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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ロボット管理装置及びロボット管理方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240109BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240109BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240109BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20240109BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J5/00 E
G06Q30/06
G06Q10/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020067691
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160070
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517135833
【氏名又は名称】Telexistence株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134094
【弁理士】
【氏名又は名称】倉持 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】佐野 元紀
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206415(JP,A)
【文献】特開2019-16088(JP,A)
【文献】特開2019-128772(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113269424(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G06Q 10/08
G06Q 50/04
G06Q 50/28-50/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業場に配置されているロボットが実行可能な実行可能作業を示すロボット作業情報を取得するロボット作業情報取得部と、
前記作業場において行うことが予定された未割当作業と、前記未割当作業の量とを示す未割当作業情報を取得する未割当作業情報取得部と、
前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量が所定条件を満たす作業を、前記ロボットに割り当てるロボット割当作業として抽出する抽出部と、
前記ロボット割当作業を示す割当情報を情報端末に出力する出力部と、
を有する、ロボット管理装置。
【請求項2】
前記ロボット作業情報取得部は、操作者が遠隔操作をする前記ロボットが実行可能な前記実行可能作業を示す前記ロボット作業情報を取得する、
請求項1に記載のロボット管理装置。
【請求項3】
前記未割当作業情報取得部は、前記未割当作業及び前記量に加えて前記未割当作業の期限を示す前記未割当作業情報を取得し、
前記抽出部は、前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量及び前記期限が所定条件を満たす作業を、前記ロボット割当作業として抽出する、
請求項1又は2に記載のロボット管理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記未割当作業のうち、前記ロボット割当作業として抽出された作業以外の少なくとも一部を、前記作業場で作業する作業者に割り当てる作業者割当作業として抽出し、
前記出力部は、前記ロボット割当作業及び前記作業者割当作業を示す前記割当情報を前記情報端末に出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項5】
前記情報端末において入力された情報に基づいて、前記未割当作業、前記ロボット割当作業、又は前記作業場で作業する作業者に割り当てる作業者割当作業を、追加、削除又は変更する設定部をさらに有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項6】
前記ロボットが備える撮像部及び前記作業場に配置されている撮像部のうち少なくとも一方によって撮像された撮像画像に基づいて、前記未割当作業、前記ロボット割当作業、又は前記作業場で作業する作業者に割り当てる作業者割当作業を、追加、削除又は変更する設定部をさらに有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項7】
前記ロボット作業情報取得部は、複数の前記実行可能作業と、複数の前記実行可能作業それぞれの作業負荷とを示す前記ロボット作業情報を取得し、
前記抽出部は、前記作業負荷が所定条件を満たすように前記ロボット割当作業を抽出する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項8】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットに作業を行わせる操作の困難度と、前記操作の所要時間との少なくとも一方に対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得する、
請求項7に記載のロボット管理装置。
【請求項9】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットが物品を陳列する作業において、前記物品が保管される位置と前記物品を陳列する位置との距離と、前記物品が保管される位置の高さと、前記物品を陳列する位置の高さと、前記物品の品目数との少なくとも一つに対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得する、
請求項7又は8のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項10】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットが作業を行うために必要な電力に対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得する、
請求項7から9のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項11】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットが作業を行う際に移動する場所の温度に対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得する、
請求項7から10のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項12】
前記抽出部は、一又は複数の前記ロボット割当作業の合計の前記作業負荷が、前記ロボットが単位時間あたりに実行可能な作業の許容量以下となるように、前記ロボット割当作業を抽出する、
請求項7から11のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項13】
前記許容量は、前記ロボットの能力と、前記ロボットを操作する操作者の能力と、前記操作者の疲労度と、前記操作者の作業継続時間とのうち少なくとも1つに対応する値である、
請求項12に記載のロボット管理装置。
【請求項14】
前記未割当作業情報取得部は、前記未割当作業及び前記量に加えて前記未割当作業の優先度を示す前記未割当作業情報を取得し、
前記抽出部は、前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量が所定条件を満たし、かつ前記優先度が所定条件を満たす作業を、前記ロボット割当作業として抽出する、
請求項1から13のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項15】
前記未割当作業情報取得部は、前記ロボットが作業を行う時間帯に応じて異なる値によって表された前記優先度を示す前記未割当作業情報を取得する、
請求項14に記載のロボット管理装置。
【請求項16】
前記情報端末は、複数の前記ロボットを切り替えて操作する操作者が利用する操作者端末であり、
前記抽出部は、複数の前記ロボットそれぞれに割り当てる前記ロボット割当作業を抽出し、
前記出力部は、複数の前記ロボットそれぞれの前記ロボット割当作業を示す前記割当情報を前記操作者端末に出力する、
請求項1から15のいずれか一項に記載のロボット管理装置。
【請求項17】
前記出力部は、複数の前記ロボットのうち少なくとも1つが前記ロボット割当作業を実行可能であることを示す状態情報を、前記操作者端末に出力する、
請求項16に記載のロボット管理装置。
【請求項18】
プロセッサが実行する、
作業場に配置されているロボットが実行可能な実行可能作業を示すロボット作業情報を取得するステップと、
前記作業場において行うことが予定された未割当作業と、前記未割当作業の量とを示す未割当作業情報を取得するステップと、
前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量が所定条件を満たす作業を、前記ロボットに割り当てるロボット割当作業として抽出するステップと、
前記ロボット割当作業を示す割当情報を情報端末に出力するステップと、
を有する、ロボット管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業場におけるロボットの作業を管理するためのロボット管理装置及びロボット管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等の作業場において、ロボットを用いて商品の陳列等の作業を行うシステムの導入が進められている。特許文献1には、撮像手段が撮像した商品棚の画像に基づいて商品の欠品を検知し、ロボットによってバックルームから店舗内に商品を搬送するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業場において発生する作業の量は、非定常的であり、一日の中の時間帯ごとや、日付又は時期ごとに変化し得る。一方、ロボットが実行可能な作業の量には制限がある。そのため、ロボットが単に作業を発生順で実行すると、優先すべき作業がなかなか実行されず、必ずしも効率的に作業を遂行することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、作業場におけるロボットを用いた作業の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のロボット管理装置は、作業場に配置されているロボットが実行可能な実行可能作業を示すロボット作業情報を取得するロボット作業情報取得部と、前記作業場において行うことが予定された未割当作業と、前記未割当作業の量とを示す未割当作業情報を取得する未割当作業情報取得部と、前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量が所定条件を満たす作業を、前記ロボットに割り当てるロボット割当作業として抽出する抽出部と、前記ロボット割当作業を示す割当情報を情報端末に出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記ロボット作業情報取得部は、操作者が遠隔操作をする前記ロボットが実行可能な前記実行可能作業を示す前記ロボット作業情報を取得してもよい。
【0008】
前記未割当作業情報取得部は、前記未割当作業及び前記量に加えて前記未割当作業の期限を示す前記未割当作業情報を取得し、前記抽出部は、前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量及び前記期限が所定条件を満たす作業を、前記ロボット割当作業として抽出してもよい。
【0009】
前記抽出部は、前記未割当作業のうち、前記ロボット割当作業として抽出された作業以外の少なくとも一部を、前記作業場で作業する作業者に割り当てる作業者割当作業として抽出し、前記出力部は、前記ロボット割当作業及び前記作業者割当作業を示す前記割当情報を前記情報端末に出力してもよい。
【0010】
前記ロボット管理装置は、前記情報端末において入力された情報に基づいて、前記未割当作業、前記ロボット割当作業、又は前記作業場で作業する作業者に割り当てる作業者割当作業を、追加、削除又は変更する設定部をさらに有してもよい。
【0011】
前記ロボット管理装置は、前記ロボットが備える撮像部及び前記作業場に配置されている撮像部のうち少なくとも一方によって撮像された撮像画像に基づいて、前記未割当作業、前記ロボット割当作業、又は前記作業場で作業する作業者に割り当てる作業者割当作業を、追加、削除又は変更する設定部をさらに有してもよい。
【0012】
前記ロボット作業情報取得部は、複数の前記実行可能作業と、複数の前記実行可能作業それぞれの作業負荷とを示す前記ロボット作業情報を取得し、前記抽出部は、前記作業負荷が所定条件を満たすように前記ロボット割当作業を抽出してもよい。
【0013】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットに作業を行わせる操作の困難度と、前記操作の所要時間との少なくとも一方に対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得してもよい。
【0014】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットが物品を陳列する作業において、前記物品が保管される位置と前記物品を陳列する位置との距離と、前記物品が保管される位置の高さと、前記物品を陳列する位置の高さと、前記物品の品目数との少なくとも一つに対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得してもよい。
【0015】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットが作業を行うために必要な電力に対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得してもよい。
【0016】
前記ロボット作業情報取得部は、前記ロボットが作業を行う際に移動する場所の温度に対応する前記作業負荷を示す前記ロボット作業情報を取得してもよい。
【0017】
前記抽出部は、一又は複数の前記ロボット割当作業の合計の前記作業負荷が、前記ロボットが単位時間あたりに実行可能な作業の許容量以下となるように、前記ロボット割当作業を抽出してもよい。
【0018】
前記許容量は、前記ロボットの能力と、前記ロボットを操作する操作者の能力と、前記操作者の疲労度と、前記操作者の作業継続時間とのうち少なくとも1つに対応する値であってもよい。
【0019】
前記未割当作業情報取得部は、前記未割当作業及び前記量に加えて前記未割当作業の優先度を示す前記未割当作業情報を取得し、前記抽出部は、前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量が所定条件を満たし、かつ前記優先度が所定条件を満たす作業を、前記ロボット割当作業として抽出してもよい。
【0020】
前記未割当作業情報取得部は、前記ロボットが作業を行う時間帯に応じて異なる値によって表された前記優先度を示す前記未割当作業情報を取得してもよい。
【0021】
前記情報端末は、複数の前記ロボットを切り替えて操作する操作者が利用する操作者端末であり、前記抽出部は、複数の前記ロボットそれぞれに割り当てる前記ロボット割当作業を抽出し、前記出力部は、複数の前記ロボットそれぞれの前記ロボット割当作業を示す前記割当情報を前記操作者端末に出力してもよい。
【0022】
前記出力部は、複数の前記ロボットのうち少なくとも1つが前記ロボット割当作業を実行可能であることを示す状態情報を、前記操作者端末に出力してもよい。
【0023】
本発明の第2の態様のロボット管理方法は、プロセッサが実行する、作業場に配置されているロボットが実行可能な実行可能作業を示すロボット作業情報を取得するステップと、前記作業場において行うことが予定された未割当作業と、前記未割当作業の量とを示す未割当作業情報を取得するステップと、前記未割当作業のうち、前記実行可能作業に含まれており、かつ前記量が所定条件を満たす作業を、前記ロボットに割り当てるロボット割当作業として抽出するステップと、前記ロボット割当作業を示す割当情報を情報端末に出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、作業場におけるロボットを用いた作業の効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係るロボット管理システムの模式図である。
図2】実施形態に係るロボット管理システムのブロック図である。
図3】作業場で発生する作業を説明するための模式図である。
図4】作業の許容量を説明するための模式図である。
図5】ロボット作業情報を説明するための模式図である。
図6】未割当作業情報を説明するための模式図である。
図7】管理者端末及び作業者端末が表示する割当情報画面の模式図である。
図8】操作者端末が表示する操作画面の模式図である。
図9】実施形態に係るロボット管理システムが実行するロボット管理方法のシーケンス図である。
図10】操作者端末が表示する操作画面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[ロボット管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係るロボット管理システムSの模式図である。ロボット管理システムSは、ロボット管理装置1と、ロボット2と、管理者端末3と、操作者端末4とを含む。ロボット2、管理者端末3及び操作者端末4は、それぞれ複数設けられてもよい。ロボット管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0027】
ロボット管理装置1は、ロボット2及び作業者に割り当てた作業を示す割当情報を管理者端末3及び操作者端末4に提供し、操作者端末4から受信した情報に基づいてロボット2を制御するコンピュータである。ロボット管理装置1は、ローカルエリアネットワーク、インターネット等のネットワークを介して、ロボット2、管理者端末3及び操作者端末4に接続される。
【0028】
ロボット2は、操作者がネットワークを介して遠隔操作をする装置である。ロボット2は、店舗等の作業場に配置されており、ロボット管理装置1から受信した情報に従って作動する。ロボット2は、作業場において、人間である作業者と作業を分担して行う。ロボット2は、例えば、頭部、腕部、脚部等の複数の部位からなる体を備えている。ロボット2は、モータ、アクチュエータ等の駆動部を有しており、駆動部の動力を用いて動作する。また、ロボット2は、撮像部(カメラ)を有しており、撮像部を用いて撮像した撮像画像をロボット管理装置1へ送信する。
【0029】
管理者端末3は、ロボット2、操作者、作業者等を管理する管理者が利用する情報端末(コンピュータ)である。管理者端末3は、作業場に配置されている情報端末であってもよく、ロボット2を一元的に管理するコントロールセンタ等に配置されている情報端末であってもよい。管理者端末3は、管理者に対して割当情報を表示し、また管理者から割当情報を追加、削除又は変更する操作を受け付ける。管理者端末3は、管理者による操作を受け付け可能なキーボードやタッチパネル等の入力部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部とを有する。なお、管理者端末3は、後述の作業者端末5の機能を兼ね備えていてもよい。
【0030】
操作者端末4は、操作者が利用する情報端末(コンピュータ)である。操作者端末4は、操作者に対して割当情報を表示し、またロボット2に対する操作指示の入力を受け付ける。操作者端末4は、操作者からロボット2に対する遠隔操作の内容を示す操作指示の入力を受け付け可能なキーボードやタッチパネル等の入力部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、情報を音声で出力可能なスピーカ等の音声出力部とを有する。さらに操作者端末4は、ロボット2の触覚(すなわちロボット2が物体に接触する感覚)を提示可能な触覚提示部を有してもよい。
【0031】
操作者端末4の入力部は、操作者による操作に基づいて、操作指示の入力を受け付ける。また、操作者端末4の入力部は、操作者の体に装着されたセンサを含み、該センサが測定した測定情報に基づいて、操作指示の入力を受け付けてもよい。また、操作者端末4の入力部は、操作者の体を撮像する撮像部(カメラ)を含み、該撮像部が撮像した撮像画像に基づいて、操作指示の入力を受け付けてもよい。操作者端末4の表示部は、操作者の体に装着された、眼鏡型のディスプレイ(すなわち、ヘッド・マウント・ディスプレイ)を含んでもよい。また、操作者端末4は、作業に関する情報(作業の内容、量、残量等)を表示部に表示し、作業に関する情報を示す音声を音声出力部から出力する。操作者端末4は、図1に示した例示的な構成に限らず、操作者による操作指示の入力を受け付けるとともに、操作者に対して情報を提示可能なその他の構成を備えてもよい。
【0032】
作業者端末5は、作業者が利用する情報端末(コンピュータ)である。作業者端末5は、作業者に対して割当情報を表示し、また作業者から割当情報を追加、削除又は変更する操作を受け付ける。作業者端末5は、ロボット2及び作業者が作業をする作業場に配置される。作業者端末5は、作業者による操作を受け付け可能なキーボードやタッチパネル等の入力部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部とを有する。
【0033】
本実施形態に係るロボット管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。ロボット管理装置1は、作業場に配置されているロボット2が実行可能な実行可能作業を示すロボット作業情報を取得する(a)。またロボット管理装置1は、作業場において行うことが予定された未割当作業と、当該未割当作業の量とを示す未割当作業情報を取得する(b)。実行可能作業及び未割当作業は、例えば、物品の陳列、整理、廃棄等、作業場において行われる所定の作業である。
【0034】
ロボット管理装置1は、未割当作業のうち、実行可能作業に含まれており、かつ量が所定条件を満たす作業を、ロボット2に割り当てるロボット割当作業として抽出する(c)。そしてロボット管理装置1は、ロボット割当作業を示す割当情報を、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5に出力する(d)。
【0035】
管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5は、ロボット管理装置1が出力した割当情報を表示部上に表示する。操作者は、表示された割当情報が示すロボット割当作業を実行するように、ロボットを遠隔操作する(e)。
【0036】
このように本実施形態に係るロボット管理システムSにおいて、ロボット管理装置1は、作業場において発生した作業の量に基づいてロボット2に割り当てる作業を抽出し、抽出した作業を操作者、管理者及び作業者に提示する。そのため、ロボット管理装置1は、ロボット2に行わせる作業を選別し、作業場におけるロボット2を用いた作業の効率を向上させることができる。
【0037】
[ロボット管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係るロボット管理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0038】
ロボット管理装置1は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、設定部111と、ロボット作業情報取得部112と、未割当作業情報取得部113と、抽出部114と、出力部115と、ロボット制御部116とを有する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、設定部111、ロボット作業情報取得部112、未割当作業情報取得部113、抽出部114、出力部115及びロボット制御部116として機能する。
【0039】
設定部111は、作業場において行うことが予定された未割当作業、ロボット2に割り当てるロボット割当作業、又は作業者に割り当てる作業者割当作業を、追加、削除又は変更する。ロボット作業情報取得部112は、ロボット2が実行可能な実行可能作業を示すロボット作業情報を取得する。未割当作業情報取得部113は、作業場において行うことが予定された未割当作業を示す未割当作業情報を取得する。抽出部114は、ロボット2に割り当てるロボット割当作業と、作業者に割り当てる作業者割当作業とを抽出する。出力部115は、ロボット割当作業を示す割当情報を管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5へ出力する。ロボット制御部116は、操作者端末4において入力された操作指示に基づいてロボット2の制御情報をロボット2へ送信し、またロボット2が撮像した撮像画像を操作者端末4へ送信する。
【0040】
制御部11の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、制御部11がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0041】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、ロボット管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0042】
ロボット2は、制御部21と、記憶部22とを有する。制御部21は、受信部211と、送信部212とを有する。制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部211及び送信部212として機能する。受信部211は、ロボット管理装置1から制御情報を受信する。送信部212は、ロボット2の撮像部が撮像した撮像画像をロボット管理装置1へ送信する。制御部21の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、制御部21がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0043】
記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、ロボット2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。
【0044】
本実施形態に係るロボット管理システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。ロボット管理装置1、ロボット2、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、ロボット管理装置1は、ロボット2に内蔵されてもよい。また、ロボット管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0045】
[ロボット管理方法の説明]
図3は、作業場で発生する作業を説明するための模式図である。図3は、作業場で発生する作業の時系列変化を表す例示的なグラフである。図3において、横軸は時刻を表し、縦軸は総作業負荷を表している。
【0046】
総作業負荷は、作業場で発生する一又は複数の作業を実行するために必要な単位時間あたりの作業負荷の合計値である。作業負荷は、作業ごとに定められた、ロボット2が当該作業を実行するために掛かる負担を表す値である。作業負荷の具体的な内容については後述する。
【0047】
図3は、作業場に配置されたロボット2が実行可能な単位時間あたりの最大の作業負荷を、許容量として表している。本実施形態に係るロボット管理システムSは、作業場で発生した未割当作業のうち、作業負荷が許容量以下となるようにロボット2に割り当てるロボット割当作業を抽出する。そしてロボット管理システムSは、未割当作業のうち、ロボット割当作業として抽出された作業以外の少なくとも一部を、作業者に割り当てる作業者割当作業として抽出する。これにより、ロボット管理システムSは、時刻によって総作業負荷が変動する非定常の作業を、ロボット2と作業者との間で適切に分担できる。以下、ロボット管理システムSがロボット2及び作業者の作業を管理するための処理を詳細に説明する。
【0048】
(許容量の決定)
ロボット管理装置1において、設定部111は、ロボット2が単位時間あたりに実行可能な作業の許容量を決定する。図4は、作業の許容量を説明するための模式図である。設定部111は、操作者に関する情報として、操作者の能力、操作者の疲労度、操作者の作業継続時間(すなわち、操作者が休憩をせずにロボット2を操作している時間)のうち少なくとも1つを取得する。図3に示すように、作業の許容量は、操作者が負荷の高い作業をしている時間には疲労が蓄積することにより減少し、作業を行っていない時間(すなわち、操作者が休憩をしている時間)には疲労が回復することにより増加する傾向にある。また、作業の許容量は、例えば、操作者の疲労度や作業継続時間によらず、一定値であってもよい。操作者の能力は、例えば事前に測定された操作者のスキルや、操作者が過去にロボット2を操作した合計時間等によって表される。操作者の疲労度は、例えば操作者が所定の作業を行うために掛かった時間の変化等によって表される。
【0049】
また、設定部111は、ロボット2に関する情報として、ロボットの能力を取得する。ロボット2の能力は、例えばロボット2の動作速度や、ロボット2が所定の作業を行うために掛かる時間によって表される。そして設定部111は、操作者の能力と、ロボット2の能力と、操作者の疲労度と、操作者の作業継続時間とのうち少なくとも1つに対応する値を、許容量として決定する。例えば設定部111は、操作者若しくはロボット2の能力が高いほど、疲労度が小さいほど、又は作業継続時間が短いほど、許容量を大きく決定する。一方、設定部111は、操作者若しくはロボット2の能力が低いほど、疲労度が大きいほど、又は作業継続時間が長いほど、許容量を小さく決定する。
【0050】
設定部111は、予め許容量を決定してもよく、未割当作業の割り当てを開始する際(すなわち、未割当作業が発生した際)に許容量を決定してもよい。設定部111は、決定した許容量を示す情報を、記憶部12に記憶させる。また、設定部111(プロセッサ)ではなく、人間が許容量を決定してもよい。
【0051】
(ロボット作業情報の取得)
ロボット作業情報取得部112は、作業場に配置されているロボット2が実行可能な実行可能作業に関するロボット作業情報を取得する。図5(a)、図5(b)は、ロボット作業情報を説明するための模式図である。図5(a)は、例示的なロボット作業情報を表している。ロボット作業情報は、ロボット2が実行可能な複数の実行可能作業(すなわち、作業内容)と、当該複数の実行可能作業それぞれの作業負荷とを含む。ロボット作業情報は、記憶部12に予め記憶されている。
【0052】
図5(b)は、作業負荷に影響を与える要素を表している。作業負荷は、例えば、操作者がロボット2に作業を行わせる操作の困難度と、当該操作の所要時間との少なくとも一方に対応する値である。操作の困難度は、操作者が当該操作を行うことの難しさであり、例えば過去に操作者が当該操作を行った際に発生したミスの回数に対応する。操作の所要時間は、操作を開始してから完了するまでに掛かる時間であり、例えば過去に操作者が当該操作を行った際に掛かった時間に対応する。これにより、ロボット管理システムSは、操作者が行う遠隔操作に関する情報を、ロボット2又は作業者への作業の割り当てに反映することができる。
【0053】
物品を陳列する作業において、ロボット2は、物品が保管される保管位置から、物品が陳列される陳列位置に、物品を移動させる。この場合に、作業負荷は、例えば保管位置と陳列位置との間の距離と、保管位置の高さと、陳列位置の高さと、物品の品目数との少なくとも一つに対応する値である。作業負荷は、垂直方向の移動(保管位置と陳列位置との間の距離)を伴う作業よりも、水平方向の移動(保管位置及び陳列位置の高さ)を伴う作業の方が小さくなるように設定されることが望ましい。これにより、ロボット管理システムSは、ロボット2が物品を移動させるための動作に関する情報を、ロボット2又は作業者への作業の割り当てに反映することができる。
【0054】
また、作業負荷は、ロボット2が作業を行うために必要な電力に対応する値であってもよい。例えば、ロボット2が作業のために必要な電力が大きいほど作業負荷が大きく、電力が小さいほど作業負荷が小さいように、作業負荷が設定される。作業に必要な電力は、例えば作業対象の物品の重さや、作業の際の移動距離に基づいて推定される。これにより、ロボット管理システムSは、ロボット2が作業を行うために必要な電力に関する情報を、ロボット2又は作業者への作業の割り当てに反映することができる。
【0055】
また、作業負荷は、ロボット2が作業を行う際に移動する場所の温度に対応する値であってもよい。例えば、ロボット2が作業のために移動する経路における温度変化の程度が大きいほど作業負荷が大きく、温度変化の程度が小さいほど作業負荷が小さいように、作業負荷が設定される。ロボット2が異なる温度間で移動するとロボット2内部に結露が発生し、メンテナンスの手間が掛かる可能性がある。そこでロボット管理システムSは、温度変化が大きい作業の作業負荷を大きくすることによって、当該作業をロボット2ではなく作業者に優先的に割り当てることができる。
【0056】
作業負荷は、予め人間によって入力されてもよく、未割当作業の割り当てを開始する際(すなわち、未割当作業が発生した際)にロボット作業情報取得部112によって決定されてもよい。
【0057】
(未割当作業情報の取得)
未割当作業情報取得部113は、作業場において行うことが予定された未割当作業に関する未割当作業情報を取得する。図6(a)、図6(b)は、未割当作業情報を説明するための模式図である。図6(a)は、例示的な未割当作業情報を表している。未割当作業情報は、作業場において行うことが予定された一又は複数の未割当作業(すなわち、作業内容)と、当該複数の未割当作業それぞれの量、期限及び優先度とを含む。
【0058】
また、未割当作業情報取得部113は、管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5において人間によって入力された情報を、未割当作業情報として取得する。管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5は、作業の内容(陳列、廃棄、位置変更等)、作業の期限、作業の優先度、物品の種類、物品の個数を含む未割当作業情報の入力を受け付ける。また、管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5は、作業場への商品配送時の伝票情報に基づいて(例えば、伝票に付されたコードを読み取ることによって)、未割当作業情報を取得してもよい。管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5は、未割当作業情報をロボット管理装置に送信する。ロボット管理装置1において、未割当作業情報取得部113は、管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5が送信した未割当作業情報を取得する。
【0059】
また、未割当作業情報取得部113は、所定の情報に基づいて、自動的に未割当作業を特定してもよい。この場合に、未割当作業情報取得部113は、未割当作業を特定するために用いられる情報を取得する。図6(b)は、未割当作業を特定するために用いられる情報を表している。未割当作業情報取得部113は、未割当作業を特定するために、作業場に配置されている撮像部(カメラ)又はロボット2が備える撮像部(カメラ)が撮像した、物品を保持しているパレット(コンテナ、荷役台ともいう)の撮像画像又は物品が配置される棚の撮像画像を取得する。
【0060】
未割当作業情報取得部113は、パレットの撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、作業場においてまだ陳列されていない物品の種類及び個数を特定する。また、未割当作業情報取得部113は、棚の撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、棚に陳列可能な物品の種類及び個数(又は棚に残っている物品の種類及び個数)を特定する。そして未割当作業情報取得部113は、まだ陳列されていない物品の種類及び個数と、棚に陳列可能な物品の種類及び個数(又は棚に残っている物品の種類及び個数)とに基づいて、物品を陳列する作業を未割当作業として特定する。また、未割当作業情報取得部113は、パレット又は棚の撮像画像に対して既知の文字認識処理を行うことによって物品の消費期限又は賞味期限を認識し、消費期限又は賞味期限が所定条件を満たす場合(例えば、消費期限又は賞味期限を徒過している場合)に物品を廃棄する作業を未割当作業として特定してもよい。
【0061】
また、未割当作業情報取得部113は、未割当作業を特定するために、POS(Point Of Sales)システムから出力された物品に関する決済情報を取得する。決済情報は、作業場(店舗)において物品が販売された個数、時刻、価格等を含む。そして未割当作業情報取得部113は、決済情報が販売されたことを示す物品の種類及び個数に基づいて、当該物品を陳列する作業を未割当作業として特定する。
【0062】
また、未割当作業情報取得部113は、決済情報に基づいて、物品の保管位置又は物品の陳列位置を変更する作業を、未割当作業として特定してもよい。例えば未割当作業情報取得部113は、決済情報に基づいて、販売される速度(すなわち、単位時間あたりの販売個数)が所定値以上である物品に対して、当該物品の陳列位置に近付けるように当該物品の保管位置を変更する作業を、未割当作業として特定する。
【0063】
また、例えば、未割当作業情報取得部113は、決済情報が示す複数の物品の販売状況と、複数の物品それぞれの陳列位置とに対して、既知の機械学習処理を実行する。そして未割当作業情報取得部113は、機械学習処理の結果に応じて、販売状況が向上すると推定される陳列位置に物品を移動させる作業を、未割当作業として特定する。このように未割当作業情報取得部113は、決済情報に基づいて物品の保管位置又は物品の陳列位置を変更するための未割当作業を特定することによって、作業効率や販売効率を向上させることができる。
【0064】
さらに未割当作業情報取得部113は、特定した未割当作業の期限及び優先度を決定する。未割当作業情報取得部113は、例えば、予め作業の内容ごとに設定された期限を、未割当作業の期限として決定する。図6の例では、食べ物の陳列作業の期限が12時、飲み物の陳列作業の期限が18時に設定されている。これにより、ロボット管理システムSは、各物品の需要のタイミングに合わせて作業を完了することができる。
【0065】
未割当作業情報取得部113は、例えば、撮像画像に基づいて特定した棚に残っている物品の個数が所定値以下である場合に、優先度を高く設定し、そうでない場合に、優先度を低く設定する。また、未割当作業情報取得部113は、例えば、物品が冷凍物品又は冷蔵物品である場合に、そうでない物品よりも優先度を高く設定してもよい。
【0066】
未割当作業情報取得部113は、例えば、現在時刻が属する曜日及び時間帯における過去の決済情報が示す物品の販売数に基づいて、現在時刻から第1時間内に販売される推定数を算出する。また、未割当作業情報取得部113は、曜日及び時間帯に加えて、現在時刻が該当する祝日、月、季節や、現在の天気又は天気予報が共通する過去の決済情報を用いて推定数を算出してもよい。そして未割当作業情報取得部113は、推定数が多いほど優先度を高く設定し、推定数が少ないほど優先度を低く設定する。また、未割当作業情報取得部113は、推定数に加えて、棚に残っている物品の数(在庫数)を考慮して優先度を設定してもよい。これにより、未割当作業情報取得部113は、過去の販売実績を優先度に反映できる。
【0067】
未割当作業情報取得部113は、現在時刻から第1時間内に販売される推定数に加えて、現在時刻から第1時間よりも長い第2時間内に販売される推定数に基づいて、優先度を設定してもよい。これにより、未割当作業情報取得部113は、一時的に売れる物品と継続的に売れ続ける物品との間で優先度を変えることができる。
【0068】
ロボット管理システムSは、後述の割当作業の抽出において優先度が高い未割当作業を優先的にロボット2又は作業者に割り当てることによって、緊急性のある作業を優先的に遂行することができる。
【0069】
また、未割当作業情報取得部113は、一日の中の時間帯に応じて異なる値の優先度を設定してもよい。例えば未割当作業情報取得部113は、食べ物の陳列作業に対して、昼食時間帯(例えば12時から13時等)の優先度を、それ以外の時間帯の優先度よりも高くする。これにより、ロボット管理システムSは、一日の中で時間帯ごとに作業の割り当てをフレキシブルに変えることができる。
【0070】
ロボット管理装置1は、許容量の決定、ロボット作業情報の取得、及び未割当作業情報の取得を、上述の順序に限られず、その他の順序で行ってもよく、並行して行ってもよい。
【0071】
(割当作業の抽出)
抽出部114は、未割当作業情報取得部113が取得した未割当作業情報が示す未割当作業のうち、ロボット作業情報取得部112が取得したロボット作業情報が示す実行可能作業に含まれており、かつ当該未割当作業情報が示す未割当作業の量、期限及び優先度のうち少なくとも一部が所定条件を満たす作業を、ロボット2に割り当てるロボット割当作業として抽出する。
【0072】
抽出部114は、例えば一又は複数の未割当作業のうち、量の合計値が、ロボット2が実行可能な作業の量以下になる未割当作業を、ロボット割当作業として抽出する。ロボット2が実行可能な作業の量は、予め記憶部12に記憶されている。これにより、抽出部114は、ロボット2が実行可能な作業の量の範囲内で、ロボット割当作業を抽出できる。
【0073】
また、抽出部114は、例えば一又は複数の未割当作業のうち、量の合計値が、ロボット2が未割当作業の期限までに完了可能な作業の量以下になる未割当作業を、ロボット割当作業として抽出してもよい。ロボット2が期限までに完了可能な作業の量(すなわち、ロボット2が単位時間あたりに実行可能な作業の量)は、予め記憶部12に記憶されている。これにより、抽出部114は、ロボットが期限までに実行可能な作業の量の範囲内で、ロボット割当作業を抽出できる。
【0074】
また、抽出部114は、例えば複数の未割当作業を優先度が高い順に並べ、優先度が高い順に量を合計した値が、ロボット2が実行可能な作業の量以下になる未割当作業を、ロボット割当作業として抽出する。さらに抽出部114は、量及び優先度に加えて、期限に基づいてロボット割当作業を抽出してもよい。これにより、抽出部114は、ロボット2が実行可能な作業の量の範囲内で、優先度が高い順にロボット割当作業を抽出できる。
【0075】
そして抽出部114は、未割当作業のうち、ロボット割当作業として抽出された作業以外の少なくとも一部を、作業者に割り当てる作業者割当作業として抽出する。このようにロボット管理システムSは、未割当作業の量、期限及び優先度を考慮することによって、ロボット2に実行させる作業を選別し、作業場におけるロボット2を用いた作業の効率を向上させることができるとともに、ロボット2と作業者との間で適切な作業分担をすることができる。
【0076】
さらに抽出部114は、未割当作業情報が示す未割当作業の量、期限及び優先度のうち少なくとも一部に加えて、ロボット作業情報取得部112が取得したロボット作業情報が示す作業負荷が所定条件を満たすように、ロボット割当作業を抽出してもよい。例えば抽出部114は、合計の作業負荷(すなわち、一又は複数の未割当作業それぞれの量に作業負荷を乗算した値の合計値)が、設定部111が上述の方法で決定した許容量以下になるように、ロボット割当作業を抽出する。また、抽出部114は、未割当作業の中から、作業負荷が小さい順にロボット割当作業を抽出してもよい。
【0077】
また、抽出部114は、ロボット作業情報取得部112が取得したロボット作業情報が示す作業負荷が最小となるように、ロボット割当作業を抽出してもよい。この場合に、抽出部114は、例えば、ダイクストラ法等の既知の探索処理において作業負荷をコストとして演算を行い、コストが最小となる作業の順序を決定する。そして抽出部114は、決定した順序で複数の未割当作業の作業負荷を合計した値が、設定部111が決定した許容量以下になるように、ロボット割当作業を抽出する。
【0078】
作業の内容ごとにロボット2の作業負荷が異なるため、単に量に基づいてロボット2に作業を割り当てると、ロボット2が不得意な作業を行うことになる場合がある。例えば、操作者による操作の困難度が高い作業(柔らかい物品の陳列等)は、ロボット2が失敗する確率が高いためロボット2よりも作業員が行うことが適切である場合がある。例えば、異なる温度帯間の移動を伴う作業(冷蔵庫からの搬出等)は、ロボット2のメンテナンスの手間が増加するためロボット2よりも作業員が行うことが適切である場合がある。そこで抽出部114は、作業の量だけでなく作業負荷を考慮することによって、より適切にロボット2及び作業員に作業を割り当てることができる。
【0079】
(割当情報の出力)
管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5は、管理者、操作者又は作業者から、作業を表示するための操作を受け付ける。管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つが作業を表示するための操作を開始するための操作を受け付けた場合に、出力部115は、未割当作業情報取得部113が取得した未割当作業情報と、抽出部114が抽出したロボット割当作業及び作業者割当作業を示す割当情報とを、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つに出力する。管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つは、ロボット管理装置1が出力した未割当作業情報及び割当情報を含む割当情報画面を表示部上に表示する。
【0080】
図7(a)は、管理者端末3が表示する割当情報画面の模式図である。操作者端末4又は作業者端末5は、図7(a)と同様の割当情報画面を表示してもよい。割当情報画面は、ロボット割当情報31と、作業者割当情報32と、未割当作業情報33と、各種の設定ボタン34とを含む。ロボット割当情報31は、ロボット割当作業の内容を表す。作業者割当情報32は、作業者割当作業の内容を表す。未割当作業情報33は、未割当作業の内容を表す。ロボット割当情報31、作業者割当情報32及び未割当作業情報33は、それぞれ作業の内容に加えて作業の期限及び優先度を表してもよい。管理者及び操作者は、割当情報画面を参照することによって、ロボット2及び作業者に割り当てられた作業を容易に把握できる。
【0081】
作業者端末5は、管理者端末3とは異なる内容の割当情報画面を表示してもよい。図7(b)は、作業者端末5が表示する割当情報画面の模式図である。図7(b)の割当情報画面は、図7(a)とは異なり、表示開始時にはロボット割当情報31を含まず、代わりに表示ボタン35を含む。作業者端末5は、表示ボタン35の選択を受け付けた場合に、図7(a)と同様にロボット割当情報31を表示する。これにより、作業者は、自身に割り当てられた作業者割当作業の内容を容易に認識でき、さらに必要に応じてロボット割当作業の内容も確認することができる。操作者は、図7(a)又は図7(b)に示す割当情報画面に表示されたロボット割当作業を担当し、作業者は、図7(a)又は図7(b)に示す割当情報画面に表示された作業者割当作業を担当することによって、容易に役割分担を行うことができる。
【0082】
ロボット割当情報31、作業者割当情報32及び未割当作業情報33には、それぞれ設定ボタン34が関連付けられている。設定ボタン34は、例えば、作業の追加、作業の削除、又は作業の内容や割り当ての変更の設定をするためのボタン(アイコン)を含む。また、設定ボタン34は、作業の進捗(例えば作業が完了したか否か)を設定するためのボタンを含む。また、設定ボタン34は、作業の保留や中断を設定するためのボタンを含んでもよい。管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5は、設定ボタン34が含むいずれかのボタンの選択を受け付けた場合に、選択されたボタンに対応する入力情報(すなわち、管理者又は操作者が行う設定の内容)を、ロボット管理装置1へ送信する。
【0083】
ロボット管理装置1において、設定部111は、管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5が送信した入力情報に基づいて、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業のうち少なくとも1つを追加、削除又は変更する。
【0084】
また、設定部111は、ロボット2が備える撮像部及び作業場に配置されている撮像部のうち少なくとも一方によって撮像された撮像画像に基づいて、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業のうち少なくとも1つを追加、削除又は変更してもよい。この場合に、設定部111は、撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業の状況を認識し、認識した状況に応じて作業の追加、作業の削除、又は作業の内容や割り当ての変更の設定を行う。例えば設定部111は、撮像画像に基づいて作業対象外の物品を認識した場合に、当該物品を陳列するための未割当作業を追加する。また、例えば設定部111は、撮像画像に基づいてロボット割当作業を作業者が開始したことを認識した場合に、ロボット割当作業を作業者割当作業に変更する。また、設定部111は、撮像画像に限らず、棚に設けられたセンサが測定したデータ(重量の測定やタグの読み取り)に基づいて、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業のうち少なくとも1つを追加、削除又は変更してもよい。
【0085】
そして出力部115は、追加、削除又は変更された未割当作業、ロボット割当作業又は作業者割当作業を示す情報を、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つに再び出力する。これにより、ロボット管理システムSは、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業を、管理者又は操作者による入力、又はロボット2又は作業場の撮像部による撮像画像に基づいて更新することができる。
【0086】
また、設定部111は管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5が送信した入力情報に基づいて、未割当作業、ロボット割当作業、又は作業者割当作業のうち少なくとも1つの進捗状況を示す情報を記憶部12に記憶させてもよい。出力部115は、未割当作業、ロボット割当作業、又は作業者割当作業の進捗状況を、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つに出力する。これにより、ロボット管理システムSは、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業が完了したか否か等の進捗状況の入力を管理者又は操作者から受け付けるとともに、入力された進捗状況を管理者及び操作者に通知できる。
【0087】
物品を陳列する作業において、ロボット2とは独立して移動する無人搬送車(AGV: Automated Guided Vehicle)を用いて物品を移動させる場合がある。このような場合に、出力部115は、作業の優先度が高い順にロボット2が物品を取り出せるように、物品を保持しているパレットを無人搬送車に収納する順序を示す情報を、管理者端末3、操作者端末4、作業者端末5又は無人搬送車に送信する。ロボット2又は作業者は、ロボット管理装置1が送信した情報が示す順序で、無人搬送車にパレットを収納する。また、無人搬送車は、パレットを自動的に収納する機構を備える場合に、ロボット管理装置1が送信した情報が示す順序で、パレットを収納してもよい。無人搬送車がパレットを収納した後、出力部115は、無人搬送車をロボット2又はロボット2が作業を行う位置に移動させるための情報を、無人搬送車へ送信する。無人搬送車は、ロボット管理装置1が送信した情報が示す位置に移動し、ロボット2にパレットを供給する。
【0088】
(ロボットの遠隔操作)
操作者端末4は、操作者から、ロボット2の遠隔操作を開始するための操作を受け付ける。操作者端末4がロボット2の遠隔操作を開始するための操作を受け付けた場合に、ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、ロボット2の遠隔操作を開始するための情報をロボット2へ送信する。ロボット2において、受信部211がロボット2の制御を開始するための情報を受信した場合に、送信部212は、ロボット2が備える撮像部によって撮像された撮像画像(静止画像又は動画像)を、ロボット管理装置1へ繰り返し送信する。
【0089】
ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、ロボット2が送信した撮像画像を、操作者端末4へ送信する。また、出力部115は、ロボット割当作業を示す割当情報を、操作者端末4に出力する。操作者端末4は、ロボット管理装置1が出力した撮像画像及び割当情報を含む操作画面を表示部上に表示する。
【0090】
図8は、操作者端末4が表示する操作画面の模式図である。操作画面は、撮像画像41と、ロボット割当情報42とを含む。撮像画像41は、ロボット2が前方を撮像した撮像画像である。撮像画像41は、作業対象の物品、物品を陳列するための棚、ロボット2の身体の一部等を含み得る。ロボット割当情報42は、ロボット割当作業を表す。図8の例では、ロボット割当情報42は、ロボット2が現在行うべき作業と、次に予定されている作業とを表している。ロボット割当情報42は、作業の内容に加えて作業の期限及び優先度を表してもよい。これにより、操作者は、ロボット2の視野の画像とともに、ロボット2に行わせる作業を容易に把握し、効率的に作業を進めることができる。
【0091】
操作者端末4は、操作者から、ロボット2を遠隔操作するための操作を受け付ける。操作者端末4は、操作者から受け付けた遠隔操作の内容を示す操作情報を、ロボット管理装置1へ送信する。ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、操作者端末4が送信した操作情報が示す遠隔操作の内容をロボット2に実行させるための制御情報をロボット2へ送信する。ロボット2は、受信部211が受信した制御情報に従って動作する。その後、ロボット管理装置1は、操作者端末4へのロボット2が撮像した撮像画像の送信と、ロボット2への遠隔操作のための制御情報の送信とを繰り返すことによって、操作者によるロボット2の遠隔操作を実行する。
【0092】
ロボット割当作業の少なくとも一部が操作者による遠隔操作を受けずに自動的に実行可能である場合に、ロボット制御部116は、ロボット割当作業の少なくとも一部(例えば、ロボット2が作業を行う位置への移動)をロボット2に自動的に実行させるための制御情報をロボット2へ送信してもよい。ロボット2は、受信部211が受信した制御情報に従って動作する。これにより、ロボット管理装置1は、操作者による遠隔操作と自動実行とを併用して効率的に作業を遂行できる。
【0093】
操作者端末4は、操作者から、ロボット2が現在行っている作業の進捗状況(例えば、作業が完了したこと)を示す操作(例えば、画面上で所定領域を見つめることや、所定の声を発すること)を受け付ける。操作者端末4は、操作者から受け付けた進捗状況を示す入力情報を、ロボット管理装置1へ送信する。ロボット管理装置1において、設定部111は操作者端末4が送信した入力情報に基づいて、ロボット割当作業の進捗状況を示す情報を記憶部12に記憶させる。その後、操作者端末4は、操作画面において、ロボット割当情報42が表すロボット2が現在行うべき作業を、次に予定されている作業に更新する。
【0094】
[ロボット管理方法のシーケンス]
図9は、本実施形態に係るロボット管理システムSが実行するロボット管理方法のシーケンス図である。図9においては作業者端末5が省略されているが、作業者端末5も管理者端末3と同様の処理を行う。ロボット管理装置1において、設定部111は、ロボット2が単位時間あたりに実行可能な作業の許容量を決定する(S11)。例えば設定部111は、操作者の能力と、ロボット2の能力と、操作者の疲労度と、操作者の作業継続時間とのうち少なくとも1つに基づいて、許容量を決定する。
【0095】
ロボット作業情報取得部112は、作業場に配置されているロボット2が実行可能な実行可能作業に関するロボット作業情報を取得する(S12)。ロボット作業情報は、ロボット2が実行可能な複数の実行可能作業と、当該複数の実行可能作業それぞれの作業負荷とを含んでおり、記憶部12に予め記憶されている。
【0096】
未割当作業情報取得部113は、作業場において行うことが予定された未割当作業に関する未割当作業情報を取得する(S13)。未割当作業情報は、作業場において行うことが予定された一又は複数の未割当作業と、当該複数の未割当作業それぞれの量、期限及び優先度とを含む。
【0097】
例えば未割当作業情報取得部113は、管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5において人間によって入力された情報を、未割当作業情報として取得する。また、例えば未割当作業情報取得部113は、作業場に配置されている撮像部又はロボット2が備える撮像部(カメラ)が撮像した撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、未割当作業、期限及び優先度を特定してもよい。また、例えば未割当作業情報取得部113は、POSシステムから出力された物品に関する決済情報に基づいて、未割当作業、期限及び優先度を特定してもよい。
【0098】
ロボット管理装置1は、ステップS11の許容量の決定、ステップS12のロボット作業情報の取得、及びステップS13の未割当作業情報の取得を、上述の順序に限られず、その他の順序で行ってもよく、並行して行ってもよい。
【0099】
抽出部114は、未割当作業情報取得部113が取得した未割当作業情報が示す未割当作業のうち、ロボット作業情報取得部112が取得したロボット作業情報が示す実行可能作業に含まれており、かつ当該未割当作業情報が示す未割当作業の量、期限及び優先度のうち少なくとも一部が所定条件を満たす作業を、ロボット2に割り当てるロボット割当作業として抽出する。ここで抽出部114は、合計の作業負荷が、設定部111が決定した許容量以下になるように、ロボット割当作業を抽出してもよい。また、抽出部114は、未割当作業のうち、ロボット割当作業として抽出された作業以外の少なくとも一部を、作業者に割り当てる作業者割当作業として抽出する(S14)。
【0100】
出力部115は、未割当作業情報取得部113が取得した未割当作業情報と、抽出部114が抽出したロボット割当作業及び作業者割当作業を示す割当情報とを、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つに出力する(S15)。管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のうち少なくとも1つは、ロボット管理装置1が出力した未割当作業情報及び割当情報を含む割当情報画面を表示部上に表示する。操作者は、割当情報画面に表示されたロボット割当作業を担当し、作業者は、割当情報画面に表示された作業者割当作業を担当することによって、容易に役割分担を行うことができる。
【0101】
管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5は、割当情報画面上で、作業の追加、作業の削除、又は作業の内容や割り当ての変更の設定をするためのボタンの選択を受け付けた場合に、選択されたボタンに対応する入力情報(すなわち、管理者又は操作者が行う設定の内容)を、ロボット管理装置1へ送信する。ロボット管理装置1において、設定部111は、管理者端末3、操作者端末4又は作業者端末5が送信した入力情報に基づいて、未割当作業、ロボット割当作業及び作業者割当作業のうち少なくとも1つを追加、削除又は変更する(S16)。
【0102】
操作者端末4がロボット2の遠隔操作を開始するための操作を受け付けた場合に、ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、ロボット2の遠隔操作を開始するための情報をロボット2へ送信する。ロボット2において、受信部211がロボット2の制御を開始するための情報を受信した場合に、送信部212は、ロボット2が備える撮像部によって撮像された撮像画像を、ロボット管理装置1へ送信する。ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、ロボット2が送信した撮像画像を、操作者端末4へ送信する。また、出力部115は、ロボット割当作業を示す割当情報を、操作者端末4に出力する(S17)。操作者端末4は、ロボット管理装置1が出力した撮像画像及び割当情報を含む操作画面を表示部上に表示する。
【0103】
操作者端末4は、操作者から受け付けた遠隔操作の内容を示す操作情報を、ロボット管理装置1へ送信する。ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、操作者端末4が送信した操作情報が示す遠隔操作の内容をロボット2に実行させるための制御情報をロボット2へ送信することによって、ロボット2を制御する(S18)。その後、ロボット管理装置1は、操作者端末4へのロボット2が撮像した撮像画像の送信と、ロボット2への遠隔操作のための制御情報の送信とを繰り返すことによって、操作者によるロボット2の遠隔操作を実行する。
【0104】
[実施形態の効果]
本実施形態に係るロボット管理システムSによれば、ロボット管理装置1は、作業場において発生した作業の量に基づいてロボット2に割り当てる作業を抽出し、抽出した作業を操作者、管理者及び作業者に提示する。そのため、ロボット管理装置1は、ロボット2に行わせる作業を選別し、作業場におけるロボット2を用いた作業の効率を向上させることができる。また、ロボット管理装置1は、ロボット2が行いきれない作業を作業者に割り当てることによって、作業場の状況に応じてロボット2と作業者との間で適切な作業分担をすることができる。
【0105】
(変形例)
本変形では、1つの操作者端末4(すなわち、一人の操作者)が、複数の作業場に配置された複数のロボット2を切り替えて操作する場合の処理を説明する。この場合に、抽出部114は、複数のロボット2それぞれが配置されている作業場において、上述の方法によって、複数のロボット2それぞれに割り当てるロボット割当作業を抽出する。
【0106】
複数のロボット2それぞれにおいて、送信部212は、ロボット2が備える撮像部によって撮像された撮像画像を、ロボット管理装置1へ送信する。送信部212は、撮像画像をロボット管理装置1へ繰り返し送信する。
【0107】
ロボット管理装置1において、ロボット制御部116は、複数のロボット2のうち操作者が操作対象として選択したロボット2(すなわち、操作中のロボット2)が送信した撮像画像を、操作者端末4へ送信する。また、出力部115は、複数のロボット2それぞれのロボット割当作業を示す割当情報を、操作者端末4に出力する。また、出力部115は、複数のロボット2それぞれがロボット割当作業を実行する準備ができたか否かを示す状態情報を、操作者端末4に出力してもよい。出力部115は、例えば、ロボット2の初期設定が完了した場合や、ロボット2が作業を行う位置への自動移動が完了した場合等に、ロボット2がロボット割当作業を実行する準備ができたと判定する。
【0108】
操作者端末4は、ロボット管理装置1が出力した撮像画像及び割当情報を含む操作画面を表示部上に表示する。図10は、操作者端末4が表示する操作画面の模式図である。操作画面は、操作中のロボット2が撮像した撮像画像41と、操作中のロボット2に関する第1ロボット割当情報42と、操作中でないロボット2に関する第2ロボット割当情報43を含む。撮像画像41は、操作中のロボット2が前方を撮像した撮像画像である。撮像画像41は、操作中のロボット2が撮像した撮像画像に加えて、操作中でない一又は複数のロボット2それぞれが撮像した撮像画像を含んでもよい。この場合に、操作者端末4は、操作中でない一又は複数のロボット2の撮像画像を、操作中のロボット2が撮像した撮像画像よりも小さい画像(例えばサムネイル画像)として表示することが望ましい。
【0109】
第1ロボット割当情報42は、操作中のロボット2に割り当てられたロボット割当作業を表す。第2ロボット割当情報43は、操作中でない一又は複数のロボット2それぞれに割り当てられたロボット割当作業を表す。また、操作者端末4は、ロボット管理装置1が送信した状態情報に基づいて、ロボット割当作業を実行する準備ができたロボット2の第2ロボット割当情報43を、ロボット割当作業を実行する準備ができていないロボット2の第2ロボット割当情報43とは異なる態様(例えば、色、大きさ、形状等)で表示させる。これにより、操作者は、ロボット割当作業を実行可能な状態にあるロボット2を容易に把握できる。
【0110】
操作者端末4においていずれかの第2ロボット割当情報43を選択する操作が行われた場合に、操作中のロボット2を、選択された第2ロボット割当情報43に対応するロボット2に切り替える。このように、本変形例によれば、操作者は、複数のロボット2それぞれに割り当てられた作業を俯瞰することができ、操作中のロボット2を切り替えながら効率的に作業を進めることができる。
【0111】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0112】
ロボット管理装置1、ロボット2、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のプロセッサは、図9に示すロボット管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、ロボット管理装置1、ロボット2、管理者端末3、操作者端末4及び作業者端末5のプロセッサは、図9に示すロボット管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行してロボット管理システムSの各部を制御することによって、図9に示すロボット管理方法を実行する。図9に示すロボット管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0113】
S ロボット管理システム
1 ロボット管理装置
11 制御部
111 設定部
112 ロボット作業情報取得部
113 未割当作業情報取得部
114 抽出部
115 出力部
116 ロボット制御部
2 ロボット
3 管理者端末
4 操作者端末
5 作業者端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10