(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】X線撮影装置、および、画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/50 20240101AFI20240109BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240109BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240109BHJP
【FI】
A61B6/00 331E
A61B6/00 360B
A61B6/00 330A
(21)【出願番号】P 2020173947
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】ソウ ユジン
(72)【発明者】
【氏名】押川 翔太
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076192(JP,A)
【文献】特開2010-012180(JP,A)
【文献】特開2007-229473(JP,A)
【文献】特開2014-061268(JP,A)
【文献】特開2016-087139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線照射部と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを含み、撮影角度を変更しながら前記被検体に対してX線撮影を行う撮影部と、
前記撮影部によるX線撮影によって撮影されたX線画像に対して画像処理を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部によるX線撮影によって生成され、前記被検体を透視する前記X線画像である透視画像を取得する透視画像取得部と、
前記透視画像を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の複数の前記撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数の前記X線画像に基づいて、造影剤を含む前記被検体の複数の血管画像を生成する血管画像生成部と、
生成された前記複数の血管画像のうちから、前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択する血管画像選択部と、
前記血管画像選択部によって選択された前記血管画像と、前記透視画像取得部によって取得された前記透視画像とを表示部に出力する画像出力部と、を含む、X線撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮影部によるX線撮影の前記撮影角度を取得する撮影角度取得部をさらに含み、
前記撮影角度取得部は、前記血管画像を生成するためのX線撮影の前記撮影角度を血管撮影角度として取得するとともに、前記透視画像を取得するためのX線撮影の前記撮影角度を透視撮影角度として取得するように構成されており、
前記血管画像選択部は、前記撮影角度取得部によって取得された前記透視撮影角度に基づいて、生成された前記複数の血管画像のうちから、取得された前記透視撮影角度に対応する前記血管撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記血管画像選択部は、前記透視画像を取得するためのX線撮影の前記撮影角度が変更された場合には、前記撮影角度取得部によって取得された変更後の前記透視撮影角度に基づいて、変更後の前記透視撮影角度に対応する前記血管撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択し直すように構成されており、
前記画像出力部は、変更後の前記透視撮影角度に基づいて選択し直された前記血管画像と、変更後の前記透視撮影角度による前記透視画像とを前記表示部に出力するように構成されている、請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記画像出力部によって出力される画像を表示する前記表示部と、
前記画像出力部による前記表示部の表示を操作する入力操作を受け付ける操作部と、をさらに備え、
前記画像出力部は、前記操作部に対する入力操作に基づいて、前記透視画像と選択された前記血管画像とを重畳して前記表示部に表示させることと、選択された前記血管画像を表示させずに前記透視画像を前記表示部に表示させることとを切り換えるように構成されている、請求項2または3に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記透視画像取得部は、前記複数の血管画像を生成するための複数の前記血管撮影角度のうちの一の前記血管撮影角度を前記透視撮影角度として設定するとともに、設定された前記透視撮影角度によるX線撮影によって前記透視画像を取得するように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記血管画像生成部によって生成された前記複数の血管画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記血管画像生成部は、生成された前記血管画像と前記血管画像に対応する前記血管撮影角度とを関連付けて前記記憶部に記憶させるように構成されており、
前記血管画像選択部は、取得された前記透視撮影角度に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記複数の血管画像のうちから、取得された前記透視撮影角度に対応する前記血管撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するように構成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記透視画像取得部は、血管内に留置されるステントを含む医療用のデバイスが体内に含まれた状態の前記被検体に対するX線撮影によって前記透視画像を取得するように構成されており、
前記血管画像生成部は、前記透視画像を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の前記複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された前記複数のX線画像に基づいて、前記デバイスが体内に含まれていない状態の前記被検体の前記複数の血管画像を生成するように構成されており、
前記血管画像選択部は、前記デバイスが体内に含まれていない状態の前記被検体の前記複数の血管画像のうちから、前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記撮影部は、逐次的にX線撮影を行うことによって、前記複数の撮影角度の各々において、周期的に動作する前記被検体の体内の部位を動画像として撮影するように構成されており、
前記制御部は、動画像として撮影された前記X線画像に基づいて、前記透視画像および前記血管画像における前記被検体の体内の周期的な動作の位相を取得する位相取得部をさらに含み、
前記血管画像選択部は、動画像としての前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された動画像としての前記血管画像を選択するように構成されており、
前記画像出力部は、前記位相取得部によって取得された前記位相を同期させた状態で、前記透視画像と選択された前記血管画像とを動画像として前記表示部に出力するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
X線撮影装置の制御部が、X線撮影によって撮影されたX線画像に対して画像処理を実行する画像処理方法であって、
前記制御部が、複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された
前記X線画像である複数
のX線
造影画像に基づいて
、複数の血管画像を生成するステップと、
前記制御部が、前記血管画像を生成するためのX線撮影よりも後のX線撮影によって生成され
た前記X線画像である透視画像を取得するステップと、
前記制御部が、生成された複数の前記血管画像のうちから、前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するステップと、
前記制御部が、選択された前記血管画像と、取得された前記透視画像とを表示部に出力するステップと、を備える、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置、および、画像処理方法に関し、特に、透視画像と血管画像とを取得するX線撮影装置、および、画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透視像(透視画像)と血管像(血管画像)とを取得する画像処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されている画像処理装置は、カテーテルによる冠動脈の施術が行われる前に、血管造影により冠動脈の血管像を取得する。そして、カテーテルによる冠動脈の施術中に、被検体の体内の様子を映し出す透視像が撮影される。上記特許文献1に記載されている画像処理装置は、撮影中の透視像に事前に撮影された血管像を重畳する画像処理を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている画像処理装置では、1つの方向から撮影された血管像(血管画像)と、血管画像と同じ1つの方向から撮影された透視像(透視画像)とを重畳させるように構成されている。そのため、事前に予め撮影された血管画像の撮影角度から、透視画像の撮影角度が変更された場合には、変更後の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像を取得するために、被検体に造影剤を投与して血管造影を再度行う必要がある。したがって、透視画像を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の透視画像の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像を容易に取得することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、透視画像を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の透視画像の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像を容易に取得することが可能なX線撮影装置、および、画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線撮影装置は、被検体にX線を照射するX線照射部と、被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを含み、撮影角度を変更しながら被検体に対してX線撮影を行う撮影部と、撮影部によるX線撮影によって撮影されたX線画像に対して画像処理を実行する制御部と、を備え、制御部は、撮影部によるX線撮影によって生成され、被検体を透視するX線画像である透視画像を取得する透視画像取得部と、透視画像を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像に基づいて、造影剤を含む被検体の複数の血管画像を生成する血管画像生成部と、生成された複数の血管画像のうちから、透視画像を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像を選択する血管画像選択部と、血管画像選択部によって選択された血管画像と、透視画像取得部によって取得された透視画像とを表示部に出力する画像出力部と、を含む。
【0008】
この発明の第2の局面における画像処理方法では、X線撮影装置の制御部が、X線撮影によって撮影されたX線画像に対して画像処理を実行する画像処理方法であって、制御部が、複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影されたX線画像である複数のX線造影画像に基づいて、複数の血管画像を生成するステップと、制御部が、血管画像を生成するためのX線撮影よりも後のX線撮影によって生成されたX線画像である透視画像を取得するステップと、制御部が、生成された複数の血管画像のうちから、透視画像を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像を選択するステップと、制御部が、選択された血管画像と、取得された透視画像とを表示部に出力するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるX線撮影装置および上記第2の局面における画像処理方法では、複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像に基づいて、造影剤を含む被検体の複数の血管画像を生成する。そして、生成された複数の血管画像のうちから、透視画像を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像を選択する。これにより、複数の撮影角度による複数の血管画像が予め撮影されているため、透視画像を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の撮影角度に対応する血管画像を予め撮影された複数の血管画像のうちから選択することができる。そのため、1つの撮影角度のみによって予め血管画像を撮影する場合と異なり、透視画像を取得するための撮影角度を変更させた場合にも、変更後の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像を取得するために、血管造影を再度行う必要がなくなる。その結果、透視画像を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の透視画像の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるX線撮影装置の構成を説明するための図である。
【
図2】一実施形態によるX線撮影装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】一実施形態による血管画像の生成を説明するための図である。
【
図4】一実施形態による血管画像の記憶を説明するための図である。
【
図5】一実施形態による冠動脈の閉塞の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態による透視画像を説明するための図である。
【
図7】一実施形態による血管画像の選択を説明するための図である。
【
図8】一実施形態による透視画像と血管画像との表示部における重畳表示を説明するための図である。
【
図9】一実施形態による画像処理方法を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(X線撮影装置の全体構成)
図1~
図8を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100について説明する。
【0013】
X線撮影装置100は、
図1に示すように、体内に医療用のデバイス200が挿入された被検体101にX線を照射することによって、被検体101の体内の画像を撮影(透視)するX線撮影を行う。X線撮影装置100は、たとえば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)を行う際に、被検体101の体内の様子を確認するための画像(動画像)を撮影する。経皮的冠動脈インターベンションは、心臓の冠動脈(冠状動脈)の狭窄および閉塞による疾患である狭心症および心筋梗塞などに対して、医療用のデバイス200を用いて血管の狭窄および閉塞を解消する治療である。
【0014】
デバイス200は、たとえば、被検体101の心臓の血管内に留置されるステントなどを含む。デバイス200は、手首または太ももなどの血管(橈骨動脈または大腿動脈など)から冠動脈の狭窄部位(治療対象部位)まで、カテーテルなどを用いて挿入される。経皮的冠動脈インターベンションでは、血管内に挿入されたステントなどのデバイス200が、冠動脈の狭窄部位に配置される。そして、冠動脈の狭窄部位においてステントを拡張させることによって血管の狭窄に対しての治療が行われる。
【0015】
経皮的冠動脈インターベンションでは、医師などの作業者は、表示部4に表示されている動画像としてのX線画像10(透視画像50、
図6参照)を視認することによって、被検体101の体内の状態を確認しながら、被検体101の体内にステントなどのデバイス200を挿入する。透視画像50では、血管の形状(輪郭)の視認性が低いため、医師などの作業者は、被検体101を透視するX線画像10である透視画像50と併せて、造影剤を用いて予め生成された血管画像40(
図3参照)を視認することによって血管の形状を確認する。本実施形態によるX線撮影装置100では、透視画像50における血管の形状を確認しながらカテーテルなどを用いて冠動脈の狭窄部位にステントなどのデバイス200を配置するために、透視画像50と、透視画像50の撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40とを重畳させて(
図8参照)表示部4に表示させるように構成されている。
【0016】
〈X線撮影装置の各部の構成について〉
図2に示すように、X線撮影装置100は、天板1、撮影部2、保持部3、表示部4、タッチパネル5、記憶部6、および、制御部7を備える。X線撮影装置100は、被検体101にX線を照射することによって、動画像としてのX線画像10を撮影する。具体的には、X線撮影装置100は、被検体101を逐次的に撮影して、リアルタイムな動画像としての透視画像50(
図6参照)を取得するように構成されている。なお、タッチパネル5は、特許請求の範囲における「操作部」の一例である。
【0017】
天板1は、被検体101が横たわる寝台として構成されている。被検体101は、天板1に横たわった状態で、デバイス200が挿入されるとともに、X線が照射されて体内の画像が撮影される。
【0018】
撮影部2は、撮影角度を変更しながら被検体101に対してX線撮影を行う。本実施形態では、撮影部2は、逐次的にX線撮影を行うことによって、複数の撮影角度の各々において、周期的に動作する被検体101の体内の部位(たとえば、心臓)を動画像として撮影するように構成されている。また、撮影部2は、X線照射部21とX線検出部22とを含む。
【0019】
X線照射部21は、被検体101にX線を照射する。X線照射部21は、電圧が印加されることによってX線を照射するX線管を含む。X線管は、印加される電圧および電流が制御されることによって、照射するX線が制御されるように構成されている。また、本実施形態では、X線照射部21は、動画像としての被検体101の体内の画像(X線画像10)を撮影するために逐次的(連続的)にX線を照射するように構成されている。
【0020】
また、X線検出部22は、被検体101を透過したX線を検出する。そして、X線検出部22は、検出されたX線に基づいて検出信号を出力する。X線検出部22は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を含む。X線検出部22は、X線照射部21によって逐次的に照射されたX線を検出することによって、動画像としてのX線画像10を生成するための検出信号を出力する。
【0021】
保持部3は、撮影部2によるX線撮影の撮影角度を変更可能なように、X線照射部21およびX線検出部22を保持する。具体的には、保持部3は、X線照射部21およびX線検出部22を被検体101が横たわる天板1を挟んで対向させるように保持する。また、保持部3は、たとえば、サーボモータを含む。
【0022】
そして、保持部3は、被検体101に対して、複数の撮影角度からX線撮影を行うために、X線照射部21およびX線検出部22を回動させる。具体的には、保持部3は、被検体101の頭方向(CAUD:Caudal)および脚方向(CRAN:Cranial)と、右手方向(RAO:Right Anterior Oblique view)および左手方向(LAO:Left Anterior Oblique view)との2種類の方向の角度位置を変更可能に構成されている。したがって、保持部3は、被検体101に対して、頭方向および脚方向(CAUD/CRAN)と、右手方向および左手方向(LAO/RAO)とに回動することによって、任意の方向(撮影角度)からX線撮影が可能なように撮影部2を保持する。保持部3は、図示しない装置制御部からの保持部3の角度位置を設定するための制御信号に基づいて、CAUD/CRANおよびLAO/RAOの角度位置を変更させる。
【0023】
表示部4は、たとえば、液晶ディスプレイなどのモニタである。そして、表示部4は、後述する制御部7の画像出力部76によって出力される画像を表示する。
【0024】
タッチパネル5は、医師などの作業者によるX線撮影装置100を操作するための入力操作を受け付けるように構成されている。具体的には、タッチパネル5は、制御部7による制御を実行するための入力操作を受け付ける。たとえば、タッチパネル5は、後述する制御部7の画像出力部76による表示部4の表示を操作する入力操作を受け付ける。また、タッチパネル5は、保持部3の角度位置を変更させるための入力操作を受け付ける。そして、タッチパネル5は、天板1に設置されている。
【0025】
記憶部6は、たとえば、ハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されている。本実施形態では、記憶部6は、後述する制御部7の血管画像生成部74によって生成された複数の血管画像40(
図3参照)を記憶する。また、記憶部6は、生成された血管画像40と血管画像40に対応する血管撮影角度とを関連付けて記憶する。また、記憶部6は、各種の設定値を記憶するように構成されている。
【0026】
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されたコンピュータである。本実施形態では、制御部7は、撮影部2によるX線撮影によって撮影されたX線画像10に対して画像処理を実行する。制御部7は、機能的な構成として、画像取得部71、撮影角度取得部72、位相取得部73、血管画像生成部74、血管画像選択部75、および、画像出力部76を含む。すなわち、制御部7は、所定の制御プログラムを実行することにより、画像取得部71、撮影角度取得部72、位相取得部73、血管画像生成部74、血管画像選択部75、および、画像出力部76として機能する。また、画像取得部71、撮影角度取得部72、位相取得部73、血管画像生成部74、血管画像選択部75、および、画像出力部76は、制御部7の中のソフトウェアとしての機能ブロックであり、ハードウェアとしての制御部7の指令信号に基づいて機能するように構成されている。なお、
図2では、制御部7を機能ブロックとして図示しているが、この例に限られない。すなわち、制御部7の各部をそれぞれ別個のハードウェア(ソフトウェア)として構成してもよいし、1つのハードウェア(ソフトウェア)として構成してもよい。また、画像取得部71は、特許請求の範囲における「透視画像取得部」の一例である。
【0027】
(X線画像の取得について)
画像取得部71(制御部7)は、撮影部2によるX線撮影によって生成されたX線画像10を取得するように構成されている。具体的には、画像取得部71は、撮影部2のX線検出部22によって検出されたX線の検出信号に基づいて生成されたX線画像10を取得する。
【0028】
ここで、撮影部2のX線照射部21は、逐次的に照射されるX線の1秒間あたりの照射回数を変更可能に構成されている。たとえば、撮影部2は、1秒間あたりに1回以上30回以下の回数(パルスレート)によるX線を照射することによってX線撮影を行う。すなわち、画像取得部71は、X線検出部22から順次出力されるX線検出信号を画像化することにより、所定のフレームレートの動画像として撮影されたX線画像10を取得する。具体的には、画像取得部71は、1秒間あたりのフレームレート(FPS:Frames per second)が1FPS以上30FPS以下の動画像としてX線画像10を取得するように構成されている。また、X線画像10は、たとえばグレースケールで所定の階調数(10~12ビットなど)の画素値を有する画像である。
【0029】
また、本実施形態では、撮影角度取得部72(制御部7)は、撮影部2によるX線撮影の撮影角度を取得する。撮影角度とは、被検体101に対して照射されるX線の照射角度を意味する。そして、撮影角度取得部72は、血管画像40(
図3参照)が生成される際のX線撮影の撮影角度を血管撮影角度として取得する。また、撮影角度取得部72は、透視画像50(
図6参照)が取得される際のX線撮影の撮影角度を透視撮影角度として取得するように構成されている。
【0030】
具体的には、撮影角度取得部72は、X線撮影が行われる場合の保持部3の角度位置に基づいて、X線撮影における撮影角度を取得する。たとえば、撮影角度取得部72は、図示しない装置制御部からの保持部3の角度位置を設定するための制御信号に基づいて、保持部3の角度位置を撮影角度として取得する。撮影角度は、被検体101の頭方向(CAUD)および脚方向(CRAN)と、右手方向(RAO)および左手方向(LAO)との2方向の角度を含む。たとえば、被検体101に対して頭方向(脚方向)の傾きが0度であり、右手方向に30度傾けて撮影を行う場合には、撮影角度取得部72は、「CAUD0、RAO30」として撮影角度を取得する。また、撮影角度取得部72は、保持部3に設けられたポテンショメータなどの角度センサからの出力に基づいて、撮影角度を取得するように構成されていてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、位相取得部73(制御部7)は、動画像として撮影されたX線画像10に基づいて、透視画像50および血管画像40における被検体101の体内の周期的な動作の位相を取得する。すなわち、位相取得部73は、動画像としての透視画像50と動画像としての血管画像40との各々における被検体101の体内の周期的な動作の位相を取得する。位相取得部73は、たとえば、心臓のX線画像10を撮影する場合に、被検体101の心臓が最も収縮した時点から、最も拡張した時点を経て、もう一度最も収縮した時点までを1つの周期として、1周期分に亘って動画像として撮影されたX線画像10から、1周期分における位相についての情報を取得する。位相取得部73は、X線画像10における被検体101の体内の周期的な動作の位相を取得することによって、血管画像40および透視画像50における被検体101の体内の周期的な動作の位相を取得する。
【0032】
位相取得部73は、たとえば、撮影されたX線画像10のうちから心臓壁の輪郭を抽出して心臓の動作を示す特徴量を取得するとともに、取得された特徴量に基づいて心臓の拍動の時間的変化を取得することによって撮影されたX線画像10の各々のフレームにおける拍動の位相を取得する。なお、位相取得部73は、タッチパネル5に対する入力操作に基づいて撮影されたX線画像10における拍動の位相を取得するように構成されていてもよい。また、位相取得部73は、たとえば、心電計などの外部装置による心拍の測定結果に基づいて、拍動の位相を取得するように構成されていてもよい。
【0033】
(血管画像の生成について)
図3に示すように、本実施形態によるX線撮影装置100では、被検体101の冠動脈インターベンション治療を行うにあたって、被検体101の血管(冠動脈)にステントなどのデバイス200を挿入する前に、まず、複数の撮影角度において造影剤を用いた血管造影が行われる。すなわち、本実施形態では、血管画像生成部74は、デバイス200が体内に含まれていない状態の被検体101の複数の血管画像40を生成するように構成されている。そして、本実施形態では、血管画像生成部74は、透視画像50を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像10に基づいて、造影剤を含む被検体101の複数の血管画像40を生成するように構成されている。
【0034】
本実施形態では、画像取得部71(制御部7)は、撮影部2によって撮影されたX線画像10を、マスク画像20、または、造影画像30として取得するように構成されている。血管画像生成部74は、マスク画像20と造影画像30とに基づいて血管画像40を生成する。まず、血管画像生成部74は、被検体101に造影剤を投与しない状態(血管内に造影剤が無い状態)で、複数の撮影角度において被検体101の冠動脈のX線撮影を行う。これにより、血管画像生成部74は、血管画像40のマスクとなるマスク画像20を取得する。マスク画像20には、被検体101の血管(冠動脈)は明確には映し出されず、被検体101の骨や筋肉などの背景構造物が映し出される。
【0035】
次に、被検体101の血管内に造影剤が投与されて、造影画像30が撮影される。すなわち、血管画像生成部74は、被検体101に造影剤を投与した状態(血管内に造影剤が残存した状態)で、マスク画像20を撮影した時と同様の複数の撮影角度において、被検体101の冠動脈のX線撮影を行う。これにより、血管画像生成部74は、造影された血管の画像を含む造影画像30を取得する。なお、造影画像30は、たとえば、連続して撮影された複数のX線画像10に対してピークホールドを適用した画像であってもよい。ピークホールドとは、複数のX線画像10における血管の部位ごとから、造影剤が濃く表れている部位を合成して造影画像30を生成することである。
【0036】
そして、血管画像生成部74は、造影画像30からマスク画像20をデジタル差分処理することにより、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像としての血管画像40を生成するように構成されている。血管画像40では、背景構造物が略削除され、造影された血管の画像が残存している。血管画像40は、たとえば、背景部分が白く、血管部分が黒く色付けされている画像である。
【0037】
血管画像生成部74は、上記のようにして、治療を行う前に、複数の撮影角度におけるマスク画像20および造影画像30を取得することによって、複数の撮影角度の各々における複数の血管画像40を取得する。詳細には、血管画像生成部74は、複数の撮影角度の各々において、心臓の拍動の1周期分以上の長さの動画像として血管画像40を取得する。たとえば、血管画像生成部74は、8方向の撮影角度における8個の動画像としての血管画像40を取得する。また、血管画像40は、1秒間のフレームレートが30FPSの動画像として取得される。
【0038】
そして、
図4に示すように、本実施形態では、血管画像生成部74(制御部7)は、生成された複数の血管画像40と、複数の血管画像40の各々に対応する血管撮影角度とを関連付けて記憶部6に記憶させるように構成されている。すなわち、血管画像生成部74は、複数の撮影角度(複数の血管撮影角度)の各々によって動画像として撮影された複数の血管画像40を記憶部6に記憶する。また、血管画像生成部74は、生成された複数の血管画像40の各々について、血管撮影角度と、心拍の周期に対する位相についての位相情報とを、関連付けた状態で記憶部6に記憶させるように構成されている。
【0039】
そして、
図5に示すように、血管画像生成部74によって複数の血管画像40が生成された後に、医師などの作業者は、生成された血管画像40を視認することによって、被検体101の血管の狭窄部位(治療対象部位)の確認を行う。たとえば、
図5の血管画像40における部分40aのような血管の狭窄部位に対して、ガイドワイヤ、カテーテル、および、ステントなどのデバイス200を挿入することによって、狭窄を解消する治療である冠動脈インターベンションが行われる。
【0040】
(透視画像の取得について)
図6に示すように、本実施形態では、画像取得部71は、撮影部2によって撮影されたX線画像10を、透視画像50として取得するように構成されている。冠動脈インターベンションでは、医師などの作業者は、被検体101のX線画像10を逐次的に撮影して、リアルタイムで逐次的に生成される透視画像50(動画像)を視認しながら血管内にデバイス200を挿入する。すなわち、本実施形態では、画像取得部71(制御部7)は、冠動脈へのステントなどの医療用のデバイス200を留置するために、医療用のデバイス200が体内に含まれた状態の被検体101に対するX線撮影によって、被検体101を透視する透視画像50を取得するように構成されている。また、透視画像50は、マスク画像20および造影画像30よりもX線の線量を低減して撮影される。たとえば、透視画像50は、マスク画像20および造影画像30よりも小さい7.5FPS程度のフレームレートの動画像である。
【0041】
また、本実施形態では、画像取得部71(制御部7)は、複数の血管画像40を生成するための複数の血管撮影角度のうちの一の血管撮影角度を透視撮影角度として設定するとともに、設定された透視撮影角度によるX線撮影によって透視画像50を取得するように構成されている。具体的には、冠動脈インターベンションでは、医師などの作業者は、複数の血管画像40のうちから狭窄部位の視認性が高い一の血管画像40を選択する。そして、医師などの作業者は、選択された血管画像40の撮影角度(血管撮影角度)に基づいて、デバイス200を狭窄部位まで挿入する手技の最中に視認する透視画像50を撮影するための撮影角度(ワーキングアングル)を選定する。すなわち、デバイス200を体内に挿入する手技(治療)を行うために、血管画像40における治療部位の視認性が高い撮影角度が透視撮影角度として設定される。
【0042】
(透視画像と血管画像の出力について)
図7に示すように、本実施形態では、血管画像選択部75(制御部7)は、生成された複数の血管画像40のうちから、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を選択する。具体的には、血管画像選択部75は、撮影角度取得部72によって取得された透視撮影角度に基づいて、記憶部6に記憶されている複数の血管画像40のうちから、取得された透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成されている。たとえば、血管画像選択部75は、透視画像50に対応する透視撮影角度と、同一の(等しい)撮影角度である血管撮影角度を、記憶部6から抽出して読み出す。そして、血管画像選択部75は、抽出された血管撮影角度と関連付けられて記憶部6に記憶されている血管画像40を選択する。
【0043】
また、血管画像選択部75は、リアルタイムで逐次的に透視画像50の撮影が行われている状態において、撮影された透視画像50の透視撮影角度に対応する血管撮影角度を記憶部6から抽出する。すなわち、血管画像選択部75は、リアルタイムで逐次的に撮影された透視画像50の透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成されている。
【0044】
〈表示部の表示〉
図8に示すように、本実施形態では、画像出力部76(制御部7)は、血管画像選択部75によって選択された血管画像40と、画像取得部71によって取得された透視画像50とを表示部4に出力する。画像出力部76は、たとえば、血管画像40に対して、白黒を反転させる処理を行うとともに、白黒を反転させた血管画像40の透過度を50%にする画像処理を行う。そして、画像出力部76は、透過度が50%の白黒が反転された血管画像40を、透視画像50に重畳させて表示部4に表示させる。すなわち、画像出力部76は、デバイス200が含まれている透視画像50に、デバイス200が含まれていない(デバイス200が挿入される前の)血管画像40を重畳して表示部4に表示させる。
【0045】
また、本実施形態では、画像出力部76(制御部7)は、位相取得部73によって取得された位相を同期させた状態で、透視画像50と選択された血管画像40とを動画像として表示部4に出力するように構成されている。すなわち、画像出力部76は、位相取得部73によって取得された透視画像50の位相と血管画像40の位相とを同期させた状態で重畳して、表示部4に表示させる。また、血管画像40のフレームレートが30FPSであり、透視画像50のフレームレートが7.5FPSである場合には、血管画像40の描画枚数を4分の1にすることによって、血管画像40と透視画像50とを同期させて表示させるように構成されている。
【0046】
また、本実施形態では、画像出力部76(制御部7)は、タッチパネル5に対する入力操作に基づいて、透視画像50と選択された血管画像40とを重畳して表示部4に表示させることと、選択された血管画像40を表示させずに透視画像50を表示部4に表示させることとを切り換えるように構成されている。具体的には、画像出力部76は、表示部4に血管画像40が表示されず、透視画像50が表示されている状態において、タッチパネル5に対する入力操作に基づいて、表示されている透視画像50に対して血管画像選択部75によって選択された血管画像40を重畳させて、位相を同期させた状態で表示部4に表示させる。また、画像出力部76は、表示部4に透視画像50と選択された血管画像40とが表示されている状態において、タッチパネル5に対する入力操作に基づいて、血管画像40の表示を停止し、透視画像50を表示部4に表示させる。
【0047】
(撮影角度の変更について)
冠動脈インターベンションにおいて、ステントなどのデバイス200を血管内の狭窄部位に配置する手技を行っている最中に、透視画像50の撮影角度を変更させる場合がある。たとえば、同一方向から継続的にX線を照射することに起因して、被検体101の皮膚線量が大きくなることを抑制するために、治療中に透視撮影角度が変更される場合がある。その場合に、医師などの作業者は、タッチパネル5に対する入力操作によって、表示中の透視画像50の撮影角度を変更させる。
【0048】
そこで、本実施形態では、血管画像選択部75(制御部7)は、透視画像50を取得するためのX線撮影の撮影角度が変更された場合には、撮影角度取得部72によって取得された変更後の透視撮影角度に基づいて、変更後の透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択し直すように構成されている。すなわち、血管画像選択部75は、タッチパネル5に対する透視撮影角度を変更させるための入力操作に基づいて、血管画像40を選択し直すように構成されている。その場合には、記憶部6に記憶されている複数の血管画像40に対応する複数の血管撮影角度のうちから、新たな透視撮影角度が選択される。すなわち、血管画像選択部75は、予め撮影された複数の血管画像40のうちの一の血管画像40の血管撮影角度を、変更後の透視撮影角度として取得する。
【0049】
そして、画像出力部76は、変更後の透視撮影角度に基づいて選択し直された血管画像40と、変更後の透視撮影角度による透視画像50とを表示部4に出力するように構成されている。すなわち、表示部4に透視画像50と血管画像40とが重畳されて表示されている状態において、タッチパネル5に対する入力操作に基づいて透視撮影角度が変更された場合には、画像出力部76は、自動的に変更後の透視撮影角度に対応する血管画像40を透視画像50と重畳させて表示部4に表示させるように構成されている。
【0050】
(本実施形態による画像処理方法について)
次に、
図9を参照して、本実施形態によるX線撮影装置100による画像処理方法に関する制御処理フローについて説明する。なお、X線撮影装置100による画像処理方法は、X線撮影によって撮影されたX線画像10に対して画像処理を実行する画像処理方法である。また、X線撮影装置100による画像処理方法の制御処理は、制御部7によって実行される。
【0051】
まず、ステップ301において、複数の撮影角度(血管撮影角度)によるX線撮影によって、ステントを含む医療用のデバイス200が体内に含まれておらず、血管内に造影剤が投与される前の被検体101に対してX線撮影が行われ、複数の撮影角度による複数の動画像としてのマスク画像20(X線画像10)が取得される。
【0052】
次に、ステップ302において、マスク画像20を取得するためのX線撮影と同様に、複数の撮影角度(血管撮影角度)によるX線撮影によって、血管内に造影剤が投与された状態の被検体101に対してX線撮影が行われ、複数の撮影角度による複数の動画像としての造影画像30(X線画像10)が取得される。
【0053】
次に、ステップ303において、複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像10(マスク画像20および造影画像30)に基づいて、造影剤を含む被検体101の複数の血管画像40が生成される。具体的には、複数の血管撮影角度の各々におけるマスク画像20および造影画像30に基づいて、複数の血管撮影角度の各々における動画像としての複数の血管画像40が生成される。また、血管画像40と、対応する血管撮影角度および位相情報とが関連付けられて記憶部6に記憶される。
【0054】
次に、ステップ304において、血管画像40を生成するためのX線撮影よりも後のX線撮影によって生成され、被検体101を透視するX線画像10である透視画像50が取得される。具体的には、複数の血管画像40に対応する複数の血管撮影角度のうちから選択された一の血管撮影角度が透視撮影角度として設定される。そして、医師などの作業者によって被検体101に対してデバイス200が挿入され、デバイス200が体内に含まれた状態の被検体101に対して、設定された透視撮影角度によるX線撮影が行われることによって、動画像としての透視画像50が取得される。また、取得された透視画像50の位相情報が取得される。
【0055】
次に、ステップ305において、生成された複数の血管画像40のうちから、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40が選択される。具体的には、記憶部6に記憶されている複数の血管撮影角度のうちから透視画像50の透視撮影角度に対応する(同一の)撮影角度である血管撮影角度が抽出される。そして、抽出された血管撮影角度と関連付けられて記憶部6に記憶されている血管画像40が透視画像50に対応する血管画像40として選択される。
【0056】
次に、ステップ306において、選択された血管画像40と、取得された透視画像50とが表示部4に出力される。具体的には、透視画像50および血管画像40における被検体101の体内の周期的な動作の位相が同期された状態で、透視画像50と血管画像40とが重畳されて表示部4に表示される。
【0057】
次に、ステップ307において、透視画像50を取得するためのX線撮影の撮影角度(透視撮影角度)が変更されたか否かが判断される。透視撮影角度が変更されたと判断された場合には、ステップ308に進む。
【0058】
ステップ308では、変更後の透視撮影角度に基づいて、変更後の透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40が選択し直される。そして、選択し直された血管画像40と、撮影角度が変更された透視画像50とが表示部4に表示される。
【0059】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
本実施形態のX線撮影装置100では、上記のように、複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像10に基づいて、造影剤を含む被検体101の複数の血管画像40を生成する。そして、生成された複数の血管画像40のうちから、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を選択する。これにより、複数の撮影角度による複数の血管画像40が予め撮影されているため、透視画像50を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の撮影角度に対応する血管画像40を予め撮影された複数の血管画像40のうちから選択することができる。そのため、1つの撮影角度のみによって予め血管画像40を撮影する場合と異なり、透視画像50を取得するための撮影角度を変更させた場合にも、変更後の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像40を取得するために、血管造影を再度行う必要がなくなる。その結果、透視画像50を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の透視画像50の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像40を容易に取得することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0062】
すなわち、本実施形態では、上記のように、制御部7は、撮影部2によるX線撮影の撮影角度を取得する撮影角度取得部72をさらに含み、撮影角度取得部72(制御部7)は、血管画像40を生成するためのX線撮影の撮影角度を血管撮影角度として取得するとともに、透視画像50を取得するためのX線撮影の撮影角度を透視撮影角度として取得するように構成されており、血管画像選択部75(制御部7)は、撮影角度取得部72によって取得された透視撮影角度に基づいて、生成された複数の血管画像40のうちから、取得された透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成されている。このように構成すれば、撮影角度取得部72によって複数の血管画像40に対応する複数の血管撮影角度と、透視画像50に対応する透視撮影角度とを取得することができる。そのため、透視画像50および血管画像40に対する画像処理によって撮影角度を比較する場合と異なり、取得された透視撮影角度を複数の血管撮影角度と比較することによって、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を容易に選択することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、血管画像選択部75(制御部7)は、透視画像50を取得するためのX線撮影の撮影角度が変更された場合には、撮影角度取得部72によって取得された変更後の透視撮影角度に基づいて、変更後の透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択し直すように構成されており、画像出力部76は、変更後の透視撮影角度に基づいて選択し直された血管画像40と、変更後の透視撮影角度による透視画像50とを表示部4に出力するように構成されている。このように構成すれば、透視画像50を取得するための撮影角度が変更されるたびに変更後の撮影角度に対応する血管画像40を自動的に選択し直すことができる。そのため、透視画像50の撮影角度を変更しながら手技(治療)を進める場合に、撮影角度を変更するたびに適切な血管画像40を容易に取得することができる。その結果、透視画像50の撮影角度を変更した場合に、医師などの作業者は、変更後の撮影角度に対応する血管画像40を選択し直すための操作を行う必要がなく、血管画像40を選択し直すための作業負担を削減することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、画像出力部76(制御部7)によって出力される画像を表示する表示部4と、画像出力部76による表示部4の表示を操作する入力操作を受け付けるタッチパネル5(操作部)と、をさらに備え、画像出力部76は、タッチパネル5(操作部)に対する入力操作に基づいて、透視画像50と選択された血管画像40とを重畳して表示部4に表示させることと、選択された血管画像40を表示させずに透視画像50を表示部4に表示させることとを切り換えるように構成されている。このように構成すれば、血管画像40と透視画像50との重畳表示と、透視画像50のみの表示とをタッチパネル5に対する入力操作によって容易に切り換えることができる。そのため、透視画像50のみを表示させて、被検体101の体内の状態を確認することと、透視画像50に血管画像40を重畳させて、被検体101の体内と血管の状態とを併せて確認することとを容易に切り換えることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、画像取得部71(透視画像取得部、制御部7)は、複数の血管画像40を生成するための複数の血管撮影角度のうちの一の血管撮影角度を透視撮影角度として設定するとともに、設定された透視撮影角度によるX線撮影によって透視画像50を取得するように構成されている。このように構成すれば、複数の血管撮影角度のうちの一の撮影角度を透視撮影角度として設定することによって、同一の撮影角度による透視画像50と血管画像40とを取得することができる。そのため、透視画像50と同一の撮影角度から撮影された血管画像40を視認することによって、透視画像50における血管の形状をより正確に確認することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、血管画像生成部74(制御部7)によって生成された複数の血管画像40を記憶する記憶部6をさらに備え、血管画像生成部74は、生成された血管画像40と血管画像40に対応する血管撮影角度とを関連付けて記憶部6に記憶させるように構成されており、血管画像選択部75(制御部7)は、取得された透視撮影角度に基づいて、記憶部6に記憶されている複数の血管画像40のうちから、取得された透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成されている。このように構成すれば、複数の血管画像40と血管撮影角度とが関連付けられて記憶部6に記憶されているため、取得された透視撮影角度に対応する血管撮影角度を記憶部6から読み出すことによって、透視画像50に対応する血管画像40を容易に選択することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、画像取得部71(透視画像取得部、制御部7)は、血管内に留置されるステントを含む医療用のデバイス200が体内に含まれた状態の被検体101に対するX線撮影によって透視画像50を取得するように構成されており、血管画像生成部74(制御部7)は、透視画像50を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像10に基づいて、デバイス200が体内に含まれていない状態の被検体101の複数の血管画像40を生成するように構成されており、血管画像選択部75(制御部7)は、デバイス200が体内に含まれていない状態の被検体101の複数の血管画像40のうちから、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成されている。ここで、ステントなどのデバイス200を用いて血管の狭窄および閉塞の治療を行った場合には、治療を行うことによって血管の狭窄および閉塞の状態(血流)が改善されるとともに、治療後に体内に留置されるステントなどのデバイス200はX線撮影では写りにくいため、治療後に血管造影によって治療を行った部位を確認することが困難となる場合がある。これに対して、本実施形態では、血管画像選択部75(制御部7)を、デバイス200が体内に含まれていない状態の被検体101の複数の血管画像40のうちから、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成する。このように構成すれば、血管の狭窄および閉塞などに対する治療が完了した後にも、治療前に予め生成された血管画像40を視認することによって狭窄および閉塞のあった血管の部位を確認することができる。また、透視画像50に対応する血管画像40が選択されるため、治療の進行に伴って撮影角度を変更させて透視画像50を取得した場合にも、治療が行われた血管の部位を容易に特定して確認することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、撮影部2は、逐次的にX線撮影を行うことによって、複数の撮影角度の各々において、周期的に動作する被検体101の体内の部位を動画像として撮影するように構成されており、制御部7は、動画像として撮影されたX線画像10に基づいて、透視画像50および血管画像40における被検体101の体内の周期的な動作の位相を取得する位相取得部73をさらに含み、血管画像選択部75(制御部7)は、動画像としての透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された動画像としての血管画像40を選択するように構成されており、画像出力部76は、位相取得部73(制御部7)によって取得された位相を同期させた状態で、透視画像50と選択された血管画像40とを動画像として表示部4に出力するように構成されている。このように構成すれば、動画像である透視画像50と、動画像である血管画像40との位相を同期させて表示部4に出力するため、透視画像50における被検体101の体内の部位と、血管画像40における被検体101の体内の部位との形状が異なることを抑制することができる。そのため、透視画像50と血管画像40とにおける被検体101の体内の部位の形状が異なることに起因して、透視画像50における血管の確認が困難となることを抑制することができる。そして、動画像としての透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された動画像としての血管画像40が選択されるため、透視画像50の撮影角度が変更された場合にも、位相を同期させて表示された透視画像50と血管画像40とを視認することによって、透視画像50における血管の様子を容易に確認することができる。
【0069】
[本実施形態による画像処理方法の効果]
本実施形態による画像処理方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
本実施形態の画像処理方法では、上記のように構成することにより、複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数のX線画像10に基づいて、造影剤を含む被検体101の複数の血管画像40を生成する。そして、生成された複数の血管画像40のうちから、透視画像50を取得するための撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を選択する。これにより、複数の撮影角度による複数の血管画像40が予め撮影されているため、透視画像50を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の撮影角度に対応する血管画像40を予め撮影された複数の血管画像40のうちから選択することができる。そのため、1つの撮影角度のみによって予め血管画像40を撮影する場合と異なり、透視画像50を取得するための撮影角度を変更させた場合にも、変更後の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像40を取得するために、血管造影を再度行う必要がなくなる。その結果、透視画像50を取得するための撮影角度が変更された場合にも、変更後の透視画像50の撮影角度に対応した撮影角度の血管画像40を容易に取得することが可能な画像処理方法を提供することができる。
【0071】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0072】
たとえば、上記実施形態では、撮影角度取得部72(制御部7)によって取得された透視撮影角度に基づいて、生成された複数の血管画像40のうちから、取得された透視撮影角度に対応する血管撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、血管画像40および透視画像50から画像処理によって特徴量を取得するとともに、取得された特徴量に基づいて、複数の血管画像40のうちから、透視画像50の撮影角度に対応する撮影角度によって撮影された血管画像40を選択するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、撮影角度が変更された場合には、変更後の透視撮影角度に基づいて選択し直された血管画像40と、変更後の透視撮影角度による透視画像50とを表示部4に出力するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、透視画像50と血管画像40とが表示されている状態において、撮影角度が変更された場合には、血管画像40は表示させずに(血管画像40を選し直さずに)変更後の透視画像50のみを表示させるようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、透視画像50と選択された血管画像40とを重畳して表示部4に表示させるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、透視画像50と選択された血管画像40とを並べて表示させるようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、複数の血管画像40を生成するための複数の血管撮影角度のうちの一の血管撮影角度を透視撮影角度として設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、血管画像40を生成するための複数の血管撮影角度とは異なる撮影角度を透視撮影角度として設定するようにしてもよい。その場合には、複数の血管撮影角度のうちから、設定された透視撮影角度と最も近似する値の撮影角度の血管撮影角度を選択することによって、透視画像に対応する血管画像を選択するように構成してもよい。すなわち、透視撮影角度と血管撮影角度とが、異なる値の撮影角度であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、生成された複数の血管画像40を記憶する記憶部6を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、装置外部に別個に設けられたサーバーなどの記憶装置に、生成された血管画像40を記憶させるように構成してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、血管内に留置されるステントを含む医療用のデバイス200が体内に含まれた状態の被検体101に対するX線撮影によって透視画像50を取得するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステントではなく、動脈瘤の治療に用いられるコイル、または、人工弁などのデバイスが体内に留置された状態の被検体に対するX線撮影によって透視画像を取得するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、位相を同期させた状態で、透視画像50と選択された血管画像40とを動画像として表示部4に出力するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、動画像である透視画像50と、静止画像である血管画像40とを表示部4に表示させるようにしてもよい。また、複数の血管画像40を、所定の位相のタイミング(たとえば、心臓が最も収縮したタイミング)から1周期分の長さの動画像として取得することによって、血管画像40の位相を取得せずに、透視画像50と血管画像40とを同期させて表示させるように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、血管画像40は、マスク画像20と造影画像30との差分を取得することによって生成されるDSA画像である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、血管画像40は、造影画像30にコントラスト強調などの画像処理を行った画像であってもよい。また、取得された造影画像30をそのまま血管画像40として用いるようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、画像出力部76によって出力される画像を表示する表示部4が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、装置外部に対して画像を出力するとともに、装置外部に別個に設けられた画像表示装置の表示部に、血管画像40および透視画像50を表示させるように構成されていてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、被検体101の心臓(冠動脈)の治療を行う場合に透視画像50と血管画像40とを取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被検体101の下肢の血管、および、被検体101の頭部の血管などの治療を行う場合に、透視画像50と血管画像40とを取得するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、X線照射部21とX線検出部22とが、共通の保持部3(Cアーム)によって保持されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線照射部21とX線検出部22とが別個に保持されるように構成されていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、1組のX線照射部21およびX線検出部22によってX線撮影が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、2組のX線照射部21とX線検出部22によってX線撮影が行われるバイプレーンの構成であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、撮影角度を制御する装置制御部と画像処理を行う制御部7とが別個に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、撮影角度の制御と画像処理との制御を共通の制御部によって実行するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、複数の撮影角度から撮影された血管画像40における狭窄部位(治療対象部位)を確認することによって、透視画像50を撮影する撮影角度(ワーキングアングル)が選択される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100とは別個のCT装置によって取得されたCT画像から、透視画像50を撮影する撮影角度を選択するようにしてもよい。
【0086】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0087】
(項目1)
被検体にX線を照射するX線照射部と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを含み、撮影角度を変更しながら前記被検体に対してX線撮影を行う撮影部と、
前記撮影部によるX線撮影によって撮影されたX線画像に対して画像処理を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部によるX線撮影によって生成され、前記被検体を透視する前記X線画像である透視画像を取得する透視画像取得部と、
前記透視画像を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の複数の前記撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数の前記X線画像に基づいて、造影剤を含む前記被検体の複数の血管画像を生成する血管画像生成部と、
生成された前記複数の血管画像のうちから、前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択する血管画像選択部と、
前記血管画像選択部によって選択された前記血管画像と、前記透視画像取得部によって取得された前記透視画像とを表示部に出力する画像出力部と、を含む、X線撮影装置。
【0088】
(項目2)
前記制御部は、前記撮影部によるX線撮影の前記撮影角度を取得する撮影角度取得部をさらに含み、
前記撮影角度取得部は、前記血管画像を生成するためのX線撮影の前記撮影角度を血管撮影角度として取得するとともに、前記透視画像を取得するためのX線撮影の前記撮影角度を透視撮影角度として取得するように構成されており、
前記血管画像選択部は、前記撮影角度取得部によって取得された前記透視撮影角度に基づいて、生成された前記複数の血管画像のうちから、取得された前記透視撮影角度に対応する前記血管撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0089】
(項目3)
前記血管画像選択部は、前記透視画像を取得するためのX線撮影の前記撮影角度が変更された場合には、前記撮影角度取得部によって取得された変更後の前記透視撮影角度に基づいて、変更後の前記透視撮影角度に対応する前記血管撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択し直すように構成されており、
前記画像出力部は、変更後の前記透視撮影角度に基づいて選択し直された前記血管画像と、変更後の前記透視撮影角度による前記透視画像とを前記表示部に出力するように構成されている、項目2に記載のX線撮影装置。
【0090】
(項目4)
前記画像出力部によって出力される画像を表示する前記表示部と、
前記画像出力部による前記表示部の表示を操作する入力操作を受け付ける操作部と、をさらに備え、
前記画像出力部は、前記操作部に対する入力操作に基づいて、前記透視画像と選択された前記血管画像とを重畳して前記表示部に表示させることと、選択された前記血管画像を表示させずに前記透視画像を前記表示部に表示させることとを切り換えるように構成されている、項目2または3に記載のX線撮影装置。
【0091】
(項目5)
前記透視画像取得部は、前記複数の血管画像を生成するための複数の前記血管撮影角度のうちの一の前記血管撮影角度を前記透視撮影角度として設定するとともに、設定された前記透視撮影角度によるX線撮影によって前記透視画像を取得するように構成されている、項目2~4のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0092】
(項目6)
前記血管画像生成部によって生成された前記複数の血管画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記血管画像生成部は、生成された前記血管画像と前記血管画像に対応する前記血管撮影角度とを関連付けて前記記憶部に記憶させるように構成されており、
前記血管画像選択部は、取得された前記透視撮影角度に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記複数の血管画像のうちから、取得された前記透視撮影角度に対応する前記血管撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するように構成されている、項目2~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0093】
(項目7)
前記透視画像取得部は、血管内に留置されるステントを含む医療用のデバイスが体内に含まれた状態の前記被検体に対するX線撮影によって前記透視画像を取得するように構成されており、
前記血管画像生成部は、前記透視画像を取得するためのX線撮影が行われる時点よりも前の前記複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された前記複数のX線画像に基づいて、前記デバイスが体内に含まれていない状態の前記被検体の前記複数の血管画像を生成するように構成されており、
前記血管画像選択部は、前記デバイスが体内に含まれていない状態の前記被検体の前記複数の血管画像のうちから、前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するように構成されている、項目1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0094】
(項目8)
前記撮影部は、逐次的にX線撮影を行うことによって、前記複数の撮影角度の各々において、周期的に動作する前記被検体の体内の部位を動画像として撮影するように構成されており、
前記制御部は、動画像として撮影された前記X線画像に基づいて、前記透視画像および前記血管画像における前記被検体の体内の周期的な動作の位相を取得する位相取得部をさらに含み、
前記血管画像選択部は、動画像としての前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された動画像としての前記血管画像を選択するように構成されており、
前記画像出力部は、前記位相取得部によって取得された前記位相を同期させた状態で、前記透視画像と選択された前記血管画像とを動画像として前記表示部に出力するように構成されている、項目1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0095】
(項目9)
X線撮影によって撮影されたX線画像に対して画像処理を実行する画像処理方法であって、
複数の撮影角度によるX線撮影によって予め撮影された複数の前記X線画像に基づいて、造影剤を含む被検体の複数の血管画像を生成するステップと、
前記血管画像を生成するためのX線撮影よりも後のX線撮影によって生成され、前記被検体を透視する前記X線画像である透視画像を取得するステップと、
生成された複数の前記血管画像のうちから、前記透視画像を取得するための前記撮影角度に対応する前記撮影角度によって撮影された前記血管画像を選択するステップと、
選択された前記血管画像と、取得された前記透視画像とを表示部に出力するステップと、を備える、画像処理方法。
【符号の説明】
【0096】
2 撮影部
4 表示部
5 タッチパネル(操作部)
6 記憶部
7 制御部
10 X線画像
21 X線照射部
22 X線検出部
40 血管画像
50 透視画像
71 画像取得部(透視画像取得部)
72 撮影角度取得部
73 位相取得部
74 血管画像生成部
75 血管画像選択部
76 画像出力部
100 X線撮影装置
101 被検体
200 デバイス