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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】仮想ゲージ表示プログラム及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240109BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G01B11/02 H
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020199562
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087569
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000170325
【氏名又は名称】鴻池運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】則竹 茂年
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 宗一郎
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-132361(JP,A)
【文献】特開2009-015730(JP,A)
【文献】特開2019-198905(JP,A)
【文献】特開2018-195233(JP,A)
【文献】特開2019-148899(JP,A)
【文献】特開2006-085375(JP,A)
【文献】特開2008-293357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00-19/00
G01B 11/00
G09G 5/00
G06Q 30/00-50/00
B66C 13/00
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想ゲージ表示装置に、拡張現実を用いて実空間画像と共に仮想ゲージを表示させる仮想ゲージ表示プログラムであって、
前記仮想ゲージ表示装置は、前記実空間画像を撮影する撮影部と、前記実空間画像及び前記仮想ゲージを表示する表示部と、前記仮想ゲージを記憶する記憶部と、前記仮想ゲージの配置に関する入力を受け入れる入力部と、前記撮影部、前記表示部、前記記憶部、及び前記入力部を制御する制御部とを備え、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、
前記撮影部に、前記実空間画像を撮影させる撮影ステップと、
前記制御部に、前記実空間画像から平面を検知させる平面検知ステップと、
前記入力部からの入力に基づき、前記制御部に、前記仮想ゲージの前記平面上の座標を特定させる座標特定ステップと、
前記仮想ゲージの前記平面上の座標に基づき、前記表示部に、前記実空間画像と共に、前記仮想ゲージを前記平面上に表示させる仮想ゲージ表示ステップと、
を実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示ステップで、前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記仮想ゲージの下端を前記平面上の座標に表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージは、前記平面に対して縦方向に延びる縦方向部分と、前記平面に対して横方向に延びる横向部分とを備える、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記記憶部は、互いに形状が異なる複数の仮想ゲージを記憶し、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記複数の仮想ゲージを選択可能に表示させる仮想ゲージ選択ステップを実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記仮想ゲージを前記平面上に配置するための位置決めマークを表示させる位置決めマーク表示ステップを実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記制御部に、前記撮影部の撮影方向から前記平面に延びる仮想線を生成させ、前記表示部に、前記平面と前記仮想線の交点に前記位置決めマークを表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記制御部に、前記平面と前記仮想線の交点が前記前記表示部の画面中央領域に存在すること判断させ、前記交点が前記画面中央領域にある場合、前記表示部に、前記位置決めマークを前記画面中央領域に表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記実空間画像が変化すると、前記制御部に、前記仮想ゲージの位置及び/又は向きを補正させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記仮想ゲージを前記平面に対して垂直な方向を中心として回転可能に表示させる回転表示ステップを実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記入力部からの入力に応じて、前記仮想ゲージが前記平面上で移動した状態を表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、目盛りを有する前記仮想ゲージを表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示装置は、携帯機器である、仮想ゲージ表示プログラム。
【請求項13】
拡張現実を用いて実空間画像と共に仮想ゲージを表示させる仮想ゲージ表示装置であって、
前記仮想ゲージ表示装置は、前記実空間画像を撮影する撮影部と、前記実空間画像及び前記仮想ゲージを表示する表示部と、前記仮想ゲージを記憶する記憶部と、前記仮想ゲージの配置に関する入力を受け入れる入力部と、前記撮影部、前記表示部、前記記憶部、及び前記入力部を制御する制御部とを備え、
前記撮影部は、前記実空間画像を撮影し、
前記制御部は、前記実空間画像から平面を検知し、
前記入力部からの入力に基づき、前記制御部は、前記仮想ゲージの前記平面上の座標を特定し、
前記仮想ゲージの前記平面上の座標に基づき、前記表示部は、前記実空間画像と共に、前記仮想ゲージを前記平面上に表示する、仮想ゲージ表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の仮想ゲージ表示装置において、
前記制御部は、前記仮想ゲージの下端を前記平面上に配置するように前記表示部に表示する、仮想ゲージ表示装置。
【請求項15】
請求項13乃至14のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示装置において、
前記制御部は、前記表示部に、前記仮想ゲージを前記平面上に配置するための位置決めマークを表示させる、仮想ゲージ表示装置。
【請求項16】
請求項15に記載の仮想ゲージ表示装置において、
前記制御部は、前記撮影部の撮影方向から前記平面に延びる仮想線を生成し、前記表示部に、前記平面と前記仮想線の交点に前記位置決めマークを表示させる、仮想ゲージ表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体サイズを計測又は推測するための仮想ゲージを表示する仮想ゲージ表示プログラム及び装置に関し、より詳細には、拡張現実技術を用いて、仮想ゲージを物体に並べて表示する仮想ゲージ表示プログラム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機等の貨物室に貨物を搭載する前に、貨物が貨物室に収容可能なサイズであることを確認するために、貨物のサイズを計測する必要がある。従来手法では、貨物の計測の際に、作業員が、コンツァーゲージ(Contour Gauge)を用いてサイズを計測している。コンツァーゲージは、逆L字型であり、航空機等の貨物室に対応する大きさのアルミ製の支柱を備えている。支柱は3mを超える上、逆L字型のコンツァーゲージは重心がその上部に位置するため、取り扱いが難しく作業負荷になっていた。さらに、約3mを超える支柱のコンツァーゲージは、倉庫の端にしか格納できず、航空貨物等の計測の度に広大な倉庫の端まで、作業員がコンツァーゲージを取りに行かなければならず、作業時間の損失も大きかった。
【0003】
一方、2000年以降、スマートフォンの普及に伴い、拡張現実(AR:Augmented Reality)を利用したアプリが一般に利用可能となっている。特に、2017年にApple Inc.によるAR開発ツール「ARKit」や、Google LLCによるAR開発ツール「ARCore」の提供以降、アプリの開発が進んでいる。
【0004】
また、ARに関連する技術は、例えば、特許文献1や2に提案されている。特許文献1には、「拡張現実感の体験を提供するように構成されたポータブルデバイスであって、実世界のシーンを表示するように構成された表示画面と、前記表示画面に関連付けられ、前記実世界のシーンを表している画像データをキャプチャするように構成された画像キャプチャ装置と、前記実世界のシーンを表している前記画像データを分析するように構成された画像認識論理回路と、前記画像認識論理回路に応答し、前記実世界のシーンに追加画像を取り入れるように構成された画像生成論理回路と、を有するポータブルデバイス」(請求項1)が記載されている。
【0005】
引用文献2には、「ゲーム装置は、カメラから撮像画像を取得し、取得された撮像画像に対して、当該撮像画像に含まれる所定の対象を認識する認識処理を繰り返し実行する。また、ゲーム装置は、認識処理の処理結果を用いて生成される仮想オブジェクトの画像と、当該認識処理の対象となった撮像画像とを合成した合成画像を繰り返し生成して表示する。ここで、認識処理が失敗した場合には、以前に成功した認識処理の対象となった撮像画像と、当該認識処理の処理結果を用いて生成される仮想オブジェクトの画像とが合成される。」(要約書)ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2008-510254号公報
【文献】特開2011-076589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、実世界を表示する表示画面に、追加画像を取り入れて表示し、特許文献2は、撮像画像に仮想オブジェクトを合成して表示する。しかし、追加画像や仮想オブジェクト等を用いるようなAR技術では、貨物等の現実物体のサイズ又は寸法を作業者は計測又は推測できなかった。
【0008】
そこで、本発明は、ARを用いて、物体サイズを計測又は推測するための仮想ゲージを表示する仮想ゲージ表示プログラム及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の各態様は次の通りである。
[態様1]
仮想ゲージ表示装置に、拡張現実を用いて実空間画像と共に仮想ゲージを表示させる仮想ゲージ表示プログラムであって、
前記仮想ゲージ表示装置は、前記実空間画像を撮影する撮影部と、前記実空間画像及び前記仮想ゲージを表示する表示部と、前記仮想ゲージを記憶する記憶部と、前記仮想ゲージの配置に関する入力を受け入れる入力部と、前記撮影部、前記表示部、前記記憶部、及び前記入力部を制御する制御部とを備え、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、
前記撮影部に、前記実空間画像を撮影させる撮影ステップと、
前記制御部に、前記実空間画像から平面を検知させる平面検知ステップと、
前記入力部からの入力に基づき、前記制御部に、前記仮想ゲージの前記平面上の座標を特定させる座標特定ステップと、
前記仮想ゲージの前記平面上の座標に基づき、前記表示部に、前記実空間画像と共に、前記仮想ゲージを前記平面上に表示させる仮想ゲージ表示ステップと、
を実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【0010】
[態様2]
態様1に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示ステップで、前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記仮想ゲージの下端を前記平面上の座標に表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様3]
態様1又は2に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージは、前記平面に対して縦方向に延びる縦方向部分と、前記平面に対して横方向に延びる横向部分とを備える、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様4]
態様1乃至3のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記記憶部は、互いに形状が異なる複数の仮想ゲージを記憶し、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記複数の仮想ゲージを選択可能に表示させる仮想ゲージ選択ステップを実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【0011】
[態様5]
態様1乃至4のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記仮想ゲージを前記平面上に配置するための位置決めマークを表示させる位置決めマーク表示ステップを実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様6]
態様5に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記制御部に、前記撮影部の撮影方向から前記平面に延びる仮想線を生成させ、前記表示部に、前記平面と前記仮想線の交点に前記位置決めマークを表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様7]
態様6に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記制御部に、前記平面と前記仮想線の交点が前記前記表示部の画面中央領域に存在すること判断させ、前記交点が前記画面中央領域にある場合、前記表示部に、前記位置決めマークを前記画面中央領域に表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【0012】
[態様8]
態様1乃至7のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記実空間画像が変化すると、前記制御部に、前記仮想ゲージの位置及び/又は向きを補正させる、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様9]
態様1乃至8のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記仮想ゲージを前記平面に対して垂直な方向を中心として回転可能に表示させる回転表示ステップを実行させる、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様10]
態様1乃至9のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、前記入力部からの入力に応じて、前記仮想ゲージが前記平面上で移動した状態を表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
【0013】
[態様11]
態様1乃至10のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示プログラムは、前記表示部に、目盛りを有する前記仮想ゲージを表示させる、仮想ゲージ表示プログラム。
[態様12]
態様1乃至11のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示プログラムにおいて、
前記仮想ゲージ表示装置は、携帯機器である、仮想ゲージ表示プログラム。
【0014】
[態様13]
拡張現実を用いて実空間画像と共に仮想ゲージを表示させる仮想ゲージ表示装置であって、
前記仮想ゲージ表示装置は、前記実空間画像を撮影する撮影部と、前記実空間画像及び前記仮想ゲージを表示する表示部と、前記仮想ゲージを記憶する記憶部と、前記仮想ゲージの配置に関する入力を受け入れる入力部と、前記撮影部、前記表示部、前記記憶部、及び前記入力部を制御する制御部とを備え、
前記撮影部は、前記実空間画像を撮影し、
前記制御部は、前記実空間画像から平面を検知し、
前記入力部からの入力に基づき、前記制御部は、前記仮想ゲージの前記平面上の座標を特定し、
前記仮想ゲージの前記平面上の座標に基づき、前記表示部は、前記実空間画像と共に、前記仮想ゲージを前記平面上に表示する、仮想ゲージ表示装置。
【0015】
[態様14]
態様13に記載の仮想ゲージ表示装置において、
前記制御部は、前記仮想ゲージの下端を前記平面上に配置するように前記表示部に表示する、仮想ゲージ表示装置。
[態様15]
態様13乃至14のいずれか一項に記載の仮想ゲージ表示装置において、
前記制御部は、前記表示部に、前記仮想ゲージを前記平面上に配置するための位置決めマークを表示させる、仮想ゲージ表示装置。
[態様16]
態様15に記載の仮想ゲージ表示装置において、
前記制御部は、前記撮影部の撮影方向から前記平面に延びる仮想線を生成し、前記表示部に、前記平面と前記仮想線の交点に前記位置決めマークを表示させる、仮想ゲージ表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の仮想ゲージ表示プログラム及び装置は、ARで表示された仮想ゲージを用いて現実物体のサイズの計測又は推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る仮想ゲージ表示装置を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラムの開発環境を示す階層図である。
図3】本実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラムに関するフローチャートである。
図4図1の装置の仮想ゲージの一覧を示す画面構成図である。
図5図1の装置周囲の実空間画像を示す画面構成図である。
図6図5の実空間画像に位置決めマークを表示する画面構成図である。
図7】実空間画像に仮想ゲージを表示する画面構成図である。
図8図7の実空間画像について回転した仮想ゲージの表示する画面構成図である。
図9】仮想ゲージの形状の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラム及び装置を、図面を参照して説明する。本実施形態の仮想ゲージ表示プログラム及び装置は、航空貨物等の貨物に対して仮想ゲージを並べて表示するが、本発明は、貨物に限定されず任意の物体に対して仮想ゲージを並べて表示することができる。
【0019】
[概要]
本実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラム及び装置は、現実空間を装置(タブレット端末又はスマートフォン等の携帯機器)のカメラで撮影し、ARを用いて現実空間を仮想空間と関連付け、実物と同じサイズの仮想ゲージ(仮想コンツァーゲージ)を、現実空間画像上の三次元座標に出現(合成)させて表示する。作業者からすると、あたかも装置(携帯機器)の画面上に、本物のコンツァーゲージが出現しているように見える。そして、作業者が、仮想ゲージと航空貨物等の貨物とを比較することで、貨物のサイズの計測又は推測を行うことにより、作業者は、航空機等の貨物室に貨物が搭載可能なサイズか否かを確認することができる。
【0020】
本発明の実施形態に係る仮想ゲージ表示装置1を図1のブロック図を用いて説明する。図1に示すように、仮想ゲージ表示装置1は、現実空間を撮影するデジタルカメラ等の撮影部12と、各種データを記憶するハードディスクやメモリ等の記憶部14と、映像及び/又は画像を表示する液晶ディスプレイ等の表示部16と、外部機器と通信ネットワークを介して通信する通信部18と、使用者からの入力を受け付けるタッチパネル等の入力部19と、各部を制御するCPU等の制御部20とを備えている。制御部20には、ARアプリ(仮想ゲージ表示プログラム)30が動作可能に搭載されている。ARアプリ30は、ARエンジン30aを備えている。ARエンジン30aは、ARkit、ARCore、又はARToolKitが提供する機能を用いて構築することができる。
【0021】
図2に、仮想ゲージ表示プログラム及び装置1の開発環境を構成する階層構造の一例を示す。この階層構造は、図1の各部から構成されるハードウエア層60と、iOSやAndoroid等のオペレーティングシステム層50と、iOS SDKやAndroid SDK等のソフトウエア開発キット(SDK)層40と、ARアプリ30を含むアプリケーション層30とから構成される。SDK層40は、ARアプリ30等の開発時に用いられる。ARアプリ30は、SDK層40に設けられたAR Kit、ARCore、又はARToolKitが提供する機能を用いて構成される。アプリケーション層30には、好ましくは、統合開発環境(IDE)を提供するUnity(Unity 3D)等のグラフィックエンジンが設けられる。AR Fundationは、好ましくはUnity上で動作するAR開発用パッケージであり、ARに関する基本機能を提供する。SQLiteは、アプリケーションに組み込んで利用されるデータベースであり、好ましくはAR Fundationに読み込まれる。3Dモデル(後述する仮想ゲージ)のデータは、好ましくはSQLiteに記憶される。
【0022】
[処理概要]
本実施形態の仮想ゲージ表示プログラムが実行する処理の概要を説明する。
第1ステップは、ARアプリの起動時に、仮想ゲージ表示装置1の撮影位置を原点(0,0,0)とした現実空間と適合(対応)するように仮想空間を作成する。この際、好ましくは、現実空間の1mを仮想空間の1単位と一致するように空間を作成する。
第2ステップは、モーショントラッキングと画像処理によって、仮想空間に内における仮想ゲージ表示装置1の自己位置を推定又は決定する。
第3ステップは、画像処理によって、周囲画像から基準となる平面(例えば水平面)の位置を検知し、仮想空間内に平面の位置を配置する。
第4ステップは、カメラの位置及び向きから作成した仮想線と、第3ステップで配置した平面とが交差する点の座標を得る。
第5ステップは、第4ステップで得た座標に、仮想ゲージ(仮想コンツァーゲージ)の下端が位置するように仮想ゲージを配置する。
仮想ゲージのサイズは、好ましくは、予め1単位=1mとなるように設定することにより、現実空間にあるものと同じサイズで表示されることとなる。
【0023】
次に、本実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラム及び装置1のより詳細な処理を図3のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の仮想ゲージ表示装置1は、好ましくはARアプリ30がインストールされたスマートフォン又はタブレット端末等の携帯機器とすることができる。物体サイズを推定する際、作業者は、入力部19を操作してARアプリを起動する。次に、ステップS301で、制御部20は、記憶部14に設けられたデータベース(DB)から選択可能な仮想ゲージ(仮想コンツァーゲージ)の情報を取得して、図4の一覧画面に示すように、形状が異なる複数の仮想ゲージGのリストを表示部16に表示する。ステップS302で、図4の画面が表示された状態で、作業者は、表示されている複数の仮想ゲージのいずれかを、タッチパネル(入力部19)のタップによって選択すると、制御部20に対して仮想ゲージの選択情報が入力される。
【0024】
ステップS303で、制御部20は、作業者に対して、仮想ゲージの選択が正しいか否かの確認を要求する。この確認は、好ましくは、選択された仮想ゲージを表示部16に表示して、「使用する。」又は「使用しない。」の入力を、タッチパネル(入力部19)を介して要求する。ステップS303で、制御部20が「使用する。」の入力を確認すると、ステップS304に移行する。ステップS302で、制御部20が「使用しない。」の入力を検出するか、所定時間内に「使用する。」の入力を検出しない場合は、ステップS301に戻る。
【0025】
ステップS304で、制御部20は、撮影部(カメラ)12を起動する。ステップS305で、制御部20は、撮影部12が撮影したカメラ映像(周囲の実空間画像)を表示部16の画面に表示すると共に、カメラ映像のデータを取り込む。
【0026】
ステップS306で、制御部20は、ARエンジン30aを用いて、撮影した周囲の実空間画像に対応する仮想空間を生成する。ステップS307で、制御部20は、複数の周囲の実空間画像にモーショントラッキングを実行し、ARエンジン30aを用いて、仮想空間に対する自己位置(自己視点位置)の座標を推定(生成)する。モーショントラッキングの際、制御部20は、ARエンジン30aを用いて、複数の周囲の実空間画像のそれぞれについて複数の特徴点の座標を抽出し、複数の特徴点の座標から自己位置(自己視点位置)の座標を推定(生成)する。
【0027】
ステップS308で、図5に示すように、作業者は、仮想ゲージ表示装置1を移動して、撮影部12で周囲の実空間画像を撮影する。
【0028】
ステップS309で、制御部20は、撮影部の位置(原点(0,0,0))から撮影方向に延びる仮想線のベクトルを生成する。
【0029】
ステップS310で、制御部20は、ステップS308で得た周囲の実空間画像と、複数の特徴点までの距離とに基づき、ARエンジン30aを用いて平面検知を実行して実空間の平面(例えば、水平面)の位置を算出する。ステップS311で、制御部20は、平面検知が成功か否かを判定する。平面検知の成功は、制御部20が、平面検知により算出された平面の状態(配置)が所定条件を満たすか否かに基づき判定する。ステップS311で、制御部20が平面検知の成功を判定すれば、ステップS312に移行し、制御部20が平面検知の失敗を判定すればステップS308の処理に戻る。
【0030】
ステップS312で、制御部20は、仮想空間に平面に配置する(仮想空間に対する平面の座標を設定する)。ステップS313で、制御部20は、実空間画像を表示部16の画面に表示している状態で、表示部16の画面(好ましくは画面中央領域)に、平面と、仮想線の交点とが存在するか否かを判定する。ステップS313で、交点が存在すると制御部20が判定すればステップS314に移行し、交点が存在しないと制御部20が判定すればステップS308に戻る。
【0031】
ステップS314で、制御部20は、図6に示すように、表示部16の画面中央領域に位置決めマークMを表示する。位置決めマークMは、仮想ゲージの下端を設置する平面上の位置(座標)を示す。なお、画面中央領域は、画面の周辺領域を除いた領域であり、仮想ゲージの下端が配置可能な領域とすることができる。
【0032】
ステップS315で、制御部20は、作業者による位置決めマークMに対するタップ等の入力を入力部19を介して検出したか否かを判定する。ステップS315で、制御部20がタップ等の入力を検出すると、位置決めマークMの座標を特定して、ステップS316に移行し、制御部20が所定時間内にタップ等の入力を検出しないと、ステップS308に戻る。
【0033】
ステップS316で、制御部20は、ARエンジン30aを用いて、図7に示すように、表示部16が表示する実空間画像に対して、位置決めマークMが表示されていた平面上の座標に仮想ゲージの下端が位置するように、仮想ゲージGを出現又は表示させる。
【0034】
ステップS317で、仮想ゲージ表示装置(携帯機器)1の移動に伴い周囲画像が変化すると、制御部20は、ARエンジン30aを用いて、仮想ゲージの位置及び/又は向きを補正することができる。また、図8に示すように、制御部20は、入力部19からの入力に応じて、ARエンジン30aを用いて、仮想ゲージを平面に対する鉛直線の周囲で、任意向きに回転した状態を表示することもできる。さらに、制御部20は、入力部19からの入力に応じて、ARエンジン30aを用いて、仮想ゲージを平面上で移動した状態を表示することもできる。
【0035】
本実施形態において、制御部20は、好ましくは、仮想ゲージGの貨物(現実物体)Cに対する相対的なサイズを固定して表示することができる。本実施形態において、制御部20は、好ましくは、仮想ゲージGを実物のゲージ(コンツァーゲージ)に対応したサイズで周囲画面上に重ねて表示することができる。
【0036】
図9に示すように、仮想ゲージGは、縦方向(略垂直方向)に延びる縦方向部分(垂直部分)Gvと、横方向(略水平方向)に延びる横方向部分(水平部分)Ghとを有する。仮想ゲージを検知平面上に配置する際、制御部20は、縦方向部分Gvを検知平面に対して略垂直な方向に配置し、横方向部分Ghを検知平面に対して略平行な方向に配置する。仮想ゲージの縦方向部分及び/又は横方向部分の上に長さ目盛を表示してもよい。これによって、作業者は、貨物の側面側で縦に表示された縦方向部分Gvによって、貨物Cの縦方向サイズを計測又は推測でき、貨物の上側で横向きに表示された横方向部分Ghによって、貨物Cの横方向サイズが計測又は推測できる。
【0037】
本実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラム及び装置を用いることにおり、作業者は、バランスが悪く、重い実物のコンツァーゲージを持つことなく、タブレット端末等の仮想ゲージ表示装置を持つだけでよいので、作業負荷が軽減する。また作業者が約3mもあるコンツァーゲージを倉庫の端まで取りに行かなくとも、手元にあるタブレット端末等の仮想ゲージ表示装置を用いて貨物のサイズを計測又は推定することができるため、作業時間の損失を防ぐ事ができる。
【0038】
[他の適用例]
本実施形態に係る仮想ゲージ表示プログラム及び装置は、直接、ものさしを当てて測定し難いものの計測や大きな対象物の2点間の距離を測定する業務に応用できる。例えば、次の例1~3が考えられる。
例1:倉庫においてパレット上に積み上げた荷物をフォークリフトでトレーラ(トラック)の荷室へ積み込む際、パレット上に積み上げられた荷物が荷室に入るかどうかを仮想ゲージで確認することができる。
例2:高所など人が近づき難い場所での通路幅や、もののサイズなどを、少し離れたところから仮想ゲージを当てて測定することができる。
例3:対象物の底面からの高さ、大きさ、形などが、仮想ゲージと比べて正常かを判断することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 仮想ゲージ表示装置
12 撮影部
14 記憶部
16 表示部
17 距離測定部
18 通信部
19 入力部
20 制御部
30 ARアプリ(仮想ゲージ表示プログラム)
30a ARエンジン
図1
図2
図3
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図5
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図9