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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】給電システム、及び電力管理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20240109BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240109BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240109BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02J7/10 P
H02J7/10 B
H02J7/00 B
H02J1/00 304H
H02J1/00 304G
H02J1/00 306B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022510227
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013410
(87)【国際公開番号】W WO2021192107
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】光永 琢真
(72)【発明者】
【氏名】直井 克夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】宇都 久和
(72)【発明者】
【氏名】一 雅雄
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/145997(WO,A1)
【文献】特開平06-266458(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J1/00-1/16
H02J3/00-5/00
H02M1/00-1/44
H02M3/00-3/44
H01L31/04-31/06
H02S10/00-10/40
H02S30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給するための直流バスと、
前記直流バスに接続される再生可能エネルギー発電装置と、
前記直流バスに接続され、前記直流バスに供給されるバス電圧を負荷機器に供給される負荷電圧に変換する第1コンバータと、
蓄電池と、
前記蓄電池と前記直流バスとの間に設けられ、前記バス電圧と前記蓄電池の電池電圧とを双方向に変換可能な第2コンバータと、
前記第2コンバータを制御することによって前記蓄電池を充放電する電力管理装置と、
を備え、
前記電力管理装置は、前記再生可能エネルギー発電装置によって生成される発電電力を含む前記直流バスに供給される供給電力から前記負荷機器に供給される負荷電力を引くことによって得られる差分電力と、前記第2コンバータが受電可能な最大電力と、の大小関係に応じて、前記第2コンバータに前記バス電圧を変更させる、給電システム。
【請求項2】
前記電力管理装置は、前記差分電力が前記最大電力よりも小さい場合には、前記発電電力が増加するように、前記第2コンバータに前記バス電圧を変更させる、請求項に記載の給電システム。
【請求項3】
前記電力管理装置は、前記差分電力が前記最大電力よりも大きい場合には、前記発電電力が減少するように、前記第2コンバータに前記バス電圧を変更させる、請求項又は請求項に記載の給電システム。
【請求項4】
直流バスに接続された再生可能エネルギー発電装置によって生成された発電電力を含む前記直流バスに供給される供給電力から、第1コンバータを介して前記直流バスに接続された負荷機器に供給される負荷電力を引くことによって得られる差分電力を取得する第1取得部と、
前記直流バスと蓄電池との間に設けられた第2コンバータの最大電力を取得する第2取得部と、
前記差分電力と前記最大電力との大小関係に応じて、前記第2コンバータに前記直流バスに供給されるバス電圧を変更させる制御部と、
を備え、
前記第2コンバータは、前記バス電圧と前記蓄電池の電池電圧とを双方向に変換可能である、電力管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記差分電力が前記最大電力よりも小さい場合には、前記発電電力が増加するように、前記第2コンバータに前記バス電圧を変更させる、請求項に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記差分電力が前記最大電力よりも大きい場合には、前記発電電力が減少するように、前記第2コンバータに前記バス電圧を変更させる、請求項又は請求項に記載の電力管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電システム、及び電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、風力及び太陽光といった再生可能エネルギーを利用した発電設備の導入が進んでいる。特に、隔離地及び過疎地のような電力系統インフラが整備されていない地域では、経済性向上を図るとともに低炭素社会の実現にも貢献可能な給電システムに対するニーズは高い。電力系統インフラが既に整備されている地域においても、自然災害等で電力系統が停止した場合に負荷機器に対して安定的かつ継続的に電力を供給する給電システムへの期待が高まっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、太陽光発電装置と充放電可能な蓄電池とを備える給電システムが記載されている。この給電システムでは、太陽光発電装置から負荷機器に電力が供給され、太陽光発電装置の発電量と負荷電力との差分に応じて、蓄電池が充放電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/057032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の給電システムでは、太陽光発電装置は、DC/DCコンバータを介して直流バスに接続され、DC/DCコンバータによって適切な電力を出力するように制御される。この給電システムでは、蓄電池は、DC/DCコンバータを介して直流バスに接続されている。太陽光発電装置と蓄電池との間には2つのDC/DCコンバータが介在するので、太陽光発電装置から蓄電池に電力が供給される場合、変換効率が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は、再生可能エネルギー発電装置の発電制御を行いながら、変換効率を向上可能な給電システム、及び電力管理装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る給電システムは、直流電力を供給するための直流バスと、直流バスに接続される再生可能エネルギー発電装置と、直流バスに接続され、直流バスに供給されるバス電圧を負荷機器に供給される負荷電圧に変換する第1コンバータと、蓄電池と、蓄電池と直流バスとの間に設けられ、バス電圧と蓄電池の電池電圧とを双方向に変換可能な第2コンバータと、第2コンバータを制御することによって蓄電池を充放電する電力管理装置と、を備える。電力管理装置は、再生可能エネルギー発電装置によって生成される発電電力を含む直流バスに供給される供給電力から負荷機器に供給される負荷電力を引くことによって得られる差分電力に基づいて、バス電圧を変更するように第2コンバータを制御する。
【0008】
この給電システムでは、再生可能エネルギー発電装置が直流バスに接続され、蓄電池が第2コンバータを介して直流バスに接続されている。このように、再生可能エネルギー発電装置はコンバータを介することなく直流バスに接続されるので、再生可能エネルギー発電装置がコンバータを介して直流バスに接続される構成と比較して、変換効率を向上させることが可能となる。再生可能エネルギー発電装置によって生成される発電電力を含む供給電力から負荷電力を引くことによって得られる差分電力に基づいて、バス電圧が変更される。バス電圧が変更されると、再生可能エネルギー発電装置の発電電力が変更されるので、再生可能エネルギー発電装置の発電制御を行うことができる。その結果、再生可能エネルギー発電装置の発電制御を行いながら、変換効率を向上させることが可能となる。
【0009】
電力管理装置は、差分電力と第2コンバータが受電可能な最大電力との大小関係に応じて、第2コンバータにバス電圧を変更させてもよい。例えば、差分電力が最大電力よりも小さい場合には、発電電力が増加するように、第2コンバータにバス電圧を変更させることができる。一方、差分電力が最大電力よりも大きい場合には、発電電力が減少するように、第2コンバータにバス電圧を変更させることができる。この構成によって、再生可能エネルギー発電装置の発電電力を最適化することが可能となる。
【0010】
電力管理装置は、差分電力が最大電力よりも小さい場合には、発電電力が増加するように、第2コンバータにバス電圧を変更させてもよい。この場合、より多くの発電電力を得ることができる。したがって、再生可能エネルギー発電装置の発電効率を向上させることが可能となる。
【0011】
電力管理装置は、差分電力が最大電力よりも大きい場合には、発電電力が減少するように、第2コンバータにバス電圧を変更させてもよい。この場合、差分電力が最大電力以下に抑えられ得る。したがって、過大な電力が第2コンバータに供給されることを防止することができ、第2コンバータが故障する可能性を低減することが可能となる。
【0012】
本開示の別の側面に係る電力管理装置は、直流バスに接続された再生可能エネルギー発電装置によって生成された発電電力を含む直流バスに供給される供給電力から、第1コンバータを介して直流バスに接続された負荷機器に供給される負荷電力を引くことによって得られる差分電力を取得する第1取得部と、差分電力に基づいて、直流バスに供給されるバス電圧を変更するように直流バスと蓄電池との間に設けられた第2コンバータを制御する制御部と、を備える。第2コンバータは、バス電圧と蓄電池の電池電圧とを双方向に変換可能である。
【0013】
この電力管理装置が適用される給電システムでは、再生可能エネルギー発電装置が直流バスに接続され、蓄電池が第2コンバータを介して直流バスに接続されている。このように、再生可能エネルギー発電装置はコンバータを介することなく直流バスに接続されるので、再生可能エネルギー発電装置がコンバータを介して直流バスに接続される構成と比較して、変換効率を向上させることが可能となる。このような給電システムにおいて、電力管理装置では、直流バスに接続された再生可能エネルギー発電装置によって生成された発電電力を含む供給電力から、負荷電力を引くことによって得られる差分電力に基づいて、バス電圧が変更される。バス電圧が変更されると、再生可能エネルギー発電装置の発電電力が変更されるので、再生可能エネルギー発電装置の発電制御を行うことができる。その結果、変換効率を向上させるとともに、再生可能エネルギー発電装置の発電制御を行うことが可能となる。
【0014】
上記電力管理装置は、第2コンバータが受電可能な最大電力を取得する第2取得部をさらに備えてもよい。制御部は、差分電力と最大電力との大小関係に応じて、第2コンバータにバス電圧を変更させてもよい。例えば、差分電力が最大電力よりも小さい場合には、発電電力が増加するように、第2コンバータにバス電圧を変更させることができる。一方、差分電力が最大電力よりも大きい場合には、発電電力が減少するように、第2コンバータにバス電圧を変更させることができる。この構成によって、再生可能エネルギー発電装置の発電電力を最適化することが可能となる。
【0015】
制御部は、差分電力が最大電力よりも小さい場合には、発電電力が増加するように、第2コンバータにバス電圧を変更させてもよい。この場合、より多くの発電電力を得ることができる。したがって、再生可能エネルギー発電装置の発電効率を向上させることが可能となる。
【0016】
制御部は、差分電力が最大電力よりも大きい場合には、発電電力が減少するように、第2コンバータにバス電圧を変更させてもよい。この場合、差分電力が最大電力以下に抑えられ得る。したがって、過大な電力が第2コンバータに供給されることを防止することができ、第2コンバータが故障する可能性を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、再生可能エネルギー発電装置の発電制御を行いながら、変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係る給電システムを概略的に示す構成図である。
図2図2は、図1に示される再生可能エネルギー発電装置の発電特性を示す図である。
図3図3は、図1に示される電力管理装置のハードウェア構成図である。
図4図4は、図1に示される電力管理装置の機能ブロック図である。
図5図5は、図1に示される電力管理装置が行う電力管理方法の一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0020】
図1は、一実施形態に係る給電システムを概略的に示す構成図である。図1に示される給電システム1は、負荷機器Lに負荷電力WL(負荷電圧VL)を供給するシステムである。本実施形態では、給電システム1は、直流給電システムである。負荷機器Lは、直流電圧で動作する直流負荷機器であってもよく、交流電圧で動作する交流負荷機器であってもよい。直流負荷機器の例としては、LED(Light Emission Diode)照明器、DC(Direct Current)ファン、及びパーソナルコンピュータが挙げられる。交流負荷機器の例としては、洗濯機、冷蔵庫、及びエアーコンディショナが挙げられる。給電システム1は、直流バス2と、1又は複数の電源装置3と、1又は複数の補助電源装置4と、補助電源装置5と、1又は複数のコンバータ6(第1コンバータ)と、1又は複数の蓄電装置7と、電力管理装置10と、を備える。
【0021】
直流バス2は、直流電力を供給する直流給電を行うための母線として機能するバスである。直流バス2は、電源装置3、補助電源装置4、補助電源装置5、蓄電装置7、及び負荷機器Lの設置場所に亘って敷設されている。直流バス2にはバス電圧Vbusが供給される。バス電圧Vbusは、高圧の直流電圧である。バス電圧Vbusは、後述する双方向DC/DCコンバータ73(第2コンバータ)によって、所定の電圧範囲内において変更される。バス電圧Vbusの電圧範囲は、コンバータ6の入力電圧の範囲に含まれるように設定される。バス電圧Vbusは、例えば、DC250V以上DC450V以下の電圧範囲内で変更される。
【0022】
電源装置3は、直流バス2に電力を供給する装置である。本実施形態では、給電システム1は、1つの電源装置3を備えている。電源装置3の数は、1つに限られず、必要に応じて適宜変更され得る。電源装置3は、再生可能エネルギー発電装置31を含む。
【0023】
再生可能エネルギー発電装置31は、直流の発電電力Wreを生成する装置である。再生可能エネルギー発電装置31の例としては、太陽光発電装置、風力発電装置、及び燃料電池が挙げられる。再生可能エネルギー発電装置31は、パワーコンディショナーを介することなく、直流バス2に直接接続されている。再生可能エネルギー発電装置31は、バス電圧Vbusに応じた電力値の発電電力Wreを生成し、発電電力Wreを直流バス2に供給する。
【0024】
図2は、図1に示される再生可能エネルギー発電装置の発電特性を示す図である。再生可能エネルギー発電装置31として太陽光発電装置が用いられる。特性C1~C5は、互いに異なる放射照度での発電電力Wreとバス電圧Vbusとの関係を示している。特性C1、特性C2、特性C3、特性C4、及び特性C5の順に、放射照度が低くなる。図2に示されるように、バス電圧Vbusの電圧値に応じて、発電電力Wreの電力値が変更され得る。
【0025】
補助電源装置4は、直流バス2に電力を供給する装置である。本実施形態では、給電システム1は、1つの補助電源装置4を備えている。補助電源装置4の数は、1つに限られず、必要に応じて適宜変更され得る。補助電源装置4は、発電装置41と、AC(Alternating Current)/DCコンバータ42と、を含む。
【0026】
発電装置41は、交流の発電電力Wgを生成する装置である。発電装置41の例としては、ディーゼル発電機が挙げられる。発電装置41は、AC/DCコンバータ42を介して直流バス2に接続されている。例えば、オペレータによる操作(手動)によって、発電装置41の起動及び停止が行われる。電力管理装置10によって、発電装置41の起動及び停止が制御されてもよい。例えば、発電装置41は、後述の蓄電池71を充電するために、多くの電力が一時的に必要なときに起動される。この場合、発電装置41は、負荷機器Lに負荷電力WLを供給しつつ、蓄電池71を十分に充電可能な電力を発電可能に構成されている。発電装置41は、動作状態において、所定の電圧値の発電電圧Vgを生成し、発電電圧Vgに応じた発電電力Wgを出力する。発電電圧Vgは交流電圧である。
【0027】
AC/DCコンバータ42は、直流バス2に接続されており、発電電圧Vgをバス電圧Vbusに変換する装置である。AC/DCコンバータ42は、例えば、発電電圧Vgに基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。AC/DCコンバータ42は、電力管理装置10からの指令に基づき、発電装置41の発電動作を制御することで、発電電力Wgを制御する。AC/DCコンバータ42は、電力管理装置10からの指令に基づき、発電電圧Vgをバス電圧Vbusに変換し、バス電圧Vbusを直流バス2に供給する。
【0028】
AC/DCコンバータ42は、発電装置41から直流バス2に供給されている発電電力Wgを計測する電力計測機能を有している。AC/DCコンバータ42は、例えば、周期的に発電電力Wgを計測する。AC/DCコンバータ42は、発電電力Wgの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0029】
補助電源装置5は、直流バス2に電力を供給する装置である。補助電源装置5は、商用電源51と、AC/DCコンバータ52と、を含む。商用電源51は、所定の電圧値の系統電圧Vsを含む系統電力Wsを供給する。系統電圧Vsは交流電圧である。商用電源51は、AC/DCコンバータ52を介して直流バス2に接続されている。
【0030】
AC/DCコンバータ52は、直流バス2に接続されており、系統電圧Vsをバス電圧Vbusに変換する装置である。系統電圧Vsは、交流電圧である。AC/DCコンバータ52は、例えば、系統電圧Vsに基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。AC/DCコンバータ52は、電力管理装置10からの指令に基づき、系統電圧Vsをバス電圧Vbusに変換し、バス電圧Vbusを直流バス2に供給する。AC/DCコンバータ52は、商用電源51から直流バス2に供給されている系統電力Wsを計測する電力計測機能を有している。AC/DCコンバータ52は、例えば、周期的に系統電力Wsを計測する。AC/DCコンバータ52は、系統電力Wsの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0031】
補助電源装置4及び補助電源装置5は、安定的に電力を供給することが可能であるので、給電システム1全体の電力が不足している場合に電力を供給するよう制御される。
【0032】
コンバータ6は、直流バス2に接続されており、バス電圧Vbusを負荷電圧VLに変換する装置である。負荷電圧VLは、負荷機器Lに供給される電圧である。負荷機器Lは、コンバータ6を介して直流バス2に接続されている。コンバータ6は、例えば、バス電圧Vbusに基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。本実施形態では、給電システム1は、4つのコンバータ6を備えている。コンバータ6の数は、4つに限られず、負荷機器Lの数に応じて変更され得る。
【0033】
コンバータ6は、電力管理装置10から起動指令を受信した場合、バス電圧Vbusを負荷電圧VLに変換し、負荷電圧VL(負荷電力WL)を負荷機器Lに供給する。負荷機器Lが直流負荷機器である場合、負荷電圧VLは直流電圧であり、コンバータ6はDC/DCコンバータである。負荷機器Lが交流負荷機器である場合、負荷電圧VLは交流電圧であり、コンバータ6はDC/ACコンバータである。コンバータ6は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、負荷電圧VLの供給を停止する。
【0034】
コンバータ6は、直流バス2から負荷機器Lに供給される負荷電流を上限電流値で制限する電流制限機能を有している。上限電流値は、電力管理装置10によって設定される。コンバータ6は、負荷電圧VL及び負荷電流に基づき、直流バス2から負荷機器Lに供給されている負荷電力WLを計測する電力計測機能を有している。コンバータ6は、例えば、周期的に負荷電力WLを計測する。コンバータ6は、負荷電力WLの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0035】
蓄電装置7は、給電システム1で生じた余剰電力を蓄積し、給電システム1で生じた不足電力を供給するための装置である。供給電力の総和から負荷電力WLの総和を引くことによって得られる差分電力が0より大きい場合には、差分電力の大きさ(電力値)に等しい余剰電力が生じる。供給電力は、直流バス2に供給される電力である。本実施形態では、供給電力は、発電電力Wre、発電電力Wg、及び系統電力Wsである。各蓄電装置7には、蓄電装置7の数で余剰電力を均等に分割することによって得られる電力Wcが直流バス2から供給される。差分電力が0より小さい場合には、差分電力の大きさに等しい不足電力が生じる。各蓄電装置7からは、蓄電装置7の数で不足電力を均等に分割することによって得られる電力Wcが直流バス2に放出される。
【0036】
蓄電装置7の数は、3つに限られず、必要に応じて適宜変更され得る。各蓄電装置7は、蓄電池71と、BMU(Battery Management Unit:電池管理装置)72と、双方向DC/DCコンバータ73と、を含む。
【0037】
蓄電池71は、充放電可能な装置である。蓄電池71は、双方向DC/DCコンバータ73を介して直流バス2に接続されている。蓄電池71の例としては、リチウムイオン電池、NAS(ナトリウム硫黄)電池、レドックスフロー電池、鉛蓄電池、及びニッケル水素電池が挙げられる。本実施形態では、複数の蓄電装置7に含まれる蓄電池71は、互いに同種で、かつ同じ蓄電容量を有している。蓄電容量は、蓄電可能な最大の蓄電量である。複数の蓄電装置7に含まれる蓄電池71は、互いに異なる種類の蓄電池でもよく、互いに異なる蓄電容量を有してもよい。蓄電池71は、例えば、複数の電池セルを含む。
【0038】
BMU72は、蓄電池71を管理する装置である。BMU72は、蓄電池71の電池電圧Vbatを計測する機能と、蓄電池71の充放電電流の電流値を計測してSOC(State of charge:残容量)を演算する機能と、を有する。BMU72は、蓄電池71の電池情報を電力管理装置10に送信する。電池情報は、電池電圧Vbatの計測値、充放電電流の電流値、及びSOCを含む。電池情報は、蓄電池71の温度を含んでもよい。BMU72は、周期的に電池情報を電力管理装置10に送信する。
【0039】
双方向DC/DCコンバータ73は、直流バス2に接続されており、バス電圧Vbusと電池電圧Vbatとを双方向に変換可能な装置である。双方向DC/DCコンバータ73は、蓄電池71と直流バス2との間に設けられている。電池電圧Vbatは、蓄電池71の電圧である。双方向DC/DCコンバータ73としては、公知の双方向DC/DCコンバータが用いられ得る。双方向DC/DCコンバータ73は、例えば、バス電圧Vbusに基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。
【0040】
双方向DC/DCコンバータ73は、電力管理装置10によって制御される。具体的には、双方向DC/DCコンバータ73は、電力管理装置10から充電指令を受信した場合、バス電圧Vbusを電池電圧Vbatに変換するとともに、充電電流を直流バス2から蓄電池71に流す。これにより、蓄電池71が充電される。双方向DC/DCコンバータ73は、電力管理装置10から放電指令を受信した場合、電池電圧Vbatをバス電圧Vbusに変換するとともに、放電電流を蓄電池71から直流バス2に流す。これにより、蓄電池71が放電される。双方向DC/DCコンバータ73は、定電流方式で蓄電池71を充電又は放電してもよく、定電圧方式で蓄電池71を充電又は放電してもよい。
【0041】
双方向DC/DCコンバータ73は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、動作を停止させて消費電力を低減させるスリープ状態に移行する。双方向DC/DCコンバータ73は、スリープ状態において充電指令又は放電指令を受信した場合には、スリープ状態から脱して、充電処理又は放電処理を実行する。双方向DC/DCコンバータ73は、蓄電池71に供給する充電電流及び蓄電池71から放出される放電電流の各電流値を蓄電池71の最大電流値(例えば、45A)以下に制限する電流制限機能を有している。
【0042】
双方向DC/DCコンバータ73は、電力Wcを計測する電力計測機能を有している。双方向DC/DCコンバータ73は、例えば、周期的に電力Wcを計測する。双方向DC/DCコンバータ73は、電力Wcの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0043】
双方向DC/DCコンバータ73は、電力管理装置10から電圧調整指令を受信した場合、電圧調整指令に含まれる目標電圧値にバス電圧Vbusの電圧値を合わせる。なお、双方向DC/DCコンバータ73が受電可能な最大電力は、予め定められている。双方向DC/DCコンバータ73は、最大電力の電力値(最大電力値)を含む機器情報を電力管理装置10に送信する。
【0044】
電力管理装置10は、給電システム1全体を管理する装置(コントローラ)である。電力管理装置10は、EMS(Energy Management System)とも称される。電力管理装置10は、補助電源装置4、補助電源装置5、コンバータ6、及び蓄電装置7と通信線を介して互いに通信可能に接続されている。通信線は、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。電力管理装置10は、RS-232C、RS-485、CAN(Controller Area Network)、及びイーサネット(登録商標)等の規格に準拠した通信を行ってもよい。
【0045】
電力管理装置10は、バス電圧Vbusを計測する電圧計測処理を行う。電力管理装置10は、バス電圧Vbusを直接的に計測してもよい。双方向DC/DCコンバータ73がバス電圧Vbusを計測して計測値を電力管理装置10に送信することによって、電力管理装置10がバス電圧Vbusを間接的に計測してもよい。
【0046】
電力管理装置10は、AC/DCコンバータ42、AC/DCコンバータ52、コンバータ6、及び双方向DC/DCコンバータ73のそれぞれに、起動指令、及び停止指令を送信する。例えば、電力管理装置10は、コンバータ6に起動指令を送信することで、コンバータ6に負荷電圧VLを供給させる。電力管理装置10は、コンバータ6に停止指令を送信することで、コンバータ6に負荷電圧VLの供給を停止させる。他のコンバータについても同様である。
【0047】
電力管理装置10は、双方向DC/DCコンバータ73を制御することによって蓄電池71を充放電する充放電処理を行う。電力管理装置10は、差分電力に応じて充放電処理を行う。電力管理装置10は、供給電力の総和が負荷電力WLの総和よりも大きい場合(差分電力が0よりも大きい場合)、双方向DC/DCコンバータ73に充電指令を送信し、その差分電力である余剰電力を蓄電池71に蓄積させる。つまり、各蓄電池71には、蓄電池71の台数で余剰電力を均等に分割することによって得られる電力が蓄積される。電力管理装置10は、供給電力の総和が負荷電力WLの総和よりも小さい場合(差分電力が0よりも小さい場合)、双方向DC/DCコンバータ73に放電指令を送信し、不足電力を蓄電池71から放出させる。蓄電池71の台数で不足電力を均等に分割することによって得られる電力が各蓄電池71から放出される。
【0048】
電力管理装置10は、差分電力に基づいて、バス電圧Vbusを変更するように双方向DC/DCコンバータ73を制御する。電力管理装置10は、バス電圧Vbusの目標電圧値を含む電圧調整指令を双方向DC/DCコンバータ73に送信することで、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。これにより、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御及びピークカット制御が行われる。MPPT制御及びピークカット制御の詳細は後述する。
【0049】
図3は、図1に示される電力管理装置のハードウェア構成図である。図3に示されるように、電力管理装置10は、物理的には、1又は複数のプロセッサ101、メモリ102、及び通信インターフェース103等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成され得る。プロセッサ101の例としては、CPU(Central Processing Unit)が挙げられる。メモリ102は、主記憶装置と補助記憶装置とを含み得る。主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成される。補助記憶装置の例としては、半導体メモリ、及びハードディスク装置が挙げられる。通信インターフェース103は、他の装置とデータの送受信を行う装置である。通信インターフェース103は、例えば、RS-232C、RS-485、及びCANといった通信規格に準拠した通信モジュール、ネットワークインタフェースカード(NIC)又は無線通信モジュールで構成される。
【0050】
プロセッサ101が、メモリ102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、プロセッサ101の制御のもとで各ハードウェアが動作し、メモリ102におけるデータの読み出し及び書き込みが行われる。これにより、電力管理装置10の図4に示される各機能部が実現される。
【0051】
図4は、図1に示される電力管理装置の機能ブロック図である。図4に示されるように、電力管理装置10は、機能的には、取得部11(第1取得部)と、取得部12(第2取得部)と、制御部13と、を備える。
【0052】
取得部11は、差分電力の電力値(差分電力値)を取得する機能部である。取得部11は、例えば、直流バス2と双方向DC/DCコンバータ73との間の電力Wcの計測値を各双方向DC/DCコンバータ73から取得し、電力Wcの計測値の総和を差分電力値とする。本実施形態では、3つの双方向DC/DCコンバータ73からそれぞれ電力Wcの計測値を取得する。
【0053】
取得部11は、供給電力の計測値の総和から負荷電力WLの計測値の総和を減算することによって得られた値を差分電力値として取得してもよい。この場合、取得部11は、AC/DCコンバータ42から発電電力Wgの計測値を取得し、AC/DCコンバータ52から系統電力Wsの計測値を取得し、各コンバータ6から負荷電力WLの計測値を取得する。取得部11は、再生可能エネルギー発電装置31と直流バス2との間に設けられた不図示の電流センサによって計測された電流値と、バス電圧Vbusの電圧値とを乗算することによって、発電電力Wreの電力値を算出する。
【0054】
取得部12は、給電システム1における双方向DC/DCコンバータ73が受電可能な最大電力の電力値(最大電力値)を取得する機能部である。取得部12は、例えば、各双方向DC/DCコンバータ73から最大電力値を含む機器情報を取得し、各双方向DC/DCコンバータ73の最大電力値の総和を給電システム1における双方向DC/DCコンバータ73が受電可能な最大電力値とする。
【0055】
複数の双方向DC/DCコンバータ73が互いに同一の最大電力を有する場合には、1つの双方向DC/DCコンバータ73から取得した最大電力値と、双方向DC/DCコンバータ73の数とを乗算することによって得られる値が、給電システム1における双方向DC/DCコンバータ73が受電可能な最大電力値として用いられてもよい。
【0056】
制御部13は、差分電力に基づいて、バス電圧Vbusを変更するように双方向DC/DCコンバータ73を制御する機能部である。制御部13は、差分電力と双方向DC/DCコンバータ73の最大電力との大小関係に応じて、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。例えば、制御部13は、差分電力が上記最大電力よりも小さい場合には、MPPT制御を実施する。MPPT制御は、発電電力Wreを最大化する制御である。言い換えると、制御部13は、差分電力が上記最大電力よりも小さい場合には、発電電力Wreが増加するようにバス電圧Vbusを変更させる。制御部13は、例えば山登り法(Hill Climbing Method)を用いてMPPT制御を実施する。
【0057】
制御部13は、差分電力が上記最大電力よりも大きい場合には、ピークオフ制御を実施する。ピークオフ制御は、発電電力Wreが双方向DC/DCコンバータ73の最大電力よりも大きくならないように、発電電力Wreを抑える制御である。言い換えると、制御部13は、差分電力が上記最大電力よりも大きい場合には、発電電力Wreが減少するようにバス電圧Vbusを変更させる。
【0058】
次に、図5をさらに参照して、電力管理装置10が行う電力管理方法を説明する。図5は、図1に示される電力管理装置が行う電力管理方法の一連の処理を示すフローチャートである。図5の一連の処理は、所定の時間(例えば、10秒)が経過するごとに繰り返し行われる。
【0059】
まず、取得部11が、差分電力値を取得する(ステップS11)。取得部11は、例えば、各双方向DC/DCコンバータ73から電力Wcの計測値を受信し、それらの計測値の総和を差分電力値として取得する。そして、取得部11は、差分電力値を制御部13に出力する。
【0060】
続いて、取得部12は、給電システム1におけるすべての双方向DC/DCコンバータ73によって受電可能な最大電力値を取得する(ステップS12)。取得部12は、例えば、各双方向DC/DCコンバータ73から最大電力値を取得し、これらの最大電力値の総和を給電システム1における双方向DC/DCコンバータ73が受電可能な最大電力値とする。そして、取得部12は、最大電力値を制御部13に出力する。
【0061】
続いて、制御部13は、取得部11から差分電力値を受け取り、取得部12から双方向DC/DCコンバータ73の最大電力値を受け取ると、差分電力値と最大電力値とを比較することによって、差分電力が双方向DC/DCコンバータ73の最大電力よりも大きいか小さいかを判定する(ステップS13)。ステップS13において、差分電力が最大電力よりも小さいと判定された場合(ステップS13;YES)、制御部13は、MPPT制御を実施する(ステップS14)。
【0062】
具体的には、制御部13は、差分電力が増加するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。バス電圧Vbusを変更することによって差分電力が増加した場合、発電電力Wreが増加したと考えられる。したがって、制御部13は、発電電力Wreが増加するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させているともいえる。なお、MPPT制御は、充電処理時に限られず、放電処理時においても実施される。
【0063】
制御部13は、例えば、山登り法を用いて、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。この場合、制御部13は、例えば、バス電圧Vbusの電圧値に所定値を加算することで得られる目標電圧値を含む電圧調整指令を各双方向DC/DCコンバータ73に送信する。そして、差分電力が増加した場合には、制御部13は、所定値の符号を変更することなく、バス電圧Vbusの電圧値にさらに所定値を加算することで得られる目標電圧値を含む電圧調整指令を双方向DC/DCコンバータ73に送信する。差分電力が減少した場合には、制御部13は、所定値の符号を反転した上で、バス電圧Vbusの電圧値に所定値を加算することで得られる目標電圧値を含む電圧調整指令を双方向DC/DCコンバータ73に送信する。以上により、電力管理方法の一連の処理が終了する。
【0064】
一方、ステップS13において、差分電力が双方向DC/DCコンバータ73の最大電力よりも大きいと判定された場合(ステップS14;NO)、制御部13は、ピークカット制御を実施する(ステップS15)。具体的には、制御部13は、差分電力が減少するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。バス電圧Vbusを変更することによって差分電力が減少した場合、発電電力Wreが減少したと考えられる。したがって、制御部13は、発電電力Wreが減少するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させているともいえる。
【0065】
制御部13は、例えば、バス電圧Vbusの電圧値を所定値だけ減少した目標電圧値を含む電圧調整指令を各双方向DC/DCコンバータ73に送信する。そして、差分電力が最大電力よりも大きい場合には、制御部13は、バス電圧Vbusの電圧値をさらに所定値だけ減少した目標電圧値を含む電圧調整指令を双方向DC/DCコンバータ73に送信する。制御部13は、差分電力が最大電力を下回るまで上記処理を繰り返し行う。以上により、電力管理方法の一連の処理が終了する。
【0066】
以上説明した給電システム1では、再生可能エネルギー発電装置31が直流バス2に接続され、蓄電池71が双方向DC/DCコンバータ73を介して直流バス2に接続されている。このように、再生可能エネルギー発電装置31はコンバータを介することなく直流バス2に直接接続されるので、再生可能エネルギー発電装置31がコンバータを介して直流バス2に接続される構成と比較して、変換効率を向上させることが可能となる。
【0067】
例えば、1つのコンバータ当たりの電力変換効率が90%であるとすると、再生可能エネルギー発電装置31がコンバータを介して直流バス2に接続される構成では、再生可能エネルギー発電装置31から蓄電池71に供給される電力の変換効率は、81%である。一方、給電システム1では、再生可能エネルギー発電装置31から蓄電池71に供給される電力の変換効率は、90%である。したがって、変換効率を9%向上させることができる。
【0068】
この給電システム1に適用される電力管理装置10では、発電電力Wreを含む供給電力から負荷電力WLを引くことによって得られる差分電力に基づいて、バス電圧Vbusが変更される。バス電圧Vbusが変更されると、再生可能エネルギー発電装置31の発電電力Wreが変更されるので、再生可能エネルギー発電装置31の発電制御を行うことができる。その結果、再生可能エネルギー発電装置31の発電制御を行いながら、変換効率を向上させることが可能となる。
【0069】
電力管理装置10(制御部13)は、差分電力と双方向DC/DCコンバータ73の最大電力との大小関係に応じて、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。例えば、電力管理装置10は、差分電力が上記最大電力よりも小さい場合には、発電電力Wreが増加するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。これにより、より多くの発電電力Wreを得ることができる。したがって、再生可能エネルギー発電装置31の発電効率を向上させることが可能となる。一方、電力管理装置10は、差分電力が上記最大電力よりも大きい場合には、発電電力Wreが減少するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させる。これにより、差分電力が最大電力以下に抑えられ得る。したがって、過大な電力が双方向DC/DCコンバータ73に供給されることを防止することができ、双方向DC/DCコンバータ73が故障する可能性を低減することが可能となる。以上のように、発電電力Wreを最適化することが可能となる。
【0070】
なお、本開示に係る給電システム、及び電力管理装置は上記実施形態に限定されない。
【0071】
例えば、給電システム1は、補助電源装置5を備えていなくてもよい。この場合、給電システム1は、独立型の直流電源システムとも称される。
【0072】
電力管理装置10は、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、電力管理装置10は、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。
【0073】
AC/DCコンバータ42、AC/DCコンバータ52、コンバータ6、及び双方向DC/DCコンバータ73の少なくともいずれかは、電力計測機能を有していなくてもよい。この場合、電力管理装置10は、電圧センサによって計測された電圧の計測値と、電流センサによって計測された電流の計測値と、から各電力の計測値を取得してもよい。
【0074】
上記実施形態では、AC/DCコンバータ42、AC/DCコンバータ52、コンバータ6、及び双方向DC/DCコンバータ73のそれぞれは、装置内部で生成した直流電圧で動作している。この構成に代えて、給電システム1が電源ユニットを備え、電源ユニットが、直流バス2のバス電圧Vbusから一定の電圧値を有する直流電圧を生成し、各装置に直流電圧(電力)を供給してもよい。
【0075】
制御部13は、MPPT制御として、1つの双方向DC/DCコンバータ73から取得した電力Wcの計測値が、当該双方向DC/DCコンバータ73の最大電力値よりも小さい場合に、電力Wcが増加するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させてもよい。同様に、制御部13は、ピークカット制御として、1つの双方向DC/DCコンバータ73から取得した電力Wcの計測値が、当該双方向DC/DCコンバータ73の最大電力値よりも大きい場合に、電力Wcが減少するように、双方向DC/DCコンバータ73にバス電圧Vbusを変更させてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…給電システム、2…直流バス、6…コンバータ(第1コンバータ)、10…電力管理装置、11…取得部(第1取得部)、12…取得部(第2取得部)、13…制御部、31…再生可能エネルギー発電装置、71…蓄電池、73…双方向DC/DCコンバータ(第2コンバータ)、L…負荷機器、Vbat…電池電圧、Vbus…バス電圧、VL…負荷電圧、Wg…発電電力(供給電力)、Wre…発電電力(供給電力)、Ws…系統電力(供給電力)、WL…負荷電力。
図1
図2
図3
図4
図5