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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】補助接点ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/04 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
H01H50/04 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022556381
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021012022
(87)【国際公開番号】W WO2022085220
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020176693
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】菊地 翔太
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 耕明
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 遼太郎
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2091267(KR,B1)
【文献】特開平11-339618(JP,A)
【文献】実開昭57-152737(JP,U)
【文献】実開昭58-003086(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0417612(KR,Y1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0376474(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁接触器の側面にスナップフィットによって取り付けられる補助接点ユニットであって、
前記スナップフィットは、
前記電磁接触器に向かって突出し、鉤状に形成された先端部が前記電磁接触器に係合する突出片と、
前記突出片の基端側に形成され、外部から押圧されたときの撓みによって、前記電磁接触器に係合された前記先端部を解除させる解除操作部と、を備え、
正面から見て前記電磁接触器の側面に沿った方向を縦方向とし、
前記スナップフィットは、前記縦方向の一端側及び他端側の双方に一つずつ設けられ、
前記解除操作部は、夫々、外部から前記縦方向の内側に押圧されたときの撓みによって、前記電磁接触器に係合された前記先端部を解除させ
前記解除操作部は、
前記縦方向の外側に向かって延び、前記電磁接触器のある側に前記突出片が形成されている基幹片と、
前記基幹片における前記縦方向の先端側から前記電磁接触器のある側とは反対方向に向かって延び、外部から前記縦方向の内側に押圧されるときに、前記基幹片を前記電磁接触器のある側とは反対方向に撓ませる操作片と、を備えることを特徴とする補助接点ユニット。
【請求項2】
前記スナップフィットは、他の前記補助接点ユニットに係合可能であり、
複数台で連結可能であることを特徴とする請求項1に記載の補助接点ユニット。
【請求項3】
補助接点の開閉を行なう補助接点支えを備え、
前記補助接点支えにおける前記電磁接触器のある側の側面には、前記電磁接触器に向かって突出し、前記電磁接触器における主接点支えの可動凹部に差し込み可能な可動凸部が形成され、
前記補助接点支えにおける前記電磁接触器のある側とは反対側の側面には、他の前記補助接点ユニットにおける前記可動凸部を差し込み可能な可動凹部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の補助接点ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器に取り付けられる補助接点ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器にオプションで取り付け可能な補助接点ユニットは、電磁接触器の開閉に連動して補助接点の信号を外部の電子制御回路等に出力するものである。補助接点ユニットの形式として、例えば引用文献1に示されるように、電磁接触器の本体側面に取り付けるサイドオンタイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-038644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイドオンタイプの補助接点ユニットは、取り付け構造にスナップフィットを採用している場合、素手で容易に取り付けることができる。しかしながら、スナップフィットは一般に素手で容易に解除できるものではない。そのため、取り外すときには電磁接触器のケースを分解しなければならない。電磁接触器のケースは、分割されたケース同士をねじ止めするタイプでは、ねじを外す工具が必要となる。また、分割されたケース同士を線ばねで固定するタイプでは、線ばねを外し、ケース同士を外すための工具が必要となる。
本発明の目的は、電磁接触器に取り付けられる補助接点ユニットにおいて、取り外しの容易性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る補助接点ユニットは、電磁接触器の側面にスナップフィットによって取り付けられる補助接点ユニットであって、スナップフィットは、電磁接触器に向かって突出し、鉤状に形成された先端部が電磁接触器に係合する突出片と、突出片の基端側に形成され、外部から押圧されたときの撓みによって、電磁接触器に係合された先端部を解除させる解除操作部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、外部から押圧するだけで、電磁接触器に係合された突出片の先端部を解除させる解除操作部を設けたので、スナップフィットを素手(手指)で容易に解除することができる。したがって、ケースを分解したり、工具を用いたりする必要がなく、取り外しの容易性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電磁接触器、及び補助接点ユニットを示す図である。
図2】電磁接触器を示す図である。
図3】電磁接触器における取付穴の断面を示す図である。
図4】補助接点ユニットの外観を示す図である。
図5】補助接点ユニットにおける取付穴の断面を示す図である。
図6】スナップフィットを示す図である。
図7】補助接点ユニットの取り付け方を示す図である。
図8】補助接点ユニットの取り外し方を示す図である。
図9】ケースを分解した補助接点ユニットを示す図である。
図10】補助接点支えを示す図である。
図11】補助接点を示す図である。
図12】比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《一実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。
図1は、電磁接触器、及び補助接点ユニットを示す図である。
図中の(a)は、電磁接触器11に補助接点ユニット12を取り付ける前の状態を示している。図中の(b)は、電磁接触器11の側面に一台目の補助接点ユニット12を取り付け、さらに一台目の補助接点ユニット12の側面に二台目の補助接点ユニット12を取り付けた状態を示している。何れも、電磁接触器11及び補助接点ユニット12を正面から見た、つまり奥行き方向の手前側から見た状態である。
【0010】
電磁接触器11は、主回路を開閉するものであり、補助接点ユニット12は、電磁接触器11の開閉に連動して補助接点の信号を外部の電子制御回路等に出力するものである。補助接点ユニット12は、電磁接触器11における幅方向の側面に取り付けるサイドオンタイプであり、且つ複数台の補助接点ユニット12同士を連結可能な構造になっている。ここでは電磁接触器11における一方の側面だけに補助接点ユニット12を取り付けているが、他方の側面にも同じように補助接点ユニット12を取り付けることができる。電磁接触器11に対する補助接点ユニット12の最大取り付け台数は、電磁接触器11に内蔵された電磁石の吸引力に依存しており、ここでは一方の側面と他方の側面とを合わせて3台か4台程度は取り付け可能である。補助接点ユニット12は、スナップフィット13によって着脱可能な構造になっている。
【0011】
図2は、電磁接触器を示す図である。
ここでは、電磁接触器11における一方の側面だけを図示しているが、他方の側面については、幅方向に反転させた対称構造であるため、図示を省略する。電磁接触器11のケースは樹脂製である。
電磁接触器11には、縦方向における一端及び他端の各端面21のうち、奥行方向の奥側で、且つ幅方向における一端及び他端の各外縁に、スナップフィット13を引っ掛け(係合)可能な突起部22が形成されている。突起部22は、縦方向の外側に向かって凸となり、奥行方向に沿って延びた突起であり、幅方向における外側の端面が、電磁接触器11の側面23と揃っている。突起部22は、幅方向における外側の端面と縦方向における外側の端面との角部が面取りされている。
【0012】
電磁接触器11には、幅方向における一端及び他端の各側面23のうち、奥行方向の略中央で、且つ縦方向の略中央に、ケースの側壁を幅方向に貫通し、奥行方向に沿って延びる開口部24が形成されている。開口部24からは、内部に収容された主接点支え25の可動凹部26が露出している。主接点支え25は、電磁石のオン/オフに応じて奥行方向に沿って変位することにより、主接点の開閉を行なうものであり、可動凹部26は、主接点支え25における幅方向の両端面に形成されている。
電磁接触器11には、幅方向における一端及び他端の各側面23のうち、奥行方向の略中央で、且つ縦方向の両側に、取付凹部27が形成されている。
【0013】
電磁接触器11には、幅方向における一端及び他端の各側面23のうち、奥行方向の手前側で、且つ縦方向の略中央に、取付穴28が形成されている。
図3は、電磁接触器における取付穴の断面を示す図である。
ここでは、電磁接触器11のケースだけを示し、内部に収容される主接点支え25を省略している。取付穴28は、縦方向から見ると、ケースの側壁を略L字状に貫通した穴であり、幅方向に沿って形成された幅方向穴28aと、奥行方向に沿って形成された奥行方向穴28bと、を備える。すなわち、幅方向の内側へと進み、直角に曲がり、奥行方向の手前側へと抜けている。
【0014】
図4は、補助接点ユニットの外観を示す図である。
補助接点ユニット12においては、幅方向のうち、電磁接触器11から遠い側を外側とし、電磁接触器11に近い側を内側とする。図中の(a)は、補助接点ユニット12における幅方向の内側となる側面31を示す。補助接点ユニット12のケースは、樹脂製である。
補助接点ユニット12には、奥行方向の奥側で、且つ縦方向の一端側及び他端側の双方に、一対のスナップフィット13が形成されている。一対のスナップフィット13は、夫々、幅方向の内側に向かって突出しており、電磁接触器11の突起部22に引っ掛け可能である。
【0015】
補助接点ユニット12には、幅方向における内側の側面31のうち、奥行方向の略中央で、且つ縦方向の略中央に、ケースの側壁を幅方向に貫通し、奥行方向に沿って延びる開口部34が形成されている。開口部34からは、内部に収容された補助接点支え35の可動凸部36が突出している。可動凸部36は、主接点支え25の可動凹部26に差し込み可能である。補助接点支え35は、可動凸部36が主接点支え25の可動凹部26に差し込まれている場合、主接点支え25と連動し、奥行方向に沿って変位することにより、補助接点の開閉を行なう。
【0016】
補助接点ユニット12には、幅方向における内側の側面31のうち、奥行方向の略中央で、且つ縦方向の両側に、一対の取付凸部37が形成されている。一対の取付凸部37は、夫々、電磁接触器11の取付凹部27に嵌め込み可能である。
補助接点ユニット12には、幅方向における内側の側面31のうち、奥行方向の手前側で、且つ縦方向の略中央に、取付フック38が形成されている。取付フック38は、まず幅方向の内側に向かい、それから奥行方向の手前側に向かって突出した鉤状に形成されており、電磁接触器11の取付穴28に引っ掛け可能である。
【0017】
図中の(b)は、補助接点ユニット12における幅方向の外側となる側面41を示している。
補助接点ユニット12には、幅方向における外側の側面41のうち、奥行方向の略中央で、且つ縦方向の略中央に、ケースの側壁を幅方向に貫通し、奥行方向に沿って延びる開口部44が形成されている。開口部44からは、内部に収容された補助接点支え35の可動凹部46が露出している。可動凹部46には、他の補助接点支え35の可動凸部36が差し込み可能である。
補助接点ユニット12には、幅方向における外側の側面41のうち、奥行方向の略中央で、且つ縦方向の両側に、一対の取付凹部47が形成されている。一対の取付凹部47には、夫々、他の補助接点ユニット12の取付凸部37が嵌め込み可能である。
【0018】
補助接点ユニット12には、幅方向における外側の側面41のうち、奥行方向の手前側で、且つ縦方向の略中央に、取付穴48が形成されている。取付穴48には、他の補助接点ユニット12の取付フック38が引っ掛け可能である。
図5は、補助接点ユニットにおける取付穴の断面を示す図である。
ここでは、補助接点ユニット12のケースだけを示し、内部に収容される補助接点支え35を省略している。取付穴48は、縦方向から見ると、ケースの側壁を略L字状に貫通した穴であり、幅方向に沿って形成された幅方向穴48aと、奥行方向に沿って形成された奥行方向穴48bと、を備える。すなわち、幅方向の内側へと進み、直角に曲がり、奥行方向の手前側へと抜けている。
【0019】
図6は、スナップフィットを示す図である。
補助接点ユニット12には、縦方向における一端及び他端の各端面51のうち、幅方向における外側の外縁に、スナップフィット13を引っ掛け(係合)可能な突起部52が形成されている。突起部52は、縦方向及び奥行方向に沿った略板状であり、縦方向の外側に向かって延び、幅方向における外側の端面が、補助接点ユニット12における幅方向外側の側面41と揃っている。突起部52は、幅方向における外側の端面と縦方向における外側の端面との角部が面取りされている。
補助接点ユニット12には、縦方向における一端及び他端の各端面51のうち、幅方向における略中央に、スナップフィット13が形成されている。
【0020】
スナップフィット13は、突出片53と、解除操作部54と、を備える。
突出片53は、幅方向及び奥行方向に沿った略板状であり、幅方向の内側に向かって突出し、その先端部55は、縦方向の内側に向かって凸となる鉤状に形成されている。先端部55は、電磁接触器11の突起部22に、又は他の補助接点ユニット12の突起部52に引っ掛け可能である。取り付けの際に、先端部55が突起部22又は突起部52を乗り越えやすくするために、先端部55における縦方向の内側は、幅方向の内側に向かうほど縦方向の厚さが小さくなるように傾斜している。突出片53のうち先端部55を除いた縦方向における内側の端面位置と、突起部52における縦方向の先端位置とは、縦方向の位置が同一に設定されている。
【0021】
解除操作部54は、突出片53の基端側に形成され、外部から縦方向の内側に押圧されたときの撓みによって、電磁接触器11の突起部22に、又は他の補助接点ユニット12の突起部52に引っ掛かった先端部55を解除させる。
解除操作部54は、基幹片56と、操作片57と、を備える。
基幹片56は、縦方向及び奥行方向に沿った略板状であり、端面51のうち幅方向の略中央から縦方向の外側に向かって延びており、幅方向における内側の端面に突出片53が形成されている。
【0022】
操作片57は、幅方向及び奥行方向に沿った略板状であり、基幹片56の先端側から幅方向の外側に向かって延び、その先端部58は、ユーザが手指を引っ掛けやすいように、縦方向の外側に向かって凸となる鉤状に形成されている。先端部58は、幅方向における外側の端面が、補助接点ユニット12における幅方向外側の側面41と揃っている。操作片57は、外部から縦方向の内側に押圧されるときに、基幹片56を幅方向の外側へと撓ませる。このとき、突出片53の先端部55が縦方向の外側へと変位することで、先端部55が電磁接触器11の突起部22から、又は他の補助接点ユニット12の突起部52から解除され、補助接点ユニット12の取り外しが可能となる。
【0023】
次に、補助接点ユニットの取り付け方について説明する。
図7は、補助接点ユニットの取り付け方を示す図である。
まず、補助接点ユニット12を傾けながら、取付フック38を電磁接触器11の取付穴28に引っ掛ける。次いで、電磁接触器11の主接点支え25を奥行方向の奥側に押し込んだ状態で、補助接点ユニット12における奥行方向の奥側を、電磁接触器11に近づけてゆく。このとき、可動凸部36が主接点支え25の可動凹部26に差し込まれ、取付凸部37が取付凹部27に嵌め込まれてゆく。
【0024】
また、スナップフィット13の先端部55が突起部22に当接し、さらに押し込んでゆくときに、突出片53や基幹片56に撓みが生じる。そして、先端部55が突起部22を乗り越え、撓んでいた突出片53や基幹片56が復元したときに、鉤状の先端部55が突起部22に引っ掛かり、補助接点ユニット12が電磁接触器11に固定される。取付フック38及びスナップフィット13は、補助接点ユニット12を幅方向に支持し、取付凸部37は、補助接点ユニット12を奥行方向に支持している。補助接点ユニット12に、他の補助接点ユニット12を取り付ける場合も同様である。
【0025】
図8は、補助接点ユニットの取り外し方を示す図である。
スナップフィット13は、縦方向における一端及び他端の双方に一つずつ設けられており、夫々、解除操作部54を縦方向の内側に押圧すると、電磁接触器11の突起部22に引っ掛かった先端部55が解除される。操作片57の先端部58同士の離隔距離は、一般的な手の大きさのユーザが、親指の指先と、他の指(例えば中指)の指先とで容易につまんで縦方向の内側に押圧できる範囲内に設定されている。両方の先端部55が突起部22から解除されたら、補助接点ユニット12における奥行方向の奥側を、電磁接触器11から引き離す。可動凸部36が主接点支え25の可動凹部26から外れ、取付凸部37が取付凹部27から外れたら、取付フック38を電磁接触器11の取付穴28から外すことにより、補助接点ユニット12の取り外しが完了となる。補助接点ユニット12から、他の補助接点ユニット12を取り外す場合も同様である。
【0026】
図9は、ケースを分解した補助接点ユニットを示す図である。
図中の(a)は、幅方向における外側のケース61であり、図中の(b)は、幅方向における外側のケース62である。ケース61及びケース62は、何れも樹脂製であり、ケース61における幅方向の内側と、ケース62における幅方向の外側とが、互いのボスを嵌め合わせて締結される。補助接点ユニット12の内部には、接点収容部63が形成されている。補助接点支え35は、奥行方向に沿って進退可能な状態で接点収容部63に収容される。
【0027】
図10は、補助接点支えを示す図である。
図中の(a)は、補助接点支え35の斜視図であり、図中の(b)は、補助接点支え35の断面図である。
補助接点支え35は、樹脂製であり、奥行方向に長い略直方体状に形成されている。補助接点支え35には、幅方向における内側の側面のうち、奥行方向の略中央に、幅方向の内側に向かって凸となる可動凸部36が形成され、幅方向における外側の側面のうち、奥行方向の略中央に、幅方向の内側に向かって凹となる可動凹部46が形成されている。補助接点支え35には、奥行方向における可動凹部46よりも奥側に、縦方向に沿って貫通した開口部71が形成され、奥行方向における可動凹部46よりも手前側に、縦方向に沿って貫通した開口部72が形成されている。
【0028】
奥行方向における奥側の開口部71には、可動接触子73が設けられ、奥行方向における手前側の開口部72には、可動接触子74が設けられている。可動接触子73、及び可動接触子74は、縦方向に延びる板状の導電体であり、補助接点支え35から縦方向の両端側に向かって突出し、その両端側は二股に分かれた双接点になっている。可動接触子73には、奥行方向の奥側の面に接点が形成されており、可動接触子74には、奥行方向の手前側の面に接点が形成されている。可動接触子73は、開口部71に設けられた接触ばね75によって、奥行方向の奥側に押圧された状態で弾性支持され、可動接触子74は、開口部72に設けられた接触ばね76によって、奥行方向の手前側に押圧された状態で弾性支持されている。
【0029】
図11は、補助接点を示す図である。
ここでは、ケース62を省略し、ケース61を幅方向の内側から見た状態を示す。
ケース61には、奥行方向の奥側に一対の固定接触子81が設けられている。一対の固定接触子81は、夫々、幅方向及び縦方向に沿った板状の導電体であり、縦方向の内側が接点収容部63の内側に配置され、縦方向の外側が接点収容部63の外側に配置される。固定接触子81は、縦方向の内側となる端部において、奥行方向の手前側の面に接点が形成され、縦方向の外側には、ねじ端子用のねじ穴が形成されている。固定接触子81及び可動接触子73で構成される補助接点は、ここでは常開型のa接点とする。すなわち、電磁接触器11の主接点が開いているときには、補助接点支え35が奥行方向の手前側に位置することで、固定接触子81に対して可動接触子73が離間し、補助接点が開く。一方、電磁接触器11の主接点が閉じているときには、補助接点支え35が奥行方向の奥側に位置することで、固定接触子81に対して可動接触子73が接触し、補助接点が閉じる。
【0030】
ケース61には、奥行方向の手前側に一対の固定接触子82が設けられている。一対の固定接触子82は、夫々、幅方向及び縦方向に沿った板状の導電体であり、縦方向の内側が接点収容部63の内側に配置され、縦方向の外側が接点収容部63の外側に配置される。固定接触子82は、縦方向の内側となる端部において、奥行方向の奥側の面に接点が形成され、縦方向の外側には、ねじ端子用のねじ穴が形成されている。固定接触子82及び可動接触子74で構成される補助接点は、ここでは常閉型のb接点とする。すなわち、電磁接触器11の主接点が開いているときには、補助接点支え35が奥行方向の手前側に位置することで、固定接触子82に対して可動接触子74が接触し、補助接点が閉じる。一方、電磁接触器11の主接点が閉じているときには、補助接点支え35が奥行方向の奥側に位置することで、固定接触子82に対して可動接触子74が離間し、補助接点が開く。
【0031】
《作用》
次に一実施形態の主要な作用について説明する。
従来のスナップフィットは、素手で容易に解除することができなかった。本実施形態のスナップフィット13は、突出片53の先端部55を電磁接触器11の突起部22に引っ掛けるが、先端部55を解除させる解除操作部54を突出片53の基端側に設けた。解除操作部54は、外部から押圧されたときの撓みによって、電磁接触器11の突起部22に引っ掛かった先端部55を解除させる。この構造により、スナップフィット13を素手(手指)で容易に解除することができる。したがって、ケースを分解したり、工具を用いたりする必要がなく、取り外しの容易性を向上させることができる。
【0032】
スナップフィット13は、縦方向の一端側及び他端側の双方に一つずつ設けられ、解除操作部54は、夫々、外部から縦方向の内側に押圧されたときの撓みによって、電磁接触器11の突起部22に引っ掛かった先端部55を解除させる。解除操作部54同士の離隔距離は、一般的な手の大きさのユーザが、親指の指先と、他の指(例えば中指)の指先とで容易につまんで縦方向の内側に押圧できる範囲内に設定されている。したがって、ユーザは片手で、一対の解除操作部54の夫々を同時に縦方向の内側に押圧することで、一度に両方のスナップフィット13を解除することができる。
【0033】
解除操作部54の基幹片56は、縦方向の外側に向かって延び、幅方向における内側の端面に突出片53が形成されている。解除操作部54の操作片57は、基幹片56における縦方向の先端側から幅方向の外側に向かって延び、外部から縦方向の内側に押圧されるときに、基幹片56を幅方向の外側に撓ませる。この構造により、外部から押圧されたときの撓みによって、電磁接触器11の突起部22に引っ掛かった先端部55を解除させることができる。操作片57の先端部58は、縦方向の外側に向かって凸となる鉤状に形成されているため、ユーザが手指を引っ掛けやすく、操作性に優れる。
【0034】
スナップフィット13は、他の補助接点ユニット12に引っ掛け可能であり、複数台で連結可能である。したがって、補助接点の追加要請に応じることができる。
補助接点支え35における幅方向の内側には、幅方向の内側に向かって凸となる可動凸部36が形成されている。可動凸部36は、電磁接触器11における主接点支え25の可動凹部26にも、また他の補助接点ユニット12における補助接点支え35の可動凹部46にも差し込み可能である。一方、補助接点支え35における幅方向の外側には、幅方向の内側に向かって凹となる可動凹部46が形成されている。可動凹部46は、他の補助接点ユニット12における可動凸部36が差し込み可能である。この構造により、補助接点ユニット12は、複数台で連結可能となる。
【0035】
次に、比較例について説明する。
図12は、比較例を示す図である。
ここでは、スナップフィットの従来構造を示す。電磁接触器111に対して補助接点ユニット112はスナップフィット113によって取り付けられる。電磁接触器111は、上ケース114と、下ケース115とに分割可能で、上ケース114には、スナップフィット113を引っ掛ける突起部116が形成されている。このスナップフィット113は、素手で容易に解除することができなかった。補助接点ユニット112を取り外すには、まず電磁接触器111を上ケース114と下ケース115とに分解し、補助接点ユニット112を奥行方向の奥側にスライドさせ、突起部116からスナップフィット113を解除しなければならない。しかも上ケース114と下ケース115とは、図示しない線ばねにより固定されているため、線ばねを外し、上ケース114と下ケース115とを外すための工具が必要となる。これに対して本実施形態では、前述したように、スナップフィット13を素手(手指)で容易に解除することができる。
【0036】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0037】
11…電磁接触器、12…補助接点ユニット、13…スナップフィット、21…各端面、22…突起部、23…側面、24…開口部、25…主接点支え、26…可動凹部、27…取付凹部、28…取付穴、28a…幅方向穴、28b…奥行方向穴、31…側面、34…開口部、35…補助接点支え、36…可動凸部、37…取付凸部、38…取付フック、41…側面、44…開口部、46…可動凹部、47…取付凹部、48…取付穴、48a…幅方向穴、48b…奥行方向穴、51…端面、52…突起部、53…突出片、54…解除操作部、55…先端部、56…基幹片、57…操作片、58…先端部、61…ケース、62…ケース、63…接点収容部、71…開口部、72…開口部、73…可動接触子、74…可動接触子、81…固定接触子、82…固定接触子、111…電磁接触器、112…補助接点ユニット、113…スナップフィット、114…上ケース、115…下ケース、116…突起部
図1
図2
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図12