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  • 特許-電力変換器用の基板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電力変換器用の基板
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240109BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020096352
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021191166
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁田 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】六浦 圭太
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001960(JP,A)
【文献】特開2011-041415(JP,A)
【文献】国際公開第2020/080869(WO,A1)
【文献】特開2020-018087(JP,A)
【文献】特開2009-219274(JP,A)
【文献】特開2009-130967(JP,A)
【文献】特開2017-060261(JP,A)
【文献】特開2017-060255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器用の基板であって、
基板本体と、
前記基板本体に設けられ、主機用の第1電力変換器を駆動する複数の駆動回路部であって、第1方向に沿って直線状に並ぶ複数の駆動回路部と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられる第2電力変換器とを備え、
前記複数の駆動回路部は、前記第1電力変換器の高電位側に電気的に接続される高電位側の駆動回路部と、前記第1電力変換器の低電位側に電気的に接続される低電位側の駆動回路部とを含み、
前記第2電力変換器は、前記第1方向で前記低電位側の駆動回路部に隣接して配置される、基板。
【請求項2】
前記第1電力変換器は、高圧バッテリに電気的に接続され、
前記基板本体に設けられ、低圧バッテリに電気的に接続される低圧コネクタ用の端子部を更に備え、
前記低圧コネクタ用の端子部は、前記第1方向で前記複数の駆動回路部に対して前記第2電力変換器とは反対側に配置される、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記基板本体に設けられ、前記低圧コネクタ用の端子部に電気的に接続される第1電源回路と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられ、前記第1電源回路に電気的に接続され、前記複数の駆動回路部を介して前記第1電力変換器を制御する第1処理装置と、
前記基板本体に設けられ、前記高圧バッテリ及び前記第2電力変換器に電気的に接続される高圧コネクタ用の端子部と、
前記基板本体に設けられ、前記高圧コネクタ用の端子部を介して前記第2電力変換器に印加される高圧電圧を、検出する高圧検出回路とを更に備え、
前記高圧検出回路は、前記高圧コネクタ用の端子部と前記第1処理装置との間に配置される、請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記高圧検出回路は、前記低電位側の駆動回路部の近傍に配置される、請求項3に記載の基板。
【請求項5】
前記基板本体に設けられ、前記低圧コネクタ用の端子部に電気的に接続される第2電源回路と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられ、前記第2電源回路に電気的に接続され、前記第2電力変換器を制御する第2処理装置とを更に備え、
前記第2電源回路及び前記第2処理装置は、前記第1方向に直交する第2方向で、前記複数の駆動回路部に対して前記第1電源回路及び前記第1処理装置とは逆側に配置される、請求項3又は4に記載の基板。
【請求項6】
前記基板本体に設けられ、前記第2電力変換器の複数の端子に接合される複数の第1接続端子と、
前記高圧コネクタ用の端子部に設けられる複数の第2接続端子と、
前記駆動回路部に設けられ、前記第1処理装置に電気的に接続される複数の第3接続端子とを更に備え、
前記複数の第1接続端子、前記複数の第2接続端子、及び前記複数の第3接続端子は、前記第1方向に配置される、請求項4又は5に記載の基板。
【請求項7】
前記複数の第1接続端子は、前記第1方向に直交する第2方向に視て、前記高圧コネクタ用の端子部に少なくとも一部が重なるように配置される、請求項6に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換器用の基板に関する。
【背景技術】
【0002】
主機インバータの各相に係る上下アームのそれぞれごとの駆動回路部(合計6つの駆動回路部)を、2×3の配列で基板上にレイアウトする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-60261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来技術とは異なり複数の駆動回路部を、一の方向に沿って直線状に配置する場合、当該一の方向の基板サイズが大型化しやすくなる。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、複数の駆動回路部を直線状に配置する場合において配置方向の基板サイズを比較的小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、電力変換器用の基板であって、
基板本体と、
前記基板本体に設けられ、主機用の第1電力変換器を駆動する複数の駆動回路部であって、第1方向に沿って直線状に並ぶ複数の駆動回路部と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられる第2電力変換器とを備え、
前記複数の駆動回路部は、前記第1電力変換器の高電位側に電気的に接続される高電位側の駆動回路部と、前記第1電力変換器の低電位側に電気的に接続される低電位側の駆動回路部とを含み、
前記第2電力変換器は、前記第1方向で前記低電位側の駆動回路部に隣接して配置される、基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示によれば、複数の駆動回路部を直線状に配置する場合において配置方向の基板サイズを比較的小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電動車両用のモータ駆動システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】基板上の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
以下では、本実施例による電力変換器用の基板の説明に先立って、まず、本実施例による電力変換器用の基板が適用されるのが好適な電動車両用のモータ駆動システム1について説明する。なお、電動車両用のモータ駆動システム1に関する図1の説明において、特に言及しない限り、各種の要素間の“接続”という用語は、“電気的な接続”を意味する。
【0011】
図1は、電動車両用のモータ駆動システム1の全体構成の一例を示す図である。モータ駆動システム1は、高圧バッテリ2の電力を用いて主機モータ5を駆動することにより車両を駆動させるシステムである。なお、電動車両は、電力を用いて主機モータ5を駆動して走行するものであれば、その方式や構成の詳細は任意である。電動車両は、典型的には、動力源がエンジンと主機モータ5であるハイブリッド自動車や、動力源が主機モータ5のみである電気自動車を含む。以下、車両とは、特に言及しない限り、モータ駆動システム1が搭載される車両を指す。
【0012】
モータ駆動システム1は、図1に示すように、高圧バッテリ2、平滑コンデンサ3と、主機インバータ4(第1電力変換器の一例)、主機モータ5、及びインバータ制御装置6を備える。
【0013】
高圧バッテリ2は、電力を蓄積して直流電圧を出力する任意の蓄電装置であり、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリや電気2重層キャパシタ等の容量性素子を含んでよい。高圧バッテリ2は、典型的には、定格電圧が100Vを超えるバッテリであり、定格電圧が例えば288Vである。
【0014】
主機インバータ4は、正極ラインと負極ラインとの間に互いに並列に配置されるU相、V相、W相の各アームを含む。U相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)Q1、Q2の直列接続を含み、V相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q3、Q4の直列接続を含み、W相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q5、Q6の直列接続を含む。また、各スイッチング素子Q1~Q6のコレクタ-エミッタ間には、それぞれ、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すようにダイオードD11~D16が配置される。なお、スイッチング素子Q1~Q6は、MOSFET(metal oxide semiconductor field-effect transistor)のような、IGBT以外の他のスイッチング素子であってもよい。
【0015】
主機モータ5は、例えば3相の交流モータであり、U、V、W相の3つのコイルの一端が中性点で共通接続される。U相コイルの他端は、スイッチング素子Q1、Q2の中点M1に接続され、V相コイルの他端は、スイッチング素子Q3、Q4の中点M2に接続され、W相コイルの他端は、スイッチング素子Q5、Q6の中点M3に接続される。スイッチング素子Q1のコレクタと負極ラインとの間には、平滑コンデンサ3が接続される。
【0016】
インバータ制御装置6には、主機モータ5を流れる電流を検出する電流センサ(図示せず)等の各種センサが接続される。インバータ制御装置6は、各種センサからのセンサ情報に基づいて、主機インバータ4を制御する。インバータ制御装置6は、例えばCPU、ROM、メインメモリ(全て図示せず)などを含み、インバータ制御装置6の各種機能は、ROM等に記録された制御プログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現される。主機インバータ4の制御方法は、任意であるが、基本的には、U相に係る2つのスイッチング素子Q1、Q2が互いに逆相でオン/オフし、V相に係る2つのスイッチング素子Q3、Q4が互いに逆相でオン/オフし、W相に係る2つのスイッチング素子Q5、Q6が互いに逆相でオン/オフする。
【0017】
高圧バッテリ2と平滑コンデンサ3との間には、図1に示すように、高圧バッテリ2から電力供給を遮断するための遮断用スイッチSW1が設けられる。遮断用スイッチSW1は、半導体スイッチやリレー等で構成されてもよい。遮断用スイッチSW1は、常態でオン状態であり、例えば車両の衝突検出時等にオフとされる。なお、遮断用スイッチSW1のオン/オフの切換はインバータ制御装置6により実現されてもよいし、他の制御装置により実現されてもよい。
【0018】
本実施例では、モータ駆動システム1は、図1に示すように、コンデンサ3B、補機インバータ4B(第2電力変換器の一例)、及び補機モータ5Bを更に備える。補機モータ5Bは、補機を形成する。本実施例では、一例として、補機モータ5Bは、主機モータ5に供給される油を吐出する電動式オイルポンプを形成する。補機モータ5Bは、対応する補機インバータ4B及びコンデンサ3Bと共に、主機モータ5及び主機インバータ4と並列な関係で、高圧バッテリ2に接続されてよい。なお、変形例では、補機モータ5Bは、主機モータ5の補助機能を担わないモータ(例えば空調装置のコンプレッサ用モータ)であってもよい。
【0019】
補機インバータ4Bは、回路構成自体は上述した主機インバータ4と同様であるが、スイッチング素子Q1~Q6等の電気的特性(定格電流や耐圧等)が異なる。補機インバータ4Bは、主機インバータ4に比べて、定格電流や耐圧等が低くてもよく、後述のように基板60上に実装可能である。なお、主機インバータ4を形成するスイッチング素子Q1~Q6等は、基板60に実装されずに、インバータモジュールとして、基板60とは別に配置される。
【0020】
モータ駆動システム1は、図1に示すように、補機モータ5Bを制御するインバータ制御装置6Bを更に備える。補機モータ5Bの制御方法は、任意であるが、基本的には、U相に係る2つのスイッチング素子Q1、Q2が互いに逆相でオン/オフし、V相に係る2つのスイッチング素子Q3、Q4が互いに逆相でオン/オフし、W相に係る2つのスイッチング素子Q5、Q6が互いに逆相でオン/オフする態様で実現されてもよい。インバータ制御装置6Bの機能の一部又は全部は、インバータ制御装置6により実現されてもよい。
【0021】
インバータ制御装置6B及びインバータ制御装置6は、車両の低圧バッテリ2Bからの電力に基づいて動作する。低圧バッテリ2Bは、高圧バッテリ2よりも定格電圧が有意に低い電源である。低圧バッテリ2Bは、例えば定格電圧が12Vである。なお、変形例では、インバータ制御装置6B及び/又はインバータ制御装置6は、高圧バッテリ2からの電力に基づき(例えば高圧バッテリ2からの電力により生成されるバックアップ電源に基づき)動作可能であってもよい。
【0022】
なお、図1に示す例では、モータ駆動システム1は、DC/DCコンバータを備えていないが、高圧バッテリ2と主機インバータ4の間にDC/DCコンバータを備えてもよい。
次に、図2以降を参照して、基板60(電力変換器用の基板の一例)の構成について説明する。同様に、図2以降の説明において、特に言及しない限り、各種の要素間の“接続”という用語は、“電気的な接続”を意味する。また、以下では、“マイコン”という用語は、マイクロコンピュータの略である。
【0023】
基板60は、以下で説明するように、上述した補機インバータ4B、インバータ制御装置6、及びインバータ制御装置6Bを実現する各種電子部品が実装される。
【0024】
図2は、基板60上の構成を概略的に示す平面図である。なお、図2では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。図2には、基板60の延在平面に沿った2次元で、互いに直交するX方向(第1方向の一例)及びY方向(第2方向の一例)が定義されている。また、X方向についてX1側及びX2側が定義され、YについてY1側及びY2側が定義されている。
【0025】
基板60は、基板本体61を備える。基板本体61は、例えば、リジットタイプであり、多層基板であってよい。なお、図2では、基板本体61は、矩形であるが、他の形状であってもよい。
【0026】
基板本体61の表面又は内層には、以下で説明する各電源部品間の接続を実現する配線が形成される。なお、図2では、配線の一部の図示は省略されている。
【0027】
基板本体61には、インバータ制御装置6に関連する電子部品と、インバータ制御装置6B及び補機インバータ4Bに関連する電子部品と、が実装される。以下、基板本体61に実装される電子部品とそれらのレイアウトについて説明する。
【0028】
基板本体61には、複数の駆動回路部40と、変換器用チップ70とが実装される。
【0029】
複数の駆動回路部40は、主機インバータ4を駆動する。駆動回路部40は、U、V、W相のそれぞれごとに、かつ、上下アームごとに設けられる。従って、本実施例では、駆動回路部40は、6つ設けられる。なお、変形例では、駆動回路部40は、他の数で設けられてもよい。
【0030】
具体的には、複数の駆動回路部40は、U相の上アーム(高電位側)に係る駆動回路部41と、U相の下アーム(低電位側)に係る駆動回路部42と、V相の上アーム(高電位側)に係る駆動回路部43と、V相の下アーム(低電位側)に係る駆動回路部44と、W相の上アーム(高電位側)に係る駆動回路部45と、W相の下アーム(低電位側)に係る駆動回路部46とを含む。
【0031】
なお、以下、特に言及しない限り、複数の駆動回路部40とは、駆動回路部41から駆動回路部46を指すものとし、また、一の駆動回路部40とは、駆動回路部41から駆動回路部46のうちの任意の1つを指すものとする。
【0032】
一の駆動回路部40は、主機インバータ4のスイッチング素子Q1~Q6のうちの対応する一のスイッチング素子のゲートに駆動信号を印加するための駆動IC(Integrated Circuit)等を含む。また、一の駆動回路部40は、複数の接続端子400(第3接続端子の一例)を有する。複数の接続端子400は、X方向に配置される。なお、複数の接続端子400には、後述する主機マイコン50が電気的に接続される。複数の接続端子400は、主機マイコン50からの駆動信号の受信や、主機マイコン50へのセンサ情報(例えば素子温度情報や電流情報)の送信等に利用されてよい。複数の接続端子400の数や配置は、駆動回路部41から駆動回路部46のうちで、適宜、若干異なってもよい。
【0033】
複数の駆動回路部40は、X方向に配置される。すなわち、複数の駆動回路部40は、X方向に沿って直線状に並ぶ態様でレイアウトされる。複数の駆動回路部40は、例えば、互いに対してY方向に実質的にオフセットすることなく、X方向に並んで配置される。以下、複数の駆動回路部40の全体の配置領域を、配置領域612と表記する。配置領域612は、X方向に長い矩形の外形を有する。
【0034】
変換器用チップ70は、補機インバータ4Bを形成する。すなわち、変換器用チップ70は、補機インバータ4Bのスイッチング素子Q1~Q6及びダイオードD11~D16を備える。なお、変換器用チップ70は、1つの集積回路チップの形態であるが、2つ以上の集積回路チップの組み合わせの形態で実現されてもよい。変換器用チップ70は、補機インバータ4Bの駆動回路(ゲートドライバ回路)を内蔵してもよい。また、変換器用チップ70は、過電流保護機能のような特定機能を有する回路部や他の関連する素子等を内蔵してもよい。変換器用チップ70は、例えば表面実装型であり、IPM(Intelligent Power Module)の形態であってよい。
【0035】
変換器用チップ70は、外形が例えば矩形であり、長手方向がX方向に沿う態様で基板本体61上に配置される。ただし、変換器用チップ70の外形は任意であり、矩形以外の形態であってもよい。
【0036】
変換器用チップ70は、複数の端子71を有する。複数の端子71の数は、例えば5つ以上である。複数の端子71は、変換器用チップ70のY方向Y2側の辺に沿って、X方向に並んで配置される。複数の端子71は、リードの形態であるが、バンプのような他の形態であってもよい。
【0037】
複数の端子71は、基板本体61上の複数の第1接続端子81Aに接合される。複数の第1接続端子81Aは、複数の端子71に対応して、X方向に並んで配置される。複数の第1接続端子81Aは、変換器用チップ70の複数の端子71に一対一の関係で接合される。複数の第1接続端子81Aは、例えばパッドの形態であるが、スルーホールのような他の形態であってもよい。なお、各第1接続端子81Aと各端子71との間の接合は、半田等により実現されてよい。
【0038】
複数の第1接続端子81Aは、補機モータ5Bに接続される3つの端子811~813と、高圧バッテリ2の正極側に接続される1つの端子814と、高圧バッテリ2の負極側に接続される1つの端子815とからなり、合計で5つである。3つの端子811~813は、一例として、U相、V相、W相の各相に対応する。以下では、このように、補機モータ5BのU相に接続される端子、補機モータ5BのV相に接続される端子、補機モータ5BのW相に接続される端子、高圧バッテリ2の正極側に接続される端子、及び、高圧バッテリ2の負極側に接続される端子は、“属性”の異なる端子とも称する。
【0039】
なお、変形例では、複数の第1接続端子81Aの数は、6つ以上であってもよい。例えば、高圧バッテリ2の負極側に接続される第1接続端子81Aの数は、2つ以上であってもよい。また、端子811~815の並び順は、図2に示す態様に限られず、他の態様で実現されてもよい。例えば、X方向の両側に、端子814、815が配置され、それらの間に、端子811~813が配置されてもよい。
【0040】
変換器用チップ70は、複数の制御端子72を有する。複数の制御端子72は、複数の端子71とは逆側に設けられる。すなわち、複数の制御端子72は、変換器用チップ70のY方向Y1側の辺に沿って、X方向に並んで配置される。複数の制御端子72は、リードの形態であるが、バンプのような他の形態であってもよい。
【0041】
複数の制御端子72は、複数の端子71と同様、基板本体61上の複数の接続端子81Bに接合される。複数の接続端子81Bは、複数の第1接続端子81Aと同様、X方向に並んで配置される。複数の接続端子81Bは、変換器用チップ70の複数の制御端子72に一対一の関係で接合される。複数の接続端子81Bは、例えばパッドの形態であるが、スルーホールのような他の形態であってもよい。なお、各接続端子81Bと各制御端子72との間の接合は、半田等により実現されてよい。複数の接続端子81Bは、補機マイコン52等に接続される。
【0042】
変換器用チップ70は、X方向で下アームに係る駆動回路部46に隣接して配置される。本実施例では、一例として、変換器用チップ70は、X方向でW相の下アームに係る駆動回路部46に隣接して配置される。なお、「隣接」とは、特に言及しない限り、隙間を介して隣り合う関係を含む概念である。
【0043】
ここで、複数の駆動回路部40がX方向に直線状に並んで配置される場合、X方向の配置領域612の一方側の端部には、下アームに係る一の駆動回路部40が配置され、他方側の端部には、上アームに係る一の駆動回路部40が配置される傾向がある。これは、上アームに係る一の駆動回路部40と、下アームに係る一の駆動回路部40とは、相ごとに隣接して交互に配置されるのが通常であるためである。なお、この場合、U、V、W相のどの相に係る駆動回路部40が配置領域612のX方向の端部に配置されるかは多様でありうる。
【0044】
従って、変換器用チップ70を配置領域612に対してX方向で隣接して配置する場合、変換器用チップ70は、下アームに係る一の駆動回路部40に隣接するか、上アームに係る一の駆動回路部40に隣接するか、いずれかとなる。
【0045】
本実施例とは異なり、変換器用チップ70を上アームに係る一の駆動回路部40にX方向で隣接して配置する場合、X方向で変換器用チップ70と上アームに係る一の駆動回路部40との間で確保すべきX方向の絶縁距離が比較的長くなる。
【0046】
これに対して、本実施例では、変換器用チップ70は、下アームに係る一の駆動回路部40にX方向で隣接して配置されるので、上アームに係る一の駆動回路部40にX方向で隣接して配置される場合に比べて、変換器用チップ70と配置領域612との間で確保すべきX方向の絶縁距離を短くできる。これにより、複数の駆動回路部40がX方向に直線状に並んで配置される場合でも、基板本体61のX方向の長さを効果的に低減できる。すなわち、基板60の小型化を図ることができる。
【0047】
なお、本実施例では、変換器用チップ70は、X方向に視て、全体が配置領域612に重ならず、Y2側の部分だけが配置領域612に重なるが、これに限られない。例えば、変換器用チップ70は、X方向に視て、全体が配置領域612に重なってもよいし、Y1側の部分だけが配置領域612に重なってもよい。
【0048】
また、本実施例では、変換器用チップ70は、矩形の形態の長手方向がX方向に一致するように配置されるが、これに限られない。すなわち、変換器用チップ70は、矩形の形態の短手方向がX方向に一致するように配置されてもよい。
【0049】
次に、図2を更に参照して、基板本体61上の他の電子部品とそれらのレイアウトについて説明する。
【0050】
基板本体61には、更に、低圧コネクタ用の端子部20が設けられる。低圧コネクタ用の端子部20には、低圧コネクタ(図示せず)側の端子部(図示せず)が接合される。低圧コネクタ用の端子部20は、低圧コネクタ(図示せず)を介して、車両の低圧バッテリ2B(図1参照)に接続される。
【0051】
低圧コネクタ用の端子部20は、X方向で複数の駆動回路部40に対して変換器用チップ70とは反対側に配置される。すなわち、変換器用チップ70は、配置領域612に対してX方向X1側に配置され、低圧コネクタ用の端子部20は、配置領域612に対してX方向X2側に配置される。
【0052】
低圧コネクタ用の端子部20には、複数の端子200が設けられる。複数の端子200は、例えばパッドの形態であるが、スルーホールのような他の形態であってもよい。複数の端子200は、例えば2列をなしてY方向に延在してよい。この場合、低圧コネクタ用の端子部20の配置範囲は、図2に示すように、Y方向を長手方向とする矩形の形態となる。これにより、低圧コネクタ用の端子部20の配置範囲に係るX方向の長さを効果的に短くでき、基板本体61のX方向の長さを効果的に低減できる。
【0053】
なお、図2では、低圧コネクタ用の端子部20は、X方向に視て、全体が配置領域612に重なるが、これに限られない。例えば、低圧コネクタ用の端子部20は、X方向に視て、一部(例えばY1側の一部又はY2側の一部)だけが配置領域612に重なってもよい。
【0054】
基板本体61には、更に、主機用電源回路30(第1電源回路の一例)、補機用電源回路32(第2電源回路の一例)、主機マイコン50、及び補機マイコン52が設けられる。
【0055】
主機用電源回路30は、低圧コネクタ用の端子部20に接続される。主機用電源回路30は、低圧コネクタ用の端子部20を介して接続される低圧バッテリ2Bからの電力に基づいて、主機マイコン50等の動作用の低圧系電源を生成する。
【0056】
主機用電源回路30は、好ましくは、図2に示すように、低圧コネクタ用の端子部20と主機マイコン50との間に配置される。これにより、低圧コネクタ用の端子部20と主機マイコン50とを主機用電源回路30を介して比較的短い配線長で接続できる。
【0057】
補機用電源回路32は、低圧コネクタ用の端子部20に接続される。補機用電源回路32は、低圧コネクタ用の端子部20を介して接続される低圧バッテリ2Bからの電力に基づいて、補機マイコン52等の動作用の低圧系電源を生成する。
【0058】
補機用電源回路32は、好ましくは、図2に示すように、低圧コネクタ用の端子部20と補機マイコン52との間に配置される。これにより、低圧コネクタ用の端子部20と補機マイコン52とを補機用電源回路32を介して比較的短い配線長で接続できる。
【0059】
補機用電源回路32は、配置領域612に対してY方向Y1側に配置される。すなわち、補機用電源回路32は、配置領域612に対してY方向で主機用電源回路30とは反対側に配置される。この場合、基板本体61にデッドスペースが生じない態様で効率的に補機用電源回路32及び主機用電源回路30を配置できる。
【0060】
主機マイコン50は、集積回路チップ(第1処理装置の一例)の形態であり、主機用電源回路30及び複数の駆動回路部40に接続される。主機マイコン50は、主機用電源回路30からの電力に基づき動作し、複数の駆動回路部40を介して主機インバータ4を制御する。主機マイコン50は、主機用電源回路30及び複数の駆動回路部40と協動して、インバータ制御装置6(図1参照)を形成する。
【0061】
図2に示す例では、主機マイコン50は、配置領域612に対してY方向Y2側に配置される。また、主機マイコン50は、主機用電源回路30に対してX方向X1側に配置される。
【0062】
補機マイコン52は、集積回路チップ(第2処理装置の一例)の形態であり、補機用電源回路32及び変換器用チップ70に接続される。補機マイコン52は、補機用電源回路32からの電力に基づき動作し、変換器用チップ70により形成される補機インバータ4Bを制御する。補機マイコン52は、補機用電源回路32と協動して、インバータ制御装置6B(図1参照)を形成する。
【0063】
図2に示す例では、補機マイコン52は、配置領域612に対してY方向Y1側に配置される。すなわち、補機マイコン52は、配置領域612に対してY方向で主機マイコン50とは反対側に配置される。また、補機マイコン52は、補機用電源回路32に対してX方向X1側に配置される。この場合、補機マイコン52は、X方向で変換器用チップ70と補機用電源回路32との間に配置される。
【0064】
基板本体61には、更に、高圧コネクタ用の端子部83と、配線部91と、容量性素子96とが設けられる。
【0065】
高圧コネクタ用の端子部83には、高圧コネクタ(図示せず)側の端子部(図示せず)が接合される。高圧コネクタ用の端子部83は、高圧コネクタ(図示せず)を介して高圧バッテリ2及び補機モータ5Bに接続される。
【0066】
高圧コネクタ用の端子部83には、複数の第2接続端子82が設けられる。複数の第2接続端子82は、端子821~825等を含んでよい。複数の第2接続端子82は、例えばパッドの形態であるが、スルーホールのような他の形態であってもよい。複数の第2接続端子82は、複数の第1接続端子81Aの数に対応した数だけ設けられてよい。なお、複数の第2接続端子82は、複数の第1接続端子81Aの属性ごとに1つずつ設けられてよい。例えば、複数の第1接続端子81Aが高圧バッテリ2の負極側に接続される端子を複数含む場合、複数の第1接続端子81Aのうちの、高圧バッテリ2の負極側に接続される複数の端子は、複数の第2接続端子82のうちの、高圧バッテリ2の負極側に接続される1つの端子に接続されてよい。
【0067】
複数の第2接続端子82は、配置領域612よりもX方向X1側に配置される。複数の第2接続端子82は、変換器用チップ70に対してY方向で対向する。なお、図2では、複数の第2接続端子82の配置範囲(すなわち高圧コネクタ用の端子部83の範囲)は、変換器用チップ70の配置範囲に対して、X方向の長さが若干短く、かつ、X方向の位置が略同じであるが、これに限られない。例えば、複数の第2接続端子82の配置範囲は、変換器用チップ70の配置範囲よりもX方向の長さが同じであってもよいし、長くてもよい。また、複数の第2接続端子82の配置範囲は、Y方向に視て、変換器用チップ70の配置範囲に完全に重なってもよいし、一部だけが重なってもよい。
【0068】
複数の第2接続端子82は、X方向に並んで配置される。複数の第2接続端子82の並び順(X方向の並び順)は、好ましくは、複数の第1接続端子81Aの並び順(X方向の並び順)と対応する。すなわち、複数の第1接続端子81Aと複数の第2接続端子82とは、属性の同じ端子同士を結ぶ直線が交差しないような態様で、配置される。図2では、一例として、複数の第2接続端子82は、補機モータ5Bに接続される3つの端子821~823と、高圧バッテリ2の正極側に接続される1つの端子824と、高圧バッテリ2の負極側に接続される1つの端子825とが、X方向の左から順に配置される。これは、端子811~815の並び順と対応する。なお、端子811~815の並び順が図示とは異なる変形例では、それに応じて、端子821~825の並び順も異なることになる。
【0069】
なお、図2では、一例として、複数の第2接続端子82は、X方向に平行に並ぶが、互いに対してY方向にわずかにオフセットしつつX方向に並んでもよい。例えば、複数の第2接続端子82は、交互にY方向のY1側とY2側にオフセットする態様の千鳥配置が実現されてもよい。
【0070】
配線部91は、複数の配線911~915を含む。複数の配線911~915は、複数の第1接続端子81A(端子811~815)と複数の第2接続端子82(端子821~825)とを接続するように、これらの間に延在する。配線911は、U相に係る端子811、821間を接続し、配線912は、V相に係る端子812、822間を接続し、配線913は、W相に係る端子813、823間を接続し、配線914は、高圧バッテリ2の正極側に係る端子814、824間を接続し、配線915は、高圧バッテリ2の負極側に係る端子815、825間を接続する。
【0071】
本実施例では、端子811~815と端子821~825とは、互いに属性の同じ端子同士がX方向の同じ位置に配置されるので、複数の配線911~915をY方向に平行に直線状(すなわち最短距離の直線状)に形成できる。これにより、配線部91のインダクタンスを効果的に低減できるとともに、変換器用チップ70、高圧コネクタ用の端子部83、及び配線部91に係る実装スペース(以下、単に「変換器用チップ70等に係る実装スペース」とも称する)の低減を図ることができる。また、変換器用チップ70等に係る実装スペースの低減に伴い基板本体61の小型化を図ることができる。ただし、変形例では、端子811~815と端子821~825とは、互いに属性の同じ端子同士がY方向でわずかにオフセットされる関係で配置されてもよい。この場合も、複数の配線911~915は、Y方向に対してわずかに傾斜しうるが、依然として配線部91のインダクタンスを効果的に低減できる。
【0072】
複数の配線911~915は、基板本体61における同一の層(例えば表層)に形成されてもよいし、一部が異なる層に形成されてもよい。これにより、配線を形成する層の相違により配線間の電気的な絶縁を実現できるので、配線の設計自由度が向上する。例えば、複数の配線911~915のうちの、補機モータ5Bの各相に係る配線911~913と、高圧バッテリ2に係る配線914、915とは、基板本体61における異なる層に形成されてもよい。この場合、高圧バッテリ2に係る配線914、915は、基板本体61における一方側の表層(例えば、複数の第2接続端子82が配置される側の層)に形成され、補機モータ5Bの各相に係る配線911~913は、基板本体61における他方側の表層(例えば、複数の第2接続端子82が配置されない側の層)及び/又は内層(多層基板の場合)に形成されてもよい。
【0073】
容量性素子96は、コンデンサ3B(図1)を形成する。容量性素子96は、好ましくは、図2に示すように、Y方向に視て、高圧コネクタ用の端子部83と複数の第1接続端子81Aの配置範囲とに重なるように配置される。なお、高圧コネクタ用の端子部83の範囲は、基板本体61における高圧コネクタの設置範囲に対応し、高圧コネクタにおけるX方向の両端の端子間の範囲以上である。この場合、高圧コネクタにおけるX方向の両端の端子間の範囲は、X方向で端子821~端子825までの範囲、すなわち複数の第2接続端子82の配置範囲と同じであってよい。複数の第1接続端子81Aの配置範囲は、基板本体61におけるX方向で端子811~端子815までの範囲に対応する。これにより、限られた基板本体61上の素子配置スペース(変換器用チップ70等に係る実装スペースの面積)を効率的に利用して、Y方向で変換器用チップ70と高圧コネクタ用の端子部83の間に、容量性素子96を効率的に配置できる。また、容量性素子96に係る配線インダクタンス(すなわち、配線914や配線915に係る配線インダクタンス)を低減できる。
【0074】
なお、図2に図示されていないが、容量性素子96と同様に、Y方向で変換器用チップ70と高圧コネクタ用の端子部83の間には、Y方向に視て、高圧コネクタ用の端子部83と複数の第1接続端子81Aの配置範囲とに重なる態様で、他の素子(例えば、配線914に接続されるヒューズ)が設けられてもよい。
【0075】
基板本体61には、更に、高圧検出回路36が設けられる。高圧検出回路36は、高圧コネクタ用の端子部83を介して変換器用チップ70に印加される高圧電圧を、検出する。この目的のため、高圧検出回路36は、端子824、825や、高圧バッテリ2に係る配線914、915に接続されてよい。
【0076】
高圧検出回路36は、主機マイコン50に接続される。高圧検出回路36は、検出した高圧電圧を表す信号(電位情報)を主機マイコン50に与える。主機マイコン50は、高圧検出回路36からの信号に基づいて、変換器用チップ70に印加される高圧電圧を監視する。例えば、主機マイコン50は、変換器用チップ70に印加される高圧電圧が異常を示した場合に、フェールセーフを実現する。
【0077】
高圧検出回路36は、フォトカプラや磁気カプラのようなアイソレーション素子(図示せず)を介してX方向に分離された低圧側と高圧側とを有する。この場合、高圧検出回路36は、X方向X1側に高圧側の回路部を有し、X方向X2側に低圧側の回路部を有する。すなわち、高圧検出回路36は、基板本体61上の高圧側領域と低圧側領域とをX方向に跨ぐ態様で設けられる。
【0078】
高圧検出回路36は、高圧コネクタ用の端子部83と主機マイコン50との間に配置される。図2では、高圧検出回路36は、X方向で高圧コネクタ用の端子部83と主機マイコン50との間に配置される。また、高圧検出回路36は、高圧コネクタ用の端子部83に対してY方向Y2側に配置される。これにより、高圧コネクタ用の端子部83と主機マイコン50との間で確保すべき絶縁距離を短くできる。また、高圧検出回路36から主機マイコン50までの配線(図示せず)を短くでき、効率的な配線を実現できる。
【0079】
高圧検出回路36は、好ましくは、下アームに係る駆動回路部46の近傍に配置される。図2では、高圧検出回路36は、Y方向で下アームに係る駆動回路部46に隣接して配置される。この場合、下アームに係る駆動回路部46と、高圧検出回路36とを、互いに比較的近い位置関係で配置できる。すなわち、高圧検出回路36が上アームに係る駆動回路部40(例えば駆動回路部45)の近傍に配置される場合に比べて、互いに対して確保すべき絶縁距離を短くできる。これにより、基板60の小型化を図ることができる。
【0080】
また、本実施例では、高圧コネクタ用の端子部83は、端子825(高圧バッテリ2の負極側に接続される端子825)がX方向X2側の端部に配置されるので、高圧コネクタ用の端子部83と、高圧検出回路36とを、互いに比較的近い位置関係で配置できる。このような構成では、高圧コネクタ用の端子部83のX方向X2側の端部に端子824(高圧バッテリ2の正極側に接続される端子824)が配置される場合に比べて、高圧コネクタ用の端子部83と高圧検出回路36との間で確保すべき絶縁距離を短くできる。これにより、基板60の小型化を図ることができる。
【0081】
以上説明した本実施例による基板60によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0082】
まず、本実施例によれば、上述したように、複数の駆動回路部40がX方向に直線状に配置されるので、例えば2×3といった具合に、複数の駆動回路部40の一部が他の一部に対してY方向にオフセットして配置される場合に比べて、基板60のY方向のサイズの低減を図ることができる。
【0083】
また、本実施例によれば、変換器用チップ70は、複数の駆動回路部40の配置領域612に対してX方向X1側に隣接して配置されるので、変換器用チップ70を配置領域612に対してY方向に隣接する配置する場合に比べて、基板60のY方向のサイズの低減を図ることができる。
【0084】
また、本実施例によれば、複数の駆動回路部40のうちの、下アームに係る駆動回路部46が配置領域612のX方向X1側の端部に設けられるので、上アームに係る駆動回路部40が配置領域612のX方向X1側の端部に設けられる場合に比べて、変換器用チップ70と配置領域612との間で確保すべきX方向の絶縁距離を短くできる。この結果、複数の駆動回路部40がX方向に直線状に配置されかつ変換器用チップ70が配置領域612に対してX方向で隣接する構成において、基板60のX方向のサイズの低減を図ることができる。
【0085】
また、本実施例によれば、低圧コネクタ用の端子部20が配置領域612に対してX方向X2側に設けられるので、配置領域612のY方向両側に、主機用の低圧系の構成と、補機用の低圧系の構成とを分けて配置できる。これにより、主機用の低圧系の構成(主機マイコン50や主機用電源回路30)と、補機用の低圧系の構成(補機マイコン52と補機用電源回路32)とを、互いに対して独立して効率的にレイアウトできる。すなわち、配線の複雑化を回避できる。
【0086】
また、本実施例によれば、高圧検出回路36は、高圧コネクタ用の端子部83と主機マイコン50との間に配置されるので、高圧検出回路36は、検出した電位情報を比較的短い経路で主機マイコン50に伝達できる。
【0087】
また、本実施例によれば、高圧検出回路36は、複数の駆動回路部40のうちの、下アームに係る駆動回路部46にY方向で隣接して設けられるので、上アームに係る駆動回路部40にY方向で隣接して設けられる場合に比べて、高圧検出回路36と配置領域612との間で確保すべきY方向の絶縁距離を短くできる。
【0088】
また、本実施例によれば、複数の駆動回路部40のそれぞれの複数の接続端子400がX方向に配置されるので、複数の接続端子400の配列が直線状となる。これにより、複数の接続端子400の外観検査が容易となる。なお、外観検査は、画像処理や目視等により実現されてもよい。また、本実施例では、更に、変換器用チップ70の複数の第1接続端子81A、81Bも同様にX方向に配置されるので、複数の第1接続端子81A、81Bの外観検査が容易となる。また、本実施例では、更に、高圧コネクタ用の端子部83の複数の第2接続端子82も同様にX方向に配置されるので、複数の第2接続端子82の外観検査が容易となる。また、複数の接続端子400の並び方向と、複数の第1接続端子81A、81Bの並び方向と、複数の第2接続端子82の並び方向のうちの、少なくとも2者間の関係(例えば方向の平行度合い等)に基づいて、外観検査を行うことも可能である。
【0089】
また、本実施例によれば、上述したように、複数の第1接続端子81Aは、X方向に並び、かつ、Y方向に視て高圧コネクタ用の端子部83に重なるように配置されるので、配線部91の各配線911~915の長さを効果的に短くすることができる。この結果、配線部91のインダクタンスを効果的に低減できるとともに、変換器用チップ70等に係る実装スペースの低減(及びそれに伴い基板本体61の小型化)を図ることができる。
【0090】
なお、本実施例では、複数の第1接続端子81Aは、Y方向に視て、その全体が高圧コネクタ用の端子部83に重なるように配置されるが、上述したように、これに限られない。すなわち、複数の第1接続端子81Aは、Y方向に視て、その一部だけ高圧コネクタ用の端子部83に重なるように配置されてもよい。この場合でも、依然として、配線部91のインダクタンスを効果的に低減できるとともに、変換器用チップ70等に係る実装スペースの低減(及びそれに伴い基板本体61の小型化)を図ることができる。なお、かかる変形例の場合、配線部91の少なくとも一部は、Y方向にわずかに傾斜して形成されてもよいし、X方向に平行に延在する範囲を有する態様(屈曲する態様)で形成されてもよい。
【0091】
なお、本実施例では、配線部91の各配線911~915は、Y方向に平行な直線の形態で図示されているが、これに限られない。配線部91の各配線911~915は、Y方向に平行な直線の形態とは異なる場合でも、上述の複数の第1接続端子81Aと高圧コネクタ用の端子部83との位置関係に基づいて、比較的短い配線長を実現できる。
【0092】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0093】
<付記>
以上の実施例に関し、更に以下を開示する。なお、以下で記載する効果のうちの、一の形態に対する追加的な各形態に係る効果は、当該追加的な各形態に起因した付加的な効果である。
【0094】
(1)一の形態は、電力変換器用の基板(60)であって、
基板本体(61)と、
前記基板本体に設けられ、主機用の第1電力変換器(4)を駆動する複数の駆動回路部(41~46)であって、第1方向(X)に沿って直線状に並ぶ複数の駆動回路部(41~46)と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられる第2電力変換器(4B、70)とを備え、
前記複数の駆動回路部は、前記第1電力変換器の高電位側に電気的に接続される高電位側の駆動回路部(41、43、45)と、前記第1電力変換器の低電位側に電気的に接続される低電位側の駆動回路部(42、44、46)とを含み、
前記第2電力変換器は、前記第1方向で前記低電位側の駆動回路部(46)に隣接して配置される、基板である。
【0095】
本形態によれば、変換器用チップが第1方向で低電位側の駆動回路部に隣接して配置されるので、変換器用チップが第1方向で高電位側の駆動回路部に隣接して配置される場合に比べて、第1方向で変換器用チップと駆動回路部の配置範囲との間の距離を短くできる。この結果、複数の駆動回路部を直線状に配置する場合において配置方向の基板サイズを比較的小さくできる。
【0096】
(2)また、本形態においては、好ましくは、前記第1電力変換器は、高圧バッテリ(2)に電気的に接続され、
前記基板本体に設けられ、低圧バッテリ(2B)に電気的に接続される低圧コネクタ用の端子部(20)を更に備え、
前記低圧コネクタ用の端子部は、前記第1方向で前記複数の駆動回路部に対して前記第2電力変換器とは反対側(X2側)に配置される。
【0097】
この場合、低圧コネクタ用の端子部から、変換器用チップと駆動回路部の配置範囲に対して第2方向(第1方向に直交する方向)両側にある領域の各種電子部品への配線が容易となる。
【0098】
(3)また、本形態においては、好ましくは、前記基板本体に設けられ、前記低圧コネクタ用の端子部に電気的に接続される第1電源回路(30)と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられ、前記第1電源回路に電気的に接続され、前記複数の駆動回路部を介して前記第1電力変換器を制御する第1処理装置(50)と、
前記基板本体に設けられ、前記高圧バッテリ及び前記第2電力変換器に電気的に接続される高圧コネクタ用の端子部(83)と、
前記基板本体に設けられ、前記高圧コネクタ用の端子部を介して前記第2電力変換器に印加される高圧電圧を、検出する高圧検出回路(36)とを更に備え、
前記高圧検出回路は、前記高圧コネクタ用の端子部と前記第1処理装置との間に配置される。
【0099】
この場合、高圧検出回路と第1処理装置との間の配線の短縮を図ることができる。また、第1方向に直交する第2方向で高圧検出回路を、低電位側の駆動回路部に隣接して配置しやすくなり、高圧検出回路と駆動回路部の配置範囲との間の距離(第2方向の距離)の短縮を図ることができる。
【0100】
(4)また、本形態においては、好ましくは、前記高圧検出回路は、前記低電位側の駆動回路部の近傍に配置される。
【0101】
この場合、高圧コネクタ用の端子部と高圧検出回路との間で確保すべき絶縁距離を短くできる、基板の小型化を図ることができる。
【0102】
(5)また、本形態においては、好ましくは、前記基板本体に設けられ、前記低圧コネクタ用の端子部に電気的に接続される第2電源回路(32)と、
前記基板本体に集積回路チップの形態で設けられ、前記第2電源回路に電気的に接続され、前記第2電力変換器を制御する第2処理装置(52)とを更に備え、
前記第2電源回路及び前記第2処理装置は、前記第1方向に直交する第2方向(Y)で、前記複数の駆動回路部に対して前記第1電源回路及び前記第1処理装置とは逆側(Y1側)に配置される。
【0103】
この場合、第2電力変換器に関する構成(第2処理装置及び第2電源回路)を、第1電源回路及び第1処理装置とは逆側に配置できるので、デッドスペースが生じないような効率的なレイアウトが可能となる。また、配線の複雑化を回避できる。
【0104】
(6)また、本形態においては、好ましくは、前記基板本体に設けられ、前記第2電力変換器の複数の端子(71)に接合される複数の第1接続端子(81A)と、
前記高圧コネクタ用の端子部に設けられる複数の第2接続端子(82)と、
前記駆動回路部に設けられ、前記第1処理装置に電気的に接続される複数の第3接続端子(400)とを更に備え、
前記複数の第1接続端子、前記複数の第2接続端子、及び前記複数の第3接続端子は、前記第1方向に配置される。
【0105】
この場合、第1方向に配置される複数の端子を検査する際に、画像処理や目視等による外観検査が容易となる。
【0106】
(7)また、本形態においては、好ましくは、前記複数の第1接続端子は、前記第1方向に直交する第2方向に視て、前記高圧コネクタ用の端子部に少なくとも一部が重なるように配置される。
【0107】
この場合、配線部の効率的な形成が可能となり、基板の小型化を図ることが可能となる。また、配線部での配線長の短縮を図ることで、インダクタンスを低減し、発熱やサージ電流等を抑制できる。
【0108】
(8)また、本形態においては、好ましくは、前記配線部は、前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の配線(911~915)を含み、
前記複数の配線のうちの少なくとも1つの配線は、前記第2方向に平行に延在する。
【0109】
この場合、第2方向に直線状に配線を形成することが可能となり、配線インダクタンスの低減を図ることが可能となる。
【0110】
(9)また、本形態においては、好ましくは、前記複数の配線のうちの少なくとも1つの配線と、前記複数の配線のうちの他の配線とは、前記基板本体における異なる層に形成される。
【0111】
この場合、層を異ならせることで配線間の間隔等を狭めることができ、必要な配線スペースの低減を図ることができる。また、層を異ならせることで配線の交差等も可能となり、配線の設計自由度が向上する。
【0112】
(10)また、本形態においては、好ましくは、前記複数の第1接続端子は、第1端子(814)と、第2端子(815)と、第3端子(811~813)とを含み、
前記複数の第2接続端子は、第4端子(824)と、第5端子(825)と、第6端子(821~823)とを含み、
前記第1端子は、前記第4端子を介して、高圧バッテリの高電位側に電気的に接続され、
前記第2端子は、前記第5端子を介して、前記高圧バッテリの低電位側に電気的に接続され、
前記第3端子は、前記第6端子を介して、電動モータ(5B)に電気的に接続され、
前記第1方向に沿った前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子の並び順は、同方向に沿った前記第4端子、前記第5端子、及び前記第6端子の並び順と同じである。
【0113】
この場合、複数の配線が同一層に形成される場合であっても、配線同士を交差させる必要性が低減されるので、配線部の範囲の効果的な低減を図ることができる。
【0114】
(11)また、本形態においては、好ましくは、前記複数の配線のうちの、前記第1端子及び前記第4端子の間に設けられる配線(911)、及び、前記第2端子及び前記第5端子の間に設けられる配線(912)と、前記第3端子及び前記第6端子の間に設けられる配線(913~915)とは、前記基板本体における異なる層に形成される。
【0115】
この場合、電源の高電位側と低電位側に接続される各配線についても、比較的高い自由度で回路設計できる。
【0116】
(12)また、本形態においては、好ましくは、前記基板本体に設けられ、前記高圧バッテリの高電位側と低電位側との間に電気的に接続される容量性素子(96:3B)を更に備え、
前記容量性素子は、前記第2方向に視て前記高圧コネクタ用の端子部と前記複数の第1接続端子の配置範囲とに重なるように配置される。
【0117】
この場合、高圧バッテリと変換器用チップとの間に容量性素子を配置しつつ、容量性素子に接合される配線に係る配線インダクタンスの最小化を図ることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 モータ駆動システム
2 高圧バッテリ
2B 低圧バッテリ
3 平滑コンデンサ
3B コンデンサ
4 主機インバータ
4B 補機インバータ
5 主機モータ
5B 補機モータ
6、6B インバータ制御装置
20 端子部
200 端子
30 主機用電源回路
32 補機用電源回路
36 高圧検出回路
40(41~46) 駆動回路部
400 接続端子
50 主機マイコン
52 補機マイコン
60 基板
61 基板本体
70 変換器用チップ
71 端子
72 制御端子
81A(811~815) 第1接続端子
81B 接続端子
82(821~825) 第2接続端子
83 端子部
91(911~915) 配線部
96 容量性素子
612 配置領域
図1
図2