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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240109BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021565195
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2019049335
(87)【国際公開番号】W WO2021124435
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐介
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029338(JP,A)
【文献】特開2011-130382(JP,A)
【文献】特開2019-029886(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174737(WO,A1)
【文献】特開平07-222137(JP,A)
【文献】特開2007-209008(JP,A)
【文献】特開2018-050146(JP,A)
【文献】特開2011-244454(JP,A)
【文献】特開2005-312018(JP,A)
【文献】特開2009-171428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の人物の顔の位置と、当該人物の目間距離と、を検出し、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記人物の顔が位置する前記分割領域を表す情報を、前記人物の顔の前記画像内における分布として生成する際に、前記分割領域毎に、当該分割領域に位置する前記人物の前記目間距離に基づく値を対応付け、前記目間距離の前記画像内における前記分布を生成し、
前記分布に基づいて、前記人物の顔が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成する際に、前記対応付けた値が予め設定された値である全ての前記分割領域を結合した前記結合領域を生成し、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理方法。
【請求項2】
画像内の人物の顔の位置と、当該人物の目間距離と、を検出し、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記人物の顔が位置する前記分割領域を表す情報を、前記人物の顔の前記画像内における分布として生成する際に、前記分割領域毎に、当該分割領域に位置する前記人物の前記目間距離の最小値から最大値までの値を対応付け、前記目間距離の前記画像内における前記分布を生成し、
前記分布に基づいて、前記人物の顔が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成する際に、前記対応付けた値が予め設定された値である全ての前記分割領域を結合した前記結合領域を生成し、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理方法であって、
前記分布に基づいて、撮像装置により前記新たな画像を撮像する際の設定を変更する情報を生成する、
画像処理方法。
【請求項4】
画像内の人物の顔の位置と、当該人物の目間距離と、を検出する位置検出手段と、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記人物の顔が位置する前記分割領域を表す情報を、前記人物の顔の前記画像内における分布として生成する際に、前記分割領域毎に、当該分割領域に位置する前記人物の前記目間距離に基づく値を対応付け、前記目間距離の前記画像内における前記分布を生成する分布生成手段と、
前記分布に基づいて、前記人物の顔が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成する際に、前記対応付けた値が予め設定された値である全ての前記分割領域を結合した前記結合領域を生成し、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する撮像情報生成手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項5】
画像内の人物の顔の位置と、当該人物の目間距離と、を検出する位置検出手段と、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記人物の顔が位置する前記分割領域を表す情報を、前記人物の顔の前記画像内における分布として生成する際に、前記分割領域毎に、当該分割領域に位置する前記人物の前記目間距離の最小値から最大値までの値を対応付け、前記目間距離の前記画像内における前記分布を生成する分布生成手段と、
前記分布に基づいて、前記人物の顔が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成する際に、前記対応付けた値が予め設定された値である全ての前記分割領域を結合した前記結合領域を生成し、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する撮像情報生成手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項6】
画像内の人物の顔の位置と、当該人物の目間距離と、を検出し、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記人物の顔が位置する前記分割領域を表す情報を、前記人物の顔の前記画像内における分布として生成する際に、前記分割領域毎に、当該分割領域に位置する前記人物の前記目間距離に基づく値を対応付け、前記目間距離の前記画像内における前記分布を生成し、
前記分布に基づいて、前記人物の顔が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成する際に、前記対応付けた値が予め設定された値である全ての前記分割領域を結合した前記結合領域を生成し、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
画像内の人物の顔の位置と、当該人物の目間距離と、を検出し、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記人物の顔が位置する前記分割領域を表す情報を、前記人物の顔の前記画像内における分布として生成する際に、前記分割領域毎に、当該分割領域に位置する前記人物の前記目間距離の最小値から最大値までの値を対応付け、前記目間距離の前記画像内における前記分布を生成し、
前記分布に基づいて、前記人物の顔が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成する際に、前記対応付けた値が予め設定された値である全ての前記分割領域を結合した前記結合領域を生成し、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から物体検出を行う画像処理方法、画像処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理技術の進歩に伴い、様々な場所に監視カメラを設置し、監視カメラにて撮影した画像から人物を検出することが行われている。例えば、空港や駅、商業施設、イベント会場などの多くの人物が集まる場所に監視カメラを設置し、人物の人数や混雑具合を調べたり、犯罪者など予め登録された人物との照合処理を行うなどの目的から、人物を検出することが行われている。
【0003】
ここで、画像から人物を検出する処理の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1では、入力画像の画像サイズを変更して、予め設定された検出顔サイズの顔を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-8704号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、入力画像の全体領域に対して顔検出処理を行う必要があるが、かかる画像が所望の人物検出処理を行うことができるような適切な質であるとは限らない、という問題が生じる。例えば、撮像画像が人物検出に適切な領域を撮像できていない場合や、人物検出に十分な画質で撮像できていない、といった問題が生じる。また、画像内から人物を検出する場合のみならず、画像内からあらゆる物体を検出する場合にも、物体検出処理を行う上で適切な質の画像を撮像しているとは限らない、という問題が生じる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、物体検出処理を行う上で適切な質の画像を得ることができない、ことを解決することができる画像処理方法、画像処理装置、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である画像処理方法は、
画像内の特定の物体の位置を検出し、
前記特定の物体の前記画像内における分布を生成し、
前記分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態である画像処理装置は、
画像内の特定の物体の位置を検出する位置検出手段と、
前記特定の物体の前記画像内における分布を生成する分布生成手段と、
前記分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する撮像情報生成手段と、
を備えた、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
情報処理装置のプロセッサに、
画像内の特定の物体の位置を検出し、
前記特定の物体の前記画像内における分布を生成し、
前記分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
ことを実行させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成されることにより、物体検出処理を行う上で適切な質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1における情報処理システムの全体構成を示す図である。
図2図1に開示した検出装置の構成を示すブロック図である。
図3図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図4図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図5図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図6図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図7図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図8図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図9図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図10図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図11図1に開示した検出装置による処理の一例を示す図である。
図12図1に開示した検出装置による処理動作を示すフローチャートである。
図13】本発明の実施形態2における物体検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図14】本発明の実施形態2における物体検出装置の構成を示すブロック図である。
図15】本発明の実施形態2における物体検出装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図12を参照して説明する。図1乃至2は、情報処理システムの構成を説明するための図であり、図3乃至図12は、情報処理システムの処理動作を説明するための図である。
【0013】
本発明における情報処理システムは、空港や駅、商業施設、イベント会場などの多くの人物が集まる場所に存在する人物Pの顔を検出するために利用される。例えば、情報処理システムは、対象となる場所に存在する人物Pの顔を検出することで、かかる場所における人物Pの人数や混雑具合を調べたり、犯罪者など予め登録された人物との照合処理を行うこととなる。但し、本発明における情報処理システムは、上述した目的で人物Pの顔を検出することに限定されず、いかなる目的で人物Pの顔を検出することに用いられてもよい。また、本発明における情報処理システムは、人物Pの顔を検出することに限定されず、いかなる物体を検出してもよい。
【0014】
[構成]
図1に示すように、本実施形態における情報処理システムは、対象場所となる空間を撮影するためのカメラCと、撮影画像内の人物Pの顔を検出する画像処理を行う検出装置10(画像処理装置)と、を備えている。なお、検出装置10は、演算装置(プロセッサ)と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。
【0015】
上記検出装置10は、図2に示すように、演算装置がプログラムを実行することで構築された、画像取得部11、位置検出部12、分布生成部13、撮像情報生成部14、を備える。また、検出装置10は、記憶装置に形成された画像記憶部15、分布記憶部16、を備える。以下、各構成について詳述する。
【0016】
上記画像取得部11は、まず、カメラCにて撮影された対象場所の撮影画像を一定の時間間隔で受け付ける。例えば、図3に示すように、複数の人物Pの顔が含まれる撮影画像を受け付けて、画像記憶部15に一時的に記憶しておく。なお、本実施形態では、検出装置10にカメラCが1台しか接続されていないが、複数台のカメラCが接続され、それぞれのカメラCにて撮影された撮影画像に対して、以下に説明するような処理が行われてもよい。
【0017】
上記位置検出部12(位置検出手段)は、撮影画像内に映る物体の動きや形状、色などから、撮影画像内の人物Pを抽出すると共に、抽出した人物Pの顔(特定の物体)の位置及び顔のサイズを検出する。ここで、特に本実施形態では、位置検出部12は、人物Pの顔サイズとして、人物Pの目間距離を検出する。例えば、位置検出部12は、上述したように撮影画像内の物体の動きや形状、色などから、人物Pの目を検出して、同一人物の2つの目の間の距離を検出する。一例として、位置検出部12は、図3に示すように、撮影画像内に映る各人物Pa,Pb,Pcについて、それぞれの撮影画像上における目間距離を算出する。図3では、撮影画像の上側に位置する2つの人物Paの目間距離が100pix(ピクセル)であり、撮影画像の左側に位置する人物Pbの目間距離が140pix(ピクセル)であり、撮影画像の右手前に位置する人物Pcの目間距離が200pix(ピクセル)である場合を示している。
【0018】
そして、位置検出部12は、検出した人物Pの目間距離と、撮影画像上における検出した人物Pの顔の位置と、を対応付けて、画像記憶部15に記憶する。このとき、位置検出部12は、図4の点線に示すように、撮影画像G全体を複数の領域に分割した分割領域rを設定し、かかる分割領域r内に位置する人物Pの目の目間距離を、当該分割領域rに対応付けて記憶する。つまり、本実施形態では、人物Pの顔の位置を分割領域rの位置で表すこととしている。但し、位置検出部12は、人物Pの顔の位置を撮影画像上の座標で表すなど他の方法で表してもよい。
【0019】
なお、位置検出部12は、複数の撮影画像に対して上述同様に人物Pの目間距離を検出し、分割領域rに対応付けて記憶する。このため、画像記憶部15には、分割領域r毎に、当該分割領域rに位置する人物Pの目間距離が対応付けられて記憶されることとなる。その結果、人物Pが検出されなかった分割領域rには、1つも目間距離が対応付けられず、人物Pが複数検出された分割領域rには、複数の目間距離が対応付けられることとなる。
【0020】
但し、位置検出部12は、人物Pの目間距離を検出することに限定されず、人物Pの顔に関するいかなる情報を検出してもよい。例えば、位置検出部12は、人物Pの顔の向きや顔領域の画質、などを検出してもよい。
【0021】
上記分布生成部13(分布生成手段)は、上述したように検出した人物Pの顔の位置及び目間距離の分布を生成する。具体的に、分布生成部13は、以下のようにして検出領域Rの設定を行う。まず、分布生成部13は、撮影画像を分割した分割領域r毎に、当該分割領域rに対応付けられた目間距離の分布dを生成する。例えば、分布生成部13は、図4に示すように、各分割領域rに対応付けて、かかる分割領域rで検出された目間距離を、縦軸上に最小値から最大値まで延びる棒状体で表すよう、目間距離の分布dを生成する。
【0022】
但し、分布生成部13は、人物Pの目間距離の分布dを生成することに限定されず、単に各分割領域rに対する人物Pの顔の有無を表す人物Pの顔の位置の分布を生成してもよい。また、分布生成部13は、分割領域r毎における人物Pの顔に関するいかなる分布を生成してもよい。例えば、分布生成部13は、分割領域r毎に、人物Pの顔の向きの分布や、人物Pの顔領域の画質の分布、などを生成してもよい。一例として、人物Pの顔の向きの分布としては、正面を向いている人物Pの割合を生成し、人物Pの顔領域の画質の分布としては、予め設定された鮮明度合いを満たす割合を生成する。
【0023】
上記撮像情報生成部14(撮像情報生成手段)は、図5に示すように、基準となる目間距離150pixについて、当該目間距離の高さ位置を表す平面Fを設定する。そして、撮像情報生成部14は、平面Fと目間距離の分布dを表す棒状体との位置関係に応じて、人物Pの顔が位置する人物領域Rを設定する。例えば、分布生成部13は、目間距離の分布dを平面Fに対して投影、つまり、高さ方向である目間距離方向に投影する。これにより、平面Fに平行である撮影画像G内において、棒状体で表される分布dが位置する分割領域rを特定でき、特定した全ての分割領域rを結合した結合領域を人物領域Rとして生成することができる。一例として、図6に、撮影画像G内における人物領域Rを生成した例をグレー領域で示す。
【0024】
続いて、撮像情報生成部14は、上述したように生成した撮影画像G上における人物領域Rについて、かかる領域Rの重心を算出する。ここで、撮像画像Gから、図7に示すような人物の目間距離の分布dが生成されたとする。このような分布dは、例えば図9左図に示すように、撮影画像Gの右側領域に人物の顔が偏って位置する場合を示している。そして、図7に示すような人物の顔の分布dから、上述したように人物領域Rを生成した例を、図8のグレー領域で示す。さらに、撮像情報生成部14は、人物領域Rの情報から当該人物領域Rの重心Aの位置を算出する。例えば、撮像情報生成部14は、図8に示すように、人物領域Rの全体形状に対する重心Aの位置を算出する。
【0025】
なお、撮像情報生成部14は、人物領域Rの全体形状に加えて、撮影画像内における位置毎の人物の顔の検出状況を考慮して、重心Aの位置を算出してもよい。例えば、撮像情報生成部14は、人物領域R内の分割領域r毎や位置毎に、人物の顔の検出数に相当する重みを付加して重心Aを算出してもよく、人物の目間距離の最小値から最大値までの検出範囲に相当する重みを付加して重心Aを算出してもよい。
【0026】
さらに、撮像情報生成部14は、算出した人物領域Rの重心Aの位置に基づいて、カメラCにて新たに画像を撮像する際の設定情報を生成する。例えば、図7及び図8のように、撮影画像Gの右側に偏って人物領域Rの重心Aの位置が算出された場合には、かかる方向に多数の人物Pが位置していると判断できる。このため、撮像情報生成部14は、カメラCにてさらに右側の領域を撮影できるよう、「カメラの位置を右側に移動する」というカメラの位置の設定を変更するよう指示する情報を、設定情報として生成する。あるいは、撮像情報生成部14は、「カメラの向きを右方向に向ける」というカメラの画角の設定を変更するよう指示する情報を、設定情報として生成する。そして、撮像情報生成部14は、上述したように生成した設定情報を、情報処理システムのユーザに通知するよう出力する。これにより、ユーザによって実際にカメラCを右側に移動した場合には、図9右図に示すように多数の人物が撮影画像G内に映るようになる。また、ユーザによって実際にカメラCを右方向に向けた場合には、図10右図に示すように多数の人物が撮影画像内に映るようになる。
【0027】
ここで、カメラCにて新たに撮影される撮影画像Gに対しては、上述したように常に人物領域Rの生成と重心Aの位置の算出が行われる。これに応じて、撮像情報生成部14は、人物領域Rの重心Aの位置が、図11に示すように撮影画像の中心に位置するまで、上述同様にカメラCにて撮影する際の設定情報の生成及び出力を行う。
【0028】
また、撮像情報生成部14は、必ずしも上述したような設定情報を生成して出力することに限定されず、撮影の際に必要な情報であればいかなる情報を生成して出力してもよい。例えば、撮像情報生成部14は、人物領域Rが撮影画像Gの中心に集中している場合や、人物領域Rが撮影画像Gの全体に広がっている場合には、カメラCのズームを変更する情報を生成して出力してもよい。
【0029】
また、撮像情報生成部14は、必ずしも上述したように人物領域Rの重心Aの位置に基づいて設定情報を生成することに限定されず、人物Pのいかなる分布に基づいて、撮影の際に必要な情報を生成して出力してもよい。例えば、撮像情報生成部14は、上述したように人物Pの顔の向きの分布が生成された場合には、かかる分布に基づいてカメラCの向きやズームを変更する情報を生成して出力してもい。また、例えば、撮像情報生成部14は、上述したように人物Pの顔領域の画質の分布が生成された場合には、かかる分布に基づいてカメラCの向きやズーム、焦点距離(ピント)、を変更する情報を生成して出力してもい。例えば、カメラCのズームや焦点距離を変更することで、撮影画像が鮮明になるなど、撮影画像の質を変更することができる。
【0030】
また、撮像情報生成部14は、図7に示す人物Pの目間距離の分布そのものや、図7及び図8に示す人物領域Rやその重心Aの位置を表す情報そのものを、新たに画像を撮像する際に用いる情報として出力してもよい。これにより、かかる情報を見たユーザは、カメラCの位置を移動したり、カメラCの向きを変更するなど、適切な画像を得ることができるよう操作することができる。
【0031】
[動作]
次に、上述した情報処理システムの動作を、主に図12のフローチャートを参照して説明する。まず、情報処理システムは、カメラCにて対象場所を撮影し、検出装置10が撮影画像を取得する(ステップS1)。そして、検出装置10は、撮影画像内の人物Pの顔の位置及び顔のサイズを検出する(ステップS2)。ここでは、検出装置10は、図3に示すように、人物Pの目間距離を検出して、検出した人物Pの目間距離と、撮影画像上における検出した人物Pの顔の位置を表す情報である分割領域rと、を対応付けて記憶する。なお、検出装置10は、複数の撮影画像に対して人物Pの目間距離を検出して、その位置を記憶する。
【0032】
続いて、検出装置10は、検出した人物Pの顔の位置及び目間距離の分布を生成する(ステップS3)。例えば、検出装置10は、図4に示すように、撮影画像Gを分割した分割領域r毎に、当該分割領域rに対応付けられた目間距離の分布dを生成する。なお、検出装置10は、人物Pの目間距離の分布dに限らず、人物Pに関するいかなる分布を生成してもよい。
【0033】
続いて、検出装置10は、図5及び図6に示すように、人物Pの目間距離の分布dから、撮影画像G内において人物Pが存在する人物領域Rを生成する(ステップS4)。そして、検出装置10は、図7及び図8に示すように、人物領域Rの重心Aの位置を算出する(ステップS5)。
【0034】
続いて、検出装置10は、算出した人物領域Rの重心Aの位置に基づいて、カメラCにて新たに画像を撮像する際の設定情報を生成する(ステップS6)。例えば、図7及び図8のように、撮影画像の右側に偏って人物領域Rの重心Aの位置が算出された場合には、カメラCの位置や画角の設定を変更するような情報を生成して出力する。そして、かかる情報の出力を受けて、ユーザにてカメラCの位置や画角の設定が変更されることで、図9図10に示すように、多数の人物が撮影画像G内に映るようになる。
【0035】
その後、検出装置10は、カメラCにて新たに撮影画像が撮影される毎に人物領域Rの生成と重心Aの位置の算出を行い、当該人物領域Rの重心Aの位置が、図11に示すように撮影画像の中心に位置するまで、上述同様にカメラCにて撮影する際の設定情報の生成及び出力を行ってもよい。なお、検出装置10は、必ずしも上述したようなカメラCの設定情報を生成して出力することに限定されず、撮影の際に必要な情報であればいかなる情報を生成して出力してもよい。
【0036】
以上のように、本実施形態では、まず、撮影した画像に対して出現する人物の位置を検出し、撮影画像内における人物の分布を生成する。そして、かかる分布に基づいて、新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する。このように、既に撮影した画像に出現する人物の位置に応じて新たな画像を撮像する際に用いられる設定などの情報を生成しているため、かかる情報を用いて新たな画像を撮像することができる。その結果、人物検出処理を行う上で適切な質の新たな画像を取得することができる。
【0037】
なお、上記では、検出装置10が撮影画像内から人物Pの顔を検出する場合を例示したが、検出する対象はいかなる物体でもよい。この場合、検出装置10は、上述した人物Pの目間距離を検出することで人物Pの顔の位置を検出することに代えて、検出対象となる物体の位置を検出し、かかる位置に応じて物体の画像内における分布を生成して、分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成してもよい。
【0038】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、図13乃至図15を参照して説明する。図13乃至図14は、実施形態2における画像処理装置の構成を示すブロック図であり、図15は、画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、実施形態1で説明した検出装置10及び画像処理方法の構成の概略を示している。
【0039】
まず、図13を参照して、本実施形態における画像処理装置100のハードウェア構成を説明する。画像処理装置100は、1台又は複数台の一般的な情報処理装置にて構成されており、一例として、以下のようなハードウェア構成を装備している。
・CPU(Central Processing Unit)101(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)102(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)103(記憶装置)
・RAM303にロードされるプログラム群104
・プログラム群304を格納する記憶装置105
・情報処理装置外部の記憶媒体110の読み書きを行うドライブ装置106
・情報処理装置外部の通信ネットワーク111と接続する通信インタフェース107
・データの入出力を行う入出力インタフェース108
・各構成要素を接続するバス109
【0040】
そして、画像処理装置100は、プログラム群104をCPU101が取得して当該CPU101が実行することで、図14に示す位置検出手段121と分布生成手段122と撮像情報生成手段123とを構築して装備することができる。なお、プログラム群104は、例えば、予め記憶装置105やROM102に格納されており、必要に応じてCPU101がRAM103にロードして実行する。また、プログラム群104は、通信ネットワーク111を介してCPU101に供給されてもよいし、予め記憶媒体110に格納されており、ドライブ装置106が該プログラムを読み出してCPU101に供給してもよい。但し、上述した位置検出手段121と分布生成手段122と撮像情報生成手段123とは、電子回路で構築されるものであってもよい。
【0041】
なお、図13は、画像処理装置100のハードウェア構成の一例を示しており、画像処理装置100のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、画像処理装置100は、ドライブ装置106を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0042】
そして、画像処理装置100は、上述したようにプログラムによって構築された位置検出手段121と分布生成手段122と撮像情報生成手段123との機能により、図15のフローチャートに示す画像処理方法を実行する。
【0043】
図15に示すように、画像処理装置100は、
画像内の特定の物体の位置を検出し(ステップS11)、
特定の物体の画像内における分布を生成し(ステップS12)、
分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する(ステップS13)。
【0044】
本実施形態は、以上のように構成されることにより、既に撮影した画像に出現する人物の位置に基づく分布に応じて、新たな画像を撮像する際に用いられる設定などの情報を生成している。そして、生成した情報を用いて新たな画像を撮像することで、人物検出処理を行う上で適切な質の新たな画像を取得することができる。
【0045】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における画像処理装置、画像処理方法、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0046】
(付記1)
画像内の特定の物体の位置を検出し、
前記特定の物体の前記画像内における分布を生成し、
前記分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理方法。
【0047】
(付記2)
付記1に記載の画像処理方法であって、
前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記特定の物体が位置する前記分割領域を表す情報を前記分布として生成する、
画像処理方法。
【0048】
(付記3)
付記2に記載の画像処理方法であって、
前記分布に基づいて、前記特定の物体が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成し、当該結合領域に基づいて、前記新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理方法。
【0049】
(付記4)
付記3に記載の画像処理方法であって、
前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて前記新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理方法。
【0050】
(付記5)
付記4に記載の画像処理方法であって、
前記分割領域毎の前記特定の物体の検出状況に応じて、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出する、
画像処理方法。
【0051】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の画像処理方法であって、
前記分布に基づいて、撮像装置により前記新たな画像を撮像する際の設定を変更する情報を生成する、
画像処理方法。
【0052】
(付記7)
付記6に記載の画像処理方法であって、
前記分布に基づいて、前記撮像装置により前記新たな画像を撮像する際の撮影範囲を変更する情報を生成する、
画像処理方法。
【0053】
(付記8)
付記6又は7に記載の画像処理方法であって、
前記分布に基づいて、前記撮像装置により前記新たな画像を撮像する際の質を変更する情報を生成する、
画像処理方法。
【0054】
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の画像処理方法であって、
複数の前記画像に対して当該画像内の前記特定の物体の位置を検出し、
複数の前記画像から検出された前記特定の物体の位置に基づいて、当該特定の物体の前記画像内における前記分布を生成する、
画像処理方法。
【0055】
(付記10)
付記1乃至9のいずれかに記載の画像処理方法であって、
前記特定の物体である人物の顔の位置を検出する、
画像処理方法。
【0056】
(付記11)
画像内の特定の物体の位置を検出する位置検出手段と、
前記特定の物体の前記画像内における分布を生成する分布生成手段と、
前記分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する撮像情報生成手段と、
を備えた画像処理装置。
【0057】
(付記12)
付記11に記載の画像処理装置であって、
前記分布生成手段は、前記画像を複数の領域に分割した分割領域のうち、前記画像内における前記特定の物体が位置する前記分割領域を表す情報を前記分布として生成する、
画像処理装置。
【0058】
(付記13)
付記12に記載の画像処理装置であって、
前記撮像情報生成手段は、前記分布に基づいて、前記特定の物体が位置する全ての前記分割領域を結合した結合領域を生成し、当該結合領域に基づいて、前記新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理装置。
【0059】
(付記14)
付記13に記載の画像処理装置であって、
前記撮像情報生成手段は、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出し、当該重心の位置に基づいて前記新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
画像処理装置。
【0060】
(付記15)
付記14に記載の画像処理装置であって、
前記撮像情報生成手段は、前記分割領域毎の前記特定の物体の検出状況に応じて、前記画像内における前記結合領域の重心の位置を算出する、
画像処理装置。
【0061】
(付記16)
付記11乃至15のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記撮像情報生成手段は、前記分布に基づいて、撮像装置により前記新たな画像を撮像する際の設定を変更する情報を生成する、
画像処理装置。
【0062】
(付記17)
情報処理装置のプロセッサに、
画像内の特定の物体の位置を検出し、
前記特定の物体の前記画像内における分布を生成し、
前記分布に基づいて新たな画像を撮像する際に用いられる情報を生成する、
ことを実行させるためのプログラム。
【0063】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0064】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 検出装置
11 画像取得部
12 位置検出部
13 分布生成部
14 撮像情報生成部
15 画像記憶部
16 分布記憶部
C カメラ
P 人物
100 画像処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 プログラム群
105 記憶装置
106 ドライブ装置
107 通信インタフェース
108 入出力インタフェース
109 バス
110 記憶媒体
111 通信ネットワーク
121 位置検出手段
122 分布生成手段
123 撮像情報生成手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15