unitの略である。
【0022】
センサケース2における、中心軸DAを囲む略円筒状の部分であるケース筒部23は、ケース本体部21から軸方向における先端側に向けて突設されている。ケース筒部23は、弾性保持部材3の軸方向における基端部を保持するように構成されている。ケース筒部23の内側のシリンダ状の空間は、ケース本体部21の内側の空間と連通するように設けられている。センサケース2内には、回路基板24と、制御回路素子25と、配線部26と、ダンパ部材27と、ケース充填材28とが配置されている。
【0023】
回路基板24は、ケース本体部21に収容されている。回路基板24には、超音波センサ1の動作を制御する制御回路素子25が実装されている。制御回路素子25は、いわゆる集積回路素子であって、超音波トランスデューサ4における送受信動作を制御するように構成されている。配線部26は、超音波トランスデューサ4と回路基板24とを電気接続するように設けられている。すなわち、制御回路素子25は、回路基板24に設けられた不図示の回路および配線部26を介して、超音波トランスデューサ4に電気接続されている。
【0024】
ダンパ部材27は、超音波トランスデューサ4からセンサケース2への振動伝達を抑制するよう設けられている。具体的には、ダンパ部材27は、絶縁性且つ弾性を有する発泡シリコーン等の発泡弾性体によって形成されている。ダンパ部材27は、弾性保持部材3の内径に対応する外径を有する円盤状に形成されている。ダンパ部材27は、軸方向における超音波トランスデューサ4よりも基端側にて、弾性保持部材3の内側のシリンダ状の空間内に嵌め込まれている。
【0025】
センサケース2の内側の空間には、ケース充填材28が充填されている。ケース充填材28は、シリコーンゴム等の絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成されている。
【0026】
弾性保持部材3は、中心軸DAを軸中心とする略円筒形状を有している。弾性保持部材3は、センサケース2に設けられたケース筒部23の軸方向における先端部にて保持されている。弾性保持部材3は、絶縁性且つ弾性を有するシリコーンゴム等の合成樹脂系弾性材料によって形成されている。
【0027】
弾性保持部材3は、超音波トランスデューサ4の軸方向における先端面を露出させつつ基端側を覆った状態で、超音波トランスデューサ4を支持するように構成されている。すなわち、超音波トランスデューサ4は、弾性保持部材3を介して、センサケース2により弾性的に支持されている。
【0028】
(第一実施形態:超音波トランスデューサ)
超音波トランスデューサ4は、送受信一体型の超音波マイクロフォンとしての機能を有している。すなわち、超音波トランスデューサ4は、超音波を送受信可能に構成されている。具体的には、超音波トランスデューサ4は、超音波である送信波を送信するように構成されている。また、超音波トランスデューサ4は、自車両の周囲に存在する物体による送信波の反射波を受信して、受信した反射波の強度および周波数に対応する信号を発生するように構成されている。以下、
図2および
図3を参照しつつ、本実施形態に係る超音波トランスデューサ4の構成の詳細について説明する。
【0029】
トランスデューサケース5は、中心軸DAを囲む有底筒状に形成されている。本実施形態においては、トランスデューサケース5は、中心軸DAを軸中心とする円柱状の外形形状を有している。また、トランスデューサケース5は、アルミニウム等の金属によって、継ぎ目なく一体に形成されている。
【0030】
トランスデューサケース5は、超音波素子6によって駆動されることで板厚方向に沿って超音波振動する、薄板状のダイアフラム50を有している。ダイアフラム50は、トランスデューサケース5における軸方向と平行な厚さ方向を有する薄板状の部分であって、外縁部を固定端すなわち節位置として撓み変形しつつ超音波帯域内の所定周波数で膜振動するように構成されている。
【0031】
本実施形態においては、ダイアフラム50は、突起あるいは凹部がない、厚さが一定の平板状に形成されている。また、
図3に示されているように、ダイアフラム50は、車高方向に沿った長手方向と、当該長手方向と直交する短手方向とを有する面内形状を有している。
【0032】
具体的には、ダイアフラム50は、高さ方向を長手方向とし幅方向を短手方向とするオーバル状、すなわち角丸長方形状あるいは長円状に形成されている。これにより、超音波トランスデューサ4は、高さ方向にて幅方向よりも狭い指向角を有するように構成されている。以下、ダイアフラム50のオーバル形状における長手方向を、単に「長手方向」と称する。「短手方向」についても同様である。
【0033】
すなわち、ダイアフラム50は、一対の円弧部50aと一対の弦部50bとで囲まれた面内形状を有している。中心軸DAに向かって開口するように形成された円弧部50aは、長手方向におけるダイアフラム50の両端部に設けられている。一対の円弧部50aにおける互いに対向する端部同士は、弦部50bによって接続されている。弦部50bは、短手方向におけるダイアフラム50の両端部にて、長手方向に延設されている。
【0034】
ダイアフラム50は、水平線LXを挟んで上下対称、および、基準線LZを挟んで左右対称の面内形状を有している。水平線LXは、中心軸DAを含みXY平面と平行な平面と、ダイアフラム50を構成する底板部51における内面51aを含みXZ平面と平行な平面との交線である。水平線LXは、短手方向と平行である。基準線LZは、中心軸DAを含みYZ平面と平行な平面と、内面51aを含みXZ平面と平行な平面との交線である。基準線LZは、長手方向と平行である。
【0035】
ダイアフラム50は、トランスデューサケース5における底板部51によって形成されている。底板部51における内面51aは、ダイアフラム50の内側表面を構成する表面であって、ダイアフラム50と同一形状のオーバル状の面内形状を有している。
【0036】
底板部51すなわちダイアフラム50における、内面51aの裏面すなわち反対側の面である外面51bは、露出方向DDに向けて露出するように設けられている。露出方向DDは、軸方向と平行であって、内面51aから外面51bに向かう方向、すなわち、バンパー内空間SNからバンパー外空間SGに向かう方向である。外面51b上には、バンパー外表面V5と略同色の塗装膜等の、不図示の外皮膜あるいは保護膜が形成されている。かかる外皮膜あるいは保護膜の、外面51bとの接合面とは反対側の外表面によって、超音波トランスデューサ4の軸方向における先端面が形成されている。
【0037】
ダイアフラム50を構成する底板部51は、軸方向における側板部52の一端側すなわち先端側を閉塞するように設けられている。すなわち、トランスデューサケース5は、底板部51と側板部52とを有している。底板部51は、側板部52の軸方向における先端部と継ぎ目なく一体に結合されている。底板部51は、面内方向について略均一な密度に形成されている。
【0038】
側板部52は、中心軸DAを囲む筒状に形成されている。具体的には、
図3に示されているように、側板部52は、第一側板部52aと、第二側板部52bと、第三側板部52cと、第四側板部52dとを有している。
【0039】
第一側板部52aは、中心軸DAよりも上方に配置されている。第二側板部52bは、中心軸DAよりも下方に配置されている。第二側板部52bは、中心軸DAを挟んで第一側板部52aと対向配置されている。第一側板部52aおよび第二側板部52bは、オーバル形状のダイアフラム50の長手方向における両端部、すなわち、周方向について円弧部50aに対応する位置に設けられている。「周方向」は、中心軸DAを法線とする平面上にて、当該平面と中心軸DAとの交点を中心とする仮想円を描いた場合の、当該仮想円における円周方向である。
【0040】
第一側板部52aおよび第二側板部52bは、中心軸DAと直交する径方向について所定厚さを有する部分円筒状の薄肉部として形成されている。「径方向」は、中心軸DAから放射状に延びる方向である。すなわち、径方向は、上記の仮想円における半径方向である。
【0041】
第一側板部52aと第二側板部52bとは、中心軸DAを含み軸方向および車高方向と直交する水平方向と平行な対称面について対称に形成されている。かかる対称面は、中心軸DAおよび水平線LXを含む、XY平面と平行な平面である。
【0042】
第三側板部52cおよび第四側板部52dは、中心軸DAを挟んで互いに対向するように配置されている。第三側板部52cは、オーバル形状のダイアフラム50の短手方向における一端部、すなわち、周方向について弦部50bに対応する位置に設けられている。第四側板部52dは、オーバル形状のダイアフラム50の短手方向における他端部に設けられている。
【0043】
第三側板部52cおよび第四側板部52dは、径方向について第一側板部52aおよび第二側板部52bよりも厚く形成されている。具体的には、第三側板部52cおよび第四側板部52dは、中心軸DAと直交する断面による断面視にて、略弓形に形成されている。
【0044】
底板部51と側板部52とで囲まれた内部空間53は、軸方向における基端側に向けて開口するように設けられている。トランスデューサケース5は、側板部52と底板部51とで囲まれた内部空間53に超音波素子6を収容するように構成されている。
【0045】
超音波素子6は、電気信号と超音波振動とを変換する電気-機械変換素子としての構成を有している。具体的には、超音波素子6は、圧電素子であって、軸方向に厚さ方向を有する薄膜状に形成されている。超音波素子6は、面内形状が略円形状に形成されている。
【0046】
超音波素子6は、内部空間53に面するように、底板部51に固定的に支持されている。具体的には、超音波素子6は、内面51a側にてダイアフラム50に接合されている。ダイアフラム50と超音波素子6とを接合することによって形成された振動体70は、ダイアフラム50の板厚方向に沿った厚さ方向を有する積層体であって、Y軸方向に沿って超音波振動可能に構成されている。
【0047】
本実施形態においては、ダイアフラム50には、超音波素子6が1個のみ設けられている。また、超音波素子6は、高さ方向および幅方向におけるダイアフラム50の中心であるダイアフラム中心PCに対して、面内方向すなわち径方向にオフセットした位置に配置されている。ダイアフラム中心PCは、中心軸DAと内面51aとの交点である。
【0048】
超音波素子6は、車載状態にて素子中心PPがダイアフラム中心PCから鉛直下方すなわちZ軸負方向側にシフトするように設けられている。素子中心PPは、面内方向における超音波素子6の外形形状の中心である。具体的には、超音波素子6の面内形状が略円形状あるいは略楕円形状である場合、素子中心PPは、略円形状あるいは略楕円形状における中心である。背面視すなわちY軸と平行な視線で見た場合、ダイアフラム中心PCおよび素子中心PPは、ともに基準線LZ上に配置されている。
【0049】
本実施形態においては、超音波素子6は、ダイアフラム中心PCとは異なる位置に設けられている。すなわち、超音波素子6は、面内方向についてダイアフラム中心PCとは重ならない位置に配置されている。換言すれば、Y軸と平行な視線で見た場合、すなわち、超音波素子6とダイアフラム中心PCとをXZ平面上に投影した場合、ダイアフラム中心PCは、超音波素子6の外形形状の外側に設けられている。あるいは、超音波素子6は、基準線LZ上におけるダイアフラム中心PCと第二側板部52bとの間に配置されている。
【0050】
上記の通り、超音波センサ1は、超音波振動可能な超音波素子6が固定された薄板状のダイアフラム50における板厚方向が車高方向と交差するように、取付対象であるフロントバンパーV2に取付けられている。そして、板厚方向に沿った厚さ方向を有しダイアフラム50と超音波素子6とによって形成された振動体70は、車高方向における下方側に偏心した振動重心を有している。「振動重心」は、径方向における外縁部を固定端として板厚方向に沿って膜振動するダイアフラム50における振幅が最大となる部位である。
【0051】
本実施形態においては、振動体70は、上記のような振動重心の位置を実現するため、車高方向における下方に偏心した重心PGを有している。重心PGは、振動体70における質量中心の位置であって、背面視にて基準線LZ上であってダイアフラム中心PCと素子中心PPとの間に配置されている。
【0052】
このように、本実施形態に係る振動体70は、ダイアフラム50の車高方向における中心であるダイアフラム中心PCよりも重心PGが下方となるように構成されている。具体的には、振動体70は、ダイアフラム中心PCよりも下方側にオフセット配置されることで重心PGを下方にオフセットさせるための荷重調整部として、ダイアフラム中心PCよりも下方側にオフセット配置された超音波素子6を有している。
【0053】
(効果)
以下、本実施形態の構成により奏される効果を、各図面を参照しつつ説明する。
【0054】
上記の通り、自車両の周囲の障害物を検知するための超音波センサ1は、通常、フロントバンパーV2およびリアバンパーV3に取付けられる。フロントバンパーV2およびリアバンパーV3は、通常、車体V1の車高方向における中央位置よりも下方に位置している。このため、超音波センサ1の搭載高さは、通常、車体V1の車高方向における中央位置よりも下方となる。
【0055】
超音波センサ1の搭載高さが路面に近づくほど、路面反射による誤検知の懸念が生じる。但し、自動駐車制御あるいは駐車支援制御において、超音波センサ1により、車両Vが乗り越えられない程度の段差(例えば縁石等)を検知したい場合がある。この点、超音波センサ1の俯角を負値にして、送信波を水平方向よりも上方に向けて送信するように取付構造Sを構成すると、かかる段差を検知し難くなる。そこで、超音波センサ1の俯角を0または比較的小さな正値としつつ、超音波センサ1の搭載高さは、かかる段差を検知可能な程度に抑える必要がある。
【0056】
路面反射による誤検知を良好に抑制することは、受信波の受信により発生する受信信号に対してフィルタ処理することによっても可能である。しかしながら、フィルタ処理のために、回路構成が複雑化したり、計算負荷が増大したりすることで、製造コストが上昇する。また、フィルタ処理条件によっては、反射波強度が低い低背突起物の検知性能が低下する懸念がある。
【0057】
路面反射による誤検知の要因の一つとして、サイドローブの反射を受信することが挙げられる。このため、下方に向かうサイドローブを低減することができれば、上記のようなフィルタ処理を行うことなく、路面反射による誤検知を良好に抑制することが可能となる。
【0058】
そこで、本実施形態に係る取付構造Sは、ダイアフラム50と超音波素子6とによって形成された振動体70の振動重心が、車高方向における下方側に偏心した構成を有している。具体的には、振動体70は、ダイアフラム50の高さ方向における中心であるダイアフラム中心PCよりも、重心PGが下方となるように構成されている。なお、振動重心と重心PGとは、ダイアフラム中心PCと素子中心PPとが背面視にて一致する従来の構成においては、略一致する。一方、ダイアフラム中心PCと素子中心PPとが高さ方向にオフセットする本実施形態に係る構成においては、振動重心と重心PGとは必ずしも一致するとは限らない。
【0059】
図4は、
図3に示された超音波トランスデューサ4の指向特性を示す。
図4における角度[deg]は俯角を示す。
図4に示されているように、かかる構成によれば、下方に向かうサイドローブが低減されることで、路面反射の影響が良好に軽減され得る。したがって、かかる構成によれば、路面反射による誤検知を良好に抑制することが可能となる。
【0060】
本実施形態においては、振動体70は、面内方向すなわち高さ方向について略均一な密度に形成されたダイアフラム50と、ダイアフラム中心PCよりも素子中心PPが下方となるようにダイアフラム50に接合された超音波素子6とによって形成されている。かかる構成によれば、従来とほぼ同様の部品および製造工程を用いつつ超音波素子6の接合位置を変更するだけで、振動重心を車高方向における下方側に偏心させることができる。したがって、本実施形態によれば、車高方向における下方側に偏心した振動重心を有する振動体70が、簡略な装置構成により実現され得る。
【0061】
(第二実施形態)
図5は、
図3に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。以下の第二実施形態の説明においては、主として、上記第一実施形態とは異なる部分について説明する。また、上記第一実施形態と以下に説明する第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、上記第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第一実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0062】
図5に示されているように、本実施形態においては、振動体70は、ダイアフラム中心PCと素子中心PPとが背面視にて一致するように構成されている。すなわち、超音波素子6は、ダイアフラム50の面内方向における中心位置に接合されている。よって、本実施形態においては、超音波素子6は、下方にオフセット配置されてはいない。
【0063】
ダイアフラム50は、厚さが略一定の平板状に形成されている。また、ダイアフラム50は、車高方向に沿った長手方向を有する形状を有している。さらに、側板部52は、上記第一実施形態と同様の構成を有している。一方、本実施形態においては、振動体70は、ダイアフラム中心PCよりも下方側にオフセット配置された荷重調整部としての、荷重調整錘501を有している。荷重調整錘501は、内面51aから内部空間53に向かって軸方向に突出するように、底板部51に設けられている。
【0064】
すなわち、本実施形態においては、底板部51には、荷重調整錘501が設けられている。換言すれば、底板部51は、荷重調整錘501を有している。そして、ダイアフラム50と荷重調整錘501とによって形成される振動板は、ダイアフラム中心PCよりも下方側に重心PGがオフセットした構成を有している。なお、荷重調整錘501は、底板部51と同一材料によって形成され得る。この場合、荷重調整錘501は、底板部51と継ぎ目なく一体に形成され得る。あるいは、荷重調整錘501は、底板部51とは異なる同一材料によって形成され得る。この場合、荷重調整錘501は、例えば、底板部51と接着あるいは溶接等の周知の接合方法によって接合され得る。
【0065】
かかる構成においては、振動体70は、ダイアフラム50と、超音波素子6と、荷重調整錘501とによって形成されている。ダイアフラム50は、面内方向すなわち高さ方向について略均一な密度に形成されている。超音波素子6は、ダイアフラム中心PCと同心となる面内位置にて、ダイアフラム50に接合されている。荷重調整錘501は、ダイアフラム中心PCよりも下方側にて、ダイアフラム50に接合されている。
【0066】
かかる構成によれば、
図5に示されているように、振動体70の重心PGが、ダイアフラム中心PCよりも下方にオフセットする。したがって、車高方向における下方側に偏心した振動重心を有する振動体70が、簡略な装置構成により実現され得る。
【0067】
なお、荷重調整錘501は、超音波素子6と同様の電気-機械変換素子であってもよい。すなわち、振動体70は、複数の超音波素子6を高さ方向に不均等配置することで、重心PGがダイアフラム中心PCよりも下方にオフセットした構成を有していてもよい。かかる構成によれば、複数の超音波素子6の各々における駆動状態を調整することで、所望の指向特性が実現され得る。
【0068】
(第三実施形態)
図6は、
図5に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。以下の第三実施形態の説明においては、主として、上記第二実施形態とは異なる部分について説明する。また、上記第二実施形態と以下に説明する第三実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第三実施形態の説明において、上記第二実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第二実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0069】
図6に示されているように、本実施形態においては、振動体70は、ダイアフラム中心PCと素子中心PPとが背面視にて一致するように構成されている。すなわち、超音波素子6は、下方にオフセット配置されてはいない。また、側板部52は、上記第一実施形態と同様の構成を有している。
【0070】
ダイアフラム50は、突起あるいは凹部がない、厚さが一定の平板状に形成されている。また、ダイアフラム50は、車高方向に沿った長手方向を有する形状を有している。一方、本実施形態においては、ダイアフラム50は、ダイアフラム中心PCよりも重心PGが下方となる構成を有している。すなわち、ダイアフラム50は、面内方向について不均一な、質量分布あるいは密度分布を有することで、ダイアフラム50それ自体の重心位置がダイアフラム中心PCから下方にオフセットした構成を有している。
【0071】
具体的には、ダイアフラム50には、ダイアフラム中心PCよりも下方側にオフセット配置された荷重調整部としての高密度部502が設けられている。高密度部502は、ダイアフラム50における他の部分よりも高密度に形成されている。
【0072】
かかる構成によれば、
図6に示されているように、振動体70の重心PGが、ダイアフラム中心PCよりも下方にオフセットする。したがって、車高方向における下方側に偏心した振動重心を有する振動体70が、簡略な装置構成により実現され得る。
【0073】
なお、ダイアフラム50における密度分布は、連続的であってもよいし、不連続的であってもよい。すなわち、例えば、高密度部502は、高さ方向について連続的に密度が変化するように形成されたダイアフラム50における、高密度側の部分であってもよい。あるいは、例えば、高密度部502は、ダイアフラム50に設けられた凹部に充填された、ダイアフラム50を構成する材料よりも高密度な材料からなる充填物であってもよい。
【0074】
(第四実施形態)
図7は、
図6に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。以下の第四実施形態の説明においては、主として、上記第二実施形態あるいは第三実施形態とは異なる部分について説明する。
【0075】
ダイアフラム50は、厚さが略一定の平板状に形成されている。また、ダイアフラム50は、車高方向に沿った長手方向を有する形状を有している。本実施形態においても、ダイアフラム50は、ダイアフラム中心PCよりも重心PGが下方となる構成を有している。具体的には、
図7に示されているように、ダイアフラム50には、ダイアフラム中心PCよりも上方側にオフセット配置された荷重調整部としての荷重調整凹部503が設けられている。荷重調整凹部503は、軸方向における基端側に向かって開口することで内部空間53と連通するように、底板部51の内面51aに設けられている。
【0076】
かかる構成によれば、
図7に示されているように、ダイアフラム50の面内方向における荷重調整凹部503に対応する部分には、他の部分よりも板厚が小さい薄肉部504が形成される。これにより、薄肉部504が存在しないダイアフラム中心PCよりも下方側の部分の方が、相対的に、薄肉部504が存在するダイアフラム中心PCよりも上方側の部分よりも、質量が大きくなる。したがって、かかる構成によれば、上記第三実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0077】
(第五実施形態)
図8は、
図3、
図5等に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。本実施形態においても、ダイアフラム50は、ダイアフラム中心PCよりも重心PGが下方となる構成を有している。
【0078】
ダイアフラム50は、突起あるいは凹部がない、厚さが一定の平板状に形成されている。また、ダイアフラム50は、面内方向すなわち高さ方向について略均一な密度に形成されている。一方、
図8に示されているように、本実施形態においては、ダイアフラム50は、幾何中心PQが下方側に偏心した、略卵形の面内形状を有している。
【0079】
かかる構成においては、ダイアフラム50は、板厚方向と直交する面内にて、幾何中心PQが下方側に偏心した形状を有している。これにより、上記第三実施形態等と同様の効果が奏され得る。
【0080】
(第六実施形態)
図9は、
図3、
図5等に示された超音波トランスデューサ4の構成の一部を変更したものである。本実施形態においては、ダイアフラム50は、突起あるいは凹部がない、厚さが一定の平板状に形成されている。また、ダイアフラム50は、面内方向すなわち高さ方向について略均一な密度に形成されている。
【0081】
本実施形態においては、ダイアフラム50におけるダイアフラム中心PCよりも下方の被付勢部505は、板厚方向に沿った付勢方向DFに付勢されている。付勢方向DFは、露出方向DDと略同一方向である。
【0082】
また、振動体70は、付勢部701を備えている。付勢部701は、被付勢部505を付勢方向DFに付勢するように設けられている。具体的には、例えば、付勢部701は、被付勢部505に当接するように内部空間53内に収容されたバネ等の弾性体によって構成され得る。
【0083】
かかる構成によれば、ダイアフラム50におけるダイアフラム中心PCよりも下方の被付勢部505が付勢部701により付勢されることで、振動体70における振動重心が、車高方向における下方側に偏心する。したがって、かかる構成によれば、下方に向かうサイドローブが低減されることで、路面反射の影響が良好に軽減され得る。したがって、かかる構成によれば、路面反射による誤検知を良好に抑制することが可能となる。
【0084】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0085】
超音波センサ1は、車載用に限定されない。すなわち、超音波センサ1は、車載のクリアランスソナーあるいはコーナーセンサ以外の、様々な用途に用いられ得る。
【0086】
超音波センサ1は、超音波を送受信可能な構成に限定されない。すなわち、例えば、超音波センサ1は、超音波の発信のみが可能な構成を有していてもよい。換言すれば、超音波トランスデューサ4は、送受信用であってもよいし、送信用であってもよい。
【0087】
超音波トランスデューサ4における各部の構成も、上記具体例に限定されない。具体的には、例えば、超音波トランスデューサ4すなわちトランスデューサケース5の外形形状は、略円柱状に限定されず、略正六角柱状、略正八角柱状、等であってもよい。また、トランスデューサケース5を形成する材料は、非金属であってもよいし、金属と非金属との複合材料であってもよい。
【0088】
ダイアフラム50の平面形状についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、ダイアフラム50をオーバル状に形成する場合、かかるオーバル形状は、角丸長方形状すなわち互いに長手方向に離隔した一対の半円とその間の矩形とを組み合わせた形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。また、ダイアフラム50の平面形状は、オーバル状に限定されない。具体的には、例えば、ダイアフラム50の平面形状は、円形状、正多角形状、亜鈴状、等であってもよい。
【0089】
底板部51と側板部52とは、継ぎ目なく一体に形成されていなくてもよい。すなわち、例えば、底板部51は、溶接、接着、等の各種接合技術によって、筒状の側板部52の一端と接合されていてもよい。この場合、側板部52は、底板部51とは異なる材料によって形成されていてもよい。
【0090】
超音波素子6は、圧電素子に限定されない。すなわち、例えば、超音波素子6として、いわゆる静電容量型素子が用いられ得る。超音波素子6の平面形状も、略円形状あるいは略楕円形状に限定されない。具体的には、例えば、超音波素子6は、ダイアフラム50の平面形状に類似した平面形状(例えば相似形)に形成されていてもよい。
【0091】
上記の説明において、互いに継ぎ目無く一体に形成されていた複数の構成要素は、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継ぎ目無く一体に形成されてもよい。
【0092】
上記の説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
【0093】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0094】
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の構成例あるいは実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。組み合わせる数についても特段の限定はない。同様に、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、複数の実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
【0095】
(まとめ)
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
【0096】
第1の観点によれば、超音波センサ(1)を取付対象(V2)に取付けてなる、超音波センサ取付構造(S)は、以下の構成を有する:
前記超音波センサは、超音波振動可能な超音波素子(6)が固定された薄板状のダイアフラム(50)における板厚方向が車高方向と交差するように、前記取付対象に取付けられ、
前記板厚方向に沿った厚さ方向を有し前記ダイアフラムと前記超音波素子とによって形成された振動体(70)は、前記車高方向における下方側に偏心した重心を有している。
【0097】
第2の観点によれば、前記振動体は、前記ダイアフラムの前記車高方向における中心(PC)よりも重心(PG)が下方となるように構成されている。
【0098】
第3の観点によれば、前記ダイアフラムは、前記中心よりも重心(PG)が下方となる構成を有している。
【0099】
第4の観点によれば、前記ダイアフラムは、前記板厚方向と直交する面内にて、幾何中心(PQ)が下方側に偏心した形状を有している。
【0100】
第5の観点によれば、前記振動体は、前記中心よりも下方側または上方側にオフセット配置された荷重調整部を有している。
【0101】
第6の観点によれば、前記荷重調整部は、前記中心よりも下方側にオフセット配置された前記超音波素子である。すなわち、前記振動体は、前記超音波素子が前記中心よりも下方側にオフセット配置されることで、前記中心よりも前記重心が下方となるように構成されている。
【0102】
第7の観点によれば、前記超音波センサは、中心軸(DA)を囲む筒状に形成された側板部(52)と、前記ダイアフラムを構成するように前記中心軸と平行な軸方向における前記側板部の一端側を閉塞する底板部(51)とを有する有底筒状に形成された、トランスデューサケース(5)を備え、
前記側板部は、前記中心軸よりも上方に配置された第一側板部(52a)と、前記中心軸よりも下方にて前記中心軸を挟んで前記第一側板部と対向配置された第二側板部(52b)とを有し、
前記第一側板部と前記第二側板部とは、前記中心軸を含み前記軸方向および前記車高方向と直交する水平方向と平行な対称面について対称に形成されている。
【0103】
第8の観点によれば、前記ダイアフラムは、厚さが一定の平板状に形成され、且つ、前記車高方向に沿った長手方向を有する形状を有している。
【符号の説明】
【0104】
S 超音波センサ取付構造
1 超音波センサ
5 トランスデューサケース
50 ダイアフラム
6 超音波素子
70 振動体
PC ダイアフラム中心
PG 重心
PP 素子中心
V2 フロントバンパー