(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20240109BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20240109BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/30
A24F40/65
(21)【出願番号】P 2022522941
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 GB2020052246
(87)【国際公開番号】W WO2021074578
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジャスティン ハン ヤン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0219938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達システムのための制御方法であって、
吸引の第1の段階内で、少なくとも第1の変種に修正された第1の特性を有するエアロゾルの前記第1の変種を生成するステップと、
前記吸引の第2の段階を検出するステップと、
前記吸引の前記第2の段階の検出に応答して、少なくとも第2の異なる変種に修正された前記第1の特性を有する前記エアロゾルの第2の変種を生成するステップとを含
み、
前記第1の特性が、エアロゾル化されているペイロードの成分であり、
前記第1の変種の前記ペイロードが、血流中へ吸収されると有効効果が発生する成分を含み、前記第2の変種の前記ペイロードが、味わわれると有効効果が発生する成分を含む、制御方法。
【請求項2】
エアロゾル送達デバイスが、2つのエアロゾル生成器を備えており、各エアロゾル生成器が、2つのペイロード源のうちのそれぞれのペイロード源に接続され、前記方法が、
それぞれのペイロードを含むそれぞれのエアロゾルを生成するように、前記エアロゾル生成器の各々を選択的に起動することによって、前記エアロゾルの前記第1及び第2の変種を生成するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも第1のエアロゾル生成器がヒーターであり、前記それぞれのペイロードの少なくとも一部分に熱的に接続される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも第1のエアロゾル生成器が振動器であり、前記それぞれのペイロードの少なくとも一部分に機械的に接続される、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
吸引が、空気流検出器を使用して検出される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸引の前記第1の段階が、空気流が第1の閾値レベルを上回るまで発生する、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記吸引の前記第1の段階が、前記空気流がピークレベルに到達するまで発生する、請求項
5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記吸引の前記第2の段階が、前記空気流が第2の閾値レベルを下回った後に発生する、請求項
5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記吸引の前記第2の段階が、前記空気流がピークレベルに到達した後に発生する、請求項
5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
使用者の複数の吸引中に空気流を測定するステップと、
これらの測定値に基づいて、前記使用者の1つ又は複数の吸引空気流プロファイルをモデル化するステップと
を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記使用者の吸引中に空気流を測定するステップと、
前記測定値を、前記1つ又は複数のモデル化された吸引空気流プロファイルと比較するステップと、
前記測定値が予め定められた公差の範囲内でモデル化された吸引空気流プロファイルに一致する場合、
i.前記吸引の前記第1の段階の終了、及び
ii.前記吸引の前記第2の段階の開始
からなるリストから選択された1つ又は複数を予測するステップと
を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
エアロゾル送達デバイスと、
吸引の第1の段階内で、少なくとも第1の変種に修正された第1の特性を有するエアロゾルの前記第1の変種を生成するように構成された制御プロセッサと、
前記吸引の第2の段階を検出するように構成された検出プロセッサとを備え、
前記制御プロセッサが、前記吸引の前記第2の段階の検出に応答して、少なくとも第2の異なる変種に修正された前記第1の特性を有する前記エアロゾルの第2の変種を生成するように構成さ
れ、
前記第1の特性が、エアロゾル化されているペイロードの成分であり、
前記第1の変種の前記ペイロードが、血流中へ吸収されると有効効果が発生する成分を含み、前記第2の変種の前記ペイロードが、味わわれると有効効果が発生する成分を含む、
エアロゾル送達システム。
【請求項13】
前記エアロゾル送達デバイスが、2つのエアロゾル生成器を備えており、各エアロゾル生成器が、2つのペイロード源のうちのそれぞれのペイロード源に接続され、
前記制御プロセッサが、それぞれのペイロードを含むそれぞれのエアロゾルを生成するように、前記エアロゾル生成器の各々を選択的に起動することによって、前記エアロゾルの前記第1及び第2の変種を生成するように構成される、請求項
12に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項14】
吸引が、空気流検出器を使用して検出される、請求項
12または13に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項15】
前記吸引の前記第1の段階が、
i.
空気流が第1の閾値レベルを上回ること、及び
ii.前記空気流がピークレベルに到達すること、からなるリストからの1つ又は複数まで発生する、請求項
12~14のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項16】
前記吸引の前記第2の段階が、
i.
空気流が第2の閾値レベルを下回ること、及び
ii.前記空気流がピークレベルに到達すること、からなるリストからの1つ又は複数の後に発生する、請求項
12~15のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項17】
前記制御プロセッサが
、使用者の複数の吸引中に空気流を測定するように構成され、
前記制御プロセッサが、これらの測定値に基づいて、前記使用者の1つ又は複数の吸引空気流プロファイルをモデル化するように構成される、
請求項
12~16のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項18】
前記制御プロセッサが、空気流測定値を、前記1つ又は複数のモデル化された吸引空気流プロファイルと比較するように構成され、
前記測定値が予め定められた公差の範囲内でモデル化された吸引空気流プロファイルに一致する場合、
前記制御プロセッサが、
i.前記吸引の前記第1の段階の終了、及び
ii.前記吸引の前記第2の段階の開始
からなるリストから選択された1つ又は複数を予測するように構成される、請求項
17に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項19】
前記エアロゾル送達デバイスと無線通信するように動作可能な移動通信デバイスを備えており、
前記移動通信デバイスが、
i.前記検出プロセッサ、及び
ii.前記制御プロセッサ
からなるリストからの1つ又は複数を備える、請求項
12~18のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項20】
少なくとも前記エアロゾル送達デバイスによるエアロゾル化のための第1のペイロードを含む、請求項
12~19のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システムなどの電子エアロゾル供給システム(たとえば、電子タバコなど)及びこれに対応するエアロゾル供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは一般に、ニコチンを典型的に含む配合剤を含有する原料液体のリザーバを含み、エアロゾルは、それから、たとえば加熱気化によって生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル供給源は、たとえばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒーターを備えてもよい。植物物質、又は有効成分及び/若しくは香味剤などのゲルなどの他の供給源材料も同様に加熱して、エアロゾルを生じさせることができる。したがって、より一般的には、eシガレットは、加熱気化のためのペイロードを含む又は受け入れるものと考えることができる。
【0003】
使用者がデバイスを吸引する間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近くにあるエアロゾル供給源(ペイロードの一部分)を気化し、使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。そのようなデバイスは通常、システムの吸い口端部から離れたところに配置された1つ又は複数の空気入口孔を備える。使用者がシステムの吸い口端部に接続された吸い口を吸うと、空気は入口孔を通って引き込まれ、エアロゾル供給源を通過する。エアロゾル供給源と吸い口の開口との間を接続する流路があり、その結果、エアロゾル供給源を通過する空気は、エアロゾル供給源からエアロゾルの一部を運びながら、流路に沿って吸い口開口に引き込まれ続ける。エアロゾルを運ぶ空気は、使用者による吸引のための吸い口開口を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0004】
通常、使用者がデバイスを吸い込む/吸入すると、ヒーターに電流が供給される。典型的に、使用者が吸引する/吸い込む/パフすると、流路に沿った空気流センサが起動することに応答して、又は使用者によるボタンの起動に応答して、電流がヒーター、たとえば抵抗加熱要素へ供給される。加熱要素によって生成された熱は、配合剤を気化するために使用される。放出された蒸気は、吸入した消費者によってデバイスに吸い込まれた空気と混合し、エアロゾルを形成する。これに代えて、又はこれに加えて、加熱要素は、タバコなどの植物を典型的には燃焼させずに加熱して、その有効成分を蒸気/エアロゾルとして放出するために使用される。
【0005】
使用者の血流への到達に成功する有効成分の量は、気化/エアロゾル化されたペイロードが使用者の肺にどれだけうまく到達するかに依存するが、一方、使用者によって経験される香料は、エアロゾル化されたペイロードが使用者の口とどれだけうまく相互作用するかに依存する。これらは、ペイロード及び/又は供給デバイスにとって場合により相反する要件である。
【0006】
この矛盾する要件に対処すること又はこの矛盾する要件を軽減することを助けようとする様々な手法が、本明細書に記載される。
【0007】
第1の態様では、エアロゾル送達システムのための制御方法が、請求項1によって提供される。
【0008】
別の態様では、エアロゾル送達システムが、請求項17によって提供される。
【0009】
本発明のさらなるそれぞれの態様及び特徴が、添付の特許請求の範囲に定義される。
【0010】
本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例として次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるエアロゾル送達デバイスの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるエアロゾル送達デバイスの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるエアロゾル送達デバイスの概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるエアロゾル送達デバイスの概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による測定された空気流の概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるエアロゾル送達システムの概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるエアロゾル送達システムのための制御方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
電子エアロゾル供給システム及び方法が開示される。以下の説明では、本発明の実施形態の徹底的な理解を提供するために、複数の特有の詳細を提示する。しかし、本発明を実施するためにこれらの特有の詳細を用いる必要がないことは、当業者には明らかである。逆に言えば、当業者に知られている特有の詳細は、説明を明確にする目的で必要に応じて省略される。
【0013】
上述したように、本開示は、エアロゾル供給システム(たとえば、非燃焼式エアロゾル供給システム)又はeシガレットなどの電子蒸気供給システム(EVPS)に関する。以下の説明全体を通して、「eシガレット」という用語が使用されることがあるが、この用語は、(電子)エアロゾル/蒸気供給システムと交換可能に使用することができる。同様に、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語も本明細書では同等に参照される。
【0014】
一般に、電子蒸気/エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても知られている電子タバコとすることができるが、エアロゾル化可能材料内にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、これらの材料のうちの1つ又は複数を加熱することができる。エアロゾル化可能材料の各々は、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有しても又は含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料と、固体のエアロゾル化可能材料とを含む。固体のエアロゾル化可能材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。一方、いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、1つ又は複数のそのようなエアロゾル化可能材料から蒸気/エアロゾルを生成する。
【0015】
典型的に、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給システムとともに使用するための物品とを備えることができる。しかし、それ自体がエアロゾル生成構成要素にパワーを供給するための手段を備える物品は、それ自体が非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、パワー源及びコントローラを備えることができる。パワー源は、電源であっても又は発熱パワー源であってもよい。一実施形態では、発熱パワー源は、発熱パワー源の近くのエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形態のパワーを分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施形態では、発熱パワー源などのパワー源は、非燃焼式エアロゾル供給部を形成するように物品に設けられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発成分を放出してエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能材料と相互作用することが可能なヒーターである。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、たとえば振動手段、機械的手段、加圧手段、又は静電気的手段のうちの1つ又は複数によって、熱を加えることなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。
【0017】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能材料を含んでもよい。活性材料は、ニコチン(任意選択で、タバコ又はタバコ派生物に含まれる)又は1つ若しくは複数の他の非嗅覚的な生理活性材料を含んでもよい。非嗅覚的な生理活性材料は、嗅覚以外の生理学的応答を実現するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。1つ又は複数の機能材料は、香料、キャリア、pH調整剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を含んでもよい。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、吸い口を備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。たとえば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル生成領域から離れていても、又はエアロゾル生成領域と組み合わされていてもよい。
【0019】
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるeシガレット10などの電子蒸気/エアロゾル供給システムの概略図である(原寸に比例しない)。eシガレットは、破線LAによって示す長手方向軸線に沿って延びる略円筒形の形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち本体20及びカトマイザ30を備える。カトマイザは、たとえばニコチンを含む液体などのペイロードのリザーバと、気化器(ヒーターなど)と、吸い口35とを含む内部チャンバを含む。以下で述べる「ニコチン」は、単なる例示であり、任意の好適な有効成分に置き換えることができることを理解されたい。ペイロードとして述べる「液体」は、単なる例示であり、植物物質(たとえば、燃焼ではなく加熱されるタバコ)、又は有効成分及び/若しくは香味剤を含むゲルなどの任意の好適なペイロードに置き換えることができることを理解されたい。リザーバは、気化器へ送達することが必要とされるときまで液体を保持するための発泡体又は任意の他の構造とすることができる。液体/流動性ペイロードの場合、気化器は、その液体を気化するためのものであり、カトマイザ30は、少量の液体をリザーバから気化器の気化位置、又は気化器に隣り合う気化位置へ移送するためのウィック又は類似の手段をさらに含むことができる。以下では、ヒーターが気化器の具体例として使用されている。しかし、気化器の他の形態(たとえば、超音波を利用するもの)も使用することができることを理解されたい。使用される気化器のタイプはまた、気化されるペイロードのタイプに依存しうることも理解されたい。
【0020】
本体20は、eシガレット10に電力を供給するための再充電可能な電池又はバッテリーと、eシガレットを全体的に制御するための回路基板とを含む。回路基板によって制御されるように、ヒーターがバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターは液体を気化し、次いでこの蒸気は吸い口35を通って使用者によって吸引される。いくつかの特有の実施形態では、本体は、本体の外側に配置された手動起動デバイス265、たとえばボタン、スイッチ、又はタッチセンサをさらに備える。
【0021】
本体20及びカトマイザ30は、
図1に示すように、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって、互いから取外し可能とすることができるが、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供するために、
図1に25A及び25Bとして概略的に示す接続部によって、デバイス10が使用されるときにともに接合される。カトマイザ30に接続するために使用される本体20の電気コネクタ25Bはまた、本体20がカトマイザ30から取り外されたときに充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても働く。充電デバイスの他方の端部をUSBソケットに差し込んで、eシガレット10の本体20内の電池を再充電することができる。他の実施態様では、本体20の電気コネクタ25BとUSBソケットとの間の直接接続のためにケーブルが提供されてもよい。
【0022】
eシガレット10には、空気入口用の1つ又は複数の孔(
図1には図示せず)が設けられている。これらの孔は、eシガレット10を通って吸い口35に至る空気通路に接続する。使用者が吸い口35を吸引すると、空気は、eシガレットの外側に好適に配置された1つ又は複数の空気入口孔を通ってこの空気通路に引き込まれる。ヒーターを起動させてカートリッジからニコチンを気化させると、空気流は生成された蒸気を通ってその蒸気と結合し、次いで空気流と生成された蒸気とが組み合わさって、吸い口35から流出して、使用者によって吸引される。1回限りの使用のデバイスを除いて、カトマイザ30は、液体の供給源が使い尽くされたとき、本体20から取り外されて処分されてもよい(所望される場合は別のカトマイザと交換される)。
【0023】
図1に示すeシガレット10は、例として提示されており、様々な他の実施態様を採用することができることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、カトマイザ30は、2つの分離可能な構成要素として、すなわち液体リザーバ及び吸い口を備えるカートリッジ(リザーバからの液体が使い尽くされたときは交換することができる)、及びヒーターを備える気化器(一般的に保持される)として提供される。別の例として、充電手段は、車のシガーライタなどの追加又は代替の電源に接続してもよい。
【0024】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10の本体20の概略図(簡略図)である。
図2は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。たとえば配線及びより複雑な形状など、本体の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために
図2から省略されたことに留意されたい。
【0025】
本体20は、使用者によるデバイスの起動に応答してeシガレット10に電力を供給するためのバッテリー又は電池210を含む。加えて、本体20は、eシガレット10を制御するためのコントロールユニット(
図2には図示せず)、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラなどのチップを含む。マイクロコントローラ又はASICは、CPU又はマイクロプロセッサを含む。CPU及び他の電子構成要素の動作は、概して、CPU(又は他の構成要素)上で走るソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、マイクロコントローラ自体に組み込むことができ、又は別個の構成要素として設けることができる、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよい。CPUは、必要に応じて、及び必要とされるときに、ROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロード及び実行することができる。マイクロコントローラはまた、適当な場合、本体10内の他のデバイスと通信するための適当な通信インターフェース(及び制御ソフトウェア)を含む。
【0026】
本体20は、eシガレット10の遠方(遠位)端をシールして保護するためのキャップ225をさらに含む。典型的に、使用者が吸い口35を吸引すると、空気が本体20に流入することができるように、キャップ225に、又はキャップ225に隣り合って、空気入口孔が設けられる。コントロールユニット又はASICは、バッテリー210に沿って、又はバッテリー210の一端に、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ASICは、吸い口35での吸引を検出するためにセンサユニット215に取り付けられる(又はその代わりに、ASIC自体にセンサユニット215を設けてもよい)。空気入口から空気流センサ215及びヒーター(気化器又はカトマイザ30内)を通過して吸い口35に至る空気経路が、eシガレットに設けられている。したがって、使用者がeシガレットの吸い口を吸引すると、CPUは、空気流センサ215からの情報に基づいて、そのような吸引を検出する。
【0027】
キャップ225とは反対側の本体20の端部には、本体20をカトマイザ30に接合するためのコネクタ25Bがある。コネクタ25Bは、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供する。コネクタ25Bは、カトマイザ30への電気接続のための1つの端子(正又は負)として機能する金属(いくつかの実施形態では銀めっきされている)である本体コネクタ240を含む。コネクタ25Bは、第1の端子、すなわち本体コネクタ240とは反対の極性の、カトマイザ30への電気接続のための第2の端子を提供する電気接点250をさらに含む。電気接点250は、コイルばね255に取り付けられている。本体20がカトマイザ30に取り付けられると、カトマイザ30のコネクタ25Aは、コイルばねを軸線方向、すなわち長手方向軸線LAに平行な方向(長手方向軸線LAと一致する方向)に圧縮するように、電気接点250を押す。ばね255の弾性を考慮すると、この圧縮によって、ばね255が付勢されて伸びようとし、これには電気接点250をカトマイザ30のコネクタ25Aに対してしっかりと押し付ける効果があり、以て本体20とカトマイザ30との間の良好な電気接続を確実にするのに役立つ。本体コネクタ240及び電気接点250は、架台260によって分離されており、架台260は、2つの電気端子間の良好な絶縁を提供するために、非導電体(プラスチックなど)から作られている。架台260は、コネクタ25A及び25Bの相互の機械的係合を支援するような形状である。
【0028】
上述したように、手動起動デバイス265の形態を表すボタン265は、本体20の外側ハウジングに配置することができる。ボタン265は、使用者によって手動で起動されるように動作可能な任意の適当な機構を使用して、たとえば機械式ボタン又はスイッチ、静電容量型又は抵抗型のタッチセンサなどとして実施することができる。また、手動起動デバイス265は、本体20の外側ハウジングではなく、カトマイザ30の外側ハウジングに配置されてもよく、その場合、手動起動デバイス265は、接続部25A、25BによってASICに取り付けられてもよいことが理解されよう。ボタン265はまた、キャップ225の代わりに(又はキャップ225に加えて)、本体20の端部に配置されてもよい。
【0029】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10のカトマイザ30の概略図である。
図3は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。配線及びより複雑な形状など、カトマイザ30の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために
図3から省略されたことに留意されたい。
【0030】
カトマイザ30は、カトマイザ30の中心軸線(長手方向軸線)に沿って、吸い口35から、カトマイザ30を本体20に接合するためのコネクタ25Aまで延びる空気通路355を含む。液体のリザーバ360が、空気通路335の周りに設けられている。このリザーバ360は、たとえば液体に浸漬された綿又は発泡体を提供することによって実施することができる。カトマイザ30はまた、使用者がeシガレット10を吸引したことに応答して、蒸気を生成して空気通路355に流し、吸い口35から流出させるように、リザーバ360からの液体を加熱するためのヒーター365を含む。ヒーター365は、電線366及び367を通して電力が供給され、電線366及び367は、コネクタ25Aを介して本体20のバッテリー210の反対の極性(正極及び負極、又はその逆)に接続される(電力線366及び367とコネクタ25Aとの間の配線の詳細は、
図3から省略されている)。
【0031】
コネクタ25Aは内部電極375を含み、内部電極375は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、内部電極375は本体20の電気接点250に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第1の電気経路を提供する。特に、コネクタ25A及び25Bが係合されると、内部電極375は、コイルばね255を圧縮するように電気接点250を押し、以て内部電極375と電気接点250との間の良好な電気接触を確実にするのに役立つ。
【0032】
内部電極375は絶縁リング372に取り囲まれており、絶縁リング372は、プラスチック、ゴム、シリコーン、又は任意の他の好適な材料から作ることができる。絶縁リングは、カトマイザコネクタ370によって取り囲まれており、カトマイザコネクタ370は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、カトマイザコネクタ370は本体20の本体コネクタ240に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第2の電気経路を提供する。言い換えれば、内部電極375及びカトマイザコネクタ370は、適当な場合、本体20内のバッテリー210から供給線366及び367を介してカトマイザ30内のヒーター365へ電力を供給するための正端子及び負端子(又はその逆)として機能する。
【0033】
カトマイザコネクタ370には、eシガレット10の長手方向軸線から離れて反対の方向に延びる2つの突起又はタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザ30を本体20に接続するために、本体コネクタ240とともにバヨネット式の取付具を提供するために使用される。このバヨネット式の取付具は、カトマイザ30と本体20との間に確実で堅牢な接続を提供し、その結果、カトマイザ及び本体は互いに対して固定位置に保持され、ぐらつき又はたわみが最小限に抑えられ、偶発的な分離の可能性が非常に小さい。同時に、バヨネット式の取付具は、挿入してから回転させて接続すること、及び回転(逆方向)させてから引っ張って分離することによって、簡単で迅速な接続及び切断を提供する。他の実施形態は、スナップ嵌め又はねじ接続など、本体20とカトマイザ30との間で異なる形態の接続を使用することができることが理解されよう。
【0034】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による本体20の端部にあるコネクタ25Bの特定の詳細の概略図である(ただし、説明を明確にするため、架台260など、
図2に示すコネクタの内部構造の大部分は省略する)。特に、
図4は、概ね円筒チューブの形態を有する本体20の外部ハウジング201を示す。この外部ハウジング201は、たとえば、紙などで外側が覆われた金属の内側チューブを備えてもよい。外部ハウジング201はまた、手動起動デバイス265が使用者にとって容易にアクセス可能となるように、手動起動デバイス265(
図4には図示せず)を備えてもよい。
【0035】
本体コネクタ240は、本体20のこの外部ハウジング201から延びる。
図4に示す本体コネクタ240は、2つの主要な部分、本体20の外部ハウジング201にちょうど嵌るようなサイズの中空の円筒チューブの形状のシャフト部分241、及びeシガレットの主長手方向軸線(LA)から離れる方向に、半径方向に外向きに向けられたリップ部分242を備える。シャフト部分が外部ハウジング201と重複しないところで、カラー又はスリーブ290が、本体コネクタ240のシャフト部分241を取り囲んでおり、カラー290もまた円筒チューブの形状である。カラー290は、本体コネクタ240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201との間に保持され、これらはともに、カラー290の軸線方向(すなわち、軸線LAに平行な方向)の移動を防止する。しかし、カラー290は、シャフト部分241(したがって、軸線LAでもある)の周りを自由に回転することができる。
【0036】
上述したように、キャップ225には、使用者が吸い口35を吸引すると空気が流れることができるように、空気入口孔が設けられている。しかし、いくつかの実施形態では、使用者が吸引するとデバイスに入る空気の大部分は、
図4に2つの矢印によって示すように、カラー290及び本体コネクタ240を通って流れる。
【0037】
図1及び
図2を再び参照すると、本発明の一実施形態では、電子蒸気供給システム(EVPS)10、又は本明細書に前述したもののうちの1つなどの「エアロゾル送達デバイス」が、エアロゾルの複数の変種を供給するように構成される。
【0038】
それに応じて、本発明の実施形態では、エアロゾル送達デバイスは、検出プロセッサ(好適なソフトウェア命令下で動作する前述のコントロールユニットなど)を備える。任意選択で、この検出プロセッサは、本明細書で後により詳細に説明するように、エアロゾル送達デバイスにおける使用者による吸引の第1の段階を検出するように構成される。その代わりに、この第1の段階は、たとえばEVPSによる蒸気の送達のトリガ(たとえば、吸引によるEVPSの起動)の際に簡単に想定されてもよい。
【0039】
エアロゾル送達デバイスはまた、吸引のこの第1の段階内で、少なくとも第1の変種に修正された第1の特性を有するエアロゾルの第1の変種を生成するように構成された制御プロセッサ62(この場合も、好適なソフトウェア命令下で動作する前述のコントロールユニット、又は別個のプロセッサなど)を備える。エアロゾルのこの変種は、特に第1の段階が簡単に想定される場合、EVPSのための初期デフォルト出力を形成してもよい。第1の特性及び修正については、本明細書で後に論じる。
【0040】
検出プロセッサは、本明細書に後述するように、吸引の第2の段階を検出するように構成され、制御プロセッサは、吸引の第2の段階の検出に応答して、少なくとも第2の異なる変種に修正された第1の特性を有するエアロゾルの第2の変種を生成するように構成される。
【0041】
本発明の実施形態では、第1の特性はエアロゾル粒径であり、典型的に、エアロゾルの第1の変種のエアロゾル粒径は、エアロゾルの第2の変種より小さい。この配置の理由については、本明細書で後に説明する。
【0042】
エアロゾル粒径は、エアロゾル生成器の特性を変化させることによって変化させることができる。生成器のタイプに応じて、これは、エアロゾルを生成するために使用されるヒーターの温度を変化させることを伴ってもよいし、又はエアロゾルを生成するために使用される振動器の周波数を変化させることを伴ってもよい。
【0043】
いくつかのペイロードの場合、ヒーターの温度を増大させることで、気化速度を増大させることができ、この結果、エアロゾル粒径がより大きくなる。他のペイロードでは、場合によりヒーターの温度を減少させることで、純粋な蒸気の形態からの液滴の形成及び凝集がより急速になることがあり、その結果、EVPS内のエアロゾル粒径がより大きくなる。したがって、EVPSによって使用されるペイロードにとってより適当な手法は、たとえば製造時に、自動的に(ペイロードが交換可能及び検出可能である場合)、又は好適なユーザインターフェース(本明細書に後述する)を介して、選択されてもよい。
【0044】
図5を次に参照すると、本発明の実施形態では、使用者による吸引は、空気流検出器215を使用して検出され、又は同等に、空気の速度若しくは動圧などの空気流に関する任意の好適なプロキシのための検出器によって検出される。
【0045】
空気の速度、動圧などを代わりに使用することができることも理解した上で、例として空気流を使用して、吸引の第1の段階は、空気流が第1の閾値レベル(Th1)を上回るまで、及び/又は空気流がピークレベル(Peak)に到達するまで発生する。
【0046】
したがって、使用者による吸引中、第1の段階は、比較的強い又は高い初期空気流を想定し、これは典型的に(ただし必然ではない)、この強い初期段階を示す経験的に判定された閾値レベルに到達する。一方、この閾値が満たされる(又は検出される)かどうかにかかわらず、吸引からの空気流は、ある時点でピークに達し、これは瞬時のピークであっても、又は平滑なピークであってもよい(非限定的な例として、0.1又は0.2秒のローリングウィンドウで平均される)。
【0047】
一方、吸引の第2の段階は、空気流が第2の閾値レベル(Th2)を下回った後、及び/又は空気流がピークレベル(Peak)に到達した後に発生する。ここでも、上述したように、使用される場合、ピークは瞬時であっても、又は平滑化されてもよい。
【0048】
任意選択で、第1の段階は、第2の段階が検出されるまで想定することができ、したがって任意選択で、第1の段階の完了は、決して別個に検出される必要はないことが理解されよう。第1及び第2の段階の境界が同じ事象(たとえば、ピーク吸引)によって描かれる場合、遷移は明白であり、実際的に瞬時であることが明らかである。一方、第1の段階が、第1の閾値に到達した後(ただし、必要に応じて、ピークに到達する前、又は空気流が第2の閾値を下回る前)に完了すると考えられる場合、EVPSは、第1の段階を継続してもよいし、又はこの介在時間を使用して、第2の段階へ遷移してもよい(たとえば、中性又は遷移ヒーター温度又は振動周波数へ移動することによる)。様々な可能な介在時間が、
図5に水平の矢印付きの線によって表されている。
【0049】
これらの実施形態の効果は、典型的により小さいエアロゾル粒子を有するエアロゾルの第1の変種が、第1の検出又は想定される吸引段階中に作られ、次いで第2の吸引段階の検出に応答して、典型的により大きいエアロゾル粒子を有するエアロゾルの第2の変種が作られることである。
【0050】
この理由は、本発明者らが、EVPS(又は類似のデバイス)での吸引中、吸引の前半に吸引される空気は、比較的より高速の粒子を有することがあり、吸引中に肺に到達する傾向があるのに対して、吸引の後半に吸引される空気は、比較的低速の粒子を有することがあり、口に到達する傾向があると理解したからである。その結果、肺又は口への送達のために構成されたエアロゾルの異なる変種を、吸引の異なる段階中に送達して、送達の効果を増大させることができる(たとえば、第1の段階にニコチンを含む/その割合を増大させる、及び第2の段階に香味剤を含む/その割合を増大させる、並びに/又は第1の段階の香料を除外する/その割合を低減させる、及び第2の段階のニコチンを除外する/その割合を低減させる)。同様に、より小さい粒子は、肺(特に、空気の経路が狭くなる肺の深く)に到達する傾向があるのに対して、より大きい粒子は、口に到達する傾向がある。
【0051】
したがって、より高速の吸引の第1の段階中により小さい粒子を供給することで、肺への蒸気の送達、したがって血流への有効成分の送達を改善しながら、より低速の吸引の第2の段階中により大きい粒子を供給することで、口への蒸気の送達、したがって香料の送達を改善する。
【0052】
この結果、使用者の吸引プロファイルに応答してエアロゾル粒子が区別されない場合より効率的に送達されることから、より少量の蒸気によって、類似の量の有効成分及び香料を使用者へ送達することができる。
【0053】
言い換えれば、本発明の実施形態は、異なる吸引の段階中に、生成されたエアロゾルを区別し、吸引の初期の高速部分中は肺を標的とし、吸引のより低速の終了部分中は口を標的とする。上述したように、これは、より小さい粒径を生じさせ、次いでより大きい粒径を生じさせるようにヒーター温度を制御することによって(又は同等に、振動アトマイザーの制御によって)行うことができるが、場合により、それに加えて、又はその代わりに、2つのウィック、ヒーターなどを有することによって、吸引中にペイロードを切り換えること(たとえば、第1のニコチンペイロード、次いで第2の香料ペイロード)によって行うこともできる。
【0054】
したがって、本発明の実施形態では、本明細書にすでに説明したように、第1の段階での肺への送達及び第2の段階での口への送達に対する既存の傾向を利用するために、第1及び第2の吸引段階に対して異なるペイロードが使用されてもよく、任意選択で、この傾向をさらに増大させるために、粒径によって区別されてもよい。
【0055】
したがって、本発明の実施形態では、第1の特性は、エアロゾル化されているペイロード、したがってエアロゾルの成分である。これがエアロゾルのサイズを区別することに加えられるとき、これは第2の特性又は類似した第1の特性となりうるが、そうでない場合、同じであると考えてもよいことが理解されよう。
【0056】
それに応じて、本発明の一実施形態では、EVPSは、2つのエアロゾル生成器を備えており、各エアロゾル生成器は、2つのペイロード源のうちのそれぞれのペイロード源に接続し、制御プロセッサは、それぞれのペイロード(たとえば異なる成分及び/又は成分比、たとえばニコチン及び香味剤の存在又はレベルを変化させる)を含むそれぞれのエアロゾルを生成するように、エアロゾル生成器の各々を選択的に起動することによって、エアロゾルの第1及び第2の変種を生成するように構成される。
【0057】
そのような起動は、混合物を生じさせるように重複することができ、制御プロセッサは、第2の段階の検出に応答して、任意選択で第1の段階の完了の検出に応答して、混合物のバランスを実際的に変化させるように構成される(たとえば、1つの段階が発生した場合、段階間の遷移期間内により均一の混合物へ遷移することによる)ことが理解されよう。
【0058】
2つのエアロゾル生成器は、必ずしも同じ生成機構を使用しなくてもよいが、少なくとも第1のエアロゾル生成器がヒーターである場合、これはそれぞれのペイロードの少なくとも一部分に熱的に接続され、少なくとも第1のエアロゾル生成器が振動器である場合、これはそれぞれのペイロードの少なくとも一部分に機械的に接続されることが理解されよう。
【0059】
より小さいエアロゾル粒径及び/又は有効なペイロードの標的を定めた選択を使用することによって、第1のより高速の肺深くへの吸引の段階中の有効成分の取込みを改善すること、並びにより大きいエアロゾル粒径及び/又は香料ペイロードの標的を定めた選択を使用することによって、第2のより低速のより浅い吸引の段階中の香料の知覚を改善することは、少なくとも特定の使用者に対する第2の段階の開始をより正確に予測することによって、さらに改善されうることが理解されよう。なぜなら、第2の段階への遷移中に温度変化及び/又はペイロードの気化に遅延が存在する可能性が高く、したがって第2の段階(及び任意選択で第1の段階)がいつ発生するかを予測することによって、場合によりこの遅延を相殺又は緩和することができるからである。
【0060】
したがって、本発明の実施形態では、制御プロセッサは、使用者の複数の吸引中に空気流を測定するように構成され、制御プロセッサは、これらの測定値に基づいて、使用者の1つ又は複数の吸引空気流プロファイルをモデル化するように構成される。
【0061】
このプロファイル又は各プロファイルは、吸引中のEVPSの使用者の典型的な挙動を示す。
【0062】
吸引空気流プロファイルは、使用者によるパフ中にEVPSの電子タバコを通って吸引される空気の速度及び/又は量を記述する。
【0063】
吸引空気流プロファイルは、任意選択で、変動する近似度でパラメトリックに定義されてもよい。したがって、プロファイルは、吸引の標的形状を時間履歴若しくは曲線として定義してもよいし、又はその吸引プロファイルに対するピーク空気流(又は強度の類似の尺度)及び持続時間を定義してもよいし、又は空気流及び時間の全体を定義してもよく、いずれの場合も、任意選択で、吸引曲線(吸引内のピークのタイミングなど)に応答して、1つ又は複数のさらなるパラメータとともに定義してもよい。
【0064】
したがって、そのようなプロファイルは、短い低用量のパフ、若しくは長い高用量のパフ、又は使用者による任意の他のタイプ若しくは様式の吸引を特徴付けることができる。同様に、プロファイルは、使用者の吸引が浅いか又は深いかに応じて変動してもよい。したがって、プロファイルは、対応する吸引挙動に応じて任意の長さであってもよく、プロファイルによって記述される空気流パラメータは、使用者の吸引の特性が変動するにつれて、その時間とともに変動してもよい。
【0065】
任意選択で、プロファイルは、製造時に若しくは販売者によって事前定義されてもよいし、又は使用者によって後にロードされてもよい(本明細書に後述する)。プロファイルデータは、RAM又はフラッシュメモリなどのローカルデータストレージに記憶されてもよい。
【0066】
したがって、使用者によって実行される吸引は、プロファイル記述と比較されてもよく、これは、時間履歴又は曲線に対して吸引を追跡することによるか、又は吸引が完了した後、若しくは吸引が進行しているとき、吸引強度/時間グラフ上の標的プロファイル位置と、使用者の現在の位置との間の差を比較することによるかにかかわらず行われる。
【0067】
それに応じて、制御プロセッサは、空気流測定値を、1つ又は複数のモデル化された吸引空気流プロファイルと比較するように構成され、測定値が予め定められた公差の範囲内でモデル化された吸引空気流プロファイルに一致した場合、制御プロセッサは、そのモデル化された吸引空気流プロファイルに基づいて、吸引の第2の段階の開始及び吸引の第1の段階の終了のうちの1つ又は複数を予測するように構成される。同等に、予め定められた公差に一致する代わりに、最も近い既存のモデルを選択することもできる。任意選択で、これ自体は、予め定められた公差に一致することを対象としており、予め定められた公差の範囲外では、デフォルト挙動が使用され、又は現在の測定値を使用して追加のモデルが開始され、以て使用者の異なる様式に適合する。
【0068】
図5を再び参照すると、ここでは例示的な吸引プロファイルとして、グラフ下の全体は、吸引される空気の量を表し、したがって時間とともに、累積的な吸引、したがって吸引の速度及び深さを示すことが理解されよう。その結果、Th1が満たされるタイミング、並びに/又はピークのレベル及び/若しくはピークのタイミング、並びに/又は全体、並びに/又は空気流の勾配、並びに/又はTh2が満たされるタイミングのいずれかを使用することで、プロファイルを特徴付けて、最も近いモデル化されたプロファイルを選択すること、及び/又は(訓練モードで)この新しいデータで更新するためのプロファイルを選択すること、若しくはそのようなプロファイルを生じさせることができる。
【0069】
図6を参照すると、本明細書に記載するシステムは、自己内蔵型システムであってもよく、eシガレットなどのエアロゾル送達デバイスが、検出及び制御プロセッサと、任意の必要とされるデータストレージとを備えるが、任意選択で、システムは、2つの構成要素、たとえばエアロゾル送達デバイス10と、たとえばブルートゥース(登録商標)スキームを介してeシガレットと通信するように動作可能な移動電話又は類似のデバイス(タブレットなど)100とを備えてもよいことが理解されよう。
【0070】
移動電話は、プロファイル記憶/選択/訓練手段(たとえば、好適なRAM、フラッシュメモリ、及びプロセッサ)、検出プロセッサ、及び制御プロセッサのうちの1つ又は複数を備えてもよく、必要に応じて、入力測定データ及び出力コマンドが、ブルートゥース(登録商標)スキームによって、eシガレットと移動電話との間で通信される。
【0071】
上記で示唆したように、吸引プロファイルはまた、ダウンロードされてもよいし、又は任意選択で、移動電話上の好適なインターフェースを使用して作成及び/若しくはキュレートされてもよい。
【0072】
したがって、本発明の実施形態では、エアロゾル送達システムが、エアロゾル送達デバイスと無線通信するように動作可能な移動通信デバイスを備えており、移動通信デバイスは、検出プロセッサ及び制御プロセッサのうちの1つ又は複数を備える。この場合、検出プロセッサ及び/又は制御プロセッサは、好適なソフトウェア命令下で動作する移動デバイスのCPUによって提供されてもよいことが理解されよう。また、検出プロセッサ及び/又は制御プロセッサの役割は、複数のCPU間で共有されてもよく、複数のCPUは、電話内に位置し、EVPS内に位置し、又は両者間で分散されることが理解されよう。
【0073】
図7を次に参照すると、エアロゾル送達システムのための制御方法は、
任意選択で、エアロゾル送達デバイスでの使用者による吸引の第1の段階を検出し、又はEVPSを起動して蒸気を送達したときに第1の段階を簡単に想定するステップと、
第1のステップs710で、吸引の第1の段階内で、少なくとも第1の変種に修正された第1の特性を有するエアロゾルの第1の変種を生成することと、
第2のステップs720で、吸引の第2の段階を検出することと、
第3のステップs730で、吸引の第2の段階の検出に応答して、少なくとも第2の異なる変種に修正された第1の特性を有するエアロゾルの第2の変種を生成することとを含む。
【0074】
本発明の範囲内で、本明細書に説明及び特許請求する装置の様々な実施形態の動作に対応する上記の方法の変形が考えられることが、当業者には明らかであり、本開示は、それだけに限定されるものではないが、以下を含む。
【0075】
第1の特性は、エアロゾル粒径である。
第1の変種のエアロゾル粒径は、第2の変種より小さい。
エアロゾル生成器の特性を変化させて、その結果得られるエアロゾル粒径を変化させることによって、エアロゾルの第1及び第2の変種を生成し、エアロゾル生成器の特性は、エアロゾルを生成するために使用されるヒーターの温度、エアロゾルを生成するために使用される振動器の周波数、及びエアロゾルの供給源(たとえば、異なるエアロゾル経路、生成モード、基材など)からなるリストから選択された1つである。
【0076】
第1の特性は、エアロゾル化されているペイロードである。
第1の変種のペイロードは、血流中へ吸収されると有効効果が発生する成分を含み、第2の変種のペイロードは、味わわれると有効効果が発生する成分を含む。
エアロゾル送達デバイスは、2つのエアロゾル生成器を備えており、各エアロゾル生成器が、2つのペイロード源のうちのそれぞれのペイロード源に接続し、この方法は、それぞれのペイロードを含むそれぞれのエアロゾルを生成するように、エアロゾル生成器の各々を選択的に起動することによって、エアロゾルの第1及び第2の変種を生成するステップを含む。
少なくとも第1のエアロゾル生成器はヒーターであり、それぞれのペイロードの少なくとも一部分に熱的に接続される。
少なくとも第1のエアロゾル生成器は振動器であり、それぞれのペイロードの少なくとも一部分に機械的に接続される。
【0077】
吸引は、空気流検出器を使用して検出される。
吸引の第1の段階は、空気流が第1の閾値レベルを上回るまで発生する。
吸引の第1の段階は、空気流がピークレベルに到達するまで発生する。
吸引の第2の段階は、空気流が第2の閾値レベルを下回った後に発生する。
吸引の第2の段階は、空気流がピークレベルに到達した後に発生する。
【0078】
使用者の複数の吸引中に空気流を測定し、これらの測定値に基づいて、使用者の1つ又は複数の吸引空気流プロファイルをモデル化する。
【0079】
使用者の吸引中に空気流を測定し、その測定値を1つ又は複数のモデル化された吸引空気流プロファイルと比較し、測定値が予め定められた公差の範囲内でモデル化された吸引空気流プロファイルに一致した場合、吸引の第1の段階の終了及び吸引の第2の段階の開始からなるリストから選択された1つ又は複数を予測する。
【0080】
上記の方法は、該当する場合はソフトウェア命令によって好適に構成された従来のハードウェアで実施されてもよく、又はたとえばeシガレット、若しくは移動電話などと組み合わせて動作するeシガレットなど、専用のハードウェアの包含若しくは置換えによって実施されてもよいことが理解されよう。
【0081】
したがって、従来の同等なデバイスの既存の部品を適合させるのに必要なことは、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、又はこれら若しくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの非一時的機械可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形態で実施することができ、或いはASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又は従来の同等なデバイスを適合させる際に使用するのに好適な他の構成可能な回路としてハードウェアで実現することができる。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、又はこれら若しくは他のネットワークの任意の組合せなどのネットワークで、データ信号を介して伝送することができる。
【0082】
本明細書に記載する様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を支援するためだけに提示されている。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供されており、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載する利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定、又は特許請求の範囲の均等物に対する限定であると考えるべきではなく、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用しても、修正を加えてもよいことを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載するもの以外の開示する要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適当な組合せを好適に含んでもよく、そのような組合せから構成されてもよく、又は本質的にそのような組合せから構成されてもよい。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。