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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】荷物積付装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240109BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B65G47/90 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020185053
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074738
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】窪田 博司
(72)【発明者】
【氏名】古橋 正得
(72)【発明者】
【氏名】永井 亘
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-246546(JP,A)
【文献】特開2019-94210(JP,A)
【文献】国際公開第2013/076349(WO,A1)
【文献】特開2016-170791(JP,A)
【文献】特開平4-101929(JP,A)
【文献】特開2020-83486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/03
B65G 47/90
B65G 63/00
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角柱状の荷物をコンテナ内の積付位置に積み付ける荷物積付装置であって、
前記荷物を保持するL字状のロボットハンドを有する積付用ロボットと、
前記ロボットハンドを3軸方向に移動させる移動用駆動部と、
前記ロボットハンドに保持された前記荷物を前記コンテナ内における前記積付位置からオフセットされたアプローチ位置に仮置きするように前記移動用駆動部を制御する第1制御処理を実行し、前記第1制御処理を実行した後、前記アプローチ位置に仮置きされた前記荷物を前記ロボットハンドにより前記積付位置に向けて押し付けるように前記移動用駆動部を制御する第2制御処理を実行する制御部とを備える荷物積付装置。
【請求項2】
前記アプローチ位置は、前記積付位置から前記コンテナの手前側にオフセットされた位置であり、
前記制御部は、前記第2制御処理を実行するときは、前記ロボットハンドにより前記荷物を前記コンテナの奥側に押し付けるように前記移動用駆動部を制御する請求項1記載の荷物積付装置。
【請求項3】
前記アプローチ位置は、前記積付位置から前記コンテナの手前側及び左右方向の一方側にオフセットされた位置であり、
前記制御部は、前記第2制御処理を実行するときは、前記ロボットハンドにより前記荷物を前記コンテナの奥側及び前記左右方向の他方側に押し付けるように前記移動用駆動部を制御する請求項1記載の荷物積付装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2制御処理を実行するときは、まず前記ロボットハンドにより前記荷物を前記コンテナの奥側に押し付けるように前記移動用駆動部を制御し、その後に前記ロボットハンドにより前記荷物を前記左右方向の他方側に押し付けるように前記移動用駆動部を制御する請求項3記載の荷物積付装置。
【請求項5】
前記ロボットハンドを3軸回りに回動させる回動用駆動部を更に備え、
前記制御部は、前記第2制御処理を実行するときは、前記積付位置の周囲における前記コンテナの左右方向のスペースに応じて前記ロボットハンドの姿勢を90度変更するように前記回動用駆動部を制御してから、前記ロボットハンドにより前記荷物を前記左右方向の他方側に押し付けるように前記移動用駆動部を制御する請求項4記載の荷物積付装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2制御処理を実行するときは、前記ロボットハンドにより複数の前記荷物を前記コンテナの奥側または前記左右方向の他方側に一括して押し付けるように前記移動用駆動部を制御する請求項3記載の荷物積付装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2制御処理を実行するときは、前記ロボットハンドにより前記荷物を保持した状態で、前記ロボットハンドにより前記複数の荷物を前記コンテナの奥側または前記左右方向の他方側に一括して押し付けるように前記移動用駆動部を制御する請求項6記載の荷物積付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物積付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の荷物積付装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の荷物積付装置では、ロボットによって手荷物をコンテナ内に積み付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-246546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットにより手荷物をコンテナ内の積付位置に積み付ける際には、ロボットハンドによる手荷物の保持位置精度等によって手荷物が置かれる位置がばらつきやすい。従って、手荷物をコンテナ内の積付位置に正確に積み付けることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、荷物をコンテナ内の積付位置に正確に積み付けることができる荷物積付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、四角柱状の荷物をコンテナ内の積付位置に積み付ける荷物積付装置であって、荷物を保持するL字状のロボットハンドを有する積付用ロボットと、ロボットハンドを3軸方向に移動させる移動用駆動部と、ロボットハンドに保持された荷物をコンテナ内における積付位置からオフセットされたアプローチ位置に仮置きするように移動用駆動部を制御する第1制御処理を実行し、第1制御処理を実行した後、アプローチ位置に仮置きされた荷物をロボットハンドにより積付位置に向けて押し付けるように移動用駆動部を制御する第2制御処理を実行する制御部とを備える。
【0007】
このような荷物積付装置においては、まずロボットハンドに保持された荷物がコンテナ内における積付位置からオフセットされたアプローチ位置に仮置きされる。そして、アプローチ位置に仮置きされた荷物がロボットハンドにより積付位置に向けて押し付けられることで、荷物が積付位置に達する。これにより、荷物がコンテナ内の積付位置に正確に積み付けられる。
【0008】
アプローチ位置は、積付位置からコンテナの手前側にオフセットされた位置であり、制御部は、第2制御処理を実行するときは、ロボットハンドにより荷物をコンテナの奥側に押し付けるように移動用駆動部を制御してもよい。このような構成では、荷物がコンテナ内の積付位置にコンテナの奥行方向に対して正確に積み付けられる。
【0009】
アプローチ位置は、積付位置からコンテナの手前側及び左右方向の一方側にオフセットされた位置であり、制御部は、第2制御処理を実行するときは、ロボットハンドにより荷物をコンテナの奥側及び左右方向の他方側に押し付けるように移動用駆動部を制御してもよい。このような構成では、荷物がコンテナ内の積付位置にコンテナの奥行方向及び左右方向に対して正確に積み付けられる。
【0010】
制御部は、第2制御処理を実行するときは、まずロボットハンドにより荷物をコンテナの奥側に押し付けるように移動用駆動部を制御し、その後にロボットハンドにより荷物を左右方向の他方側に押し付けるように移動用駆動部を制御してもよい。このような構成では、荷物の側面がコンテナの内壁面または既設の荷物に干渉した状態で、ロボットハンドにより荷物がコンテナの奥側に押し付けられることが防止される。
【0011】
荷物積付装置は、ロボットハンドを3軸回りに回動させる回動用駆動部を更に備え、制御部は、第2制御処理を実行するときは、積付位置の周囲におけるコンテナの左右方向のスペースに応じてロボットハンドの姿勢を90度変更するように回動用駆動部を制御してから、ロボットハンドにより荷物を左右方向の他方側に押し付けるように移動用駆動部を制御してもよい。このような構成では、積付位置の周囲におけるコンテナの左右方向のスペースに応じて、ロボットハンドにおいて荷物を押し付ける位置が変わることになる。従って、積付位置の周囲におけるコンテナの左右方向のスペースが狭いときでも、荷物をコンテナ内の積付位置にコンテナの左右方向に対して正確に積み付けることができる。
【0012】
制御部は、第2制御処理を実行するときは、ロボットハンドにより複数の荷物をコンテナの奥側または左右方向の他方側に一括して押し付けるように移動用駆動部を制御してもよい。このような構成では、複数の荷物がコンテナの奥側または左右方向の他方側に同時に押し付けられるため、荷物をコンテナの奥側または左右方向の他方側に押し付ける制御処理が一部省略される。従って、荷物をコンテナ内に積み付ける時間が短縮される。
【0013】
制御部は、第2制御処理を実行するときは、ロボットハンドにより荷物を保持した状態で、ロボットハンドにより複数の荷物をコンテナの奥側または左右方向の他方側に一括して押し付けるように移動用駆動部を制御してもよい。このような構成では、ロボットハンドにより複数の荷物を一括して押し付ける際にロボットハンドに保持される荷物については、アプローチ位置に仮置きしなくて済む。従って、荷物をコンテナ内に積み付ける時間が更に短縮される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、荷物をコンテナ内の積付位置に正確に積み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る荷物積付装置を示す概略構成図である。
図2図1に示されたロボットハンドの外観を示す斜視図である。
図3図2に示されたロボットハンドにより手荷物が横置き状態及び縦置き状態で保持される様子を示す斜視図である。
図4図2に示された第1コンベア部及び第2コンベア部の駆動方向を示す斜視図である。
図5図1に示された荷物積付装置の制御系構成図である。
図6】コンテナ内に設定された複数の収容エリアを手荷物の積付順の一例と共に示す図である。
図7】コンテナ内に設定されたアドレスを収容エリアと共に示す図である。
図8図5に示された積付演算部により実行される積付演算処理の手順を示すフローチャートである。
図9図2に示されたロボットハンドに保持された手荷物が壁部により第1コンベア部及び第2コンベア部に対して位置決めされる様子を示す側面図である。
図10図8に示された処理によってコンテナ内のアプローチ位置に仮置きされた手荷物を押し付ける様子を示す概略平面図である。
図11図7に示されたコンテナ内の補助収容エリアに手荷物を積み付ける様子を示す概略側面図である。
図12図8に示された手順S110の詳細を示すフローチャートである。
図13図10に示されたロボットハンドにより手荷物をコンテナの右側に押し付ける様子を示す概略側面図である。
図14図8に示された積付演算処理の変形例における手順S110の詳細を示すフローチャートである。
図15図14に示された処理によってコンテナ内のアプローチ位置に仮置きされた手荷物を押し付ける様子を示す概略平面図である。
図16図8に示された積付演算処理の他の変形例の手順を示すフローチャートである。
図17図16に示された手順S110の詳細を示すフローチャートである。
図18図17に示された処理によってコンテナ内のアプローチ位置に仮置きされた手荷物を押し付ける様子を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る荷物積付装置を示す概略構成図である。図1において、本実施形態の荷物積付装置1は、例えば空港におけるバックヤードの積付場に設置されている。荷物積付装置1は、航空機に積載されるコンテナ2に搭乗者の手荷物3(荷物)を自動的に積み付ける装置である。
【0018】
コンテナ2に積み付けられる手荷物3は、直方体状のスーツケースである。なお、ここでいう直方体は、完全な直方体だけでなく、例えば角部に面取り等が設けられた略直方体も含んでいる。手荷物3は、2つの主面3aと、上面3bと、下面3cと、2つの側面3dとを有している。上面3bには、取っ手31が設けられている。下面3cには、複数のキャスター32が設けられている。
【0019】
コンテナ2は、トーイングトラクタ(図示せず)により牽引される複数(ここでは2つ)の台車4上に載置されている。台車4の前端及び後端には、連結器4aが設けられている。各台車4同士は、連結器4aにより連結されている。
【0020】
荷物積付装置1は、2つのコンテナ2に対して同時に手荷物3を積み付ける。コンテナ2の一側面には、扉(図示せず)が設けられている。荷物積付装置1は、コンテナ2の扉が開いた状態で、コンテナ2の側方からコンテナ2内に手荷物3を積み付ける。なお、トーイングトラクタの前側に位置するコンテナ2を前コンテナ2Aとし、トーイングトラクタの後側に位置するコンテナ2を後コンテナ2Bとする。
【0021】
荷物積付装置1は、メインコンベア5と、仕分コンベア6と、退避コンベア7と、荷受コンベア8と、プッシャー9と、ターンテーブル10と、プッシャー11と、バッファコンベア12と、プッシャー13と、プッシャー14と、積付用ロボット15とを備えている。
【0022】
メインコンベア5は、空港側コンベア16から受け取った手荷物3をコンテナ2に向けて搬送する。空港側コンベア16は、空港のターミナルビルに設置された搭乗手続きカウンタからバックヤードの積付場まで手荷物3を搬送する。メインコンベア5は、手荷物3を1つずつ順送りする複数(ここでは5つ)の順送りコンベア17から構成されている。
【0023】
仕分コンベア6は、メインコンベア5よりも下流側に配置されている。仕分コンベア6は、後述する積付用ロボット15によりコンテナ2に積み付けられない積付対象外の手荷物3、つまりスーツケース以外の手荷物3を退避コンベア7に向けて送り出す。退避コンベア7は、積付対象外の手荷物3を指定場所まで搬送する。
【0024】
荷受コンベア8は、仕分コンベア6よりも下流側において退避コンベア7に対して分岐して配置されている。荷受コンベア8には、積付用ロボット15によりコンテナ2に積み付けられる積付対象の手荷物3(スーツケース)が載置される。プッシャー9は、積付対象の手荷物3を仕分コンベア6から荷受コンベア8に向けて押し付けて移動させる。
【0025】
ターンテーブル10は、荷受コンベア8よりも下流側に配置されている。ターンテーブル10には、積付対象の手荷物3が載置される。プッシャー11は、積付対象の手荷物3を荷受コンベア8からターンテーブル10に向けて押し付けて移動させる。
【0026】
バッファコンベア12は、ターンテーブル10よりも下流側に配置されている。バッファコンベア12には、積付対象の手荷物3が載置される。バッファコンベア12のコンテナ2側端部には、位置決め用の壁部18が設けられている。バッファコンベア12のコンテナ2側端部は、バッファコンベア12におけるターンテーブル10とバッファコンベア12との配列方向に垂直な方向の一端部である。プッシャー13は、積付対象の手荷物3をターンテーブル10からバッファコンベア12に向けて押し付けて移動させる。
【0027】
プッシャー14は、バッファコンベア12に載置された積付対象の手荷物3を壁部18に突き当てるように押し付ける。プッシャー14及び壁部18は、バッファコンベア12に載置された手荷物3をターンテーブル10とバッファコンベア12との配列方向に垂直な方向に対して位置決めする。
【0028】
積付用ロボット15は、積付対象の手荷物3をコンテナ2に積み付けるロボットである。積付用ロボット15は、走行台車19と、この走行台車19に取り付けられたロボットアーム20とを有している。
【0029】
走行台車19は、各コンテナ2の配列方向に平行に延びるレール21に沿って走行する。レール21は、各コンテナ2の正面側(扉側)に設置されている。ロボットアーム20は、3軸方向に移動可能であると共に3軸回りに回動可能である(後述)。ロボットアーム20の先端部には、バッファコンベア12に載置された積付対象の手荷物3を保持するL字状のロボットハンド22が設けられている。
【0030】
図2は、ロボットハンド22の外観を示す斜視図である。図2において、ロボットハンド22は、第1コンベア部23と、この第1コンベア部23に対してL字状に配置された第2コンベア部24とを有している。第2コンベア部24は、第1コンベア部23の幅方向の一側縁部に連結部25を介して垂直に立設されている。つまり、第1コンベア部23及び第2コンベア部24は、ロボットハンド22の正面側から見てL字状に設けられている。第1コンベア部23及び第2コンベア部24としては、薄型コンベアが使用される。
【0031】
第1コンベア部23は、手荷物3が載置されると共に、手荷物3を移動させる横置き用のコンベア部である。第1コンベア部23は、手荷物3の主面3aと係合する。第2コンベア部24は、手荷物3が載置されると共に、手荷物3を移動させる縦置き用のコンベア部である。第2コンベア部24は、手荷物3の側面3dと係合する。
【0032】
第1コンベア部23の幅寸法W1は、第2コンベア部24の幅寸法W2よりも大きい。第1コンベア部23の幅寸法W1は、例えば後述する大サイズの手荷物3Aの横寸法よりも小さい。第2コンベア部24の幅寸法W2は、例えば大サイズの手荷物3Aの縦寸法よりも小さい。これにより、ロボットハンド22のコンパクト化が図られる。
【0033】
ロボットハンド22の基端部には、収容ケース26が設けられている。ロボットハンド22の基端部は、ロボットハンド22におけるロボットアーム20側の端部である。収容ケース26は、第1コンベア部23及び第2コンベア部24にわたって設けられている。
【0034】
収容ケース26の内部には、第1コンベア部23を駆動するモータローラ27と、第2コンベア部24を駆動するモータローラ28と、モータローラ27,28を制御することで、第1コンベア部23及び第2コンベア部24を制御する制御基板29とが収容されている。
【0035】
収容ケース26は、手荷物3を第1コンベア部23及び第2コンベア部24に対して第1コンベア部23及び第2コンベア部24の駆動方向(長手方向)に位置決めする壁部30を有している。壁部30は、ロボットハンド22の基端側に設けられている。
【0036】
ロボットハンド22に手荷物3を保持するときは、図3(a)に示されるように、手荷物3が第1コンベア部23に横置きされる。手荷物3が横置きされた状態は、手荷物3の2つの主面3aが上下に位置する状態である。このとき、手荷物3は、取っ手31が壁部30側を向くように第1コンベア部23に載置される。
【0037】
一方、ロボットハンド22に保持された手荷物3をコンテナ2内に積み付けるときは、図3(a)に示されるように、手荷物3が第1コンベア部23に横置きされるか、或いは図3(b)に示されるように、手荷物3が第2コンベア部24に縦置きされる。手荷物3が縦置きされた状態は、手荷物3の2つの側面3dが上下に位置する状態である。このときも、手荷物3は、取っ手31が壁部30側を向くように第2コンベア部24に載置される。
【0038】
ロボットハンド22に手荷物3を保持するときは、図4(a)に示されるように、第1コンベア部23及び第2コンベア部24が壁部30側(ロボットハンド22の基端側)に駆動される。この場合には、手荷物3が壁部30に向かって移動する。
【0039】
ロボットハンド22に保持された手荷物3をコンテナ2内に積み付けるときは、図4(b)に示されるように、第1コンベア部23及び第2コンベア部24が壁部30の反対側(ロボットハンド22の先端側)に駆動される。この場合には、手荷物3が壁部30から離れるように移動する。
【0040】
また、積付用ロボット15は、図5に示されるように、第1駆動部33と、第2駆動部34と、制御基板35とを有している。第1駆動部33は、ロボットハンド22を3軸方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)に移動させる移動用駆動部である。第2駆動部34は、ロボットハンド22を3軸回り(X軸回り、Y軸回り及びZ軸回り)に回動させる回動用駆動部である。制御基板35は、第1駆動部33及び第2駆動部34を制御する。
【0041】
X軸、Y軸及びZ軸は、図1に示されるように、積付用ロボット15の規定位置を原点としたロボット座標系で表される。規定位置は、例えばロボットアーム20の基端位置である。X軸方向は、積付用ロボット15の前後方向に相当する。積付用ロボット15の前側は、ロボットアーム20が向いている側である。Y軸方向は、積付用ロボット15の左右方向に相当する。Z軸方向は、積付用ロボット15の上下方向(高さ方向)に相当する。
【0042】
また、荷物積付装置1は、図5に示されるように、上流カメラ36と、下流カメラ37と、積付処理ユニット38と、制御盤39とを備えている。
【0043】
上流カメラ36は、メインコンベア5における最も上流側に位置する順送りコンベア17の上方に配置されている。上流カメラ36は、メインコンベア5に載置された手荷物3を撮像し、手荷物3の撮像画像を取得する。下流カメラ37は、ターンテーブル10の上方に配置されている。下流カメラ37は、ターンテーブル10に載置された手荷物3を撮像し、手荷物3の撮像画像を取得する。
【0044】
積付処理ユニット38は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。積付処理ユニット38は、上流カメラ36及び下流カメラ37により得られた手荷物3の撮像画像を取得し、手荷物3の撮像画像に基づいて手荷物3を検知し、手荷物3の検知データと手荷物3をコンテナ2内に積み付けるような制御信号とを制御盤39に出力する。
【0045】
制御盤39は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御盤39は、積付処理ユニット38からの検知データ及び制御信号に基づいて所定の処理を実行し、積付用ロボット15に向けて手荷物3を搬送するようにプッシャー9,11、ターンテーブル10及びプッシャー13,14を制御すると共に、手荷物3をコンテナ2内に積み付けるようにバッファコンベア12及び積付用ロボット15を制御する。
【0046】
積付処理ユニット38は、第1手荷物検知部41と、第2手荷物検知部42と、積付演算部43とを有している。
【0047】
第1手荷物検知部41は、上流カメラ36により取得された手荷物3の撮像画像に基づいて、メインコンベア5により搬送される手荷物3の種別を検知し、その検知データを制御盤39に送出する。第1手荷物検知部41は、上流カメラ36と協働して手荷物3の種別を検知する。
【0048】
第2手荷物検知部42は、下流カメラ37により取得された手荷物3の撮像画像に基づいて、ターンテーブル10に載置された手荷物3の寸法及び向きを検知し、その検知データを制御盤39に送出する。第2手荷物検知部42は、下流カメラ37と協働して手荷物3の寸法及び向きを検知する。
【0049】
積付演算部43は、第2手荷物検知部42により検知された手荷物3の寸法に基づいて、手荷物3をコンテナ2に積み付けるような制御信号を求め、その制御信号を制御盤39に送出する。なお、積付演算部43による演算処理については、後で詳述する。
【0050】
制御盤39は、移動制御部44と、回転制御部45と、位置制御部46と、積付制御部47とを有している。
【0051】
移動制御部44は、第1手荷物検知部41の検知データに基づいて、手荷物3が積付対象(スーツケース)であるかどうかを判断し、手荷物3が積付対象であるときに、手荷物3をターンテーブル10に移動させるようにプッシャー9,11を制御する。
【0052】
回転制御部45は、第2手荷物検知部42により検知された手荷物3の向きに基づいて、ターンテーブル10に載置された手荷物3の向きが一定となるようにターンテーブル10を制御する。このとき、回転制御部45は、手荷物3の取っ手31がターンテーブル10の下流側(バッファコンベア12側)を向くようなターンテーブル10の回転方向及び回転量を求め、その回転方向及び回転量に応じてターンテーブル10を制御する。
【0053】
位置制御部46は、手荷物3の向きが一定となるようにターンテーブル10が制御された後、バッファコンベア12において手荷物3が壁部18に対して位置決めされるようにプッシャー13,14を制御する。
【0054】
積付制御部47は、積付処理ユニット38の積付演算部43からの制御信号に応じて、バッファコンベア12を駆動するように制御すると共に、制御基板29,35を介して第1コンベア部23、第2コンベア部24、第1駆動部33及び第2駆動部34を制御する。
【0055】
以上のように構成された荷物積付装置1において、手荷物3をコンテナ2に積み付ける方法について具体的に説明する。
【0056】
手荷物3は、図6に示されるように、メインコンベア5により寸法に関係なくランダムに搬送されてくる。そして、手荷物3は、前コンテナ2A及び後コンテナ2Bに搬送順に積み付けられる。
【0057】
コンテナ2の扉側(図示せず)から見てコンテナ2の左右一方側(ここでは左側)には、切欠部2fが設けられている。切欠部2fは、コンテナ2の下側角部をテーパ状に切り欠いた構造を有している。コンテナ2内には、手荷物3の寸法に応じた複数(ここでは3つ)の収容エリアが設定されている。
【0058】
具体的には、前コンテナ2A内には、前コンテナ2Aの主要領域の奥側に位置する奥側収容エリアSa1と、前コンテナ2Aの主要領域の手前側に位置する手前側収容エリアSa2と、前コンテナ2Aにおける切欠部2fに対応する領域に位置する補助収容エリアSa3とが設定されている。前コンテナ2Aの主要領域は、前コンテナ2Aにおける切欠部2fに対応する領域を除く領域である。補助収容エリアSa3には、手荷物3が載置される棚板50が配置されている(図11参照)。
【0059】
奥側収容エリアSa1には、大サイズの手荷物3Aがコンテナ2の左右方向に複数列(ここでは3列)で積み付けられる。手前側収容エリアSa2には、中サイズの手荷物3Bがコンテナ2の左右方向に複数列(ここでは3列)で積み付けられる。補助収容エリアSa3には、主として小サイズの手荷物3Cが積み付けられる。
【0060】
後コンテナ2B内には、後コンテナ2Bの主要領域の奥側に位置する奥側収容エリアSb1と、後コンテナ2Bの主要領域の手前側に位置する手前側収容エリアSb2と、後コンテナ2Bにおける切欠部2fに対応する領域に位置する補助収容エリアSb3とが設定されている。後コンテナ2Bの主要領域は、後コンテナ2Bにおける切欠部2fに対応する領域を除く領域である。補助収容エリアSb3には、手荷物3が載置される棚板50が配置されている(図11参照)。
【0061】
奥側収容エリアSb1には、中サイズの手荷物3Bがコンテナ2の左右方向に複数列(ここでは3列)で積み付けられる。手前側収容エリアSb2には、大サイズの手荷物3Aがコンテナ2の左右方向に複数列(ここでは3列)で積み付けられる。補助収容エリアSb3には、主として小サイズの手荷物3Cが積み付けられる。
【0062】
また、図7に示されるように、コンテナ2内には、手荷物3の積付位置を指定するためのアドレスが予め設定されている。コンテナ2の内部には、アドレスが下側から上側に向かうと共に奥側から手前側に向かって順番に設定されている。また、前コンテナ2Aの奥側収容エリアSa1及び手前側収容エリアSa2には、アドレスが右側(補助収容エリアSa3の反対側)から左側(補助収容エリアSa3側)に向かって順番に設定されている。後コンテナ2Bの奥側収容エリアSb1及び手前側収容エリアSb2には、アドレスが右側(補助収容エリアSb3の反対側)から左側(補助収容エリアSb3側)に向かって順番に設定されている。
【0063】
大サイズの手荷物3Aは、前コンテナ2Aの奥側収容エリアSa1及び後コンテナ2Bの手前側収容エリアSb2にアドレス順に積み付けられる。中サイズの手荷物3Bは、後コンテナ2Bの奥側収容エリアSb1及び前コンテナ2Aの手前側収容エリアSa2にアドレス順に積み付けられる。小サイズの手荷物3Cは、前コンテナ2Aの補助収容エリアSa3及び後コンテナ2Bの補助収容エリアSb3にアドレス順に積み付けられる。
【0064】
奥側収容エリアSa1及び奥側収容エリアSb1における手荷物3の積付位置は、手荷物3がコンテナ2の奥側内壁面及びコンテナ2の右側内壁面または右隣に位置する既設の手荷物3に当接する位置である。手前側収容エリアSa2及び手前側収容エリアSb2における手荷物3の積付位置は、手荷物3が後隣(奥側)に位置する既設の手荷物3及びコンテナ2の右側内壁面または右隣に位置する既設の手荷物3に当接する位置である。
【0065】
積付処理ユニット38の積付演算部43及び制御盤39の積付制御部47は、ロボットハンド22に保持された手荷物3をコンテナ2内における積付位置からオフセットされたアプローチ位置に仮置きするように第1駆動部33を制御する第1制御処理を実行する。そして、積付演算部43及び積付制御部47は、第1制御処理を実行した後、アプローチ位置に仮置きされた手荷物3をロボットハンド22により積付位置に向けて押し付けるように第1駆動部33を制御する第2制御処理を実行する。
【0066】
また、積付演算部43及び積付制御部47は、第2制御処理を実行するときは、手荷物3の積付位置の周囲におけるコンテナ2の左右方向のスペースに応じてロボットハンド22の姿勢を90度変更するように第2駆動部34を制御する。
【0067】
積付演算部43及び積付制御部47は、制御基板29,35と協働して、第1制御処理及び第2制御処理を実行する制御部を構成する。
【0068】
図8は、積付演算部43により実行される積付演算処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、手荷物3毎の演算処理の手順を示している。
【0069】
なお、本処理の実行時には、積付用ロボット15のロボットハンド22は、バッファコンベア12に載置された手荷物3を保持する保持位置にある。保持位置は、バッファコンベア12の下流側において、バッファコンベア12からロボットハンド22の第1コンベア部23に手荷物3を受け渡すことが可能な位置である。このとき、第1コンベア部23は、壁部30側に向かって僅かに下がるように傾斜して配置されてもよい。
【0070】
ロボットハンド22は、保持位置にあるときには、バッファコンベア12から手荷物3を受け取ることが可能な初期状態となっている。また、ロボットハンド22の第1コンベア部23及び第2コンベア部24は、停止した状態となっている。
【0071】
図8において、積付演算部43は、まずバッファコンベア12を規定時間だけ駆動するような制御信号を制御盤39の積付制御部47に送出する(手順S101)。また、積付演算部43は、第1コンベア部23及び第2コンベア部24を同時に規定時間だけ壁部30側に駆動するような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S102)。これにより、バッファコンベア12が駆動されると共に、第1コンベア部23及び第2コンベア部24が壁部30側に駆動されるため、バッファコンベア12から第1コンベア部23に手荷物3が移載される。
【0072】
続いて、積付演算部43は、図9に示されるように、壁部30が下側に位置する状態にロボットハンド22をY軸回りに回動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S103)。これにより、ロボットハンド22がY軸回りに回動し、壁部30が下側に位置するようにロボットハンド22が傾いた状態となる。
【0073】
続いて、積付演算部43は、第1コンベア部23に載置された手荷物3が第2コンベア部24に当たる状態にロボットハンド22をX軸回りに回動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S104)。これにより、ロボットハンド22がX軸回りに回動し、手荷物3が第2コンベア部24に当たる。
【0074】
続いて、積付演算部43は、手荷物3が積み付けられる収容エリアが前コンテナ2Aの補助収容エリアSa3及び後コンテナ2Bの補助収容エリアSb3でないかどうかを判断する(手順S105)。
【0075】
積付演算部43は、手荷物3が積み付けられる収容エリアが補助収容エリアSa3,Sb3でないと判断したときは、ロボットハンド22を手荷物3の積付位置の手前まで移動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S106)。これにより、ロボットハンド22が手荷物3の積付位置の手前まで移動する。
【0076】
続いて、積付演算部43は、手荷物3の積付位置が横置き状態で積み付けられるアドレスに相当するかどうかを判断する(手順S107)。積付演算部43は、手荷物3の積付位置が横置き状態で積み付けられるアドレスに相当すると判断したときは、第1コンベア部23及び第2コンベア部24を同時に規定時間だけ壁部30の反対側に駆動するような制御信号を積付制御部47に送出することで、手荷物3をアプローチ位置に仮置きする(手順S108)。これにより、第1コンベア部23からアプローチ位置に手荷物3が横置き状態で移載される。
【0077】
このとき、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から1列目または2列目の位置である場合は、図10(a)に示されるように、アプローチ位置P0は、積付位置Pからコンテナ2の手前側及び左側(左右方向の一方側)に任意量Mだけオフセットされた位置である。手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から3列目の位置である場合は、アプローチ位置P0は、特に図示はしないが、積付位置Pからコンテナ2の手前側に任意量Mだけオフセットされた位置である。
【0078】
積付演算部43は、手荷物3の積付位置が横置き状態で積み付けられるアドレスに相当しない、つまり手荷物3の積付位置が縦置き状態で積み付けられるアドレスに相当すると判断したときは、ロボットハンド22をX軸回りに90度回動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S109)。これにより、ロボットハンド22の姿勢が横置き状態から縦置き状態となる。そして、積付演算部43は、上記の手順S108を実行する。これにより、第1コンベア部23からアプローチ位置に手荷物3が縦置き状態で移載される。
【0079】
積付演算部43は、手順S108を実行した後、図10に示されるように、ロボットハンド22により手荷物3を積付位置に向けて押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S110)。これにより、手荷物3は、アプローチ位置P0から最終目標位置である積付位置Pに達する。なお、手順S110については、後で詳述する。
【0080】
積付演算部43は、手順S105で手荷物3が積み付けられる収容エリアが補助収容エリアSa3,Sb3であると判断したときは、図11(a)に示されるように、ロボットハンド22を手荷物3の積付位置の右上側まで移動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S111)。これにより、ロボットハンド22が手荷物3の積付位置の右上側まで移動する。
【0081】
そして、積付演算部43は、図11(b)、(c)に示されるように、ロボットハンド22をX軸回りに積付用ロボット15の前方向に見て反時計回りに回動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S112)。これにより、ロボットハンド22からコンテナ2内の積付位置に手荷物3が横置き状態で移載される。なお、図11では、便宜上ロボットハンド22の収容ケース26が省略されている。
【0082】
積付演算部43は、上記の手順S110または手順S112を実行した後、ロボットハンド22を初期状態に戻して保持位置まで移動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S113)。これにより、ロボットハンド22が保持位置まで移動するため、次に搬送されてくる手荷物3を積み付けることが可能となる。
【0083】
ここで、手順S106~S109は、上記の第1制御処理に相当する。手順S110は、上記の第2制御処理に相当する。
【0084】
図12は、図8に示された手順S110の詳細を示すフローチャートである。図12において、積付演算部43は、まず図10(b)に示されるように、ロボットハンド22により手荷物3をコンテナ2の奥側(矢印側)に押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S121)。このとき、積付演算部43は、ロボットハンド22の先端面22aにより手荷物3の上面3bの平坦部分を押し付けるような制御信号を送出する。これにより、手荷物3は、ロボットハンド22によりコンテナ2の奥側に向けてスムーズに押される。
【0085】
続いて、積付演算部43は、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から1列目の位置であるかどうかを判断する(手順S122)。
【0086】
積付演算部43は、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から1列目の位置であると判断したときは、図10(c)に示されるように、ロボットハンド22により手荷物3をコンテナ2の右側(左右方向の他方側)に押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S123)。このとき、積付演算部43は、図13(a)にも示されるように、ロボットハンド22の第1コンベア部23の側面23aにより手荷物3の側面3dの平坦部分を押し付けるような制御信号を送出する。これにより、手荷物3は、ロボットハンド22によりコンテナ2の右側に向けてスムーズに押される。
【0087】
積付演算部43は、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から1列目の位置でないと判断したときは、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であるかどうかを判断する(手順S124)。
【0088】
積付演算部43は、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であると判断したときは、図13(b)に示されるように、第2コンベア部24が上側に位置する状態にロボットハンド22をX軸回りに90度回動させるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S125)。なお、図13では、便宜上ロボットハンド22の収容ケース26が省略されている。
【0089】
そして、積付演算部43は、図13(b)に示されるように、ロボットハンド22により手荷物3をコンテナ2の右側に押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S126)。このとき、積付演算部43は、ロボットハンド22の第1コンベア部23の載置面23bにより手荷物3の側面3dの平坦部分を押し付けるような制御信号を送出する。これにより、手荷物3は、ロボットハンド22によりコンテナ2の右側に向けてスムーズに押される。
【0090】
積付演算部43は、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置でないと判断したとき、つまり手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から3列目の位置であると判断したときは、手順S123,S126を実行しない。
【0091】
なお、本処理では、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であるときは、手荷物3の寸法に関わらず、ロボットハンド22をX軸回りに90度回動させているが、特にそのような形態には限られない。大サイズの手荷物3Aの積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であるときは、ロボットハンド22をX軸回りに90度回動させるが、中サイズの手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であるときは、コンテナ2の左右方向の積付スペースが広いため、ロボットハンド22をX軸回りに90度回動させることなく、手荷物3Bをコンテナ2の右側に押し付けてもよい。
【0092】
以上のような荷物積付装置1において、積付用ロボット15のロボットハンド22により手荷物3を保持した状態で、ロボットハンド22が3軸方向に移動すると共に3軸回りに回動することで、ロボットハンド22に保持された手荷物3がコンテナ2内における手荷物3の寸法に応じた収容エリアに積み付けられる。
【0093】
手荷物3がコンテナ2の奥側収容エリアSa1,Sb1及び手前側収容エリアSa2,Sb2に積み付けられる場合には、まずロボットハンド22が手荷物3の積付位置の手前まで移動する。そして、手荷物3の積付位置に応じた積付動作が実施される。
【0094】
即ち、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から1列目の位置であるときは、まずロボットハンド22の第1コンベア部23及び第2コンベア部24が壁部30の反対側に駆動されることで、図10(a)に示されるように、ロボットハンド22からアプローチ位置P0に手荷物3が移載される。
【0095】
そして、図10(b)に示されるように、ロボットハンド22の先端面22aにより手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられる。そして、図10(c)及び図13(a)に示されるように、ロボットハンド22の第1コンベア部23の側面23aにより手荷物3がコンテナ2の右側に押し付けられる。これにより、手荷物3が最終目標位置である積付位置Pに整列される。
【0096】
手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であるときは、ロボットハンド22からアプローチ位置P0に手荷物3が移載される。そして、ロボットハンド22の先端面22aにより手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられる。そして、例えば図13(b)に示されるように、ロボットハンド22がX軸回りに90度回動した状態で、ロボットハンド22の第1コンベア部23の載置面23bにより手荷物3がコンテナ2の右側に押し付けられる。これにより、手荷物3が最終目標位置である積付位置Pに整列される。
【0097】
手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から3列目の位置であるときは、ロボットハンド22からアプローチ位置P0に手荷物3が移載される。そして、ロボットハンド22の先端面22aにより手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられる。これにより、手荷物3が最終目標位置である積付位置Pに整列される。
【0098】
手荷物3が補助収容エリアSa3,Sb3に積み付けられる場合は、まず図11(a)に示されるように、ロボットハンド22が手荷物3の積付位置の右上側まで移動する。そして、図11(b)、(c)に示されるように、ロボットハンド22がX軸回りに回動することで、ロボットハンド22から手荷物3が離れ、手荷物3が転がりながら積付位置に置かれる。
【0099】
以上のように本実施形態にあっては、まずロボットハンド22に保持された手荷物3がコンテナ2内における積付位置からオフセットされたアプローチ位置に仮置きされる。そして、アプローチ位置に仮置きされた手荷物3がロボットハンド22により積付位置に向けて押し付けられることで、手荷物3が積付位置に達する。これにより、手荷物3がコンテナ2内の積付位置に正確に積み付けられる。その結果、手荷物3をコンテナ2内の積付位置に正確に積み付けるために特殊な装置や追加の装置を使用しなくて済み、コスト削減につながる。
【0100】
また、本実施形態では、ロボットハンド22により手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられるため、手荷物3がコンテナ2内の積付位置にコンテナ2の奥行方向に対して正確に積み付けられる。
【0101】
また、本実施形態では、手荷物3の積付位置によっては、ロボットハンド22により手荷物3がコンテナ2の奥側及び右側に押し付けられるため、手荷物3がコンテナ2内の積付位置にコンテナ2の奥行方向及び左右方向に対して正確に積み付けられる。
【0102】
また、本実施形態では、ロボットハンド22により手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられた後、ロボットハンド22により手荷物3が右側に押し付けられる。このため、手荷物3のキャスター32がコンテナ2の奥側内壁面または奥隣に位置する既設の手荷物3に干渉した状態で、手荷物3が右側に押し付けられる。従って、手荷物3の側面3dがコンテナ2の右側内壁面または右隣に位置する既設の手荷物3に干渉した状態で、ロボットハンド22により手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられることが防止される。これにより、手荷物3の側面3dの損傷を防ぐことができる。
【0103】
また、本実施形態では、積付位置の周囲におけるコンテナ2の左右方向のスペースに応じてロボットハンド22の姿勢が90度変更されてから、ロボットハンド22により手荷物3が右側に押し付けられる。このため、積付位置の周囲におけるコンテナ2の左右方向のスペースに応じて、ロボットハンド22において手荷物3を押し付ける位置が変わることになる。従って、積付位置の周囲におけるコンテナ2の左右方向のスペースが狭いときでも、手荷物3をコンテナ2内の積付位置にコンテナ2の左右方向に対して正確に積み付けることができる。
【0104】
図14は、図8に示された積付演算処理の変形例における手順S110の詳細を示すフローチャートである。なお、本処理は、中サイズの手荷物3Bをコンテナ2に積み付ける手順を示している。
【0105】
図14において、積付演算部43は、まず上記の手順S121を実行する。これにより、手荷物3Bは、ロボットハンド22によりコンテナ2の奥側に向けて押される。続いて、積付演算部43は、上記の手順S122を実行する。
【0106】
積付演算部43は、手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から1列目の位置であると判断したときは、上記の手順S123を実行しない。これにより、手荷物3Bは、ロボットハンド22によりコンテナ2の右側に向けて押されことはない。
【0107】
積付演算部43は、手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から1列目の位置でないと判断したときは、上記の手順S124を実行する。積付演算部43は、手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であると判断したときは、上記の手順S126を実行する。これにより、手荷物3Bは、コンテナ2の右端から1列目の手荷物3Bと一緒に、ロボットハンド22によりコンテナ2の右側に向けて押される。
【0108】
積付演算部43は、手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から3列目の位置であると判断したときは、手順S126を実行しない。
【0109】
以上において、手荷物3Bをコンテナ2の右端から1列目に積み付けるときは、図15(a)に示されるように、アプローチ位置に手荷物3Bを仮置きした後、ロボットハンド22により手荷物3Bがコンテナ2の奥側に押し付けられる。
【0110】
その後、手荷物3Bをコンテナ2の右端から2列目に積み付けるときは、図15(a)に示されるように、アプローチ位置に手荷物3Bを仮置きした後、ロボットハンド22により手荷物3Bがコンテナ2の奥側に押し付けられる。そして、図15(b)に示されるように、ロボットハンド22により2つの手荷物3Bがコンテナ2の右側に一括して押し付けられる。これにより、2つの手荷物3が同時に積付位置Pに整列される。
【0111】
本変形例では、複数(ここでは2つ)の手荷物3Bがコンテナ2の右側に同時に押し付けられるため、手荷物3Bをコンテナ2の右側に押し付ける制御処理が一部省略される。従って、手荷物3Bをコンテナ2内に積み付ける時間が短縮される。
【0112】
図16は、図8に示された積付演算処理の他の変形例の手順を示すフローチャートである。図16において、積付演算部43は、手順S107または手順S109を実行した後、手荷物3の積付位置がアプローチ位置への手荷物3の仮置きが必要なアドレスに相当するかどうかを判断する(手順S116)。
【0113】
ここで、コンテナ2の右端から3列目に積み付けられる中サイズの手荷物3Bについては、アプローチ位置への仮置きが不要である。従って、コンテナ2の右端から3列目に積み付けられる中サイズの手荷物3Bに相当するアドレスの位置は、アプローチ位置への仮置きが不要な位置である。他の中サイズの手荷物3B及び大サイズの手荷物3Aに相当するアドレスの位置は、アプローチ位置への仮置きが必要な位置である。
【0114】
積付演算部43は、手荷物3の積付位置がアプローチ位置への手荷物3の仮置きが必要なアドレスに相当すると判断したときは、上記の手順S108を実行する。積付演算部43は、手荷物3の積付位置がアプローチ位置への手荷物3の仮置きが必要なアドレスに相当しないと判断したときは、上記の手順S108を実行せずに、上記の手順S110を実行する。
【0115】
図17は、図16に示された手順S110の詳細を示すフローチャートである。なお、本処理は、中サイズの手荷物3Bをコンテナ2に積み付ける手順を示している。
【0116】
図17において、積付演算部43は、まず手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から1列目及び2列目の何れかの位置であるかどうかを判断する(手順S131)。積付演算部43は、手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から1列目及び2列目の何れかの位置であると判断したときは、ロボットハンド22により手荷物3Bをコンテナ2の奥側に押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S132)。これにより、手荷物3Bは、ロボットハンド22によりコンテナ2の奥側に向けて押される。
【0117】
積付演算部43は、手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から1列目及び2列目の位置でない、つまり手荷物3Bの積付位置がコンテナ2の右端から3列目の位置あると判断したときは、ロボットハンド22により手荷物3Bをコンテナ2の右側に押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S133)。これにより、図18に示されるように、ロボットハンド22により手荷物3が保持された状態で、コンテナ2の右端から1列目及び2列目に置かれた2つの手荷物3Bがロボットハンド22によりコンテナ2の右側に押される。
【0118】
続いて、積付演算部43は、第1コンベア部23及び第2コンベア部24を同時に規定時間だけ壁部30の反対側に駆動するような制御信号を積付制御部47に送出することで、手荷物3をコンテナ2に置く(手順S134)。具体的には、積付演算部43は、ロボットハンド22をコンテナ2の左側及び手前側に移動させるような制御信号を積付制御部47に送出した後に、第1コンベア部23及び第2コンベア部24を壁部30の反対側に駆動するような制御信号を積付制御部47に送出する。
【0119】
このとき、積付演算部43は、例えば積付用ロボット15のトルクリミット機能を用い、ロボットハンド22をコンテナ2の右側に押し続けた後、ある一定の反力が発生した時点でロボットハンド22をコンテナ2の左側に移動させてもよい。
【0120】
そして、積付演算部43は、ロボットハンド22により手荷物3Bをコンテナ2の奥側に押し付けるような制御信号を積付制御部47に送出する(手順S135)。これにより、手荷物3Bは、ロボットハンド22によりコンテナ2の奥側に向けて押される。
【0121】
以上において、手荷物3Bをコンテナ2の右端から1列目及び2列目に積み付けるときは、図18(a)に示されるように、アプローチ位置に手荷物3Bを仮置きした後、ロボットハンド22により手荷物3Bがコンテナ2の奥側に押し付けられる。
【0122】
その後、手荷物3Bをコンテナ2の右端から3列目に積み付けるときは、図18(b)に示されるように、ロボットハンド22により手荷物3Bが保持された状態で、コンテナ2の右端から1列目及び2列目に置かれた2つの手荷物3Bがロボットハンド22によりコンテナ2の右側に一括して押し付けられる。これにより、2つの手荷物3が同時に積付位置Pに整列される。
【0123】
本変形例では、ロボットハンド22により複数の手荷物3Bを一括して押し付ける際にロボットハンド22に保持される手荷物3Bについては、アプローチ位置に仮置きしなくて済む。従って、手荷物3Bをコンテナ2内に積み付ける時間が更に短縮される。
【0124】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、手荷物3の積付位置は、手荷物3がコンテナ2の内壁面または既設の手荷物3に当接する位置であるが、特にそのような形態には限られない。手荷物3の積付位置は、コンテナ2の内壁面または既設の手荷物3から離間した位置であってもよい。この場合には、例えばアプローチ位置に仮置きされた手荷物3から積付位置までの距離を検出し、この検出値に基づいてロボットハンド22による手荷物3の押付量を決定し、手荷物3の押付量に応じて第1駆動部33を制御してもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から1列目または2列目の位置であるときは、ロボットハンド22により手荷物3がコンテナ2の奥側に押し付けられた後に、ロボットハンド22により手荷物3がコンテナ2の右側に押し付けられているが、特にそのような形態には限られない。ロボットハンド22により手荷物3をコンテナ2の右側に押し付けた後に、ロボットハンド22により手荷物3をコンテナ2の奥側に押し付けてもよい。この場合、上記の変形例のように、ロボットハンド22により複数の手荷物3をコンテナ2の奥側に一括して押し付けてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、手荷物3の積付位置がコンテナ2の右端から2列目の位置であるときは、ロボットハンド22がX軸回りに90度回動された状態で、ロボットハンド22の第1コンベア部23の載置面23bにより手荷物3がコンテナ2の右側に押し付けられているが、特にそのような形態には限られない。例えば、積付位置の周囲におけるコンテナ2の左右方向のスペースがあれば、ロボットハンド22をX軸回りに90度回動することなく、ロボットハンド22の第1コンベア部23の側面23aにより手荷物3をコンテナ2の右側に押し付けてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、ロボットハンド22は、手荷物3を移動させる第1コンベア部23及び第2コンベア部24を有しているが、特にそのような形態には限られない。例えばバッファコンベア12を駆動させるだけで、ロボットハンド22に手荷物3を保持することが可能であれば、特に手荷物3を移動させるコンベア部をロボットハンドに具備しなくてもよい。この場合には、ロボットハンドは、例えばL字状の保持壁部を有する構造であってもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、制御盤39は、移動制御部44、回転制御部45、位置制御部46及び積付制御部47を有しているが、特にそのような形態には限られない。例えば制御盤39が設置されていない場合には、移動制御部44、回転制御部45、位置制御部46及び積付制御部47を積付処理ユニット38に備えてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、第1駆動部33及び第2駆動部34の動作は別々に行われているが、特にその形態には限られず、第1駆動部33及び第2駆動部34の動作を同時に行ってもよい。また、第2駆動部34については、特に無くてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、直方体状の手荷物3がコンテナ2に積み付けられているが、手荷物3の形状としては、特に直方体状には限られず、立方体状であってもよい。つまり、手荷物3の形状としては、四角柱状であればよい。なお、四角柱状は、完全な四角柱状及び略四角柱状を含んでいる。
【0131】
また、上記実施形態では、左右一方の下側角部に切欠部2fが設けられたコンテナ2に手荷物3が積み付けられているが、本発明は、特にその形態には限られず、例えば切欠部2fが無い直方体状のコンテナに荷物を積み付ける荷物積付装置にも適用可能である。また、本発明は、航空機用以外のコンテナに荷物を積み付ける荷物積付装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0132】
1…荷物積付装置、2…コンテナ、3…手荷物(荷物)、15…積付用ロボット、22…ロボットハンド、29…制御基板(制御部)、33…第1駆動部(移動用駆動部)、34…第2駆動部(回動用駆動部)、35…制御基板(制御部)、43…積付演算部(制御部)、47…積付制御部(制御部)、P…積付位置、P0…アプローチ位置。
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