(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】リスト機器
(51)【国際特許分類】
G04G 21/00 20100101AFI20240109BHJP
G04B 19/28 20060101ALI20240109BHJP
G04B 3/04 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G04G21/00 304E
G04B19/28 A
G04G21/00 304B
G04B3/04 G
(21)【出願番号】P 2021027194
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭四郎
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-99280(JP,A)
【文献】特開2014-26723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 3/04
G04B 19/28
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を検出する第1の操作検出部と、
加速度を検出する加速度センサを含む第2の操作検出部と、
前記第1の操作検出部を露出させる第1位置と前記第1の操作検出部を被覆する第2位置とのいずれか一方を取り得るカバー部材と、
前記第1の操作検出部及び前記第2の操作検出部により検出された入力操作を受け付ける制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記第2の操作検出部により検出された入力操作を有効にすることを特徴とするリスト機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記加速度センサによって検出された前記加速度に応じて入力を受け付けることを特徴とする請求項1に記載のリスト機器。
【請求項3】
前記カバー部材は、少なくともある角度分回転可能に設けられたベゼルであり、
前記ベゼルは、回転することにより前記第1位置と前記第2位置とを取り得るように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリスト機器。
【請求項4】
ケースと、
前記ケースの側面に設けられ、入力操作を検出する第1の操作検出部と、
前記第1の操作検出部とは異なり、リスト機器の動作
に応じた入力操作を検出する第2の操作検出部と、
前記ケースの周面に沿って配置され、周方向に回転することにより前記第1の操作検出部を露出させる第1位置と前記第1の操作検出部を被覆する第2位置とのいずれか一方を取り得る環状のベゼルであるカバー部材と、
前記第1の操作検出部及び前記第2の操作検出部により検出された入力操作を受け付ける制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記第2の操作検出部により検出された入力操作を有効にすることを特徴とするリスト機器。
【請求項5】
前記第2の操作検出部は、前記リスト機器の加速度を検出する加速度センサを含み、
前記制御部は、前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記加速度センサによって検出された前記加速度に応じて入力を受け付けることを特徴とする請求項4に記載のリスト機器。
【請求項6】
タッチパネルを含み、
前記制御部は、前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記タッチパネルによる入力操作を有効にすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリスト機器。
【請求項7】
前記第1の操作検出部は、第1のボタンと第2のボタンを含み、
前記第1のボタンと前記第2のボタンは、前記カバー部材が前記第2位置となることにより、ともに前記カバー部材により被覆されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のリスト機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リスト機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計等のリスト機器は、操作ボタン等の操作・入力部を備えて、ユーザがこれを操作することで各種の機能を実行させたり、表示画面の切り替えやモード切り替え等を行うことができるようになっている。
しかし、操作ボタン等の操作・入力部はユーザが入力操作しやすいようにリスト機器の外表面に現れるように設けられる。このため、意図せずにユーザが操作ボタン等に触れたり、外部の物が接触する等により誤って操作されてしまい、意図しないモード切り替え等が行われてしまうことがある。
また、外部の物が接触する等により操作ボタン等に衝撃が加わり、破損するおそれもある。
【0003】
この点、操作の必要のないときには操作ボタン等を隠して操作できないようにするロック装置を設けることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、ロック装置として回転可能なベゼルを備え、ベセルを回転させることにより、操作ボタンを隠した保護状態とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、操作ボタン等の操作・入力部の保護に効果的である反面、保護状態としたのちにユーザがリスト機器を操作したい場合には、一旦操作ボタン等を露出させなければならず、手間であるとの問題があった。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、操作性に優れたリスト機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る一のリスト機器は、
入力操作を検出する第1の操作検出部と、
加速度を検出する加速度センサを含む第2の操作検出部と、
前記第1の操作検出部を露出させる第1位置と前記第1の操作検出部を被覆する第2位置とのいずれか一方を取り得るカバー部材と、
前記第1の操作検出部及び前記第2の操作検出部により検出された入力操作を受け付ける制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記第2の操作検出部により検出された入力操作を有効にすることを特徴としている。
本発明に係る他のリスト機器は、
ケースと、
前記ケースの側面に設けられ、入力操作を検出する第1の操作検出部と、
前記第1の操作検出部とは異なり、入力操作を検出する第2の操作検出部と、
前記ケースの周面に沿って配置され、周方向に回転することにより前記第1の操作検出部を露出させる第1位置と前記第1の操作検出部を被覆する第2位置とのいずれか一方を取り得る環状のベゼルであるカバー部材と、
前記第1の操作検出部及び前記第2の操作検出部により検出された入力操作を受け付ける制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記第2の操作検出部により検出された入力操作を有効にすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作性に優れたリスト機器を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は、本実施形態におけるカバー部材を備える腕時計の正面図であり、(b)は、(a)に示す腕時計の側面図である。
【
図2】(a)は、本実施形態におけるカバー部材を備える腕時計の正面図であり、(b)は、(a)に示す腕時計の側面図である。
【
図3】本実施形態における腕時計の制御構成を示す要部ブロック図である。
【
図4】表示画面の一変形例を示す時計本体の模式的な正面図であり、(a)は、カバー部材が第1位置にある場合の表示画面例を示し、(b)は、カバー部材が第2位置にある場合の表示画面例を示している。
【
図5】表示画面の一変形例を示す時計本体の模式的な正面図であり、(a)は、カバー部材が第1位置にある場合の表示画面例を示し、(b)は、カバー部材が第2位置にある場合の表示画面例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1(a)、
図1(b)~
図3を参照しつつ、本発明に係るリスト機器の一実施形態について説明する。本実施形態では、リスト機器が腕時計である場合を例示する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1(a)及び
図2(a)は、本実施形態におけるリスト機器としての腕時計の正面図である。
図1(b)及び
図2(b)は、本実施形態におけるリスト機器としての腕時計の側面図である。
また
図3は、本実施形態における腕時計の制御構成を示す要部ブロック図である。
【0012】
図1(a)、
図1(b)及び
図2(a)、
図2(b)に示すように、本実施形態における腕時計100は、ケース(以下、実施形態において「時計ケース1」とする。)を備えている。
時計ケース1は、例えばステンレスやチタン等の金属やセラミック、各種の合成樹脂等で形成されている。なお、時計ケース1を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
【0013】
本実施形態の時計ケース1は、厚み方向の上下に開口する中空の短柱形状に形成されている。
時計ケース1の表面側(視認側)の開口には、例えば透明なガラス等で形成された図示しない風防部材が取り付けられており、表面側の開口を塞いでいる。また時計ケース1の裏面側の開口は、図示しない裏蓋によって閉塞されている。
【0014】
時計ケース1の側面(時計ケース1の外周部)には、時刻合わせの指示や後述する表示画面124の切り替え指示、モードの切り替え指示等の種々の操作指示が入力される複数の操作ボタン11(第1の操作ボタン11、第2の操作ボタン11・・・)が設けられている。
本実施形態では、4つの操作ボタン11がほぼ等間隔で配置(図示例では、アナログ時計における2時側、4時側、8時側、10時側にそれぞれ配置)されている。なお、操作ボタン11の数や配置は図示例に限定されない。操作ボタン11は1つでもよいし、5つ以上であってもよい。
【0015】
本実施形態において操作ボタン11は、入力操作を検出する操作検出部(第1の操作検出部)であり、第1の入力部10(
図3参照)を構成する。操作ボタン11は、例えば押下されることで入力操作信号を発生させる押しボタンである。なお、第1の入力部(第1の操作検出部)10は押しボタンである操作ボタン11に限定されず、例えば引き出して回転させることで入力操作信号を発生させる図示しない竜頭等が含まれていてもよい。
操作ボタン11から発生した入力操作信号は、第1のスイッチ接点10aが接続された状態(
図3に示す状態参照)のときに制御部としてのCPU41に受け入れられる。
【0016】
時計ケース1には、バンド2が取り付けられ、時計ケース1を含む時計本体を腕に装着することができるように構成されている。
また、腕時計100の表面側(時計における視認側)であって風防部材の下方には、表示部12の指針123や表示画面124等が配置された文字板120が設けられている。文字板120のレイアウト等は図示例に限定されない。例えば
図1(a)等では、2つの指針123を有する場合を例示しているが、指針123は秒針、分針、時針の3つやその他各種の機能針を備えてもよい。
【0017】
さらに、時計ケース1の内部には、表示部12の各構成部や、図示しない時計モジュール等が収容されている。時計モジュールは、表示部12等、腕時計100の各部を動作させるものである。時計モジュールは、例えば後述するCPU41やメモリ42、各種の回路等(
図3参照)を備えており、図示しない基板等に実装されている。
【0018】
また、本実施形態の時計ケース1の表面側(時計における視認側)には、風防部材の周囲を取り巻くように環状のベゼル3が設けられている。
ベゼル3は、時計ケース1の表面側(時計における視認側)であって、風防部材の周囲に配置される上面部31と、上面部31から垂設され、時計ケース1の周面に沿って配置される側面部32とを有している。
図1(b)及び
図2(b)に示すように、側面部32には、操作ボタン11に対応して4箇所に窓部33が形成されている。
【0019】
本実施形態においてベゼル3は、リスト機器である腕時計100において第1の入力部(第1の操作検出部)10である操作ボタン11を露出させる第1位置と第1の入力部10を被覆する第2位置とを取り得るカバー部材として機能する。
ベゼル3は、少なくともある角度分、時計ケース1の外周に沿って回転可能なものであり、回転することにより第1位置と第2位置とを取り得るように構成されている。
なおベゼル3は、少なくともある角度分、時計ケース1の外周に沿って回転可能なものであればよく、その形状等は図示例に限定されない。
ベゼル3の回転方向は時計回り、反時計回りいずれでもよく、時計回り、反時計回りの両方に回転してもよい。本実施形態では
図2(a)に白抜き矢印で示すように、ベゼル3が時計回りに回転する場合を例示する。
【0020】
本実施形態では、窓部33が第1の入力部10である操作ボタン11に対応する位置に配置された状態(
図1(a)及び
図1(b)に示す状態)が、ベゼル3が操作ボタン11を露出させる第1位置にある状態である。また、ベゼル3を回転させて窓部33以外の部分が第1の入力部である操作ボタン11に対応する位置に配置された状態(
図2(a)及び
図2(b)に示す状態)が、ベゼル3が操作ボタン11を被覆する第2位置にある状態である。
前述のように本実施形態では、第1の入力部としての操作ボタン11は、複数設けられており、カバー部材であるベゼル3が第2位置となると、複数の操作ボタン11がいずれもベゼル3により被覆されるように構成されている。
【0021】
なお、ベゼル3は、第1位置において第1の入力部である操作ボタン11を露出させ、第2位置において第1の入力部を被覆するものであればよく、その形状等は図示例に限定されない。
例えば、操作ボタン11を露出させる部分(窓部33)は、第1の入力部の位置に応じて設けられる。図示例では第1の入力部である操作ボタン11が時計ケース1の側面に4箇所配置されているため、窓部33もベゼル3の側面部32に設けられているが、操作ボタン11が時計ケース1の表面側(時計における視認側)に配置されている場合には、窓部33もベゼル3の上面部31に設けられる。
【0022】
次に、
図3を参照して、腕時計100の機能構成について説明する。
図3に示すように、腕時計100は制御部としてのCPU41(Central Processing Unit)と、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されたメモリ42とを有している。
CPU41は、プロセッサとして各種演算処理を行い、また腕時計100の全体動作を統括制御する。
メモリ42は、CPU41が実行する各種プログラムや、各種プログラムで利用される各種データを格納する。これらのプログラムやデータは、必要に応じて随時CPU41により読み出されて実行、利用される。
【0023】
また、腕時計100は、発振回路43、分周回路44、計時回路45(計時部)を有している。
発振回路43は、所定の周波数信号を生成して分周回路44に出力する。分周回路44は、発振回路43から入力された周波数信号を分周し、CPU41からの制御信号により設定された周波数の信号を生成してCPU41に出力する。また、分周回路44は、予め定められた周波数信号(例えば、1秒信号)を生成して計時回路45に出力する。
【0024】
計時回路45は、入力された周波数信号をカウントして日時(現在時刻)を計数するカウンタである。このカウンタは、ハードウェア構成としてのカウンタ回路に限られず、CPU41によりソフトウェア的に計数された日時を記憶するRAMなどであってもよい。
【0025】
腕時計100には、前述のように表示部12(本実施形態では、アナログ表示部12aとデジタル表示部12b)が設けられている。計時回路45によってカウントされた日時(現在時刻)は、CPU41が表示部12の各部を制御することにより、文字板120上に表示される。
なお、日時(現在時刻)の表示は、アナログ方式でもデジタル方式でもよく、アナログ方式及びデジタル方式の両方による表示でもよい。
【0026】
アナログ表示部12aは、ステッピングモータ121、モータ駆動回路122、図示しない輪列機構、前述の指針123等を含んでいる。
モータ駆動回路122は、CPU41から入力された制御信号に基づいて、ステッピングモータ121に対して駆動パルスを出力する。
ステッピングモータ121は、モータ駆動回路122から入力される駆動パルスの電圧波形に基づいてステップ駆動(所定のステップ角で回転動作)する。
ステッピングモータ121の回転動作は、歯車列である輪列機構を介して指針123に伝達され、これにより指針123(例えば時針や分針)は、正転方向又は逆転方向に所定の角度ずつ回転移動(回動)するようになっている。これにより、文字板120上において指針123が日時(現在時刻)等を指し示す。
【0027】
デジタル表示部12bは、表示画面124、表示制御回路125等を含んでいる。
表示画面124は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OEL:organic electro-luminescence Display)、その他のフラットディスプレイで構成されている。
CPU41から入力された制御信号に基づいて、表示制御回路125が表示画面124の表示を制御することによって、文字板120上に設けられた表示画面124上に日時(現在時刻)等が表示される。
【0028】
また、制御部であるCPU41は、第1の入力部(第1の操作検出部)10、第2の入力部(第2の操作検出部)20からの入力操作を受け付ける。
第1の入力部10は、少なくとも1つの操作ボタン11(本実施形態では前述のように4つの操作ボタン11)を含み、各操作ボタン11をユーザが操作すると、操作に応じた入力操作信号が発生する。
第2の入力部20は、ユーザの入力操作を検出する動作検出部21を含んでおり、検出結果に応じた入力操作信号を発生させる。動作検出部21は、例えばリスト機器である腕時計100の加速度を検出する加速度センサである。なお、動作検出部21は加速度センサに限定されない。入力操作に変換することのできるような腕時計100の動作(動き)を検出することができる手段であればよく、例えば腕時計100の回転を検出するジャイロセンサ等、他のセンサ等であってもよい。
【0029】
ここで、動作検出部21である加速度センサ等が検出するユーザの入力操作は、例えば腕を大きく1回振る動作、2回続けて素早く振る動作等の所定の動作である。どのような動作がどのような入力操作に対応するかは予め設定・登録されている。
動作検出部21は、このような所定の動作を検出したときに、当該動作に対応する入力操作を検出し、入力操作信号を発生させる。
なお、動作検出部21である加速度センサ等は、ユーザが所定の動作を行った場合以外にも、随時腕時計100の加速度等を検出し続けている。動作検出部21である加速度センサ等によって検出された加速度のデータ等は、随時制御部であるCPU41に出力され、CPU41に受け付けられて、表示部12の表示等に反映される。
【0030】
カバー部材であるベゼル3が第1の入力部である操作ボタン11を露出させる第1位置にあるとき、すなわち操作ボタン11が窓部33から露出しているときには、ユーザによる操作ボタン11の操作が可能な状態となる。
この状態では、第1のスイッチ接点10aがON(
図3に示す接続状態)となり、操作ボタン11から発生した入力操作信号がCPU41に受け入れられる。このとき、デジタル表示部12bの表示画面124には、
図1(a)に示すように、操作ボタン11による入力操作が有効であり、動作検出部21からの入力操作が無効(OFF)の状態であることを示す「OFF」の文字等が表示されてもよい。
【0031】
これに対してベゼル3が操作ボタン11を被覆して外力等から保護される第2位置にあるとき、すなわち操作ボタン11が窓部33以外の部分で覆われたときには、ユーザによる操作等、外部からの操作ボタン11へのアクセスができない状態となる。
この状態では、第2のスイッチ接点20aがONとなるように接続が切り替えられ、第2の入力部20(加速度センサ等の動作検出部21)から発生した入力操作信号がCPU41に受け入れられる。このとき、デジタル表示部12bの表示画面124には、
図2(a)に示すように、動作検出部21からの入力操作が有効(ON)の状態であることを示す「ON」の文字等が表示されてもよい。
このように本実施形態では、操作ボタン11が保護されて触れられない状態のときには、操作ボタン11以外の操作検出部である第2の入力部(第2の操作検出部)20により検出された入力操作が有効となる。これにより、ベゼル3を第1位置に戻すような操作をすることなく入力操作を行うことが可能となる。
【0032】
次に、
図1(a)及び
図1(b)、
図2(a)及び
図2(b)を参照しつつ、本実施形態における腕時計100の作用について説明する。
なお、
図1(b)及び
図2(b)において、ベゼル3の側面部32によって被覆され、実際には視認されない操作ボタン11を破線で示している。
【0033】
ユーザが操作ボタン11によって腕時計100の操作を行いたい場合には、窓部33から操作ボタン11が露出する第1位置となるようにベゼル3の位置を合わせる。このとき、腕時計100に設けられているすべての操作ボタン11(本実施形態では4つの操作ボタン11)がそれぞれ窓部33から露出して操作可能な状態となる。
ユーザが操作ボタン11を適宜操作して、表示画面124を所望の表示に切り替える等の動作に対応する入力操作を行うと、当該操作に応じた入力操作信号がCPU41に入力される。これにより、表示画面124の切り替え等、入力操作信号に対応する動作が行われる。
【0034】
ユーザが操作ボタン11に触れたくないときや、外部からの接触等を避けて操作ボタン11を保護したいときは、窓部33以外の部分が操作ボタン11に対応する位置に配置され、操作ボタン11がベゼル3(ベゼル3の側面部32)によって被覆される第2位置となるようにベゼル3の位置を合わせる。このとき、腕時計100に設けられているすべての操作ボタン11(本実施形態では4つの操作ボタン11)が、ともにベゼル3(ベゼル3の側面部32)によって被覆され、操作できない状態となる。
ベゼル3が第2位置となると、第1のスイッチ接点10aがONとなった状態から、第2のスイッチ接点20aがONとなった状態に接続が切り替えられ、第2の入力部20(第2の操作検出部、加速度センサ等の動作検出部21)からの入力操作信号が有効となる。
【0035】
例えば動作検出部21が加速度センサである場合、腕時計100の加速度のうち所定の動作に対応する加速度を検出すると、動作検出部21は当該動作に対応する入力操作信号を発生させる。そしてベゼル3が第2位置にあるときには、第2の操作検出部としての動作検出部21からの入力操作信号がCPU41に受け付けられる。
具体的には、例えば腕時計100をゆっくり1回振る動作、素早く1回振る動作、ゆっくり2回振る動作、素早く2回振る動作等の所定の動作にそれぞれ異なる操作指示内容を対応付けておくことで、加速度センサによって検出された加速度に応じた入力操作信号が発生して、CPU41に受け入れられる。これにより表示画面124の切り替え等の所望の操作を行うことができる。
【0036】
例えば、腕時計100が大きく1回振られるごとに、表示画面124に表示される内容が、時刻表示、歩数、消費カロリー等に順次切り替わったり、時刻表示モードからストップウォッチモードに切り替わり、腕時計100が素早く2回振られることでスタート・ストップの操作が行われるようにしてもよい。
なお、動作検出部21によって検出される腕時計100の加速度情報と、動作検出部21から発生する入力操作信号の対応付け(すなわち、どのような動きが検出されたときに、どのような入力操作があったものとするか)は、デフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが任意に設定してもよい。またデフォルトの設定がある場合でも、ユーザが適宜設定し直してカスタマイズできるようにしてもよい。
【0037】
これにより、一旦操作ボタン11が被覆され保護される第2位置にベゼル3を回転移動させた後でも、ベゼル3を第1位置に戻すような操作をすることなく、第2の入力部20(第2の操作検出部、加速度センサ等の動作検出部21)による入力操作を行うことが可能となる。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、リスト機器としての腕時計100が、第1の入力部10(すなわち、入力操作を検出する第1の操作検出部)としての操作ボタン11と、第1の入力部10とは異なる第2の入力部20(すなわち、入力操作を検出する第2の操作検出部としての加速度センサ等の動作検出部21)と、第1の入力部10を露出させる第1位置と第1の入力部10を被覆する第2位置とを取り得るカバー部材としてのベゼル3と、第1の入力部10及び第2の入力部20により検出された入力操作を受け付ける制御部としてのCPU41と、を有し、CPU41は、ベゼル3が第2位置にある場合に、第2の入力部20(入力操作を検出する第2の操作検出部としての加速度センサ等の動作検出部21)により検出された入力操作を有効にする。
これにより、一旦操作ボタン11が被覆される第2位置にベゼル3を回転移動させた後でも、ベゼル3を第1位置に戻すような操作をすることなく、操作ボタン11とは異なる第2の入力部20(加速度センサ等の動作検出部21)によって入力操作を行うことが可能となり、操作性に優れた腕時計100を実現することができる。
【0039】
また、本実施形態では、第2の入力部(第2の操作検出部)20は、腕時計100の加速度を検出する加速度センサ等の動作検出部21を含み、CPU41は、ベゼル3が第2位置にある場合に、動作検出部21である加速度センサによって検出された加速度に応じた入力操作を受け付ける。
これにより、ユーザは、腕時計100を装着した腕を、所定の速度(すなわち、ゆっくり又は素早く)で所定回数振る等の所定の動作によって腕時計100を簡易に操作することができ、操作性に優れる。
【0040】
また、本実施形態におけるカバー部材は、少なくともある角度分回転可能に設けられたベゼル3であり、ベゼル3は、回転することにより第1位置と第2位置とを取り得るように構成されている。
これにより、別途カバー部材を設けることなく、腕時計100に装着されるベゼル3をカバー部材として利用することができる。このため、部品点数を増やしたり、デザインを損なうことなく、操作性のよい腕時計100とすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、第1の入力部(第1の操作検出部)10は、複数の操作ボタン11(第1のボタンと第2のボタン)を含み、これら複数の操作ボタン11は、ベゼル3が第2位置となることにより、ともにベゼル3(ベゼル3の側面部32)により被覆される。
これにより、1回ベゼル3を回転させるだけで、複数の操作ボタン11を同時に保護された被覆状態とすることができ、第1位置と第2位置との切り替えを最小限の手間で行うことができる。
【0042】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0043】
例えば、本実施形態では、
図3に示すような第1のスイッチ接点10a、第2のスイッチ接点20aを設けて、ベゼル3を回転させることで第1のスイッチ接点10a、第2のスイッチ接点20aとCPU41との接続状態を切り替えられるように構成し、第1の入力部10と第2の入力部20とのON/OFFを機械的に切り替える方式を例示したが、第1の入力部10と第2の入力部20とのON/OFFは機械的な切り替えに限定されない。
例えば、どのような場合に第1の入力部(第1の操作検出部)10、第2の入力部(第2の操作検出部)20のいずれから入力された入力操作信号を有効と扱うかをソフトウェア的な処理により切り替えてもよい。この場合には、
図3に示すような第1のスイッチ接点10a、第2のスイッチ接点20aを設ける必要がなく、装置構成が簡易になる。
【0044】
また、本実施形態では、表示部12が指針123によって時刻等を表示させるアナログ表示部12aと、小窓状の表示画面124を有するデジタル表示部12bとで構成されている場合を例示したが、表示部12の構成はこれに限定されない。
【0045】
例えば
図4(a)及び
図4(b)に示すように、デジタル表示部12bの表示画面124が文字板120の全面に設けられていてもよい。
このように文字板120の広い範囲に文字等を表示させる場合、アナログ表示部12aの指針123がデジタル表示の邪魔にならないように指針123の位置を移動させてもよい。
【0046】
例えばデジタル表示部12bを主な表示部として用いる場合には、実際の時刻にかかわらず、
図4(b)に示すように文字板120を上下に仕切るような横線状に配置されるように指針123を移動させてもよい。また指針123の配置は
図4(b)に示す例には限定されず、例えば文字板120を左右に仕切るような縦線状に配置されるように指針123を移動させてもよい。
【0047】
また、表示部12は、例えば
図5(a)及び
図5(b)に示すように、デジタル表示部12bのみで構成され、アナログ表示部12aを備えなくてもよい。この場合には、
図5(a)に示すようにアナログ方式の時計のような指針による時刻表示画面もデジタル表示部12bによって表現してもよい。
【0048】
さらに、
図4(a)及び
図4(b)や
図5(a)及び
図5(b)のように、文字板120の比較的広い範囲にデジタル表示部12bの表示画面124が設けられている場合には、表示画面124上にタッチパネル22を構成してもよい。
タッチパネル22が設けられている場合には、タッチパネル22が加速度センサ等の動作検出部21に代えて、又は動作検出部21とともに、第2の入力部(第2の操作検出部)20に含まれてもよい。
【0049】
この場合、制御部であるCPU41は、ベゼル3が第2位置にある場合に、タッチパネル22による入力操作を有効とする。
なお、CPU41は、ベゼル3が第1位置、第2位置のいずれにある場合にもタッチパネル22による入力操作を有効なものとして受け付けるようにしてもよい。
タッチパネル22を設けた場合には、操作ボタン11と同様かそれ以上の詳細な入力・設定操作を容易に行うことができる。これにより、ユーザにとって一層操作性に優れた腕時計100を実現することができる。
【0050】
また、カバー部材であるベゼル3は、第1の入力部(第1の操作検出部)10である操作ボタン11による入力操作を有効とする第1位置、第2の入力部(第2の操作検出部)20である動作検出部21により検出された入力操作を有効とする第2位置の他に、第1の入力部10及び第2の入力部20、いずれからの入力も受け付けない第3の位置を取り得てもよい。
この場合には、操作ボタン11が保護された被覆状態としたいが表示画面やモード等を何も変更したくないという場合に、意図しない腕の動き等による誤操作を回避することができる。
【0051】
また、第1の入力部10とは異なる第2の入力部20が動作検出部21とタッチパネル22等、複数の入力手段を含む場合に、例えばベゼル3が第2位置にあるときは、第2の入力部20を構成するすべての入力手段による入力操作を有効とし、ベゼル3が第3位置にあるときは、第2の入力部20を構成する入力手段のうち、タッチパネル22による入力操作のみを有効とする等、有効となる入力手段が切り替わるようにしてもよい。
このようにすれば、よりユーザの好みやニーズに合った入力操作を行うことができ、腕時計100の操作性が向上する。
【0052】
さらに、
図4(a)及び
図4(b)や
図5(a)及び
図5(b)のように、カバー部材(ベゼル3)が第1位置にある場合と第2位置にある場合とで、表示部12の表示内容が切り替わるようにしてもよい。
例えば、カバー部材(ベゼル3)が第2位置にある場合にはタッチパネルによる入力操作が有効となる構成とした場合には、カバー部材(ベゼル3)が第2位置となったときに、表示部12の表示内容も、タッチパネルによる入力操作を行いやすいレイアウト等に自動的に遷移してもよい。
【0053】
また、本実施形態ではカバー部材が、時計ケース1の外周に沿って回転するベゼル3である場合を例としたが、カバー部材は第1の入力部(第1の操作検出部)10を露出させる第1位置と第1の入力部10を被覆する第2位置とを取り得るものであればよく、ベゼルに限定されない。
例えば、カバー部材はスライド移動すること等によって第1の入力部10を露出させる第1位置と第1の入力部10を被覆する第2位置とを取り得る、蓋部材やシャッタ等であってもよい。
この場合には、カバー部材が、時計ケース1の外周に沿って回転する必要がない。このため、時計ケース1は、
図1(a)等に示すような上面視円形状のものに限定されず、上面視において四角形や八角形等の多角形等でもよい。
これにより腕時計100の外形デザインの自由度が向上する。
【0054】
また、本実施形態では、リスト機器が腕時計100である場合を例示したが、リスト機器は腕時計に限定されない。
例えば、リスト機器は、歩数計、心拍数計、高度計、気圧計等や、いわゆるスマートウォッチ等であってもよい。
【0055】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
入力操作を検出する第1の操作検出部と、
前記第1の操作検出部とは異なり、入力操作を検出する第2の操作検出部と、
前記第1の操作検出部を露出させる第1位置と前記第1の操作検出部を被覆する第2位置とを取り得るカバー部材と、
前記第1の操作検出部及び前記第2の操作検出部により検出された入力操作を受け付ける制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記第2の操作検出部により検出された入力操作を有効にすることを特徴とするリスト機器。
<請求項2>
前記第2の操作検出部は、前記リスト機器の加速度を検出する加速度センサを含み、
前記制御部は、前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記加速度センサによって検出された前記加速度に応じて入力を受け付けることを特徴とする請求項1に記載のリスト機器。
<請求項3>
前記第2の操作検出部は、タッチパネルを含み、
前記制御部は、前記カバー部材が前記第2位置にある場合に、前記タッチパネルによる入力操作を有効にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリスト機器。
<請求項4>
前記カバー部材は、少なくともある角度分回転可能に設けられたベゼルであり、
前記ベゼルは、回転することにより前記第1位置と前記第2位置とを取り得るように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリスト機器。
<請求項5>
前記第1の操作検出部は、第1のボタンと第2のボタンを含み、
前記第1のボタンと前記第2のボタンは、前記カバー部材が前記第2位置となることにより、ともに前記カバー部材により被覆されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリスト機器。
【符号の説明】
【0056】
1 時計ケース
3 ベゼル(カバー部材)
10 第1の入力部(第1の操作検出部)
10a 第1のスイッチ接点
11 操作ボタン
12 表示部
20 第2の入力部(第2の操作検出部)
20a 第2のスイッチ接点
21 動作検出部(加速度センサ)
22 タッチパネル
32 側面部
33 窓部
41 CPU
42 メモリ
100 腕時計