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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
G01N27/409 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020211384
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098060
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 亨
(72)【発明者】
【氏名】後藤 常利
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-48760(JP,A)
【文献】特開2007-285769(JP,A)
【文献】特開2000-314716(JP,A)
【文献】特開平8-86770(JP,A)
【文献】特開2009-63591(JP,A)
【文献】特開2008-134219(JP,A)
【文献】特開2008-70380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒形状を有する固体電解質体(20)、前記固体電解質体の外周面(211)に設けられた検出電極(25)、及び前記固体電解質体の内周面(212)に設けられた基準電極(26)を有するセンサ素子(2)と、
前記検出電極のリード部(252)に接触する状態で前記固体電解質体の外周面に装着された第1装着部(41A)、及び前記第1装着部から、前記固体電解質体の軸方向(L)に引き出された第1引出部(42A)を有する第1出力端子(4A)と、
前記基準電極のリード部(262)に接触する状態で前記固体電解質体の内周面に装着された第2装着部(41B)、及び前記第2装着部から、前記固体電解質体の軸方向に引き出された第2引出部(42B)を有する第2出力端子(4B)と、
前記第1引出部の先端部が圧着された第1出力用圧着端子(5A)と、
前記第2引出部の先端部が圧着された第2出力用圧着端子(5B)と、を備え、
前記第1出力端子及び前記第2出力端子は、折り曲げ加工された平板によって構成されており、
前記第1引出部の根元部(421A)と前記第2引出部の根元部(421B)とは、前記固体電解質体の周方向(C)の互いに異なる位置に配置されて、前記各平板の主面(431)が互いに平行な状態で前記周方向に対して平行であり、
前記第1引出部の先端部(43A)と前記第2引出部の先端部(43B)とは、前記各根元部との間の各中間部(422A,422B)が、前記各根元部に対して前記軸方向に沿った仮想軸線(O1)の周りに捻られて、前記平板の主面が互いに平行な状態で前記周方向に対して傾斜している、ガスセンサ(1)。
【請求項2】
前記固体電解質体の内周側に配置され、前記固体電解質体、前記検出電極及び前記基準電極を加熱するための発熱体(33)を有するヒータ素子(3)と、
前記発熱体の一方のリード部(332)に接触する状態で前記ヒータ素子の側面に接合された第1接合部(61A)、及び前記第1接合部から前記軸方向に延ばされた第1延長部(62A)を有する第1ヒータ端子(6A)と、
前記発熱体の他方のリード部(332)に接触する状態で前記ヒータ素子の側面に接合された第2接合部(61B)、及び前記第2接合部から前記軸方向に延ばされた第2延長部(62B)を有する第2ヒータ端子(6B)と、
前記第1延長部の先端部が圧着された第1ヒータ用圧着端子(7A)と、
前記第2延長部の先端部が圧着された第2ヒータ用圧着端子(7B)と、をさらに備え、
前記第1延長部と前記第2延長部とは、前記周方向の互いに異なる位置に、前記第1引出部と前記第2引出部とを間に介して配置されており、
前記固体電解質体の軸方向に直交し、前記第1出力用圧着端子と前記第1引出部の先端部との接続部位、前記第2出力用圧着端子と前記第2引出部の先端部との接続部位、前記第1ヒータ用圧着端子と前記第1延長部の先端部との接続部位、及び前記第2ヒータ用圧着端子と前記第2延長部の先端部との接続部位を通る接続部位断面(101)において、
前記第1ヒータ用圧着端子の少なくとも一部は、前記第1出力用圧着端子の前記第1引出部の先端部を、前記第1引出部の先端部を構成する前記平板の主面を通ってこの主面に平行な第1仮想線(K1)の方向に投影した範囲(T1)内に配置されており、かつ、前記第2ヒータ用圧着端子の少なくとも一部は、前記第2出力用圧着端子の前記第2引出部の先端部を、前記第2引出部の先端部を構成する前記平板の主面を通ってこの主面に平行な第2仮想線(K2)の方向に投影した範囲(T2)内に配置されている、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記接続部位断面において、互いに平行な前記第1仮想線及び前記第2仮想線が向き合う側を仮想内側としたとき、
前記接続部位断面において、
前記第1出力用圧着端子の最も前記仮想内側に位置する側面と、前記第1ヒータ用圧着端子の最も前記仮想内側に位置する側面とは、前記第1仮想線に平行な第1平行仮想線(H1)上に並んでおり、
前記第2出力用圧着端子の最も前記仮想内側に位置する側面と、前記第2ヒータ用圧着端子の最も前記仮想内側に位置する側面とは、前記第2仮想線に平行な第2平行仮想線(H2)上に並んでいる、請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第1出力用圧着端子における、前記第1引出部の先端部との接続部位は、前記第1引出部の先端部を構成する前記平板の主面に対向する一対の第1側壁部(511A)を有しており、
一対の前記第1側壁部の少なくとも一方には、内側に突出して、前記第1引出部の先端部を構成する前記平板に接合された突出部(512A)が形成されており、
前記第2出力用圧着端子における、前記第2引出部の先端部との接続部位は、前記第2引出部の先端部を構成する前記平板の主面に対向する一対の第2側壁部(511B)を有しており、
一対の前記第2側壁部の少なくとも一方には、内側に突出して、前記第2引出部の先端部を構成する前記平板に接合された突出部(512B)が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記第1引出部の根元部は、前記第1装着部に繋がって前記第1装着部に対して屈曲する根元側屈曲部(423A)と、前記根元側屈曲部に繋がって前記根元側屈曲部に対して屈曲し、前記軸方向に平行な状態で前記平板の主面が前記周方向に平行な平行部(424A)とによって構成されており、
前記第1引出部の前記平行部と前記第1引出部の先端部との間の中間部は、前記平行部と前記第1引出部の先端部とを繋ぎ、前記平行部及び前記第1引出部の先端部に対して屈曲するとともに捻られた先端側屈曲部(425A)によって構成されており、
前記第2引出部の根元部は、前記第2装着部に繋がって前記第2装着部に対して屈曲する根元側屈曲部(423B)と、前記根元側屈曲部に繋がって前記根元側屈曲部に対して屈曲し、前記軸方向に平行な状態で前記平板の主面が前記周方向に平行な平行部(424B)とによって構成されており、
前記第2引出部の前記平行部と前記第2引出部の先端部との間の中間部は、前記平行部と前記第2引出部の先端部とを繋ぎ、前記平行部及び前記第2引出部の先端部に対して屈曲するとともに捻られた先端側屈曲部(425B)によって構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第1引出部の前記中間部及び前記第2引出部の前記中間部は、30°以上60°以下の範囲内で前記軸方向に沿った仮想軸線の周りに捻られている、請求項1~5のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスセンサは、例えば、内燃機関の排気管に配置され、排気管内を流れる排ガスに含まれる酸素等を検出するために用いられる。そして、ガスセンサには、内燃機関の空燃比が、理論空燃比に対して燃料リッチ側又は燃料リーン側のいずれにあるかを検出する用途、内燃機関の空燃比を定量的に求める用途等がある。
【0003】
ガスセンサにおいては、有底円筒形状の固体電解質体を有するセンサ素子を用いる場合がある。例えば、特許文献1に記載されたガスセンサに示されるように、固体電解質体の外周面及び内周面には、それぞれ電極が設けられている。固体電解質体の軸方向の基端部における外周面及び内周面には、各電極を外部に電気接続するための出力端子がそれぞれ装着されている。各出力端子は、圧着端子を用いてリード線に電気接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-25617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各出力端子と各圧着端子とは、例えば、加締め変形による圧着、及びレーザー等の溶接が行われて互いに接合される。特に、各出力端子と各圧着端子との圧着が行われるときには、互いに合わさった出力端子と圧着端子とを変形させるための圧着用治具が用いられる。しかし、圧着用治具によって出力端子と圧着端子との圧着を行うときには、固体電解質体の軸方向に直交する面内のどの方向から圧着を行うかが、作業効率に影響を与えることが判明した。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、各出力端子と各出力用圧着端子とを圧着する作業効率を改善することができるガスセンサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
有底円筒形状を有する固体電解質体(20)、前記固体電解質体の外周面(211)に設けられた検出電極(25)、及び前記固体電解質体の内周面(212)に設けられた基準電極(26)を有するセンサ素子(2)と、
前記検出電極のリード部(252)に接触する状態で前記固体電解質体の外周面に装着された第1装着部(41A)、及び前記第1装着部から、前記固体電解質体の軸方向(L)に引き出された第1引出部(42A)を有する第1出力端子(4A)と、
前記基準電極のリード部(262)に接触する状態で前記固体電解質体の内周面に装着された第2装着部(41B)、及び前記第2装着部から、前記固体電解質体の軸方向に引き出された第2引出部(42B)を有する第2出力端子(4B)と、
前記第1引出部の先端部が圧着された第1出力用圧着端子(5A)と、
前記第2引出部の先端部が圧着された第2出力用圧着端子(5B)と、を備え、
前記第1出力端子及び前記第2出力端子は、折り曲げ加工された平板によって構成されており、
前記第1引出部の根元部(421A)と前記第2引出部の根元部(421B)とは、前記固体電解質体の周方向(C)の互いに異なる位置に配置されて、前記各平板の主面(431)が互いに平行な状態で前記周方向に対して平行であり、
前記第1引出部の先端部(43A)と前記第2引出部の先端部(43B)とは、前記各根元部との間の各中間部(422A,422B)が、前記各根元部に対して前記軸方向に沿った仮想軸線(O1)の周りに捻られて、前記平板の主面が互いに平行な状態で前記周方向に対して傾斜している、ガスセンサ(1)にある。
【発明の効果】
【0008】
前記一態様のガスセンサにおいては、固体電解質体の軸方向に直交する面内において、第1出力端子の第1引出部の先端部と第1出力用圧着端子との接続部位、及び第2出力端子の第2引出部の先端部と第2出力用圧着端子との接続部位の向きに工夫をしている。具体的には、第1引出部の先端部と基端部との間の中間部、及び第2引出部の先端部と基端部との間の中間部のそれぞれは、固体電解質体の軸方向に沿った仮想軸線の周りに捻られている。そして、第1引出部の先端部を構成する平板の主面と、第2引出部の先端部を構成する平板の主面とは、互いに平行な状態で、固体電解質体の周方向に対して傾斜している。
【0009】
この構成により、圧着用治具を用いて各出力端子の各引出部の先端部と各出力用圧着端子との圧着を行う際に、圧着用治具を、固体電解質体の軸方向に直交する面内の適切な方向に配置することができる。そして、圧着用治具によって、固体電解質体の周方向に対して傾斜する方向から各出力端子の引出部の先端部と各出力用圧着端子とを圧着することができる。
【0010】
それ故、前記一態様のガスセンサによれば、各出力端子と各出力用圧着端子とを圧着する作業効率を改善することができる。
【0011】
なお、本発明の一態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1にかかる、ガスセンサの断面を示す説明図。
図2】実施形態1にかかる、センサ素子の周辺の断面を示す説明図。
図3】実施形態1にかかる、各出力端子、各出力用圧着端子、各ヒータ端子及び各ヒータ用圧着端子の周辺の断面を示す説明図。
図4】実施形態1にかかる、各出力端子と各出力用圧着端子との接続部位、及び各ヒータ端子と各ヒータ用圧着端子との接続部位の周辺を、接続部位断面としての図3のIV-IV線断面によって示す説明図。
図5】実施形態1にかかる、各出力端子及び各ヒータ端子の周辺の断面を示す説明図。
図6】実施形態1にかかる、各出力端子の各引出部の先端部及び各ヒータ端子の各延長部の先端部の周辺を、接続部位断面としての図3のIV-IV線相当の断面によって示す説明図。
図7】実施形態1にかかる、第2出力端子を、図5とは異なる方向から見た状態で示す説明図。
図8】実施形態1にかかる、各出力用圧着端子を示す説明図。
図9】実施形態1にかかる、各出力用圧着端子を、図8とは異なる方向から見た状態で示す説明図。
図10】実施形態1にかかる、各出力端子と各出力用圧着端子との接続部位、及び各ヒータ端子と各ヒータ用圧着端子との接続部位の圧着を行う状態を示す説明図。
図11】実施形態1にかかる、各出力端子と各出力用圧着端子との接続部位、及び各ヒータ端子と各ヒータ用圧着端子との接続部位のレーザー溶接を行う状態を示す説明図。
図12】実施形態2にかかる、各出力端子の各引出部の先端部及び各ヒータ端子の各延長部の先端部の周辺を、接続部位断面としての図3のIV-IV線相当の断面によって示す説明図。
図13】実施形態2にかかる、他の各出力端子の各引出部の先端部及び他の各ヒータ端子の各延長部の先端部の周辺を、接続部位断面としての図3のIV-IV線相当の断面によって示す説明図。
図14】実施形態2にかかる、各出力端子の各中間部の捻り角度と、端子間絶縁距離及び治具幅との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述したガスセンサにかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態のガスセンサ1は、図1に示すように、センサ素子2、第1出力端子4A、第2出力端子4B、第1出力用圧着端子5A及び第2出力用圧着端子5Bを備える。センサ素子2は、有底円筒形状を有する固体電解質体20と、固体電解質体20の外周面211に設けられた検出電極25と、固体電解質体20の内周面212に設けられた基準電極26とを有する。
【0014】
図2図4に示すように、第1出力端子4Aは、検出電極25の外側リード部252に接触する状態で固体電解質体20の外周面211に装着された第1装着部41Aと、第1装着部41Aから、固体電解質体20の軸方向Lに引き出された第1引出部42Aとを有する。第2出力端子4Bは、基準電極26の内側リード部262に接触する状態で固体電解質体20の内周面212に装着された第2装着部41Bと、第2装着部41Bから、固体電解質体20の軸方向Lに引き出された第2引出部42Bとを有する。第1出力用圧着端子5Aには、第1引出部42Aの先端部43Aが圧着されており、第2出力用圧着端子5Bには、第2引出部42Bの先端部43Bが圧着されている。
【0015】
図5及び図6に示すように、第1出力端子4A及び第2出力端子4Bは、折り曲げ加工された平板によって構成されている。第1引出部42Aの根元部421Aと第2引出部42Bの根元部421Bとは、固体電解質体20の周方向Cの互いに異なる位置に配置されて、各平板の主面431が互いに平行な状態で周方向Cに対して平行になっている。第1引出部42Aの先端部43Aと第2引出部42Bの先端部43Bとは、各根元部421A,421Bとの間の各中間部422A,422Bが、各根元部421A,421Bに対して軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られて、平板の主面431が互いに平行な状態で周方向Cに対して傾斜している。ここで、平板の主面431とは、平板を構成する板面、換言すれば最も広い面のことをいう。
【0016】
以下に、本形態のガスセンサ1について詳説する。
(ガスセンサ1)
図1に示すように、本形態のガスセンサ1は、車両の内燃機関の排気管に配置されて、排気管内を流れる排ガスGを検出対象ガスとして、ガス検出を行うものである。本形態のガスセンサ1は、酸素センサとも呼ばれ、排ガスGの組成に基づく内燃機関の空燃比が、理論空燃比に比べて空気に対する燃料の割合が多い燃料リッチ側にあるか、理論空燃比に比べて空気に対する燃料の割合が少ない燃料リーン側にあるかを検出するために用いられる。本形態のガスセンサ1は、二輪自動車の内燃機関の排気管に使用されるものであり、四輪自動車の内燃機関の排気管に使用されるものに比べて小型である。
【0017】
ガスセンサ1は、センサ素子2の他に、センサ素子2が挿通されたハウジング孔111を有して排気管に取り付けられるハウジング11と、ハウジング11の先端側L1に設けられ、センサ素子2の先端部を覆う先端側カバー12と、ハウジング11の基端側L2に設けられ、各出力端子4A,4B及び各出力用圧着端子5A,5Bを覆う基端側カバー13とを備える。また、ガスセンサ1は、各出力用圧着端子5A,5Bにそれぞれ繋がるリード線14と、各リード線14を基端側カバー13に支持するためのブッシュ15と、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42B、各出力用圧着端子5A,5B及び各リード線14の先端部を基端側カバー13に支持するための碍子16とを備える。
【0018】
(軸方向L,周方向C,径方向R)
図1図7に示すように、本形態のガスセンサ1において、固体電解質体20又はセンサ素子2の軸方向Lとは、固体電解質体20の中心軸線Oが向く方向のことをいう。固体電解質体20又はセンサ素子2の周方向Cとは、固体電解質体20の中心軸線Oの周りの方向のことをいう。固体電解質体20又はセンサ素子2の径方向Rとは、固体電解質体20の中心軸線Oから放射状に延びる方向のことをいう。
【0019】
(センサ素子2)
図2に示すように、センサ素子2は、コップ型のものであり、円筒部21の先端側端部が閉じられた形状を有する。センサ素子2の固体電解質体20は、円筒部21と、円筒部21の軸方向Lの先端側L1を閉塞する半球面状の底部22とを有する。換言すれば、固体電解質体20は、軸方向Lの先端側L1が閉塞された中空形状を有する。固体電解質体20の軸方向Lの基端部には、固体電解質体20の内側に基準ガスAを流入させることができる開口部23が形成されている。円筒部21の軸方向Lにおける各部の外径は、ハウジング11への取り付けを考慮して、適宜変化している。
【0020】
固体電解質体20は、ジルコニアを主成分とするものであり、希土類金属元素又はアルカリ土類金属元素によってジルコニアの一部を置換させた安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアからなる。固体電解質体20は、イットリア安定化ジルコニア又はイットリア部分安定化ジルコニアから構成してもよい。固体電解質体20は、所定の活性化温度において、酸化物イオン(O2-)を伝導させるイオン伝導性を有するものである。検出電極25及び基準電極26は、酸素に対する触媒活性を示す白金を含有している。
【0021】
図2に示すように、検出電極25は、円筒部21の外周面211に形成された外側検知部251と、外側検知部251の軸方向Lの基端側L2に繋がる外側リード部252とを有する。外側検知部251は、円筒部21の外周面211及び底部22の外側面に連続して形成されていてもよい。詳細は省略するが、外側検知部251は、円筒部21の外周面211における、円筒部21の周方向Cの全周にわたって形成されている。外側リード部252は、円筒部21の周方向Cの一部に設けられており、第1出力端子4Aの第1装着部41Aに接触して導通されている。外側リード部252の軸方向Lの基端側L2の部分は、周方向Cの全周に形成されていてもよい。
【0022】
基準電極26は、円筒部21の内周面212及び底部22の内側面に連続して形成されている。本形態の基準電極26は、円筒部21の内周面212及び底部22の内側面の全体に形成されている。本形態の内側リード部262は、円筒部21の基端側部位に形成された基準電極26の部分のことを示す。基準電極26は、第2出力端子4Bの第2装着部41Bに接触して導通されている。基準電極26は、円筒部21の内周面212及び底部22の内側面に形成された内側検知部と、内側検知部の軸方向Lの基端側L2に繋がる内側リード部とを有する形状に形成されていてもよい。
【0023】
図1に示すように、センサ素子2の外周側は、先端側カバー12の導入孔121から先端側カバー12内に導入される検出対象ガスとしての排ガスGに晒される。そして、固体電解質体20に設けられた検出電極25には、排ガスGが接触する。一方、センサ素子2の内周側には、基端側カバー13における導入孔131を経由して、基準ガスとしての大気Aが導入される。そして、固体電解質体20に設けられた基準電極26には、大気Aが接触する。
【0024】
センサ素子2の軸方向Lの先端側L1の部位には、少なくとも検出電極25の外側検知部251の全体を覆うように、アルミナ等の金属酸化物の多孔質体からなる保護層200が設けられている。保護層200は、検出電極25の被毒及び被水を防止するためのものである。
【0025】
(ヒータ素子3)
図2に示すように、固体電解質体20の内周側には、固体電解質体20、検出電極25及び基準電極26を加熱するための導電性の発熱体33を有するヒータ素子3が配置されている。ヒータ素子3は、絶縁性基材からなる中軸部31と、発熱体33が形成されて、中軸部31の周りに巻き付けられたシート部32とを有する。発熱体33は、ヒータ素子3の先端側L1の部分において、ヒータ素子3の軸方向Lに蛇行する導体によって形成された発熱部331と、発熱部331の両端に繋がる導体によって形成された一対のリード部332とを有する。一対のリード部332は、発熱部331からセンサ素子2の基端側部分まで形成されている。
【0026】
図2図4に示すように、本形態のガスセンサ1は、検出電極25の外側リード部252に接続された第1出力端子4A及び基準電極26の内側リード部262に接続された第2出力端子4Bの他に、発熱体33の一方のリード部332に接続された第1ヒータ端子6A、及び発熱体33の他方のリード部332に接続された第2ヒータ端子6Bを備える。そして、センサ素子2及びヒータ素子3の基端側L2の外方において、各出力端子4A,4B及び各ヒータ端子6A,6Bの4つの端子が、センサ制御装置に繋がるリード線14にそれぞれ接続されている。
【0027】
第1ヒータ端子6Aは、発熱体33の一方のリード部332に接触する状態でヒータ素子3の側面に接合された第1接合部61Aと、第1接合部61Aから軸方向Lに延ばされた第1延長部62Aとを有する。第2ヒータ端子6Bは、発熱体33の他方のリード部332に接触する状態でヒータ素子3の側面に接合された第2接合部61Bと、第2接合部61Bから軸方向Lに延ばされた第2延長部62Bとを有する。ガスセンサ1は、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aの基端側L2の先端部が圧着された第1ヒータ用圧着端子7Aと、第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bの基端側L2の先端部が圧着された第2ヒータ用圧着端子7Bとを備える。
【0028】
(リード線14)
図3に示すように、リード線14は、導体層と、導体層を被覆する被覆層とを有する。各圧着端子5A,5B,7A,7Bに接続されるリード線14の先端部は、被服装が剥がれて導体層が露出する導体露出部141を形成している。
【0029】
(第1出力端子4A)
図5及び図6に示すように、第1出力端子4Aは、検出電極25を、ガスセンサ1の外部のセンサ制御装置に接続するためのものである。第1出力端子4Aの第1装着部41Aは、固体電解質体20の外周面211に沿った円弧状の断面を有する形状に形成されている。第1装着部41Aは、平板が曲げられて形成されており、軸方向Lに延びるスリット411Aを有する円筒形状に形成されている。第1装着部41Aのスリット411Aは、第1引出部42Aの周方向Cの形成位置と180°異なる位置に形成されている。第1出力端子4Aの第1引出部42Aは、第1装着部41Aの軸方向Lの基端面から、軸方向Lの基端側L2に引き出されている。第1引出部42Aは、第1装着部41Aに繋がる棒状の平板が、根元部421A及び先端部43Aにおいて曲げられて形成されている。
【0030】
より具体的には、第1引出部42Aの根元部421Aは、第1装着部41Aに繋がって第1装着部41Aに対して屈曲する根元側屈曲部423Aと、根元側屈曲部423Aに繋がって根元側屈曲部423Aに対して屈曲し、軸方向Lに平行な状態で平板の主面431が周方向Cに平行な(径方向Rに垂直に向けられた)平行部424Aとによって構成されている。根元側屈曲部423Aは、センサ素子2の径方向Rの内周側に向けて、軸方向Lに対して傾斜する状態に屈曲されている。平行部424Aは、軸方向Lに対して平行であることにより、ヒータ素子3との間の間隔が、所定の大きさ以上に保たれる。これにより、ヒータ素子3と第1出力端子4Aとの間の絶縁距離を適切に保つことができる。
【0031】
第1引出部42Aの平行部424Aと第1引出部42Aの先端部43Aとの間の中間部422Aは、平行部424Aと先端部43Aとを繋ぎ、平行部424A及び先端部43Aに対して屈曲するとともに捻られた先端側屈曲部425Aによって構成されている。先端側屈曲部425Aは、センサ素子2の径方向Rの内周側に向けて、軸方向Lに対して傾斜する状態に屈曲しながら、軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られている。
【0032】
なお、センサ素子2における軸方向Lの先端側L1と、第1出力端子4Aにおける先端側屈曲部425Aの先端側とは互いに逆側になる。
【0033】
(第2出力端子4B)
図5図7に示すように、第2出力端子4Bは、基準電極26を、ガスセンサ1の外部のセンサ制御装置に接続するためのものである。第2出力端子4Bの第2装着部41Bは、固体電解質体20の内周面212に沿った円弧状の断面を有する形状に形成されている。第2装着部41Bは、平板が曲げられて形成されており、軸方向Lに延びるスリット411Bを有する円筒形状に形成されている。第2出力端子4Bの第2引出部42Bは、第2装着部41Bの軸方向Lの基端面から、軸方向Lの基端側L2に引き出されている。第2引出部42Bは、第2装着部41Bに繋がる棒状の平板が、根元部421B及び先端部43Bにおいて曲げられて形成されている。
【0034】
より具体的には、第2引出部42Bの根元部421Bは、第2装着部41Bに繋がって第2装着部41Bに対して屈曲する根元側屈曲部423Bと、根元側屈曲部423Bに繋がって根元側屈曲部423Bに対して屈曲し、軸方向Lに平行な状態で平板の主面431が周方向Cに平行な(径方向Rに垂直に向けられた)平行部424Bとによって構成されている。根元側屈曲部423Bは、センサ素子2の径方向Rの外周側に向けて、軸方向Lに対して傾斜する状態に屈曲されている。平行部424Bは、軸方向Lに対して平行であることにより、ヒータ素子3との間の間隔が、所定の大きさ以上に保たれる。これにより、ヒータ素子3と第2出力端子4Bとの間の絶縁距離を適切に保つことができる。
【0035】
第2引出部42Bの平行部424Bと第2引出部42Bの先端部43Bとの間の中間部422Bは、平行部424Bと第2引出部42Bの先端部43Bとを繋ぎ、平行部424B及び第2引出部42Bの先端部43Bに対して屈曲するとともに捻られた先端側屈曲部425Bによって構成されている。先端側屈曲部425Bは、センサ素子2の径方向Rの内周側に向けて、軸方向Lに対して傾斜する状態に屈曲しながら、軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られている。また、第2引出部42Bの先端側屈曲部425Bが軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られた方向は、第1引出部42Aの先端側屈曲部425Bが軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られた方向と同じである。
【0036】
図5及び図7に示すように、第2出力端子4Bは、ヒータ素子3をセンサ素子2内に支持する機能も有する。第2出力端子4Bの第2装着部41Bの軸方向Lの先端側L1には、ヒータ素子3の基端部の外周面211に装着されるヒータ装着部44が延設されている。ヒータ装着部44は、ヒータ素子3の外周面211に沿った円弧状の断面を有する形状に形成されている。ヒータ装着部44は、第2装着部41Bの外径よりも小さな外径に形成されている。ヒータ装着部44は、平板が曲げられて形成されており、軸方向Lに延びるスリット441を有する円筒形状に形成されている。第2装着部41Bのスリット411B及びヒータ装着部44のスリット441は、第2引出部42Bの周方向Cの形成位置と180°異なる位置に形成されている。
【0037】
なお、センサ素子2における軸方向Lの先端側L1と、第2出力端子4Bにおける先端側屈曲部425Bの先端側とは互いに逆側になる。
【0038】
(第1出力用圧着端子5A)
図3及び図4に示すように、第1出力用圧着端子5Aは、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの先端部43Aとリード線14とを接続するための部品である。第1出力用圧着端子5Aと第1出力端子4Aの第1引出部42Aの先端部43Aとは、圧着及び溶接が行われて接合されている。第1出力用圧着端子5Aは、第1引出部42Aの先端部43Aが挿入されて接合される筒形状の挿入部51Aと、リード線14の導体露出部141が接続されるリード接続部52Aとを有する。挿入部51Aは、平板が折り曲げられて四角筒形状に形成されている。リード接続部52Aは、圧着及びかしめによって変形されて、リード線14の導体露出部141に接続される。
【0039】
図4に示すように、第1出力用圧着端子5Aにおける、第1引出部42Aの先端部43Aとの接続部位である挿入部51Aは、第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板の主面431に対向する一対の第1側壁部511Aを有している。第1側壁部511Aは、四角筒形状の挿入部51Aにおける一対の側壁部として形成されている。一対の第1側壁部511Aのうちの、センサ素子2の径方向Rの外周側に位置する第1側壁部511Aには、第1側壁部511Aの内側に突出して、第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板に接合された突出部512Aが形成されている。
【0040】
本形態の突出部512Aは、第1側壁部511Aを構成する平板の一部が変形することによって形成されている。第1側壁部511Aの外側には、突出部512Aの突出によって凹む凹部513Aが形成されている。突出部512Aの形成によって、第1出力用圧着端子5Aの挿入部51Aと第1引出部42Aの先端部43Aとの圧着及び接合が強固に行われる。突出部512Aの裏側に形成された凹部513Aは、レーザー溶接等の溶接を行う目標部位とすることができる。
【0041】
図8及び図9には、圧着前の第1出力用圧着端子5Aを示す。圧着前においては、リード接続部52AはU状に開かれた断面の形状を有する。また、突出部512Aは、スリットが形成されていない第1側壁部511Aに形成されている。第2出力用圧着端子5Bも、第1出力用圧着端子5Aと同様の形状を有する。
【0042】
(第2出力用圧着端子5B)
図3及び図4に示すように、第2出力用圧着端子5Bは、第2出力端子4Bの第2引出部42Bの先端部43Bとリード線14とを接続するための部品である。第2出力用圧着端子5Bと第2出力端子4Bの第2引出部42Bの先端部43Bとは、圧着及び溶接が行われて接合されている。第2出力用圧着端子5Bは、第2引出部42Bの先端部43Bが挿入されて接合される筒形状の挿入部51Bと、リード線14の導体露出部141が接続されるリード接続部52Bとを有する。挿入部51Bは、平板が折り曲げられて四角筒形状に形成されている。リード接続部52Bは、圧着及びかしめによって変形されて、リード線14の導体露出部141に接続される。
【0043】
図4に示すように、第2出力用圧着端子5Bにおける、第2引出部42Bの先端部43Bとの接続部位である挿入部51Bは、第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板の主面431に対向する一対の第2側壁部511Bを有している。第2側壁部511Bは、四角筒形状の挿入部51Bにおける一対の側壁部として形成されている。一対の第2側壁部511Bのうちの、センサ素子2の径方向Rの外周側に位置する第2側壁部511Bには、第2側壁部511Bの内側に突出して、第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板に接合された突出部512Bが形成されている。
【0044】
本形態の突出部512Bは、第2側壁部511Bを構成する平板の一部が変形することによって形成されている。第2側壁部511Bの外側には、突出部512Bの突出によって凹む凹部513Bが形成されている。突出部512Bの形成によって、第2出力用圧着端子5Bの挿入部51Bと第2引出部42Bの先端部43Bとの圧着及び接合が強固に行われる。突出部512Bの裏側に形成された凹部513Bは、レーザー溶接等の溶接を行う目標部位とすることができる。
【0045】
(第1ヒータ端子6A)
図5及び図6に示すように、第1ヒータ端子6Aは、発熱体33の一方のリード部332を、ガスセンサ1の外部のセンサ制御装置に接続するためのものである。第1ヒータ端子6Aの第1接合部61Aは、ヒータ素子3の基端部の側面に接合される円弧状の断面を有する形状に形成されている。第1接合部61Aは、ロウ付けを行うことによってヒータ素子3の基端部の外周面211に接合されている。第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aは、第1接合部61Aの表面に接合された、丸形状の断面を有する軸部材によって構成されている。第1延長部62Aは、センサ素子2の軸方向Lに平行に形成されている。
【0046】
(第2ヒータ端子6B)
図5及び図6に示すように、第2ヒータ端子6Bは、発熱体33の一方のリード部332を、ガスセンサ1の外部のセンサ制御装置に接続するためのものである。第2ヒータ端子6Bの第2接合部61Bは、ヒータ素子3の基端部の側面に接合される円弧状の断面を有する形状に形成されている。第2接合部61Bは、ロウ付けを行うことによってヒータ素子3の基端部の外周面211に接合されている。第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bは、第2接合部61Bの表面に接合され、丸形状の断面を有する軸部材によって構成されている。第2延長部62Bは、センサ素子2の軸方向Lに平行に形成されている。
【0047】
(第1ヒータ用圧着端子7A)
図3及び図4に示すように、第1ヒータ用圧着端子7Aは、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aの先端部とリード線14とを接続するための部品である。第1ヒータ用圧着端子7Aと第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aの先端部とは、圧着及び溶接が行われて接合されている。第1ヒータ用圧着端子7Aは、第1延長部62Aの先端部が挿入されて接合される筒形状の挿入部71Aと、リード線14の導体露出部141が接続されるリード接続部72Aとを有する。挿入部71Aは、平板が折り曲げられて軸方向Lに形成されたスリットを有する円筒形状に形成されている。リード接続部72Aは、圧着及びかしめによって変形されて、リード線14の導体露出部141に接続される。
【0048】
(第2ヒータ用圧着端子7B)
図3及び図4に示すように、第2ヒータ用圧着端子7Bは、第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bの先端部とリード線14とを接続するための部品である。第2ヒータ用圧着端子7Bと第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bの先端部とは、圧着及び溶接が行われて接合されている。第2ヒータ用圧着端子7Bは、第2延長部62Bの先端部が挿入されて接合される筒形状の挿入部71Bと、リード線14の導体露出部141が接続されるリード接続部72Bとを有する。挿入部71Bは、平板が折り曲げられて軸方向Lに形成されたスリットを有する円筒形状に形成されている。リード接続部72Bは、圧着及びかしめによって変形されて、リード線14の導体露出部141に接続される。
【0049】
(圧着用治具8)
図10に示すように、本形態のガスセンサ1においては、圧着用治具8を用いて、各出力端子4A,4Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着、及び各ヒータ端子6A,6Bと各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着をまとめて行う工夫をしている。圧着用治具8は、センサ素子2及びヒータ素子3の軸方向Lに対向する位置において、センサ素子2及びヒータ素子3の各中心軸線Oが通る中心部に配置される圧着用受け治具部81と、圧着用受け治具部81との間に、各出力端子4A,4Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの接続部位及び各ヒータ端子6A,6Bと各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの接続部位を挟み込むための圧着用押さえ治具部82とによって構成されている。
【0050】
圧着用受け治具部81は、センサ素子2及びヒータ素子3の軸方向Lに対向する位置に1つ配置されている。圧着用押さえ治具部82は、第1出力端子4Aと第1出力用圧着端子5Aとの接続部位、第1ヒータ端子6Aと第1ヒータ用圧着端子7Aとの接続部位、第2出力端子4Bと第2出力用圧着端子5Bとの接続部位、第2ヒータ端子6Bと第2ヒータ用圧着端子7Bとの接続部位のそれぞれに対向する4か所に配置されている。圧着用押さえ治具部82は、第1出力端子4Aと第1出力用圧着端子5Aとの接続部位及び第1ヒータ端子6Aと第1ヒータ用圧着端子7Aとの接続部位を同時に押さえるものと、第2出力端子4Bと第2出力用圧着端子5Bとの接続部位及び第2ヒータ端子6Bと第2ヒータ用圧着端子7Bとの接続部位を同時に押さえるものとによって構成してもよい。
【0051】
(各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bと、各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bとの位置関係)
図4に示すように、ガスセンサ1においては、各出力端子4A,4B及び各ヒータ端子6A,6Bと各圧着端子5A,5B,7A,7Bとが接続された部位の、固体電解質体20の軸方向Lに直交する断面を接続部位断面101とする。より具体的には、接続部位断面101は、固体電解質体20の軸方向Lに直交し、第1出力用圧着端子5Aと第1引出部42Aの先端部43Aとの接続部位、第2出力用圧着端子5Bと第2引出部42Bの先端部43Bとの接続部位、第1ヒータ用圧着端子7Aと第1延長部62Aの先端部との接続部位、及び第2ヒータ用圧着端子7Bと第2延長部62Bの先端部との接続部位を通る断面とする。図4の接続部位断面101は、図3のIV-IV線の断面を示す。
【0052】
接続部位断面101において、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aと第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bとは、センサ素子2の周方向Cの互いに異なる位置に、第1出力端子4Aの第1引出部42Aと第2出力端子4Bの第2引出部42Bとを間に介して配置されている。センサ素子2の周方向Cにおいて、第1出力端子4Aの第1引出部42Aと第2出力端子4Bの第2引出部42Bとは、180°±5°異なる位置に配置されており、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aと第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bとは、180°±5°異なる位置に配置されている。また、接続部位断面101において、第1出力端子4Aの第1引出部42Aと、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aと、第2出力端子4Bの第2引出部42Bと、第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bとは、センサ素子2の周方向Cに90°±5°ずつ異なる角度で、順次配置されている。
【0053】
図4に示すように、第1ヒータ用圧着端子7Aの一部は、第1出力用圧着端子5Aの第1引出部42Aの先端部43Aを、第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板の主面431を通ってこの主面431に平行な第1仮想線K1の方向に投影した範囲T1内に配置されている。さらに、本形態においては、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aの先端部の一部は、第1出力用圧着端子5Aの第1引出部42Aの先端部43Aを、第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板の主面431に平行な第1仮想線K1の方向に投影した範囲T1内に配置されている。この構成により、圧着用受け治具部81と圧着用押さえ治具部82とによる、第1出力端子4Aと第1出力用圧着端子5Aとの接続部位、及び第1ヒータ端子6Aと第1ヒータ用圧着端子7Aとの接続部位の圧着を容易にすることができる。
【0054】
また、図4に示すように、第2ヒータ用圧着端子7Bの一部は、第2出力用圧着端子5Bの第2引出部42Bの先端部43Bを、第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板の主面431に平行な第2仮想線K2の方向に投影した範囲T2内に配置されている。さらに、本形態においては、第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bの先端部の一部は、第2出力用圧着端子5Bの第2引出部42Bの先端部43Bを、第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板の主面431に平行な第2仮想線K2の方向に投影した範囲T2内に配置されている。この構成により、圧着用受け治具部81と圧着用押さえ治具部82とによる、第2出力端子4Bと第2出力用圧着端子5Bとの接続部位、及び第2ヒータ端子6Bと第2ヒータ用圧着端子7Bとの接続部位の圧着を容易にすることができる。
【0055】
また、接続部位断面101において、互いに平行な第1仮想線K1及び第2仮想線K2が向き合う側を仮想内側とする。そして、接続部位断面101において、第1出力用圧着端子5Aの最も仮想内側に位置する側面と、第1ヒータ用圧着端子7Aの最も仮想内側に位置する側面とは、第1仮想線K1に平行な第1平行仮想線H1上に並んでいる。また、接続部位断面101において、第2出力用圧着端子5Bの最も仮想内側に位置する側面と、第2ヒータ用圧着端子7Bの最も仮想内側に位置する側面とは、第2仮想線K2に平行な第2平行仮想線H2上に並んでいる。この構成により、圧着用受け治具部81の形状を簡単にすることができる。また、この構成により、圧着用受け治具部81と圧着用押さえ治具部82とによる、各出力端子4A,4Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの接続部位、及び各ヒータ端子6A,6Bと各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの接続部位の圧着をまとめて行うことが容易になる。
【0056】
(碍子16)
図1に示すように、各出力用圧着端子5A,5Bによる各出力端子4A,4Bと各リード線14との接続部位、及び各ヒータ用圧着端子7A,7Bによる各ヒータ端子6A,6Bと各リード線14との接続部位は、基端側カバー13内に保持された碍子16内に配置されている。碍子16は、アルミナ(酸化アルミニウム)によって構成されており、碍子16には、各接続部位が配置された配置穴161が形成されている。碍子16は、板バネ162によって基端側カバー13の内周側に保持されている。
【0057】
(ガスセンサ1の製造方法)
ガスセンサ1を製造するに当たっては、図1に示すように、まず、ハウジング11に先端側カバー12が溶接(接合)される。また、センサ素子2の基端側L1の部位の外周面211に第1出力端子4Aが装着されることにより、センサ素子2の検出電極25の外側リード部252に第1出力端子4Aが接続される。次いで、第1出力端子4Aが装着されたセンサ素子2が、先端側カバー12が接合されたハウジング11のハウジング孔111内に配置される。そして、ハウジング11のかしめ部113の変形によって、封止材112を介してハウジング11内にセンサ素子2が固定される。次いで、ヒータ素子3の基端部の側面には、発熱体33のリード部332に接触する状態で各ヒータ端子6A,6Bが接合される。また、ハウジング11等と一体化されたセンサ素子2の基端側L2の部位の内周面212に第2出力端子4Bが装着されるとともに、第2出力端子4Bのヒータ装着部44にヒータ素子3が保持される。
【0058】
一方、基端側カバー13内にブッシュ15によって複数のリード線14が保持され、基端側カバー13内に板バネ162によって碍子16が保持される。また、複数のリード線14の導体露出部141のそれぞれに、各出力用圧着端子5A,5B及び各ヒータ用圧着端子7A,7Bが圧着される。各出力用圧着端子5A,5B及び各ヒータ用圧着端子7A,7Bのそれぞれが圧着された各リード線14は、基端側カバー13の外部に引き出される。
【0059】
次いで、ハウジング11等と一体化された、センサ素子2の各出力端子4A,4B及びヒータ素子3の各ヒータ端子6A,6Bと、各リード線14における各出力用圧着端子5A,5B及び各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着及び溶接(接合)が行われる。次いで、各リード線14に対して、基端側カバー13、ブッシュ15、碍子16等がスライドされて、基端側カバー13がハウジング11に装着される。次いで、ハウジング11に基端側カバー13が溶接(接合)されるとともに、基端側カバー13が変形されて、各リード線14がブッシュ15を介して基端側カバー13に保持される。こうして、ガスセンサ1が製造される。
【0060】
(各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着及び接合、並びに各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着及び接合)
図6に示すように、接続部位断面101において、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板の主面431と、第2出力端子4Bの第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板の主面431とは、センサ素子2の周方向Cに対して45°±5°の傾斜角度で傾斜する状態で、互いに平行になっている。
【0061】
また、図4に示すように、接続部位断面101において、第1出力端子4Aに圧着された第1出力用圧着端子5Aの最も仮想内側に位置する側面と、第1ヒータ端子6Aに圧着された第1ヒータ用圧着端子7Aの最も仮想内側に位置する側面とは、第1平行仮想線H1上に並んでいる。また、接続部位断面101において、第2出力端子4Bに圧着された第2出力用圧着端子5Bの最も仮想内側に位置する側面と、第2ヒータ端子6Bに圧着された第2ヒータ用圧着端子7Bの最も仮想内側に位置する側面とは、第2平行仮想線H2上に並んでいる。
【0062】
第1仮想線K1及び第2仮想線K2は、第1出力端子4Aと第2出力端子4Bとが並ぶ径方向Rに対して、45°±5°の角度で傾斜している。第1平行仮想線H1と第2平行仮想線H2との間には、圧着用受け治具部81が挿入される一定の間隔が形成されている。そして、図10に示すように、第1出力用圧着端子5Aの最も仮想内側に位置する側面及び第1ヒータ用圧着端子7Aの最も仮想内側に位置する側面と、第2出力用圧着端子5Bの最も仮想内側に位置する側面及び第2ヒータ用圧着端子7Bの最も仮想内側に位置する側面との間に、圧着用受け治具部81が挿入される。
【0063】
次いで、圧着用受け治具部81に対して両側から圧着用押さえ治具部82が接近する。そして、圧着用受け治具部81と両側の圧着用押さえ治具部82との間に、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの接続部位、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの接続部位が挟み込まれ、これらの接続部位が押しつぶされる。これにより、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着が同時に行われる。
【0064】
これらの接続部位の圧着は、圧着用受け治具部81に対して各圧着用押さえ治具部82が移動する1つの工程によって行うことができる。そのため、ヒータ素子3等の組付体に対する、圧着用受け治具部81及び各圧着用押さえ治具部82の配置位置を変更することなく、一度の動作で4つの接続部位の圧着を行うことができる。これにより、圧着の作業効率を向上させることができる。
【0065】
次いで、図11に示すように、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着部位、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着部位のそれぞれが、レーザー溶接によって接合される。このとき、レーザーXは、接続部位断面101において、互いに平行な第1仮想線K1及び第2仮想線K2が向き合う仮想内側とは反対側の仮想外側から、第1仮想線K1及び第2仮想線K2に垂直な方向から照射される。
【0066】
より具体的には、レーザーXは、第1出力用圧着端子5Aの挿入部51Aの径方向Rの外周側に位置する第1側壁部511Aの突出部512Aの裏側の凹部513Aに、第1側壁部511Aに垂直な方向から照射される。これにより、突出部512Aと、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの先端部43Aとが接合(溶着)される。また、このレーザーXの照射方向と同じ方向から同じタイミングで、第1ヒータ用圧着端子7Aの挿入部71AにレーザーXを照射することができる。これにより、第1ヒータ用圧着端子7Aの挿入部71Aの一部と、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aの先端部とが接合(溶着)される。
【0067】
また、レーザーXは、第2出力用圧着端子5Bの挿入部51Bの径方向Rの外周側に位置する第2側壁部511Bの突出部512Bの裏側の凹部513Bに、第2側壁部511Bに垂直な方向から照射される。これにより、突出部512Bと、第2出力端子4Bの第2引出部42Bの先端部43Bとが接合(溶着)される。また、このレーザーXの照射方向と同じ方向から同じタイミングで、第2ヒータ用圧着端子7Bの挿入部71BにレーザーXを照射することができる。これにより、第2ヒータ用圧着端子7Bの挿入部71Bの一部と、第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bの先端部とが接合(溶着)される。
【0068】
各圧着端子5A,5B,7A,7Bに対してレーザーXが照射される方向が、第1仮想線K1及び第2仮想線K2(第1平行仮想線H1及び第2平行仮想線H2)に垂直な方向として統一されることにより、レーザー溶接の作業効率を向上させることができる。
【0069】
各圧着端子5A,5B,7A,7BにおけるレーザーXを照射する位置は、カメラによる撮影を行い、画像処理装置による解析を行って特定することができる。また、圧着用受け治具部81には、各圧着端子5A,5B,7A,7Bの位置決めを行うための凹部がそれぞれ形成されていてもよい。そして、圧着用受け治具部81によって各圧着端子5A,5B,7A,7Bの位置決めが行われた状態において、レーザーXの照射が行われてもよい。
【0070】
(作用効果)
本形態のガスセンサ1においては、固体電解質体20の軸方向Lに直交する接続部位断面101の面内において、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの先端部43Aと第1出力用圧着端子5Aとの接続部位、及び第2出力端子4Bの第2引出部42Bの先端部43Bと第2出力用圧着端子5Bとの接続部位の向きに工夫をしている。具体的には、第1引出部42Aの先端部43Aと根元部421Aとの間の中間部422A、及び第2引出部42Bの先端部43Bと根元部421Bとの間の中間部422Bのそれぞれは、固体電解質体20の軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られている。そして、第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板の主面431と、第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板の主面431とは、互いに平行な状態で、固体電解質体20の周方向Cに対して45°±5°の角度で傾斜している。
【0071】
また、接続部位断面101において、第1引出部42Aの先端部43Aを構成する平板の端面は、第1ヒータ端子6Aの第1延長部62Aの先端部に向けられており、第2引出部42Bの先端部43Bを構成する平板の端面は、第2ヒータ端子6Bの第2延長部62Bの先端部に向けられている。ここで、平板の端面とは、平板の主面431に対して直交する面のことをいう。
【0072】
これらの構成により、圧着用治具8を用いて、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着を行う際に、圧着用治具8としての圧着用受け治具部81及び圧着用押さえ治具部82を、固体電解質体20の軸方向Lに直交する面内の適切な方向に配置することができる。具体的には、圧着用受け治具部81は、固体電解質体20の周方向Cに対して45°±5°傾斜する方向から、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの接続部位、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの接続部位との両方に対向して配置することができる。
【0073】
そして、圧着用受け治具部81及び圧着用押さえ治具部82によって、固体電解質体20の周方向Cに対して45°±5°傾斜する方向から、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着を一度にまとめて行うことができる。
【0074】
それ故、本形態のガスセンサ1によれば、各出力端子4A,4Bの各引出部42A,42Bの先端部43A,43Bと各出力用圧着端子5A,5Bとの圧着、及び各ヒータ端子6A,6Bの各延長部62A,62Bの先端部と各ヒータ用圧着端子7A,7Bとの圧着を行う際の作業効率を改善することができる。
【0075】
<実施形態2>
本形態は、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの中間部422A及び第2出力端子4Bの第2引出部42Bの中間部422Bが、軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに捻られる最適な角度を示す。具体的には、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの中間部422A及び第2出力端子4Bの第2引出部42Bの中間部422Bは、軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに30°以上60°以下の範囲内で捻られていることが好ましい。
【0076】
図12には、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの中間部422A及び第2出力端子4Bの第2引出部42Bの中間部422Bが、軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに30°捻られた場合について示す。この場合には、圧着用受け治具部81を用いるために、各中間部422A,422Bが仮想軸線O1の周りに45°捻られた場合に比べて、第1引出部42Aの先端部43Aと第1延長部62Aの先端部との周方向Cの間隔、及び第2引出部42Bの先端部43Bと、第2延長部62Bの先端部との周方向Cの間隔が狭くなる。
【0077】
図13には、第1出力端子4Aの第1引出部42Aの中間部422A及び第2出力端子4Bの第2引出部42Bの中間部422Bが、軸方向Lに沿った仮想軸線O1の周りに60°捻られた場合について示す。この場合には、圧着用受け治具部81を用いるために、各中間部422A,422Bが仮想軸線O1の周りに45°捻られた場合に比べて、第1引出部42Aの先端部43Aと第1延長部62Aの先端部との周方向Cの間隔、及び第2引出部42Bの先端部43Bと、第2延長部62Bの先端部との周方向Cの間隔が広くなる。
【0078】
なお、図12及び図13においては、第1延長部62Aの先端部の一部が、第1引出部42Aの先端部43Aを第1仮想線K1の方向に投影した範囲T1内に配置され、第2延長部62Bの先端部の一部が、第2引出部42Bの先端部43Bを第2仮想線K2の方向に投影した範囲T2内に配置されていることを条件とする。
【0079】
図14には、各出力端子4A,4Bの各中間部422A,422Bの捻り角度[°]と、端子間絶縁距離[mm]及び治具幅[mm]との関係を示す。端子間絶縁距離は、第1出力用圧着端子5Aと第1ヒータ用圧着端子7Aとの間の絶縁距離、及び第2出力用圧着端子5Bと第2ヒータ用圧着端子7Bとの間の絶縁距離のことを示す。治具幅は、圧着用受け治具部81における、第1仮想線K1及び第2仮想線K2に垂直な方向の幅のことをいう。
【0080】
図14においては、端子間絶縁距離のライン及び許容治具幅のラインを同じグラフにおいて示す。端子間絶縁距離は、各出力端子4A,4Bの捻り角度が大きくなるほど大きくなる。治具幅は、各出力端子4A,4Bの捻り角度が大きくなるほど小さくなる。
【0081】
端子間絶縁距離を適切に確保するためには、各出力端子4A,4Bの捻り角度は30°以上にする必要があることが分かった。また、許容治具幅を適切に確保するためには、各出力端子4A,4Bの捻り角度は60°以下にする必要があることが分かった。
【0082】
本形態のガスセンサ1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の構成要素と同様である。
【0083】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 ガスセンサ
2 センサ素子
20 固体電解質体
3 ヒータ素子
4A,4B 出力端子
5A,5B 出力用圧着端子
6A,6B ヒータ端子
7A,7B ヒータ用圧着端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14