IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社島津製作所の特許一覧

<>
  • 特許-試験装置 図1
  • 特許-試験装置 図2
  • 特許-試験装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/20 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
G01N3/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021004027
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108850
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 和裕
(72)【発明者】
【氏名】布施 寿則
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-031652(JP,A)
【文献】特開2016-020879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に対して試験力を付与することにより生じる変位量を検出する試験を行う試験装置において、
負荷機構により移動するクロスヘッドに設けられ、前記試験片の一面に試験力を付与する圧子と
前記クロスヘッドに設けられ、前記試験片に与えられた試験力を検出するための荷重検出器と、
前記試験片を挟んで、前記圧子に対向する位置に配置されるプローブと、
前記プローブの移動量から試験力が付与されることで生じた前記試験片の変位量を検出する変位検出器と
前記プローブと前記圧子とを連結し、前記圧子に対して前記試験片を挟んで当接するように前記プローブを付勢する付勢部材とを備える、
試験装置。
【請求項2】
前記変位検出器は、前記プローブの移動に伴って移動するスピンドルを備え、前記スピンドルの移動量から試験力が付与されることで生じた前記試験片の変位量を検出し、
前記スピンドルは、前記試験片に試験力が付与されると、鉛直下方に沿って移動する、
請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記試験片と、前記圧子と、前記プローブとが収められる恒温槽を備え、
前記変位検出器は、前記恒温槽の外部に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、ばね部材である、
請求項1から請求項3に記載の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の支点により支持された試験片に対して、試験力を付与することで、曲げ試験を行う材料試験装置が知られる。このような試験装置では、試験片に対して、上方から圧子を押し込むことにより、試験片に負荷を与える。そして、試験片に与えられる試験力は、圧子に設けられたロードセルにより検出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このような試験装置には、試験片の中央にプローブの先端を接触させることで、試験片に圧子が押し込まれたときに試験片に生じる変位を検出する接触式の変位検出器が用いられるものが知られる。
このようなプローブは、試験片を挟んで、圧子に対向する位置で試験片に当接する。さらに、このプローブは、試験片に向かって弾性的に付勢するばね部材によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-251901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、圧子による試験力が試験片に加えられることで、ばね部材が圧縮され、当該ばね部材に反発するエネルギーが蓄えられる。このため、試験片の変位量が増加するにつれて、ロードセルの検出値に含まれる誤差が増大する虞があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、より高い精度で試験力を検出することができる試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、試験片に対して試験力を付与することにより生じる変位量を検出する試験を行う試験装置において、負荷機構により移動するクロスヘッドに設けられ、前記試験片の一面に試験力を付与する圧子と前記クロスヘッドに設けられ、前記試験片に与えられた試験力を検出するための荷重検出器と、前記試験片を挟んで、前記圧子に対向する位置に配置されるプローブと、前記プローブの移動量から試験力が付与されることで生じた前記試験片の変位量を検出する変位検出器と前記プローブと前記圧子とを連結し、前記圧子に対して前記試験片を挟んで当接するように前記プローブを付勢する付勢部材とを備える、試験装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、付勢部材によって、プローブが圧子に支持される。これによって、プローブを支持する力が荷重検出器に付加されることが抑制される。
このため、より高い精度で試験力を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る試験装置を模式的に示す図である。
図2】試験を開始する場合における恒温槽内と変位検出部との構成を模式的に示す図である。
図3】変位検出器の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.試験装置の構成]
[1-1.試験装置の全体構成]
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る試験装置1を模式的に示す図である。なお、図1では、説明の便宜上、恒温槽3を一点鎖線で示す。
本実施形態の試験装置1は、試験片TPに試験力Fを与えて、試料の曲げ強度、降伏点、たわみ等の機械的性質を測定する曲げ試験を行う。試験力Fは、押圧力である。
試験装置1は、試験対象の材料である試験片TPに試験力Fを与えて曲げ試験を行う試験装置本体2と、恒温槽3と、試験装置本体2による曲げ試験動作の制御、及び恒温槽3の温度制御を行う制御ユニット4と、を備える。
【0011】
試験装置本体2は、テーブル26と、このテーブル26上に鉛直方向を向く状態で回転可能に立設された一対のねじ棹28、29と、これらのねじ棹28、29に沿って移動可能なクロスヘッド10と、このクロスヘッド10を移動させて試験片TPに負荷を与える負荷機構12と、ロードセル14と、を備える。ロードセル14は、試験片TPに与えられる押圧荷重である試験力Fを測定し、試験力測定信号SG1を出力するセンサである。
【0012】
負荷機構12は、各ねじ棹28、29の下端部に連結されるウォーム減速機16、17と、各ウォーム減速機16、17に連結されるサーボモータ18と、ロータリエンコーダ20と、を備える。ロータリエンコーダ20は、サーボモータ18の回転量を測定し、回転量に応じたパルス数の回転測定信号SG2を制御ユニット4に出力するセンサである。
そして負荷機構12は、ウォーム減速機16、17を介して、一対のねじ棹28、29にサーボモータ18の回転を伝達し、各ねじ棹28、29が同期して回転することによって、クロスヘッド10がねじ棹28、29に沿って昇降する。
【0013】
恒温槽3は、各側面が断熱壁で覆われた筐体である。本実施の形態では、恒温槽3は、各ねじ棹28、29との間、且つクロスヘッド10と、テーブル26との間に配置される。また、恒温槽3は、テーブル26の上面から離間して、当該テーブル26の上方に位置する。
恒温槽3は、内部に試験片TPが収容される空間Sを有し、当該空間S内の温度を制御可能である。なお、これに限らず、試験装置1には、湿度を制御可能な恒湿槽、温度と湿度のいずれも制御可能な恒温恒湿槽等の各種の試験槽が設けられてもよい。また、恒温槽3には、各種の温度試験装置が設けられてもよい。
【0014】
恒温槽3の底面壁には、一対の支点22が設けられる。これらの支点22は、恒温槽3の底面壁から上方に向かって延びる柱状に形成される。一対の支点22は、クロスヘッド10の長手方向に沿って、互いの距離(支点間距離)を変更可能に設けられる。
試験片TPは、空間Sにおいて、これら一対の支点22の上端に載置される。すなわち、一対の支点22は、試験片TPを底面から支持する。一対の支点22に支持された試験片TPは、長手方向がクロスヘッド10の長手方向に沿って配置される。
【0015】
恒温槽3の天面壁と底面壁とには、いずれも貫通孔23、24が設けられる。これらの貫通孔23、24は、互いに対向する位置に設けられる。
【0016】
クロスヘッド10には、上述の通り、試験片TPに与えられた試験力Fを検出する荷重検出器であるロードセル14と、試験片TPの表面に当接する圧子21とが設けられる。
ロードセル14は、クロスヘッド10の底面から、鉛直方向に沿って、下方に向かって延びる所定の長さ寸法を有した柱状に形成される。
本実施の形態では、ロードセル14は、貫通孔23に挿通され、下端側が恒温槽3の空間Sに配置される。なお、これに限らず、ロードセル14は、全体が恒温槽3の外部に配置されてもよい。
【0017】
圧子21は、ロードセル14の下端に設けられる。この圧子21は、曲げ試験が実施される場合に、試験片TPの上面(一面)に下端が当接する部材である。本実施の形態では、圧子21は、曲げ試験が実施される場合に、試験片TPの長手方向の中央に当接する。また、圧子21は、貫通孔23に挿通され、少なくとも下端が恒温槽3の空間Sに配置される。
この圧子21には、当該圧子21の下端より上方に位置する箇所に、連結部材25が設けられる。この連結部材25は、クロスヘッド10の長手方向に沿って延びる平板状部材である。
【0018】
テーブル26には、ロードセル14に対向する位置に、支持台27が設けられる。この支持台27の上面には、貫通孔39が設けられる。さらに、この支持台27の上面には、変位検出部30が設けられる。この変位検出部30は、試験片TPの中央部のたわみを接触式で測定するものである。
【0019】
制御ユニット4は、ロードセル14からの試験力データ、及び変位検出部30からのデータを取り込んで、データ処理を実行する。このような制御ユニット4での演算等の処理により、試験片TPに対する試験力F(曲げ荷重)と、試験片TPにおけるたわみとが求められる。
【0020】
制御ユニット4は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAM等のメモリデバイスとを有したコンピュータとを備え、試験装置本体2と、恒温槽3とのそれぞれが有する各部を制御する。
【0021】
制御ユニット4は、試験装置本体2と、恒温槽3との間で信号を送受信可能に接続される。試験装置本体2から受信する信号は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3、及び制御や試験に要する適宜の信号等である。また、恒温槽3から受信する信号は、当該恒温槽3の制御や試験に要する適宜の信号等である。
制御ユニット4は、ロードセル14からの試験力データ、及び変位検出器40からのデータを取り込み、データ処理を実行する。
【0022】
制御ユニット4は、曲げ試験の試験条件といった各種設定パラメータの設定操作、あるいは実行指示操作等のユーザ操作を受け付け、試験装置本体2と、恒温槽3とに出力する機能や、試験力計測値のデータを解析する機能等を備える。
【0023】
[1-2.変位検出部の構成]
次いで、変位検出部30の構成について説明する。
図2は、試験を開始する場合における恒温槽3の内部と変位検出部30との構成を模式的に示す図である。なお、図2では、説明の便宜上、恒温槽3を一点鎖線で示す。
変位検出部30は、上述の通り、曲げ試験用の試験装置1に取り付けて、試験片TPの中央部のたわみを接触式で測定するものである。図2に示すように、変位検出部30は、貫通孔24に挿通され、圧子21による負荷軸方向に沿って移動可能に設けられたプローブ32と、当該プローブ32に連結された変位検出器40とを備える。変位検出器40は、図2に示すように、恒温槽3の外部に配置される。
【0024】
プローブ32は、軸部34、先端部36と、連結部材38とを備える。
軸部34は、圧子21による負荷軸方向に沿って延びる棒状の部材である。この軸部34は、貫通孔24に挿通される。また、軸部34の下端は、支持台27の貫通孔39に挿通される。
先端部36は、軸部34の上端に設けられる。この先端部36は、軸部34より大経の柱状部材である。
連結部材38は、連結部材25と同様に、クロスヘッド10の長手方向に沿って延びる平板状部材である。この連結部材38の平板部の中央には、軸部34よりも大経で、且つ先端部36よりも小径の貫通孔39が設けられる。
プローブ32では、軸部34の上端がこの貫通孔39に挿通され、先端部36の下端が連結部材38の平板部に当接する。
【0025】
本実施の形態の試験装置1では、連結部材25と、連結部材38とが複数のばね部材50によって、連結される。
これらのばね部材50は、付勢部材の一例であり、当該ばね部材50は、所謂引張ばねである。これらのばね部材50は、いずれも一方の端部が連結部材25の平板部の下面に連結され、他方の端部が連結部材38の平板部の上面に連結される。
本実施の形態では、ばね部材50は、クロスヘッド10の長手方向に沿って、圧子21の両側に一つずつと、クロスヘッドの10の幅方向に沿って圧子21の両側に一つずつとの計4つが設けられる。
これによって、プローブ32は、各ばね部材50を介して、圧子21に吊り下げられる。換言すれば、プローブ32は、圧子21に支持される。
【0026】
また、上述の通り、各ばね部材50は、引張ばねであるため、プローブ32は、圧子21に向かって付勢される。試験片TPが支点22に載置されていない場合には、プローブ32の先端部36の先端は、これらのばね部材50の付勢力によって、圧子21の下端に当接する。
【0027】
また、試験片TPが支点22に載置される場合には、各ばね部材50を伸長させてプローブ32の先端部36の先端と、圧子21の下端とを離間させ、先端部36と圧子21との間に配置させる。この後、各ばね部材50の付勢力によって、プローブ32が引き上げられ、圧子21の下端が試験片TPの上面に当接し、先端部36の上端が試験片TPの下面(他面)に当接する。
これによって、試験片TPは、支点22に支持されると共に、圧子21とプローブ32によって挟持される。
【0028】
[1-2.変位検出器の構成]
次いで、変位検出器40の構成について説明する。
図3は、変位検出器40の構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、変位検出器40は、変位検出器本体42と、スピンドル44と、移動体47とを備えている。
【0029】
変位検出器本体42は、挿通孔46が設けられ、当該挿通孔46には、所定の長さ寸法を有した柱状部材であるスピンドル44が挿通される。この挿通孔46は、軸部34の移動方向、すなわち圧子21による負荷軸方向に沿って延び、当該挿通孔46の下端側が開口する。
【0030】
スピンドル44は、この挿通孔46の下端側の開口から当該挿通孔46に挿通される。このスピンドル44は、挿通孔46に沿って上下に移動可能である。
変位検出器本体42は、リニアスケールを備えている。変位検出器本体42は、このリニアスケールによって、挿通孔46の内部を移動するスピンドル44の移動量を検出する。
変位検出器本体42は、検出した移動量をデータとして制御ユニット4に出力する。
なお、変位検出器本体42が備えるスピンドル44の変位検出手段としては、例えば、差動トランス式など他の方式を採用してもよい。
この変位検出器本体42は、例えば支持台27によって支持される。
【0031】
スピンドル44の下端は、移動体47によって支持される。
この移動体47は、軸部34に一体に設けられ、当該軸部34と共に移動する。
スピンドル44は、下端からこの移動体47によって支持される。
【0032】
[2.作用]
次に、本実施の形態の作用について説明する。
試験装置1を用いて試験を開始する場合には、試験片TP支点22に支持させると共に、圧子21とプローブ32によって挟持させる。
この状態で、ロードセル14と、変位検出器本体42とにゼロ点調整が行われる。
この後、クロスヘッド10を下降させることで、試験片TPに試験力F(曲げ荷重)が負荷される。この場合、試験片TPに作用する試験力Fはロードセル14によって検出され、制御ユニット4に入力される。
【0033】
クロスヘッド10が下降されると、試験片TPがたわみ、圧子21の下端との距離を保った状態で、圧子21による負荷軸方向に沿って、プローブ32が下降する。
上述の通り、プローブ32は、圧子21に吊り下げられることで当該圧子21に支持されるため、当該プローブ32を支持する力がロードセル14に付加されることが抑制される。このため、試験装置1では、より高い精度で、試験片TPに作用する試験力Fを検出することができる。
【0034】
プローブ32が下降すると、移動体47が当該プローブ32と共に下降する。すなわち、スピンドル44を支持する移動体47が下降することとなり、当該スピンドル44が移動体と共に鉛直下方に向かって移動する。
変位検出器本体42は、このスピンドル44の移動量を検出し、検出した移動量が試験片TPのたわみとして検出される。変位検出器本体42は、検出されたたわみをデータとして制御ユニット4に出力する。
【0035】
このように、スピンドル44は、移動体47によって支持され、試験片TPがたわむことで移動した移動体47と共に、鉛直下方に移動するように構成されている。これによって、当該スピンドル44を支持する力が変位検出器本体42に付加されることが抑制される。このため、試験装置1では、より高い精度で、試験片TPに生じるたわみを検出することができる。
【0036】
上述の通り、変位検出器40は、恒温槽3の外部に配置される。これによって、変位検出器40は、恒温槽3の温度制御に影響を受けることが無く、温度ドリフト等による精度の低下が抑制される。このため、変位検出器40は、例えば耐熱性を向上させること無く試験装置1に用いることが可能である。
【0037】
また、変位検出器40は、恒温槽3の外部に配置されるため、当該恒温槽3の内部に配置される試験片TPとの間に所定の距離が設けられる。このため、本実施形態の試験装置1では、プローブ32の軸部34の長さ寸法が長くなる。すなわち、試験装置1では、より重量の重いプローブ32が増加することとなる。
【0038】
このような場合であっても、プローブ32は、圧子21に吊り下げられることで当該圧子21に支持されるため、当該プローブ32を支持する力がロードセル14に付加されることが抑制される。これによって、試験装置1では、長さ寸法の長いプローブ32を備えた変位検出器40を用いた場合であっても、高い精度で、試験片TPに作用する試験力Fを検出することができる。
【0039】
さらに、変位検出器40は、接触式であるため、試験片TPとの間に所定の距離が設けられて設置された場合であっても、例えば非接触型の変位検出器を用いるよりもより高い精度で、試験片TPに作用する試験力Fを検出することができる。
このように、本実施形態の試験装置1は、例えば、JIS_K7161で規定されたプラスチック-曲げ特性の求め方や、JIS_B7741の等級1級で規定された軸試験に使用する伸び計の検証方法の等級1級を満たす精度で試験片TPに作用する試験力Fを検出することができる。
【0040】
制御ユニット4は、ロードセル14からの試験力データと、変位検出器本体42からのデータを取り込んで、データ処理を実行する。このような制御ユニット4での演算等の処理により、試験装置1では、試験片TPに対する試験力F(曲げ荷重)と、試験片TPにおけるたわみが求められる。
【0041】
[3.効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、試験装置1は、試験片TPに対して試験力Fを付与することにより生じる変位量を検出する試験を行う。試験装置1は、負荷機構12により移動するクロスヘッド10に設けられ、試験片TPの一面に試験力Fを付与する圧子21と、クロスヘッド10に設けられ、試験片TPに与えられた試験力Fを検出するためのロードセル14とを備える。また、試験装置1は、試験片TPを挟んで、圧子21に対向する位置に配置されるプローブ32と、プローブ32の移動量から試験力Fが付与されることで生じた試験片TPの変位量を検出する変位検出器40と、プローブ32と圧子21とを連結し、圧子21に対して試験片TPを挟んで当接するようにプローブ32を付勢するばね部材50とを備えてもよい。
【0042】
これによれば、プローブ32は、圧子21に吊り下げられることで当該圧子21に支持されるため、当該プローブ32を支持する力がロードセル14に付加されること抑制される。このため、試験装置1では、より高い精度で、試験片TPに作用する試験力Fを検出することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、変位検出器40は、プローブ32の移動に伴って移動するスピンドル44を備え、スピンドル44の移動量から試験力Fが付与されることで生じた試験片TPの変位量を検出する。そして、スピンドル44は、試験片TPに試験力Fが付与されると、鉛直下方に沿って移動してもよい。
【0044】
これによれば、当該スピンドル44を支持する力が変位検出器本体42に付加されることが抑制される。このため、試験装置1では、より高い精度で、試験片TPに生じるたわみを検出することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、試験片TPと、圧子21と、プローブ32とが収められる恒温槽3を備え、変位検出器40は、恒温槽3の外部に設けられてもよい。
【0046】
これによれば、恒温槽3の温度が変位検出器40に作用することを抑制できる。このため、試験装置1では、より高い精度で試験片TPに生じるたわみを検出することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、圧子21とプローブ32とは、ばね部材50によって連結されていてもよい。
【0048】
これによれば、試験装置1では、圧子21とプローブ32とを容易に離間させると共に、試験片TPを挟持させることができる。また、試験装置1では、厚さの異なる各種の試験片TPを容易に挟持させることができる。
【0049】
[4.その他の実施形態]
上述した実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0050】
上述した実施の形態では、圧子21には、連結部材25が設けられるとしたが、これに限らず、ロードセル14に設けられていてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、付勢部材として、ばね部材50を用いたが、これに限らず、線状に形成されたゴム部材、あるいはベルト機構を備えた帯状部材等の他の部材であってもよい。
【0052】
上述した例示的な実施形態、及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0053】
(第1項)
一態様に係る試験装置は、試験片に対して試験力を付与することにより生じる変位量を検出する試験を行う試験装置において、負荷機構により移動するクロスヘッドに設けられ、前記試験片の一面に試験力を付与する圧子と前記クロスヘッドに設けられ、前記試験片に与えられた試験力を検出するための荷重検出器と、前記試験片を挟んで、前記圧子に対向する位置に配置されるプローブと、前記プローブの移動量から試験力が付与されることで生じた前記試験片の変位量を検出する変位検出器と前記プローブと前記圧子とを連結し、前記圧子に対して前記試験片を挟んで当接するように前記プローブを付勢する付勢部材とを備えてもよい。
【0054】
第1項に記載の試験装置によればプローブは、圧子に吊り下げられることで当該圧子に支持されるため、当該プローブを支持する力がロードセルに付加されること抑制される。このため、試験装置では、より高い精度で、試験片に作用する試験力を検出することができる。
【0055】
(第2項)
第1項に記載の試験装置において、前記変位検出器は、前記プローブの移動に伴って移動するスピンドルを備え、前記スピンドルの移動量から試験力が付与されることで生じた前記試験片の変位量を検出し、前記スピンドルは、前記試験片に試験力が付与されると、鉛直下方に沿って移動してもよい。
【0056】
第2項に記載の試験装置によれば、プローブは、圧子に吊り下げられることで当該圧子に支持されるため、当該プローブを支持する力がロードセルに付加されること抑制される。このため、試験装置では、より高い精度で、試験片に作用する試験力を検出することができる。
【0057】
(第3項)
第1項または第2項に記載の試験装置において、前記試験片と、前記圧子と、前記プローブとが収められる恒温槽を備え、前記変位検出器は、前記恒温槽の外部に設けられてもよい。
【0058】
第3項に記載の試験装置によれば、恒温槽の温度が変位検出器に作用することを抑制できる。このため、試験装置では、より高い精度で試験片に生じるたわみを検出することができる。
【0059】
(第4項)
第1項から第3項に記載の試験装置において、前記付勢部材は、ばね部材であってもよい。
【0060】
第4項に記載の試験装置によれば、圧子とプローブとを容易に離間させると共に、試験片を挟持させることができる。また、試験装置では、厚さの異なる各種の試験片を容易に挟持させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 試験装置
2 試験装置本体
3 恒温槽
10 クロスヘッド
12 負荷機構
14 ロードセル(荷重検出器)
15 変位センサ
21 圧子
30 変位検出部
32 プローブ
34 軸部
36 先端部
38 連結部材
40 変位検出器
42 変位検出器本体
44 スピンドル
47 移動体
50 ばね部材
F 試験力
TP 試験片
図1
図2
図3