特許7414125IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

各種の分析装置や計測装置で得られる信号波形に関する情報を推定する方法及び装置、並びに、該方法及び装置を用いたピーク波形処理方法及び装置に関する。なお、本明細書において「信号波形」とは、分析や計測によって得られる波形そのもののほかに、分析や計測によって得られた信号を処理することで作成された波形も含むものとする。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

上述した特許文献1に記載のような、モデル関数のフィッティングを利用したピーク検出法をクロマトグラムに適用する場合、モデル関数としてEMG(Exponential Modified Gaussian)関数がしばしば用いられる。その理由は、クロマトグラムにおけるピーク波形は理想的にはガウス波形に近いものの、実際にはテーリングのために非対称波形になることが多いためである。しかしながら、こうしたテーリングを考慮して補正されたモデル関数を用いても、ピークの裾部の形状まで厳密に一致するようなフィッティングを行うことは難しく、ピークの形状誤差が生じがちである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

課題の一つを解決するために成された本発明に係る波形情報推定方法の一態様は、信号波形についての波形情報を推定する方法であって、コンピューターを用い、 所定の分析装置を用いた実測に基く信号波形から、モデル化対象である部分波形を抽出する波形抽出ステップと、 前記波形抽出ステップにおいて得られた部分波形を入力とし、生成モデルと識別モデルという互いに敵対する二つのモデルを用いた敵対的学習を・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明に係る態様の波形情報推定方法及び装置では、例えば、非特許文献2、3等に開示されている、機械学習の一手法である敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network:以下「GAN」と称す)を利用して、信号波形から抽出される部分波形に対応するモデル関数と、そのモデル関数の変動(ばらつき)に関する分布(確率分布)情報を取得することができる。GANによる学習の際には、例えばクロマトグラフ装置で実際に試料を分析することで得られたクロマトグラムから抽出されたピーク波形を本物のデータとして与える。

分析装置の種類は同じであっても、分析対象である試料の種類、或いは試料に含まれる成分の種類(カテゴリーなど)によって信号波形の形状が大きく相違する場合がある。そうした、形状が大きく異なる複数の信号波形を本物のデータとしてGANによる学習に供しても、学習が適切に行われず、目的とする精度の高い生成モデルを得ることは難しい。したがって、試料の種類等を限らない汎用的な分析ではなく、試料の種類や成分の種類、分析の目的、適用分野などを或る程度限定することで、波形形状の傾向が近い、つまりは波形形状が或る程度揃っている部分波形を本物のデータとしたGANの学習を実行するとよい。

なお、敵対的学習は必ずしもニューラルネットワークを用いたGAN(ここでいうGANはGANの基本構造を有する広義のGANであり、WGAN(=Wasserstein GAN)、WGAN-gpなどの様々な改良版を含む)である必要はなく、ニューラルネットワークに代えて、学習対象のデータに基て該データの分布を近似できる関数を出力するアルゴリズムを用いてもよい。

本発明に係る態様の波形情報推定方法及び装置によれば、例えば、クロマトグラフ装置で得られるクロマトグラムにおけるピーク等の部分波形を高い精度でモデル化するためのモデル関数や、そのモデル関数の波形形状の分布の情報を、高い精度で以て取得することができる。

また本発明に係る一態様のピーク波形処理方法及び装置によれば、上述したように得られた精度の高いモデル関数や波形分布情報をピーク検出に利用することで、解析対象であるクロマトグラム等において観測されるピークをより的確に検出することができる。また、本発明に係る他の態様のピーク波形処理方法及び装置によれば、クロマトグラムやスペクトル上で複数のピークが重なっている場合でも、それらピークを高い確度で分離することができる。また、そうして検出したピーク、或いは分離されたピークの面積値や高さ値などのピーク特徴値を精度良く求めることができる。それによって、試料中の成分の定量精度を向上させることができる。

また、モデル関数やその関数の波形分布情報が判明していることで、解析対象であるクロマトグラムから求まるピークの面積値や高さ値などのピーク特徴値が採り得る誤差の範囲を合理的に算出することができる。それによって、例えば、他の波形処理法によって得られたピークの特徴値が適切であるか否か等の評価を的確に行うことができる。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】 本発明に係る波形情報推定装置を含むデータ解析装置を備えたLC装置の一実施形態の概略構成図。
【図2】 本発明に係る波形情報推定装置の一実施形態の機能ブロック構成図。
【図3】 図2に示した波形情報推定装置における敵対的学習実行部の機能ブロック構成図。
【図4】 図3中の生成器におけるネットワーク構成例を示す図。
【図5】 GANの入力データ(本物の波形データ)の一例を示す図。
【図6】 GANの出力データ(偽波形データ)の一例を示す図。
【図7】 検量線を対象としたときのGANの入力データ(本物データ)の一例を示す図。
【図8】 検量線を対象としたときのGANの出力データ(偽データ)の一例を示す図。

代表図 図1本件の代表的な図

10…測定部 11…移動相容器 12…ポンプ 13…インジェクター 14…カラム 15…検出器 20…データ解析部 21…データ収集部 22…ピーク検出処理部 221…事前情報記憶部 222…ベイズ推定処理部 223…ピーク特徴値決定部 23…定性・定量解析部 24…入力部 25…表示部 30…実測データ入力部 31…ピーク波形抽出部 32…敵対的学習実行部 33…モデル関数情報決定部 40…ランダムノイズ発生部 41…生成器 411…時間歪関数生成部 412…時間入力部 413…ガウス関数演算部 44…データ選択部 45…識別器 46…判定部 47…更新処理部

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