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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】車載通信システムおよび車載用ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3822 20150101AFI20240109BHJP
   H04B 3/02 20060101ALI20240109BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H04B1/3822
H04B3/02
B60R16/023
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020569639
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2020002941
(87)【国際公開番号】W WO2020158723
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2019015309
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 由大
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-221896(JP,A)
【文献】国際公開第2006/120757(WO,A1)
【文献】特開2013-123132(JP,A)
【文献】特開2006-333263(JP,A)
【文献】特開2007-067527(JP,A)
【文献】特開2005-236400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/3822
H04B 3/02
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、
前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、
前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、
前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信し、
前記複数の通信部の各々は、前記通信情報の送信元の前記機能部のMACアドレスおよび前記通信情報の送信先の前記機能部のMACアドレスの組、ならびに前記信号のキャリア周波数の関係を示す周波数対応情報を参照することにより、自己の送信する前記信号の前記キャリア周波数を設定可能である、車載通信システム。
【請求項2】
車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、
前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、
前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、
前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信し、
前記複数の通信部の各々は、通信相手である他の前記通信部との間の前記有線伝送路の長さに応じて、自己の送信する前記信号のキャリア周波数を設定可能である、車載通信システム。
【請求項3】
車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、
前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、
前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、
前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信し、
前記複数の通信部の各々は、前記通信情報の送信元の前記機能部のMACアドレスおよび前記通信情報の送信先の前記機能部のMACアドレスの組、ならびに前記信号の送信電力の関係を示す電力対応情報を参照することにより、自己の送信する前記信号の前記送信電力を設定可能である、車載通信システム。
【請求項4】
車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、
前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、
前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、
前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信し、
前記複数の通信部の各々は、通信相手である他の前記通信部との間の前記有線伝送路の長さに応じて、自己の送信する前記信号の送信電力を設定可能である、車載通信システム。
【請求項5】
車載通信システムであって、
車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、
前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、
前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、
前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信し、
前記車載通信システムは、3つ以上の前記機能部および3つ以上の前記通信部を備え、
前記車載通信システムは、さらに、前記3つ以上の通信部を互いに接続する1または複数の接続部を備え、
前記接続部は、前記3つ以上の通信部のうちのいずれか2つの前記通信部から出力される前記信号を合波し、合波した前記信号を前記いずれか2つの通信部と異なる他の前記通信部または他の前記接続部へ出力し、
前記接続部は、前記3つ以上の通信部のうちのいずれか1つの前記通信部から出力される前記信号を分波し、分波した前記信号を前記いずれか1つの通信部と異なる他の2つの前記通信部へ出力するか、または前記いずれか1つの通信部と異なる他の1つの前記通信部および他の前記接続部へ出力する、車載通信システム。
【請求項6】
前記車載通信システムは、前記有線伝送路を介して前記信号を互いに送受信可能な3つ以上の前記通信部を備え、
前記信号を互いに送受信する前記通信部の複数の組のうち、少なくともいずれか1つの前記組の各前記通信部は、他の前記組とは異なるキャリア周波数の前記信号を互いに送受信し、
互いに異なるキャリア周波数の複数の前記信号が、共通の前記有線伝送路を介して送受信される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載通信システム。
【請求項7】
複数の機能部が設けられる車両に搭載される車載用ケーブルであって、
前記機能部に接続可能なコネクタ部と、
変調された無線周波数帯の信号を伝送可能なケーブル部とを備え、
前記コネクタ部は、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む前記信号を前記ケーブル部へ出力し、
前記コネクタ部は、前記信号を生成する通信部を含み、
前記通信部は、前記通信情報の送信元の前記機能部のMACアドレスおよび前記通信情報の送信先の前記機能部のMACアドレスの組、ならびに前記信号のキャリア周波数の関係を示す周波数対応情報を参照することにより、自己の生成する前記信号のキャリア周波数を設定可能である、車載用ケーブル。
【請求項8】
複数の機能部が設けられる車両に搭載される車載用ケーブルであって、
前記機能部に接続可能なコネクタ部と、
変調された無線周波数帯の信号を伝送可能なケーブル部とを備え、
前記コネクタ部は、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む前記信号を前記ケーブル部へ出力し、
前記コネクタ部は、前記信号を生成する通信部を含み、
前記通信部は、前記車載用ケーブルの長さに応じて、自己の送信する前記信号のキャリア周波数を設定可能である、車載用ケーブル。
【請求項9】
複数の機能部が設けられる車両に搭載される車載用ケーブルであって、
前記機能部に接続可能なコネクタ部と、
変調された無線周波数帯の信号を伝送可能なケーブル部とを備え、
前記コネクタ部は、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む前記信号を前記ケーブル部へ出力し、
前記コネクタ部は、前記信号を生成する通信部を含み、
前記通信部は、前記通信情報の送信元の前記機能部のMACアドレスおよび前記通信情報の送信先の前記機能部のMACアドレスの組、ならびに前記信号の送信電力の関係を示す電力対応情報を参照することにより、自己の送信する前記信号の前記送信電力を設定可能である、車載用ケーブル。
【請求項10】
複数の機能部が設けられる車両に搭載される車載用ケーブルであって、
前記機能部に接続可能なコネクタ部と、
変調された無線周波数帯の信号を伝送可能なケーブル部とを備え、
前記コネクタ部は、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む前記信号を前記ケーブル部へ出力し、
前記コネクタ部は、前記信号を生成する通信部を含み、
前記通信部は、前記車載用ケーブルの長さに応じて、自己の送信する前記信号の送信電力を設定可能である、車載用ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載通信システムおよび車載用ケーブルに関する。
この出願は、2019年1月31日に出願された日本出願特願2019-15309号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2009-177785号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、車載用無線通信装置は、周波数の異なる複数のアンテナと合波回路と分波回路と前記周波数の異なる複数のアンテナに対応する複数の無線機とを備え、前記複数のアンテナは前記合波回路または前記分波回路の何れかに接続され、さらに接続された前記合波回路または前記分波回路と共に車両のルーフ上、フロントガラス上部、リアガラス上部のいずれかに設置され、前記複数の無線機は、前記アンテナとは逆の前記分波回路または合波回路の何れかに無線機側アンテナケーブルにより接続され、前記合波回路と分波回路は、ピラー内を通して配索されているアンテナ装置側アンテナケーブルにより接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-177785号公報
【発明の概要】
【0004】
(1)本開示の車載通信システムは、車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信する。
【0005】
(6)本開示の車載用ケーブルは、複数の機能部が設けられる車両に搭載される車載用ケーブルであって、前記機能部に接続可能なコネクタ部と、変調された無線周波数帯の信号を伝送可能なケーブル部とを備え、前記コネクタ部は、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む前記信号を前記ケーブル部へ出力する。
【0006】
本開示の一態様は、車載通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける接続部の構成の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける接続部の構成の他の例を示す図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信部の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける周波数対応情報の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける電力対応情報の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける有線伝送路の構成の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図9図9は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける車載用ケーブルの構成の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける車載用ケーブルの構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示が解決しようとする課題]
このような特許文献1に記載の技術を超えて、簡易な構成で車両の機能部間における安定した通信を実現することが可能な技術が望まれる。
【0009】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、簡易な構成で車両の機能部間における安定した通信を実現することが可能な車載通信システムおよび車載用ケーブルを提供することである。
【0010】
[本開示の効果]
本開示によれば、簡易な構成で車両の機能部間における安定した通信を実現することができる。
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本発明の実施の形態に係る車載通信システムは、車両に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部と、前記複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信する。
【0013】
このように、車載ネットワークにおいて、有線伝送路を用いて、機能部間でやり取りされる通信情報を含む無線信号、すなわち変調された無線周波数帯の信号を送受信する構成により、多様な周波数帯域および変調方式等の無線信号を、有線伝送路を介して伝送することができるため、機能部間における通信設定の自由度を高めることができる。また、無線信号の伝送路である有線伝送路は、インピーダンス整合を取ることで、受動部品を用いて分岐させることができるため、配索の自由度を向上させることができる。また、たとえば、多数の通信部間を有線伝送路により接続する場合に必要な能動部品の数をゼロにするか、または減らすことができる。能動部品の数を減らすことにより、消費電力の低減、発熱の抑制、および能動部品への電源供給線によるノイズに起因する通信エラーの抑制などが可能となる。また、車載ネットワークにおいて、伝送系の幹線としてたとえば一本のケーブルを用いることができるため、使用するケーブルの数および使用するコネクタポートの数を低減することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、簡易な構成で機能部間における安定した通信を実現することができる。
【0014】
(2)好ましくは、前記車載通信システムは、前記有線伝送路を介して前記信号を互いに送受信可能な3つ以上の前記通信部を備え、前記信号を互いに送受信する前記通信部の複数の組のうち、少なくともいずれか1つの前記組の各前記通信部は、他の前記組とは異なるキャリア周波数の前記信号を互いに送受信し、互いに異なるキャリア周波数の複数の前記信号が、共通の前記有線伝送路を介して送受信される。
【0015】
このように、ある通信部の組において他の組とは異なるキャリア周波数の無線信号を送受信する構成により、当該各組において無線信号を並行して送受信することができるため、有線伝送路における無線信号の衝突を避けるための送信待ち等による通信遅延を抑制しながら、通信処理を簡単化することができる。
【0016】
(3)好ましくは、前記複数の通信部の各々は、自己の送信する前記信号のキャリア周波数を設定可能である。
【0017】
このような構成により、たとえば通信部間における有線伝送路が長いほど無線信号のキャリア周波数を低く設定することにより、無線信号の減衰を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0018】
(4)好ましくは、前記複数の通信部の各々は、自己の送信する前記信号の送信電力を設定可能である。
【0019】
このような構成により、たとえば通信部間における有線伝送路が長いほど無線信号の送信電力を大きく設定することにより、SN(Signal-Noise)比の劣化を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0020】
(5)好ましくは、前記複数の通信部の各々は、前記信号の合波および分波の少なくともいずれか一方を行う接続部と前記有線伝送路を介して接続されている。
【0021】
このような構成により、3つ以上の機能部が有線伝送路および接続部を介して互いに通信可能な車載通信システムにおいて、機能部間でやり取りされる通信情報を含む無線信号を送受信することにより、簡易な構成で機能部間における安定した通信を実現することができる。
【0022】
(6)本発明の実施の形態に係る車載用ケーブルは、複数の機能部が設けられる車両に搭載される車載用ケーブルであって、前記機能部に接続可能なコネクタ部と、変調された無線周波数帯の信号を伝送可能なケーブル部とを備え、前記コネクタ部は、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む前記信号を前記ケーブル部へ出力する。
【0023】
このように、機能部間でやり取りされる通信情報を含む無線信号、すなわち変調された無線周波数帯の信号をケーブル部へ出力するコネクタ部を備える構成により、車載ネットワークにおいて、多様な周波数帯域および変調方式等の無線信号を、車載用ケーブルを介して伝送することができるため、機能部間における通信設定の自由度を高めることができる。また、無線信号の伝送路であるケーブル部は、受動部品を用いて分岐させることができるため、たとえば、多数の機能部間を車載用ケーブルにより接続する場合に必要な能動部品の数をゼロにするか、または減らすことができる。能動部品の数を減らすことにより、消費電力の低減、発熱の抑制、および能動部品への電源供給線によるノイズに起因する通信エラーの抑制などが可能となる。したがって、車載ネットワークにおいて、簡易な構成で機能部間における安定した通信を実現することができる。
【0024】
(7)好ましくは、前記コネクタ部は、前記信号を生成する通信部を含み、前記通信部は、自己の生成する前記信号のキャリア周波数を設定可能である。
【0025】
このような構成により、たとえば通信部間における有線伝送路が長いほど無線信号のキャリア周波数を低く設定することにより、無線信号の減衰を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0027】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0028】
図1を参照して、車載通信システム300は、複数の通信部100A,100B,100C,100D,100Eを備える。複数の通信部100A,100B,100C,100D,100Eは、車両1に搭載される機能部2A,2B,2C,2D,2Eにそれぞれ対応して設けられる。以下、通信部100A,100B,100C,100D,100Eの各々を通信部100とも称し、機能部2A,2B,2C,2D,2Eの各々を機能部2とも称する。
【0029】
車載通信システム300は、各通信部100を互いに接続する複数の有線伝送路を備える。たとえば、通信部100Aおよび機能部2Aは、有線伝送路220Aを介して互いに接続される。通信部100Bおよび機能部2Bは、有線伝送路220Bを介して互いに接続される。通信部100Cおよび機能部2Cは、有線伝送路220Cを介して互いに接続される。通信部100Dおよび機能部2Dは、有線伝送路220Dを介して互いに接続される。通信部100Eおよび機能部2Eは、有線伝送路220Eを介して互いに接続される。以下、有線伝送路220A,220B,220C,220D,220Eの各々を有線伝送路220とも称する。
【0030】
有線伝送路220は、たとえばイーサネット(登録商標)等の規格に従うバスである。なお、有線伝送路220は、CAN(Controller Area Network)(登録商標)等の規格に従うバスであってもよいし、光ファイバケーブルであってもよい。
【0031】
機能部2は、たとえば、自動運転ECU(Electronic Control Unit)、エンジン制御ECUおよびトランスミッション制御ECUなどの各種制御用ECU、カメラ、レーダ装置ならびにナビゲーション装置等であり、所定の機能を実行する。機能部2は、所定の情報通信を行う。
【0032】
たとえば、機能部2の一例であるナビゲーション装置は、TCU(Telematics Communication Unit)経由で車両1の外部におけるマップサーバからマップ情報を取得する。機能部2の一例である画像センサは、車両1の周囲を周期的に撮影し、撮影結果を示す画像情報を作成する。機能部2の一例であるレーダ装置は、ミリ波を用いて、車両1の周囲における歩行者等の物体の検知結果を示す検知情報を周期的に作成する。自動運転ECUは、画像センサから受けた画像情報およびレーダ装置から受けた検知情報に基づいて、自動運転を補助するための制御情報を作成する。
【0033】
機能部2は、取得したマップ情報、ならびに作成した画像情報、検知情報および制御情報などの通信情報を含むイーサネットフレームを、通信部100を介して他の機能部2との間でやり取りする。
【0034】
たとえば、車載通信システム300は、無線通信で用いられる変調方式で変調された無線周波数帯の交流の信号(以下、無線信号(Radio Frequency Signal)とも称する。)、すなわち無線周波数の信号を互いに送受信可能な3つ以上の通信部100を備える。
【0035】
図1に示す例では、車載通信システム300は、5つの通信部100と、接続部200A,200B,200Cとを備える。
【0036】
より詳細には、通信部100Aおよび接続部200Aは、有線伝送路210Aを介して互いに接続される。通信部100Bおよび接続部200Aは、有線伝送路210Bを介して互いに接続される。通信部100Cおよび接続部200Bは、有線伝送路210Cを介して互いに接続される。通信部100Dおよび接続部200Cは、有線伝送路210Dを介して互いに接続される。通信部100Eおよび接続部200Cは、有線伝送路210Eを介して互いに接続される。接続部200Aおよび接続部200Bは、有線伝送路210Fを介して互いに接続される。接続部200Bおよび接続部200Cは、有線伝送路210Gを介して互いに接続される。
【0037】
以下、有線伝送路210A,210B,210C,210D,210E,210F,210Gの各々を有線伝送路210とも称し、接続部200A,200B,200Cの各々を接続部200とも称する。機能部2、通信部100および有線伝送路210により、車載ネットワーク310が形成される。
【0038】
各有線伝送路210は、たとえば同軸ケーブルである。たとえば有線伝送路210Aである同軸ケーブルは、一方の端部におけるコネクタが通信部100Aに接続され、他方の端部におけるコネクタが接続部200Aに接続される。たとえば有線伝送路210Fである同軸ケーブルは、一方の端部におけるコネクタが接続部200Aに接続され、他方の端部におけるコネクタが接続部200Bに接続される。なお、有線伝送路210は、同軸ケーブルに限らず、たとえば導波管であってもよい。
【0039】
通信部100は、有線伝送路210を介して、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号を互いに送受信する。
【0040】
より詳細には、機能部2は、取得または作成した通信情報ならびに送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを対応の通信部100へ送信する。
【0041】
通信部100は、対応の機能部2からイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームを含む無線信号を生成し、生成した無線信号を、有線伝送路210を介して他の通信部100へ送信する。他の通信部100は、受信した無線信号からイーサネットフレームを生成し、対応の機能部2へ送信する。
【0042】
接続部200は、有線伝送路210から受ける無線信号の合波および分波の少なくともいずれか一方を行って他の有線伝送路210へ出力する。
【0043】
図1に示す例では、接続部200Aには、有線伝送路210A,210B,210Fが接続される。接続部200Aは、有線伝送路210A,210B,210Fのうちいずれかの有線伝送路から受ける無線信号を合波または分波して他の有線伝送路へ出力する。
【0044】
たとえば、通信部100は、自己の送信する無線信号のキャリア周波数を設定可能である。たとえば、通信部100は、通信相手である他の通信部100との間の有線伝送路210の長さである伝送線路長に応じて、無線信号のキャリア周波数を設定する。たとえば、通信部100は、伝送線路長が長いほど、無線信号のキャリア周波数を低く設定する。
【0045】
たとえば、無線信号を互いに送受信する通信部100の複数の組のうち、少なくともいずれか1つの組は、他の組の各通信部100とは異なるキャリア周波数の無線信号を互いに送受信する。すなわち、車載通信システム300では、互いに異なるキャリア周波数の複数の無線信号が、共通の有線伝送路210を介して送受信される。
【0046】
より詳細には、たとえば、通信部100Aおよび通信部100Bの組は、接続部200Aおよび有線伝送路210A,210Bを介して、キャリア周波数f1の無線信号を互いに送受信する。通信部100Aおよび通信部100Cの組は、接続部200A,200Bおよび有線伝送路210A,210F,210Cを介して、キャリア周波数f2の無線信号を互いに送受信する。通信部100Aおよび通信部100Dの組は、接続部200A,200B,200Cおよび有線伝送路210A,210F,210G,210Dを介して、キャリア周波数f3の無線信号を互いに送受信する。
【0047】
なお、たとえば機能部2Aが機能部2B,2C,2D,2Eへイーサネットフレームをブロードキャストする場合、機能部2B,2C,2D,2Eは、通信部100Aから送信される同じキャリア周波数の無線信号から当該イーサネットフレームを生成する。また、機能部2B,2C,2D,2Eがブロードキャストされた上記イーサネットフレームに対する応答として機能部2Aへイーサネットフレームをそれぞれ送信する場合、通信部100B,100C,100D,100Eは、対応のイーサネットフレームから生成される無線信号として、互いに異なるキャリア周波数の無線信号を通信部100Aへ送信してもよいし、同じキャリア周波数の無線信号を通信部100Aへ送信してもよい。
【0048】
なお、通信部100による無線信号のキャリア周波数の設定の詳細については後述する。
【0049】
たとえば、通信部100は、自己の送信する無線信号の送信電力を設定可能である。たとえば、通信部100は、通信相手である他の通信部100との間の有線伝送路210の長さである伝送線路長に応じて、無線信号の送信電力を設定する。たとえば、通信部100は、伝送線路長が長いほど、無線信号の送信電力を大きく設定する。なお、通信部100による無線信号の送信電力の設定の詳細については後述する。
【0050】
[接続部]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける接続部の構成の一例を示す図である。
【0051】
図2を参照して、接続部200は、たとえば受動部品であり、本体部201と、端子202A,202B,202Cとを含む。本体部201は、抵抗R1,R2,R3を有する。以下、端子202A,202B,202Cの各々を端子202とも称する。端子202には、有線伝送路210が接続される。
【0052】
本体部201において、端子202AとノードN1との間に抵抗R1が接続され、端子202BとノードN1との間に抵抗R2が接続され、端子202CとノードN1との間に抵抗R3が接続されている。抵抗R1,R2,R3の抵抗値は、たとえば50/3オームすなわち約16.7オームである。
【0053】
たとえば、接続部200は、端子202A,202B,202Cのうちのいずれか1つの端子が受けた無線信号を分波して他の2つの端子へ出力する。また、端子202A,202B,202Cのうちのいずれか2つの端子が受けた無線信号を合波して他の1つの端子へ出力する。
【0054】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける接続部の構成の他の例を示す図である。
【0055】
図3を参照して、接続部200Aは、本体部201Aと、端子202A,202B,202Cとを含む。
【0056】
本体部201Aにおいて、端子202Aと端子202Cとが接続されている。端子202Bは、たとえば50オームの抵抗R4を介して接地されるとともに、たとえば図示しない誘電体を介して端子202Aおよび端子202Cと接続されている。
【0057】
[通信部]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信部の構成を示す図である。
【0058】
図4を参照して、通信部100は、デジタルインタフェース部10と、データ処理部11と、送信信号処理部20と、無線送信部30と、送受信切り替えスイッチ40と、無線受信部50と、受信信号処理部60と、スイッチ制御部71と、周波数制御部72と、電力制御部73と、電力測定部74と、発振器80と、記憶部90とを備える。記憶部90は、たとえば不揮発性の記憶領域を含む。
【0059】
デジタルインタフェース部10は、機能部2から受信したイーサネットフレームをデータ処理部11へ出力する。また、デジタルインタフェース部10は、データ処理部11から受けたイーサネットフレームを機能部2へ送信する。
【0060】
データ処理部11は、デジタルインタフェース部10からイーサネットフレームを受けると、受けたイーサネットフレームを送信信号処理部20へ出力する。また、データ処理部11は、受信信号処理部60から復調データを受けると、受けた復調データからイーサネットフレームを生成してデジタルインタフェース部10へ出力する。
【0061】
また、データ処理部11は、デジタルインタフェース部10からイーサネットフレームを受けると、受けたイーサネットフレームから送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスを取得し、取得した各MACアドレスを周波数制御部72および電力制御部73へ出力する。
【0062】
送信信号処理部20は、たとえば、データ処理部11から受けたイーサネットフレームを変調することにより変調データを生成し、生成した変調データをアナログ信号に変換して出力する。
【0063】
より詳細には、送信信号処理部20は、変調部21と、デジタル/アナログ変換器(DAC)22とを含む。
【0064】
変調部21は、データ処理部11から受けたイーサネットフレームに対してたとえばOFDM(Orthogonal Frequency Divison Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行うことにより変調データを生成し、生成した変調データをDAC22へ出力する。なお、変調部21は、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)およびPSK(Phase Shift Keying)等、他の方式の変調を行う構成であってもよいし、複数の方式の変調を行った変調データを生成する構成であってもよい。
【0065】
DAC22は、変調部21から受けた変調データをアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線送信部30へ出力する。
【0066】
無線送信部30は、送信信号処理部20から受けたアナログ信号を無線信号に変換し、変換した無線信号を送受信切り替えスイッチ40へ出力する。
【0067】
より詳細には、無線送信部30は、バンドパスフィルタ(BPF)31と、ミキサ32と、BPF33と、送信アンプ34とを含む。
【0068】
BPF31は、DAC22から受けたアナログ信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分を減衰させた信号をミキサ32へ出力する。
【0069】
ミキサ32は、BPF31から受けたアナログ信号と発振器80から受けた周波数変換信号とを乗算することにより、BPF31から受けたアナログ信号をアップコンバートして無線信号すなわちRF(Radio Frequency)帯の信号に変換し、BPF33へ出力する。
【0070】
BPF33は、ミキサ32から受けた無線信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分を減衰させた信号を送信アンプ34へ出力する。
【0071】
送信アンプ34は、BPF33から受けた無線信号を、電力制御部73から受けた制御信号に応じたゲインで増幅し、増幅した無線信号を送受信切り替えスイッチ40へ出力する。
【0072】
スイッチ制御部71は、スイッチ制御信号を送受信切り替えスイッチ40へ出力することにより、送受信切り替えスイッチ40を定期的または不定期に切り替える。
【0073】
送受信切り替えスイッチ40は、スイッチ制御部71から受けたスイッチ制御信号に応じて、無線送信部30から受けた無線信号を有線伝送路210へ出力するか、有線伝送路210から受けた無線信号を無線受信部50へ出力するかを切り替える。
【0074】
無線受信部50は、送受信切り替えスイッチ40から受けた無線信号をダウンコンバートしてたとえばベースバンド帯のアナログ信号を生成し、生成したアナログ信号を受信信号処理部60へ出力する。
【0075】
より詳細には、無線受信部50は、受信アンプ51と、BPF52と、ミキサ53と、BPF54とを含む。
【0076】
受信アンプ51は、送受信切り替えスイッチ40から受けた無線信号を増幅してBPF52へ出力する。
【0077】
BPF52は、受信アンプ51から受けた無線信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分を減衰させた信号をミキサ53へ出力する。
【0078】
ミキサ53は、BPF52から受けた無線信号と発振器80から受けた周波数変換信号とを乗算することにより、BPF52から受けた無線信号をダウンコンバートしたアナログ信号を生成し、生成したアナログ信号をBPF54へ出力する。
【0079】
BPF54は、ミキサ53から受けたアナログ信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分を減衰させた信号を受信信号処理部60へ出力する。
【0080】
受信信号処理部60は、たとえば、無線受信部50から受けたアナログ信号を復調することにより復調データを生成し、生成した復調データをデータ処理部11へ出力する。
【0081】
より詳細には、受信信号処理部60は、アナログ/デジタル変換器(ADC)61と、復調部62とを含む。
【0082】
ADC61は、BPF54から受けたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を復調部62へ出力する。
【0083】
復調部62は、ADC61から受けたデジタル信号に対してたとえばOFDM方式におけるFFT(Fast Fourier Transform)等の信号処理を行なうことにより復調データを生成し、生成した復調データをデータ処理部11へ出力する。
【0084】
周波数制御部72は、周波数制御信号Fを発振器80へ出力することにより、発振器80が出力する周波数変換信号を制御する。
【0085】
発振器80は、周波数制御部72から受けた周波数制御信号Fのレベルに応じた周波数を有するたとえば正弦波である周波数変換信号を生成してミキサ32,53へ出力する。
【0086】
たとえば、記憶部90は、送信元の機能部2のMACアドレスおよび送信先の機能部2のMACアドレスの組、ならびに当該送信元の機能部2に対応する通信部100および当該送信先の機能部2に対応する通信部100間において送受信する無線信号のキャリア周波数の関係を示す周波数対応情報を記憶している。
【0087】
周波数制御部72は、データ処理部11から送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスを受けると、記憶部90における周波数対応情報を参照し、送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスならびに周波数対応情報に基づいて、対応の通信部100間で送受信する無線信号のキャリア周波数を設定する。
【0088】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける周波数対応情報の一例を示す図である。
【0089】
以下では、便宜上、機能部2AのMACアドレスが「MAC-A」であり、機能部2BのMACアドレスが「MAC-B」であり、機能部2CのMACアドレスが「MAC-C」であり、機能部2DのMACアドレスが「MAC-D」であり、機能部2EのMACアドレスが「MAC-E」であるものとする。
【0090】
図5を参照して、たとえば機能部2Aが通信部100A,100Bを介して機能部2Bへイーサネットフレームを送信する場合、通信部100Aにおける周波数制御部72は、無線信号のキャリア周波数を5GHzに設定する。
【0091】
周波数制御部72は、設定したキャリア周波数に対応するレベルの周波数制御信号Fを生成し、生成した周波数制御信号Fを発振器80へ出力する。
【0092】
たとえば、記憶部90は、キャリア周波数に対応する周波数制御信号Fのレベルを示すLUT(Look Up Table)を記憶している。周波数制御部72は、記憶部90におけるLUTを参照することにより、キャリア周波数に対応するレベルの周波数制御信号Fを生成する。なお、記憶部90が、周波数対応情報におけるキャリア周波数が周波数制御信号Fのレベルに置き換わった周波数対応情報を記憶しており、周波数制御部72が、記憶部90における周波数対応情報を参照することにより、周波数制御信号Fを生成する構成であってもよい。
【0093】
電力制御部73は、ゲイン制御信号Gを送信アンプ34へ出力することにより、送信アンプ34のゲインを制御する。
【0094】
たとえば、記憶部90は、送信元の機能部2のMACアドレスおよび送信先の機能部2のMACアドレスの組、ならびに当該送信元の機能部2に対応する通信部100および当該送信先の機能部2に対応する通信部100間において送受信する無線信号の送信電力の関係を示す電力対応情報を記憶している。
【0095】
電力制御部73は、データ処理部11から送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスを受けると、記憶部90における電力対応情報を参照し、送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスならびに電力対応情報に基づいて、対応の通信部100間で送受信する無線信号の送信電力を設定する。
【0096】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける電力対応情報の一例を示す図である。
【0097】
図6を参照して、たとえば機能部2Aが機能部2Bへイーサネットフレームを送信する場合、通信部100Aにおける電力制御部73は、無線信号の送信電力を18dBmに設定する。
【0098】
電力制御部73は、設定した送信電力に対応するレベルのゲイン制御信号Gを生成し、生成したゲイン制御信号Gを送信アンプ34へ出力する。
【0099】
たとえば、記憶部90は、送信電力に対応するゲイン制御信号Gのレベルを示すLUTを記憶している。電力制御部73は、記憶部90におけるLUTを参照することにより、送信電力に対応するレベルのゲイン制御信号Gを生成する。なお、記憶部90が、電力対応情報における送信電力がゲイン制御信号Gのレベルに置き換わった電力対応情報を記憶しており、電力制御部73が、記憶部90における電力対応情報を参照することにより、ゲイン制御信号Gを生成する構成であってもよい。
【0100】
たとえば、親機として機能する通信部100たとえば通信部100Aにおけるデータ処理部11は、車載通信システム300おける通信を制御する通信制御部として機能する。通信部100Aにおけるデータ処理部11は、周波数対応情報および電力対応情報を作成し、作成した周波数対応情報および電力対応情報を、車載通信システム300における通信部100A以外の各通信部100へ送信する。通信部100A以外の各通信部100(以下、子機通信部100とも称する。)は、周波数対応情報および電力対応情報を受信し、受信した周波数対応情報および電力対応情報を各々の記憶部90に保存する。
【0101】
より詳細には、各通信部100は、予め割り当てられた周波数帯域(以下、共有周波数帯域とも称する。)において、周波数対応情報および電力対応情報などの情報を送受信可能である。
【0102】
通信部100Aにおけるデータ処理部11は、受信電力測定用のパケットを含む共有周波数帯域の無線信号を生成し、所定の送信電力で子機通信部100へ送信する。
【0103】
子機通信部100における電力測定部74は、たとえばBPF54から出力されるアナログ信号のレベルを検出することにより、受信した無線信号の電力を測定する。各子機通信部100の電力測定部74は、受信した上記受信電力測定用のパケットの受信電力を測定し、測定結果を記憶部90に保存する。
【0104】
通信部100Aにおけるデータ処理部11は、受信電力を問い合わせるための要求情報を含む無線信号を子機通信部100へ送信する。
【0105】
子機通信部100は、通信部100Aから受信した要求情報に対する応答として、記憶部90から受信電力の測定結果を取得し、取得した測定結果を示す無線信号を通信部100Aへ送信する。
【0106】
通信部100Aにおけるデータ処理部11は、各子機通信部100から受信電力の測定結果を受信すると、各測定結果に基づいて、各通信部100間の伝送線路長を算出する。データ処理部11は、算出した各伝送線路長に基づいて、周波数対応情報および電力対応情報を作成する。データ処理部11は、各キャリア周波数における無線信号の送信電力が、たとえばEMI(Electro Magnetic Interface)の観点から算出される送信電力の上限値以下となるように、電力対応情報を作成する。
【0107】
なお、通信部100Aにおけるデータ処理部11は、各子機通信部100におけるノイズ環境に基づいて周波数対応情報を作成する構成であってもよい。
【0108】
より詳細には、たとえば、通信部100Aは、各通信部100において無線信号の送信を停止すべき送信停止期間を設定し、設定した送信停止期間を示す情報を含む無線信号を生成して子機通信部100へ送信する。
【0109】
各子機通信部100は、送信停止期間における受信電力を測定し、測定結果を示す無線信号を通信部100Aへ送信する。
【0110】
通信部100Aにおけるデータ処理部11は、各子機通信部100から受信電力の測定結果を受信すると、当該測定結果に基づいて、送信停止期間における子機通信部100での受信電力が小さい周波数帯域すなわちノイズレベルの低い周波数帯域を検出し、検出結果に基づいて周波数対応情報を作成する。
【0111】
あるいは、たとえば、通信部100Aにおけるデータ処理部11は、車載通信システム300の製造者またはユーザにより予め記憶部90に保存された、各子機通信部100におけるノイズレベルの低い周波数帯域を示すノイズ環境情報に基づいて、周波数対応情報を作成する。
【0112】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300は、5つの通信部100を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム300は、2つ以上4つ以下、または6つ以上の通信部100を備える構成であってもよい。
【0113】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、1つの機能部2に対して1つの通信部100が設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム300において、2つ以上の機能部2に対して1つの通信部100が設けられる構成であってもよい。
【0114】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100は有線伝送路220を介して機能部2に接続される構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信部100は、機能部2に含まれる構成であってもよい。
【0115】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300は、通信部100を備える一方で機能部2を備えない構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム300は、機能部2をさらに備える構成であってもよい。
【0116】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、有線伝送路210は同軸ケーブルであるとしたが、これに限定するものではない。有線伝送路210は、たとえばツイストペアケーブルを含む構成であってもよい。また、有線伝送路210は、同軸ケーブルとツイストペアケーブルとを接続する平衡不平衡変換器を含む構成であってもよい。
【0117】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける有線伝送路の構成の一例を示す図である。
【0118】
図7を参照して、有線伝送路210は、同軸ケーブル211と、ツイストペアケーブル212と、平衡不平衡変換器213とを含む。平衡不平衡変換器213は、同軸ケーブル211から受けたシングルエンド信号を差動信号に変換してツイストペアケーブル212へ出力する。また、平衡不平衡変換器213は、ツイストペアケーブル212から受けた差動信号をシングルエンド信号に変換して同軸ケーブル211へ出力する。
【0119】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、親機として機能する通信部100Aが周波数対応情報を作成し、子機通信部100における周波数制御部72は、送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスならびに通信部100Aから受けた周波数対応情報に基づいてキャリア周波数を設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム300の製造者またはユーザにより予め作成された周波数対応情報が記憶部90に保存されており、各通信部100における周波数制御部72は、送信先の機能部2のMACアドレスおよび送信元の機能部2のMACアドレスならびに予め作成された周波数対応情報に基づいてキャリア周波数を設定する構成であってもよい。また、各通信部100が、自己および他の通信部100に割り当てられている周波数帯域を示す帯域使用情報を送受信し、各通信部100における周波数制御部72が、他の通信部100の帯域使用情報に基づいて、自己の周波数帯域を設定する構成であってもよい。
【0120】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100の複数の組のうち、少なくともいずれか1つの組は、他の組とは異なるキャリア周波数の無線信号を互いに送受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。すべての通信部100が同じキャリア周波数の無線信号を送受信する構成であってもよい。
【0121】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100が周波数制御部72を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信部100は、周波数制御部72を備えない構成であってもよい。この場合、発振器80は、たとえば、予め設定された周波数を有する周波数変換信号を出力する。
【0122】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100が電力制御部73を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信部100は、電力制御部73を備えない構成であってもよい。この場合、送信アンプ34は、たとえば予め設定されたゲインで無線信号を増幅する。
【0123】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100は無線信号のキャリア周波数を設定可能な構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信部100は、所定のキャリア周波数の無線信号を送受信する構成であってもよい。
【0124】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100は無線信号の送信電力を設定可能な構成であるとしたが、これに限定するものではない。
通信部100は、所定の送信電力の無線信号を送受信する構成であってもよい。
【0125】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システム300では、通信部100が電力測定部74を備え、通信部100におけるデータ処理部11が通信制御部として機能する構成であるとしたが、これに限定するものではない。親機として機能する通信部100Aは電力測定部74を備えない構成であってもよい。また、子機通信部100におけるデータ処理部11は通信制御部として機能しない構成であってもよい。
【0126】
また、通信部100の各組において、組を構成する2つの通信部100は、同一のキャリア周波数の無線信号を互いに送受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信部100の複数の組のうち、少なくともいずれか1つの組において、当該組を構成する2つの通信部100は、互いに異なるキャリア周波数の無線信号を送信する構成であってもよい。より詳細には、たとえば、通信部100Aおよび通信部100Bの組において、通信部100Aはキャリア周波数f11の無線信号を通信部100Bへ送信し、通信部100Bはキャリア周波数f12の無線信号を通信部100Aへ送信する。
【0127】
このように、ある通信部100の組において、通信部100が互いに異なるキャリア周波数の無線信号を送信する構成により、当該組において各通信部100から送信される無線信号の衝突を避けるための送信待ち等による通信遅延を抑制しながら、通信処理を簡単化することができる。
【0128】
ところで、簡易な構成で車両の機能部間における安定した通信を実現することが可能な技術が望まれる。
【0129】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムは、車両1に搭載され、所定の情報通信を行う複数の機能部2と、当該複数の機能部2にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部100と、当該複数の通信部100を互いに接続する複数の有線伝送路210とを備える。各通信部100は、有線伝送路210を介して、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号を互いに送受信する。
【0130】
このように、車載ネットワーク310において、有線伝送路210を用いて、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号を送受信する構成により、多様な周波数帯域および変調方式等の無線信号を、有線伝送路210を介して伝送することができるため、機能部2間における通信設定の自由度を高めることができる。また、無線信号の伝送路である有線伝送路210は、インピーダンス整合を取ることで、受動部品を用いて分岐させることができるため、配索の自由度を向上させることができる。また、たとえば、多数の通信部100間を有線伝送路210により接続する場合に必要な能動部品の数をゼロにするか、または減らすことができる。能動部品の数を減らすことにより、消費電力の低減、発熱の抑制、および能動部品への電源供給線によるノイズに起因する通信エラーの抑制などが可能となる。また、車載ネットワーク310において、伝送系の幹線としてたとえば一本のケーブルを用いることができるため、使用するケーブルの数および使用するコネクタポートの数を低減することができる。
【0131】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、車載ネットワークにおいて、簡易な構成で機能部間における安定した通信を実現することができる。また、有線伝送路たとえばケーブルを介して無線信号を送受信する構成により、アンテナを介して無線信号を送受信する構成と比べて、無線信号の減衰を抑制することができ、送信電力および消費電力を低減することができる。また、たとえばインピーダンス整合のとれた有線伝送路を介して無線信号を送受信することができるため、マルチパスの影響を受ける無線伝送路と比べて、無線信号の反射を著しく抑え、たとえばより多値数の大きい変調方式を用いた通信を実現することができ、通信を高速化することができる。
【0132】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムは、有線伝送路210を介して無線信号を互いに送受信可能な3つ以上の通信部100を備える。無線信号を互いに送受信する通信部100の複数の組のうち、少なくともいずれか1つの組の各通信部100は、他の組とは異なるキャリア周波数の無線信号を互いに送受信する。互いに異なるキャリア周波数の複数の無線信号が、共通の有線伝送路210を介して送受信される。
【0133】
このように、ある通信部100の組において他の組とは異なるキャリア周波数の無線信号を送受信する構成により、当該各組において無線信号を並行して送受信することができるため、有線伝送路における無線信号の衝突を避けるための送信待ち等による通信遅延を抑制しながら、通信処理を簡単化することができる。
【0134】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、通信部100は、自己の送信する無線信号のキャリア周波数を設定可能である。
【0135】
このような構成により、たとえば通信部100間における有線伝送路210が長いほど無線信号のキャリア周波数を低く設定することにより、無線信号の減衰を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0136】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、通信部100は、自己の送信する無線信号の送信電力を設定可能である。
【0137】
このような構成により、たとえば通信部100間における有線伝送路210が長いほど無線信号の送信電力を大きく設定することにより、SN比の劣化を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0138】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、複数の通信部100の各々は、無線信号の合波および分波の少なくともいずれか一方を行う接続部200と有線伝送路210を介して接続されている。
【0139】
このような構成により、3つ以上の機能部2が有線伝送路210および接続部200を介して互いに通信可能な車載通信システムにおいて、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号を送受信することにより、簡易な構成で機能部2間における安定した通信を実現することができる。
【0140】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0141】
<第2の実施の形態>
[構成および基本動作]
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る車載通信システムと比べて通信部を備える車載用ケーブルを備える車載通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様である。
【0142】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0143】
図8を参照して、車載通信システム301は、車両1に搭載される複数の車載用ケーブル230A,230B,230C,230D,230Eを備える。複数の車載用ケーブル230A,230B,230C,230D,230Eは、車両1に搭載される5つの機能部2にそれぞれ対応して設けられる。以下、車載用ケーブル230A,230B,230C,230D,230Eの各々を車載用ケーブル230とも称する。
【0144】
たとえば、機能部2Aおよび接続部200Aは、車載用ケーブル230Aを介して互いに接続される。機能部2Bおよび接続部200Aは、車載用ケーブル230Bを介して互いに接続される。機能部2Cおよび接続部200Bは、車載用ケーブル230Cを介して互いに接続される。機能部2Dおよび接続部200Cは、車載用ケーブル230Dを介して互いに接続される。機能部2Eおよび接続部200Cは、車載用ケーブル230Eを介して互いに接続される。
【0145】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける車載用ケーブルの構成の一例を示す図である。
【0146】
図9を参照して、車載用ケーブル230は、機能部2に接続可能なコネクタ部231と、無線信号を伝送可能なケーブル部232とを備える。また、車載用ケーブル230は、コネクタ部231とは反対側の端部において、接続部200に接続可能なコネクタ233を備える。
【0147】
コネクタ部231は、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号をケーブル部232へ出力する。
【0148】
より詳細には、コネクタ部231は、通信部100を含む。通信部100は、機能部2から通信情報を含むイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームを含む無線信号を生成し、生成した無線信号をケーブル部232へ出力する。また、通信部100は、ケーブル部232から無線信号を受けると、受けた無線信号からイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを機能部2へ送信する。
【0149】
ケーブル部232は、コネクタ部231から受けた無線信号を接続部200へ伝送する。また、ケーブル部232は、接続部200から受けた無線信号を伝送し、コネクタ部231へ出力する。ケーブル部232は、無線信号をたとえば不平衡伝送する。なお、ケーブル部232は、機能部2またはコネクタ部231が生成した直流電圧を無線信号に重畳して伝送する構成であってもよい。
【0150】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける車載用ケーブルの構成の他の例を示す図である。
【0151】
図10を参照して、車載用ケーブル230は、機能部2に接続可能なコネクタ部231Aと、無線信号を伝送可能なケーブル部232Aとを備える。
【0152】
コネクタ部231Aは、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号をケーブル部232Aへ出力する。
【0153】
より詳細には、コネクタ部231Aは、通信部100と、平衡不平衡変換器213とを含む。通信部100は、機能部2から通信情報を含むイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームを含む無線信号を生成し、生成した無線信号をシングルエンド信号として平衡不平衡変換器213へ出力する。平衡不平衡変換器213は、通信部100から受けたシングルエンド信号を差動信号に変換してケーブル部232へ出力する。
【0154】
また、平衡不平衡変換器213は、ケーブル部232から差動信号である無線信号を受けると、受けた差動信号をシングルエンド信号に変換して通信部100へ出力する。通信部100は、平衡不平衡変換器213からシングルエンド信号である無線信号を受けると、受けた無線信号からイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを機能部2へ送信する。
【0155】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る車載用ケーブル230は、コネクタ部231とは反対側の端部において、接続部200に接続可能なコネクタ233を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載用ケーブル230は、コネクタ233に代えて、たとえば他の機能部2に接続可能なコネクタ部231を備える構成であってもよいし、たとえば平衡不平衡変換器を備える構成であってもよい。
【0156】
本発明の第2の実施の形態に係る車載用ケーブル230は、複数の機能部2が設けられる車両1に搭載される。車載用ケーブル230は、機能部2に接続可能なコネクタ部231と、無線信号を伝送可能なケーブル部232とを備える。コネクタ部231は、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号をケーブル部232へ出力する。
【0157】
このように、機能部2間でやり取りされる通信情報を含む無線信号をケーブル部232へ出力するコネクタ部231を備える構成により、車載ネットワーク310において、多様な周波数帯域および変調方式等の無線信号を、車載用ケーブル230を介して伝送することができるため、機能部2間における通信設定の自由度を高めることができる。また、無線信号の伝送路であるケーブル部232は、受動部品を用いて分岐させることができるため、たとえば、多数の機能部2間を車載用ケーブル230により接続する場合に必要な能動部品の数をゼロにするか、または減らすことができる。能動部品の数を減らすことにより、消費電力の低減、発熱の抑制、および能動部品への電源供給線によるノイズに起因する通信エラーの抑制などが可能となる。
【0158】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る車載用ケーブル230では、車載ネットワークにおいて、簡易な構成で機能部間における安定した通信を実現することができる。
【0159】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載用ケーブル230では、コネクタ部231は、無線信号を生成する通信部100を含む。通信部100は、自己の生成する無線信号のキャリア周波数を設定可能である。
【0160】
このような構成により、たとえば通信部100間における有線伝送路210が長いほど無線信号のキャリア周波数を低く設定することにより、無線信号の減衰を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0161】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0162】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車両に搭載され、所定の情報通信を行う1または複数の機能部と、
前記1または複数の機能部にそれぞれ対応して設けられる複数の通信部と、
前記複数の通信部を互いに接続する複数の有線伝送路とを備え、
前記複数の通信部の各々は、前記有線伝送路を介して、前記機能部間でやり取りされる通信情報を含む変調された無線周波数帯の信号を互いに送受信し、
各前記通信部は、前記有線伝送路を介して接続部にそれぞれ接続されており、
前記接続部は、前記有線伝送路における前記無線信号の合波および分波の少なくともいずれか一方を行う、車載通信システム。
【符号の説明】
【0163】
1 車両
2 機能部
100 通信部
200 接続部
210 有線伝送路
230 車載用ケーブル
300 車載通信システム
301 車載通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10