IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-駐車支援装置 図1
  • 特許-駐車支援装置 図2
  • 特許-駐車支援装置 図3
  • 特許-駐車支援装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240109BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240109BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20240109BHJP
   B62D 103/00 20060101ALN20240109BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D113:00
B62D101:00
B62D103:00
B62D119:00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020110712
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007632
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075579
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100175259
【弁理士】
【氏名又は名称】尾林 章
(72)【発明者】
【氏名】三島 悠亮
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081245(JP,A)
【文献】特開2009-220762(JP,A)
【文献】特開2010-060070(JP,A)
【文献】特開2019-132683(JP,A)
【文献】特開2007-237838(JP,A)
【文献】特開2007-216790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 113/00
B62D 101/00
B62D 103/00
B62D 119/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を測定する測位部と、
前記車両が駐車したか否かを判定する駐車判定部と、
前記車両が駐車したと判定した場合に、前記車両の転舵輪を路端に向けて転舵するか又は前記路端と反対側に向けて転舵するかを、前記測位部からの測位情報に基づいて決定する転舵方向決定部と、
前記転舵方向決定部が決定した転舵方向に前記転舵輪が転舵するように、前記転舵輪の転舵角を制御する転舵角制御部と、
を備え
前記転舵方向決定部は、前記路端に縁石があってかつ前記車両が上り坂に駐車している場合には前記路端と反対側に向けて転舵し、前記路端に縁石がなくてかつ前記車両が上り坂に駐車している場合には車道と反対側かつ前記路端に向けて転舵するように前記転舵方向を決定することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記転舵方向決定部は、
前記測位部からの測位情報に基づいて前記車両が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定し、
前記車両が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかに応じて前記転舵方向を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記転舵方向決定部は、前記車両が駐車するまでの前記車両の位置変化と地図情報とに基づいて、前記車両が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定することを特徴とする請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記転舵方向決定部は、前記車両が駐車するまでの前記車両の高度変化に基づいて、前記車両が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定することを特徴とする請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記転舵方向決定部は、前記車両の姿勢を表す姿勢情報と地図情報とに基づいて、前記車両が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定することを特徴とする請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記姿勢情報は、前記車両の挙動を検出する車両センサにより検出されることを特徴とする、請求項5に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記姿勢情報は、前記測位部により検出されることを特徴とする、請求項5に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記測位情報と地図情報とに基づいて、前記転舵角制御部による前記転舵輪の転舵角の制御の可否を判定する可否判定部を更に備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記可否判定部は、前記路端の縁石の色又は前記路端に設けられた標識の認識結果に応じて、前記転舵角制御部による前記転舵輪の転舵角の制御の可否を判定することを特徴とする請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記路端の縁石の位置を検出する縁石検出部と、
前記転舵輪が前記縁石に接触しない最大転舵角、又は予め設定された設定転舵角のうちいずれか小さい方を目標転舵角として決定する転舵角決定部と、を備え、
前記転舵角制御部は、前記目標転舵角となるように前記転舵輪の転舵角を制御する、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項11】
前記転舵角制御部による前記転舵輪の制御が完了するまで、前記車両のエンジンの運転停止を禁止するエンジン制御部を更に備えることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項12】
前記転舵角制御部は、前記転舵方向決定部が決定した転舵方向に前記転舵輪が転舵された後に、前記車両のエンジンが再始動するか、前記車両のイグニッションスイッチがオフからオンに変化した場合に、中立位置になるように前記転舵輪の転舵角を制御することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、坂道での駐車状況において、たとえ車両が転がり出したとしても車両が停止するように、駐車終了時に車両のタイヤを車線縁側に向けて転舵する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-507829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車時に転舵輪を転舵させておくことで、坂道で車両が自重で動き出すことを防止し、又は車両が動き出しても停止させることができる。転舵輪を路端側またはその反対側のいずれに向けて転舵した方が安全であるかは、車両を駐車した状況に応じて異なる。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、駐車した状況に応じた転舵方向に転舵輪を自動的に転舵させることができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による駐車支援装置は、車両の現在位置を測定する測位部と、車両が駐車したか否かを判定する駐車判定部と、車両が駐車したと判定した場合に、車両の転舵輪を路端に向けて転舵するか又は路端と反対側に向けて転舵するかを、測位部からの測位情報に基づいて決定する転舵方向決定部と、転舵方向決定部が決定した転舵方向に転舵輪が転舵するように、転舵輪の転舵角を制御する転舵角制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駐車した状況に応じた転舵方向に転舵輪を自動的に転舵させることができる駐車支援装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の電動パワーステアリング装置の一例の概要を示す構成図である。
図2】(a)~(c)は、坂道での駐車時における電動パワーステアリング装置の動作の説明図である。
図3】コントロールユニット30の機能構成例のブロック図である。
図4】実施形態の駐車支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構成、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
実施形態の電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置の構成例を図1に示す。車両の操向ハンドル1の操舵軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は、減速機構を構成する減速ギア(ウォームギア)3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a、6bを経て、更にハブユニット7a、7bを介して転舵輪8L、8Rに連結されている。以下、転舵輪8L、8Rを総称して「転舵輪8」と表記することがある。
【0010】
ピニオンラック機構5は、ユニバーサルジョイント4bから操舵力が伝達されるピニオンシャフトに連結されたピニオン5aと、このピニオン5aに噛合するラック5bとを有し、ピニオン5aに伝達された回転運動をラック5bで車幅方向の直進運動に変換する。
操舵軸2には操舵トルクThを検出するトルクセンサ10が設けられている。また、操舵軸2には、操向ハンドル1の操舵角θhを検出する操舵角センサ11が設けられている。
【0011】
さらに、車両には車速センサ12と、車輪速センサ13と、車両センサ14と、測位装置15と、地図データベース(地図DB)16と、物体検出センサ17と、シフト位置センサ18と、モードスイッチ(モードSW)19を備える。
車速センサ12は、車両の走行速度である車速Vvを検出する。車輪速センサ13は、転舵輪8及び残りの車輪の車輪速Vwを検出する。なお、車輪速Vwに基づき、車速Vvを決定してもよい。
【0012】
車両センサ14は、車両の挙動を検出する。車両センサ14は、車両の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)や、車両に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサを備えてよい。
なお、車両センサ14により検出される車両の挙動に基づき、後述する車両の姿勢を検出してもよい。車両が停止している状況において、車両が水平状態にある場合と、車両が上方向を向いている場合と、車両が下方向を向いている場合とで、車両に作用する重力加速度の向きは異なる。すなわち、3軸加速度センサの検出値を用いて、車両の姿勢を決定することができる。
測位装置15は、車両の現在位置を測定する。測位装置15は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して車両の現在位置を測定する。
【0013】
GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。また、測位装置15は、慣性航法やオドメトリによって車両の現在位置を測定してもよい。
測位装置15は、車両の現在位置の測定結果を示す測位情報を出力する。測位情報は、車両の高度情報や、車両の姿勢(すなわち車両の向き、前後方向)の測定結果を含んでいてもよい。
測位装置15は、車両の少なくとも2カ所の位置情報を検出してもよい。測位装置15は、測位信号を受信する図示しないアンテナを2つ備え、各アンテナを離れた位置に配置することができる。例えば、一方のアンテナを第1位置に配置し、他方のアンテナを、第1位置より車両後方にある第2位置に配置することができる。このようにアンテナを配置することで、第1位置と第2位置の現在位置を、それぞれ検出することができる。第1の位置の現在位置と、第2の位置の現在位置とに基づき、車両の姿勢情報を決定することができる。例えば、第1位置の高度が、第2位置の高度より大きい場合、車両が上向きであると決定することができる。また例えば、第1位置の高度が、第2位置の高度より小さい場合、車両が下向きであると決定することができる。
【0014】
地図データベース(地図DB)16には、カーナビゲーション用の道路地図情報が記憶される。自動運転制御に好適な高精度地図データが記憶されていてもよい。地図情報は、道路勾配の勾配情報と、特定の地理的範囲(例えば、地域、区域、州、県、国など)において駐車に関して適用される規則(例えば条例や法律)の規則情報を含んでいてもよい。
【0015】
駐車に関して適用される規則は、例えば、坂道での駐車中に車輪を転舵させておくこと(以下「駐車時転舵」と表記することがある)を義務付ける規則や、指定区間において路端に駐車することを禁止する規則を含んでよい。
また、地図情報には各地点における高度を示す高度情報を含んでもよい。
なお、地図情報や規則情報は、公衆携帯電話網による無線通信や、車車間通信、路車間通信、又は衛星通信などによって取得してもよい。
【0016】
物体検出センサ17は、車両の周囲の物体や、物体までの方向や距離を検出する。物体検出センサ17は、レーザレーダやミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)等の測距センサや、カメラ等であってよい。
シフト位置センサ18は、シフトレバーの位置(シフトポジション)を検出する。
【0017】
モードスイッチ19は、車両の乗員(例えば運転者)によって操作され、電動パワーステアリング装置を用いた駐車支援制御のオンとオフとを切り替えるスイッチである。
駐車支援制御は、坂道での縦列駐車時に、自動的に駐車時転舵を実行する制御である。駐車支援制御の詳細については後述する。
【0018】
操舵軸2には、操向ハンドル1の操舵を補助する操舵補助力を発生させるモータ21が減速ギア3を介して連結されている。なお、操舵補助力を付与する手段は、モータに限られず、様々な種類のアクチュエータを利用可能である。
EPSコントローラ20は、電動パワーステアリング装置を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。
【0019】
EPSコントローラ20は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと、車速センサ12で検出された車速Vvと、に基づいてアシスト制御指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値によってモータ21に供給する電流を制御する。
回転角センサ22は、モータ21の回転軸の回転角を検出する。EPSコントローラ20は、回転角センサ22が検出した回転角に基づいて、転舵輪8の転舵角θtを測定する。
【0020】
コントロールユニット30は、電動パワーステアリング装置を用いた駐車支援制御を実行する電子制御ユニットである。コントロールユニット30は、駐車支援制御のための専用の電子制御ユニットであってもよく、車両に搭載された他の電子制御ユニット(例えばEPSコントローラ20)と一体のユニットであってもよい。
測位装置15と、物体検出センサ17と、モードスイッチ19と、EPSコントローラ20と、コントロールユニット30とが、実施形態の駐車支援装置を形成する。測位装置15は、特許請求の範囲に記載の「測位部」の一例である。
【0021】
コントロールユニット30は、例えば、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含むコンピュータを備えてよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
また、コントロールユニット30には、聴覚的信号又は視覚的信号を乗員に提示するためのユーザインタフェース(ユーザI/F)31を設けてもよい。コントロールユニット30は、ユーザインタフェース31を介して乗員に対する警報を出力できる。
【0022】
以下に説明するコントロールユニット30の機能は、例えばコントロールユニット30のプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントロールユニット30を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントロールユニット30は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントロールユニット30はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0023】
次に、コントロールユニット30による駐車支援制御の概要を説明する。図2の(a)~図2の(c)を参照する。
コントロールユニット30は、車両40が駐車したと判定した場合に、測位装置15から測位情報を取得する。また、コントロールユニット30は、物体検出センサ17の出力信号に基づいて路端41の縁石42を検出する。
【0024】
コントロールユニット30は、測位情報に基づいて車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定する。図2において、U方向が坂道の上方向を示し、D方向が坂道の下方向を示し、W方向が歩道方向を示し、R方向が車道側を示す。図2の(a)は車両40が下り坂に駐車している場合を示し、図2の(b)及び図2の(c)は、車両40が上り坂に駐車している場合を示す。
ここで、上り坂とは、車両の進行方向の高さ位置が、車両の進行方向と逆方向の高さ位置よりも高い坂道を指す。また、下り坂とは、車両の進行方向の高さ位置が、車両の進行方向と逆方向の高さ位置よりも低い坂道を指す。
コントロールユニット30は、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかに応じて、転舵輪8を路端41に向けて転舵するか又は路端41と反対側に向けて転舵するかを決定する。
【0025】
車両40が下り坂に駐車している場合には、図2の(a)に示すように転舵輪8を路端41に向けて転舵するように転舵方向を決定する。
これにより、例えば乗員がパーキングブレーキをかけ忘れても、転舵輪8が路端41に当接することで、車両40が自重で動き出すことを防止し、又は車両40が動き出しても停止させることができる。
【0026】
一方で、車両40が上り坂に駐車している場合には、コントロールユニット30は、さらに路端41に縁石42があるか否かに応じて、転舵輪8を路端41に向けて転舵するか又は路端41と反対側に向けて転舵するかを決定する。
路端41に縁石42がある場合には、図2の(b)に示すように転舵輪8を路端41と反対側に向けて転舵するように転舵方向を決定する。これにより、転舵輪8が路端41に当接することで、車両40が自重で動き出すことを防止し、又は車両40が動き出しても停止させることができる。
【0027】
一方で路端41に縁石42がない場合には、図2の(c)に示すように、転舵輪8を路端41に向けて転舵するように転舵方向を決定する。
これにより、車両40が自重で動き出しても車道側に進むことを防止できる。
コントロールユニット30は、EPSコントローラ20にモータ21を駆動させて、決定した転舵方向へ転舵輪8を目標転舵角θdまで転舵する。
以上のように、駐車した状況に応じた転舵方向に転舵輪8を自動的に転舵させることで、より安全に坂道に車両40を駐車できる。また、坂道における駐車時転舵を義務付ける規則が存在する地理的範囲において、駐車時転舵の不履行を防止できる。
【0028】
続いて図3を参照して、コントロールユニット30の機能を詳しく説明する。コントロールユニット30は、車速センサ12、車輪速センサ13、測位装置15、地図データベース16、及びシフト位置センサ18から、それぞれ車速Vvの情報、車輪速Vwの情報、測位情報、地図情報及びシフトポジションの情報を読み込む。
また、コントロールユニット30は、モードスイッチ19のオンオフを検出する。
【0029】
また、コントロールユニット30は、車両センサ14の加速度センサ、ジャイロセンサ、ヨーレートセンサの検出信号を読み込む。
また、コントロールユニット30は、物体検出センサ17のカメラから車両40の周囲の物体の画像信号を読み込み、測距センサから車両40の周囲の物体の測距情報を読み込む。
【0030】
コントロールユニット30は、駐車判定部50と、縁石検出部51と、可否判定部52と、転舵方向決定部53と、転舵角決定部54と、転舵角制御部55と、エンジン制御部56と、警報生成部57と、を備える。
駐車判定部50は、車両40が路端41に駐車したか否かを判定する。駐車判定部50は、例えば、車速Vvや車輪速Vwが所定速度以下(例えばゼロkm/h)であり、シフトポジションがパーキングである場合に、車両40が駐車したと判定する。
【0031】
駐車判定部50は、車両40の駐車位置が路端41であるか否かを、例えば測位情報と地図情報に基づいて判定してよい。例えば、駐車判定部50は、車両40に最も近い路端41と車両40との距離が閾値以下である場合に、この路端41に車両40が停車したと判定してよい。
また例えば、車両40の周囲の物体の画像信号に基づいて車両40の駐車位置が路端41であるか否かを判定してもよい。例えば、車両40の周囲の物体の画像信号に対して画像認識処理を行うことにより路端41を認識してよい。
【0032】
縁石検出部51は、路端41にある縁石42を検出する。例えば、縁石検出部51は、車両40の周囲の物体の画像信号に対して画像認識処理を行うことにより、路端41にある縁石42を認識してよい。
縁石検出部51は、画像認識処理によって縁石42であると認識した物体を測距センサで検出して得た測距情報に基づいて、車両40から縁石42までの距離を検出する。なお、レーダやLIDARの検出範囲は狭いので、測距情報が得られた物体があればこの物体を縁石42と見なしてもよい。
【0033】
車両40が路端41に駐車したと駐車判定部50が判定した場合、可否判定部52は、駐車支援制御を実行するか否か、すなわち坂道における駐車時転舵を実行するか否かを判定する。
例えば可否判定部52は、車両40の駐車位置が坂道であり、モードスイッチ19がオンである場合に駐車支援制御を実行すると判定する。可否判定部52は、車両40の駐車位置の傾斜が閾値以上である場合に駐車支援制御を許可してもよい。
【0034】
可否判定部52は、坂道やその傾斜を、例えば測位情報と地図情報の勾配情報とに基づいて判定してよい。
また例えば、可否判定部52は、車両40が駐車するまでの測位情報の高度情報の変化に基づいて坂道を判定してよい。可否判定部52は、車両40が駐車するまでの高度情報の変化と水平位置の変化とに基づいて坂道の傾斜を判定してよい。
また例えば、可否判定部52は、車両センサ14の加速度センサやヨーレートセンサの検出信号に基づいて坂道やその傾斜を判定してもよい。
【0035】
また例えば、可否判定部52は、測位情報と地図情報の規則情報に基づき、駐車位置における駐車に関して適用される規則に応じて駐車支援制御を行わないと判定してもよい。
例えば、可否判定部52は、駐車位置において坂道での駐車時転舵が義務付けられている場合に駐車支援制御を行うと判定し、義務付けられていなければ駐車支援制御を行わないと判定してもよい。
【0036】
また、可否判定部52は、駐車位置において駐車が禁止されている場合には、駐車支援制御を行わないと判定してもよい。
例えば、地図情報の規則情報は、特定の地理的範囲(例えば、地域、区域、州、県、国など)において駐車を禁止する縁石42の色や標識の情報を含んでよい。
可否判定部52は、縁石42の画像信号に基づいて縁石42の色を検出し、縁石42の色に基づいて車両40の現在位置において駐車が禁止されているか否かを判定してもよい。また、可否判定部52は、路端41の周囲の画像信号から標識を認識して駐車が禁止されているか否かを判定してもよい。
【0037】
可否判定部52が駐車支援制御を行うと判定した場合、転舵方向決定部53は、転舵輪8を路端41に向けて転舵するか又は路端41と反対側に向けて転舵するかを、縁石検出部51による縁石42の検出結果と測位情報とに基づいて決定する。
具体的には、転舵方向決定部53は、測位情報に基づいて車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定する。
【0038】
車両40が下り坂に駐車している場合には、転舵方向決定部53は、図2の(a)に示したとおり、転舵輪8を路端41に向けて転舵するように転舵方向を決定する。
また、車両40が上り坂に駐車しており、且つ路端41に縁石42がある場合には、図2の(b)に示したとおり、転舵輪8を路端41と反対側に向けて転舵するように転舵方向を決定する。
また、車両40が上り坂に駐車しており、且つ路端41に縁石42がない場合には、図2の(c)に示したとおり、転舵輪8を路端41に向けて転舵するように転舵方向を決定する。
【0039】
転舵方向決定部53は、測位情報に基づいて車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定する。
例えば転舵方向決定部53は、測位情報と地図情報の勾配情報とに基づいて判定してよい。例えば転舵方向決定部53は、車両40が駐車するまでの測位情報の変化(すなわち位置変化)に基づいて車両40の向き(すなわち車両40の前方方向)を判断し、車両40の向きと勾配情報に基づいて、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してよい。
【0040】
転舵方向決定部53は、測位情報に含まれる車両40の姿勢情報と勾配情報に基づいて、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してもよい。
また例えば、転舵方向決定部53は、車両40が駐車するまでの測位情報の高度情報の変化に基づいて車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してもよい。
また例えば、転舵方向決定部53は、車両センサ14の加速度センサやヨーレートセンサの検出信号に基づいて、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してもよい。
【0041】
可否判定部52が駐車支援制御を行うと判定した場合、転舵角決定部54は、駐車支援制御において転舵輪8を転舵する目標転舵角θdの絶対値を決定する。
このとき、転舵輪8のタイヤが縁石42にぶつかるとタイヤが破損するおそれがある。
また、転舵角が端当て位置まで達すると、ピニオンラック機構5を破損するおそれがある。端当て位置とは、転舵角θtの絶対値をそれ以上増加できなくなる位置であり、例えば、ピニオンラック機構5のラック軸がストローク端に達する位置である。
【0042】
そこで、転舵角決定部54は、縁石検出部51が検出した縁石42の位置情報に基づいて、路端41側の転舵輪が縁石42に接触しない最大転舵角の絶対値を算出する。
転舵角決定部54は、算出した最大転舵角の絶対値と、端当て位置に応じて予め設定された設定転舵角のうちいずれか小さい方を目標転舵角θdの絶対値として決定する。この設定転舵角は、例えば、端当て位置の転舵角の絶対値より所定のマージン角を減じた値であってよい。
【0043】
転舵角制御部55は、転舵輪8が転舵するようにモータ21を駆動させる転舵指令をEPSコントローラ20に出力して、転舵輪8の転舵角θtを目標転舵角θdへ変更する。
具体的には、転舵角制御部55は、回転角センサ22が検出したモータ21の回転角を基づいて測定された転舵輪8の転舵角θtを、EPSコントローラ20から取得する。
【0044】
転舵角制御部55は、転舵方向決定部53が決定した転舵方向へ転舵輪8が転舵して、転舵輪8の転舵角θtの絶対値が、転舵角決定部54が決定した目標転舵角θdの絶対値となるように転舵角θtを制御する。
なお、転舵角制御部55は、操舵角センサ11が検出した操舵角θhに基づいて転舵角θtを算出してもよい。
【0045】
転舵角制御部55は、例えば以下のタイミング(A)~(D)のいずれかで転舵輪8の転舵を開始してよい。
(A)シフトポジションがパーキングへ変更された時点から所定時間経過後
(B)イグニッションスイッチがオフにされた時点
(C)乗員が降車して、キーロック指令を受信した時点
(D)駐車時転舵を行う所定の操作を乗員が行った時点
【0046】
なお、駐車支援制御により転舵角が変化している間に、トルクセンサ10が過大な操舵トルクThを検出した場合には、乗員が操向ハンドル1に干渉しているおそれがある。
したがって転舵角制御部55は、駐車支援制御における転舵角の制御の間にトルクセンサ10が過大な操舵トルクThが検出された場合(例えば操舵トルクThの絶対値が閾値以上である場合)に、駐車支援制御を中止してもよい。この場合に転舵角制御部55は、駐車支援制御を実行する前の角度に転舵輪8の転舵角を復帰させてもよい。または中立位置に復帰させてもよい。
【0047】
さらに、転舵角制御部55は、車両40の駐車が終了した場合(すなわち、車両40のエンジンが再始動するか、車両40のイグニッションスイッチがオフからオンに変化した場合)に、中立位置になるように転舵輪8の転舵角を制御してもよい。
転舵輪8の転舵角を中立位置に復帰させる制御の開始時期は、例えば、エンジンが再始動した時点、車両40のイグニッションスイッチがオフからオンに変化した時点、シフトレバー又はブレーキペダルの操作等の乗員による何らかの操舵を検出した時点等であってよく、これらのタイミングのいずれかで復帰させるかをユーザが任意に設定してもよい。
【0048】
なお、転舵角制御部55が転舵角を制御するのに代えて、EPSコントローラ20が駐車支援制御における転舵角を制御してもよい。この場合、コントロールユニット30は、転舵方向決定部53が決定した転舵方向の情報と転舵角決定部54が決定した目標転舵角θdの絶対値の情報とを含んだ転舵指令信号をEPSコントローラ20に出力してよい。EPSコントローラ20は、転舵指令信号に含まれる転舵方向へ転舵輪8が転舵して、転舵輪8の転舵角θtの絶対値が、転舵指令信号に含まれる転舵角となるように転舵角を制御してよい。
【0049】
また、モータ21による転舵輪8の転舵は、車両40が搭載するバッテリーの電力消費を伴う。このため、エンジン制御部56は、車両40のイグニッションスイッチがオフにされても、駐車支援制御が完了するまで(すなわち、転舵輪8の転舵が完了するまで)は、車両40のエンジンの運転停止を禁止してよい(すなわち車両40のエンジンの運転を維持してよい)。
【0050】
なお、車載バッテリーの残容量(SoC:State Of Charge)によっては、十分に充電されていればエンジン停止中に転舵輪8を転舵してもよい。このため、エンジン制御部56は、車載バッテリーの残容量が閾値未満の場合に、駐車支援制御が完了するまで車両40のエンジン停止を禁止し、車載バッテリーの残容量が閾値以上の場合に駐車支援制御中のエンジン停止を許可してもよい。
【0051】
警報生成部57は、駐車支援制御を行う際に警報を生成してユーザインタフェース31から出力する。
例えば、駐車支援制御に伴って操向ハンドル1が回転することを乗員に知らせる警報を生成してもよい。これにより、回転する操向ハンドル1と乗員とが干渉することを防止できる。例えば、警報生成部57は、トルクセンサ10が検出する操舵トルクThの絶対値が閾値以上である場合に乗員が操向ハンドル1と接触していると判断し、操向ハンドル1が回転することを知らせる警報を生成してもよい。
【0052】
また例えば、警報生成部57は、車両40が縁石42に近接しすぎており、タイヤと縁石42との接触を回避するために駐車時転舵を実行できないことを乗員に知らせる警報を生成してもよい。また、転舵輪が縁石42に接触しない最大転舵角の絶対値が所定の下限値よりも小さく目標転舵角θdが下限値未満となるために、十分に転舵輪8を転舵できないことを乗員に知らせる警報を生成してもよい。
また例えば、警報生成部57は、転舵輪8の周囲に存在する車外の物体(人や物)を物体検出センサ17が検出している場合には、この物体に転舵輪8が干渉することを防ぐために、転舵輪8が転舵することや、転舵輪8の近くに物体が存在することを乗員に知らせる警報を生成してもよい。
【0053】
また例えば、警報生成部57は、駐車支援制御によって転舵輪8の転舵角が変化した後は、車両40を前進又は更新させる操作を禁止することを乗員に知らせる警報を生成してもよい。
また例えば、警報生成部57は、路端に駐車することを禁止する規則のために駐車支援制御を実行しないことや、坂道における駐車時転舵が義務付けられていないために駐車支援制御を実行しないことを乗員に知らせる警報を生成してもよい。
【0054】
以上、電動パワーステアリング装置を備える車両において本発明の駐車支援装置を実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。転舵輪を転舵できるアクチュエータと、測位機能と、縁石の検出機能を有していれば、本発明の駐車支援装置を実現可能である。
例えば、電動パワーステアリング装置に代えて、運転者による操舵操作を受け付ける操舵機構(FFA:ForceFeedbackActuator、操舵反力生成装置)と、車輪を転舵する転舵機構(RWA:RoadWheelActuator、タイヤ転舵装置)とが機械的に分離されたステアバイワイヤ(SBW:SteerByWire)式の転舵装置を備える車両で本発明の駐車支援装置を実現してもよい。
【0055】
(動作)
次に、実施形態の電動パワーステアリング装置による駐車支援制御を説明する。図4を参照する。
ステップS1において駐車判定部50は、車両40が路端41に駐車したか否かを判定する。車両40が路端41に駐車した場合(ステップS1:Y)に、処理はステップS2に進む。車両40が路端41に駐車していない場合(ステップS1:N)に処理は終了する。
【0056】
ステップS2において可否判定部52は、駐車支援制御を実行するか否かを判定する。駐車支援制御を実行する場合(ステップS2:Y)に処理はステップS3に進む。駐車支援制御を実行しない場合(ステップS2:N)に処理は終了する。
ステップS3において測位装置15は、車両40の現在位置を測定する。ステップS4においてコントロールユニット30は、地図データベース16から車両40の現在位置周辺の地図情報を読み込む。
【0057】
ステップS5において縁石検出部51は、路端41にある縁石42の有無を検出する。
ステップS6において転舵方向決定部53は、縁石検出部51による縁石42の検出結果と測位情報とに基づいて、転舵輪8を路端41に向けて転舵するか又は路端41と反対側に向けて転舵するかを決定する。
ステップS7において転舵角決定部54は、駐車支援制御において転舵輪8を転舵する目標転舵角θdの絶対値を決定する。
【0058】
ステップS8において警報生成部57は、駐車支援制御に伴う警報を必要に応じて生成し、ユーザインタフェース31から出力する。
ステップS9において転舵角制御部55は、転舵方向決定部53が決定した転舵方向へ転舵輪8が転舵して、転舵輪8の転舵角θtの絶対値が、転舵角決定部54が決定した目標転舵角θdの絶対値となるようにモータ21を回転させる。
【0059】
ステップS10において転舵角制御部55は、トルクセンサ10が過大な操舵トルクThを検出したか否かを判定する。過大な操舵トルクThを検出した場合(ステップS10:Y)に処理はステップS11に進む。過大な操舵トルクThを検出していない場合(ステップS10:N)に処理はステップS12へ進む。
ステップS11において転舵角制御部55は、駐車支援制御を中止して、駐車支援制御を実行する前の角度に転舵輪8の転舵角θtを復帰させる。または、中立位置へ復帰させる。その後に処理を終了する。
【0060】
ステップS12において転舵角制御部55は、駐車時転舵が完了したか否かを判定する。すなわち、転舵方向決定部53が決定した転舵方向へ転舵輪8が転舵して、転舵輪8の転舵角θtの絶対値が、転舵角決定部54が決定した目標転舵角θdの絶対値となったか否かを判定する。
駐車時転舵が完了していない場合(ステップS12:N)に処理はステップS9へ戻る。駐車時転舵が完了した場合(ステップS12:Y)に処理は終了する。
【0061】
(実施形態の効果)
(1)駐車支援装置は、車両40の現在位置を測定する測位装置15と、車両40が駐車したか否かを判定する駐車判定部50と、車両40が駐車したと判定した場合に、車両40の転舵輪を路端41に向けて転舵するか又は路端41と反対側に向けて転舵するかを、測位部からの測位情報に基づいて決定する転舵方向決定部53と、転舵方向決定部53が決定した転舵方向に転舵輪8が転舵するように、転舵輪8の転舵角を制御する転舵角制御部55と、を備える。
【0062】
これにより、駐車した状況に応じた転舵方向に転舵輪8を自動的に転舵させることができる。駐車した状況に応じた転舵方向に転舵輪8を自動的に転舵させることで、より安全に坂道に車両40を駐車できる。また、坂道における駐車時転舵を義務付ける規則が存在する地理的範囲において、駐車時転舵の不履行を防止できる。
【0063】
(2)転舵方向決定部53は、測位装置15からの測位情報に基づいて車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定し、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかに応じて転舵方向を決定してよい。転舵方向決定部53は、さらに路端に縁石があるか否かに応じて転舵方向を決定してもよい。
これにより、駐車した状況に応じた転舵方向を判定できる。
【0064】
(3)転舵方向決定部53は、車両40が駐車するまでの車両40の位置変化と地図情報とに基づいて、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してよい。
転舵方向決定部53は、車両40が駐車するまでの車両40の高度変化に基づいて、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してもよい。
転舵方向決定部53は、車両40の姿勢を表す姿勢情報と地図情報とに基づいて、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定してもよい。姿勢情報は、車両40の挙動を検出する車両センサ14によって検出してもよく、測位装置15によって検出してもよい。
これにより、車両40が上り坂に駐車しているか下り坂に駐車しているかを判定することができる。
【0065】
(4)測位情報と地図情報とに基づいて、転舵角制御部55による転舵輪8の転舵角の制御の可否を判定する可否判定部52を更に備えてもよい。これにより、坂道における駐車時転舵が不要な場所や、駐車が禁止されている区間において、駐車支援制御を無用に実行することを回避できる。
例えば、可否判定部52は、路端の縁石の色又は路端に設けられた標識の認識結果に応じて、転舵角制御部55による転舵輪8の転舵角の制御の可否を判定してよい。
【0066】
(5)路端41の縁石42の位置を検出する縁石検出部51と、転舵輪8が縁石42に接触しない最大転舵角、又は予め設定された設定転舵角のうちいずれか小さい方を目標転舵角θdとして決定する転舵角決定部54と、を備えてもよい。転舵角制御部55は、目標転舵角θdとなるように転舵輪8の転舵角を制御してよい。これにより、駐車支援制御により転舵輪8や転舵機構が破損することを防止できる。
【0067】
(6)転舵角制御部55による転舵輪8の制御が完了するまで、車両40のエンジンの運転停止を禁止するエンジン制御部56を更に備えてもよい。
これにより車載バッテリーの残容量の低下を防止できる。
(7)転舵角制御部55は、転舵方向決定部53が決定した転舵方向に転舵輪8が転舵された後に、車両40のエンジンが再始動するか、車両40のイグニッションスイッチがオフからオンに変化した場合に、中立位置になるように転舵輪8の転舵角を制御してよい。
これにより、駐車後に車両40を再始動したときに、操向ハンドル1の位置を復帰させる乗員の労力を省くことができる。
【符号の説明】
【0068】
1…操向ハンドル、2…操舵軸、3…減速ギア、4a、4b…ユニバーサルジョイント、5…ピニオンラック機構、5a…ピニオン、5b…ラック、6a、6b…タイロッド、7a、7b…ハブユニット、8L、8R…転舵輪、10…トルクセンサ、11…操舵角センサ、12…車速センサ、13…車輪速センサ、14…車両センサ、15…測位装置、16…地図データベース、17…物体検出センサ、18…シフト位置センサ、19…モードスイッチ、20…EPSコントローラ、21…モータ、22…回転角センサ、30…コントロールユニット、31…ユーザインタフェース、50…駐車判定部、51…縁石検出部、52…可否判定部、53…転舵方向決定部、54…転舵角決定部、55…転舵角制御部、56…エンジン制御部、57…警報生成部
図1
図2
図3
図4